JP5871062B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炉内への原料装入を旋回シュートで行う高炉への原料装入方法に関するものである。
高炉は、一般的に焼結鉱、ペレット、塊状鉱石等の鉱石類原料とコークスとを炉頂から層状に装入し、羽口より燃焼ガスを流して、銑鉄を得る。装入された高炉装入原料であるコークスと鉱石類原料は炉頂より炉下部へと降下し、鉱石の還元と原料の昇温が起こる。鉱石類原料層は、昇温と上方からの荷重により鉱石類原料間の空隙を埋めながら徐々に変形して、高炉のシャフト部の下方においては非常に通気抵抗が大きくガスが殆ど流れない融着層を形成する。
従来、高炉への原料装入は、鉱石類原料とコークスを交互に装入しており、炉内では鉱石類原料層とコークス層が交互に層状となっている。また、高炉内下部には融着帯と呼ばれる鉱石が軟化融着した通気抵抗の大きな鉱石類原料層およびコークス由来の比較的通気抵抗が小さいコークススリットが存在する。
この融着帯の通気性が高炉全体の通気性に大きく影響を及ぼしており、高炉における生産性を律速している。低コークス操業を行う場合、使用されるコークス量が減少することからコークススリットが限りなく薄くなることが考えられる。
融着帯の通気抵抗を改善するためには、鉱石類原料層にコークスを混合することが有効であることが知られており、適切な混合状態を得るために多くの研究が報告されている。
例えば、特許文献1においては、ベルレス高炉において、鉱石ホッパーのうち下流側の鉱石ホッパーにコークスを装入し、コンベア上で鉱石の上にコークスを積層し、炉頂バンカーに装入して、鉱石とコークスとを旋回シュートを介して高炉内に装入するようにしている。
また、特許文献2では、炉頂のバンカーに鉱石とコークスとを別々に貯留して、コークスと鉱石を同時に混合装入することで、コークスの通常装入用バッチ、コークスの中心装入用バッチおよび混合装入用バッチの3通りを同時に行うようにしている。
さらに、特許文献3では、高炉操業における融着帯形状の不安定化および中心部付近におけるガス利用率の低下を防止し、安全操業と熱効率の向上を図るために、高炉における原料装入方法おいて、全鉱石と全コークスを完全混合した後炉内に装入するようにしている。
特開平3−211210号公報 特開2004−107794号公報 特公昭59−10402号公報
ところで、融着帯の通気抵抗を改善するためには、前述した特許文献3に記載された技術のように、鉱石層にコークスを混合しておくことが有効であることが知られている。
しかしながら、特許文献3に記載された代表的なコークスの平均粒径は約40〜50mmであって、鉱石の平均粒径は約15mmであり、両者の粒径は大幅に異なることから、単純に混合しただけでは空隙率が大幅に低下して、炉内において通気性が悪化し、ガスの吹き抜けや原料の降下不良といったトラブルを生じる可能性がある。
これらのトラブルを回避するためには、炉軸心部にコークスのみの層を形成する方法が考えられる。この方法によれば、炉軸心部にコークス層によるガスの通り道が確保されるため、通気性の改善が可能となる。
ところが、高炉還元材として、羽口から微粉炭を大量に吹き込んだ操業を行う場合には、微粉炭未燃焼粉およびOre/Coke比(鉱石とコークスの質量比)の増加により通気性が阻害されるため、特に炉壁周辺の通気性が大幅に悪化することになり、炉軸心部のみ通気性を確保しても十分であるとは言えない。また、前記したような低コークス操業を行う場合には、炉軸心部のコークス層自体が形成不足となることもある。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、たとえ、コークス量が少なかったり、微粉炭の大量吹込み操業を実施したりする場合であっても、高炉内の通気性を確保して、高炉操業の安定化および熱効率の向上を達成することができる高炉への原料装入方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料およびコークスの高炉装入原料を、高炉の炉頂に配設した少なくとも2つの炉頂バンカーと、該炉頂バンカーの排出口に配設されて該炉頂バンカーから排出される原料を混合して旋回シュートに供給する集合ホッパーと、該旋回シュートとを用いて、高炉内へ装入するに際し、
最初に原料を装入する炉頂バンカーから装入された混合原料をO1、続いて原料を装入する他の炉頂バンカーから装入された混合原料をO2としたとき(ただし、O1とO2が同一の原料である場合を除く)、該O2の質量が該O1の質量の1.1倍以下とする高炉への原料装入方法。
2.前記O2の質量をWO2(t)とし、前記O1の質量をWO1(t)としたとき、WO2/WO1が0.5〜1.1の範囲を満足する前記1に記載の高炉への原料装入方法。
3.前記O2を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する平均角度をθO2(度)とし、前記O1を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する平均角度をθO1(度)としたとき、θO1≦θO2の関係を満足する前記1または2に記載の高炉への原料装入方法。
4.前記O1を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する最大の旋回角度をθO1MAX(度)としたとき、前記θO2と、θO1MAX≦θO2の関係を満足する前記3に記載の高炉への原料装入方法。
5.前記O2に対して混合されるコークスの比率をO2CK(質量%)とし、前記O1に対して混合されるコークスの比率をO1CK(質量%)としたとき、O1CK≦O2CKの関係を満足する前記1〜4のいずれかに記載の高炉への原料装入方法。
6.前記O2CKと前記O1CKとの比、O2CK/O1CKが1.0〜2.0の範囲を満足する前記5に記載の高炉への原料装入方法。
本発明によれば、高炉内へ鉱石類原料およびコークスを装入する際に、通気性を効果的に向上させる2種類の層を形成するので、炉下部における通気性が格段に向上して、鉱石の還元速度が大幅に向上し、たとえ、コークス量が少なかったり、高微粉炭比操業において微粉炭由来の未燃焼粉が大量に発生したりする状況下においても、安定した高炉操業を行うことができる。
本発明の高炉への原料装入方法の一実施形態を示す模式図である。 (a)は従来の、また(b)は本発明に従う、それぞれの原料装入状態を示す模式図である。 本発明による高炉への原料装入状態と通常高炉での原料装入状態とを対比して示す模式図である。 本発明による高炉への原料装入状態と通常高炉での原料装入状態とを対比し、上部、中部および下部の還元状態、通気・伝熱状態および溶融浸炭状態を示す説明図である。 鉱石類原料の高温性状を測定する実験装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の代表的な一実施形態を図面に基づいて説明する。
高炉内に、鉱石類原料およびコークスを装入する具体的な装入要領を、図1に基づいて説明する。
以下の説明では、炉頂バンカー12aにはコークスのみが、また炉頂バンカー12bには鉱石類原料およびコークスの混合原料O1が、さらに炉頂バンカー12cには鉱石類原料およびコークスの混合原料O2が、それぞれ貯留されているものとする。
なお、図中、10は高炉、12a〜12cは炉頂バンカー、13は流量調整ゲート、14は集合ホッパー、15はベルレス式装入装置、16は旋回シュートである。また、θは、旋回シュートの垂直方向に対する角度である。
炉頂バンカーからの原料装入順序としては、まず、旋回シュート16の原料装入先を高炉の炉壁内周部とし、コークスのみを装入した炉頂バンカー12aからコークスのみを装入することによって、高炉の中心部には、中心コークス層を、また炉壁内周部には、必要に応じて周辺コークス層を形成する。
すなわち、旋回シュート16の原料装入先が高炉の炉壁部を向いている状態では、炉頂バンカー12bおよび12cの流量調整ゲート13を閉じ、炉頂バンカー12aのみの流量調整ゲート13を開き、この炉頂バンカー12aに貯留されているコークスのみを旋回シュート16に供給することによって、高炉の中心部には、中心コークス層を、また炉壁内周部には必要に応じて周辺コークス層を形成する。
ついで、炉頂バンカー12bから混合原料O1を装入するのであるが、その際の装入順序は、高炉の中心軸に近い、すなわちθが小さい位置から上方に順次移動し、その後高炉の中心軸から外側に離れる、すなわちθが大きい方向に移動し、最後に傾斜側壁の上端側が装入されるのである。
さらに、炉頂バンカー12cから混合原料O2を装入する。その際の装入順序は、上記O1と基本的には同じであるが、本発明では、以下に示すとおり、上記O1とO2との装入手順に種々の制限を設けることで、通気抵抗の低い良好な混合層を形成することができるのである。
上記手順を1サイクルとして、高炉の操業中は、順次、このサイクル、すなわち、コークスの装入、混合原料O1の装入そして混合原料O2の装入を繰り返していくのである。
なお、以下の説明は、上記した1サイクル中の混合原料をO1とO2の2層とする場合であるが、3層以上でも問題はなく、隣り合う層、すなわちnを自然数とした時、OnおよびOn+1が、以下のO1およびO2の関係を満足すれば、本発明の効果が得られる。また、炉頂バンカーの数も特に制限されず、同一の炉頂バンカーから複数回の切り出しを行うこともできる。
本発明においては、上記分割回数に特に制限はないが、1サイクル中の層構造(装入回数)が多くなると、装入速度が小さくなるため、偏析をまねきやすく、20層を超えると極端に制御が複雑になるため、20層程度を上限とするのが好ましい。
ここで、炉頂バンカーまでの搬送設備などに鉱石類原料やコークスが偏析する場合には、鉱石類原料又はコークスのみが装入されることになり、集合ホッパー14で他の炉頂バンカー12a、12bおよび12cから装入されるコークスや鉱石類原料と混合されることにはなるものの、鉱石類原料又はコークスの比率が増加して、旋回シュート16によって形成される鉱石類原料およびコークスの混合層の混合率が不均一となる。
そこで、本発明では、最初に原料を装入する炉頂バンカー12bから装入される原料O1の質量(WO1)に対して、続いて原料を装入する炉頂バンカー12cから装入された原料O2の質量(WO2)、すなわちWO2/WO1を1.1以下とすることが重要である。すなわち、WO2をWO1の1.1倍以下の装入量とすることで、WO2よりも前に装入された原料O1によって、次に装入される原料O2の炉内中心側への流れ込みを防止するのである。一方、WO2がWO1の1.1倍を超えると、流れ込みを防止する原料O1を利用した、いわゆるダム効果による流れ込み防止効果が発揮できず、装入された原料O1を崩壊させることになる。その結果、流れ込みによる原料O1およびO2が拡散することになって鉱石類原料とコークスとが分離し、混合の不均一性が生じる。
このように、本発明では、混合原料を2分割し、さらにその装入量を限定することで、上記混合率の不均一性が解消され、結果的に、コークス量が少なかったり、微粉炭の大量吹込み操業を実施したりする場合であっても、高炉内の通気性を確保できるのである。
さらに、後に装入される原料であるO2が傾斜側壁の上端側に堆積し、中心部へ装入された原料に流れ込むことを防止すること、および装入時の不均一性を解消する必要があることから上記WO2/WO1は、0.5〜1.1の範囲とする。
WO2/WO1が0.5未満では、原料O2の装入範囲が限られ、かえって装入時に不均一性が増加するので、WO2/WO1は、0.5〜1.1の範囲とするのである。好ましくは、0.5〜1.0として、原料O1と原料O2を最大でも等量として装入し、流れ込みの発生を防止する。望ましくは、原料O1より原料O2の装入量を適量減じて、流れ込み発生を防止する0.5〜0.95の範囲とする。
なお、本発明では、上記WO2/WO1の値を満足することが重要であるが、具体的な値としては、5000mの高炉においてはWO1が80〜110トン(t)程度、WO2が55〜110トン(t)程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
本発明では、図1に示したθ(以下、単にθと記す)が、O2を装入する際の平均をθO2とし、O1を装入する際のθの平均をθO1としたとき、θO2はθO1を下回らない、すなわちθO1≦θO2の関係を満足することが好ましい。
これは、θO2をθO1より大きくし、後に装入される原料であるO2が傾斜側壁の上端側に装入することができるからである。
なお、本発明では、上記関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、θO1が30〜40度程度、θO2が35〜45度程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
また、本発明では、前記O1を装入する際のθの最大値をθO1MAXとしたとき、上記θO2はθO1MAXを下回らない、すなわちθO1MAX≦θO2の関係を満足することが好ましい。
これは、θO2をθO1より大きくし、後に装入される原料であるO2が傾斜側壁の上端側に装入することができるからである。
なお、本発明では、上記関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、θO1MAXは35〜40度程度の範囲とすることが望ましい。
さらに、本発明では、O2に対して混合されるコークス量を、質量%でO2CKとし、前記O1に対して混合されるコークス量を、質量%でO1CKとしたとき、O1CK≦O2CKの関係を満足することが好ましい。
これは、炉容積の大きい炉壁周辺の通気性を改善することで、高炉全体の通気性を確保するためである。
なお、本発明では、上記関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、O1CKが5〜15質量%程度、O2CKが10〜20質量%程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
また、本発明では、上記O2CKと上記O1CKとの比、すなわちO2CK/O1CKが1.0〜2.0の範囲を満足することがさらに好ましい。
これは、O2CKをO1CKより大きくし、後に装入され原料であるO2が傾斜側壁の上端側に装入して炉容積の大きい炉壁周辺の通気性を改善することで、高炉全体の通気性を確保するためである。
すなわち、本発明において、混合層12eの形成は、図2に示すように、中心コークス層と周辺コークス層12dの上に単層で形成するのではなく、中心コークス層と周辺コークス層12dの上に少なくとも2層以上、すなわち図中のO1とO2で形成するのである。
そして、上記したコークス層並びに混合層O1およびO2で構成される層(1サイクル)を順次、高炉10内に下部から上部まで形成(繰り返)して行く。
このように、コークス層並びに混合層O1およびO2で構成される層を順次積層することにより、高炉10内の軸心部および炉壁部には通気抵抗の小さいコークス層が高炉下部から高炉上部に向かって形成され、その間にコークスと鉱石類原料とが完全混合された混合層O1およびO2が形成される。
そのため、図3の右半部に示すように、高炉10の下部における湯溜り部に設けた羽口の送風管21からCOを主体とする高温ガスを流入させることにより、コークス層を通って上昇するガス流が形成されると共に、混合層を通って上昇するガス流が形成される。この送風管21から流入する高温ガスによって、コークスを燃焼させ、鉱石類原料を還元溶解させる。
これによって、高炉10の下部における鉱石類原料が溶融し、高炉10内に装入されたコークスと鉱石類原料とが炉頂より炉下部へと降下し、鉱石類原料の還元と鉱石類原料の昇温が起こる。
このため、溶融層の上部側に鉱石類原料が軟化した融着帯が形成され、この融着帯の上部側で鉱石類原料の還元が行われる。
このとき、図4の右半部に示すように、高炉10の下部では、混合層O1およびO2において、鉱石類原料とコークスとが完全混合されて、鉱石類原料間にコークスが入り込んだ状態となり、通気性が改善されるとともに、高温ガスが直接鉱石類原料間を通過するため伝熱遅れがなく伝熱特性を改善することができる。
加えて、高炉10の融着帯の下部では、鉱石類原料と高温ガスの接触面積が拡大し、浸炭を促進することができる。また、融着帯内では、通気性および伝熱性を改善することができる。さらに、高炉10の上部でも、鉱石類原料とコークスとが近接して配置されているので、鉱石類原料の還元反応とガス化反応(カーボンソリューションロス反応)との相互活性化現象であるカップリング反応によって還元遅れを生じることなく良好な還元が行われる。
このときの還元反応は、FeO+CO=Fe+CO2で表される。
また、ガス化反応は、C+CO2=2COで表される。
一方、前述した鉱石とコークスとを層状に積層する従来例では、図3の左半部で示すように、高炉内に鉱石とコークスとを交互に装入して、高炉内に鉱石層とコークス層とが層状となるように装入する。この場合には、羽口の送風管21からCO主体の高温ガスを流入させたときに、図4の左半部に示すように、融着帯の下部で、コークススリット減により通気が制限されて圧損が上昇することにより、鉱石の高温ガスとの接触面積が小さくなり浸炭が制限されるという問題がある。
また、融着帯の上部側では、コークススリットが形成され、主にこのコークススリットを通じて、鉱石に熱が伝導されるため、伝熱遅れが発生して伝熱不足になると共に、高炉10の上部では、通気性の良いコークス層と通気性の悪い鉱石層とが積層されているので、昇温速度が低下するだけでなく、還元反応のみが行われ、上記したカップリング反応が望めないので、還元遅れが発生するという問題が生じる。
しかしながら、本実施形態では、前述したように、コークス層およびコークスと鉱石類原料とを完全混合した混合層O1およびO2とで形成される装入層を積層したので、混合層でコークススリットが形成されることがなく、ガス流れを均一化して、良好な伝熱性を確保して安定的な通気改善が可能となり、上記従来例の問題点を解決することができる。
なお、従来、溶銑:1tを製造するのに必要なコークス量(kg)、すなわちコークス比は350〜365kg/t程度であったが,本発明に従って原料装入を行う場合にはコークス比を320〜335kg/t程度まで低減することが可能である。
本実施形態の効果を実証するために、図5に示す実験装置を用いて、高炉内での原料還元、昇温過程を模擬してその通気抵抗の変化を調べた。
この実験装置は、円筒状の炉体31の内周面に炉芯管32を配置し、この炉芯管32の外側に円筒状の加熱用ヒーター33を配置する。炉芯管32の内側には耐火物で構成された円筒体34の上端に黒鉛製るつぼ35を配置し、このるつぼ35内に装入原料36が装入されている。この装入原料36には、高炉下部の融着層と同程度の状態となるように、パンチ棒37を介して連結した荷重負荷装置38により上部から荷重を負荷する。円筒体34の下部には、滴下物サンプリング装置39が設けられている。
るつぼ35には、その下部の円筒体34を介してガス混合装置40によって調整したガスを送り、るつぼ35内の装入原料36を通過したガスはガス分析装置41で分析される。加熱用ヒーター33には加熱温度制御用の熱電対42が配設され、この熱電対42で温度を測定しながら、制御装置(図示せず)で加熱用ヒーター33を制御することによって、るつぼ35を1200〜1500℃に加熱する。
ここで、るつぼ35内に装入された装入原料36としては、以下に示すものを用いた。
コークスを鉱石層に全く混合させない比較例1、コークスを鉱石層に34〜84質量%混合し、この混合層を図2(a)に示したように単層で配置した比較例2、およびコークスを鉱石層に混合し、O1の質量WO1とO2の質量WO2との比WO2/WO1が約1.2である比較例3、同比:約1.1の発明例1、同比:約0.9の発明例2、同比:約0.5の発明例3、同比:1.0の発明例6を、微粉炭比:148kg/tとして、それぞれ高微粉炭比操業を行った。また、O1の平均装入角度を変更した発明例4、O2の平均装入角度を変更した発明例5、O1中のコークス比率を変更した発明例7および8を併せて実施した。
なお、高炉の一日当たりの出銑量(t/d)を炉内容積(m3)で除した値である出銑比、およびO1の質量比率(%)、O1の平均装入角度(度)、O1の最大装入角度(度)、O1中のコークス比率(質量%)、O2の質量比率(%)、O2の平均装入角度(度)、O2中のコークス比率(質量%)は、いずれも表1に示したとおりである。
また、それぞれの場合における操業結果を、表1に比較して併記する。
Figure 0005871062
この表1で、コークス比および微粉炭比は、溶銑1tを製造する際に使用したコークス量および微粉炭量(kg)である。
還元材比は、コークス比と微粉炭比の総和である。
ガス利用率は、炉頂におけるCO2とCOとの濃度の比であり、次式により算出する。
ガス利用率=CO2/(CO2+CO)×100
ここで、CO2は炉頂CO2濃度[%]
COは炉頂CO濃度[%]
また、ΔP/Vは高炉内での通気抵抗を指数化した指標であり、次式により算出する。
ΔP/V=(BP−TP)/BGV
ここで、BPは送風圧力[Pa]
TPは炉頂圧力[Pa]
BGVはボッシュガス量[m3(標準状態)/min]
表1に示したように、発明例1〜8は、ともにコークス比を332〜340kg/tの範囲としているため、比較例1〜3のコークス比362〜350kg/tに比較して低コークス比となっている。しかしながら、この場合でも、通気抵抗の指標であるΔP/Vを、比較例1〜3における22.7〜20.8の範囲より、さらに低い20.0〜18.5の範囲に抑制することができている。しかも、出銑比を2.5まで上昇させた場合(発明例3)であっても、比較例1〜3より低いコークス比で通気抵抗を低減することができた。
また、同表に示したように、コークスの混合率を前述した14質量%以上に設定することによって、低コークス比とした低還元材比においても、通気抵抗を低滅できることが実証された。
なお、上記実施形態において説明しているように、本発明は、高炉内の旋回シュートを、軸心部から外周壁側に順次傾動させる逆傾動制御が好ましい。
また、上記実施形態においては、旋回シュートの傾動と、炉項バンカーの流量調整ゲートの開閉制御によって、中心コークス層および混合層を形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、高炉の軸心部に直接するコークスを投入するコークス専用シュートを、旋回シュートと干渉しない位置に配置し、このコークス専用シュートによって高炉の軸心部に直接コークスを装入して中心コークス層を形成するようにしてもよい。
さらに、上記実施例は、炉頂バンカーから装入された原料を、混合層O1およびO2で構成される層としたが、混合層O1、O2およびO3で構成される層としても、O1およびO2の関係並びにO2およびO3の関係が、それぞれ本発明に従う限り、本発明の効果を得られる。
10 高炉
12a〜12c 炉頂バンカー
13 流量調整ゲート
14 集合ホッパー
15 ベルレス式装入装置
16 旋回シュート
31 炉体
32 炉芯管
33 加熱用ヒーター
34 円筒体
35 黒鉛製るつぼ
36 装入原料
37 パンチ棒
38 荷重負荷装置
39 滴下物サンプリング装置
40 ガス混合装置
41 ガス分析装置
42 熱電対

Claims (6)

  1. 焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料およびコークスの高炉装入原料を、高炉の炉頂に配設した少なくとも2つの炉頂バンカーと、該炉頂バンカーの排出口に配設されて該炉頂バンカーから排出される原料を混合して旋回シュートに供給する集合ホッパーと、該旋回シュートとを用いて、高炉内へ装入するに際し、
    最初に原料を装入する炉頂バンカーから装入された混合原料をO1、続いて原料を装入する他の炉頂バンカーから装入された混合原料をO2としたとき(ただし、O1とO2が同一の原料である場合を除く)、該O2の質量が該O1の質量の1.1倍以下とする高炉への原料装入方法。
  2. 前記O2の質量をWO2(t)とし、前記O1の質量をWO1(t)としたとき、WO2/WO1が0.5〜1.1の範囲を満足する請求項1に記載の高炉への原料装入方法。
  3. 前記O2を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する平均角度をθO2(度)とし、前記O1を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する平均角度をθO1(度)としたとき、θO1≦θO2の関係を満足する請求項1または2に記載の高炉への原料装入方法。
  4. 前記O1を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する最大の旋回角度をθO1MAX(度)としたとき、前記θO2と、θO1MAX≦θO2の関係を満足する請求項3に記載の高炉への原料装入方法。
  5. 前記O2に対して混合されるコークスの比率をO2CK(質量%)とし、前記O1に対して混合されるコークスの比率をO1CK(質量%)としたとき、O1CK≦O2CKの関係を満足する請求項1〜4のいずれかに記載の高炉への原料装入方法。
  6. 前記O2CKと前記O1CKとの比、O2CK/O1CKが1.0〜2.0の範囲を満足する請求項5に記載の高炉への原料装入方法。
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