JP5871062B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents
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Description
この融着帯の通気性が高炉全体の通気性に大きく影響を及ぼしており、高炉における生産性を律速している。低コークス操業を行う場合、使用されるコークス量が減少することからコークススリットが限りなく薄くなることが考えられる。
例えば、特許文献1においては、ベルレス高炉において、鉱石ホッパーのうち下流側の鉱石ホッパーにコークスを装入し、コンベア上で鉱石の上にコークスを積層し、炉頂バンカーに装入して、鉱石とコークスとを旋回シュートを介して高炉内に装入するようにしている。
しかしながら、特許文献3に記載された代表的なコークスの平均粒径は約40〜50mmであって、鉱石の平均粒径は約15mmであり、両者の粒径は大幅に異なることから、単純に混合しただけでは空隙率が大幅に低下して、炉内において通気性が悪化し、ガスの吹き抜けや原料の降下不良といったトラブルを生じる可能性がある。
これらのトラブルを回避するためには、炉軸心部にコークスのみの層を形成する方法が考えられる。この方法によれば、炉軸心部にコークス層によるガスの通り道が確保されるため、通気性の改善が可能となる。
ところが、高炉還元材として、羽口から微粉炭を大量に吹き込んだ操業を行う場合には、微粉炭未燃焼粉およびOre/Coke比(鉱石とコークスの質量比)の増加により通気性が阻害されるため、特に炉壁周辺の通気性が大幅に悪化することになり、炉軸心部のみ通気性を確保しても十分であるとは言えない。また、前記したような低コークス操業を行う場合には、炉軸心部のコークス層自体が形成不足となることもある。
1.焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料およびコークスの高炉装入原料を、高炉の炉頂に配設した少なくとも2つの炉頂バンカーと、該炉頂バンカーの排出口に配設されて該炉頂バンカーから排出される原料を混合して旋回シュートに供給する集合ホッパーと、該旋回シュートとを用いて、高炉内へ装入するに際し、
最初に原料を装入する炉頂バンカーから装入された混合原料をO1、続いて原料を装入する他の炉頂バンカーから装入された混合原料をO2としたとき(ただし、O1とO2が同一の原料である場合を除く)、該O2の質量が該O1の質量の1.1倍以下とする高炉への原料装入方法。
高炉内に、鉱石類原料およびコークスを装入する具体的な装入要領を、図1に基づいて説明する。
以下の説明では、炉頂バンカー12aにはコークスのみが、また炉頂バンカー12bには鉱石類原料およびコークスの混合原料O1が、さらに炉頂バンカー12cには鉱石類原料およびコークスの混合原料O2が、それぞれ貯留されているものとする。
なお、図中、10は高炉、12a〜12cは炉頂バンカー、13は流量調整ゲート、14は集合ホッパー、15はベルレス式装入装置、16は旋回シュートである。また、θは、旋回シュートの垂直方向に対する角度である。
すなわち、旋回シュート16の原料装入先が高炉の炉壁部を向いている状態では、炉頂バンカー12bおよび12cの流量調整ゲート13を閉じ、炉頂バンカー12aのみの流量調整ゲート13を開き、この炉頂バンカー12aに貯留されているコークスのみを旋回シュート16に供給することによって、高炉の中心部には、中心コークス層を、また炉壁内周部には必要に応じて周辺コークス層を形成する。
さらに、炉頂バンカー12cから混合原料O2を装入する。その際の装入順序は、上記O1と基本的には同じであるが、本発明では、以下に示すとおり、上記O1とO2との装入手順に種々の制限を設けることで、通気抵抗の低い良好な混合層を形成することができるのである。
なお、以下の説明は、上記した1サイクル中の混合原料をO1とO2の2層とする場合であるが、3層以上でも問題はなく、隣り合う層、すなわちnを自然数とした時、OnおよびOn+1が、以下のO1およびO2の関係を満足すれば、本発明の効果が得られる。また、炉頂バンカーの数も特に制限されず、同一の炉頂バンカーから複数回の切り出しを行うこともできる。
本発明においては、上記分割回数に特に制限はないが、1サイクル中の層構造(装入回数)が多くなると、装入速度が小さくなるため、偏析をまねきやすく、20層を超えると極端に制御が複雑になるため、20層程度を上限とするのが好ましい。
そこで、本発明では、最初に原料を装入する炉頂バンカー12bから装入される原料O1の質量(WO1)に対して、続いて原料を装入する炉頂バンカー12cから装入された原料O2の質量(WO2)、すなわちWO2/WO1を1.1以下とすることが重要である。すなわち、WO2をWO1の1.1倍以下の装入量とすることで、WO2よりも前に装入された原料O1によって、次に装入される原料O2の炉内中心側への流れ込みを防止するのである。一方、WO2がWO1の1.1倍を超えると、流れ込みを防止する原料O1を利用した、いわゆるダム効果による流れ込み防止効果が発揮できず、装入された原料O1を崩壊させることになる。その結果、流れ込みによる原料O1およびO2が拡散することになって鉱石類原料とコークスとが分離し、混合の不均一性が生じる。
このように、本発明では、混合原料を2分割し、さらにその装入量を限定することで、上記混合率の不均一性が解消され、結果的に、コークス量が少なかったり、微粉炭の大量吹込み操業を実施したりする場合であっても、高炉内の通気性を確保できるのである。
WO2/WO1が0.5未満では、原料O2の装入範囲が限られ、かえって装入時に不均一性が増加するので、WO2/WO1は、0.5〜1.1の範囲とするのである。好ましくは、0.5〜1.0として、原料O1と原料O2を最大でも等量として装入し、流れ込みの発生を防止する。望ましくは、原料O1より原料O2の装入量を適量減じて、流れ込み発生を防止する0.5〜0.95の範囲とする。
なお、本発明では、上記WO2/WO1の値を満足することが重要であるが、具体的な値としては、5000m3の高炉においてはWO1が80〜110トン(t)程度、WO2が55〜110トン(t)程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
これは、θO2をθO1より大きくし、後に装入される原料であるO2が傾斜側壁の上端側に装入することができるからである。
なお、本発明では、上記関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、θO1が30〜40度程度、θO2が35〜45度程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
これは、θO2をθO1より大きくし、後に装入される原料であるO2が傾斜側壁の上端側に装入することができるからである。
なお、本発明では、上記関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、θO1MAXは35〜40度程度の範囲とすることが望ましい。
これは、炉容積の大きい炉壁周辺の通気性を改善することで、高炉全体の通気性を確保するためである。
なお、本発明では、上記関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、O1CKが5〜15質量%程度、O2CKが10〜20質量%程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
これは、O2CKをO1CKより大きくし、後に装入され原料であるO2が傾斜側壁の上端側に装入して炉容積の大きい炉壁周辺の通気性を改善することで、高炉全体の通気性を確保するためである。
このように、コークス層並びに混合層O1およびO2で構成される層を順次積層することにより、高炉10内の軸心部および炉壁部には通気抵抗の小さいコークス層が高炉下部から高炉上部に向かって形成され、その間にコークスと鉱石類原料とが完全混合された混合層O1およびO2が形成される。
このため、溶融層の上部側に鉱石類原料が軟化した融着帯が形成され、この融着帯の上部側で鉱石類原料の還元が行われる。
このとき、図4の右半部に示すように、高炉10の下部では、混合層O1およびO2において、鉱石類原料とコークスとが完全混合されて、鉱石類原料間にコークスが入り込んだ状態となり、通気性が改善されるとともに、高温ガスが直接鉱石類原料間を通過するため伝熱遅れがなく伝熱特性を改善することができる。
このときの還元反応は、FeO+CO=Fe+CO2で表される。
また、ガス化反応は、C+CO2=2COで表される。
しかしながら、本実施形態では、前述したように、コークス層およびコークスと鉱石類原料とを完全混合した混合層O1およびO2とで形成される装入層を積層したので、混合層でコークススリットが形成されることがなく、ガス流れを均一化して、良好な伝熱性を確保して安定的な通気改善が可能となり、上記従来例の問題点を解決することができる。
この実験装置は、円筒状の炉体31の内周面に炉芯管32を配置し、この炉芯管32の外側に円筒状の加熱用ヒーター33を配置する。炉芯管32の内側には耐火物で構成された円筒体34の上端に黒鉛製るつぼ35を配置し、このるつぼ35内に装入原料36が装入されている。この装入原料36には、高炉下部の融着層と同程度の状態となるように、パンチ棒37を介して連結した荷重負荷装置38により上部から荷重を負荷する。円筒体34の下部には、滴下物サンプリング装置39が設けられている。
ここで、るつぼ35内に装入された装入原料36としては、以下に示すものを用いた。
なお、高炉の一日当たりの出銑量(t/d)を炉内容積(m3)で除した値である出銑比、およびO1の質量比率(%)、O1の平均装入角度(度)、O1の最大装入角度(度)、O1中のコークス比率(質量%)、O2の質量比率(%)、O2の平均装入角度(度)、O2中のコークス比率(質量%)は、いずれも表1に示したとおりである。
また、それぞれの場合における操業結果を、表1に比較して併記する。
還元材比は、コークス比と微粉炭比の総和である。
ガス利用率は、炉頂におけるCO2とCOとの濃度の比であり、次式により算出する。
ガス利用率=CO2/(CO2+CO)×100
ここで、CO2は炉頂CO2濃度[%]
COは炉頂CO濃度[%]
また、ΔP/Vは高炉内での通気抵抗を指数化した指標であり、次式により算出する。
ΔP/V=(BP−TP)/BGV
ここで、BPは送風圧力[Pa]
TPは炉頂圧力[Pa]
BGVはボッシュガス量[m3(標準状態)/min]
また、同表に示したように、コークスの混合率を前述した14質量%以上に設定することによって、低コークス比とした低還元材比においても、通気抵抗を低滅できることが実証された。
12a〜12c 炉頂バンカー
13 流量調整ゲート
14 集合ホッパー
15 ベルレス式装入装置
16 旋回シュート
31 炉体
32 炉芯管
33 加熱用ヒーター
34 円筒体
35 黒鉛製るつぼ
36 装入原料
37 パンチ棒
38 荷重負荷装置
39 滴下物サンプリング装置
40 ガス混合装置
41 ガス分析装置
42 熱電対
Claims (6)
- 焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料およびコークスの高炉装入原料を、高炉の炉頂に配設した少なくとも2つの炉頂バンカーと、該炉頂バンカーの排出口に配設されて該炉頂バンカーから排出される原料を混合して旋回シュートに供給する集合ホッパーと、該旋回シュートとを用いて、高炉内へ装入するに際し、
最初に原料を装入する炉頂バンカーから装入された混合原料をO1、続いて原料を装入する他の炉頂バンカーから装入された混合原料をO2としたとき(ただし、O1とO2が同一の原料である場合を除く)、該O2の質量が該O1の質量の1.1倍以下とする高炉への原料装入方法。 - 前記O2の質量をWO2(t)とし、前記O1の質量をWO1(t)としたとき、WO2/WO1が0.5〜1.1の範囲を満足する請求項1に記載の高炉への原料装入方法。
- 前記O2を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する平均角度をθO2(度)とし、前記O1を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する平均角度をθO1(度)としたとき、θO1≦θO2の関係を満足する請求項1または2に記載の高炉への原料装入方法。
- 前記O1を装入する際の前記旋回シュートの垂直方向に対する最大の旋回角度をθO1MAX(度)としたとき、前記θO2と、θO1MAX≦θO2の関係を満足する請求項3に記載の高炉への原料装入方法。
- 前記O2に対して混合されるコークスの比率をO2CK(質量%)とし、前記O1に対して混合されるコークスの比率をO1CK(質量%)としたとき、O1CK≦O2CKの関係を満足する請求項1〜4のいずれかに記載の高炉への原料装入方法。
- 前記O2CKと前記O1CKとの比、O2CK/O1CKが1.0〜2.0の範囲を満足する請求項5に記載の高炉への原料装入方法。
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