JP5601239B2 - 車載システム、マスタecuおよび診断ツール - Google Patents

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Description

本発明は、車載システム、車両ローカル時間を送信するマスタECU、および診断ツールに関するものである。
従来、複数のECU(電子制御ユニット)が搭載された車載システムにおいて、故障の発生等のイベント発生時にダイアグコード等の診断情報を不揮発性記憶媒体に記録しておき、後に車両の整備工場等において、診断ツールで診断情報を読み出す技術が知られている。
この際、診断情報とともにイベント発生時の時間情報を記録することで、診断ツールにおいてイベント発生時の時刻を特定することが可能となっている。
具体的には、特許文献1では、時刻を管理する時刻管理ユニットが、図6に示すような、IGオンの回数を示すトリップ番号および最後のIG(主電源の一例に相当する)オンからの経過時間から成る時刻情報を他のECUに提供し、他のECUは、提供された最新の時刻情報と診断情報を対応付けて不揮発性記憶媒体に記録するようになっている。
ここで、図7に示すように、経過時間はIGオンの度にゼロにリセットされる。したがって、例えば時刻b1にあるECUに故障が発生し、診断情報が時刻情報と共に記録されても、実際に車両を整備工場等に運び込まれて診断ツールで診断するまでに、ほぼ必ずIGオフ→オンが実行される。したがって、トリップ番号+最後のIGオンからの経過時間のみでは、何月何日何時何分何秒に故障が発生したか、すなわち、故障発生の絶対時刻がわからない。
これに対応するため、特許文献1では、絶対時刻を計測するための装置(GPS受信機、電波時計、クオーツ時計)を車載システムに搭載しておき、IGオンおよびIGオフの絶対時刻を記録するようになっている。
特開2010−173615号公報
しかし、上記特許文献1のような車載システムでは、整備工場等での診断時にイベント発生時の絶対時刻を特定するには、絶対時刻を計測するための装置が必須となるので、車載システムに課される要件が強くなり、システムが複雑化する。また、絶対時刻を計測する装置が無い場合はトリップ番号+最後の主電源オンからの経過時間のみとなる為、何月何日何時何分何秒に故障が発生したかを探るのが困難である。本発明は上記点に鑑み、イベント発生時の診断情報と時刻情報とを共に記録する車載システムにおいて、絶対時刻を計測するための装置がなくても、後の診断時に、従来よりも高い確率でイベント発生時の絶対時刻を特定することができる技術を提供することを目的とする。
繰り返し車両ローカル時間を受信し、診断情報を記録する必要が発生したことに基づいて、受信した最新の車両ローカル時間と前記診断情報とを対応付けて記憶媒体に記録するスレーブECU(12〜14)に対し、車両ローカル時間を繰り返し送信する車載のマスタECUであって、時間の経過に応じた刻みでマスタ側記憶媒体中の経過時間情報(21)の値を変化させ、前記車両の主電源のオンがあった場合もオフがあった場合も、前記時間の経過に応じた刻みで前記経過時間情報(21)の値の変化を継続させ、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、新たに値が初期値の前記経過時間情報(21)を前記マスタ側記憶媒体に記録する経過時間情報変化制御手段(160〜180)と、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、マスタ側保持用記憶媒体中の有効判定情報(22)の値を変化させる有効判定情報変化制御手段(125、130、135)と、前記経過時間情報(21)および前記有効判定情報(22)を含む前記車両ローカル時間(20)を生成して前記スレーブECU(12〜14)に繰り返し送信する送信手段(190)と、を備えたマスタECUである。
このように、マスタECUは、スレーブECU(12〜14)に送信する車両ローカル時間(20)中の経過時間情報(21)に関して、時間の経過に応じた刻みで経過時間情報(21)の値を変化させ、車両の主電源のオンがあった場合もオフがあった場合も、当該時間の経過に応じた刻みで経過時間情報(21)の値の変化を継続させる。
したがって、スレーブECU(12〜14)において診断情報が経過時間と共に記録された後、実際に車両を整備工場等に運び込まれて診断ツールで診断するまでに、主電源のオフ、オンがあったとしても、その主電源のオン、オフによって経過時間がリセットされてしまったがために故障発発生の絶対時刻がわからないという事態が発生する可能性を低減することができる。すなわち、従来よりも高い確率でイベント発止時の絶対時刻を特定することができる。
マスタECUがリセットから復帰した場合は、作動していなかった時間がどれだけ長かったかがわからないので、最後に作動していたときの経過時間情報(21)を引き続き使用すれば、経過時間情報(21)が正しい時間変化を表さなくなってしまう。そこで、上記のように、経過時間情報(21)が、マスタECUのリセットによってデータが失われる揮発性記憶媒体に記録する。
そして更に、マスタECUは、リセットから復帰したことに基づいて、新たに値が初期値の経過時間情報(21)を当該揮発性記憶媒体に記録することで、経過時間情報(21)が、リセット復帰時点からの正しい時間経過を表すようになる。
また更に、マスタECUは、経過時間情報(21)とは別に、マスタECUのリセットがあっても記憶内容を保持する不揮発性記憶媒体に有効判定情報(22)を記憶し、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、当該揮発性記憶媒体中の有効判定情報(22)の値を変化させ、スレーブECU(12〜14)に繰り返し送信する車両ローカル時間(20)に、経過時間情報(21)のみならず有効判定情報(22)を含む車両ローカル時間(20)を生成して前記スレーブECU(12〜14)に繰り返し送信する。
これにより、スレーブECU(12〜14)では、経過時間情報(21)のみならず有効判定情報(22)を診断情報と共に記憶媒体に記録することになるので、マスタECUのリセット復帰前に記録された診断情報と、リセット復帰後に記録された診断情報とを区別することができる。
また、請求項に記載の発明は、 車両に搭載される車載システムであって、前記車両の主電源オン時にもオフ時にも作動するマスタECU(11)と、スレーブECU(12〜14)と、を備え、前記マスタECU(11)は、時間の経過と共に値が変化するデータである経過時間情報(21)をマスタ側記憶媒体に記憶しており、時間の経過に応じた刻みで前記経過時間情報(21)を変化させ、前記車両の主電源のオンがあった場合もオフがあった場合も、前記時間の経過に応じた刻みで前記経過時間情報(21)の値の変化を継続させ、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、新たに値が初期値の前記経過時間情報(21)を前記マスタ側記憶媒体に記録し、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、マスタ側保持用記憶媒体中の有効判定情報(22)の値を変化させ、前記経過時間情報(21)および前記有効判定情報(22)を含む車両ローカル時間(20)を生成して前記スレーブECU(12〜14)に繰り返し送信し、
前記スレーブECU(12〜14)は、前記マスタECU(11)から送信された車両ローカル時間(20)を受信して最新の車両ローカル時間(20)とし、診断情報を記録する必要が発生したことに基づいて、前記最新の車両ローカル時間(20)と前記診断情報を対応付けてスレーブ側保持用記憶媒体に記録することを特徴とする車載システムである。このように、マスタECU(11)と、スレーブECU(12〜14)とを備えた車載システムとしても、本発明を捉えることができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の前記車載システムに接続される診断ツールであって、絶対時刻を計測する計時装置と、制御回路と、診断者に診断情報と時刻情報を提供する情報提供装置を備え、前記制御回路は、前記スレーブECU(12〜14)から、前記スレーブ側保持用記憶媒体に互いに対応付けられて記録された前記診断情報および前記車両ローカル時間(20)を受信し、また、前記車載システムから、最新の経過時間情報(21)および最新の有効判定情報(22)を受信し、当該最新の有効判定情報(22)の値と、受信した前記車両ローカル時間(20)に含まれる有効判定情報(22)の値とが同じであるか否かを判定し、同じであると判定すれば、受信した前記最新の経過時間情報(21)の値と、受信した前記車両ローカル時間(20)に含まれる経過時間情報(21)の値と、の差に相当する時間(d2)を算出し、前記計時装置から現在の絶対時刻を取得し、取得した前記現在の絶対時刻から前記時間(d2)を減算した結果の絶対時刻を前記情報提供装置に提供させることを特徴とする診断ツールである。
これによって、車両のユーザが、「○月○日○ 時○ 分頃、□□できなかった」という問い合わせを受けた場合も、この診断ツールを用いることで、診断情報が記録された絶対時刻を知ることができるので、ユーザの問い合わせに的確に対応して原因を特定することが容易になる。また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の診断ツールにおいて、前記制御回路は、前記スレーブECU(12〜14)から、前記スレーブECU(12〜14)の前記スレーブ側保持用記憶媒体に互いに対応付けられて記録された前記診断情報および前記車両ローカル時間(20)を受信し、また、前記車載システムから、最新の経過時間情報(21)および最新の有効判定情報(22)を受信し、当該最新の有効判定情報(22)の値と、受信した前記車両ローカル時間(20)に含まれる有効判定情報(22)の値とが同じであるか否かを判定し、同じでないと判定すれば、前記車両ローカル時間(20)を前記情報提供装置に表示させることを特徴とする。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態に係る車載システム1の構成図である。 車両ローカル時間20の構成を示す図である。 マスタECUが実行する車両ローカル時間生成・送信処理のフローチャートである。 スレーブECUが実行する受信・記録処理のフローチャートである。 経過時間情報21および有効判定情報22の経時変化のグラフである。 従来の時刻情報の構成を示す図である。 従来のトリップ番号および経過時間の推移を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車載システム1の構成図を示す。車載システム1は、車両に搭載され、車両の各部(例えば、パワートレイン、制動装置、エアバッグ等の安全装置、利便/快適制御装置等)を制御するためのシステムである。
車載システム1は、電子制御ユニット(ECU)として、マスタECU11および複数のスレーブECU12〜14を備えており、また、これらECU11〜14間の通信を媒介する通信線として車内LAN15(例えば、CAN、FlexRay)を備えている。ECU11〜14は、この車内LAN15を介して互いに通信可能である。
マスタECU11は、車内LAN15を介して後述する車両ローカル時間を生成してスレーブECU12〜14等に繰り返し定期的に送信するECUである。スレーブECU12〜14は、マスタECU11から送信された車両ローカル時間を自機の内部の時刻として使用するECUである。
マスタECU11は、車両のIG(車両の主電源の一例に相当する)のオン時にもオフ時にもバッテリからバックアップ電力の供給を受けて作動する+Bシステムである。このようなマスタECU11としては、本実施形態では、車両のヘッドランプおよび室内灯等を制御するメインボデーECUを採用してもよい。メインボデーECUは+Bシステムであり、車両への搭載率が高く、保持用記憶媒体を備えているからである。ここで、保持用記憶媒体とは、保持用記憶媒体を備えるECUに電源が供給されなくても有効判定情報を保持する記憶媒体であり、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体、S−RAM等である。
スレーブECU12〜14のそれぞれは、+Bシステムであってもよいし、車両のIGオン時にはバッテリから電力供給を受けて作動し、車両のIGオフ時にはバッテリから電力供給を受けずに作動を停止するIGシステムであってもよいし、車両のACCオン時にはバッテリから電力供給を受けて作動し、車両のACCオフ時にはバッテリから電力供給を受けずに作動を停止するACCシステムであってもよい。
本実施形態では、スレーブECU12およびスレーブECU13は、パワートレインを制御するECUであり、スレーブECU13が、ボデー系の機器を制御するECUであるとする。パワートレインを制御するECUとしては、例えば、エンジンへの燃料供給量および燃料噴射タイミング等を制御するエンジンECU、トランスミッションを制御するトランスミッションECU等がある。ボデー系の機器は、利便/快適制御装置に属し、例えば、ドアロック機構、ドアミラー角度調整機構等がある。
ECU11〜14のそれぞれのハードウェア構成は、車内LAN15と接続するための通信インターフェース回路と、フラッシュメモリ等の保持用記憶媒体と、制御回路を備えている。
制御回路は、CPU、揮発性記憶媒体であるRAM、ROM、タイマ、I/Oを備えた周知のマイクロコンピュータで実現する。このCPUは、ROMに記録されているプログラムを実行し、必要に応じてRAM、保持用記憶媒体を対象としてデータの書き込みおよび読み出しを行い、通信インターフェース回路を用いて車内LAN15を介した通信を行い、また、必要に応じてセンサ(図示せず)から検出信号を取得し、自機が制御する対象のアクチュエータ(図示せず)を制御する。
例えば、マスタECU11は、ヘッドランプの点灯、消灯を切り替えるためにドライバが操作するヘッドランプ操作部、室内灯の点灯、消灯、自動制御を切り替えるためにドライバが操作する室内灯操作部、ドアの開閉を検出するドア開閉センサ等のセンサから検出信号を取得し、ヘッドランプ操作部から受けた検出信号に応じてアクチュエータであるヘッドランプを制御し、また、室内灯操作部およびドア開閉センサからの検出信号に応じてアクチュエータである室内灯を制御する。
また例えば、スレーブECU12は、アクセル開度センサ、エンジン冷却水温センサ、エンジン回転数センサ、車速センサ等のセンサから検出信号を取得し、これらセンサから取得した検出信号に応じて、アクチュエータであるエンジンスロットルバルブ調整機構および燃料噴射機構を制御する。
また例えば、スレーブECU13は、車速センサ、ドライブレンジセンサ、エンジン回転数センサ等のセンサから検出信号を取得し、これらセンサから取得した検出信号に応じて、アクチュエータであるトランスミッションを制御する。
また例えば、スレーブECU14は、ドアロック操作部およびミラー角度調整操作部等のセンサから検出信号を取得し、これらセンサから取得した検出信号に応じて、アクチュエータであるドアロック機構およびドアミラー角度調整機構を制御する。
なお以下では、各ECUにおいて制御回路のCPUが実行する処理を、当該ECUが実行する処理として説明する。
また、本実施形態では、車両ローカル時間が、車載システム1の各ECU11〜14において統一的に用いられる時刻となる。この車両ローカル時間は、マスタECU11が繰り返し定期的に生成し、マスタECU11からスレーブECU12〜14に繰り返し定期的に送信される。そして、マスタECU11およびスレーブECU12〜14は、診断情報の記録時には、当該診断情報と最新の車両ローカル時間とを対応付けて記録するようになっている。
また、各ECU11〜14において記録された診断情報と車両ローカル時間との組は、整備工場等において車内LAN15に診断ツール2が接続されたとき、車内LAN15を介して各ECU11〜14から診断ツール2に送信されるようになっている。
そして、マスタECU11は、図2に示すように、車両ローカル時間20のデータを記憶媒体(RAMおよび保持用記憶媒体)に記憶するようになっている。具体的には、車両ローカル時間20は、経過時間情報21および有効判定情報22を含み、マスタECU11は、経過時間情報21をRAMに記憶し、有効判定情報22を保持用記憶媒体に記憶している。
経過時間情報21は、時間経過と共に値が巡回順序に沿って1秒単位で増加する22ビット長の経過時間情報計測用のデータであり、LSBが1秒を表す。有効判定情報22は、マスタECU11のリセット(より具体的には、マスタECU11の制御回路のCPUのリセット)毎に値が巡回順序に沿って増加する2ビット長のデータであり、LSBが1回のリセットを表す。
ここで、診断ツール2の構成について説明する。診断ツール2は、車内LAN15と接続してECU11〜14と通信するための通信インターフェースと、ユーザの操作を受け付けるボタン等の操作部と、情報を表示するディスプレイ(診断者に診断情報と時刻情報を提供する情報提供装置の一例に相当する)と、絶対時刻(年、月、日、時間、分、秒を表す暦時刻、協定世界時(UTC)等)を計測する計時装置と、制御回路とを備えている。
制御回路は、CPU、RAM、ROM、I/Oを備えた周知のマイクロコンピュータで実現する。このCPUは、ROMに記録されているプログラムを実行し、必要に応じてRAM、保持用記憶媒体を対象としてデータの書き込みおよび読み出しを行い、通信インターフェース回路を用いて車内LAN15を介してECU11〜14と通信を行い、また、操作部からユーザの操作に応じた信号を取得し、ディスプレイに情報を表示させ、計時装置から現在の絶対時刻を取得することで、後述する作動を実現する。以下、このCPUが実行する処理を、診断ツール2が実行する処理として記載する。
なお、車載システム1は、GPS受信機、電波時計、クオーツ時計等の絶対時刻を計測するための計時装置を有していないか、あるいは、有していても当該計時装置を利用しない。
以下、車載システム1の作動について説明する。マスタECU11は、CPUが所定のプログラムを実行することにより、図3の車両ローカル時間生成・送信処理を実行するようになっている。マスタECU11は、マスタECU11のリセット直後、および車両のIGがオフからオンなった直後のそれぞれにおいて、この車両ローカル時間生成・送信処理の実行を開始するようになっている。マスタECU11がリセットする場合としては、マスタECU11の処理がフェールセーフ処理によりリセットが発生した場合がある。マスタECU11が作動開始する場合としては、例えば、マスタECU11が車両のバッテリから切り離され、その後、再度車両のバッテリに接続されて起動する場合がある。
また、スレーブECU12〜14のそれぞれは、当該スレーブECUの作動開始時に、図4の受信・記録処理を実行するようになっている。なお、マスタECU11およびスレーブECU12〜14のそれぞれは、図3、図4の処理と並列的に、他の処理(例えば、エンジン制御のための処理、ブレーキ制御のための処理、空調制御のための処理)を実行するようになっている。
まず、マスタECU11は、車両ローカル時間生成・送信処理の実行を開始すると、まずステップ100で、保持用記憶媒体からRAMまたはCPUのレジスタ(これも揮発性メモリの一例である)への有効判定情報22の読み出しを試みる。
続いてステップ103では、読み出しに成功したか失敗したかを判定し、成功したと判定した場合は続いてステップ120に進み、失敗したと判定した場合は続いてステップ105に進む。
読み出しに失敗する場合は、例えば、保持用記憶媒体の故障、妨害電波等による一時的な誤作動の異常発生時である。通常の場合は、読み出しに成功する。
読み出しに成功した場合のステップ120では、マスタECU11がリセットから復帰した直後であるか否かを判定する。マスタECU11のリセットがあると、RAM中のデータが失われるので、リセットから復帰した直後であるか否かは、RAMの内容(例えばRAM中に経過時間情報21が記録されているか否か)に基づいて判別可能であるが、リセット処理を実施したか否かに基づいて判断する事も可能である。
マスタECU11がリセットするのは、マスタECU11の処理が無限ループに陥った等の異常が発生した場合であるので、通常は、リセットから復帰した直後ではないと判定する。
ステップ120でリセットした直後でないと判定した場合は、ステップ140に進み、ステップ100で不揮発から読出しRAMに格納した有効判定情報22の値として保持用記憶媒体に書き込み、ステップ150に進む。あるいは、ステップ120でリセットした直後でないと判定した場合は、そのままステップ150に進んでもよい。
ステップ150では、制御回路に内蔵されているタイマを用いて、タイマによる計測時間が所定の基準時間(本実施形態では1000ミリ秒である)に達したか否かを判定し、達していないと判定した場合は再度ステップ150を実行し、達したと判定した場合はステップ160に進む。
なお、計測時間の起点は、ステップ150で計測時間が基準時間に達したと最後に判定した時点とするが、図3の処理の開始後、一度もステップ150で計測時間が基準時間に達したと判定していない場合は、図3の処理の開始後、始めてステップ150を実行した時点とする。これにより、基準時間経過毎に、ステップ150からステップ160に処理が進む。
ステップ160以降では、時間の経過に応じた刻みで巡回順序に沿ってRAM中の経過時間情報21の値を変化させる。「巡回順序に沿って変化させる」とは、22ビットの経過時間情報21の値を最小値から最大値まで1ずつ増加させ、最大値に達した次は、経過時間情報21の値を最小値に戻すことをいう。「時間の経過に応じた刻み」に対応する本実施形態の例は、「1秒につき1の刻み」である。
具体的には、マスタECU11は、ステップ160で経過時間情報21の値を1だけ増加させる。ただし、マスタECU11の起動直後またはリセット復帰直後でRAMに経過時間情報21が記録されていない場合は、新たに値が最小値の経過時間情報21をRAMに記録する。
続いてステップ170では、経過時間情報21の値がオーバーフローしているか否かを判定する。経過時間情報21の値が最大値のときに、経過時間情報21の値を1だけ増加させると、経過時間情報21の値がオーバーフローする。そして経過時間情報21の値がオーバーフローしたと判定した場合、ステップ180で、経過時間情報21の値を最小値にセットし、その後、ステップ190に進む。ステップ170で経過時間情報21の値がオーバーフローしていないと判定した場合、ステップ180をバイパスしてそのままステップ190に進む。
ステップ190では、上記のように時間の経過に応じた刻みで巡回順序に沿って値が変化した経過時間情報21と、保持用記憶媒体に記録している有効判定情報22の最新の値とを含む車両ローカル時間20を生成し、更に、この車両ローカル時間20がスレーブECU12〜14に届くよう、車両ローカル時間20に所定のブロードキャスト用の宛先IDを含め、インターフェース回路を用いて、この車両ローカル時間20を、車内LAN15に送出する。そしてその後、処理をステップ150に戻す。ただし、ステップ190で送信するのは、車両のIGがオンの場合のみであり、車両のIGがオフである場合は、送信を行なわず、ステップ150に処理を戻す。
また、スレーブECU12〜14のそれぞれは、図4の受信・記録処理において、まずステップ210で、マスタECU11から送信された車両ローカル時間20を、通信インターフェース回路を用いて車内LAN15から受信するまで待つ。
そして、車両ローカル時間20を受信すると、ステップ220に進み、受信した車両ローカル時間20を当該スレーブECU中における最新の車両ローカル時間20としてRAMに更新記録する。
続いてステップ230では、記録イベントが発生したか否かを判定する。記録イベントとは、診断情報を記録する必要があるイベントとしてあらかじめ定められたイベントである。記録イベントとしては、例えば、センサからの検出信号に基づいて故障が発生したというイベントでもよい。故障としては、例えば、エンジンの回転数が所定の通常範囲を逸脱した場合、ブレーキ圧が所定の通常範囲を逸脱したという場合等がある。多くの場合は、記録イベントが発生していないと判定し、その場合、処理はステップ210に戻る。
このように、スレーブECU12〜14では、マスタECU11との通信が可能なIGオンの間、定期的にマスタECU11から車両ローカル時間20を受信して(ステップ210)、内部の時刻を車両ローカル時間20に同期させる(ステップ220)。そして、自らこの車両ローカル時間20を変化させる処理は実行しないようになっている。
このようなマスタECU11およびスレーブECU12〜14の基本的な作動により、マスタECU11からスレーブECU12〜14に繰り返し定期的に1000ミリ秒周期で受け渡される車両ローカル時間20は、図5のグラフの時刻t0からt1に示すように、時間の経過に比例して、経過時間情報21が一定の増加率(1秒に1だけ増加)で増加していく。
なお、マスタECU11は、図3の処理の実行中に、車両のIGがオフからオンに変化した場合、処理をステップ100に戻すようになっている。
ここで、時刻t1においてマスタECU11のリセットが発生したとする。すると、マスタECU11では、図3の車両ローカル時間生成・送信処理が中断され、経過時間情報21がRAMから消失する。そして、マスタECU11は、すぐリセットから復帰し、図3の車両ローカル時間生成・送信処理を再度実行し始める。
このとき、ステップ100で通常は有効判定情報22の読み出しに成功し、続いてステップ103で読み出しに成功したと判定し、続いてステップ120でリセットから復帰した直後であると判定し、ステップ125に進む。
ステップ125以降では、巡回順序に沿って有効判定情報22の値を変化させる。「巡回順序に沿って変化させる」とは、2ビットの有効判定情報22の値を最小値から最大値まで1ずつ増加させ、最大値に達した次は、有効判定情報22の値を最小値に戻すことをいう。
具体的には、ステップ125では、ステップ100で読み出した有効判定情報22の値を1だけ増加させる。続いてステップ130では、有効判定情報22の値がオーバーフローしているか否かを判定する。有効判定情報22の値が最大値のときに、有効判定情報22の値を1だけ増加させると、有効判定情報22の値がオーバーフローする。そして有効判定情報22の値がオーバーフローしたと判定した場合、ステップ130で、有効判定情報22の値を最小値にセットし、その後、ステップ140に進む。ステップ130で有効判定情報22の値がオーバーフローしていないと判定した場合、ステップ135をバイパスしてそのままステップ140に進む。
ステップ140では、RAM中の変化後の有効判定情報22を、有効判定情報22の最新の値として、保持用記憶媒体に記録する。これによって、図5の時刻t1において、保持用記憶媒体中で、1だけ変化した有効判定情報22の値が有効判定情報22の最新値として更新される。
ステップ140に続いては、ステップ150で、計測時間が1000ミリ秒に達するまで待ち、さらにステップ160では、マスタECU11のリセット復帰直後でRAMに経過時間情報21が記録されていないので、新たに値が最小値(すなわち初期値)の経過時間情報21をRAMに記録する。そしてステップ160でオーバーフローしていないと判定し、ステップ190で、上記のようにセットされた経過時間情報21および有効判定情報22を含む車両ローカル時間20を送信する。
そして時刻t1の後、上述のマスタECU11およびスレーブECU12〜14の基本的な作動によって、図5に示すように、ECU11〜14における有効判定情報22が一定のまま、経過時間情報21が時間経過と共に増加していく。
なお、IGがオフで車内LAN15を用いた通信ができない場合であっても、マスタECU11は作動して図3の処理を行い、時間の経過に応じた刻みで経過時間情報21の値の変化を継続させ(ステップ160〜180)、また、リセットの発生に応じた有効判定情報22の変化を継続させる(ステップ120〜140)ので、車両ローカル時間20はIGオン時と代わらず時間の経過と共に変化する。以下では、有効判定情報22が同じ値で一定となる連続期間を、それぞれ時間群という。
ここで、時刻t2において、スレーブECU12で記録イベントが発生したとする。すると、スレーブECU12は、図4のステップ230で、記録イベントが発生したと判定し、続いてステップ240に進む。
ステップ240では、診断情報(例えばRAMのダンプ)を作成し、この診断情報を、RAMに記憶している最新の車両ローカル時間20に対応付けて、保持用記憶媒体に記録する。ステップ240の後、処理はステップ210に戻る。このとき診断情報と共に記録される車両ローカル時間20においては、経過時間情報21の値は図5の経過時間d0に相当する値であり、有効判定情報22の値は03である。
時刻t2の後も、上述のマスタECU11およびスレーブECU12〜14の基本的な作動によって、ECU11〜14における有効判定情報22が一定のまま、経過時間情報21が時間経過と共に増加していく。
そして、時刻t3において、経過時間情報21が最大値に達し、その1000ミリ秒後に、車両ローカル時間生成・送信処理(図3)のステップ160において、オーバーフローが発生したとする。するとマスタECU11は、ステップ170でオーバーフローが発生したと判定し、ステップ180に進み、経過時間情報21を最小値にセットする。この場合も、経過時間情報21は変化しない。
なお、経過時間情報21が最小値から最大値まで変化する時刻t1からt3までの期間の長さは、経過時間情報21が22ビット長で、LSBが1秒に相当するので、約48.5日である。
時刻t3の後も、上述のマスタECU11およびスレーブECU12〜14の基本的な作動によって、ECU11〜14における有効判定情報22が一定のまま、経過時間情報21が最小値から時間経過と共に増加していく。
その後、時刻t4においてマスタECU11のリセットが発生したとする。すると、マスタECU11は、時刻t1のときと同等の処理で、ステップ125に進み、ステップ100で読み出した有効判定情報22の値を1だけ増加させる。増加前の有効判定情報22の値は最大値(03)なので、この増加によって有効判定情報22がオーバーフローし、マスタECU11は、ステップ130で有効判定情報22の値がオーバーフローしていると判定し、ステップ130に進み、有効判定情報22の値を最小値(00)にセットし、ステップ140に進む。ステップ140以降の処理内容は、時刻t1の場合と同じである。
時刻t4の後も、上述のマスタECU11およびスレーブECU12〜14の基本的な作動によって、ECU11〜14における有効判定情報22が一定のまま、経過時間情報21が最小値から時間経過と共に増加していく。
その後、時刻t5において、スレーブECU13で記録イベント(例えば、スレーブECU13が制御する機器の故障)が発生したとする。すると、スレーブECU13は、図4のステップ230で、記録イベントが発生したと判定し、続いてステップ240に進む。
ステップ240では、診断情報(例えば、故障の種別を表す故障種別コード(DTC)およびスレーブECUの制御回路におけるRAMのダンプデータ(FFD))を作成し、この診断情報をRAMに記憶している最新の車両ローカル時間20対応付けて保持用記憶媒体に記録する。ステップ240の後、処理はステップ210に戻る。このとき診断情報と共に記録される車両ローカル時間20においては、経過時間情報21の値は図5の経過時間d1に相当する値であり、有効判定情報22の値は00である。
時刻t5の後も、上述のマスタECU11およびスレーブECU12〜14の基本的な作動によって、ECU11〜14における有効判定情報22が一定のまま、経過時間情報21が時間経過と共に増加していく。
そして、時刻t5の後、経過時間情報21が最大になる前に、車両が整備工場等に持ち込まれたとする。時刻t5で診断情報が記録されて後、整備工場に持ち込まれるまでの間に、車両のIGがオフになり、またオンされる場合がほとんどである。しかし、上述の通り、IGのオン、オフがあっても、時間の経過に応じた刻みで経過時間情報21の値の変化を継続させる。
そして、IGがオンの状態の時刻t6において、整備工場等で、診断ツール2が車内LAN15から車載システム1に接続され、診断ツール2の使用者(診断者)が、操作装置に対して、特定のスレーブECU(ここではスレーブECU13とする)の診断情報を読み出すための所定の操作を行ったとする。診断ツール2と車載システム1の接続は、有線による接続でもよいし、無線による接続でもよい。すると、診断ツール2は、インターフェース回路を用い、車内LAN15を介してスレーブECU13に読み出し命令を送信する。
この読み出し命令を自機のインターフェース回路を介して受信したスレーブECU13は、自機の制御回路のRAMに記録されている最新の車両ローカル時間20と、自機の保持用記憶媒体に記録されている診断情報およびそれに対応付けられた車両ローカル時間20と、を読み出し、自機のインターフェース回路を用い、車内LAN15を介して診断ツール2に対し、当該最新の車両ローカル時間20、診断情報、および当該診断情報に対応付けられた車両ローカル時間20(以下、記録時車両ローカル時間20という)を送信する。
このようにスレーブECU13から送信されたデータを自機のインターフェース回路を介して受信した診断ツール2は、最新の車両ローカル時間20中の有効判定情報22の値と、記録時車両ローカル時間20中の有効判定情報22の値とが同じであるか否かを判定し、同じであると判定すれば、最新の車両ローカル時間20中の経過時間情報21の値と記録時車両ローカル時間20中の経過時間情報21の値との差に相当する時間d2(図5参照)を算出する。
例えば、最新の車両ローカル時間20中の経過時間情報21の値が16進数表記で2FFFFで、記録時車両ローカル時間20中の経過時間情報21の値が16進数表記で2AFFFの場合は、これらの差に相当する時間d2が、20480秒(約5時間半)となる。
そして、計時装置から現在の絶対時刻を取得し、取得した絶対時刻から上記時間d2を減算した結果の絶対時刻を、当該診断情報が記録された絶対時刻としてディスプレイに表示させる。なおこの際、当該診断情報もディスプレイに表示させる。
なお、最新の車両ローカル時間20中の有効判定情報22の値と、記録時車両ローカル時間20中の有効判定情報22の値とが同じでない場合は、当該診断情報が記録された絶対時刻は不明となるので、その場合、診断ツール2は、記録時車両ローカル時間20をそのままディスプレイに表示させる。なおこの際、当該診断情報もディスプレイに表示させる。
このように、マスタECU11は、スレーブECU12〜14に送信する車両ローカル時間20中の経過時間情報21に関して、時間の経過に応じた刻みで経過時間情報21の値を変化させ、車両のIGのオンがあった場合もオフがあった場合も、当該時間の経過に応じた刻みで経過時間情報21の値の変化を継続させる。
したがって、スレーブECU12〜14において診断情報が経過時間と共に記録された後、実際に車両を整備工場等に運び込まれて診断ツールで診断するまでに、IGのオフ、オンがあったとしても、そのIGのオン、オフによって経過時間がリセットされてしまったがために故障発発生の絶対時刻がわからないという事態が発生する可能性を低減することができる。すなわち、従来よりも高い確率でイベント発止時の絶対時刻を特定することができる。
これによって、車両のユーザが、「○月○日○ 時○ 分頃、□□できなかった」という問い合わせを受けた場合も、診断ツール2を用いることで、診断情報と共にその診断情報が記録された絶対時刻を知ることができるので、ユーザの問い合わせに的確に対応して原因を特定することが容易になる。
なお、マスタECU11がリセットから復帰した場合は、作動していなかった時間がどれだけ長かったかがわからないので、最後に作動していたときの経過時間情報21を引き続き使用すれば、経過時間情報21が正しい時間変化を表さなくなってしまう。そこで、リセット復帰直後は経過時間情報を最小値にセットする。
そして更に、マスタECU11は、リセットから復帰したことに基づいて、新たに値が初期値の経過時間情報21を当該揮発性記憶媒体に記録することで、経過時間情報21が、リセット復帰時点からの正しい時間経過を表すようになる。
また更に、マスタECU11は、経過時間情報21とは別に、マスタECU11のリセットがあっても記憶内容を保持する保持用記憶媒体に有効判定情報22を記憶し、当該マスタECU11がリセットから復帰したことに基づいて、当該揮発性記憶媒体中の有効判定情報22の値を変化させ、スレーブECU12〜14に繰り返し送信する車両ローカル時間20に、経過時間情報21のみならず有効判定情報22を含む車両ローカル時間20を生成してスレーブECU12〜14に繰り返し送信する。
これにより、スレーブECU12〜14では、経過時間情報21のみならず有効判定情報22を診断情報と共に記憶媒体に記録することになるので、マスタECU11のリセット復帰前に記録された診断情報と、リセット復帰後に記録された診断情報とを区別することができる。
なお、マスタECU11による図3の車両ローカル時間生成・送信処理において、ステップ103で読み出しに失敗したと判定した場合は、ステップ105に進み、ステップ105では、車両ローカル時間20に所定のフェイル値(例えば、車両ローカル時間20が最大値の03hとなり、経過時間情報21が最大値の3FFFFEhとなる値)をセットする。ステップ105の後は、定期的に、具体的には1000ms周期で(ステップ110)、繰り返し当該フェイル値の車両ローカル時間20をマスタECU11〜14に送信する(110、115)。したがって、マスタECU11がリセットされるか、車両のIIGがオフからオンに変化するまで、フェイル値の車両ローカル時間20がマスタECU11からスレーブECU12〜14に繰り返し送信される。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)上記実施形態では、スレーブECUとして3つのECU12〜14が例示されているが、車載システム1に含まれるスレーブECUの数は、1つでもよいし、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
(2)また、上記実施形態では、経過時間情報21の値は1秒毎に1カウント分増加させるようになっているが、2秒毎に1カウント分増加させてもよいし、0.5秒毎に1カウント分増加させてもよいし、10秒毎に1カウント分増加させてもよい。また、経過時間情報21のビット長は、22ビットに限らない。また、有効判定情報22のビット長も、2ビットに限らない。
(3)また、上記実施形態では、マスタECU11の一例としてメインボデーECUを採用したが、マスタECU11は、他のどのようなECUであってもよいし、車両ローカル時間20を送信するためたけのECUとして実現してもよい。
(4)上記施形態では、スレーブECU12およびスレーブECU13は、パワートレインを制御するECUであり、スレーブECU14が、ボデー系の機器を制御するECUであるが、スレーブECU12〜14は、このような用途以外のECU(例えば、空調制御用のECU、ブレーキECU等)であってもよい。
(5)また、上記実施形態では、診断ツール2は、スレーブECU13から、互いに対応付けられた診断情報と車両ローカル時間20を受信すると共に、同じスレーブECU13から最新の車両ローカル時間20を受信しているが、最新の車両ローカル時間20は、車載システム内の他のECU11、12、14のいずれかから受信するようになっていてもよい。
(6)また、上記実施形態において、絶対時間を計測する計時装置が車載システム1に含まれている場合、ECU11は、この計時装置から絶対時間を取得することで、経過時間情報21の値の変化速度を補正するようになっていてもよい。例えば、計時装置から取得した絶対時間によればT1秒経過したにもかかわらず、経過時間情報21がT1+ΔT秒分変化している場合は、図3のステップ110、150において、1000ミリ秒ではなく、1000ミリ秒×T1/(T1+ΔT)秒経過したか否かを判定するようにしてもよい。
(7)また、上記実施形態では、車両の主電源としてIGを例に挙げているが、必ずしもIGに限らず、例えば、車両が電気自動車である場合は、車両を駆動する電動機に供給するメイン電源が、車両の主電源の一例に相当する。
(8)また、上記の実施形態において、ECU11〜17および診断ツール2の制御回路のCPUがプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
1 車載システム
2 診断ツール
11 マスタECU
12〜14 スレーブECU
15 車内LAN
20 車両ローカル時間
21 経過時間情報
22 有効判定情報

Claims (4)

  1. 繰り返し車両ローカル時間を受信し、診断情報を記録する必要が発生したことに基づいて、受信した最新の車両ローカル時間と前記診断情報とを対応付けて記憶媒体に記録するスレーブECU(12〜14)に対し、車両ローカル時間を繰り返し送信する車載のマスタECUであって、
    時間の経過に応じた刻みでマスタ側記憶媒体中の経過時間情報(21)の値を変化させ、前記車両の主電源のオンがあった場合もオフがあった場合も、前記時間の経過に応じた刻みで前記経過時間情報(21)の値の変化を継続させ、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、新たに値が初期値の前記経過時間情報(21)を前記マスタ側記憶媒体に記録する経過時間情報変化制御手段(160〜180)と、
    当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、マスタ側保持用記憶媒体中の有効判定情報(22)の値を変化させる有効判定情報変化制御手段(125、130、135)と、
    前記経過時間情報(21)および前記有効判定情報(22)を含む前記車両ローカル時間(20)を生成して前記スレーブECU(12〜14)に繰り返し送信する送信手段(190)と、を備えたマスタECU。
  2. 車両に搭載される車載システムであって、
    前記車両の主電源オン時にもオフ時にも作動するマスタECU(11)と、
    スレーブECU(12〜14)と、を備え、
    前記マスタECU(11)は、時間の経過と共に値が変化するデータである経過時間情報(21)をマスタ側記憶媒体に記憶しており、時間の経過に応じた刻みで前記経過時間情報(21)を変化させ、前記車両の主電源のオンがあった場合もオフがあった場合も、前記時間の経過に応じた刻みで前記経過時間情報(21)の値の変化を継続させ、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、新たに値が初期値の前記経過時間情報(21)を前記マスタ側記憶媒体に記録し、当該マスタECUがリセットから復帰したことに基づいて、マスタ側保持用記憶媒体中の有効判定情報(22)の値を変化させ、前記経過時間情報(21)および前記有効判定情報(22)を含む車両ローカル時間(20)を生成して前記スレーブECU(12〜14)に繰り返し送信し、
    前記スレーブECU(12〜14)は、前記マスタECU(11)から送信された車両ローカル時間(20)を受信して最新の車両ローカル時間(20)とし、診断情報を記録する必要が発生したことに基づいて、前記最新の車両ローカル時間(20)と前記診断情報を対応付けてスレーブ側保持用記憶媒体に記録することを特徴とする車載システム。
  3. 請求項に記載の前記車載システムに接続される診断ツールであって、
    絶対時刻を計測する計時装置と、制御回路と、診断者に診断情報と時刻情報を提供する情報提供装置を備え
    前記制御回路は、前記スレーブECU(12〜14)から、前記スレーブ側保持用記憶媒体に互いに対応付けられて記録された前記診断情報および前記車両ローカル時間(20)を受信し、また、前記車載システムから、最新の経過時間情報(21)および最新の有効判定情報(22)を受信し、当該最新の有効判定情報(22)の値と、受信した前記車両ローカル時間(20)に含まれる有効判定情報(22)の値とが同じであるか否かを判定し、同じであると判定すれば、受信した前記最新の経過時間情報(21)の値と、受信した前記車両ローカル時間(20)に含まれる経過時間情報(21)の値と、の差に相当する時間(d2)を算出し、前記計時装置から現在の絶対時刻を取得し、取得した前記現在の絶対時刻から前記時間(d2)を減算した結果の絶対時刻を前記情報提供装置に提供させることを特徴とする診断ツール。
  4. 前記制御回路は、前記スレーブECU(12〜14)から、前記スレーブECU(12〜14)の前記スレーブ側保持用記憶媒体に互いに対応付けられて記録された前記診断情報および前記車両ローカル時間(20)を受信し、また、前記車載システムから、最新の経過時間情報(21)および最新の有効判定情報(22)を受信し、当該最新の有効判定情報(22)の値と、受信した前記車両ローカル時間(20)に含まれる有効判定情報(22)の値とが同じであるか否かを判定し、同じでないと判定すれば、前記車両ローカル時間(20)を前記情報提供装置に表示させることを特徴とする請求項3に記載の診断ツール。
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