以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の印字ラベル作成装置を備えたラベル生成システムを、図1により説明する。
図1に示すこのラベル生成システムLSにおいて、本実施形態に係る印字ラベル作成装置1と、これとは別の印字ラベル作成装置1A及び印字ラベル作成装置1Bとが、有線あるいは無線による通信回線NWを介して互いに接続されている。
印字ラベル作成装置1の構成を図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3において、印字ラベル作成装置1は、樹脂製の本体筐体2と、本体筐体2の上側を覆うように後側上端縁部に開閉自在に取り付けられた透明樹脂製の上カバー5とを備えている。上カバー5の前側のフロントカバー6には、印字されたラベル用テープ30A(言い換えれば印字ラベルL)を外部に排出する排出口6Aが形成されている。
本体筐体2には、所定幅のラベル用テープ30A(被印字テープ、被印刷媒体)がロール状に巻回されたラベル用テープロール30が収納されている(図3参照)。このラベル用テープ30Aは、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆるサーマルペーパー)と、該感熱シートの片面に粘着剤を介して貼り合わされた離型紙とから構成される。ラベル用テープロール30は、例えばカートリッジ化されたものであり、本体筐体2には、このカートリッジを着脱自在なカートリッジホルダ(図示せず)が設けられている。なお、上記のようなカートリッジ方式ではなく、ラベル用テープロール30を直接本体筐体2の内部に収納し、ラベル用テープロール30を本体筐体2の内部で回転させながら、ラベル用テープ30Aを繰り出すようにしてもよい。
ラベル用テープロール30から繰り出されたラベル用テープ30Aは、プラテンローラ26(搬送手段)により搬送される(図3参照)。プラテンローラ26は、プラテンローラ用モータ208によって駆動される。その駆動により、ラベル用テープ30Aに搬送力が働き、ラベル用テープ30Aがラベル用テープロール30から繰り出される。プラテンローラ用モータ208の制御は、プラテンローラ駆動回路209によって行われる。搬送されるラベル用テープ30Aは、サーマルヘッド31(印刷手段)とプラテンローラ26との間を通って上記排出口6Aへと導かれる。なお、マークセンサ239は、上記ラベル用テープ30Aに適宜の識別用マークが設けられている場合に、当該マークを検出することができる。
サーマルヘッド31は、ラベル用テープ30Aの搬送方向と直交する方向に、複数個の発熱素子(図示せず)を備えている。サーマルヘッド31の発熱素子が設けられた面と対向する側に、上記プラテンローラ26は配置されている。発熱素子には、印字すべきドットパターンデータに従って通電がなされ、これによって、ラベル用テープロール30から繰り出されたラベル用テープ30A上に文字や図像等が印刷される。サーマルヘッド31に設けられた各発熱素子の駆動は、印刷駆動回路205によって行われる。なお、本実施形態の特徴として、このサーマルヘッド31が(例えば長時間の使用等により)過熱状態となって印刷に適さない状態となったこと(=エラー事象)を検出するために、温度センサ240(エラー検出手段)が設けられている。温度センサ240の検出信号は、制御回路210に入力される。
本体筐体2のうち排出口6Aよりもテープ搬送方向上流側には、固定刃41Bと可動刃41Aを備えたカッターユニット40が配置されている(図3参照)。サーマルヘッド31により印字が行われたラベル用テープ30Aは、切断用モータやソレノイド等のアクチュエータ(図示せず)により所定のタイミングで可動刃41Aが往復移動することで切断され、所定長さの印字ラベルL(後述の図4も参照)となって排出口6Aから排出される。なお、このようなアクチュエータの駆動力による自動切断動作ではなく、操作者が可動刃41Aを手動で往復移動させて切断する、手動切断としてもよい。あるいは、搬送されるラベル用テープ30Aが所定の切断位置に到達したことを液晶ディスプレイ(LCD)27等に表示し、その表示を見た操作者が所定の切断ボタン(後述のキー4A〜4Iのいずれかでもよい)を操作することで上記アクチュエータにより可動刃41Aが移動し、切断を行うようにしてもよい。なお、プラテンローラ26、サーマルヘッド31、及びカッターユニット40等が、各請求項記載の複数の動作機構を構成している。
排出口6Aの上側の前面部には、上記液晶ディスプレイ(LCD)27と、キー入力部4とが配置されている(図2参照)。液晶ディスプレイ27は、後述する制御回路210の制御により、各印刷設定画面等を表示する。キー入力部4は、複数(この例では9個)のキー4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H,4Iを備えている。詳細な説明を省略するが、操作者は、これらキー4A〜4Gを適宜に操作することにより、印字ラベルLに対して形成する印字の内容(テキスト文字)やその印字形成態様(フォント、文字飾り、スタイル等)などを所望に決定することができる。
フロントカバー6の下側縁部には、フロントカバー6の前側を覆うようにトレイ部材9が開閉自在に取り付けられている(図2参照)。トレイ部材9は、上端部に形成された凹み部9Aに操作者が指を掛け前側に回動させることにより、開く。なお、図示していないが、本体筐体2の背面部には図示しない電源コードが接続されるインレットと、複数のUSB(Universal Serial Bus)コネクタとが設けられている。また本体筐体2の適宜の箇所に、上記電源コードを介した給電により装置電源をON又はOFFする電源スイッチが設けられている(いずれかのキー4A〜4Iがこの電源スイッチ機能を備えていてもよい)。上記USBコネクタを用いることで、通信回線NWとの接続が可能となる。
制御回路210は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って処理を行う。制御回路210は、プラテンローラ駆動回路209及び印刷駆動回路205等を介し、印字ラベル作成装置1全体の動作を制御する。また制御回路210には、液晶ディスプレイ27と、計時手段として機能するタイマ201と、上記キー入力部4と、上記切断用のアクチュエータを制御する切断用駆動回路とが接続されている。
制御回路210のROMには、印刷される文字や記号等の印字データ(ドットパターン)がコードデータと対応させて記憶されている。制御回路210は、ROMに記憶された印字データを用いて、印字ラベルLの印字領域S(図3参照)に印字するための印刷指令を生成する。すなわち、前述したキー入力部4の各キー4A〜4Iの操作に基づく操作信号が制御回路210に入力されることにより、操作信号に対応した上記印刷指令が生成される。制御回路210は生成された印刷指令に従って印刷駆動回路205を動作させると共に、プラテンローラ26によりラベル用テープ30Aを繰り出しつつ、サーマルヘッド31による印刷を行わせ、印字ラベルLを作成する。
なお、制御回路210は、上記電源コードに接続された電源回路211Aにより給電されるとともに、通信回路211Bを介し通信回線NWに接続されている。この結果、制御回路210は、通信回線NWに接続された上記印字ラベル作成装置1A,1Bの間で情報送受信可能となっている。
上記のようにして作成された印字ラベルLの例を図4により説明する。
図4において、この例では、オフィス等で使用される備品に添付される、資材管理用の印字ラベルLが示されている。印字ラベルLの上記印字領域Sには、この例では、「AA−BBCC」「××課 備品」「購入日 ○年△月×日」「承認 ××課 □田□郎」のテキスト印字Rが形成されている。
なお、上記は印字ラベル作成装置1の構成及び機能について説明したが、印字ラベル作成装置1A,1Bについても同様の構成及び機能であり、詳細な説明を省略する。
以上説明した本実施形態の印字ラベル作成装置1において、最大の特徴は、温度センサ240によりサーマルヘッド31の過熱状態が検出されたときの制御挙動(印字ラベル作成装置1A,1Bへの印刷処理の委託)にある。以下、その印字ラベル作成装置1の制御回路210が実行する制御を、図5及び図6により説明する。
図5において、上記キー入力部4の各キー4A〜4Iの適宜の操作を介して操作者が印字ラベルLの印字内容・印字形成態様等を決定した後、印刷開始指示を行うことによってこのフローが開始される。まずステップS110において、制御回路210は、上記操作者の操作に対応して前述のようにこの時点で既に生成されている印刷指令を取得する。この印刷指令には、上記のようにして決定された印字ラベルLの作成枚数N(Nは1以上の整数)が含まれる。なお、このステップS110が各請求項記載の指令受付手段として機能する。
その後、ステップS115において、制御回路210は、プラテンローラ駆動回路209に制御信号を出力する。これにより、プラテンローラ用モータ208がプラテンローラ26を駆動し、ラベル用テープ30Aの搬送を開始する。
そして、ステップS120において、制御回路210は、上記ステップS110で取得された印刷指令に応じた制御信号を印刷駆動回路205に出力する。これにより、サーマルヘッド31がラベル用テープ30Aに対し、上記印刷指令に対応した印字を開始する。
その後、ステップS125で、制御回路210は、上記印刷指令に基づき、ラベル用テープ30Aへの印字がすべて終了する搬送方向位置(印字終了位置)にサーマルヘッド31が到達するまでテープ搬送が進んだかどうかを判定する。この判定は、例えば、上記ラベル用テープ30Aに設けた適宜の識別用マークを、上記マークセンサ239で検出することにより行えば足りる。あるいは、ある基準位置からの搬送距離を所定の公知の方法(ステッピングモータであるプラテンローラ用モータ208を駆動するプラテンローラ駆動回路209の出力するパルス数をカウントする等)で検出するようにしてもよい。印字終了位置に到達するまではステップS125の判定が満たされず、ステップS130に移る。
ステップS130では、制御回路210は、温度センサ240の検出結果に基づき、サーマルヘッド31の温度が印刷動作を中止して冷却(クーリング)を行うべき所定の温度に達したかどうか、を判定する。所定の温度に達していればステップS130の判定が満たされ、ステップS135に移る。ステップS135では、制御回路210は、制御信号を印刷駆動回路205に出力する。これにより、サーマルヘッド31がラベル用テープ30Aに対する印刷を停止する。またこのとき、制御回路210は、例えばプラテンローラ駆動回路209への制御信号の出力を停止する。これにより、プラテンローラ26の回転が停止し、ラベル用テープ30Aの搬送が停止する。その後、ステップS200で後述のクーリング処理が行われた後に上記ステップS115に戻る。一方、上記ステップS130において、所定の温度に達していなければステップS130の判定が満たされず、上記ステップS125に戻る。
一方、ステップS125において、上記印字終了位置にサーマルヘッド31が到達するまでテープ搬送が進んでいた場合には、判定が満たされ、ステップS140に移る。
ステップS140では、制御回路210は、上記ステップS135と同様、制御信号を印刷駆動回路205に出力する。これにより、サーマルヘッド31がラベル用テープ30Aに対する印刷を終了する。
その後、ステップS145に移り、制御回路210は、ラベル用テープ30Aが所定の切断位置に達したかどうか、すなわち、例えば、サーマルヘッド31による印刷の範囲の末端部が、カッターユニット40の固定刃41から所定の長さ分、搬送されたかどうかを判定する。この判定は、前述と同様、例えば、上記ラベル用テープ30Aに設けた適宜の識別用マークを、上記マークセンサ239で検出するか、基準位置からの搬送距離を所定の方法で検出してもよい。所定の切断位置に達したら判定が満たされ、ステップS150に移る。
ステップS150では、制御回路210は、上記ステップS135と同様、例えばプラテンローラ駆動回路209への制御信号の出力を停止する。これにより、プラテンローラ26の回転が停止し、ラベル用テープ30Aの搬送が停止する。
その後、ステップS155において、制御回路210は、切断用駆動回路に制御信号を出力する。これにより、上記アクチュエータがカッターユニット40の可動刃41Aを駆動し、可動刃41Aがラベル用テープ30Aを切断する。その後、ステップS160に移る。
ステップS160では、制御回路210は、以上説明したステップS115〜ステップS155の処理によって作成された印字ラベルLの総枚数(後述のように印字ラベル作成装置1A,1Bに対し作成を委託した印字ラベルLの枚数を含む)がN枚に到達したかどうかを判定する。作成枚数がN枚に到達するまではステップS160の判定が満たされず、ステップS115に戻り、同様の手順がN枚に到達するまで繰り返される。
作成枚数がN枚に到達したら、ステップS160の判定が満たされ、このフローを終了する。なお、上記ステップS115、ステップS120、ステップS125、ステップS140、ステップS145、ステップS150、ステップS155、及びステップS160は、各請求項記載の動作制御手段として機能する。
上記ステップS200におけるクーリング処理の詳細手順を図6により説明する。
まずステップS5において、制御回路210は、印字ラベル作成装置1A及び印字ラベル作成装置1Bへの印刷処理の委託を表すフラグF1及びF2をそれぞれ0に初期化する。
その後、ステップS10に移り、制御回路210は、当該印字ラベル作成装置1以外の、1台目の印字ラベル作成装置(ここでは説明の便宜上、上記印字ラベル作成装置1Aとし、以下適宜「第1印字ラベル作成装置1A」と称する。なお図中では「他機(1)」と略示)の接続が検出されたかどうか、を判定する。前述したように、制御回路210は、上記通信回路211Bを介して上記通信回線NWに情報送受信可能に接続されている。したがって、このステップS10では、制御回路210は、上記通信回線NWに対し、上記第1印字ラベル作成装置1Aが接続されたかどうか、を適宜の公知の手法により判定する。当該印字ラベル作成装置1以外の他の印字ラベル作成装置が1つも通信回線NWに接続されていなければステップS10の判定が満たされず、後述のステップS50に移る。一方、上記図1に示すように第1印字ラベル作成装置1Aが通信回線NWに接続されるとステップS10の判定が満たされ、ステップS15に移る。
ステップS15では、制御回路210は、上記フラグF1が0であるかどうかを判定する。(後述の第1委託指令が出力されていない状態では)ステップS5でのF1=0のままであるからステップS15の判定が満たされ、ステップS20に移る。
ステップS20では、制御回路210は、印字ラベル作成装置1のクーリング処理(サーマルヘッド31の温度が自然冷却により下がるのを待つ)の間に、第1印字ラベル作成装置1Aで次に作成すべき第1所定単位(この例では1枚。但しNより小さい複数枚数でもよい)の印字ラベルLの作成に要する時間Tpを算出する。この算出は、例えば予め固定的に設定され記憶されている典型的なテキスト印字Rの内容の印字ラベルLの作成時間を用いて適宜の計算を行う(あるいはそのまま用いる)ようにしてもよいし、ステップS110において取得された印刷指令に基づき、印字ラベルLの印字Rに応じて(文字数や文字フォント等も加味して)行うようにしてもよい。その後、ステップS25に移る。
ステップS25では、制御回路210は、上記ステップS10で接続が検出できた上記第1印字ラベル作成装置1Aに対して、次の上記第1所定単位(この例では1枚)の印字ラベルLの作成を委託するための、第1委託指令を生成する。
その後、ステップS30に移り、制御回路210は、上記ステップS25で生成した第1委託指令を、通信回路211B及び通信回線NWを介し、第1印字ラベル作成装置1Aへ出力する。これにより、当該第1委託指令が第1印字ラベル作成装置1Aで取得される。このとき、第1印字ラベル作成装置1Aは、上述したように印字ラベル作成装置1と同様の構成及び同様の機能を備えており、例えば図5のフローとほぼ同様の制御手順(例えばステップS130、ステップS135、ステップS200を除く他のすべての手順)を実行する。これにより、上記第1委託指令の取得により、当該第1委託指令に対応した上記第1所定単位(この例では1枚)の印字ラベルLの作成が第1印字ラベル作成装置1Aによって行われる。
その後、ステップS35において、制御回路210は、上記フラグF1を、第1印字ラベル作成装置1Aへの委託が完了したことを表す1とする。その後、ステップS40に移る。
ステップS40では、制御回路210は、上記タイマ201の計時結果を用いて、上記ステップS30での第1委託指令の出力時から、上記ステップS20で算出した時間Tpが経過したかどうかを判定する。時間Tpが経過するまでは判定が満たされずループ待機し、時間Tpが経過したらステップS40の判定が満たされ、ステップS45に移る。
ステップS45では、制御回路210は、上記フラグF2を、第2印字ラベル作成装置1Bへの委託前の状態(委託可能な状態)であることを表す0とする(例えばステップS5等によりF2=0となっている場合には、そのまま0とする)。その後、ステップS50に移る。
ステップS50では、制御回路210は、温度センサ240の検出結果に基づき、上記ステップS135で印刷を停止(すなわち発熱素子への通電を停止)してからの自然冷却によって、サーマルヘッド31の温度が、上記冷却(クーリング)を終了して印刷を再開してよい所定の温度まで下がったかどうか、を判定する。上記所定の温度まで下がっていればステップS50の判定が満たされ、エラー事象としてのサーマルヘッド31の過熱状態は解消されたとみなされ、このルーチンを終了して上記ステップS115に戻る。上記所定の温度より依然として高ければステップS50の判定が満たされず、ステップS10に戻る。なお、このステップS50が、各請求項記載の解消判定手段として機能する。
上記のようにして戻ったステップS10では、ステップS10を経て移行したステップS15において、上記ステップS35でF1=1となっていることから当該ステップS15の判定が満たされず,ステップS65に移る。
ステップS65では、制御回路210は、上記印字ラベル作成装置1以外で、かつ上記第1印字ラベル作成装置1A以外の印字ラベル作成装置(ここでは説明の便宜上、上記印字ラベル作成装置1Bとし、以下適宜「第2印字ラベル作成装置1B」と称する。なお図中では「他機(2)」と略示)の接続が検出されたかどうか、上記ステップS10と同様にして判定する。印字ラベル作成装置1に対し上記第1印字ラベル作成装置1A以外の他の印字ラベル作成装置が通信回線NWに接続されていなければステップS65の判定が満たされず、ステップS67で上記F1=0とした後に上記ステップS50に移る。これにより、第1印字ラベル作成装置1Aのみが接続されている場合には、(ステップS50の判定が満たされない間は)ステップS10→ステップS15→ステップS20→・・→ステップS45→ステップS50→ステップS10→ステップS15→ステップS65→ステップS67→ステップS50→ステップS10→ステップS15→ステップS20・・の移行順序となり、第1委託指令による第1印字ラベル作成装置1Aへの委託が繰り返し行われることになる。
一方、上記図1に示すように第1印字ラベル作成装置1A以外に第2印字ラベル作成装置1Bが通信回線NWに接続されるとステップS65の判定が満たされ、ステップS70に移る。
なお、このステップS65及び前述のステップS10が、各請求項記載の他装置検出手段として機能する。また、上記ステップS10及びステップS65における印字ラベル作成装置1A,1Bの検出は、このようなクーリング処理において行うのに限られず、図5に示す通常の処理において(クーリング処理の必要の有無に関係なく)実行するようにしてもよい。
ステップS70では、制御回路210は、上記第1印字ラベル作成装置1Aでの上記第1所定単位での印字ラベルLの作成に引き続き、クーリング続行中においてさらに上記第2印字ラベル作成装置1Bで次に作成すべき第2所定単位(この例では1枚。但しNより小さい複数枚数でもよい)の印字ラベルLの作成に要する時間Tqを算出する。この算出も、上記同様、例えば予め固定的に設定され記憶されている印字ラベルLの作成時間を用いてもよいし、ステップS110において取得された印刷指令に基づき、印字ラベルLの印字Rに応じて行ってもよい。その後、ステップS75に移る。
ステップS75では、制御回路210は、上記ステップS65で接続が検出できた上記第2印字ラベル作成装置1Bに対して、次の上記第2所定単位(この例では1枚)の印字ラベルLの作成を委託するための、第2委託指令を生成する。なお、このステップS75は、上記ステップS25とともに各請求項記載の指令生成手段として機能する。
その後、ステップS80に移り、制御回路210は、上記ステップS75で生成した第2委託指令を、通信回路211B及び通信回線NWを介し、第2印字ラベル作成装置1Bへ出力する。これにより、当該第2委託指令が第2印字ラベル作成装置1Bで取得される。このとき、第2印字ラベル作成装置1Bは、上述したように印字ラベル作成装置1と同様の構成及び同様の機能を備えており、例えば図5のフローとほぼ同様の制御手順(例えばステップS130、ステップS135、ステップS200を除く他のすべての手順)を実行する。これにより、上記第2委託指令の取得により、当該第2委託指令に対応した上記第2所定単位(この例では1枚)の印字ラベルLの作成が第2印字ラベル作成装置1Bによって行われる。なお、このステップS80は、上記ステップS30とともに各請求項記載の指令出力手段として機能する。
その後、ステップS85において、制御回路210は、上記フラグF2を、第2印字ラベル作成装置1Bへの委託が完了したことを表す1とする。その後、ステップS90に移る。
ステップS90では、制御回路210は、上記タイマ201の計時結果を用いて、上記ステップS80での第2委託指令の出力時から、上記ステップS70で算出した時間Tqが経過したかどうかを判定する。時間Tqが経過するまでは判定が満たされずループ待機し、時間Tqが経過したらステップS90の判定が満たされ、ステップS95に移る。
ステップS95では、制御回路210は、上記フラグF1を、第1印字ラベル作成装置1Aへの委託前の状態(委託可能な状態)であることを表す0とする。その後、ステップS50に移る。
以上により、このステップS200のクーリング処理においては、ステップS50でクーリング終了と判定されるまで、印字ラベル作成装置1以外の印字ラベル作成装置に対し印字ラベル作成装置1から印字ラベルLの作成の委託が行われる。すなわち、第1印字ラベル作成装置1Aと第2印字ラベル作成装置1Bとの2つが通信回線NWに接続されている場合には、クーリング終了まで、第1印字ラベル作成装置1Aでの1枚の印字ラベルLの作成→第2印字ラベル作成装置1Bでの1枚の印字ラベルLの作成→第1印字ラベル作成装置1Aでの1枚の印字ラベルLの作成→・・の順で、第1委託指令及び第2委託指令によって交互に委託が行われる。なお、委託の順序はこのように交互に行うのに限られず、所定のまとまった数の印字ラベルLの作成を第1印字ラベル作成装置1Aに対して委託した後、所定のまとまった数の印字ラベルLの作成を第2印字ラベル作成装置1Bに委託するようにしてもよい。また、このように印字ラベル作成装置1以外に2つの印字ラベル作成装置が接続される場合に限られず、さらに3つめ以降の印字ラベル作成装置が接続される場合には、それら3つめ以降の印字ラベル作成装置に対しても委託を行うようにしてもよい。この場合に、上記のように3つの印字ラベル作成装置に対して一巡しながら順次委託を行うようにしてもよいし、予め定めた委託順序パターンによって委託を行うようにしてもよい。
また、第1印字ラベル作成装置1Aの1つのみが通信回線NWに接続されている場合には、クーリング終了まで、第1委託指令による第1印字ラベル作成装置1Aへの1枚の印字ラベルLの作成の委託が、繰り返し行われる。なお、上記のように2つの印字ラベル作成装置が接続されている場合でも、第1印字ラベル作成装置1Aに対してのみ(限定的に絞り込んで)委託を行うようにしてもよい。さらに上記3つ以上の印字ラベル作成装置が接続されている場合にも、委託が行われない印字ラベル作成装置が少なくとも1つ存在するように、委託する印字ラベル作成装置を限定的に絞り込むようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の印字ラベル作成装置1においては、サーマルヘッド31が過熱状態となった場合には、ステップS200でクーリング処理が実行される。その際、ステップS50で、ステップS20で算出した印字ラベルLのラベル作成時間Tp(又はステップS70で算出した印字ラベルLの作成時間Tq)内に、上記サーマルヘッド31の過熱状態が解消したかどうかを判定する。そして、過熱状態が解消していれば、それ以降の第1印字ラベル作成装置1A(又は第2印字ラベル作成装置1B)へのラベル作成処理の委託を中止し、本来の印字ラベル作成装置1自らによるラベル作成処理が開始される。このように、印字ラベル作成装置1のサーマルヘッド31が過熱状態となったとしても、その過熱状態が解消するまでの間、当該印字ラベル作成装置1に接続された第1印字ラベル作成装置1Aや第2印字ラベル作成装置1Bを用いて、ラベル作成処理を中止することなく続行することができる。これにより、エラー事象が解消されるまで処理が中止される従来構造に比べ、迅速にラベル作成処理を完了することができる。この結果、操作者の利便性が向上する。また、本実施形態によれば、例えば複数のラベル作成装置に対し共通に接続された操作端末が処理を行うラベル作成装置を切り替える場合のように、大規模なネットワーク接続等を構成する必要がない。この結果、ネットワーク通信における通信不都合等の発生により処理の切り替えが遅延する可能性もなく、確実に迅速なラベル作成処理を行える効果もある。
また、本実施形態では特に、上述したように、第1委託指令のラベル作成処理の実行に対応した時間Tpが経過する前にサーマルヘッド31の過熱状態が解消したら、ステップS200のクーリング処理を終了して図5のフローにおける本来の自機(印字ラベル作成装置1)によるラベル作成処理が実行される。これにより、第1印字ラベル作成装置1Aや第2印字ラベル作成装置1Bへのラベル作成処理の委託を必要最小限にとどめ、当該第1印字ラベル作成装置1Aや第2印字ラベル作成装置1Bの本来の処理をなるべく阻害しないようにすることができる。
また、本実施形態では特に、通信回線NWに対する第1印字ラベル作成装置1Aのみの接続が検出された場合に、ステップS30での第1委託指令の出力に対応した時間Tpが経過してもサーマルヘッド31の過熱状態が解消しなかったら、さらにもう一度ステップS30で第1委託指令を出力して第1所定単位(この例では1枚)の印字ラベルLの作成が同じ第1印字ラベル作成装置1Aへ委託される。
図7は、上記のような第1印字ラベル作成装置1Aへの繰り返し委託の一例を示している。この例では、印字ラベル作成装置1の制御回路210が図5のステップS110でN=10枚の印字ラベルLの作成の印刷指令を取得した場合で、ステップS115〜ステップS155を4回繰り返して印字ラベルLを4枚作成したときにサーマルヘッド31が過熱状態となってステップS135で印刷が中止された例である。この場合、ステップS200のクーリング処理において、続く5枚目以降の印字ラベルLの作成が第1印字ラベル作成装置1Aに委託され、サーマルヘッド31の過熱状態が解消されクーリング処理が終了するまでの間に結局4回の第1委託指令が出力されている(ステップS30)。この結果、5枚目、6枚目、7枚目、8枚目の合計4枚の印字ラベルLが、当該委託された第1印字ラベル作成装置1Aによって作成されている。8枚目の印字ラベルLが第1印字ラベル作成装置1Aによって作成されたときにサーマルヘッド31の過熱状態が解消されて(ステップS50:Yes)、上記印字ラベル作成装置1がラベル作成可能な状態に復帰しこれ以降の9枚目、10枚目の合計2枚の印字ラベルLは、(第1印字ラベル作成装置1Aへ委託されることなく)ステップS115〜ステップS155を2回繰り返して印字ラベル作成装置1自身によって作成されている。
以上のようにして、サーマルヘッド31の過熱状態が解消するまでに比較的長い時間を要した場合であっても、その時間を無駄に消費することなく、第1委託指令が繰り返し第1印字ラベル作成装置1Aに出力され、出力先である第1印字ラベル作成装置1Aによってラベル作成処理を続行することができる。
また、本実施形態では特に、通信回線NWに対して第1印字ラベル作成装置1A及び第2印字ラベル作成装置1Bの接続が検出された場合に、ステップS30での第1委託指令の出力に対応した時間Tpが経過してもサーマルヘッド31の過熱状態が解消しなかったら、第1委託指令の出力先の第1印字ラベル作成装置1Aとは別の第2印字ラベル作成装置1Bに第2委託指令を出力して第2所定単位(この例では1枚)の印字ラベルLの作成が委託される。
図8は、上記のような第1印字ラベル作成装置1Aに加え第2印字ラベル作成装置1Bへも委託が行われた例を示している。この例では、印字ラベル作成装置1の制御回路210が図5のステップS110でN=10枚の印字ラベルLの作成の印刷指令を取得した場合で、ステップS115〜ステップS155を4回繰り返して印字ラベルLを4枚作成したときにサーマルヘッド31が過熱状態となってステップS135で印刷が中止された例である。この場合、ステップS200のクーリング処理において、続く5枚目の印字ラベルLの作成が第1印字ラベル作成装置1Aに委託され、サーマルヘッド31の過熱状態が解消されクーリング処理が終了するまでの間に、6枚目の印字ラベルLの作成が第2印字ラベル作成装置1Bに委託され、7枚目の印字ラベルLの作成が第1印字ラベル作成装置1Aに委託され、8枚目の印字ラベルLの作成が第2印字ラベル作成装置1Bに委託され、結局第1委託指令及び第2委託指令が交互に2回ずつ出力されている(ステップS30及びステップS80)。この結果、5枚目、6枚目、7枚目、8枚目の合計4枚の印字ラベルLが、当該委託された第1印字ラベル作成装置1A及び第2印字ラベル作成装置1Bによって作成されている。8枚目の印字ラベルLが第2印字ラベル作成装置1Bによって作成されたときにサーマルヘッド31の過熱状態が解消されて(ステップS50:Yes)、上記印字ラベル作成装置1がラベル作成可能な状態に復帰しこれ以降の9枚目、10枚目の合計2枚の印字ラベルLは、(第1印字ラベル作成装置1Aや第2印字ラベル作成装置1Bへ委託されることなく)ステップS115〜ステップS155を2回繰り返して印字ラベル作成装置1自身によって作成されている。
以上のようにして、サーマルヘッド31の過熱状態が解消するまでに比較的長い時間を要した場合であっても、その時間を無駄に消費することなく、第2委託指令の出力先である、第1印字ラベル作成装置1Aとは別の第2印字ラベル作成装置1Bによってさらにラベル作成処理を続行することができる。また、第1委託指令に対応した時間Tpの経過時に、実際にはまだ当該第1委託指令に対応するラベル作成処理が第1印字ラベル作成装置1Aで終わっていなかった場合でも、第2印字ラベル作成装置1Bに対して第2委託指令に対応したラベル作成処理を開始させることができる。この結果、第1委託指令の出力先である第1印字ラベル作成装置1Aに再度第1委託指令を出力する場合に比べ、ラベル作成処理を確実に迅速化することができる。さらに、第1委託指令の出力先の第1印字ラベル作成装置1Aに再度第1委託指令を出力する場合のように、当該第1印字ラベル作成装置1Aを長時間代用して使用することを回避することができるので、当該第1印字ラベル作成装置1Aの本来のラベル作成処理をなるべく阻害しないようにすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)操作端末からの印刷指令を受けて印刷を行う場合
上記では、印字ラベル作成装置1は、操作者のキー入力部4での操作に基づき制御回路210で生成された印刷指令を取得して印字ラベルLの作成を行ったが、これに限られない。すなわち、操作者によって操作される携帯用の操作端末(以下適宜、「リモコン」と称する)から送信される赤外線信号を受信し、当該赤外線信号に含まれる印刷指令を取得するようにしてもよい。この場合、リモコンには、上記赤外線信号を送信するための送信窓と、複数のボタンとが設けられている。なお、各ボタンに、上記キー入力部4のキーに相当する適宜の機能が割り当てられる。この場合、リモコンは、操作者が操作したボタンに応じた内容の印刷指令を含む赤外線信号を印字ラベル作成装置1に送信することができる。この場合、印字ラベル作成装置1は例えば側面等に赤外線受信部が設けられる。なお、この赤外線受信部に代えてアンテナを設け、リモコンから赤外線に代えて電波を用いた無線通信により送信された印刷指令を受信するようにしてもよい。また、上記携帯用の操作端末にも限られず、有線又は無線接続されるPC等の操作端末での操作により印字ラベル作成装置1の制御回路210が上記印刷指令を取得するようにしてもよい。
(2)その他
また、以上においては、エラー事象としてサーマルヘッド31の過熱状態を例にとって説明したが、これに限られない。サーマルヘッド31以外の動作機構、例えばプラテンローラ26やこれを駆動するプラテンローラ用モータ208の温度が過熱状態となったことをエラー事象として検出してもよい。また、プラテンローラ26の駆動対象であるラベル用テープ30Aが空になった場合(すなわちプラテンローラ26の空転)をエラー事象として検出してもよい。この場合はラベル用テープ30Aやカートリッジの補給により復帰することができる。これらの場合にも上記同様の制御を行うことで、上記同様の効果を得る。
また、以上において、印字の終了したラベル用テープ30Aをカッターユニット40で切断して印字ラベルLを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッターユニット40で切断しなくても、テープが排出口6Aから排出されてきた後にラベル台紙(印字がなされたもの)のみをテープから剥がして印字ラベルLを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
また、以上においては、被印字テープであるラベル用テープ30Aに備えられた自己発色性を有する層(受像層)に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用した場合であったが、これに限られず、印字形成後の被印字テープと基材テープとを貼り合わせて印字済みレベル用テープとし、この印字済みラベル用テープを用いて印字ラベルLを作成する方式でもよい。
さらに、以上は、ラベル用テープ30Aがリール部材の周りに巻回されてロールを構成し、カートリッジ内にそのロールが配置されてラベル用テープ30Aが繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジを印字ラベル作成装置1側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字を行い印字ラベルLを作成するようにしてもよい。
さらには上記ロールを直接印字ラベル作成装置1側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートを印字ラベル作成装置1外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送し印字ラベル作成装置1内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジのような印字ラベル作成装置1本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型としてロールを設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
また、以上は、印刷装置として、印字ラベル作成装置1に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、印刷装置の一例として、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙(被印刷媒体)に画像を形成したり文字を印刷するプリンタやバッテリ電源により駆動される携帯用プリンタに対し、本発明を適用してもよい。特に携帯用プリンタの場合は、バッテリ電源により駆動される搬送モータやサーマルヘッドがバッテリ電源の起電力の低下により動作困難となったこと(すなわちバッテリ電源の電圧低下による動作不能)をエラー事象として検出してもよい。この場合はバッテリ電源を充電することで復帰できる。これらの場合にも上記同様の制御を行うことで、上記同様の効果を得る。
また、上記においては、印刷指令において、印字ラベルLの枚数の指定が含まれていたが、上記のように他の被印刷媒体が用いられる場合には、当該被印刷媒体の枚数のほか、ページ数、被印刷媒体の長さ、等の指定が各請求項記載の所定量に係わる指定として含まれていてもよい。
なお、以上において、図3に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図5、図6等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。