JP5601426B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents
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Description
この融着帯の通気性が高炉全体の通気性に大きく影響を及ぼしており、高炉における生産性を律速している。低コークス操業を行う場合、使用されるコークス量が減少することからコークススリットが限りなく薄くなることが考えられる。
例えば、特許文献1においては、ベルレス高炉において、鉱石ホッパーのうち下流側の鉱石ホッパーにコークスを装入し、コンベア上で鉱石の上にコークスを積層し、炉頂バンカーに装入して、鉱石とコークスとを旋回シュートを介して高炉内に装入するようにしている。
しかしながら、特許文献1においては、炉頂バンカーにおいて鉱石とコークスとを混合させることから、炉頂バンカー内で偏析が生じてしまい、鉄鉱石とコークスとの混合比率を正確に維持することはできないという問題があった。
しかしながら、原料が炉内に装入された後のコークスと鉱石の分離については特に考慮が払われてなく、原料装入後の粗粒と細粒の偏析によるコークスと鉱石の分離が懸念される。
しかしながら、特許文献3に記載された技術では、コークススリットがない高炉については記載されているが、高炉における具体的な原料装入方法については言及されてなく、装入物混合率の制御法が不明である。
「焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料及びコークスの高炉装入原料の高炉内への装入を旋回シュートで行う高炉の操業方法であって、
前記高炉装入原料を前記高炉に装入する際に、軸心部に中心コークス層を形成し、該中心コークス層の外側にコークススリットを生じさせないように前記鉱石類原料及びコークスを混合させた混合層を形成するようにしたことを特徴とする高炉への原料装入方法。」
を提案した。
その結果、混合原料の高炉内への排出速度を上昇させることによって、混合層の均一化が大幅に向上するという新規な知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
1.焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料及びコークスの高炉装入原料を、旋回シュートを用いて高炉内へ装入する高炉操業方法において、
炉頂バンカーから同時に、前記コークスと前記鉱石類原料及び/又は前記鉱石類原料と前記コークスとを混合させた混合原料を排出し、集合ホッパーで混合して前記旋回シュートに供給することによって、前記鉱石類原料と前記コークスとを混合した混合原料として高炉内へ装入することにより、高炉内の所定領域に混合層を形成するに際し、前記混合原料の高炉内への排出速度を1.5t/s以上とすることを特徴とする高炉への原料装入方法。
前記炉頂バンカーの1つまたは2つに、前記鉱石類原料若しくは前記鉱石類原料と前記コークスとを混合させた混合原料のいずれかまたは両者をそれぞれ貯留し、残りの炉頂バンカーの1つに前記コークスを貯留して、前記混合層を形成する際に、前記炉頂バンカーから同時に、前記コークスと前記鉱石類原料及び/又は混合原料を排出し、前記集合ホッパーで混合して前記旋回シュートに供給する
ことを特徴とする前記1に記載の高炉への原料装入方法。
図1に基づき、特許文献4に従って鉱石類原料及びコークスを高炉内に装入する具体的な装入要領を説明する。
なお、この例で、炉頂バンカー12bには鉱石類原料及びコークスの混合原料が、また炉頂バンカー12aにはコークスのみが、さらに炉頂バンカー12cには鉱石類原料のみが、それぞれ貯留されている。
ここに、炉頂バンカー12bに貯留される混合原料において、コークス量は全コークス量の30質量%以下に調整することが好ましい。というのは、混合されるコークス量が全コークス量の30質量%以下であれば、炉頂バンカー12bに貯留された時点で、コークスと鉱石類原料とで大きな偏析を生じることがなく、旋回シュート16によって形成される鉱石類原料とコークスとの混合層の混合率を略均一にすることができるからである。
これに対して、コークス量が全コークス量の30質量%を超えると、比重差及び粒子径差による偏析が起こりやすくなり、炉頂バンカー12bに貯留された時点でコークスと鉱石類原料との偏析が大きくなり、局所的に鉱石類原料のみやコークスのみが存在する領域が発生してしまう。
ここで、旋回シュート16は、高炉10の軸心を中心に旋回すると同時に高炉10の軸心部から炉壁側へ向かって傾動するように逆傾動制御される、いわゆる逆傾動制御方式で原料装入を行う場合について説明する。
また、高炉の軸心部に中心コークス層を形成する場合について説明する。
このとき、旋回シュート16が略垂直状態に傾動している初期装入状態では、炉頂バンカー12b及び12cの流量調整ゲート13を閉じ、炉頂バンカー12aのみの流量調整ゲート13を開いて、この炉頂バンカー12aに貯留されているコークスのみを旋回シュート16に供給し、図1に示すように、軸心部に中心コークス層12dを形成する。
なお、中心コークス層を形成する領域は、高炉軸心部を0、炉壁部を1とする高炉無次元半径において0以上、0.3以下とすることが望ましい。この理由は、コークスの一部を炉軸心部に集めることによって、軸心部での通気性ひいては高炉全体の通気性を効果的に改善することができるからである。
なお、中心コークス層を形成するために装入されるコークス量は、1チャージ当たりのコークス装入量の5〜30質量%程度とするのが好ましい。というのは、軸心部へのコークス装入量が5質量%に満たないと軸心部周辺の通気性の改善が十分でなく、一方30質量%より多いコークスを軸心部に集中させた場合には、混合層に使用するためのコークス量が低下するだけでなく、軸心部をガスが流れすぎてやはり炉体からの抜熱量が増加するからである。好ましくは10〜20質量%である。
このように中心コークス層12d及び混合層12eで構成される層を順次積層することにより、高炉10内の軸心部では通気抵抗の小さい中心コークス層12dが高炉下部から高炉上部に向かって形成され、その周囲にコークスと鉱石類原料とが混合された混合層12eが形成されるのである。
この実験装置は、円筒状の炉体31の内周面に炉芯管32を配置し、この炉芯管32の外側に円筒状の加熱用ヒーター33を配置する。炉芯管32の内側には耐火物で構成された円筒体34の上端に黒鉛製るつぼ35を配置し、このるつぼ35内に装入原料36が装入されている。この装入原料36には、高炉下部の融着層と同程度の状態となるように、パンチ棒37を介して連結した荷重負荷装置38により上部から荷重を負荷する。円筒体34の下部には、滴下物サンプリング装置39が設けられている。
ここで、るつぼ35内に装入された装入原料36の鉱石としては50〜100質量%の焼結鉱と、0〜50質量%の塊鉄鉱石を混合したものを用いた。
図3に示したように、コークスを混合しない場合は圧損が最も高かったのに対し、コークスを添加することによって通気抵抗は著しく低下し、しかもこの効果はコークス量の増加に伴って大きくなることが分かる。この理由は、コークスを混合することによって鉱石の変形が抑制され、また混合コークス近傍の空隙が維持されるため、鉱石の変形により粒子間の空隙が減少して通気抵抗が上昇する現象が抑制されたものと考えられる。
また、同図に示したとおり、塊コークスと小中塊コークスとを用いた場合では、融着層における通気抵抗値が異なり、小中塊コークスを用いた場合には、塊コークスを用いた場合と比較して同じ混合量でも圧力損失が小さくなることが判明した。
ここに、塊コークスとは粒径が30〜60mm程度のものを、また小中塊コークスとは粒径が10〜30mm程度のものをいう。一方、鉱石類原料は、通常、粒径が5〜25mm程度である。
ここに、鉱石類原料やコークスの粒径に起因した炉内通気性の悪化を回避するには、鉱石類原料の粒径は10〜30mm、コークスの粒径は30〜55mmとすることが好ましく、さらにこれらの粒径比(コークスの粒径/鉱石類原料の粒径)を1.0〜5.5程度とすることが好適である。
本模型装置において、原料の落下軌跡および堆積挙動を実炉と一致させるために、原料粒径を実高炉の1/18倍に、原料装入量は(1/18) 3 倍に、また装入シュートの旋回速度は(1/18) 0.5 倍とした。
図4に示したとおり、バンカー内で鉱石とコークスを混合した場合は、排出の初期および後期で混合率が上昇し、排出中期では混合率は目標値(0.05)よりも減少している。これに対し、2つのバンカーから鉱石とコークスを同時に排出した場合は、鉱石中におけるコークスの混合率は目標値に対してほぼ一定の値を示した。従って、バンカー内混合よりも同時排出混合の方が、コークスの混合率を精度よく制御できることが分かる。
図5に示したとおり、排出速度が実機換算で0.85t/sのときと比較して、実機換算で1.27t/sのときの方がコークス混合率の最大値と最小値の差異が小さく、より均一に混合されていることが分かる。
図6に示したとおり、原料の排出速度が大きくなるに従って最大混合率と最小混合率との差は小さくなっている。すなわち、原料の排出速度が大きくすることによって、鉱石とコークスをより均一に混合できることが分かる。
特に、排出速度を1.5t/s以上とすることによって、最大混合率と最小混合率との差は大幅に低減し、1.8t/s以上でほぼ一定になっている。
装入原料の偏析は、装入原料流れが、静止した原料堆積面を流れる際に、小粒径である鉱石が原料堆積面の凹凸の影響を受け静止しやすいために生じると考えられる。
この点、装入速度が増加すると、堆積面移動時の装入原料がもつ移動エネルギーが増加し、小粒径である鉱石の静止が抑制される。また、原料の排出速度を大きくすると、装入原料流れの層厚が増加する。さらに、装入原料流れの層厚が増加すると、下面と接する粒子の比率は相対的に減少し、下面の凹凸の影響が低減する。
以上から、装入速度が増加すると、装入原料の偏析が抑制され、混合層の均一化が達成されるものと推察される。
12a〜12c 炉頂バンカー
12d 中心コークス層
12e 混合層
13 流量調整ゲート
14 集合ホッパー
15 ベルレス式装入装置
16 旋回シュート
31 円筒状の炉体
32 炉芯管
33 円筒状の加熱用ヒーター
34 円筒体
35 黒鉛製るつぼ
36 装入原料
37 パンチ棒
38 荷重負荷装置
40 混合装置
41 ガス分析装置
42 熱電対
Claims (3)
- 焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料及びコークスの高炉装入原料を、旋回シュートを用いて高炉内へ装入する高炉操業方法において、
炉頂バンカーから同時に、前記コークスと前記鉱石類原料及び/又は前記鉱石類原料と前記コークスとを混合させた混合原料を排出し、集合ホッパーで混合して前記旋回シュートに供給することによって、前記鉱石類原料と前記コークスとを混合した混合原料として高炉内へ装入することにより、高炉内の所定領域に混合層を形成するに際し、前記混合原料の高炉内への排出速度を1.5t/s以上とすることを特徴とする高炉への原料装入方法。 - 前記高炉の炉頂に配設した少なくとも2つの炉頂バンカーと、各炉頂バンカーの排出口に配設され当該炉頂バンカーから排出される原料を混合して前記旋回シュートに供給する集合ホッパーとを備え、
前記炉頂バンカーの1つまたは2つに、前記鉱石類原料若しくは前記鉱石類原料と前記コークスとを混合させた混合原料のいずれかまたは両者をそれぞれ貯留し、残りの炉頂バンカーの1つに前記コークスを貯留して、前記混合層を形成する際に、前記炉頂バンカーから同時に、前記コークスと前記鉱石類原料及び/又は混合原料を排出し、前記集合ホッパーで混合して前記旋回シュートに供給することを特徴とする請求項1に記載の高炉への原料装入方法。 - 前記高炉装入原料を高炉内に装入するに際し、高炉の軸心部に中心コークス層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の高炉への原料装入方法。
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