JP5597988B2 - 感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化物の耐熱性が高く、感光性及び/又は熱硬化性を有する1液型のポリイミド樹脂組成物及びその硬化物に関する。
従来、200℃以上の耐熱性の粘着剤としては、フッ素系粘着剤及びシリコーン系粘着剤がよく知られている。フッ素系粘着剤は、耐熱性に最も優れた粘着剤だが、非常に高価であるという問題を有している。シリコーン系粘着剤は安価であり、耐熱性に優れている為、広範囲な分野で使用されているが、環境温度が250℃程度の高温に長時間晒されるとシロキサンガスが発生し、絶縁不良の原因となる問題を有している。従来用いられているシリコーン系粘着剤には過酸化物硬化型と付加反応硬化型がある。過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤は硬化剤にベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物を用いており、硬化させるには150℃以上の高温が必要である為、耐熱温度が低い基材への塗工が困難であるという問題がある。フッ素系粘着剤よりも低コストでかつ250℃の高温でも劣化しない耐熱性粘着剤が市場で要望されているが、十分満足できるものは得られていないのが現状である。
従来、ポリイミド樹脂は耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックとして広く利用されていて、中でもビスマレイミド化合物と芳香族ジアミンを原料とし、これらを反応させて得られるポリイミド樹脂は熱硬化性ポリイミド樹脂として電気絶縁材料等に広く利用されている。脂肪族ビスマレイミドであるポリオキシアルキレンビスマレイミド、芳香族ビスマレイミド、芳香族ジアミンを原料とする熱硬化性ポリイミド樹脂の硬化物は、耐熱性だけでなく粘着性を有することが知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、上記のビスマレイミド化合物と芳香族ジアミンを反応させて硬化物を得るには、150℃以上の高温と長い時間を必要とするので、製造時に大きなエネルギーを必要とし、耐熱温度が低い基材への塗工が困難である。また、250℃以上の耐熱性を有する粘着剤としてポリイミド系粘着剤の報告もあるが(特許文献3参照)、硬化時に200℃以上の温度、又は150℃以上の高温と長い時間を必要とするので、製造時に大きなエネルギーを必要とし、耐熱温度が低い基材への塗工が困難である。
特公昭54−37907号公報 米国特許発明第4116937号明細書 WO2008/041723号公報
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、紫外線、及び/又は150℃以下の温度で硬化し、250℃に加熱しても分解ガスの発生が少なく、可とう性があり、粘着性を有する硬化物を与える高耐熱性のポリイミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、主鎖がポリオキシアルキレンジアミン構造を有する繰り返し単位で構成され、分子末端にアクリル基を含む基を化学結合させたポリイミド(B)と、重合開始剤を含む感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が、150℃以下の温度で硬化し、その硬化物が可とう性を有し、250℃に加熱しても分解ガスの発生が少ないなど耐熱性があるだけでなく、粘着性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はつぎの通りである。
1. 式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物ならびに式(2)で表されるテトラカルボン酸及びテトラカルボン酸の誘導体から選ばれた1種以上の化合物からなるテトラカルボン酸成分と、式(3)で表されるポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上である式(4)で表されるジアミン成分を原料として加熱反応させて得られるポリイミド(A)の分子末端に、アクリル基を含む基を化学結合させたポリイミド(B)と、重合開始剤を含む感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
(式(1)中、Rは4価の有機基である)
Figure 0005597988
(式(2)中、Rは4価の有機基であり、Y〜Yは各々独立して水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基である。)
Figure 0005597988
(式(3)中、X、Xは、各々C〜Cのアルキレン基、k、mは各々OX単位の繰り返し数、lはOX単位の繰り返し数であり、k+mは数平均重合度を示し1〜90の範囲内の数(mは0ではない)であり、lは数平均重合度を示し0〜80の範囲内の数である。)
Figure 0005597988
(式(4)中、Rは、脂肪族基、脂環基又は芳香族基からなる炭素数1〜221の2価の有機基であり、その構造の一部にエーテル基、メチレン基、その他の置換基を含んでいてもよい。)
2. 前記ポリイミド(B)の構造式が式(5)又は式(7)で表される、第1項に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
(式(5)中、R、Rは前記と同じである。Rは独立して式(6)に示す基又は水素原子であり、Rの少なくとも1つは式(6)に示す基である。nは1以上200以下の整数である。)
Figure 0005597988
(式(6)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子である。)
Figure 0005597988

(式(7)中、R、R、Rは前記と同じである。Rは脂肪族基、脂環基又は芳香族基からなる炭素数1〜30の2価の有機基であり、その構造の一部にエーテル基、メチレン基、その他の置換基を含んでいてもよい。jは1以上200以下の整数である。)
3. 式(1)及び式(2)の各々におけるRが、シクロヘキサンから誘導される4価の基及びベンゼンから誘導される4価の基から選ばれる1種以上である第1項又は第2項に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
4. 式(1)及び式(2)の各々におけるRが、シクロヘキサンから誘導される4価の基である第1項又は第2項に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
5. 前記ポリオキシアルキレンジアミンが、式(8)で表されるプロピレンオキシドとエチレンオキシドに由来する骨格からなるポリオキシアルキレンジアミンを含む、第1項〜第4項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
(式(8)中、a、cは各々プロピレンオキシド単位の繰り返し数を示し、bはエチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
6. 前記ポリオキシアルキレンジアミンが、式(9)で表されるプロピレンオキシド骨格からなるポリオキシアルキレンジアミンを含む、第1項〜第4項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
(式(9)中、dはプロピレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
7. 前記ポリオキシアルキレンジアミンが、式(10)で表されるプロピレンオキシドとブチレンオキシドに由来する骨格からなるポリオキシアルキレンジアミンを含む、第1項〜第4項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
(式(10)中、e、gは各々プロピレンオキシド単位の繰り返し数を示し、fはブチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
8. 前記ポリイミド(A)が、式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物ならびに式(2)で表されるテトラカルボン酸及びテトラカルボン酸の誘導体から選ばれた1種以上の化合物からなるテトラカルボン酸成分と、式(3)で表されるポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上である式(4)で表されるジアミン成分を、160〜230℃の温度で0.5〜24時間加熱反応させて得られるものである、第1項〜第7項のいずれかに記載の感光性・熱化性ポリイミド樹脂組成物。
9. 前記ポリイミド(B)が、テトラカルボン酸成分1モルに対してポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上であるジアミン成分を1.01モル以上2モル以下の割合で配合してなるポリイミド(A)と、式(11)及び/又は式(12)で表される化合物を、ポリイミド(A)1モルに対して式(11)及び/又は式(12)で表される化合物を0.5〜2.5モルの割合で混合し、重合禁止剤の存在下、0〜200℃の温度で0.5〜12時間反応させて得られるものである、第1項〜第8項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
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10. 前記ポリイミド(B)が、テトラカルボン酸成分1モルに対してポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上であるジアミン成分を0.5モル以上0.99モル以下の割合で配合してなるポリイミド(A)と、ポリイミド(A)1モルに対して式(13)で表される化合物を0.8〜1.2モルの割合で混合し、120〜260℃の温度で0.5〜12時間反応させた後、式(14)及び/又は式(15)で表される化合物を式(13)で表される化合物1モルに対して1〜1.5モルの割合で加え、重合禁止剤の存在下、60〜200℃の温度で0.5〜12時間エステル交換反応させて得られるものである、第1項〜第8項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005597988
(式(13)中、Rは前記と同じである。)
Figure 0005597988
Figure 0005597988
11. さらに、溶剤を含有する、第1項〜第10項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
12. 総溶剤中の50重量%以上が1,3−ジオキソランである、第11項に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
13. さらに、マレイミド化合物を含有する、第1項〜第12項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
14. 前記マレイミド化合物の含有量が、ポリイミド(B)1モルに対して0.05モル以上10モル以下の割合である、第13項に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
15. 第1項〜第14項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を、0〜120℃に0.01〜3時間加熱した後、紫外線積算光量10〜10000mJ/cmの条件で光照射して得られる粘着性を有する硬化物。
16. 第1項〜第14項のいずれかに記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物、又は第15項に記載の硬化物を、80〜200℃で0.01〜2時間加熱硬化して得られる粘着性を有する硬化物。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、1液型であり、基材に塗布した後に乾燥後、UV領域の光及び/又は150℃以下の温度で反応させることにより硬化物が得られる。又、その硬化物は可とう性があり、250℃に加熱しても分解ガスの発生が少ないなど耐熱性があるだけでなく、粘着性を有するなどの特徴を有しているため、耐熱性と粘着性の両方が必要とされる用途への応用が期待される。硬化物を得る際の反応条件を緩和し、エネルギー消費量の削減による作業工程の合理化が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物及びその硬化物は、下記の工程I〜IVを含む方法により得ることが好ましい。
工程I
ポリイミド(A)又はポリイミド(A)の有機溶剤溶液を製造する。
工程II
ポリイミド(B)又はポリイミド(B)の有機溶剤溶液を製造する。
工程III
ポリイミド(B)又はポリイミド(B)の有機溶剤溶液と重合開始剤、有機溶剤、必要であればマレイミド化合物やその他添加剤を混合し、感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を製造する。
工程IV
感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を硬化させて、硬化物を製造する。
工程Iについて説明する。ポリイミド(B)の前駆体であるポリイミド(A)は、溶液重合法、ポリアミック酸溶液を調製し、これを製膜し、イミド化する方法、ハーフエステル塩などの塩又はイミドオリゴマーを得、固相重合を行なう方法、その他従来公知の方法で製造することができる。それぞれの方法を併用しても良い。テトラカルボン酸成分とジアミンとの反応は、酸、三級アミン類、無水物などの従来公知の触媒の存在下で行ってもよい。
これらの方法の中で、ポリイミド(A)又はポリイミド(A)有機溶剤溶液が直接得られるので、下記(1)〜(5)の溶液重合法が好ましい。
(1)ジアミン成分、必要に応じて有機溶剤、及び必要に応じて触媒を含む混合物を10〜600rpmで攪拌して均一溶液とし、これを温度30〜90℃に保ち、テトラカルボン酸成分及び必要に応じて触媒を添加する。
(2)テトラカルボン酸成分、有機溶剤、及び必要に応じて触媒を含む混合物を10〜600rpmで攪拌して均一溶液とし、これを温度30〜90℃に保ち、ジアミン成分、必要に応じて有機溶剤、及び必要に応じて触媒を添加する。
(3)(1)又は(2)の方法の後に、0.1〜6時間かけて160〜230℃、好ましくは180〜205℃まで昇温する。反応系外に除去される成分を捕集しつつ、温度を0.5〜24時間、好ましくは2〜12時間ほぼ一定に保つ。
(4)(3)の後、必要に応じて本操作を行なう。(3)で一定に保った温度以下の温度に調温し、芳香族ジアミンを添加し、0.1〜6時間かけて160〜230℃、好ましくは180〜205℃に調温する。反応系外に除去される成分を捕集しつつ、温度を0.5〜24時間、好ましくは2〜12時間ほぼ一定に保つ。
(5)必要に応じて有機溶剤を更に添加し、取り扱いに都合の良い温度まで冷却し、攪拌を停止する。
ポリイミド(A)を製造するための溶液重合は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリンなどの3級アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下で行ってもよい。使用する場合、触媒の使用量は、テトラカルボン酸成分の0.1〜100モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましい。
本発明に用いられる式(1)のテトラカルボン酸二無水物の内、脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
本発明に用いられる式(1)のテトラカルボン酸二無水物の内、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、3−カルボキシメチル−1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物等を挙げる事ができる。
本発明に用いられる式(2)のテトラカルボン酸、及びその誘導体の内、脂肪族テトラカルボン酸、及びその誘導体としては、例えば、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ジシクロヘキシルテトラカルボン酸など、及びそれらと炭素数1〜8のアルコールとのエステル類を挙げることができる。
本発明に用いられる式(2)のテトラカルボン酸、及びその誘導体の内、芳香族テトラカルボン酸、及びその誘導体としては、例えば、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、エチレンテトラカルボン酸、3−カルボキシメチル−1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン等及びそれらと炭素数1〜8のアルコールとのエステル類が挙げられる。
これらテトラカルボン酸無水物、テトラカルボン酸及び該テトラカルボン酸の誘導体のうち、シクロヘキサンから誘導される構造を持つもの又はベンゼンから誘導される構造をもつものが好ましく、より好ましくはシクロヘキサンから誘導される構造を持つものが好ましく、特に好ましいのは1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物又は1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸が挙げられ、これらは1種類単独かあるいは2種類以上を混合して使用することができる。
一般に、ポリイミドの製造では、テトラカルボン酸類としてテトラカルボン酸二無水物を使用するのが通常であるが、本発明では、テトラカルボン酸二無水物のほかに、そのテトラカルボン酸やテトラカルボン酸とアルコールとのエステル類等の誘導体を用いて実用的なポリイミドを製造することができる。テトラカルボン酸をそのまま使用できるので、生産設備やコストの面で有利である。
本発明に用いられる式(4)のジアミン成分中のRは、脂肪族基、脂環基、又は芳香族基からなる炭素数1〜221の2価の有機基であり、その構造の一部にエーテル基、メチレン基、その他の置換基を含んでいてもよい。
本発明に用いられる式(4)のジアミン成分中、50モル%以上のポリオキシアルキレンジアミンを含有すると可とう性に加え粘着性を有する熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られて好ましい。本発明における粘着性とは、水、溶剤、熱などを使用せず、常温で短時間、わずかな圧力を加えるだけで接着する性質を指し、粘着力とは、試験片を常温で短時間被着体にわずかな圧力をかけて接触させた後、引き剥がす時に必要な力を指す。ポリオキシアルキレンジアミンはアミノ基に脂肪族基又は脂環基が直接結合しているジアミンである脂肪族ジアミンに属する。
ポリオキシアルキレンジアミンとしては、例えば式(9)で表されるようなポリオキシプロピレンジアミン、式(16)で表されるようなポリオキシエチレンジアミン、式(17)で表されるようなポリオキシブチレンジアミン、又は繰り返し単位としてオキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンからなる群より選ばれる2以上を含むジアミンが挙げられ、式(8)で表されるオキシプロピレン、オキシエチレンを繰り返し単位とするポリオキシアルキレンジアミン、又は式(10)で表されるオキシプロピレン、オキシブチレンを繰り返し単位とするポリオキシアルキレンジアミンが良好な粘着性を持つ硬化物を得る上で好ましい。
Figure 0005597988
(式(9)中、dはプロピレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0005597988
(式(16)中、nはエチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0005597988
(式(17)中、nはブチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0005597988
(式(8)中、a、cは各々プロピレンオキシド単位の繰り返し数を示し、bはエチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
Figure 0005597988
(式(10)中、e、gは各々プロピレンオキシド単位の繰り返し数を示し、fはブチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。)
式(9)のポリオキシプロピレンジアミンの分子量は好ましくは230〜4000(オキシプロピレンの繰り返し単位数nが2.6〜68.0)であり、より好ましくは600〜2000(オキシプロピレンの繰り返し単位数nが8.7〜33.0)である。
式(16)のポリオキシエチレンジアミンの分子量は好ましくは300〜4000(オキシエチレンの繰り返し単位数nが5.5〜89.5)であり、より好ましくは600〜2000(オキシエチレンの繰り返し単位数nが12.3〜44.1)である。
式(17)のポリオキシブチレンジアミンの分子量は好ましくは200〜4000(オキシブチレンの繰り返し単位数nが1.6〜54.3)であり、より好ましくは600〜2000(オキシブチレンの繰り返し単位数nが7.1〜26.6)である。
ポリオキシアルキレンジアミンは、良好な粘着性を持つ硬化物を得る上で、それぞれ次のような分子量である事が好ましい。式(8)のポリオキシアルキレンジアミンの分子量は好ましくは300〜4000(オキシプロピレンの繰り返し単位数(a+c)が1.0〜9.4(cは0ではない)、オキシエチレンの繰り返し単位数(b)が3.7〜79.8)であり、より好ましくは600〜2000(オキシプロピレンの繰り返し単位数(a+c)が3.6〜6.0(cは0ではない)、オキシエチレンの繰り返し単位数(b)が9.0〜38.7)である。
式(10)のポリオキシアルキレンジアミンの分子量は好ましくは300〜4000(オキシプロピレンの繰り返し単位数(a+c)が1.0〜58.0(cは0ではない)、オキシブチレンの繰り返し単位数(b)が3.0〜34.0)であり、より好ましくは1000〜2000(オキシプロピレンの繰り返し単位数(a+c)が6.0〜24.0(cは0ではない)、オキシブチレンの繰り返し単位数(b)が9.0〜17.0)である。
本発明に用いられる式(4)で表されるジアミン成分の内、ポリオキシアルキレンジアミン以外の脂肪族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ノルボルナンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ビシクロヘキシルジアミン、シロキサンジアミン類などを挙げることができる。中でも、高分子量化が容易で、耐熱性に優れるという点で、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン等の脂環構造を有するジアミンを用いることが好ましい。これらのジアミンは単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明に用いられる式(4)で表されるジアミン成分の内、芳香族ジアミンとしては、例えば、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、α、α’−ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、α、α’―ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン及び2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられ、これらは1種類単独かあるいは2種類以上を混合して使用することができる。
ポリイミド(A)は無溶剤下で製造可能であるが、溶剤存在下で製造しても良い。具体的にはN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン等の比較的高沸点の溶剤や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、ターシャリーブタノール、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール等のエーテル結合を有する溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類等、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル等のエステル結合を有する溶剤、トルエン、キシレン、m−キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の炭化水素系溶剤を用いる事が出来、1種以上を同時に用いても良い。
工程IIについて説明する。(イ)又は(ロ)の方法何れかによってポリイミド(B)が得られる。
(イ)工程Iで得られた、テトラカルボン酸成分1モルに対してポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上であるジアミン成分を1.01モル以上2モル以下の割合で配合してなるポリイミド(A)又はポリイミド(A)有機溶剤溶液と、式(11)及び/又は式(12)で表される化合物を、ポリイミド(A)1モルに対して式(11)及び/又は式(12)で表される化合物を0.5〜2.5モルの割合で混合し、必要であれば適宜有機溶剤を添加し、重合禁止剤の存在下、0〜200℃の温度で0.5〜12時間反応させてポリイミド(B)を得る。この様にして得たポリイミド(B)の構造式は式(5)で表される。
Figure 0005597988
Figure 0005597988
Figure 0005597988
(式(5)中、R、Rは前記と同じである。Rは独立して式(6)に示す基又は水素原子であり、Rの少なくとも1つは式(6)に示す基である。nは1以上200以下の整数である。)
Figure 0005597988
(式(6)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基である。)
(ロ)テトラカルボン酸成分1モルに対してポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上であるジアミン成分を0.5モル以上0.99モル以下の割合で配合してなるポリイミド(A)又はポリイミド(A)有機溶剤溶液と、ポリイミド(A)1モルに対して式(13)で表される化合物を0.8〜1.2モルの割合で混合し、120〜260℃の温度で0.5〜12時間反応させた後、式(18)で表される化合物を式(13)で表される化合物1モルに対して1〜1.5モルの割合で加え、必要であれば適宜有機溶剤を添加し、重合禁止剤の存在下、60〜200℃の温度で0.5〜12時間エステル交換反応させてポリイミド(B)を得る。この様にして得たポリイミド(B)の構造式は式(7)である。
Figure 0005597988
式(13)中、Rは脂肪族基、脂環基又は芳香族基からなる炭素数1〜30の2価の有機基であり、その構造の一部にエーテル基、メチレン基、その他の置換基を含んでいてもよい。本発明で使用可能な式(13)で表される化合物としては、従来公知のものが使用できるが、例えば、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルエタノールアミン、n−ブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、t−ブチルエタノールアミン、t−ブチルジエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルブタノールアミン、ジメチルヘキサノールアミン、シクロヘキサノールアミン、アミノフェノール、モノメチルアミノフェノール、ジメチルアミノフェノール等が挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できるが、特にエタノールアミン、シクロヘキサノールアミンが好ましい。
Figure 0005597988
式(18)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子である。本発明で使用される式(18)で表される化合物として、好ましいのは式(14)、式(15)で表される化合物である。
Figure 0005597988
Figure 0005597988
Figure 0005597988
(式(7)中、R、R、Rは前記と同じである。Rは脂肪族基、脂環基又は芳香族基からなる炭素数1〜30の2価の有機基であり、その構造の一部にエーテル基、メチレン基、その他の置換基を含んでいてもよい。jは1以上200以下の整数である。)
ポリイミド(B)は無溶剤下でも製造可能であるが、溶剤存在下で製造しても良い。具体的にはN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン等の比較的高沸点の溶媒や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、ターシャリーブタノール、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール等のエーテル結合を有する溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類等、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル等のエステル結合を有する溶剤、トルエン、キシレン、m−キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の炭化水素系溶剤を用いる事が出来、1種以上を同時に用いても良い。
ポリイミド(B)は、その合成過程、又は貯蔵時において、アクリル基を含む基の反応によって分子量が増加し、ゲル化に至ることがある。従ってその製造過程で重合禁止剤を含有させるのが好ましい。本発明で使用可能な重合禁止剤としては、従来公知の物質が使用可能であるが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、モノエチルエーテルハイドロキノン、トルハイドロキノン、ジ−t−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、等のフェノール系重合禁止剤、フェノチアジン、t−ブチルカテコール等、を挙げることができ、重合禁止剤、又は安定剤としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物があげることが出来るが、これらに限定されない。一種以上を自由に組み合わせる事が出来る。これらの使用量は、ポリイミド(B)に対して1〜10000ppmの範囲で使用することができ、好ましくは10〜5000ppmである。1ppm未満の場合は、重合禁止効果が小さく、反応途中でゲル化を起こし、目的とする化合物が得られない場合や、反応生成物の貯蔵安定性が著しく低下するおそれがある。一方、10000ppmを超える場合は、ポリイミド(B)を含む感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物を得る過程での硬化反応を阻害し、硬化物中に未硬化物が多く含まれ、感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物としての性能を満足しないおそれがある。
工程IIIについて説明する。本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド(B)又はポリイミド(B)の有機溶剤溶液と重合開始剤、有機溶剤、必要であればマレイミド化合物やその他添加剤を混合する事により得られる。混合方法は攪拌翼やディゾルバーを用いる方法、遠心力を利用した方法等、従来公知のあらゆる方法が可能である。混合時の温度は特に制限は無いが、短時間での溶解や取り扱い性を考慮すると室温〜80℃程度が好ましい。混合温度が80℃より高いと、硬化が促進される事があり、好ましくないことがある。混合時の雰囲気は大気中で可能であるが、 乾燥空気、又は窒素気流下が好ましい。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物における重合開始剤について説明する。本発明の重合開始剤とはラジカル重合開始剤を意味し、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生して重合を開始させる作用を有する光重合開始剤、又は活性エネルギー線の照射を必要とせず、低温から中温、高温と広い温度範囲にわたって熱エネルギーでラジカルを発生して重合を開始させる作用を有する有機過酸化物のいずれかである。
ラジカル重合開始剤としての光重合開始剤は、従来公知のものを使用することができ、好ましい光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類及びベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール、等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、及びキサントン類等が挙げられる。これらの1種以上を組み合わせて使用しても良い。また、これらの光重合開始剤は、光増感剤を組み合わせて使用しても良い。例えば、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート等の安息香酸エステル類、或いはトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような従来公知の光増感剤であり、これらの1種以上を組み合わせて使用しても良い。
一方、上記のラジカル重合開始剤としての有機過酸化物は、従来公知のものを使用することができ、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、アセト酢酸エステルパーオキシド等のケトンパーオキシド系、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド系、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート系、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ3,3,5トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ジ−tブチルパーオキシシクロヘキサノン等のパーオキシケタール系、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル系を挙げることができる。他に、市販されているエポキシ(メタ)アクリレート樹脂用の硬化剤としての有機過酸化物を使用することができる。このような市販されているエポキシ(メタ)アクリレート樹脂用硬化剤としては、日本油脂社製の商品名「パーキュアK」、「パーキュアVL」、「パーキュアVS」、化薬アクゾ社製の商品名「328E」、「328EM」当を挙げることができる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの有機過酸化物は、分子を開裂させラジカルを発生させるのを助ける目的で硬化促進剤を組み合わせて使用しても良い。例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、 N,N−ジエタノールアニリン等の第3級アミン化合物、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の有機酸のコバルト塩等の従来公知の硬化促進剤であり、これらは1種以上を組み合わせて併用使用しても良い。
ラジカル重合開始剤としての光重合開始剤の使用量は、ポリイミド(B)100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲で使用することが好ましく、さらに1〜10重量部の範囲で使用することが好ましい。0.1重量部未満の場合は、紫外線(光)照射により重合が進まず、形成される皮膜は未硬化になり諸特性の低下を招くため好ましくない。30重量部を超える場合は、硬化物の耐熱性が低下するため好ましくない。
ラジカル重合開始剤としての有機過酸化物の使用量は、ポリイミド(B)100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で使用することが好ましく、さらに0.1〜5重量部の範囲で使用することが好ましい。0.01重量部未満の場合は、硬化が極端に遅くなり実用的でないため好ましくない。110重量部を超える場合は、硬化物の耐熱性が低下するため好ましくない。
本発明で用いられるマレイミド化合物は、一例として以下のものが挙げられる。
Figure 0005597988
Figure 0005597988
Figure 0005597988
(式(21)中、hは1以上の整数である。)
マレイミド化合物には、ビスマレイミド化合物も含む。ビスマレイミド化合物としては、例えばN,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(4,4’−ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N’−(4,4’−ジフェニルスルホン)ビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N’−2,6−トリレンビスマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−{4,4’−〔2,2’−ビス(4’’,4’’’−フェノキシフェニル)イソプロピリデン〕}ビスマレイミド、N,N’−{4,4’−〔2,2’−ビス(4’’,4’’’−フェノキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン〕}ビスマレイミド、N,N’−〔4,4’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N’−〔4,4’−ビス(3,5−ジエチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N’−〔4,4’−(3−メチル−5−エチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N’−〔4,4’−ビス(3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N’−(4,4’−ジシクロヘキシルメタン)ビスマレイミド、N,N’−p―キシリレンビスマレイミド、N,N’−m―キシリレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−ジメチレンシクロヘキサン)ビスマレイミド、N,N’−(1,4−ジメチレンシクロヘキサン)ビスマレイミド等である。
また、マレイミド化合物としてポリオキシアルキレンジアミンの両末端が無水マレイン酸で封止されたビスマレイミド化合物を用いる事もできる。例えば、ポリオキシエチレンジアミンの両末端が無水マレイン酸で封止されたビスマレイミド化合物、ポリオキシプロピレンジアミンの両末端が無水マレイン酸で封止されたビスマレイミド化合物、ポリオキシブチレンジアミンの両末端が無水マレイン酸で封止された化合物が挙げられる。これらマレイミド化合物の中で好ましいのは、N,N’―(4,4’―ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、式(19)、式(20)、式(21)に示すマレイミド化合物である。これら従来公知のマレイミド化合物は1種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物に、必要に応じて加える有機溶剤としては、以下が挙げられる。N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン等の比較的高沸点の溶剤や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、ターシャリーブタノール、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール等のエーテル結合を有する溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類等、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル等のエステル結合を有する溶剤、トルエン、キシレン、m−キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の炭化水素系溶剤を用いる事が出来、1種以上を同時に用いても良い。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物に必要に応じて、本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物としての特性を損ねない範囲で反応性希釈剤を加えても良い。例えば、光硬化性を有する希釈剤として、(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又は、これらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロープルプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのε−カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、及びメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは1種以上を組み合わせて使用することができる。ラジカル重合性希釈剤としては、一般的にビニルエステル樹脂に使用されるものが挙げられ、具体的には、スチレンモノマーや(メタ)アクリル基を有するラジカル重合性を有する希釈剤としては、スチレン及びスチレン誘導体が挙げられ、スチレン誘導体としては例えば、スチレンのα−,o−,m−,p−位にアルキル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、ビニル基からの誘導体や、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミドの誘導体を有するものが挙げられ、これらは1種以上を組み合わせて使用することができる。また、光硬化性を有する希釈剤とラジカル重合性希釈剤を組み合わせて用いても構わない。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物としての特性を損ねない範囲で、従来公知のあらゆる添加剤を加える事ができる。例えば、フッ素系、ポリシロキサン系などの界面活性剤を添加すると、表面平滑性の良好な硬化物を得やすくなる。以下、充填剤として水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機物、着色剤として無機顔料や有機顔料、チクソトロピー付与剤としてはシリカ等、耐熱性を向上させる目的で、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、パラベンゾキノン等のキノン系化合物や、商品名アデカスタブAO−412S、アデカスタブAO−503((株)アデカ)等のチオエーテル系化合物、商品名Sumilizer GA−80(住友化学(株))、商品名IRGANOX 1010、商品名IRGANOX 1098(チバスペシャリティケミカルズ(株))、商品名アデカスタブAO−20((株)アデカ)等のフェノール系化合物、商品名アデカスタブLA−57((株)アデカ)等のアミン系化合物、ジラウリル3,3’−チオジプロピオナート等の硫黄系化合物、商品名アデカスタブHP−10、商品名アデカスタブPEP−36((株)アデカ)等のリン系化合物、難燃剤としてリン酸エステル類、紫外線吸収剤、等である。これらは1種類以上を同時に使用しても良い。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物には、溶剤として水、ある種の添加剤として少量の水、不純物として微量の水分を含んでいても構わない。
工程IVについて説明する。本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物は、感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を硬化させれば得られる。例えばガラスやステンレス鋼、アルミなどの金属等の板状基材や、商品名カプトン、アピカル、ユーピレックスといったポリイミドをはじめとするその他市販のあらゆる従来公知のフィルム状基材に塗布して膜状とする。
塗布方法としては特に限定は無く、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ロールコーター、スプレーコーター、スピンコーター、インクジェットなど、従来公知の方法を用いる事ができる。
塗布後に硬化を行なうにあたって、感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物に有機溶剤を用いている場合にはまず基材ごと加熱し、有機溶剤をある程度留去するのが好ましい。温度は0〜120℃が好ましい。その温度は使用する溶剤と膜厚にもよる。加熱温度は溶剤の揮発性に応じて調整する。例えば、沸点60℃程度の溶剤を用いた感光性・熱硬化性樹脂組成物の塗布物をいきなり120℃の乾燥機内で加熱処理を行なうと、表面に凹凸を生じる事がある。また、厚い膜を形成しようとする場合にも段階的な昇温が好ましい。トータルの加熱時間は0.01〜3時間が好ましい。
光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ等が使用できる。光硬化の好適な条件としては、10〜10000mJの紫外線照射である。光照射装置に制限は無く、従来公知の装置、設備を用いる事ができる。
熱硬化を行なう場合、80〜200℃で0.01〜2時間程度加熱するのが好ましい。所望の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物としての特性を得られた時点で加熱を停止すればよい。加熱温度が80℃より低いと、被着体を引き剥がす段階で、硬化不充分に起因して熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物自体の強度が不足し、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物自体が発現する粘着力によって粘着層の凝集破壊が起き、糊残りが発生やすい。加熱温度が200℃より高いと、短時間で硬化する傾向となり、硬化時間の制御が難しくなる。硬化時間は温度によるが、充分に硬化させるには120℃であれば0.1〜10時間程度、150℃であれば0.01〜2時間程度が好ましい。基材上で熱硬化した熱硬化物は、基材上に残したまま使用しても良いし、基板から引き剥がしてフィルム状として使用しても良い。硬化物の厚みは0.01〜2000μmが好適である。なお、硬化促進のために光硬化を行なった後に熱硬化を行なうなど、光硬化と熱硬化を組み合わせる事はその順番、回数に全く制限は無い。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物は、一般に粘着剤と呼ばれる材料に該当する。粘着剤として必要な粘着力は、90度剥離粘着力として0.001〜250N/25mm程度で、繰り返し使用可能であることが好ましい。適した粘着力、必要な繰り返し使用回数は被着体の性質、用途、使用方法で全く異なるので一概に示すことはできない。また、粘着剤から被着体を引き剥がす操作の後、粘着剤が被着体表面に残っている状態を「糊残り」といい、糊残りのし難さを「糊残り性」とする。糊残り性は、一般に良好であることが求められる。
本発明の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物は、耐熱性、可とう性があり、高温時に粘着性を有するなどの特徴を有している。したがって高温時に可とう性や粘着性が必要とされる耐熱性粘着材の用途として、粘着テープなど、広範囲の工業製品に利用する事ができる。
以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。物性の測定などは以下の方法によった。
<溶液粘度>
TOKIMEC製TV−20形コーンプレート粘度計を用い、25℃で測定した。
<熱重量分析>
島津製作所製熱重量分析装置(DTG−50)を用い、窒素気流下、室温から昇温速度10℃/minの条件で昇温し、200℃で30min保持し、水分を除去した後、200℃から5℃/minで250℃まで昇温した。その後、250℃で1時間保持し、250℃保持時の重量減量%を求めた。
<90度剥離粘着力>
JIS Z 0237に準じて求めた。幅10mm、長さ150mm、厚さ50μmの東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム「カプトン200H」(型番:22M11P0860)をアルミ板上に膜状に形成した硬化物に貼り合わせ、2kgゴムローラーで1往復圧着し、30分放置後、23℃/50%RHにて、剥離速度:300mm/minの条件で、カプトン200Hを90度の角度で引っ張り、硬化物とカプトン200Hとの間の90度剥離粘着力(N/10mm)を測定し、単位(N/25mm)に換算した。測定機器には、IMADA製デジタルフォースゲージZP−5N、IMADA製スライド式電動スタンドMX−500N、90度剥離治具P90−200Nを用いた。
<糊残り性>
90度剥離粘着力を測定した際に、被着体であるカプトン200Hの表面を目視で評価し、糊残りがないものを良好、糊残りがあるものを不良とした。
<アミノ基濃度>
JIS K 7237から求められる全アミン価より、測定物1g当りのアミノ基濃度(meq/g)を換算した。
合成例1
<ポリイミド(A1)の合成>
温度計、攪拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク、冷却管を備えた500mL5つ口ガラス製丸底フラスコに、窒素気流下、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA、三菱瓦斯化学(株))58.520g(0.261モル)、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合物ビス(2−アミノプロピル)エーテル(商品名:ジェファーミンED−900、三井化学ファイン(株)、分子量:966.6(アミン価より計算)、式(5)におけるa+c=2.5(理論値)、b=15.5(理論値))315.418g(0.326モル)を加え、200rpmで攪拌しながら200℃に昇温して3時間イミド化反応を行い、ディーンスタークで生成水を分離した。3時間後、水の留出が止まったのを確認し、水9.30gを回収し、常温まで冷却した。25℃で液状のポリイミド(A1)を得た。
合成例2
<ポリイミド(B1)の合成>
温度計、攪拌器、ガス導入管、側管付き滴下ロート、冷却管を備えた反応容器に、ポリイミド(A1)(一級アミン当量2795.18g/eq.)2795.18重量部(=1.0当量)、モノエチルエーテルハイドロキノン15.47重量部を仕込み、空気気流下、撹拌、加熱して温度を60℃に保持し溶解した。次いで、滴下装置を用いてメタクリル酸グリシジル(商品名:メタクリル酸グリシジル(GMA)、三菱瓦斯化学(株))(エポキシ当量142.16g/eq.)298.54重量部(2.1当量)を1時間かけて連続的に滴下し反応を行った。その後、トリフェニルホスフィン15.47重量部を加え、加熱して温度を120℃に保持しながらさらに8時間反応を行った。反応はガスクロマトグラム分析にてメタクリル酸グリシジルの未反応量を追跡して行い、未反応量が0.9重量%の反応生成物が得られた。この未反応量は、ポリイミド樹脂の一級アミノ基1.0当量に対し、メタクリル酸グリシジルが1.9当量反応したことを意味し、反応率は95%であった。
調合例1
<光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の調合>
温度計、攪拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、冷却管を備えた500mL5つ口フラスコに、窒素気流下、合成例2で得られたポリイミド(B1)40.0g、1,3−ジオキソラン(三菱瓦斯化学(株))160.0g、重合開始剤(商品名:IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))2.0gを量り取り、室温(25℃)で10分間攪拌し完全に溶解させ、不揮発分濃度20.8重量%の光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を得た。
調合例2
<光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2の調合>
温度計、攪拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、冷却管を備えた500mL5つ口フラスコに、窒素気流下、合成例2で得られたポリイミド(B1)33.8g、1,3−ジオキソラン160.0g、マレイミド化合物(商品名:BMI−2300)6.2g、重合開始剤(商品名:IRGACURE907)2.0gを量り取り、室温(25℃)で10分間攪拌し完全に溶解させ、不揮発分濃度20.8重量%の光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2を得た。
実施例1
<光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の硬化物の製造>
光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を60℃に調温されたホットプレート上に大きさ150mm×150mm、厚さ1mmのアルミ板を置き、アルミ板上にDRY膜厚0.010mm設定で塗布し、2分放置後、約5分かけて80℃に昇温、80℃で10分放置し、揮発成分を留去させた。続いてメタルハライドランプ(350nm)を光源として、紫外線積算光量2000mJ/cmの条件で露光した。この後、150℃の熱風乾燥機に移し、1時間放置し、硬化させたところ、厚さ0.010mmの粘着性を有する光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の硬化物が得られた。
光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の硬化物の90度剥離粘着力(N/25mm)を求めたところ、1.59(N/25mm)であり、糊残り性は良好だった。
実施例2
<光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2の硬化物の製造>
光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2について、実施例1と同様の装置を用い、同様の操作で不揮発分を留去させた。続いてメタルハライドランプ(350nm)を光源として、紫外線積算光量1000mJ/cmの条件で露光し、硬化させたところ、厚さ0.010mmの粘着性を有する光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2の硬化物が得られた。
光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2の硬化物の90度剥離粘着力(N/25mm)を求めたところ、1.94(N/25mm)であり、糊残り性は良好だった。
この光・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2の硬化物をアルミ板からスクレイパーで剥がし、DMACに浸漬させた後に乾燥させて、重量減少があるかどうかを調べたところ、重量減少が殆ど無く、未硬化成分は殆ど無い事を確認した。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、UV領域での光、150℃以下の温度といった比較的緩和された条件で硬化が可能であるために乾燥、硬化工程を、低温及び/又は短時間で実施可能であり、ポリイミド硬化物を得る際の乾燥時間の短縮による作業工程の合理化が見込める。その硬化物は可とう性があり、粘着性を有するなどの特徴があり、更には250℃に加熱しても分解しないなど耐熱性がある。したがって高温時に可とう性や粘着性が必要とされる耐熱性粘着材の用途として、粘着テープなど、広範囲の工業製品に利用する事ができる。

Claims (4)

  1. 1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物ならびに1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸および1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸と炭素数1〜8のアルコールとのエステル類から選ばれた1種以上の化合物からなるテトラカルボン酸成分1モルに対して式(8)で表されるプロピレンオキシドとエチレンオキシドに由来する骨格からなるポリオキシアルキレンジアミンが総ジアミン中50モル%以上である式(4)で表されるジアミン成分1.01モル以上2モル以下を原料として加熱反応させて得られるポリイミド(A)1モルに対して、メタクリル酸グリシジル0.5〜2.5モルを反応させたポリイミド(B)と、重合開始剤を含む感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005597988
    (式(8)中、a、cは各々プロピレンオキシド単位の繰り返し数を示し、bはエチレンオキシド単位の繰り返し数を示す。オキシプロピレンの繰り返し単位数(a+c)が1.0〜9.4(cは0ではない)、オキシエチレンの繰り返し単位数(b)が3.7〜79.8である)
    Figure 0005597988
    (式(4)中、Rは、脂肪族基、脂環基又は芳香族基からなる炭素数1〜221の2価の有機基であり、その構造の一部にエーテル基含んでいてもよい。)
  2. 前記ポリイミド(B)の構造式が式(5)で表される、請求項1に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005597988
    (式(5)中、 は前記と同じである。Rは独立して式(6)に示す基又は水素原子であり、Rの少なくとも1つは式(6)に示す基である。nは1以上200以下の整数である。)
    Figure 0005597988
    (式(6)中、Rはメチル基である)
  3. さらに、溶剤を含有する、請求項1または2に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  4. 総溶剤中の50重量%以上が1,3−ジオキソランである、請求項3に記載の感光性・熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
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