JP5522331B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents
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Description
この融着帯の通気性が高炉全体の通気性に大きく影響を及ぼしており、高炉における生産性を律速している。
例えば、特許文献1においては、ベルレス高炉において、鉱石ホッパーのうち下流側の鉱石ホッパーにコークスを装入し、コンベア上で鉱石の上にコークスを積層し、炉頂バンカーに装入して、鉱石とコークスとを旋回シュートを介して高炉内に装入するようにしている。
これらのトラブルを回避するためには、炉軸心部にコークスのみの層を形成する方法が考えられる。この方法によれば、炉軸心部にコークス層によるガスの通り道が確保されるため、通気性の改善が可能となる。
1.焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料およびコークスの高炉装入原料を、高炉の炉頂に配設した少なくとも3つの炉頂バンカーと、該炉頂バンカーの排出口に配設されて該炉頂バンカーから排出される原料を混合して旋回シュートに供給する集合ホッパーと、該旋回シュートとを用いて、高炉内へ装入するに際し、
上記コークスを、塊コークスと小塊コークスに分級して炉頂バンカーに充填し、さらに、上記鉱石類原料を、大粒径鉱石類原料と小粒径鉱石類原料に分級して炉頂バンカーに充填したのち、該塊コークスを排出する際には該大粒径鉱石類原料を同時に切り出し、該小塊コークスを排出する際には該小粒径鉱石類原料を同時に切り出す高炉への原料装入方法。
高炉内に、鉱石類原料およびコークスを装入する具体的な装入要領を、図1に基づいて説明する。
以下の説明では、炉頂バンカー12aには塊コークスが、また炉頂バンカー12bには大粒径鉱石類原料には、さらに炉頂バンカー12cには小塊コークスと小粒径鉱石類原料を事前に混合したものが、それぞれ貯留されているものとする。
なお、図中、10は高炉、12a〜12cは炉頂バンカー、13は流量調整ゲート、14は集合ホッパー、15はベルレス式装入装置、16は旋回シュートである。また、θは、旋回シュートの垂直方向に対する角度である。また、本発明に用いられるコークスに特別の限定はなく、公知の高炉用コークスであれば問題はない。他方、鉱石類原料とは、焼結鉱、ペレット、塊状鉱石など、高炉用鉱石として常用されるものであれば特に限定はない。
すなわち、旋回シュート16の原料装入先が、高炉の中心部または炉壁部を向いている状態では、炉頂バンカー12bおよび12cの流量調整ゲート13を閉じ、炉頂バンカー12aのみの流量調整ゲート13を開き、この炉頂バンカー12aに貯留されている塊コークスのみを旋回シュート16に供給することによって、高炉の中心部には、中心コークス層を、また炉壁内周部には周辺コークス層をそれぞれ形成することができる。
そこで、本発明では、上述したように、塊コークスと大粒径鉱石類原料とを同時に切り出し、一方小塊コークスを排出する際には小粒径鉱石類原料を同時に排出することで、高炉塊状帯の空隙率の低下が解消され、コークス多量混合時であっても、高炉内の通気性を確保できるのである。
上記試験では、図2に示す充填層圧力損失評価装置を用いて、分級前後の鉱石コークス充填層の圧力損失を測定した。
図3(a)と図4(a)を、また図3(b)と図4(b)をそれぞれ比較すると、大粒径鉱石と塊コークスを混合したとき、さらには小粒径鉱石と小塊コークスを混合したときの粒径分布幅がそれぞれ低下していることがわかる。
以上の結果から、粒径幅のばらつき拡大にともなう空隙率の低下による充填層圧力損失を制御できることが期待できる。
図5(a)および図5(b)に示した結果より、図3(a)および図3(b)の粒度分布の時と比較して、図4(a)および図4(b)の粒度分布の時に、充填層圧力損失はそれぞれ低下することが確認された。従って、鉱石とコークスの混合層は、大粒径鉱石と塊コークス、すなわち混合層L、および、小粒径鉱石と小塊コークス、すなわち混合層Sとしたときに、充填層圧力損失の低減が可能であることがわかった。
まず、小塊コークスの粒度範囲としては、10〜40mmが好適である。一方、塊コークスの粒度範囲は30〜75mmが好適である。上記粒度範囲を外れると、いずれも充填層圧力損失の低減効果が薄れるからである。なお、上記のとおり、粒度範囲に重複部分があっても良い。
ここでρ[kg/m3]:流体の密度、μ[Poise]:流体の粘性係数、u[m/sec]:流体の平均流速、Dp[m]:平均粒子直径、ε[-]:空隙率、Δp/L [Pa/m]:充填層圧力損失、とそれぞれおく。
図6に計算結果を示す。
同図から、空隙率:0.3以下の領域において、空隙率の減少に対する圧力損失の増加が大きくなり、空隙率が圧力損失に与える影響は、空隙率:0.3以下の領域で顕著であることがわかる。従って、圧損の上昇を抑制するには、空隙率を0.3以上に保つことが有効であると考えられる。
従って、本発明では、小塊コークスと小粒径鉱石の調和平均径の比および、塊コークスと大粒径鉱石の調和平均径の比を、いずれも鉱石粒径/コークス粒径の比として0.2以上とすることが好ましい。
従って、鉱石とコークスの粒経比は、大粒径鉱石と塊コークス、または小粒径鉱石と小塊コークスのいずれの組み合わせであっても、好ましくは0.1以上であって、より好ましくは0.2以上である。
一方、上記粒径比に上限は特に限定されないが、0.2〜0.75程度が好ましい。
そのため、高炉の下部における湯溜り部に設けた羽口の送風管からCOを主体とする高温ガスを流入させることにより、コークス層を通って上昇するガス流が形成されると共に、混合層を通って上昇するガス流が形成される。この送風管から流入する高温ガスによって、コークスを燃焼させ、鉱石類原料を還元溶解させる。
このため、溶融層の上部側に鉱石類原料が軟化した融着帯が形成され、この融着帯の上部側で鉱石類原料の還元が行われる。
このとき、高炉の下部では、混合層において、鉱石類原料とコークスとが完全混合されて、鉱石類原料間にコークスが入り込んだ状態となり、通気性が改善されるとともに、高温ガスが直接鉱石類原料間を通過するため、伝熱遅れがなく伝熱特性を改善することができる。
このときの還元反応は、FeO+CO=Fe+CO2で表される。
また、ガス化反応は、C+CO2=2COで表される。
また、上記した説明は、3つの炉頂バンカーの場合について説明したが、塊コークス、小塊コークス、大粒径鉱石類原料および小粒径鉱石類原料を、それぞれ別の炉頂バンカーに充填しても良い。さらに、塊コークスのうち鉱石類原料への混合に供する以外の塊コークスを別の炉頂バンカーに充填しても良い。
この実験装置は、図2に示したように直径:10cmの円筒形のステンレス鋼製の筒であって、下部から所定量の空気(AIR)を吹きこむことができる。そして、上記筒の上端部および下端部には、筒内部の圧力を測定するための開孔部が設けられ、圧力計にチューブでつながっている。
ここで、以下の実施例に用いた装入原料としては、以下に示すものを用いた。
鉱石 ・・・嵩密度:1.835 g/cm3
ここに、比較例1は、コークス混合コークス原単位120kg/tのもの、発明例1は、同一諸元において、鉱石を分級し、小粒径鉱石と大粒径鉱石をそれぞれ混合したもの、発明例2は、コークス混合量をさらに増加し200kg/t−pとしたものとした。また、発明例3は、小粒径鉱石の粒径範囲を狭くし発明例2から通気性改善を図るものとした。なお、比較例1は、図2中の試料層が塊コークス+鉱石(分級なし)と小塊コークス+鉱石(分級なし)の2層、また、発明例1、2および3は、それぞれ、上記試料層が塊コークス+大粒径鉱石と小塊コークス+小粒径鉱石の2層になっている。
加えて、それぞれのコークスや、鉱石の粒度範囲、質量比率および調和平均径は、いずれも表1に示したとおりである。
それぞれの場合における充填層圧力損失の測定結果を、表1に比較して併記する。
また、測定の頻度としては、1週間に1回程度が求められ、望ましくは1日に数回の測定が良い。さらに、平均径としては、以下に示す調和平均径が高炉内の圧力損失を評価する際に適している。ここで、調和平均径:Dpは、i個に篩い分けられた試料に対して以下の式2で表される。
ここでDp[m]:粒子の調和平均径、wi[-]:篩い目毎の質量割合、dpi[m]:篩い目毎の代表粒子径、とそれぞれおく。
従って、塊コークスを排出する際には該大粒径鉱石類原料を同時に切り出し、該小塊コークスを排出する際には該小粒径鉱石類原料を同時に切り出すことで、通気抵抗を低滅できることが実証された。
12a〜12c 炉頂バンカー
13 流量調整ゲート
14 集合ホッパー
15 ベルレス式装入装置
16 旋回シュート
Claims (5)
- 焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料およびコークスの高炉装入原料を、高炉の炉頂に配設した少なくとも3つの炉頂バンカーと、該炉頂バンカーの排出口に配設されて該炉頂バンカーから排出される原料を混合して旋回シュートに供給する集合ホッパーと、該旋回シュートとを用いて、高炉内へ装入するに際し、
上記コークスを、塊コークスと小塊コークスに分級して炉頂バンカーに充填し、さらに、上記鉱石類原料を、大粒径鉱石類原料と小粒径鉱石類原料に分級して炉頂バンカーに充填したのち、該塊コークスを排出する際には該大粒径鉱石類原料を同時に切り出し、該小塊コークスを排出する際には該小粒径鉱石類原料を同時に切り出す高炉への原料装入方法。 - 前記小塊コークスの粒度範囲を10〜40mmとし、かつ前記小粒径鉱石類原料の粒度範囲を3〜20mmとする請求項1に記載の高炉への原料装入方法。
- 前記塊コークスの粒度範囲を30〜75mmとし、かつ前記大粒径鉱石類原料の粒度範囲を10〜50mmとする請求項1または2に記載の高炉への原料装入方法。
- 前記大粒径鉱石類原料と前記小粒径鉱石類原料とを分級するに際し、該大粒径鉱石類原料と該小粒径鉱石類原料の質量比率を、前記塊コークスのうち鉱石類原料への混合に供する塊コークスと前記小塊コークスとの質量比率に一致させる請求項1〜3のいずれか一つに記載の高炉への原料装入方法。
- 前記小塊コークスと前記小粒径鉱石の調和平均径の比および、前記塊コークスと前記大粒径鉱石の調和平均径の比を、いずれも鉱石調和平均粒径/コークス調和平均粒径の比として0.1以上とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の高炉への原料装入方法。
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