WO2021132728A1 - マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成して水分散体を得る工程1と、該水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2とを有し、工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う、マイクロカプセルの製造方法に関する。

Description

マイクロカプセルの製造方法
 本発明は、マイクロカプセルの製造方法に関する。
 従来、香料、薬効成分等をマイクロカプセルに封入し、製品中に配合することにより、その効果を持続させる試みがなされている。特に、繊維処理製品、化粧料、洗浄剤等は、衣類や身体に香りを付与することが重要な性能の一つであり、香りの持続性の高い製品が求められている。このような要求に対して、ゾル-ゲル法によるマイクロカプセルの合成の検討が行われている。
 例えば、米国特許出願公開第2010/0247660号明細書(特許文献1)には、コア中に活性物質を含有するマイクロカプセル粒子を調製する方法であって、ゾル-ゲル前駆体及び芳香油混合物を界面活性剤溶液に添加する工程、得られたゾル-ゲル前駆体、芳香油及び界面活性剤溶液の混合物を均質化する工程、該混合物を硬化させてマイクロカプセル粒子を形成する工程、該マイクロカプセル粒子を第2の球状錯体形成により修飾して被覆マイクロカプセル粒子を形成する工程を含む方法が開示されている。
 特開2013-237051号(特許文献2)には、(a)高剪断力下で、コア材料を含む油相を水相中に乳化させることにより、水中油エマルジョンを調製するステップであって、前記油相及び前記水相の一方又は両方がゾルゲル前駆体を含んでいるステップ、(b)(a)で得られたエマルジョンに高圧均質化を行って、ナノエマルジョンを得るステップ、及び(c)ゾルゲル前駆体を加水分解し、及び重縮合するための条件を適用して、コア材料を封入した金属酸化物シェルを有するナノカプセルを得るステップを含み、該金属酸化物シェルの表面を化学的に改質するステップをさらに含む、コアシェル構造を有するナノカプセルを調製する方法が開示されている。
 特開2015-128762号(特許文献3)には、香料等の有効成分である有機化合物を長期間保持できるマイクロカプセルの製造方法として、界面活性剤を含む水相中に、1種以上の有機化合物とテトラアルコキシシランを含み、テトラアルコキシシランの量が、有機化合物に対して10質量%以上60質量%以下である有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアと第一シェルとを有するカプセルを形成する工程(1)、及び工程(1)で得られたカプセルを含有する水分散体に、更にテトラアルコキシシランを添加し、工程(2)のゾル-ゲル反応の初期pHを、工程(1)のゾル-ゲル反応の初期pHより低く維持して、ゾル-ゲル反応を行い、第一シェルを包接する第二シェルを有するカプセルを形成する工程(2)を有するマイクロカプセルの製造方法が開示されている。
 本発明は、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、
 界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程1と、
 工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2とを有し、
 工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う、マイクロカプセルの製造方法に関する。
実施例2において得られたマイクロカプセルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1において得られたマイクロカプセルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
 特許文献1~3の技術では、マイクロカプセルの香料等の有効成分である有機化合物の長期間の保持性が十分ではなく、更なる向上が求められている。
 本発明は、内包する香料等の有効成分である有機化合物を長期間保持できるマイクロカプセルの製造方法に関する。
 本発明者は、マイクロカプセルを2段階の特定の工程を経て形成することにより、内包する香料等の有効成分である有機化合物を長期間保持できることを見出した。
 すなわち、本発明は、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、
 界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程1と、
 工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2とを有し、
 工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う、マイクロカプセルの製造方法に関する。
 本発明によれば、内包する香料等の有効成分である有機化合物を長期間保持することができるマイクロカプセルの製造方法を提供することができる。
[マイクロカプセルの製造方法]
 本発明のマイクロカプセルの製造方法は、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程1(以下、単に「工程1」ともいう)と、工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2(以下、単に「工程2」ともいう)とを有し、工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う製造方法である。
 本発明において「ゾル-ゲル反応」とは、テトラアルコキシシラン(すなわち、シリカ前駆体)が加水分解及び重縮合反応により、ゾル及びゲル状態を経てシェルの構成成分であるシリカを形成する反応を意味する。具体的には、テトラアルコキシシランが加水分解され、シラノール化合物が脱水縮合反応及び脱アルコール縮合反応によりシロキサンオリゴマーを生成し、更に脱水縮合反応が進行することによりシリカが形成される反応である。
 また、本発明において、工程1で得られる水分散体の全量を工程2に供する場合は、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの量は、工程1で用いた有機化合物及びテトラアルコキシシランの量である。工程1で得られる水分散体の一部を工程2に供する場合は、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの量は、工程1で用いた有機化合物及びテトラアルコキシシランの量から、工程2に供する工程1で得られた水分散体の量を用いて比例換算した量である。
 なお、本明細書において、内包される有機化合物の長期間の保持性を「長期保持性」ともいう。また、工程1により形成されるシェルを「第一シェル」、工程2により形成されるシェルを「第二シェル」ともいう。
 本発明の製造方法により得られるマイクロカプセルは、内包する有機化合物、特に香料等の有効成分を長期間保持できる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
 工程1では、テトラアルコキシランの水相への溶解度は低い。テトラアルコシシランは徐々に水相に分配され、加水分解反応によってエタノール等のアルコールを生成し、また縮合反応によってシリカシェルを形成する。この時、有機化合物を含む油相の濃度が低すぎると、テトラアルコキシシランは過剰に水相に分配されることとなり、油相成分に吸着しない無駄なシリカゾルが増えてしまい、非効率的である。
 一方、工程1のゾル-ゲル反応の終了時には、加水分解反応よって生成したアルコールによって、水相へのテトラアルコシシランの溶解度は高くなり、効率的なシリカシェルを生成するためには不適な状態となる。そこで、工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈を行うことによって、工程2におけるテトラアルコキシシランの水相への溶解度を適切な範囲に制御することができる。更に、水相中のイオン強度を下げることにより、工程2におけるゾル-ゲル反応によるシリカシェルの形成を効率的に行うことができ、緻密で強度が高いシェルを有するマイクロカプセルを得ることができると考えられる。その結果、香料等の有効成分である有機化合物の長期保持性を向上させることができると考えられる。
<工程1>
 工程1は、界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程である。
 工程1で用いるテトラアルコキシシランとしては、ゾル-ゲル反応を促進する観点から、好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するものであり、より好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラエトキシシランである。
 工程1におけるテトラアルコキシシランの量は、ゾル-ゲル反応を促進させ、十分に緻密なシェルを形成する観点から、有機化合物の総量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは14質量%以上、より更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、そして、過剰のテトラアルコキシシランが有機化合物中に残存することを抑制する観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。
 本発明に係るマイクロカプセルのコアは、有機化合物を含む。該有機化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
 前記有機化合物は、好ましくは香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、冷感剤、染料、色素、シリコーン、溶媒、及び油溶性ポリマーから選ばれる1種以上、より好ましくは香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上、更に好ましくは香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上である。
 前記香料前駆体としては、水に反応して香料成分を放出する化合物、光に反応して香料成分を放出する化合物等が挙げられる。
 水に反応して香料成分を放出する化合物としては、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するケイ酸エステル化合物、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有する脂肪酸エステル化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分とアルコール化合物の反応で得られるアセタール化合物又はヘミアセタール化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分と1級アミン化合物との反応で得られるシッフ塩基化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分とヒドラジン化合物との反応で得られるヘミアミナール化合物又はヒドラゾン化合物等が挙げられる。
 光に反応して香料成分を放出する化合物としては、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有する2-ニトロベンジルエーテル化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分を有するα-ケトエステル化合物、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するクマリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの香料前駆体は、例えばポリアクリル酸の一部のカルボキシ基と香料アルコールとの反応生成物等のポリマーとして用いてもよい。
 これらの中でも、水に反応して香料成分を放出する化合物が好ましく、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するケイ酸エステル化合物がより好ましい。
 前記有機化合物のn-オクタノールと水との間の分配係数P(n-オクタノール/水)の常用対数「LogP」の計算値(以下、「CLogP値」ともいう)は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。前記有機化合物のCLogP値が1以上であることにより、後述するマイクロカプセル内への有機化合物のカプセル化率(以下、「内包率」ともいう)が向上する。ここで、前記有機化合物が、複数の香料成分及び油剤を含む香料組成物である場合も上記と同様に、該香料組成物のCLogP値が1以上であることによって、得られるマイクロカプセル内への香料組成物のカプセル化率(内包率)を向上させることができる。
 ここで、LogP値は化合物の親水性又は疎水性を表す指標であり、CLogP値はA.Leo Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4 C.Hansch, P.G.Sammens, J.B Taylor and C.A.Ramsden, Eds., P.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算される「計算LogP(CLogP)」であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したCLogP値である。例えば、前記有機化合物が、複数の香料成分及び油剤を含む香料組成物である場合、該香料組成物のCLogP値は、各香料成分及び油剤のCLogP値に香料組成物中の体積比を乗じ、それらの和とすることで求めることができる。
 工程1で用いる界面活性剤は、好ましくはカチオン性の界面活性剤である。
 カチオン性の界面活性剤としては、窒素系のカチオン性基を有する化合物、pH調整によりカチオン性を帯びることがある界面活性剤等が挙げられる。具体的にはアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩のアルキル第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
 アルキルアミン塩及びアルキル第4級アンモニウム塩のアルキル基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは18以下である。
 アルキルアミン塩としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロライド;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロライド;アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等のアルキル第4級アンモニウム塩が挙げられる。中でも、第4級アンモニウム塩が好ましく、アルキル第4級アンモニウム塩がより好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドが更に好ましく、セチルトリメチルアンモニウムクロライドがより更に好ましい。
 工程1の水相中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
 工程1において、水相中に有機相を乳化することにより乳化液が得られる。ここで、有機相とは、前記有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む相であればよい。有機相と水相との混合比率は、生産性の観点及び安定な乳化液を得る観点から、前記乳化液中の有機相の濃度として、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。
 前記乳化液の調製に使用される撹拌手段は特に限定されないが、強い剪断力を有するホモジナイザー、高圧分散機、超音波分散機等を使用することができる。また、ホモミキサー、「ディスパー」(商品名、プライミクス株式会社製)、「クレアミックス」(商品名、エムテクニック株式会社製)、「キャビトロン」(商品名、大平洋機工株式会社製)等を使用することもできる。
 工程1における乳化液中の乳化滴の体積平均粒径は、所望の粒径のマイクロカプセルを得る観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上であり、そして、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、より更に好ましくは3μm以下である。なお、本発明において、乳化液中の乳化滴の体積平均粒径は、実施例に記載の方法で測定できる。
 工程1のゾル-ゲル反応は酸性条件で行われる。該ゾル-ゲル反応の初期pHは、好ましくは3.5以上、より好ましくは3.7以上であり、そして、好ましくは4.3以下、より好ましくは4.0以下である。
 pHの調整は、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いて行うことができる。
 前記酸性溶液は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液が挙げられ、好ましくは塩酸又はクエン酸である。前記アルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム溶液、炭酸水素ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化アンモニウム溶液等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム溶液又は炭酸水素ナトリウム溶液である。
 前記乳化液のpHが所望の数値以下となることもある。その場合には、前記アルカリ性溶液を用いて調整することが好ましい。
 工程1におけるゾル-ゲル反応の反応温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
 工程1におけるゾル-ゲル反応の反応時間は、製造規模等によって適宜調整することができるが、反応系内が所定の反応温度になったときを反応開始と規定した場合、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは5時間以上であり、そして、好ましくは50時間以下、より好ましくは40時間以下、更に好ましくは30時間以下である。
<工程2>
 工程2は、工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程である。
 工程2で用いるテトラアルコキシシランは、ゾル-ゲル反応を促進する観点から、好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するものであり、より好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラエトキシシランである。
 工程2におけるテトラアルコキシシランの添加量は、工程1の有機化合物の量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは200質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは110質量%以下、より更に好ましくは95質量%以下である。
 本発明において、テトラアルコキシシランの添加総量、すなわち工程1及び工程2で用いられるテトラアルコキシシランの合計量は、工程1の有機化合物の量100質量%に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは250質量%以下、より好ましくは200質量%以下、更に好ましくは150質量%以下、より更に好ましくは130質量%以下である。テトラアルコキシシランの添加総量を上記範囲にすることにより、内包する有機化合物を長期間保持することができる。
 本発明において、工程2における希釈は、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、有機化合物の長期保持性を向上させる観点から、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して、20質量%以下であり、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、そして、生産効率の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上となるように行う。
 工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量に対する、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量の調整は、工程1で得られた水分散体に更に水を添加して希釈することにより行う。
 すなわち、本発明は、生産効率の観点から、工程2において、テトラアルコキシシランの添加前に、工程1で得られた水分散体を水の添加により希釈する。
 工程1で得られた水分散体の希釈前の総量100質量%に対する、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
 希釈倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上であり、そして、好ましくは20倍以下、より好ましくは10倍以下、更に好ましくは7倍以下である。なお、本明細書において「希釈倍率」とは、工程2に供する工程1で得られた水分散体の希釈前の総量に対する、水で希釈した後の水分散体(以下、「希釈水分散体」ともいう)の総量の質量比(希釈水分散体の総量/工程2に供する工程1で得られた水分散体の希釈前の総量)である。
 本発明は、工程2において、工程1で得られた水分散体に、更に有機高分子化合物を添加してもよい。
 ここで、有機高分子化合物とは重量平均分子量5,000以上の化合物を意味する。
 前記有機高分子化合物は、好ましくはカチオン性ポリマー及びノニオン性ポリマーから選ばれる1種以上である。
 ノニオン性ポリマーは、水中で電荷を有しない水溶性ポリマーを意味する。ノニオン性ポリマーを用いることにより、本発明に係るマイクロカプセルの用途に応じた機能を該マイクロカプセルに付与させることができる。例えば本発明に係るマイクロカプセルを柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物等に用いる際には、繊維への吸着性を向上させることができる。
 本明細書において「水溶性ポリマー」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が1mg以上であるポリマーをいう。
 ノニオン性ポリマーとしては、ノニオン性モノマー由来の構成単位を有するポリマー、水溶性多糖類(セルロース系、ガム系、スターチ系等)及びその誘導体等が挙げられる。
 ノニオン性モノマーとしては、炭素数1以上22以下の脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;スチレン等のスチレン系モノマー;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリレート;酢酸ビニル;ビニルピロリドン;ビニルアルコール;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
 ノニオン性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドンと他のノニオン性モノマーとの共重合体、及びヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロース系ポリマーから選ばれる1種以上が好ましく、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種以上がより好ましい。
 カチオン性ポリマーとしては、第四級アンモニウム塩基を含有するポリマーの他、窒素系のカチオン基を有するポリマー、pH調整によりカチオン性を帯びることがあるポリマー等が挙げられる。カチオン性ポリマーを用いることにより、工程1で得られるカプセル(1)が水分散体中で凝集しやすい状況を緩和することができ、続く工程2において粗大粒子等の生成を抑制できる。
 カチオン性ポリマーとしては、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(アクリル酸-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等のポリジアリルジメチルアンモニウム塩及びその共重合体、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化ローカストビンガム等が挙げられる。これらの中でも、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩及びその共重合体が好ましく、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(アクリル酸-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、及びポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)が更に好ましい。
 カチオン性ポリマーのカチオン基当量は、カプセル(1)の分散性の観点及び粗大粒子の生成を抑制する観点、並びに有機化合物の長期保持性を向上させる観点から、好ましくは1meq/g以上、より好ましくは3meq/g以上、更に好ましくは4.5meq/g以上であり、そして、好ましくは10meq/g以下、より好ましくは8meq/g以下である。カチオン性ポリマーにアニオン基が含まれてもよいが、その場合、カチオン性ポリマーに含まれるアニオン基当量は、好ましくは3.5meq/g以下、より好ましくは2meq/g以下、更に好ましくは1meq/g以下である。なお、本発明において、カチオン性ポリマーのカチオン基当量は、モノマー組成に基づいた計算により算出したものを用いる。
 前記有機高分子化合物の添加量は、工程1の有機化合物の量100質量%に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
 工程2において、更に有機高分子化合物を添加する場合には、工程2で水を添加して希釈する際に水溶液として添加することが好ましい。
 工程2におけるゾル-ゲル反応の反応温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
 工程2においてテトラアルコキシシランの添加方法は特に制限はなく、一括添加してもよく、所定時間かけて滴下してもよいが、粗大粒子の生成を抑制し、有機化合物の長期保持性を向上させる観点から、滴下して添加することが好ましい。
 工程2における、テトラアルコキシシランの滴下時間は、製造規模等によって適宜調整することができるが、好ましくは10分間以上、より好ましくは60分間以上、更に好ましくは100分間以上であり、そして、好ましくは1,000分間以下、より好ましくは700分間以下、更に好ましくは500分間以下である。
 工程2においてテトラアルコキシシランを滴下して添加する場合には、添加終了後更に反応を続けることが好ましい。添加終了後のゾル-ゲル反応の反応時間は、製造規模等によって適宜調整することができるが、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは5時間以上であり、そして、好ましくは50時間以下、より好ましくは40時間以下、更に好ましくは30時間以下である。
 工程2により得られるマイクロカプセルは、水中に分散した状態で得られる。用途によってはこれをそのまま用いることもできるが、マイクロカプセルを分離及び回収して用いてもよい。分離方法としては、ろ過法、遠心分離法等を採用することができる。
[マイクロカプセル]
 本発明に係るマイクロカプセルは、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に前記有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルである。
 工程1により形成されるシェル(第一シェル)の平均厚みは、好ましくは5nm以上であり、そして、好ましくは20nm以下、より好ましくは15nm以下である。第一シェルは、有機化合物の長期保持性を向上させる観点から、可能な限り細孔を有しない緻密な層であることが好ましい。
 工程2により形成されるシェル(第二シェル)の平均厚みは、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上であり、そして、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下である。
 マイクロカプセルの第一シェル及び第二シェルの平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定することができる。具体的には、透過型電子顕微鏡観察下で、第一シェル及び第二シェルの厚みを写真上で実測する。この操作を、視野を5回変えて行う。得られたデータから第一シェル及び第二シェルの平均厚みの分布を求める。透過型電子顕微鏡の倍率の目安は1万倍以上10万倍以下であるが、マイクロカプセルの大きさによって適宜調節される。ここで、透過型電子顕微鏡(TEM)として、例えば商品名「JEM-2100」(日本電子株式会社製)を用いることができる。
 本発明のマイクロカプセルの体積平均粒径は、コアの内包率を高め、有機化合物の長期保持性を向上させる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.5μm以上であり、そして、マイクロカプセルの物理的強度を向上させ、有機化合物の長期保持性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは3μm以下である
 なお、本発明において、マイクロカプセルの体積平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。その場合、測定はフローセルを使用し、媒体は水、分散質の屈折率は1.45-0iに設定する。マイクロカプセルを含む懸濁液をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、体積基準で平均粒径を求める。
 本発明に係るマイクロカプセルは、種々の用途に用いることができ、例えば、乳液、化粧液、化粧水、美容液、クリーム、ジェル製剤、毛髪処理剤、医薬部外品等の香粧品、洗浄剤、柔軟剤、しわ防止スプレー等の繊維処理剤、紙おむつ等の衛生用品、芳香剤等の各種用途に好適に用いることができる。
 本発明に係るマイクロカプセルは、洗浄剤組成物、繊維処理剤組成物、香粧品組成物、芳香剤組成物、消臭剤組成物等の組成物に配合して用いることができる。該組成物としては、粉末洗浄剤組成物、液体洗浄剤組成物等の洗浄剤組成物;柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物等が好ましく、繊維処理剤組成物がより好ましく、柔軟剤組成物が更に好ましい。
 上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のマイクロカプセルの製造方法を開示する。
<1> シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、
 界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程1と、
 工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2とを有し、
 工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う、マイクロカプセルの製造方法。
<2> 工程2において、希釈倍率が、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上であり、そして、好ましくは20倍以下、より好ましくは10倍以下、更に好ましくは7倍以下である、前記<1>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<3> 工程2における希釈は、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、そして、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上となるように行う、前記<1>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<4> 工程2において、工程1で得られた水分散体に、更に有機高分子化合物を添加する、前記<1>~<3>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<5> 前記有機高分子化合物が、好ましくはカチオン性ポリマー及びノニオン性ポリマーから選ばれる1種以上である、前記<4>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<6> 前記有機高分子化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種以上である、前記<4>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<7> 工程1で用いるテトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上である、前記<1>~<6>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<8> 工程1におけるテトラアルコキシシランの量が、有機化合物の総量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは14質量%以上、より更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である、前記<1>~<7>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<9> 工程2で用いるテトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上である、前記<1>~<8>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<10> 工程2におけるテトラアルコキシシランの添加量が、工程1の有機化合物の量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは200質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは110質量%以下、より更に好ましくは95質量%以下である、前記<1>~<9>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<11> 工程1及び工程2で用いられるテトラアルコキシシランの合計量が、工程1の有機化合物の量100質量%に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは250質量%以下、より好ましくは200質量%以下、更に好ましくは150質量%以下、より更に好ましくは130質量%以下である、前記<1>~<10>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<12> 工程1で用いる界面活性剤が、好ましくはカチオン性の界面活性剤である、前記<1>~<11>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<13> 前記カチオン性の界面活性剤が、好ましくは第4級アンモニウム塩、より好ましくはアルキル第4級アンモニウム塩、更に好ましくはアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、より更に好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロライドである、前記<12>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<14> 工程1におけるゾル-ゲル反応の初期pHが、好ましくは3.5以上、より好ましくは3.7以上であり、そして、好ましくは4.3以下、より好ましくは4.0以下である、前記<1>~<13>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<15> 有機化合物が、好ましくは香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、冷感剤、染料、色素、シリコーン、溶媒、及び油溶性ポリマーから選ばれる1種以上、より好ましくは香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上、更に好ましくは香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上である、前記<1>~<14>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<16> 前記有機化合物のCLogP値が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である、前記<1>~<15>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<17> シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上である有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、
 第4級アンモニウム塩を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程1と、
 工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2とを有し、
 工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う、マイクロカプセルの製造方法。
<18> 前記有機化合物のCLogP値が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である、前記<17>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
<19> 工程1におけるゾル-ゲル反応の初期pHが、好ましくは3.5以上、より好ましくは3.7以上であり、そして、好ましくは4.3以下、より好ましくは4.0以下である、前記<17>又は<18>に記載のマイクロカプセルの製造方法。
<20> 工程2において、工程1で得られた水分散体に、更に有機高分子化合物を添加する、前記<17>~<19>のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
 実施例及び比較例における各種測定は、以下の方法により行った。
(1)体積平均粒径
 工程1の乳化液中の乳化滴及びマイクロカプセルの体積平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定はフローセルを使用し、媒体は水、分散質の屈折率は1.45-0iに設定した。工程1で調製する乳化液又は工程2で得られるマイクロカプセルを含む懸濁液をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、体積基準で平均粒径を求めた。
(2)マイクロカプセル内への香料の内包率
 工程2で得られるマイクロカプセルを含む懸濁液50mgを、内部標準としてトリデカンを10μg/mLの濃度で含むアセトニトリル5mLに分散させた後、この溶液に、超音波照射装置(Branson社製、型式「5510」)を用いて出力180W、発振周波数42kHzの条件で超音波を60分間照射し、メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、製品名「DISMIC」、型式「13JP020AN」)に通液後、この溶液に含まれる香料を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、懸濁液中に含まれる香料成分の量を測定した。
 一方で、工程2で得られるマイクロカプセルを含む懸濁液20mgをメンブレンフィルター(Millipore社製、製品名「Omnipore」、型番「JAWP04700」)に通すことにより、メンブレンフィルター上にマイクロカプセルを回収した。さらに、メンブレンフィルター上で、イオン交換水10mL、次いでヘキサン10mLによりマイクロカプセルを洗浄後、該マイクロカプセルを、内部標準としてトリデカンを10μg/mLの濃度で含むアセトニトリル2mLに浸漬後、この溶液に前記と同様の条件で超音波を60分間照射し、さらにもう一度メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、製品名「DISMIC」、型式「13JP020AN」)に通液後、この溶液に含まれる香料を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、マイクロカプセルに内包されていた香料成分の量を測定した。
 上記で得られた懸濁液中に含まれる香料成分の量及びマイクロカプセルに内包されていた香料成分の量から以下の式にしたがって香料の内包率(%)を求めた。
 香料の内包率(%)={(マイクロカプセルに内包されていた香料成分の量)/(懸濁液中に含まれる香料成分の量)}×100
(3)走査型電子顕微鏡(SEM)による観察
 工程2で得られるマイクロカプセルを含む懸濁液0.05gを計りとり、イオン交換水で100倍に希釈後、メンブレンフィルター(Millipore社製、製品名「Omnipore」、型番「JAWP04700」)によって濾過した。メンブレンフィルター上のカプセルをステージに転写し、ステージ上で乾燥させた。ステージ上のマイクロカプセルにAu-Pd蒸着処理を行った後、電界放射型操作型電子顕微鏡「S-4000」(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)でマイクロカプセルの観察を行った。
<モデル香料>
 マイクロカプセルに内包する有機化合物として、表1及び表2に示す組成を有するモデル香料A(体積平均CLogP:4.2、比重:0.96)及びモデル香料B(体積平均CLogP:3.5、比重:0.87)を用いた。なお、前記モデル香料の体積平均CLogP値は、モデル香料に含まれる各香料成分のCLogP値にモデル香料中における体積比を乗じ、それらの和として算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
実施例1
(工程1)
 1.67gのコータミン60W(商品名、花王株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効分30質量%)を98.33gのイオン交換水で希釈して水相を得た。この水相に、40gのモデル香料Aと10gのテトラエトキシシラン(以下、「TEOS」ともいう)を混合して調製した有機相を加え、回転数8,500rpmに設定したホモミキサーを用いて混合液を乳化した。この時の乳化滴の体積平均粒径は1.12μmであった。1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.9に調整後、撹拌翼と冷却器を備えたセパラブルフラスコに移し、液温を30℃に保ちつつ、160rpmで17時間撹拌し、コアとシェルとを有するカプセル(1-1)を含有する水分散体を150g得た。
(工程2)
 カチオン性ポリマーとしてマーコート100(商品名、Lubrizol社製、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、カチオン基当量6.2meq/g、有効分42質量%、重量平均分子量150,000)をイオン交換水で希釈して、有効分を3質量%で含むマーコート100水溶液を調製した。
 工程1で得られた水分散体25gに対し、3質量%マーコート100水溶液2g(有効分0.06g)を添加し、更に水73gを加えて希釈した(希釈倍率4倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、滴下ポンプ「Atlasシリンジポンプ」(商品名、Syrris社)を用いて425分間かけて滴下した。滴下後、更に18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(I)を得た。
 懸濁液(I)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に78%、83%、96%、92%であった。
実施例2
(工程1)
 実施例1の(工程1)と同様にして水分散体を150g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体25gに対し、75gの水を加えて希釈した(希釈倍率4倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて425分間かけて滴下した。滴下後、更に18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(II)を得た。
 懸濁液(II)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に79%、80%、90%、92%であった。
 得られたマイクロカプセルのSEM観察を行った。結果を図1に示す。
実施例3
(工程1)
 実施例1の(工程1)と同様にして水分散体を150g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体25gに対し、25gの水を加えて希釈した(希釈倍率2倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて425分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(III)を得た。
 懸濁液(III)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に63%、68%、85%、80%であった。
実施例4
(工程1)
 実施例1の(工程1)と同様にして水分散体を150g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体25gに対し、75gの水を加えて希釈した(希釈倍率4倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、1.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて71分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(IV)を得た。
 懸濁液(IV)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に74%、77%、90%、79%であった。
実施例5
(工程1)
 実施例1の(工程1)と同様にして水分散体を150g得た。
(工程2)
 ノニオン性ポリマーとしてポリビニルピロリドンK30(商品名、和光純薬工業株式会社製)をイオン交換水で希釈して、有効分を3質量%で含むポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を調製した。
 工程1で得られた水分散体25gに対し、3質量%PVP水溶液2g(有効分0.06g)と水73gを加えて希釈した(希釈倍率4倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて425分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(V)を得た。
 懸濁液(V)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に88%、97%、85%、82%であった。
実施例6
(工程1)
 実施例1の(工程1)と同様にして水分散体を150g得た。
(工程2)
 ノニオン性ポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(和光純薬工業株式会社製)をイオン交換水で希釈して、有効分を3質量%で含むヒドロキシプロピルセルロース(HPC)水溶液を調製した。
 工程1で得られた水分散体25gに対し、3質量%HPC水溶液2g(有効分0.06g)と水73gを加えて希釈した(希釈倍率4倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて425分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(VI)を得た。
 懸濁液(VI)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に90%、91%、89%、85%であった。
実施例7
(工程1)
 実施例1の(工程1)と同様にして水分散体を150g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体25gに対し、実施例1で調製した3質量%マーコート100水溶液2g(有効分0.06g)と水273gを加えて希釈した(希釈倍率12倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて425分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(VII)を得た。
 懸濁液(VII)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に54%、60%、78%、75%であった。
実施例8
(工程1)
 1.67gのコータミン60W(商品名、花王株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効分30質量%)を98.33gのイオン交換水で希釈して水溶液を調製した。この水溶液に、40gのモデル香料Bと10gのテトラエトキシシラン(TEOS)を混合して調製した有機相を加え、回転数5,000rpmに設定したホモミキサーを用いて混合液を乳化した。この時の乳化滴の体積平均粒径は2.25μmであった。0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.8に調整後、撹拌翼と冷却器を備えたセパラブルフラスコに移し、液温を30℃に保ちつつ、160rpmで17時間撹拌し、コアとシェルとを有するカプセル(1-8)を含有する水分散体を150g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体25gに対し、実施例1で調製した3質量%マーコート100水溶液2g(有効分0.06g)と水73gを加えて希釈した(希釈倍率4倍)。次に、液温を30℃に保持したまま、6.0gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて425分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Bが非晶質シリカでカプセル化されたマイクロカプセルを含む懸濁液(VIII)を得た。
 懸濁液(VIII)中に含まれるマイクロカプセルのシトロネロール、ゲラニオール、ヘキシルブチレート、酢酸リナリルの内包率はそれぞれ順に77%、79%、83%、85%であった。
比較例1
(工程1)
 1.74gのコータミン60W(商品名、花王株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効分30質量%)を98.26gのイオン交換水で希釈して水溶液を調製した。この水溶液に、40gのモデル香料Aと10gのテトラエトキシシラン(TEOS)を混合して調製した有機相を加え、回転数8,500rpmに設定したホモミキサーを用いて混合液を乳化した。この時の乳化滴の体積平均粒径は2.7μmであった。1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.9に調整後、撹拌翼と冷却器を備えたセパラブルフラスコに移し、液温を30℃に保ちつつ、160rpmで17時間撹拌し、コアとシェルとを有するカプセル(1-C1)を含有する水分散体を150g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体150gの液温を30℃に保持したまま、5.7gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて320分間かけて滴下した。滴下後、さらに18時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(CI)を得た。
 懸濁液(CI)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に75%、79%、96%、85%であった。
 得られたマイクロカプセルのSEM観察を行った。結果を図2に示す。
比較例2
(工程1)
 0.83gのコータミン60W(商品名、花王株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効分30質量%)を274.17gのイオン交換水で希釈して水溶液を調製した。この水溶液に、20gのモデル香料Aと5gのテトラエトキシシランを混合して調製した有機相を加え、回転数8,200rpmに設定したホモミキサーを用いて混合液を乳化した。この時の乳化滴の体積平均粒径は1.2μmであった。1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.8に調整後、撹拌翼と冷却器を備えたセパラブルフラスコに移し、液温を30℃に保ちつつ、160rpmで24時間撹拌し、コアとシェルとを有するカプセル(1-C2)を含有する水分散体を300g得た。
(工程2)
 工程1で得られた水分散体150gの液温を30℃に保持したまま、11.9gのTEOSを、前記滴下ポンプを用いて420分間かけて滴下した。滴下後、さらに19時間撹拌を続けた後に冷却することにより、モデル香料Aが非晶質シリカで内包されたマイクロカプセルを含む懸濁液(CII)を得た。
 懸濁液(CII)中に含まれるマイクロカプセルのヘキシルアセテート、テトラヒドロリナロール、ヘキシルシンナムアルデヒド、及びメチルジヒドロジャスモネートの内包率はそれぞれ順に37%、42%、53%、41%であった。
 比較例2で得られたマイクロカプセルの各香料成分の内包率は、非常に低い値であったため、後述する柔軟剤におけるマイクロカプセルに内包された香料成分の長期保持性の評価は行わなかった。
 実施例及び比較例の、工程1の有機化合物及びTEOSの合計量[g];工程2におけるTEOS添加前の水分散体の総量(すなわち、希釈水分散体の総量)[g];工程2におけるTEOSの添加前の水分散体の総量[g]に対する、工程1の有機化合物及びTEOSの合計量[g](質量%);工程1の有機化合物の量に対する工程2のTEOSの添加量(質量%);工程1の有機化合物の量に対するTEOSの添加総量(質量%)について、以下の表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3中の各表記は以下のとおりである。
 *1:コータミン60W(有効分:30質量%)
 *2:工程1でカプセル(1)を含有する水分散体を得るために用いた有機化合物及びTEOSの合計量[g]から、工程2に供した工程1で得られたカプセル(1)を含有する水分散体の量を用いて比例換算した量[g]
 *3:工程2におけるTEOSの添加前の水分散体の総量[g]に対する、工程1の有機化合物及びTEOSの合計量[g](質量%)
<評価>(柔軟剤におけるマイクロカプセルに内包された香料成分の長期保持性評価)
〔評価用柔軟剤の調製〕
 実施例1~8及び比較例1で得られたマイクロカプセルを含む懸濁液を、以下の表4に示す組成を有する柔軟剤基剤に添加し、評価用柔軟剤を調製した。
 この時内包香料の含有率は0.5質量%となるようにした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004

 表4中の各表記は以下のとおりである。
 *1:柔軟剤基剤のpHが3.2となるように配合した。
 *2:植物脂肪酸とトリエタノールアミンを1.65/1モルで反応させた、エステルアミンを公知の方法を用いてジメチル硫酸で四級化したものである。
 *3:ロンザジャパン株式会社製
〔香料成分の長期保持性の評価方法〕
 マイクロカプセルの懸濁液を含有する前記柔軟剤を、スクリュー管に入れて密封し、40℃にて保存した。
 配合後、すなわち保存開始後21日経過した後に前記スクリュー管を取り出し、柔軟剤100mgをスポイトですくい取って、イオン交換水10gで希釈した後、メンブレンフィルター(Millipore社製、製品名「Omnipore」、型番「JAWP04700」)に通すことにより、メンブレンフィルター上にカプセルを回収した。
 更に、メンブレンフィルター上で、イオン交換水10mL、次いでヘキサン10mLによりマイクロカプセルを洗浄後、該マイクロカプセルを、内部標準としてトリデカンを10μg/mLの濃度で含むアセトニトリル2mLに浸漬し、超音波照射装置(Branson社製、型式「5510」)を用いて出力180W、発振周波数42kHzの条件で超音波は60分間照射してマイクロカプセル内の香料を溶出させた。この溶液をもう一度メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、製品名「DISMIC」、型式「13JP020AN」)に通液後、この溶液に含まれる各香料を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、マイクロカプセルに内包されていた香料成分の量αとした。以下の式にしたがって香料保持率を測定した。実施例1~8及び比較例1の評価結果を以下の表5に示す。
 香料保持率(%)={(保存後のマイクロカプセルに内包されていた香料成分の量α)/(柔軟剤100mgに含まれる香料成分の量β)}×100
 なお、上記式における香料成分の量βは、モデル香料の組成、香料の内包率及び柔軟剤の調製に用いたマイクロカプセルの配合量から算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5から明らかなように、本発明に係るマイクロカプセルは、香料等の有効成分である有機化合物を長期間保持できることがわかる。よって、本発明のマイクロカプセルは、香料等の有効成分を配合する各種製品に好適に用いられる。
 また、実施例2と比較例1で得られたマイクロカプセルのSEM写真である図1と図2とを比較すると、実施例2で得られたマイクロカプセルは割れが少なく、良好な球状を保持できていることが分かる。
 比較例1は、製造直後の各香料の内包率の結果から、実施例2と同様に球状のマイクロカプセルが得られていると考えられるが、比較例1のシェルの強度が実施例2と比較して低いため、SEMによる観察のための処理条件において割れが生じてしまい、図2に示すようなSEM写真が得られたと考えられる。

Claims (8)

  1.  シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法であって、
     界面活性剤を含む水相中に、有機化合物とテトラアルコキシシランとを含む有機相を乳化し、酸性条件下でゾル-ゲル反応を行い、コアとシェルとを有するカプセル(1)を形成し、該カプセル(1)を含有する水分散体を得る工程1と、
     工程1で得られた水分散体に水を添加して希釈した後、更にテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を行い、カプセル(1)を包接するシェルを形成してマイクロカプセルを得る工程2とを有し、
     工程2における希釈を、工程1の有機化合物及びテトラアルコキシシランの合計量が、工程2におけるテトラアルコキシシランの添加前の水分散体の総量100質量%に対して20質量%以下となるように行う、マイクロカプセルの製造方法。
  2.  工程2において、希釈倍率が2倍以上20倍以下である、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  3.  工程2において、工程1で得られた水分散体に、更に有機高分子化合物を添加する、請求項1又は2に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  4.  有機高分子化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種以上である、請求項3に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  5.  工程2におけるテトラアルコキシシランの添加量が、工程1の有機化合物の量100質量%に対して10質量%以上200質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
  6.  工程1で用いるテトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
  7.  工程2で用いるテトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上である、請求項1~6のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
  8.  有機化合物が、香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上である、請求項1~7のいずれかに記載のマイクロカプセルの製造方法。
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