以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の電子機器である印字ラベル作成装置3は、図1に示すように給電器2に載置されることにより、内部に備えたバッテリ電源BT(後述の図6参照)に対し商用電源(外部電源)から電力供給を受け、充電される。
<印字ラベル作成装置の外観構成>
図2乃至図4に示すように、薄型略箱体状の印字ラベル作成装置3の上面部4には、文書データからなるテキストを作成するための文字入力キー5、テキストの印字を指令する印字キー6、漢字変換及びスペースを入力するスペースキー7、及び改行指令や各種処理の実行、選択を指令するリターンキー8、文字等のキャラクタを複数行に渡って表示する液晶ディスプレイ10上でカーソルを上下、左右に移動させるカーソルキー11等を含む機能キー群が、該上面部4の各辺から所定寸法内側の部分(図1に示すように、給電器2に載置した場合に、該給電器2より外側になる部分)に配置されている。また、印字ラベル作成装置3の左側面部13には、印字されたテープが排出されるテープ排出口14が形成されている。また、印字ラベル作成装置3の右側面部17には、電源アダプタが取り付けられるアダプタ挿入口18、不図示のパーソナルコンピュータと接続するためのUSBケーブルが取り付けられるコネクタ19等が設けられている。従って、印字ラベル作成装置3は、卓上に上面部4を上にして水平に置いた状態でアダプタ挿入口18に電源アダプタを挿入して、あるいは、電源アダプタを挿入することなく内蔵するバッテリ電源BT(後述の図6参照)にてテープ印字をすることができる。
また、印字ラベル作成装置3の前側側面部21には、長手方向(図2及び図3中の左右方向)の中央位置で、且つ厚さ方向(図3中の上下方向)の中央位置に正面視略四角形状の負極側の充電用受電端子23が設けられ、この充電用受電端子23の厚さ方向(図3中、上下方向)外側で長手方向(図3中、左右方向)中心線に対して対称な位置に正面視横長四角形状の正極側の各充電用受電端子24が設けられている。なお、上記充電用受電端子23,24が各請求項記載の電源接続部として機能する。
なお、図示を省略するが、印字ラベル作成装置3の適宜の箇所には、例えばリチウムイオンバッテリ電源またはニッケル水素バッテリ電源等の充電可能な各種のバッテリ電源BT(後述の図6参照)を収納可能なバッテリ収納部が設けられている。
<給電器の構成>
次に、給電器2の概略構成について図4及び上記図3に基づいて説明する。図4に示すように、給電器2は、上面部が開口した平面視略細長四角形状の下ケース51と、下ケース51の上面部に嵌め込まれて平面視略細長四角形の嵌合部53に印字ラベル作成装置3が装着される上ケース52と、下ケース51の後方部に収容される給電回路部(図示せず)とから構成されている。
上記給電器2に対し、印字ラベル作成装置3を前側方向に挿入することによって、印字ラベル作成装置3の前側側面部21が、給電器2の嵌合部53の底面部56上に載置される。また、印字ラベル作成装置3のスペースキー7、リターンキー8や各カーソルキー11等より下側になる外周部分、右側面部17の下方部、及びこの右側面部17の下方部の両側端縁部近傍部分が、給電器2の嵌合部53の各側壁部、延出部及び各延出部によって支持される(図1参照)。また、印字ラベル作成装置3の前側側面部21に設けられる各充電用受電端子23,24(図3参照)は、給電器2の底面部56に突出する各充電用給電端子71,72に当接される。
このとき、印字ラベル作成装置3の前側側面部21には、ボス42(図3参照)が立設されており、このボス42によって検出スイッチ77が押下された場合に、給電回路部が駆動される。すなわち、印字ラベル作成装置3の前側側面部21に設けられる奥側のボス42は、給電器2の底面部56の突起部76に穿設される貫通孔78に挿入され、検出スイッチ77がONになり、上記給電回路部が駆動される。これにより、各充電用給電端子71,72、各充電用受電端子23,24、及び各充電用受電端子23,24が接続される充電回路201(後述の図6参照)を介して、印字ラベル作成装置3の上記バッテリ収納部に収納されたバッテリ電源BTが充電される。また、この状態でパーソナルコンピュータと接続したり、文字入力キー5などによって入力された文字等がテープに印字され、前側のテープ排出口14から排出される。
<カートリッジの構成>
印字ラベル作成装置3の下側後方には、カートリッジ158を着脱可能なカートリッジホルダ159が設けられている。このカートリッジ158の詳細構成について、図5により説明する。図5に示すように、カートリッジ158は、筐体158Aと、この筐体158A内に配置され帯状の基材テープ101が巻回された第1ロール102(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、上記基材テープ101と略同じ幅であり、本実施形態の被印刷物を構成する透明なカバーフィルム103(被印刷物)が巻回された第2ロール104(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、インクリボン105(熱転写リボン、但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、カートリッジ158のテープ排出部の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ127とを有する。
テープ送りローラ127は、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済みラベル用テープ109としつつ、図5中矢印Aで示す方向にテープ送りを行う。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに上記基材テープ101を巻回している。基材テープ101はこの例では4層構造となっており、詳細な図示を省略するが、内側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、適宜の粘着剤からなる貼り合わせ用粘着層、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム、適宜の粘着剤からなる貼り付け用粘着層、剥離紙の順序で積層され構成されている。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103の裏面に、インクリボン105がサーマルヘッド123(印字手段)に押圧されて当接させられる。
このとき、上記のカートリッジ158の構成に対応して、カートリッジホルダ159には、上記使用済みのインクリボン105を巻き取るためのリボン巻き取り軸107と、印字済みラベル用テープ109を搬送するためのテープ送りローラ127を駆動するためのテープ送りローラ駆動軸108(搬送手段)とが設けられている。またカートリッジホルダ159には、カバーフィルム103に所望の印刷を行うサーマルヘッド123が、カートリッジ158の装着時にその開口部(図示せず)に位置するように設けられている。
リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ127は、それぞれカートリッジ158外に設けた例えばパルスモータである駆動モータ211(後述の図6参照)の駆動力が図示しないギヤ機構を介し上記リボン巻取りローラ駆動軸107及び上記テープ送りローラ駆動軸108に伝達されることによって連動して回転駆動される。
上記構成において、カートリッジ158が上記カートリッジホルダ159に装着されロールホルダが上記リリース位置から上記印字位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が、上記サーマルヘッド123と、このサーマルヘッド123に対向して設けたプラテンローラ126との間に狭持される。これとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が、テープ送りローラ127と、テープ送りローラ127に対向して設けた圧着ローラ128との間に狭持される。そして、上記駆動モータ211の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ127が図3中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記圧着ローラ128及びプラテンローラ126はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ127、圧着ローラ128及びプラテンローラ126が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のようにテープ送りローラ127へ供給される。
一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、サーマルヘッド制御回路217(後述の図6参照)によりサーマルヘッド123に設けられた複数の発熱素子が通電され、発熱する。このとき、カバーフィルム103の裏面側(すなわち上記基材テープと接着される側)には、リボン巻取りローラ106により駆動されるインクリボン105が、上記サーマルヘッド123に押圧されて当接させられる。この結果、カバーフィルム103の裏面に、所望の印字内容の印字データに対応した印字が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ127及び圧着ローラ128の押圧により上記貼り合わせ用粘着層により接着されて一体化されて印字済みラベル用テープ109として形成され、カートリッジ158外へと排出される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
カートリッジ158外へ排出された印字済みラベル用テープ109の搬送経路の下流側には、固定刃140と可動刃141を備えた切断機構420(カッタ)が設けられている。そして、ソレノイド駆動回路221(後述の図6参照)でソレノイド222(後述の図6参照)が通電されることにより可動刃141が動作し、上記カバーフィルム103及び基材テープ101からなる印字済みラベル用テープ109が切断され、印字ラベルL(後述の図7参照)が生成される。
<制御系>
次に、図6を用いて、印字ラベル作成装置3の制御系について説明する。
図6において、印字ラベル作成装置3は、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212を有している。
CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって印字ラベル作成装置3全体の制御を行う。
またCPU212は、給電器2に対し上記充電用受電端子23,24を介し接続され、印字ラベル作成装置3の電源のオン・オフ処理を行う電源回路215と、後述の充電処理を行う充電回路201(充電手段)と、上記プラテンローラ126を駆動する上記駆動モータ211の駆動制御を行うモータ駆動回路216と、上記サーマルヘッド123の上記発熱素子の通電制御を行うサーマルヘッド制御回路217とに接続されている。
このとき、CPU212には、バッテリ電源BTの出力電圧値を検出するためのA/D入力回路219が設けられている。このA/D入力回路219には、バッテリ電源BTが接続されている。
さらに、CPU212には、上記液晶ディスプレイ10と、ROM214と、RAM213、ソレノイド駆動回路221とが接続されている。また、ROM214には、バッテリ電源BTの充電処理の手順やラベル作成処理の手順(後述の図11、図12、図13等に示す各手順)を実行するための制御プログラムが記憶されている。なお、RAM213は、バッテリ電源BTの電池残量に関する所定のしきい値BW(詳細は後述)等が記憶されている。ソレノイド駆動回路221は、これの通電によってソレノイド222(カッタ駆動機構)を駆動させ、可動刃141が動作し、上記印字済みラベル用テープ109を切断する。
以上の基本構成において、本実施形態の特徴は、バッテリ電源BTの充電時において、満充電となる回数が抑制されるようにバッテリ電源BTの充電処理を行うことにある。以下、順を追って本実施形態の上記充電処理の手法について説明する。
<充電処理の手法詳細>
本実施形態の電子機器たる印字ラベル作成装置3は複数の動作機能(上記サーマルヘッド123、駆動モータ211、ソレノイド222)を備えている。上述したように、上記各動作機能は、バッテリ収納部に収納されたバッテリ電源BTからの電力により、それぞれ所定の動作を行う。バッテリ収納部に収納されたバッテリ電源BTは、上記した嵌合部53への嵌合時に上記充電用受電端子23,24を介して給電器2を通じて外部電源に接続されたことを契機として、外部電源からの充電処理が行われる。
このとき、バッテリ電源BTを使用するたびに満充電してしまうと、バッテリ電源BT自体の寿命が短くなってしまう。すなわち、このような満充電時に注入される余分な電力量がバッテリ電源劣化の原因となっている。このため、本実施形態では、満充電にならないようバッテリ電源BTの使用したエネルギーの例えば80%〜90%程度(後述の図8参照)の充電のみを行う。これにより、継足し充電の際に満充電にまで到達しないので劣化が抑制され、寿命を長くすることができる。以下、その詳細について説明する。
<ラベル作成時における消費電力量の挙動の具体例>
本実施形態の印字ラベル作成装置3での、1つの印字ラベルLの生成動作中における、各動作機能(この例ではサーマルヘッド123、駆動モータ211、ソレノイド222の3つを例に取っている)による合計消費電力量(消費エネルギー)の変化挙動の一例を図7に示す。図7に示すように、テープ送りローラ駆動軸108によるテープ搬送もサーマルヘッド123による印字領域Sへの印字Rの形成も行われない状態(スタンバイ状態)では、消費電力量はほとんどない。印字ラベルLの作成が開始されると、まずテープ送りローラ駆動軸108が駆動されてカバーフィルム103等のテープ搬送が行われる(フィード状態)。これにより、上記駆動モータ211による消費電力量が生じる。この状態は、印字ラベルL作成時に所望の印字R(この例では「ABC」)を形成する領域として設定される印字領域Sのうち、実際にサーマルヘッド123の複数の発熱素子が通電され印字が開始されるより前の領域(前余白)に当該サーマルヘッド123が対向している非通電タイミングの間(図7中の(ア)〜(イ)の区間)は、継続される。
そして、さらに搬送が進むと、サーマルヘッド123の複数の発熱素子が通電され、印字データに基づく所望の図像や文字の印字が開始される。この例ではまずテキストのアルファベット文字「A」が印字される。このように図像や文字の印字が行われるときの合計消費電力量は、上記駆動モータ211による消費電力量に、上記サーマルヘッド123による消費電力量を加算したものとなり、比較的大きい値となる。但し、その値は、印字する文字の態様に対応して変動する(例えば、図7中(イ)〜(ウ)の区間、(エ)〜(オ)の区間、(カ)〜(キ)の区間)。すなわち、搬送方向に直交する方向(図7中上下方向)に沿って複数配列された発熱素子のうち通電される発熱素子の数が多いタイミングでは比較的に負荷が大きくなるので、印字時の合計消費電力量は高くなり、また逆に、通電される発熱素子の数が少ないタイミングでは負荷が小さくなるので、印字時の合計消費電力量は低くなる。
なお、上記のように印字領域Sへ印字開始した後であっても、細かく見ると、1つのテキスト文字の印字が終了した後、隣接する次のテキスト文字の印字開始までの領域(文字間余白)にサーマルヘッド123が対向している間(例えば、図7中(ウ)〜(エ)の区間、(オ)〜(カ)の区間)は、サーマルヘッド123の発熱素子が通電されない非印字状態となる。図7の例ではアルファベット文字「A」と「B」との間の文字間余白、アルファベット文字「B」と「C」との間の文字間余白にサーマルヘッド123が対向している非通電タイミングが、この状態に該当する。このタイミングでは、上記サーマルヘッド123による消費電力量が大幅に低減されることから合計消費電力量は再び下降して、上記前余白のタイミングと同程度の合計消費電力量となる。文字間余白が終了してサーマルヘッド123による次の文字の印字が開始されるタイミングとなると、再び合計消費電力量は高くなる。
そして、すべての図像や文字の印字が終了した後(上記の例ではアルファベット文字「C」の印字が終了した後)は、印字領域S内であってもサーマルヘッド123の複数の発熱素子の通電が停止され印字が行われない領域(後余白)となり、当該領域にサーマルヘッド123が対向している非通電タイミングの間は、上記同様、合計消費電力量は再び低くなる(例えば、図7中(キ)〜(ク)の区間)。この状態は、印字ラベルLの作成が終了し上記テープ送りローラ駆動軸108の駆動によるカバーフィルム103等のテープ搬送が終了するまで、継続される。
その後、カバーフィルム103等のテープ搬送が終了した切断時においては、ソレノイド駆動回路221が通電されてソレノイド222が駆動されることから、合計消費電力量は当該ソレノイド222による消費電力量のみに対応したものとなり、短時間のピークとなる(例えば、図7中(ク)〜(ケ)の区間参照)。
<消費電力量・設定充電量の算出の概略>
上述したような挙動により各機能(サーマルヘッド123、駆動モータ211、ソレノイド222)の動作ごとに電力量が消費され、その都度、継足し充電が行われるのであるが、本実施形態では、上記したようにバッテリ電源BT自体の寿命を長く維持するために、継足し充電の際には満充電にまで到達しないようにしている。すなわち、本実施形態の印字ラベル作成装置3では、上記動作機能の動作により消費された電力量よりも少ない値の電力量が充電される。
すなわち、まず、(印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外され)充電回路201と外部電源との接続が解除されて印字ラベル作成装置3がバッテリ電源BTによる動作状態となった以降、次に(印字ラベル作成装置3が給電器2に装着され)充電回路201と外部電源とが接続されるまでの間(例えば、図8中の区間(サ)〜(シ))に、上記の各動作機能が消費した電力積算値が所定の計算(詳細は後述)により見積もられる。
その後、上記見積もられた電力積算値に対し、1より小さい満充電抑制係数を乗じて、設定充電量を算出する。すなわち、実際に消費した消費電力量よりも少ない電力量値が、設定充電量として算出されることとなる。そして、CPU212による充電処理の制御により、バッテリ電源BTに対し上記設定充電量の充電処理が行われる。この結果、当該充電処理においては、直前に実際に消費した消費電力量よりも少ない電力量が充電され(図8中の区間(ス)〜(セ)参照)、充電完了後の電池残量は、上記各動作機能が動作する前の状態での電池残量(この例では満充電の状態)よりも少なくなる(図8中の(セ)参照)。
その後、上記同様、再び印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外され動作状態となった以降、次に印字ラベル作成装置3が給電器2に装着されるまでの間(図8中の区間(ソ)〜(タ))での消費した電力積算値が見積もられる。そして、上記同様、見積もられた電力積算値に対し上記設定充電量が算出され、当該設定充電量の充電が行われる(図8中の区間(チ)〜(ツ))。
以上のようにして、消費電力量の見積もり、及び、当該消費した電力量より少ない量の充電、が繰り返される。この場合、そのままでは充電回数を重ねるたびにバッテリ電源BTの充電直後のバッテリ電源残量が小さくなり続けることになる。そこで、本実施形態では、バッテリ電源BTの残量値に関し、所定のしきい値BWが設定される。
上記しきい値BWは、上記のようにして徐々に下がってきた電池残量がこの値まで到達したら、満充電が必要である(バッテリウィーク)とみなすための値である。したがって、上記のようにして、印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外された以降、次に給電器2に装着されるまでの間での消費電力積算値の見積もり時に、対応する電池残量値が上記しきい値以下となったことが判明したら(図8中の区間(テ)〜(ト)参照)、これまでのような、消費した電力量より少ない量の充電ではなく、バッテリ電源BTが満充電状態となるまで、充電処理が行われる(図8中の区間(ナ)〜(ニ)参照)。
<消費電力量の見積もりの詳細>
上述した、印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外された以降、次に給電器2に装着されるまでの間での消費電力積算値の見積もりの算出例を、さらに詳細に説明する。
まず、この例では、テープ搬送用の上記駆動モータ211については1動作単位が印字の1ドットとされ、その1動作単位ごとの駆動モータ211の単位電力消費量EfeedがROM214に記憶されている。同様に、印字用のサーマルヘッド123については1動作単位が印字の1ドットとされ、その1動作単位ごとのサーマルヘッド123の単位電力消費量EheadがROM214に記憶されている。さらに同様に、切断機構420を駆動するソレノイド222については1動作単位が1回の切断動作とされ、その1動作単位ごとのソレノイド222の単位電力消費量EcutがROM214に記憶されている。すなわちROM214は、単位電力量記憶手段として機能し、上記1動作単位ごとの各動作機能の上記単位電力消費量Efeed,Ehead,Ecutは、例えばエネルギー単位[J]で保管され記憶されている。
そして、上記電力量積算値の見積もり時においては、上記記憶された単位電力消費量を、実際に実行された動作単位数に乗じることで、各機能が消費した総電力量が積算され、さらに全動作機能に対する総和をとることで、複数の動作機能により消費された電力量積算値が正確に見積もられる。
<消費電力量の見積もり計算の具体例>
以下、上記消費電力量の見積もりの具体例について、図9及び図10により説明する。
<駆動モータの消費電力量Efeed1print>
例えば図9に示すように、印字ラベル作成装置3に備えられた駆動モータ211の、1ドットテープ送りをするときの動作電流値が0.01[A]、動作電圧値が9.6[V]、動作時間が14[msec]であった場合には、駆動モータ211の上記1動作単位(1ドット搬送)ごとの単位消費電力量Efeedは、
Efeed=0.01[A]×9.6[V]×14[msec]
=1.3[mJ]
となる。
したがって、例えばある長さの印字ラベルLを1枚作成するとき、当該ラベルLの印字長を100[mm]、余白部分を送るための送り量を25[mm]、とし、それらの合計長さ125[mm]に対応したドット数が884[dot]であったとすると、当該印字ラベルLを作成するときの駆動モータ211の電力消費量Efeed1printは、
Efeed1print=Efeed×送り量
=1.3[mJ]×884[dot]
≒1.1[J]
となる。
<ソレノイドの消費電力量Ecut1print>
また例えば、図9に示すように、印字ラベル作成装置3に備えられたソレノイド222の、1回切断動作するときの動作電流値が0.05[A]、動作電圧値が9.6[V]、動作時間が0.3[sec]であった場合には、ソレノイド222の上記1動作単位(1回切断動作)ごとの単位消費電力量Ecutは、
Ecut=0.05[A]×9.6[V]×0.3[sec]
=144[mJ]
となる。
印字ラベルLを1枚作成するときは、当該印字ラベルLの長さに関係なく、切断機構420は1回切断動作するだけであるから、当該印字ラベルLを作成するときのソレノイド222の消費電力量Ecut1printは、
Ecut1print=Ecut
≒0.1[J]
となる。
<サーマルヘッドの消費電力量Ehead1print>
また例えば、図9に示すように、印字ラベル作成装置3に備えられたサーマルヘッド123の、1ドット印刷をするときの動作電圧値が9.6[V]、抵抗値が300[Ω]であった場合に、印字ライン毎に異なる動作時間(発電素子の通電時間)をT[msec]、とすると、サーマルヘッド123の上記1動作単位(1ドット印刷)ごとの単位消費電力量Eheadは、
Ehead=(9.6[V]×9.6[V]÷300[Ω])×T[msec]
=0.3T[mJ]
となる。
1枚の印字ラベルLが作成される時の上記動作時間(発熱素子の通電時間)の一例を、図10により説明する。図10において、この例では、サーマルヘッド123にはテープ幅方向に10個の発熱素子が設けられている。そして、この例では、1枚の印字ラベルLにおいてアルファベット「H」の1文字を、第1印字ライン〜第8印字ラインの8つの印字ラインにより印字形成する場合を例にとっている。この場合、図10に示すように、「H」の左側の「I」の部分が、それぞれがテープ幅方向に10ドットで搬送方向に1ドットの大きさからなる、2つの第1印字ライン及び第2印字ラインによって、印字形成が行われる。また、「H」の中央の「−」の部分は、それぞれがテープ幅方向に2ドットで搬送方向に1ドットの大きさからなる、4つの第3印字ライン、第4印字ライン、第5印字ライン、及び第6印字ラインによって、印字形成が行われる。さらに「H」の右側の「I」の部分は、それぞれがテープ幅方向に10ドットで搬送方向に1ドットの大きさからなる、2つの第7印字ライン及び第8印字ラインによって、印字形成が行われる。
この結果、図10に示すように、第1印字ライン〜第8印字ラインそれぞれの印字形成時の通電発熱素子数とその通電時間Tは、第1印字ラインが10個の発熱素子(10dot)でT=10[msec]の通電、第2印字ラインが10個の発熱素子(10dot)でT=9[msec]の通電、第3印字ラインが2個の発熱素子(2dot)でT=12[msec]の通電、第4印字ラインが2個の発熱素子(2dot)でT=7[msec]の通電、第5印字ラインが2個の発熱素子(2dot)でT=11[msec]の通電、第6印字ラインが2個の発熱素子(2dot)でT=10[msec]の通電、第7印字ラインが10個の発熱素子(10dot)でT=9[msec]の通電、第8印字ラインが10個の発熱素子(10dot)でT=8[msec]の通電、となる。
ここで、各印字ラインの消費電力量は、上記したサーマルヘッド123の単位消費電力量Ehead(=0.3T[mJ])を用いて、
Eheadline=Ehead×通電発熱素子の数(ONドット数)
=0.3T×通電発熱素子の数
で表されることから、上記の例では、
第1印字ラインの消費電力量:
Ehead1line=0.3×10×10=30[mJ]、
第2印字ラインの消費電力量:
Ehead2line=0.3×9×10=27[mJ]
第3印字ラインの消費電力量:
Ehead3line=0.3×12×2=7.2[mJ]
第4印字ラインの消費電力量:
Ehead4line=0.3×7×2=4.2[mJ]
第5印字ラインの消費電力量:
Ehead5line=0.3×11×2=6.6[mJ]
第6印字ラインの消費電力量:
Ehead6line=0.3×10×2=6[mJ]
第7印字ラインの消費電力量:
Ehead7line=0.3×9×10=27[mJ]
第8印字ラインの消費電力量:
Ehead8line=0.3×8×10=24[mJ]
となる。
したがって、上記第1〜第8の印字ラインの合計をとることで、印字ラベルLを1枚作成するときの消費電力量、
Ehead1print=Ehead1line+Ehead2line+Ehead3line+Ehead4line+Ehead5line+Ehead6line+Ehead7line+Ehead8line
を得ることができる。
<全動作機能の合計消費電力量Esum1print>
以上に基づき、1枚の印字ラベルLを作成するときの駆動モータ21、ソレノイド222、及びサーマルヘッド123の各消費電力量の総和、すなわちEsum1printを、
Esum1print
=Efeed1print+Ehead1print+Ecut1printにより、算出することができる。このようにして、所望の長さ、所望の印字内容の1枚の印字ラベルLごとに、対応する全動作機能の合計消費電力量Esum1printが算出される。そして、新たに合計消費電力量Esum1printが算出される度に、それまでに算出された合計消費電力量Esum1printの積算量(=積算消費電力量Esum)に加算され、新たな積算消費電力量Esumとされる。
<設定充電量の算出の具体例>
一例として、操作者が、印字ラベル作成装置3を給電器2から取り外し、例えば同一の印字内容、同一の長さの印字ラベルLを100枚作成した後、再び印字ラベル作成装置3を給電器2に装着した場合の計算例を考える。当該印字ラベルLの1枚あたりの上記合計消費電力量Esum1printが17.1[J]であったとすると、100枚作成されたときの上記積算消費電力量Esumは、Esum1print×100=1710[J]となる。したがって、印字ラベル作成装置3では、給電器2から取り外した直後の状態(例えば満充電の状態)から、1710[J](例えば、図8中の区間(サ)〜(シ)に相当)だけ電力量が消費された(言い換えれば電池残量が減少した)と認識する。
そして、本実施形態では、上記積算消費電力量Esumの80%である1370[J]分を設定充電量として算出し、これを定電流にて充電する(図8中の区間(ス)〜(セ)に相当)。
上記充電完了後、再び操作者が、印字ラベル作成装置3を給電器2から取り外して同様に印字ラベルLを100枚作成したとする。この場合も上記同様、100枚作成時の積算消費電力量Esumは1710[J]となる。したがって、印字ラベル作成装置3では、上記充電後に給電器2から取り外した直後の状態(図8中の(ソ)の状態)から、1710[J](図8中の区間(ソ)〜(タ)に相当)だけ電力量が消費されたと認識する。その後、再び、上記同様、積算消費電力量Esumの80%である1370[J]分が設定充電量として算出され、これを定電流にて充電する(図8中の区間(チ)〜(ツ)に相当)。
上記充電完了後、再び操作者が、印字ラベル作成装置3を給電器2から取り外して同様に印字ラベルLを100枚作成したとする。この場合も上記同様、100枚作成時の積算消費電力量Esumは1710[J]となる。したがって、印字ラベル作成装置3では、上記充電後に給電器2から取り外した直後の状態(図8中の(テ)の状態)から、1710[J](図8中の区間(テ)〜(ト)に相当)だけ電力量が消費されたと認識する。但しこの場合、上記のように充電のたびに充電完了時の電池残量(サ)(セ)(ツ)が徐々に下がってきた結果、上記区間(テ)〜(ト)において電力量が消費されている間に、電池残量が上記しきい値BW(バッテリウィーク値)に達したことが、印字ラベル作成装置3により認識される。
したがって、本実施形態では、上記しきい値BWへの到達の認識により、積算消費電力量Esumに関係なく、バッテリ電源BTを満充電まで充電する(図8中の区間(ナ)〜(ニ)に相当)。
<制御手順>
以上説明した手法を実現するために、CPU212によって実行されるバッテリ電源の充電処理の手順を図11及び図12により説明する。
図11において、まず、ステップS11で、CPU212によって、上記バッテリウィークに関するバッテリフラグFBを1に初期化される。その後、ステップS12に移る。
ステップS12では、CPU212により、印字ラベル作成装置3が給電器2に装着されたかどうかが判定される。例えば上記充電用受電端子23,24の通電状態に基づき判定すればよい。例えば操作者が印字ラベル作成装置3の使用を開始するべく、充電を行うために給電器2に装着した場合、ステップS12の判定が満たされ(S12:YES)、ステップS13に移る。
ステップS13では、CPU212により、上記のバッテリフラグFBが1かどうか判定される。上記のようにこの時点ではFB=1であるから判定が満たされ(S13:YES)、ステップS26に移る。
ステップS26では、CPU212によって上記バッテリフラグがFB=0とされた後、ステップS27に移る。ステップS27では、CPU212により、前述した設定充電量として、バッテリ電源BTを満充電とする(電池残量が0の状態からでも100%とすることができる)ための充電量が設定される。その後、ステップS28に移る。ステップS28では、CPU212によって、この時点で算出されている電池残量(上記のようなフロー開始直後は例えば0である。後述のステップS18やステップS23も参照)が、満充電に対応したフル状態にクリアされる。なお、併せてこの時点で算出されている積算消費電力量Esum(フロー開始直後は例えば0である。後述のステップS22参照)も0にクリアされる。その後、ステップS15に移る。
ステップS15では、CPU212の制御に基づき、充電回路201によって、上記ステップS27によって設定された設定充電量(このときは満充電に対応した量)の充電が開始される。その後、ステップS16では、CPU212により、上記ステップS27(又は後述のステップS14)で設定された充電量ぶんの充電が終了したかどうかが判定される。なおこの判定は、A/D入力回路219で検出されるバッテリ電源BTの出力電圧や充電時間のカウントに基づく公知の手法、あるいはその他の公知の手法により判定すれば足りるので、詳細な説明を省略する。上記の場合、満充電に達したところでステップS16の判定が満たされ(S16:YES)、ステップS17に移る。ステップS17ではCPU212の制御により充電回路201による上記充電が終了する。
その後、ステップS18に移り、CPU212により、バッテリ電源BTの電池残量が算出される。上記の場合、満充電まで充電完了しているので、CPU212は、電池残量を満充電相当の残量値(以下適宜、「100%残量」と称する)E100であると算出する。その後、ステップS19に移る。
ステップS19では、上記ステップS12と同様、例えば充電用受電端子23,24の通電状態に基づき、CPU212により、印字ラベル作成装置3が給電器2から外されたかどうかが判定される。上記満充電となったことに対応して操作者が印字ラベル作成装置3を取り外すとこのステップS19の判定が満たされ(S19:YES)、ステップS20に移る。
ステップS20では、CPU212により、前述の機能キー群を介した操作によりラベル作成指示がなされたかどうかが判定される。満充電までの充電完了により、例えば操作者が上記機能キー群を適宜に操作して、印字ラベルLに印字したい文字や記号等を入力しさらに印字ラベルLを作成するために上記ラベル作成指示を行うと、ステップS20の判定が満たされ(S20:YES)、ステップS21に移る。ステップS21では、ラベル作成処理(後述の図12参照)が実行され、印字ラベルLが1枚作成される。その後、ステップS22に移る。
ステップS22では、上記ステップS21での1枚の印字ラベルLの作成に対応して、CPU212により、当該作成作業によってバッテリ電源BTから消費された上記合計消費電力量Esum1printが算出される。この時点では1枚目の印字ラベルLの作成であるから、前述した積算消費電力量Esumが、当該合計消費電力量Esum1printと同じ値として積算される。その後、ステップS23に移る。
ステップS23では、CPU212によって、この時点での電池残量が算出される。すなわち、この時点で(上記ステップS18又は前回のステップS23で)算出されている電池残量から、上記ステップS21でのラベル作成処理で消費された上記合計消費電力量Esum1printを差し引いた値が、新たな電池残量として算出される。この場合は、ステップS18で100%残量E100と算出された後にステップS21で1枚の印字ラベル作成が行われたぶんの電力量が減少しているので、E100−Esum1printとなる。その後、ステップS24に移る。
ステップS24では、CPU212により、上記ステップS23で算出された電池残量が前述のしきい値BWに到達したか(しきい値BW以下となったか)どうかが判定される。上記のように満充電後に1枚の印字ラベルLを作成した状態では電池残量はE100−Esum1printであるから判定が満たされず(S24:NO)、ステップS12に戻る。
操作者が印字ラベル作成装置3を給電器2に再び装着することなく引き続き印字ラベルLを作成しようとして上記ラベル作成指示を行うと、ステップS12の判定が満たされず(S12:NO)に移行したステップS20の判定が満たされ(S20:YES)、再びステップS21で2枚目の印字ラベルLの作成が行われる。その後のステップS22では、上記同様、当該2枚目の印字ラベルLの作成に要した合計消費電力量Esum1printが算出され、2枚目であることから積算消費電力量Esumは、Esum=Esum1print+Esum1print=2×Esum1printとなる。またその後のステップS23では、2枚目の印字ラベル作成が行われたぶんの電力量が減少していることから、E100−Esum1print−Esum1print=E100−2×Esum1printが新たな電池残量として算出される。この時点でも上記しきい値BWには到達しないことからステップS24の判定が満たされず(S24:NO)、さらにステップS12に戻る。
以上のようにして、操作者が印字ラベル作成装置3を給電器2に装着することなくバッテリ電源BTの電力によって印字ラベルLの作成を順次続行していくことにより、ステップS12、ステップS20、ステップS21、ステップS22、ステップS23、ステップS24を経てステップS12に戻る流れが繰り返され、ステップS22において積算消費電力量Esumが順次積算されて増加し、ステップS23において電池残量が順次減少していく。
ある程度の枚数の印字ラベルLを作成した時点(まだステップS23で算出される電池残量が上記しきい値BWより大きい状態)で、操作者が印字ラベル作成装置3を給電器2に装着すると、ステップS12の判定が満たされて(S12:YES)ステップS13に移行する。このとき、前述のステップS26ですでにバッテリフラグFB=0とされた後であることからステップS13の判定が満たされず(S13:NO)、ステップS14に移る。ステップS14では、CPU212により、設定充電量として、この時点でステップS22で算出されている上記積算消費電力量Esumに1より小さい満充電抑制係数(この例では0.8)を乗じた値、すなわち積算消費電力量Esumの80%に相当する0.8×Esumが算出される。これにより、その後のステップS15、ステップS16、及びステップS17において、これまでに消費した消費電力量の80%の電力量に相当する充電が実行される。そして、ステップS18で当該充電に対応した新たな電池残量の算出が実行され、ステップS19を経てステップS20に移行し、操作者からのラベル作成指示を再び待つ状態となる。その後、操作者が印字ラベルLの作成を指示することにより、上記同様、ステップS20、ステップS21、ステップS22、ステップS23、ステップS24を経てステップS12に戻る流れが繰り返され、ステップS22において積算消費電力量Esumが順次積算されて増加し、ステップS23において電池残量が順次減少していく。
そして、上記の流れの繰り返しの中で、複数枚の印字ラベルLの作成によってステップS23での電池残量が減少し上記しきい値BW以下となるとステップS24の判定が満たされ(S24:YES)、ステップS25においてCPU212によりバッテリフラグFBが1とされる。この状態で操作者が印字ラベル作成装置3を給電器2に装着すると、ステップS12を経て移行したステップS13の判定が満たされる(S13:YES)ことから、前述したのと同様、ステップS26を経てステップS27で満充電相当の充電量が設定される。そして、ステップS28でこれまでにステップS18やステップS23で算出された電池残量が(積算消費電力量Esumとともに)クリアされた後、ステップS15、ステップS16、ステップS17でバッテリ電源BTが満充電状態となるまで充電が実行される。
以上のように、上記フローに基づくCPU212の制御により、操作者が満充電状態となった印字ラベル作成装置3を給電器2から取り外して複数枚の印字ラベルLを順次作成するにつれて、消費された電力量が逐次積算消費電力量Esumとして積算され、給電器2に印字ラベル作成装置3を装着すると、当該積算された積算消費電力量Esumの80%に相当する設定充電量(すなわち、実際に消費した消費電力量よりも少ない電力量値の設定充電量)ぶんの充電が行われる。そして、これを繰り返すことで電池残量が徐々に減少し、上記しきい値BW以下となった場合にのみ、それ以降に給電器2に印字ラベル作成装置3が装着されたときに、満充電状態となるまで印字ラベル作成装置3の充電が行われる。
なお、上記において、ステップS22が、各請求項記載の消費電力量算出手段として機能し、ステップS14が充電量算出手段として機能する。またステップS23が残量算出手段として機能し、ステップS24が判定手段として機能する。そして、ステップS15、ステップS16、及びステップS17は、第1制御手段として機能するとともに、第2制御手段としても機能する。
図11のステップS21で実行されるラベル作成処理の詳細手順を図12により説明する。
図12において、まず、ステップS31で、CPU212は、モータ駆動回路216に制御信号を出力し、駆動モータ211によりテープ送りローラ駆動軸108及びリボン巻取りローラ駆動軸107を駆動開始する。これにより、カバーフィルム103、基材テープ101、及び印字済みラベル用テープ109(以下適宜、単にカバーフィルム103等」という)が搬送開始される。
その後、ステップS32にて、CPU212は、搬送されるカバーフィルム103等が上記印字領域Sの開始位置まで搬送されたかどうか(印字領域Sの前端にサーマルヘッド123が正対する搬送方向位置になるまでカバーフィルム103等が搬送されたかどうか)、を判定する。この判定は、例えばステッピングモータからなる駆動モータ211のパルス数をカウントする等、公知の適宜の手法により行えば足りる。カバーフィルム103等が印字領域Sの開始位置まで搬送されたらステップS32の判定が満たされ(S32:YES)、ステップS33に移る。
ステップS33では、CPU212は、前述の操作者の文字や記号等の入力により生成した上記印字データに基づき、この時点でのタイミングが、サーマルヘッド123の発熱素子の通電タイミングであるかどうかを判定する。すなわち、搬送されているカバーフィルム103の搬送方向位置が、印字領域Sのうちテキスト文字や図像を印字すべき位置に上記サーマルヘッド123が位置しているタイミングであれば上記通電タイミングに該当し、それ以外のタイミングは通電タイミングに該当しない。通電タイミングに該当した場合にはステップS33の判定が満たされて(S33:YES)、ステップS34に移る。
ステップS34では、CPU212は、サーマルヘッド制御回路217に制御信号を出力し、上記印字データに応じてこのタイミングにおいて発熱すべき、サーマルヘッド123の少なくとも1つの発熱素子に対し通電を行う。これにより、カバーフィルム103に、上記通電された発熱素子によりインクリボン105のインクが転写され、対応した印字が形成される。
その後、ステップS36で、CPU212は、搬送されるカバーフィルム103等が印字領域Sの終了位置まで搬送されたかどうか(印字領域Sの後端に印字ヘッド123が正対する搬送方向位置になるまでカバーフィルム103等が搬送されたかどうか)、を判定する。この判定も上記同様の公知の手法により行えば足りる。カバーフィルム103等が印字領域Sの終了位置まで搬送されるまではステップS36の判定が満たされ(S36:YES)、ステップS33に戻って同様の手順を繰り返す。
なお、上記ステップS33で通電タイミングに該当しない場合にはステップS33の判定が満たされず(S33:NO)、ステップS35に移る。ステップS35では、CPU212は、サーマルヘッド制御回路217に制御信号を出力し、サーマルヘッド123のすべての発熱素子を通電停止状態とする。その後、上記ステップS36に移る。
以上のようにして、サーマルヘッド123が印字領域S内に対向している間は、通電タイミングであればステップS33、ステップS34、ステップS36、ステップS33、・・・の順で各手順が実行され、通電タイミングでない場合はステップS33、ステップS35、ステップS36、ステップS33、・・・の順で各手順が実行され、これらのいずれかが繰り返し行われる。
そして、サーマルヘッド123が印字領域Sに対向しなくなるとステップS36の判定が満たされ(S36:YES)、ステップS37に移る。
ステップS37では、CPU212は、搬送されるカバーフィルム103等が、上記印字データに基づき印字領域Sよりラベル後端側に設定される切断位置まで搬送されたかどうか(上記切断位置に上記可動刃141が正対する搬送方向位置になるまで、印字済みラベル用テープ109が搬送されたかどうか)、を判定する。この判定も、前述と同様の公知の手法により行えば足りる。カバーフィルム103等が切断位置まで搬送されたらステップS37の判定が満たされ(S37:YES)、ステップS38に移る。
ステップS38では、CPU212は、モータ駆動回路216に制御信号を出力し、駆動モータ211によるテープ送りローラ駆動軸108及びリボン巻取りローラ駆動軸107の駆動を停止する。これにより、カバーフィルム103、基材テープ101、及び印字済みラベル用テープ109の搬送が停止する。
その後、ステップS39で、CPU212は、ソレノイド駆動回路221に制御信号を出力する。これにより、ソレノイド222が駆動されて上記印字済みラベル用テープ109の切断が行われ、印字ラベルLが生成される。その後、このフローを終了する。
以上説明したように、本実施形態では、充電が終了した後に操作者により給電器2から印字ラベル作成装置3が取り外されてバッテリ電源BTによる駆動となり、当該バッテリ電源BTの電力を消費しつつ印字ラベルLの作成が行われる。その後、操作者により給電器2に印字ラベル作成装置3が装着されることで、バッテリ電源BTに対し充電が行われる。しかしながらそのときの充電量は、直前に消費した電力量よりも必ず少ない量(前述した例では消費した電力量の80%の量)となる。したがって、印字ラベル作成装置3の必要容量が比較的大きい場合にはほぼ毎回満充電となる可能性が高い従来手法に比べ、バッテリ電源BTが満充電となる回数を確実に少なくすることができる。この結果、印字ラベル作成装置3の必要容量に関係なく、バッテリ電源BTの寿命を確実に長く延ばすことができる。
また、本実施形態では、特に、各動作機能(上記の例では駆動モータ211、サーマルヘッド123、ソレノイド222)が1動作単位だけ動作するときの単位電力消費量Efeed,Ehead,Ecutが予め算出され、ROM214に記憶されている。そして、電力量積算値の見積もり時においては、実際に実行された動作単位数に上記記憶された単位電力消費量Efeed,Ehead,Ecutを乗じることで各機能が印字ラベル1枚を作成するときに消費した総電力量Efeed1print,Ehead1print,Ecut1printが積算され、さらに全動作機能に対する総和をとることで、印字ラベル1枚を作成するときに複数の動作機能により消費された電力量である合計消費電力量Esum1printと、その積算値である積算消費電力量Esumを正確に見積もる。これにより、実際に消費した消費電力よりも少ない電力量値による充電処理を、確実に精度よく実行することができる。
また、本実施形態では、特に、バッテリ電源BTのバッテリ電源残量を算出し(ステップS23参照)、この算出されるバッテリ電源残量値が、満充電が必要な所定のしきい値以下となったか否かを判定する(ステップS24参照)。そして、バッテリ電源残量値がしきい値BW以下となったと判定された場合には、バッテリ電源BTを満充電状態とする充電処理を行う。これにより、バッテリ電源BTに対し比較的多くの回数の充電を可能としつつ、バッテリ電源BTの満充電となる回数を少なくし寿命を確実に長く延ばすことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。以下そのような変形例を説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
(1)充電途中でキャンセルされたら次回に繰り越す場合
本変形例に備えられるCPU212により実行される制御手順を、図13により説明する。上記図11のフローと異なる点は、ステップS11に代えてステップS11Aが設けられることと、新たにステップS45、ステップS46、ステップS61、ステップS62、ステップS63が設けられることである。
すなわち、フローの最初に設けたステップS11Aでは、CPU212により、上記実施形態と同様にバッテリフラグFBが1に初期化されるとともに、新たに設けた充電未完了フラグFU(詳細は後述)が0に初期化される。
一方、上記ステップS61は、ステップS16の判定が満たされずにステップS15に戻る途中に新たに設けられている。すなわち、ステップS15でバッテリ電源BTへの充電が開始された後、ステップS14やステップS27で算出された設定充電量の充電が完了しない間はステップS16の判定が満たされず(S16:NO)、ステップS61に移行する。
ステップS61では、上記ステップS19と同様、CPU212により、印字ラベル作成装置3が給電器2から外されたかどうかが判定される。印字ラベル作成装置3が給電器2からとり外されず装着されたままの場合には判定が満たされ(S61:YES)、ステップS15に戻り、上記実施形態と同様、引き続き充電処理が継続される。(充電途中の状態で)印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外された場合、ステップS61の判定が満たされ(S61:YES)、上記ステップS62に移る。
ステップS62では、CPU212は、直前の上記ステップS14で算出された上記設定充電量から、上記ステップS61において印字ラベル作成装置3が給電器2から外されるまでの間に充電することができた充電量を差し引いた、未充電量を算出する。なお、この手順が各請求項記載の未充電量算出手段として機能する。なお、この算出された未充電量は、例えばRAM213(未充電量記憶手段として機能する)に記憶される。
その後、ステップS63で、CPU212によって上記充電未完了フラグFUが1にされる。その後、上記ステップS20に移る。
一方、上記ステップS45及びステップS46は、上記ステップS14とステップS15との間に設けられている。すなわち、ステップS14で、CPU212により、前述したように、この時点でステップS22で算出されている上記積算消費電力量Esumの80%に相当する0.8×Esumが算出された後、ステップS45に移る。
ステップS45では、CPU212は、上記充電未完了フラグFUが1であるかどうかを判定する。FU=0であれば判定が満たされず(S45:NO)、前述のように充電途中で印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外されたことはないとみなされ、ステップS46を経ることなく直接上記ステップS15に移る。一方、前述のように充電途中で印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外されていた場合には、上記ステップS62でFU=1となっていることからステップS45の判定が満たされ(S45:YES)、ステップS46に移る。
ステップS46では、CPU212は、上記印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外されたときにステップS62で算出された未充電量を、上記ステップS14で算出した設定充電量(0.8×Esum)に加算する。その後、ステップS15に移る。
上記した以外の各手順の内容は、上記図11のフローと同様であるので、説明を省略する。
本変形例においては、上述の制御により、充電途中で印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外されたときには、それ以降に印字ラベル作成装置3が給電器2に装着されたときの充電において、上記未充電量を加算し上乗せした形で、設定充電量が算出されて充電が実行される。例えば上記図8に示した、1回目の充電(区間(ス)〜(セ))の途中で印字ラベル作成装置3が給電器2から取り外された場合の挙動は、図14に示すようになる。すなわち、1回目の充電は上記区間(ス)〜(セ)よりも短い区間(ス)〜(セ′)となり、その後の印字ラベルLの作成(前述の例では100枚)に基づく、上記図8の区間(ソ)〜(タ)と同等の図14の区間(ソ′)〜(タ′)で消費された電力積算値が見積もられる。そして、その後の充電が行われる区間(チ′)〜(ツ)においては、上記見積もられた電力積算値の80%相当に上記未充電量分を加算した分の電力量の充電が実行される。
本変形例においては、上記実施形態と同様の効果に加え、充電処理の途中でキャンセルされた未充電分の電力量を、次回の充電処理で確実に補うことができる。
(2)その他
なお、以上は、印刷装置として、被印刷物としての被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、印刷装置の一例として、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷するプリンタや携帯用プリンタに対し、本発明を適用してもよい。また、印刷装置にも限られず、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、携帯端末やパソコン等、の他の電子機器に適用することもできる。デジタルカメラの場合は、上記動作機能として、LCD等による表示機能、ストロボ機能、及びシャッタ機能に対して上記の手法を適用することができ、音楽プレイヤーの場合は、コンテンツの再生機能、液晶表示機能等に対し上記の手法を適用することができ、携帯端末やパソコンの場合には、表示機能、ネットワーク等を介した通信機能、ボタン・キーボード・マウス操作機能等に対し上述の手法を適用することができる。これらの場合も同様の効果を得る。
なお、図6中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。