JP5920459B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents
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Description
この融着帯の通気性が高炉全体の通気性に大きく影響を及ぼしており、高炉における生産性を律速している。低コークス操業を行う場合、使用されるコークス量が減少することからコークススリットが非常に薄くなることが考えられる。
例えば、特許文献1においては、ベルレス高炉において、鉱石ホッパーのうち下流側の鉱石ホッパーにコークスを装入し、コンベア上で鉱石の上にコークスを積層し、炉頂バンカーに装入して、鉱石とコークスとを旋回シュートを介して高炉内に装入するようにしている。
そこで、発明者らは、従来、鉱石類原料層とコークス層としてそれぞれ交互に装入していたコークス層相当量のコークスを鉱石類原料層中に完全に混合した混合層として炉内装入を試みた。
その結果、鉱石類原料とコークスとを完全混合層として装入した場合、チャージ数が増加した場合に良好な通気性が得られない場合があることが判明した。
1.焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料及びコークスの高炉装入原料を、旋回シュートを用いて高炉内へ装入する高炉操業方法において、
前記高炉装入原料の高炉内への装入方式として、鉱石類原料とコークスの完全混合層を形成する装入方式と、コークス層のみを形成する装入方式の二通りの方式を用意し、これらの装入方式を適宜切り替えて炉内装入を行うものとし、その際、
(1) 粒径が30〜55mmのコークスと粒径が10〜30mmの鉱石類原料を用い、かつこれらの粒径比(コークスの粒径/鉱石類原料の粒径)を1.0〜5.5とし、
(2) コークス層の層厚は、高炉下部の最も炉半径が大きくなる高さレベルにおいて150〜300mmとし、
(3) 完全混合層1層当たりの層厚は、炉上部に装入した時点で1300〜1500mmとし、かつ完全混合層中におけるコークスの割合は、(コークス量/鉱石類原料量)比で7〜25質量%とし、
(4) 完全混合層少なくとも2層に1層の割合でコークス層を周期的に形成する
ことを特徴とする高炉への原料装入方法。
図1は、本発明による高炉への原料装入方法の一実施形態を模式的に示す図である。
図中、符号1は、焼結鉱、ペレット及び塊状鉱石の少なくとも一つからなる鉱石類原料2を貯蔵する鉱石類原料ホッパー、3はコークス4を貯蔵するコークスホッパーである。これら鉱石原料ホッパー1及びコークスホッパー3から所定比率で切出された鉱石類原料2及びコークス4は鉱石コンベア5によって上方に搬送されてリザービングホッパー6に鉱石類原料2及びコークス4が混合されて高炉装入原料7として貯留される。このリザービングホッパー6から切出された高炉装入原料7は装入コンベア8によって高炉10の炉頂に搬送され、レシービングシュート11を介して複数例えば3つの炉頂バンカー12a〜12cの1つ例えば12bに投入されて貯留される。なお、炉頂バンカー12bに貯留される鉱石類原料及びコークスの混合原料は、コークス量が全コークス量の30質量%以下となるように調整されている。
このとき、混合させるコークス量が全コークス量の30質量%以下であれば、炉頂バンカー12bに貯留された時点で、コークスと鉱石類原料とで大きな偏析を生じることはなく、旋回シュート16によって形成される鉱石類原料とコークスとの混合層の混合率を略均一にすることができる。
しかも、炉頂バンカー12bから混合原料を排出する際の排出順序は、図2に示すように、高炉の中心軸に近い排出口12gに近い位置から上方に順次移動し、その後高炉の中心軸から外側に離れる方向に移動し、最後に傾斜側壁12hの上端側が排出される。
従って、鉱石類原料とコークスとを完全混合層として高炉内に装入した場合には、原料の偏析に起因して炉内通気性の悪化が懸念される。
従って、鉱石類原料とコークスとの粒径差やそれぞれの粒度分布に起因して、融着帯においてガス流れが変動し、やはり炉内通気性の悪化を招くおそれがある。
ここに、鉱石類原料やコークスの粒径に起因した炉内通気性の悪化を回避するには、鉱石類原料の粒径は10〜30mm、コークスの粒径は30〜55mmとすることが好ましく、さらにこれらの粒径比(コークスの粒径/鉱石類原料の粒径)を1.0〜5.5程度とすることが好適である。
これに対し、鉱石類原料中にコークスを混ぜて混合層として炉内に装入した場合、混合層中におけるコークスは融着層の通気性を大幅に改善する効果を有するものの、コークスの混合量を増加して完全混合層とした場合には、前述したとおり、炉頂バンカー内貯留時に生じた偏析や、装入原料の粒径差および粒度分布に起因して、炉内通気性が悪化するおそれがある。
圧力偏差={(所定レベル間の圧力差の標準偏差)/(所定レベル間の圧力差の平均値)}×100(%)
そして、圧力偏差のしきい値を例えば5%に設定し、実際の圧力偏差が5%を超えた場合に、炉内通気性に悪化が生じたと判断した。
これに対し、完全混合層の混合層3層に1層の割合でコークス層を周期的に形成したところ、何ら通気性の悪化は生じないことが確認された。
それ故、本発明では、安全性を見込んで、少なくとも完全混合層の混合層2層に1層の割合でコークス層を周期的に形成することにしたのである。
実際には、コークス層の形成は、完全混合層の混合層3〜5層に1層の割合で十分である。
また、完全混合層1層当たりの層厚は、炉上部に装入した時点で1300〜1500mm程度とするのが好ましい。なお、完全混合層中におけるコークスの割合は、(コークス量/鉱石類原料量)比で7〜25質量%、より好ましくは10〜15質量%とするのが好ましい。(コークス量/鉱石類原料量)比が上記の範囲を逸脱すると、いずれの場合も混合層中の通気性は悪化する。また、混合層中におけるコークスの好適割合を全コークス量に対する比率に換算すると約20〜95%となる。
なお、この例で、炉頂バンカー12bには鉱石類原料及びコークスの混合原料が、また炉頂バンカー12aにはコークスのみが、さらに炉頂バンカー12cには鉱石類原料のみが、それぞれ貯留されている。
また、旋回シュート16は、高炉10の軸心を中心に旋回すると同時に高炉10の軸心部から炉壁側へ向かって傾動するように逆傾動制御される、いわゆる逆傾動制御方式で原料装入を行う場合について説明する。
さらに、高炉の軸心部に中心コークス層を形成する場合について説明する。
すなわち、旋回シュート16が略垂直状態に傾動している状態では、炉頂バンカー12b及び12cの流量調整ゲート13を閉じ、炉頂バンカー12aのみの流量調整ゲート13を開き、この炉頂バンカー12aに貯留されているコークスのみを旋回シュート16に供給することによって、図5に示すように、軸心部に中心コークス層17を形成する。
なお、中心コークス層を形成するために装入されるコークス量は、1チャージ当たりのコークス装入量の5〜30質量%程度とするのが好ましい。というのは、軸心部へのコークス装入量が5質量%に満たないと軸心部周辺の通気性の改善が十分でなく、一方30質量%より多いコークスを軸心部に集中させた場合には、混合層に使用するためのコークス量が低下するだけでなく、軸心部をガスが流れすぎてやはり炉体からの抜熱量が増加するからである。好ましくは1チャージ当たりのコークス装入量の10〜20質量%程度とする。また、1チャージ当たりのコークス装入量とは、コークス層の層厚が、高炉下部の最も炉半径が大きくなる高さレベルにおいて、コークス層厚みが150〜300mm確保できる量である。
あるいは前述の中心コークス層の形成に引き続いて、各炉頂バンカーから同時に、コークスと鉱石類原料及び/又は混合原料とを排出し、集合ホッパー14で混合したのち、旋回シュート16に供給することによって、中心コークス層17の外側で、かつコークススリット18の上面に鉱石類原料とコークスとの混合層19を形成する。
すなわち、この場合には、炉頂バンカー12aだけでなく、残りの炉頂バンカー12cの流量調整ゲート13を所定の開度で開き、炉頂バンカー12aから排出されるコークスと、炉頂バンカー12cから排出される鉱石類原料とを同時に集合ホッパー14へ供給し、この集合ホッパー14でコークスと鉱石類原料を混合し、混合原料としてから旋回シュート16に供給する。その結果、高炉10内の中心コークス層17の外側でコークススリット18の上面には、コークスと鉱石類原料とが略均一な混合率となった混合層19が形成されるのである。
上記したような完全混合層19を複数層(この例で2層)にわたって形成する。
すなわち、コークスのみを貯留した炉頂バンカー12aからコークスを排出して、所望厚みのコークス層18を形成する。
そして、上記のような2種類の炉内装入方式を適宜切り替えながら、高炉操業を継続するのである。
すなわち、完全混合層を5層連続して形成したのち、コークス層を1層形成する方式で、高炉装入原料の炉内装入を継続し、その時の圧力偏差について調査した。なお、圧力偏差のしきい値は5%に設定した。
その結果、シャフト圧力の測定期間を通じて、圧力偏差が5%を超えることは一度もなく、良好な炉内通気性が達成されていることが確認された。
2 鉱石類原料
3 コークスホッパー
4 コークス
5 鉱石コンベア
6 リザービングホッパー
7 高炉装入原料
8 装入コンベア
10 高炉
11 レシービングシュート
12a〜12c 炉頂バンカー
13 流量調整ゲート
14 集合ホッパー
15 ベルレス式装入装置
16 旋回シュート
17 中心コークス層
18 コークス層
19 混合層
Claims (3)
- 焼結鉱、ペレット、塊状鉱石などの鉱石類原料及びコークスの高炉装入原料を、旋回シュートを用いて高炉内へ装入する高炉操業方法において、
前記高炉装入原料の高炉内への装入方式として、鉱石類原料とコークスの完全混合層を形成する装入方式と、コークス層のみを形成する装入方式の二通りの方式を用意し、これらの装入方式を適宜切り替えて炉内装入を行うものとし、その際、
(1) 粒径が30〜55mmのコークスと粒径が10〜30mmの鉱石類原料を用い、かつこれらの粒径比(コークスの粒径/鉱石類原料の粒径)を1.0〜5.5とし、
(2) コークス層の層厚は、高炉下部の最も炉半径が大きくなる高さレベルにおいて150〜300mmとし、
(3) 完全混合層1層当たりの層厚は、炉上部に装入した時点で1300〜1500mmとし、かつ完全混合層中におけるコークスの割合は、(コークス量/鉱石類原料量)比で7〜25質量%とし、
(4) 完全混合層少なくとも2層に1層の割合でコークス層を周期的に形成する
ことを特徴とする高炉への原料装入方法。 - 前記コークス層の形成を、完全混合層3〜5層に1層の割合で周期的に行うことを特徴とする請求項1に記載の高炉への原料装入方法。
- 前記高炉装入原料を高炉内に装入するに際し、高炉の軸心部に中心コークス層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の高炉への原料装入方法。
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