JPH0362555B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、常温で固体である融点40℃以上の疎
水性物質中にマイクロカプセルを分散してなる熱
溶融型マイクロカプセル含有インシキの製造法に
関するものである。

従来より知られている熱溶融型マイクロカプセ
ル含有インキとしては、所謂感圧複写紙に応用し
た例がある。感圧複写紙とは、通常、電子供与性
の無色の発色剤を不揮発性油等に溶解し、この発
色剤含有油を芯物質としたマイクロカプセルを作
成し、支持体の裏面に塗布してなる上用紙と電子
受容性の無色の顕色剤を支持体の表面に塗布して
なる下用紙とを各々の塗布層を対向させ上用紙の
表面を筆記、タイプライター等により、加圧印字
すると、下用紙に発色像を得ることができるもの
である。

上述したような感圧複写紙では通常、発色剤及
び顕色剤の少なくとも一種を含有したマイクロカ
プセルはマイクロカプセル化法が水媒体中で行な
われ、マイクロカプセル含有水性分散液としてエ
アーナイフコーターを用いて、又、時にはマイク
ロカプセル含有水性あるいはアルコール系インキ
としてグラビア印刷、フレキソ印刷などを用いて
支持体の全面あるいは一部分に塗布される。

一方、熱溶融型インキとしてホツトメルト印刷
も近年研究され、実用的にも出てきている。

しかしながら、特公昭48−12255号、特開昭52
−136017号公報等に示されるようにこのホツトメ
ルト印刷ではマイクロカプセルをワツクス中に分
散したインキとして使用することからマイクロカ
プセル水性分散液をワツクス中に分散する必要が
ある。このため分散の際スプレードライとか濃縮
という手段を用いて含有した水を除去しなければ
ならないということ、またワツクス中にマイクロ
カプセルを分散する時に多くのマイクロカプセル
が破壊してしまうという欠点がある。

本発明者らはこのような欠点を改良すべく鋭意
研究した結果、水又はアミン類、分子内にアルコ
ール性水酸基もつ有機物質からなる親水性物質中
に溶解又は分散する、香料、触媒物質、殺菌性組
成物、生理組成物からなる群から選択される芯物
質を、天然系及び合成系ワツクス、高級アルコー
ル、高級脂肪酸からなる常温で固体の融点40℃以
上を有する疎水性物質を溶融した中へ分散、乳化
して、該芯物質のマイクロカプセル化を行ない、
冷却することによる見掛け上常温で固定である該
芯物質含有マイクロカプセルを分散してなる熱溶
融型マイクロカプセル含有インキの製造法を見い
出した。

本発明による熱溶融型マイクロカプセル含有イ
ンキは、従来の常温で固体の融点40℃以上の疎水
性物質、例えばワツクスにマイクロカプセルを分
散させる場合欠点となつていた水の除去を何ら必
要とせず、マイクロカプセル化を終了し、常温ま
で冷却した段階で、即熱溶融型マイクロカプセル
含有インキが出来上がりそのままホツトメルト用
インキとして使用することが出来る。

これは、ワツクス中へマイクロカプセルを分散
する際にマイクロカプセル含有水性分散液中の水
の除去という工程をはぶくことができるだけでな
く、マイクロカプセル自体破壊しやすいものであ
ることからワツクス中への分散工程の縮小は非常
に有利なものとなる。

さらにマイクロカプセルを分散した見掛け上固
体となつた熱溶融型マイクロカプセル含有インキ
はそのまま一定のブロツククにとり出すことで、
すぐに使用に供することができ非常に有利であ
る。

本発明の熱溶融型マイクロカプセル含有インキ
についてはいろいろのシステムを用いることがで
きる。

香料を芯物質とするインキを例にとればホツト
メルトコーターで支持体の全面又は部分に塗布又
は印刷することができ、支持体の塗層部を必要に
より潰すことで望みとする香りを放出させること
ができる。

本発明の水又は親水性物質中に溶解又は分散す
る芯物質の具体例としては、レモン油、ハツカ
油、ゲラニオール等の香料、アミノ類、過酸化物
等の触媒物質、殺菌性組成物、生理組成物等、自
由に選択することができる。

本発明の常温で固体の融点40℃以上を有する疎
水性物質の具体例を挙げる。

ワツクス類としては、みつろう、鯨ろう、中国
ろう、ラノリン等の動物系ワツクス、キヤンデリ
ラワツクス、カルナウバワツクス、木ろう、ライ
スワツクス、サトウキビろう等の植物系ワツク
ス、モンタンワツクス、オゾケライト、セレシ
ン、リグナイトワツクス等の鉱物系ワツクス、パ
ラフインワツクス、マイクロクリスタリンワツク
ス等の石油系ワツクス、モンタンワツクス誘導
体、パラフインワツクス誘導体、マイクロクリス
タリンワツクス誘導体等の変性ワツクス、カスタ
ーワツクス、オパールワツクス等の水素化ワツク
ス、低分子量ポリエチレン及びその誘導体、アク
ラワツクス、ジステアリルケトン等の合成ワツク
ス、カプロン酸アマイド、カプリル酸アマイド、
ペラルゴン酸アマイド、カプリン酸アマイド、ラ
ウリン酸アマイド、トリデシル酸アマイド、ミリ
スチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘ
ン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイ
ド等の飽和脂肪酸アマイド系ワツクス、カプロレ
イン酸アマイド、ミリストレイン酸アマイド、オ
レイン酸アマイド、エライジン酸アマイド、リノ
ール酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール
酸アマイド、リノレン酸アマイド等の不飽和脂肪
酸アマイド系ワツクスが単独又は組合わせて使用
できるものとして挙げることができる。

又、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキン酸、パ
ルミチン酸の高級脂肪酸、ステアリルアルコー
ル、１−ドコサノール、セチルアルコール等の高
級アルコールも同様にして使用できる。

しかしながら、あまり高融点の疎水性物質を用
いると、芯物質の変質、装置上の問題等不利な点
が多くなるため、融点が40℃から100℃の間にあ
る疎水性物質がより有利に用いられる。

本発明の水又は親水性物質の具体例を挙げる。
水またはアミン類としては、ジエチレントリアミ
ン、ポリエチレンイミン等が、分子内にアルコー
ル性水酸基をもつ有機物質としては、特公昭53−
16324号公報に示されるような、ノニオン活性剤、
すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンチオエーテル、ポリオキ
シアルキレンアルキルアミン、ポリオキシエチレ
ンアルキルアマイド、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、
ポリエチレングリール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルフエニルエーテル、ポリオキ
シエチレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルリン酸
エステル、アルキルエーテルリン酸エステル、脂
肪酸エタノールアミド、サツカローズエステル、
ペンタエリスリツトエステル等、また、グリセリ
ン、モノアセチルグリコール、エチレングリコー
ル、イソブチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール、１，２−プロパンジオール、１，３
−プロパンジオール、フルフリルアルコール、
２，５−ヘキサンジオール、テトラヒドロフルフ
リルアルコール、２−クロロ−１，３−プロパン
ジオール、２−メチル−２，３−ブタンジオール
等があげられ、これらの親水性物質を単独または
２種以上組合わせて使用することができる。また
水と１種または２種以上の親水性物質とを組合わ
せて使用することもできる。

本発明のマイクロカプセル化法は、特公昭42−
446、同771、同2883、同8693、特公昭43−17654、
特公昭44−11772、特公昭45−20885号公報などに
記載の界面重合法及び特公昭44−3495、特公昭45
−5616、特公昭46−30282、特公昭47−23165、同
47−10780号公報などに記載のin situ法を芯物質
の特性に応じて使用することができる。マイクロ
カプセル化に当つては、該疎水性物質の融点以上
で水又は親水性物質中に溶解又は分散する芯物質
の分散、乳化を行ないマイクロカプセル化がすみ
やかに進行することが望ましい。

本発明の熱溶融型マイクロカプセル含有インキ
を用いた応用例としてはグラビアロールコータ
ー、キスロールコーターなど通常用いられている
ホツトメルトコーターを利用して支持体の全面又
は部分に塗布又は印刷する香料印刷等があげられ
るがこれらに限定されるものではない。

本発明による熱溶融型マイクロカプセル含有イ
ンキは各種コーター、印刷機に合わせて液性改良
剤を添加することができる。例えばカプセルの保
護のためスチルトの投入、粘度を一定にするため
の増粘剤、分散性を改良するための界面活性剤、
また、インキの感圧性をコントロールする柔軟剤
として鉱物油、植物油等を、そして酸化チタン等
の不透明化剤、酢酸ビニル樹脂等のワツクス改質
材等をマイクロカプセル化終了後、冷却までの工
程中に、また印刷のために溶かした時に混合する
こともできるが、これらの限定されるものではな
いことは明らかである。

本発明による塗布層を形成させる支持体として
は、紙が主として用いられるが、各種不織布、プ
ラスチツクフイルム、合成紙、金属箔等、あるい
はこれらを組合わせた複合シートも用いられる。

以下、実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。なお「部」は重量部を示す。

実施例 １ (1) 香料を含むマイクロカアセル含有インキは次
の如く作製した。

融点70℃をもつ酸化ワツクス150部を80℃に
加熱溶解し、ここに界面活性剤のソルビタンセ
スキオレエート（商品名Nikkol so−15、日光
ケミカルズ社製）を0.3部添加してよく撹拌、
混合する。

一方、天然香料のスズランを３％溶解したエ
チレングリコール溶液75部にポリアミン10部を
混合して均一溶液とし、これを予め溶解してあ
る酸化ワツクス溶融液に滴下し、分散して乳化
させる。乳化粒子が平均５〜7μになつたとこ
ろで、ポリアミンと反応しマイクロカプセルの
壁膜を形成するトルイレンジイソシアネートを
酸化ワツクス20部に対して10部混合した80℃の
溶融液を徐々に滴下し、撹拌下、反応させる。
約２時間後、熱源を切り室温まで放冷させる。
放令途中で溶媒である酸化ワツクスは徐々に粘
調となり撹拌不可能となるので撹拌を停止す
る。作製したスズランの香料を含有するマイク
ロカプセルインキを50ｇ／m²の原紙にホツトメ
ルトコーテイングして、塗層部を爪でひつかい
たところスズランの香りを放出することができ
た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水又はアミン類、分子内にアルコール性水酸
   基をもつ有機物質からなる親水性物質中に溶解又
   は分散する、香料、触媒物質、殺菌性組成物、生
   理組成物からなる群から選択される芯物質を、天
   然系及び合成系ワツクス、高級アルコール、高級
   脂肪酸からなる常温で固体の融点40℃以上を有す
   る疎水性物質を溶融した中へ分散、乳化して、該
   芯物質のマイクロカプセル化を行い、冷却するこ
   とによる見掛け上常温で固体である該芯物質含有
   マイクロカプセルを分散してなる熱溶融型マイク
   ロカプセル含有インキの製造法。