まず、本発明に係る構造の一実施(第一実施)形態である可動体支持構造を採用した可動役物装置100を備える遊技機1の全体的な構成について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明では、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側を遊技機1の左側とし、右手側を遊技機1の右側として、左右方向を規定する。
遊技機1は、図1及び図2が示すように、主として、外枠2と、中枠3と、窓枠4と、により構成される枠体に、各種の遊技部品が取り付けられて形成される。
外枠2は、遊技機1の外郭を成し、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。外枠2は、パチンコホール等の遊技場に設けられた台島に設置される。外枠2には、中枠3が設けられる。
中枠3は、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。中枠3は、外枠2の前側の開口部にヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠3には、遊技盤5と、窓枠4と、下皿ユニット6と、が設けられる。
遊技盤5は、略平板状に形成される部材である。遊技盤5は、中枠3の下側を除く略全面に渡って配置される。遊技盤5は、中枠3に着脱自在に取り付けられる。遊技盤5の前側面には、遊技球が転動する領域である遊技領域19が形成される(図3参照)。
窓枠4は、略平板状に形成される枠体である。窓枠4は、遊技盤5の前方に配置される。窓枠4は、中枠3の前側の開口部にヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。窓枠4の略中央には、略円形状の窓枠開口部7が開口される。窓枠開口部7は、透明板27により被覆される。これによって、遊技者は、前方から透明板27を介して窓枠4の後方に配置された遊技盤5(より詳細には、遊技領域19)を視認することができる。窓枠開口部7の下方には、発射前の遊技球が貯溜される上皿8が配設される。窓枠開口部7の左右上方には、スピーカ9がそれぞれ配設される。
下皿ユニット6は、中枠3の下側であって窓枠4の下方に取り付けられる。下皿ユニット6の略中央には、上皿8から溢れた遊技球が貯溜される下皿25が配設される。下皿ユニット6の右側部であって下皿25の右方には、上皿8に貯溜された遊技球を遊技盤5の遊技領域19へ向けて発射可能に構成される発射ハンドル26が配設される。
次に、遊技盤5の構成について、図3を用いてさらに詳細に説明する。
遊技盤5には、ガイドレール10と、図柄表示装置11と、図柄表示開口部12と、一般入賞口13と、大入賞装置14と、可変入賞装置15と、アウト口16と、可動役物装置100と、が設けられる。
ガイドレール10は、略円弧状に形成された帯状の部材である。ガイドレール10は、遊技盤5の前側面に、当該前側面に対して立ち上がり状に取り付けられる。ガイドレール10は、遊技盤5の前側面に正面視で略円形状を形成するように配置される。そして、遊技盤5において、ガイドレール10により略円形状に形成された内側の領域が、遊技球が転動する領域である遊技領域19として構成される。
図柄表示装置11は、液晶画面20を設けて、当該液晶画面20に図柄や数字等を変動表示可能に構成される装置である。図柄表示装置11は、液晶画面20を前方へ向けた状態で、遊技盤5の後側面に取り付けられる。
図柄表示開口部12は、遊技者が前方から図柄表示装置11の液晶画面20を視認するための開口部である。図柄表示開口部12は、正面視で遊技領域19の概ね中央で、遊技盤5を前後方向に貫通して形成される。図柄表示開口部12には、図柄表示装置11の液晶画面20が配置される。これによって、遊技者は、前方から図柄表示開口部12を通じて遊技盤5の後側面に取り付けられた図柄表示装置11の液晶画面20を視認することができる。
一般入賞口13は、上面が開口されたポケット状に形成され、遊技球が入球(入賞)可能に形成される部材である。一般入賞口13は、遊技領域19の下部であって適宜な位置に複数個が配置される。一般入賞口13は、遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
大入賞装置14は、所定の大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口21を開放して遊技球が入球(入賞)可能に構成される装置である。大入賞装置14は、遊技領域19の中央下部に配置される。大入賞装置14は、開放した大入賞口21に遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
可変入賞装置15は、所定の作動条件に応じて左右一対の可動片22が開閉作動し、始動入賞口23に遊技球が入球(入賞)可能な開放状態と入球(入賞)不能な閉塞状態とに切り替え可能に構成される装置である。可変入賞装置15は、遊技領域19において図柄表示開口部12の下方であって大入賞装置14の上方に配置される。可変入賞装置15は、前記開放状態において始動入賞口23に遊技球が入球(入賞)すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
アウト口16は、遊技領域19を転動する遊技球が、一般入賞口13や大入賞口21や始動入賞口23等の各入賞口に入球(入賞)しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口16は、遊技領域19の最下部に、遊技盤5を前後方向に貫通して形成される。なお、アウト口16に流入した遊技球は、遊技機1が設置されたパチンコホール等の遊技場側に回収される。
次に、可動役物装置100の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、可動役物装置100は、遊技領域19の上部であって液晶画面20の上方に配置される。可動役物装置100は、可動体60をケース体30に対して往復回動可能に支持することによって遊技者に視覚的な印象(インパクト)を与え、その遊技者の興趣を高める装置である。より詳細には、可動役物装置100は、可動体60を、可動役物装置100の本体に近接させた位置であって液晶画面20の上方となる(図中の実線で示す)位置(以下では、「待機位置」と称する。)と、可動役物装置100の本体から下方に離間させた位置であって液晶画面20の前方となる(図中の二点鎖線で示す)位置(以下では、「作動位置」と称する。)と、の間を、遊技機1の遊技演出に応じて往復回動可能に支持している。図4に示すように、可動役物装置100は、主として、ケース体30と、第一アーム40と、第二アーム50と、可動体60と、第一駆動機構80と、第二駆動機構90と、により構成される。
次に、可動役物装置100のケース体30の構成について説明する。
図4に示すケース体30は、本発明に係る可動体支持構造の基体を成す構造物である。ケース体30には、可動役物装置100を構成する各部材が取り付けられる。ケース体30は、正面視で左右方向に延設された細長い概ね矩形の筐体として形成される。ケース体30は、ケース体30の前部を成すケース体前部31と、ケース体30の後部を成すケース体後部32と、により構成される。
次に、可動役物装置100の第一アーム40の構成について説明する。
なお、以下では、可動体60を作動位置に支持した状態の第一アーム40を想定して、その配置構成を説明する。
図4、図5、及び図7から図9までに示す第一アーム40は、第二アーム50とともに可動体60を支持するための湾曲した細長い概ね棒状の部材である。第一アーム40の上端部には、前後方向に貫通した第一アーム上側貫通孔41が穿孔される。また、第一アーム40の下端部には、前後方向に貫通した第一アーム下側貫通孔42が穿孔される。そして、第一アーム40の上端部は、第一アーム上側貫通孔41に挿通された第一回動軸41aを介して、ケース体30の左右略中央であって当該ケース体30の後側面に回動自在に軸支される。なお、第一回動軸41aは、ケース体30の後側面と、第一アーム40の上端部の後方に配置された基板取付板33と、の間で軸心方向を前後方向として支持される。また、第一アーム40の下端部は、第一アーム下側貫通孔42に挿通された第二回動軸42aを介して、可動体60(より詳細には、可動体上部61の上部突出部64)の後側面に回動自在に軸支される。なお、第二回動軸42aは、可動体上部61の上部突出部64の後側面と、第一アーム40の下端部の後方に配置された回動軸支板74と、の間で軸心方向を前後方向として支持される。
また、第一アーム40の下端部には、左下方へ向けて延出された第一アーム延出部43が形成される。第一アーム延出部43は、第一アーム40を可動体60(より詳細には、可動体左足部62)に連動連結させるためのものである。第一アーム延出部43の先端部(下端部)には、円筒状に形成された第一アームボス部46が、軸心方向を前後方向として後方へ向けて突出される。
次に、可動役物装置100の第二アーム50の構成について説明する。
なお、以下では、可動体60を作動位置に支持した状態の第二アーム50を想定して、その配置構成を説明する。
図4、図5、及び図7から図9までに示す第二アーム50は、第一アーム40とともに可動体60を支持するための湾曲した細長い概ね棒状の部材である。第二アーム50は、第一アーム40から所定の間隔をあけて当該第一アーム40の右方に配置される。第二アーム50の上端部には、前後方向に貫通した第二アーム上側貫通孔51が穿孔される。また、第二アーム50の下端部には、前後方向に貫通した第二アーム下側貫通孔52が穿孔される。そして、第二アーム50の上端部は、第二アーム上側貫通孔51に挿通された第三回動軸51aを介して、ケース体30の左右略中央から若干右方であって当該ケース体30の後側面に回動自在に軸支される。なお、第三回動軸51aは、第一アーム40の第一回動軸41aと略同一の高さに配置されるとともに、ケース体30の後側面を貫通して、ケース体30の前側面と基板取付板33との間で、軸心方向を前後方向として支持される。また、第二アーム50の下端部は、第二アーム下側貫通孔52に挿通された第四回動軸52aを介して、可動体60(より詳細には、可動体上部61の上部突出部64)の後側面に回動自在に軸支される。なお、第四回動軸52aは、第一アーム40の第二回動軸42aと略同一の高さに配置されるとともに、上部突出部64の後側面と回動軸支板74との間で軸心方向を前後方向として支持される。
ここで、第一アーム40と第二アーム50とは、互いに対向して配置された一対のリンク部材として四節平行リンク機構を構成するものである。従って、第一回動軸41a、第二回動軸42a、第三回動軸51a、及び第四回動軸52aは、正面視で平行四辺形の頂点に相当する位置にそれぞれ配置される。
なお、第一アーム40及び第二アーム50の構成についての詳細な説明は後述する。
次に、可動役物装置100の可動体60の構成について説明する。
なお、以下では、特に説明がなければ、作動位置に支持された状態の可動体60を想定して、その配置構成を説明する。
図4、及び図6から図9までに示す可動体60は、遊技機1の遊技演出に応じて待機位置と作動位置との間を往復回動し、遊技者に視覚的な印象を与え、その遊技者の興趣を高める部材である。可動体60は、待機位置と作動位置との間を往復回動するとともに変形するように構成され、作動位置においては正面視で漢字の「大」を模した形状に変形される。可動体60は、ケース体30の下方に配置される。可動体60は、主として、可動体上部61と、可動体右足部63と、可動体左足部62と、により構成される。
可動体上部61は、正面視で左右方向に細長い概ね矩形の箱状の部材である。可動体上部61は、正面視で漢字の「大」のうち一画目の軌跡を模した形状として形成される。可動体上部61の左右略中央には、上方へ向けて突出した上部突出部64が形成される。可動体上部61の前側面には、透光性部材65が適宜配設される。可動体上部61内には、LED(不図示)が配設され、透光性部材65を介して前方を照射することができる。
可動体左足部62は、下方へ延出されるに従い左方へ湾曲して、さらには正面視で短手方向幅が広くなるように形成される細長い箱状の部材である。可動体左足部62は、正面視で漢字の「大」のうち二画目の軌跡を模した形状として形成される。可動体左足部62の前側面には、透光性部材65が適宜配設される。可動体左足部62内には、LED(不図示)が配設され、透光性部材65を介して前方を照射することができる。
可動体左足部62の上端部には、上方へ向けて突出した左足軸支部66が形成される。左足軸支部66は、可動体左足部62を可動体上部61に軸支するためのものである。左足軸支部66の上端部には、前後方向に貫通した左足貫通孔67が穿孔される。可動体左足部62の上端部は、左足貫通孔67に挿通された左足回動軸67aを介して、可動体上部61の後側面に回動自在に軸支される。なお、左足回動軸67aは、第二回動軸42aの下方で、可動体上部61の後側面と回動軸支板74との間で軸心方向を前後方向として支持される。
なお、可動体左足部62は、可動体60が作動位置から待機位置へ回動する場合には、正面視右回り(時計回り)に回動して、当該可動体左足部62の先端部(作動位置における下端部)を概ね左方へ向けた状態で配置される。
また、左足軸支部66の上端部には、概ね左方へ向けて突出した左足突出部68が形成される。左足突出部68は、可動体左足部62を第一アーム40に連動連結させるためのものである。左足突出部68の先端部には、円筒状に形成された左足ボス部72が、軸心方向を前後方向として後方へ向けて突出される。
また、左足軸支部66の上端部には、平歯車の一部を切り取った形状である左足歯車部69が形成される。左足歯車部69は、可動体左足部62を可動体右足部63に連動連結させるためのものである。左足歯車部69は、右上方へ向けた円弧状に歯車が形成され、その軸心が左足貫通孔67の軸心と重複するように形成される。
可動体右足部63は、下方へ延出されるに従い右方へ湾曲して、さらには正面視で短手方向幅が広くなるように形成される細長い箱状の部材である。可動体右足部63は、正面視で漢字の「大」のうち三画目の軌跡を模した形状として形成される。可動体右足部63の前側面には、透光性部材65が適宜配設される。可動体右足部63内には、LED(不図示)が配設され、透光性部材65を介して前方を照射することができる。
可動体右足部63の上端部には、上方へ向けて突出した右足軸支部73が形成される。右足軸支部73は、可動体右足部63を可動体上部61に軸支するためのものである。右足軸支部73の上端部には、前後方向に貫通した右足貫通孔70が穿孔される。可動体右足部63の上端部は、右足軸支部73の右足貫通孔70に挿通された右足回動軸70aを介して、可動体上部61の後側面に回動自在に軸支される。なお、右足回動軸70aは、第四回動軸52aの下方で、可動体上部61の後側面と回動軸支板74との間で軸心方向を前後方向として支持される。
なお、可動体右足部63は、可動体60が作動位置から待機位置へ回動する場合には、正面視左回り(反時計回り)に回動して、当該可動体右足部63の先端部(作動位置における下端部)を概ね右方へ向けた状態で配置される。
また、右足軸支部73の上端部には、平歯車の一部を切り取った形状である右足歯車部71が形成される。右足歯車部71は、可動体右足部63を可動体左足部62に連動連結させるためのものである。右足歯車部71は、左上方へ向けた円弧状に歯車が形成され、その軸心が右足貫通孔70の軸心と重複するように形成される。
なお、右足歯車部71の歯車は、左足歯車部69の歯車と同一形状であって、同一の歯数を有している。そして、右足歯車部71の歯車は、左足歯車部69の歯車に歯合されている。
上述の如く構成された可動体上部61、可動体左足部62、及び可動体右足部63によって、可動体60は、作動位置において、正面視で漢字の「大」を模した形状となる。より詳細には、可動体左足部62及び可動体右足部63が、左右に隣接して可動体上部61の左右略中央に配置される。そして、可動体左足部62の左足軸支部66及び可動体右足部63の右足軸支部73は、正面視で可動体上部61の背後(後方)に配置される。従って、前方から可動体60を視認した場合、可動体左足部62の左足軸支部66及び可動体右足部63の右足軸支部73は視認されず、正面視で可動体上部61、可動体左足部62、及び可動体右足部63の露出している部分の組み合わせによって可動体60の外縁形状(外観)が、漢字の「大」を模した形状となる。
一方、可動体60は、待機位置において、正面視で左右に細長い概ね矩形の形状となる(正面視で漢字の「大」を模した形状とならない。)。より詳細には、可動体左足部62の先端部及び可動体右足部63の先端部が、それぞれ左右方へ向けて配置される。そして、可動体左足部62の先端部及び可動体右足部63の先端部が、それぞれ可動体上部61の左右端部から正面視で外方へ向けて突出するように配置される。従って、前方から可動体60を視認した場合、正面視で可動体上部61、可動体左足部62、及び可動体右足部63の露出している部分の組み合わせによって可動体60の外縁形状(外観)が、左右に細長い概ね矩形の形状となる。
次に、可動役物装置100の第一駆動機構80の構成について説明する。
なお、以下では、特に説明がなければ、可動体60が作動位置に支持された状態の第一駆動機構80を想定して、その配置構成を説明する。
図4、図8及び図9に示す第一駆動機構80は、可動体60を回動させるため駆動力を第一アーム40及び第二アーム50に伝達するための機構である。第一駆動機構80は、正面視でケース体30の概ね右部に配置される。第一駆動機構80は、主として、モータ81と、第一駆動歯車82と、第二駆動歯車83と、第一駆動アーム84と、駆動伝達板85と、により構成される。
モータ81は、可動体60を回動させるための駆動源である。モータ81は、ケース体30の右端部であって当該ケース体30の後方に配置される。モータ81は、その本体がケース体30の後側面に後方から固定され、出力軸81aが軸心方向を前後方向としてケース体30内(前方)に突出される。
第一駆動歯車82は、モータ81からの駆動力が伝達される平歯車である。第一駆動歯車82は、ケース体30内にてモータ81の前方に配置される。第一駆動歯車82の中心部には、モータ81の出力軸81aの前端が相対回転不能に固定される。
第二駆動歯車83は、第一駆動歯車82に伝達された駆動力が、次に伝達される平歯車である。第二駆動歯車83は、ケース体30内にて第一駆動歯車82の左上方に配置される。第二駆動歯車83は、その中心部に挿通された第二駆動歯車回転軸83aを介して回転自在に軸支される。なお、第二駆動歯車回転軸83aは、ケース体30内にて軸心方向を前後方向として支持される。第二駆動歯車83の外周の略半分には、歯車が形成される。第二駆動歯車83の歯車は、第一駆動歯車82の歯車に歯合されている。
また、第二駆動歯車83の前面側には、第二駆動歯車83の軸心から所定距離だけ離れた位置に、円筒状に形成された第二駆動歯車ボス部86が、軸心方向を前後方向として前方へ向けて突出される。なお、第二駆動歯車ボス部86は、可動体60が待機位置においては、第二駆動歯車83の軸心から左方に配置され、可動体60が作動位置においては、前記左方の配置から正面視右回り(時計回り)に回動され、第二駆動歯車83の軸心から右上方に配置される。
第一駆動アーム84は、第二駆動歯車83に伝達された駆動力が、次に伝達される細長い板状の部材である。第一駆動アーム84は、ケース体30内にて第二駆動歯車83の概ね上部前方に配置される。また、第一駆動アーム84は、長手方向を概ね左右方向とし、右端部が下方へ向けて湾曲し、左端部が上方へ向けて湾曲して形成される。第一駆動アーム84の右端部には、前後方向に貫通した右側貫通孔84aが穿孔される。また、第一駆動アーム84の左端部には、前後方向に貫通した左側貫通孔84bが穿孔される。そして、第一駆動アーム84の右端部は、右側貫通孔84aに後方から第二駆動歯車83の第二駆動歯車ボス部86が挿通され、当該第二駆動歯車ボス部86の前端部が座金とともにネジ止めされることによって回動自在に軸支される。
駆動伝達板85は、第一駆動アーム84に伝達された駆動力が、次に伝達されるとともに、その駆動力を第二アーム50に伝達する概ね楕円形の板状の部材である。駆動伝達板85は、ケース体30内にて第一駆動アーム84の後方であって概ね左上方に配置される。また、駆動伝達板85は、長手方向を概ね左上右下の斜め方向として配置される。
駆動伝達板85の下端部には、円筒状に形成された伝達板ボス部87が、軸心方向を前後方向として前方へ向けて突出される。そして、伝達板ボス部87は、第一駆動アーム84の左側貫通孔84bに後方から挿通され、当該伝達板ボス部87の前端部が座金とともにネジ止めされることによって、第一駆動アーム84の左端部が回動自在に軸支される。
駆動伝達板85の上端部には、前後方向に貫通した伝達板貫通孔88が穿孔される。そして、駆動伝達板85の上端部は、伝達板貫通孔88に挿通された(第二アーム50の上端部を軸支している)第三回動軸51aを介して、ケース体30内に回動自在に軸支される。
また、駆動伝達板85の上端部は、第二アーム50の上端部に相対回転不能に嵌合される。つまり、同一の回動軸(第三回動軸51a)により回動自在に軸支された駆動伝達板85と第二アーム50とは、第三回動軸51aを中心として一体的に回動するように形成される。
次に、上述の如く構成された第一駆動機構80の動作態様について、図10及び図11を用いて説明する。
先ず、待機位置に支持された状態の可動体60を作動位置へ回動させるための駆動力を第一アーム40及び第二アーム50に伝達する場合の第一駆動機構80の動作態様について説明する。
なお、かかる場合、第一駆動機構80の動作態様は、図10及び図11の(a)、(b)、(c)と順番に変化していくこととなる(図中の白抜き矢印参照)。
モータ81の出力軸81aから出力された駆動力は、次に第一駆動歯車82に伝達される。第一駆動歯車82は、正面視左回り(反時計回り)に回転する。第一駆動歯車82に伝達された駆動力は、第二駆動歯車83に伝達される。第二駆動歯車83は、第一駆動歯車82の回転に応じて、正面視右回り(時計回り)に回転する。また、第二駆動歯車83の回転とともに、第二駆動歯車ボス部86が、第二駆動歯車83の軸心を中心として正面視右回り(時計回り)に回動する。
第二駆動歯車83に伝達された駆動力は、次に第一駆動アーム84に伝達される。第一駆動アーム84は、第二駆動歯車83の第二駆動歯車ボス部86の回動に応じて、第一駆動アーム84の右端部が当該第二駆動歯車ボス部86の回動軌跡に沿って移動し、長手方向を概ね左右方向として回動しながら全体として右方へ移動する。
第一駆動アーム84に伝達された駆動力は、次に駆動伝達板85に伝達される。駆動伝達板85は、第一駆動アーム84の移動に応じて、上端部の伝達板貫通孔88に挿通された第三回動軸51aの軸心を中心として正面視左回り(反時計回り)に回動する。
駆動伝達板85に伝達された駆動力は、次に第二アーム50に伝達される。第二アーム50は、駆動伝達板85の回動に応じて、第二アーム上側貫通孔51に挿通された第三回動軸51aの軸心を中心として正面視左回り(反時計回り)に回動する。
このように、モータ81の出力軸81aから出力された駆動力は、第一駆動歯車82、第二駆動歯車83、第一駆動アーム84、駆動伝達板85、第二アーム50へと順番に伝達される。そして、第一駆動機構80によって第二アーム50に伝達された駆動力は、回動軸支板74を介して第一アーム40に伝達される。即ち、第二アーム50とともに回動軸支板74に軸支されて、互いに対向して配置された一対のリンク部材として四節平行リンク機構を構成する第一アーム40が、第二アーム50の回動に応じて、第一アーム上側貫通孔41に挿通された第一回動軸41aの軸心を中心として正面視左回り(反時計回り)に回動する。その結果、畳まれた状態の第一アーム40及び第二アーム50が展開し、待機位置に支持された状態の可動体60が、左右方向の姿勢を維持したまま作動位置へと回動される。
次に、作動位置に支持された状態の可動体60を待機位置へ回動させるための駆動力を第一アーム40及び第二アーム50に伝達する場合の第一駆動機構の動作態様について説明する。
なお、かかる場合、第一駆動機構80の動作態様は、図10及び図11の(c)、(b)、(a)と順番に変化していくこととなる(図中の黒塗り矢印参照)。
モータ81の出力軸81aから出力された駆動力は、次に第一駆動歯車82に伝達される。第一駆動歯車82は、正面視右回り(時計回り)に回転する。第一駆動歯車82に伝達された駆動力は、第二駆動歯車83に伝達される。第二駆動歯車83は、第一駆動歯車82の回転に応じて、正面視左回り(反時計回り)に回転する。また、第二駆動歯車83の回転とともに、第二駆動歯車ボス部86が、第二駆動歯車83の軸心を中心として正面視左回り(反時計回り)に回動する。
第二駆動歯車83に伝達された駆動力は、次に第一駆動アーム84に伝達される。第一駆動アーム84は、第二駆動歯車83の第二駆動歯車ボス部86の回動に応じて、第一駆動アーム84の右端部が当該第二駆動歯車ボス部86の回動軌跡に沿って移動し、全体として長手方向を概ね左右方向として回動しながら左方へ移動する。
第一駆動アーム84に伝達された駆動力は、次に駆動伝達板85に伝達される。駆動伝達板85は、第一駆動アーム84の移動に応じて、上端部の伝達板貫通孔88に挿通された第三回動軸51aの軸心を中心として正面視右回り(時計回り)に回動する。
駆動伝達板85に伝達された駆動力は、次に第二アーム50に伝達される。第二アーム50は、駆動伝達板85の回動に応じて、第二アーム上側貫通孔51に挿通された第三回動軸51aの軸心を中心として正面視右回り(時計回り)に回動する。
このように、モータ81の出力軸81aから出力された駆動力は、第一駆動歯車82、第二駆動歯車83、第一駆動アーム84、駆動伝達板85、第二アーム50へと順番に伝達される。そして、第一駆動機構80によって第二アーム50に伝達された駆動力は、回動軸支板74を介して第一アーム40に伝達される。即ち、第二アーム50とともに回動軸支板74に軸支されて、互いに対向して配置された一対のリンク部材として四節平行リンク機構を構成する第一アーム40が、第二アーム50の回動に応じて、第一アーム上側貫通孔41に挿通された第一回動軸41aの軸心を中心として正面視右回り(時計回り)に回動する。その結果、展開された状態の第一アーム40及び第二アーム50が畳まれた状態に移行し、作動位置に支持された状態の可動体60が、左右方向の姿勢を維持したまま待機位置へと回動される。
次に、可動役物装置100の第二駆動機構90の構成について説明する。
なお、以下では、特に説明がなければ、可動体60が作動位置に支持された状態の第二駆動機構90を想定して、その配置構成を説明する。
図4、図8及び図9に示す第二駆動機構90は、可動体60を回動させるために第二アーム50に伝達された駆動力を当該可動体60に伝達して、可動体60の待機位置から作動位置(または、作動位置から待機位置)への回動とともに当該可動体60を変形させるための機構である。第二駆動機構90は、可動体60の可動体上部61の後方であって、左右略中央に配置される。第二駆動機構90は、主として、第二駆動アーム91と、上述の如く構成された可動体左足部62の左足軸支部66と、上述の如く構成された可動体右足部63の右足軸支部73と、により構成される。
第二駆動アーム91は、第二アーム50に伝達された駆動力を可動体左足部62に伝達するための細長い板状の部材である。第二駆動アーム91は、可動体上部61の左右略中央から左方であって、第一アーム40の第一アーム延出部43及び可動体左足部62の左足突出部68の後方にて、長手方向を概ね上下方向として配置される。第二駆動アーム91の上端部には、前後方向に貫通した第二駆動アーム上側貫通孔91aが穿孔される。また、第二駆動アーム91の下端部には、前後方向に貫通した第二駆動アーム下側貫通孔91bが穿孔される。そして、第二駆動アーム91の上端部は、第二駆動アーム上側貫通孔91aに前方から第一アーム40の第一アームボス部46が挿通され、当該第一アームボス部46の後端部が座金とともにネジ止めされることによって回動自在に軸支される。また、第二駆動アーム91の下端部は、第二駆動アーム下側貫通孔91bに前方から可動体左足部62の左足ボス部72が挿通され、当該左足ボス部72の後端部が座金とともにネジ止めされることによって回動自在に軸支される。
次に、上述の如く構成された第二駆動機構90の動作態様について、図12を用いて説明する。
先ず、作動位置に支持された状態の可動体60を待機位置へ回動させるための駆動力が第一アーム40及び第二アーム50に伝達された場合の第二駆動機構90の動作態様について説明する。
なお、かかる場合、第二駆動機構90の動作態様は、図12の(a)、(b)、(c)と順番に変化していくこととなる(図中の白抜き矢印参照)。
第一駆動機構80によって第一アーム40及び第二アーム50に伝達された駆動力は、次に第二駆動アーム91に伝達される。第二駆動アーム91は、第一アーム40の第一アームボス部46の回動に応じて、第二駆動アーム91の上端部が当該第一アームボス部46の回動軌跡に沿って移動し、長手方向を概ね上下方向として回動しながら、回動軸支板74(可動体上部61)に対して全体として上方へ移動する。
第二駆動アーム91に伝達された駆動力は、次に可動体左足部62の左足軸支部66に伝達される。即ち、第二駆動アーム91が可動体上部61に対して全体として上方へ移動すると、左足突出部68とともに左足軸支部66が左足貫通孔67に挿通された左足回動軸67aの軸心を中心として背面視左回り(反時計回り)に回動する。
このように、左足軸支部66に駆動力が伝達されると、可動体左足部62が左足回動軸67aの軸心を中心として背面視左回り(反時計回り)に回動する。
また、左足軸支部66に伝達された駆動力は、次に右足軸支部73に伝達される。即ち、左足軸支部66の回動とともに、左足軸支部66の左足歯車部69が左足回動軸67aの軸心とともに背面視左回り(反時計回り)に回動する。そして、左足歯車部69の回動に応じて、右足軸支部73の右足歯車部71が右足貫通孔70に挿通された右足回動軸70aの軸心を中心として背面視右回り(時計回り)に回動する。そして、右足歯車部71の回動とともに、右足軸支部73が右足回動軸70aの軸心を中心として背面視右回り(時計回り)に回動する。
このように、右足軸支部73に駆動力が伝達されると、可動体右足部63が右足回動軸70aの軸心を中心として背面視右回り(時計回り)に回動する。
このように、第一駆動機構80によって第一アーム40及び第二アーム50に伝達された駆動力は、第二駆動アーム91、左足軸支部66、右足軸支部73へと順番に伝達される。そして、第二駆動機構90は、第一駆動機構80によって第一アーム40及び第二アーム50に駆動力が伝達されている間、換言すれば、可動体60が作動位置に支持された状態から待機位置へと回動されている間に、当該第二駆動機構90からの駆動力によって、可動体左足部62及び可動体右足部63を相互に離間する方向へ回動させ、可動体60を正面視で漢字の「大」を模した形状から左右に細長い概ね矩形の形状となるように変形させる。
次に、待機位置に支持された状態の可動体60を作動位置へ回動させるための駆動力が第一アーム40及び第二アーム50に伝達された場合の第二駆動機構90の動作態様について説明する。
なお、かかる場合、第二駆動機構90の動作態様は、図12の(c)、(b)、(a)と順番に変化していくこととなる(図中の黒塗り矢印参照)。
第一駆動機構80によって第一アーム40及び第二アーム50に伝達された駆動力は、次に第二駆動アーム91に伝達される。第二駆動アーム91は、第一アーム40の第一アームボス部46の回動に応じて、第二駆動アーム91の上端部が当該第一アームボス部46の回動軌跡に沿って移動し、長手方向を概ね上下方向として回動しながら、回動軸支板74(可動体上部61)に対して全体として下方へ移動する。
第二駆動アーム91に伝達された駆動力は、次に可動体左足部62の左足軸支部66に伝達される。即ち、第二駆動アーム91が可動体上部61に対して全体として下方へ移動すると、左足突出部68とともに左足軸支部66が左足貫通孔67に挿通された左足回動軸67aの軸心を中心として背面視右回り(時計回り)に回動する。
このように、左足軸支部66に駆動力が伝達されると、可動体左足部62が右足回動軸67aの軸心を中心として背面視右回り(時計回り)に回動する。
また、左足軸支部66に伝達された駆動力は、次に右足軸支部73に伝達される。即ち、左足軸支部66の回動とともに、左足軸支部66の左足歯車部69が左足回動軸67aの軸心とともに背面視右回り(時計回り)に回動する。そして、左足歯車部69の回動に応じて、右足軸支部73の右足歯車部71が右足貫通孔70に挿通された右足回動軸70aの軸心を中心として背面視左回り(反時計回り)に回動する。そして、右足歯車部71の回動とともに、右足軸支部73が右足回動軸70aの軸心を中心として背面視左回り(反時計回り)に回動する。
このように、右足軸支部73に駆動力が伝達されると、可動体右足部63が右足回動軸70aの軸心を中心として背面視右回り(時計回り)に回動する。
このように、第一駆動機構80によって第一アーム40及び第二アーム50に伝達された駆動力は、第二駆動アーム91、左足軸支部66、右足軸支部73へと順番に伝達される。そして、第二駆動機構90は、第一駆動機構80によって第一アーム40及び第二アーム50に駆動力が伝達されている間、換言すれば、可動体60が待機位置に支持された状態から作動位置へと回動されている間に、当該第二駆動機構90からの駆動力によって、可動体左足部62及び可動体右足部63を相互に近接する方向へ回動させ、可動体60を正面視で左右に細長い概ね矩形の形状から漢字の「大」を模した形状となるように変形させる。
次に、第一アーム40及び第二アーム50の構成について、さらに詳細に説明する。
なお、以下では、可動体60を待機位置に支持した状態の第一アーム40及び第二アーム50を想定して、その配置構成を説明する。
図13に示す第一アーム40は、湾曲した細長い概ね棒状の部材であり、可動体60を支持する強度を保つため短手方向に少なくても一定の幅を有して形成される。第一アーム40は、第二アーム50側の外形が、第二アーム50の第一アーム40側の外形に全体として沿うような形状に形成される。第一アーム40は、上述にて説明した第一アーム上側貫通孔41、第一アーム下側貫通孔42、第一アーム延出部43、及び第一アームボス部46の他に、主として、第一回動軸支部48と、第二回動軸支部49と、第一アーム下側湾曲部44と、第一アーム上側湾曲部45と、を備える。
第一回動軸支部48は、第一アーム40において、第一回動軸41aを挿通される第一アーム上側貫通孔41の周囲の部位である。より詳細には、第一回動軸支部48は、軸心方向を前後方向とした筒状部材48aとその周囲の部位48bとにより形成される。第一回動軸支部48は、第一アーム40における第一回動軸41aの周囲の強度を保つように形成される。
なお、第一アーム40の前記短手方向の幅(長さ)は、第一回動軸支部48の筒状部材48aの直径の長さと同一に形成される。
第二回動軸支部49は、第一アーム40において、第二回動軸42aを挿通される第一アーム下側貫通孔42の周囲の部位である。より詳細には、第二回動軸支部49は、軸心方向を前後方向とした筒状部材49aとその周囲の部位49bとにより形成される。第二回動軸支部49は、第一アーム40における第二回動軸42aの周囲の強度を保つように形成される。
なお、第二回動軸支部49の筒状部材49aの直径の長さは、第一回動軸支部48の筒状部材48aの直径の長さと同一に形成される。
第一アーム下側湾曲部44は、第一アーム40において、第二回動軸支部49から第一回動軸支部48側へ行くに従い概ね上方(第二アーム50の反対側)へ向けて湾曲し、その後に概ね下方(第二アーム50側)へ向けて湾曲する部位である。
なお、第一アーム下側湾曲部44の構成についての詳細な説明は後述する。
第一アーム上側湾曲部45は、第一アーム40において、第一回動軸支部48から第二回動軸支部49側へ行くに従い概ね下方(第二アーム50側)へ向けて湾曲し、その後に概ね上方(第二アーム50の反対側)へ向けて湾曲する部位である。第一アーム上側湾曲部45は、第一アーム下側湾曲部44よりも上側、即ち第一回動軸支部48側に形成される。なお、第一アーム上側湾曲部45は、第一アーム40の上方に配置された取付孔ピン5aとの干渉を避けるために当該取付孔ピン5aの反対側(第二アーム50側)へ向けて湾曲したものである。
なお、取付孔ピン5aとは、基板取付板33(図4参照)をケース体後部32にねじ止めするためのものである。取付孔ピン5aの上端部には、基板取付孔33のねじ孔33aに挿通した取付ねじを螺入するためのねじ孔が穿設される。なお、図4の部材5b、5cについても、同じく、基板取付板33をねじ止めするための取付孔ピンである。
図13に示す第二アーム50は、湾曲した細長い概ね棒状の部材であり、可動体60を支持する強度を保つため短手方向に少なくても一定の幅を有して形成される。第二アーム50は、第一アーム40側の外形が、第一アーム40の第二アーム50側の外形に、全体として沿うような形状に形成される。第二アーム50は、上述にて説明した第二アーム上側貫通孔51及び第二アーム下側貫通孔52の他に、主として、第三回動軸支部58と、第四回動軸支部59と、第二アーム湾曲部53と、を備える。
第三回動軸支部58は、第二アーム50において、第三回動軸51aを挿通される第二アーム上側貫通孔51の周囲の部位である。より詳細には、第三回動軸支部58は、軸心方向を前後方向とした筒状部材58aとその周囲の部位58bとにより形成される。第三回動軸支部58は、第二アーム50における第三回動軸51aの周囲の強度を保つように形成される。
なお、第二アーム50の前記短手方向の幅(長さ)は、第三回動軸支部58の筒状部材58aの直径の長さと同一に形成される。また、第二アーム50の前記短手方向の幅(長さ)は、第一アーム40の前記短手方向の幅(長さ)と同一に形成される。
第四回動軸支部59は、第二アーム50において、第四回動軸52aを挿通される第二アーム下側貫通孔52の周囲の部位である。より詳細には、第四回動軸支部59は、軸心方向を前後方向とした筒状部材59aとその周囲の部位59bとによりに形成される。第四回動軸支部59は、第二アーム50における第四回動軸52aの周囲の強度を保つように形成される。
なお、第四回動軸支部59の筒状部材59aの直径の長さは、第三回動軸支部58の筒状部材58aの直径の長さと同一に形成される。
第二アーム湾曲部53は、第二アーム50において、第三回動軸支部58から第四回動軸支部59側へ行くに従い概ね下方(第一アーム40の反対側)へ向けて湾曲し、その後に概ね上方(第一アーム40側)へ向けて湾曲する部位である。
なお、第二アーム湾曲部53の構成についての詳細な説明は後述する。
次に、第一アーム40の第一アーム下側湾曲部44の構成について詳細に説明する。
図14(a)及び(b)に示すように、第一アーム下側湾曲部44は、「仮想第一アーム領域110」と第二アーム50の第四回動軸支部59との重複する領域(以下では、「第四回動軸支部重複領域111」と称する。)の、第一アーム40側の外形(外周111cの形状)に沿って形成されるものである。
ここで、「仮想第一アーム領域110」とは、図14において色付き部分として示すように、(湾曲した細長い概ね棒状の部材である)第一アーム40が、第一回動軸41aと第二回動軸42aとを結んだ直線状であって、短手方向の幅が第一アーム40の短手方向の幅と同一に形成されたと仮定した場合に、その仮定した直線状の第一アーム40が占める領域として設定されるものである。即ち、端的に説明すれば、「仮想第一アーム領域110」とは、従来の技術と同様に直線状に形成された第一アーム(以下では、「第一アーム140」と称する。)が占める領域を示すものである。
より詳細には、図14(c)に示すように、第四回動軸支部重複領域111の第一アーム40側の外形は、第四回動軸支部59から第三回動軸支部58側へ行くに従い第一アーム40側に膨らんだ円弧状であって第一アーム40側へ湾曲した部位111a(第四回動軸支部59における筒状部材59aに相当する部位)と、さらに第三回動軸支部58側へ行くに従い第一アーム40の反対側へ向けて湾曲する部位111b(第四回動軸支部59における筒状部材59aの周囲の部位59bに相当する部位)と、により形成される。
これに対して、第一アーム下側湾曲部44は、第二回動軸支部49から第一回動軸支部48側へ行くに従い概ね上方(第二アーム50の反対側)へ向けて湾曲(部位44a)し、その後に概ね下方(第二アーム50側)へ向けて湾曲(部位44b)するが、その湾曲した頂点部分47が、第二アーム50の第四回動軸支部59の筒状部材59aの概ね上方となる位置に形成される。
そして、第一アーム40において、第二回動軸支部49から第一回動軸支部48側へ行くに従い概ね上方(第二アーム50側)へ向けて湾曲する部位44aの第二アーム50側の外周44dと、第四回動軸支部重複領域111において、第四回動軸支部59から第三回動軸支部58側へ行くに従い第一アーム40側に膨らんだ円弧状であって第一アーム40側へ湾曲した部位111aの第一アーム40側の外周111dと、が概ね対向して近接するように形成される。
また、第一アーム40において、第二回動軸支部49から第一回動軸支部48側へ行くに従い概ね下方(第二アーム50側)へ向けて湾曲する部位44bの第二アーム50側の外周44eと、第四回動軸支部重複領域111において、第四回動軸支部59から第三回動軸支部58側へ行くに従い第一アーム40の反対側へ向けて湾曲する部位111bの第一アーム40側の外周111eと、が対向して近接するように形成される。
上述の如く構成によって、第一アーム下側湾曲部44は、仮想第一アーム領域110と第二アーム50の第四回動軸支部59との重複する領域(第四回動軸支部重複領域111)の、第一アーム40側の外形に沿って形成される。
ここで、第四回動軸支部重複領域111とは、上述の如く直線状に形成された第一アーム140が占める領域である。換言すれば、第四回動軸支部重複領域111とは、従来の技術と同様に第一アーム140が用いられた場合に、第二アーム50が、当該第一アーム140と干渉するため、回動させることができない領域である。
しかしながら、本発明においては、第一アーム下側湾曲部44は、仮想第一アーム領域110と第二アーム50の第四回動軸支部59との重複する領域(第四回動軸支部重複領域111)の、第一アーム40側の外形に沿って形成されるので、この第四回動軸支部重複領域111において第二アーム50が第一アーム40に干渉することがない。また、第一アーム40は、必要最小限の範囲で第二アーム50に干渉しないように湾曲されている(第二アーム50を迂回している)。
なお、第一アーム40において仮想第一アーム領域110と重複しない部分(仮想第一アーム領域110と重複せず上側にはみ出た部分)の面積を、第四回動軸支部重複領域111の面積に近づけることで、より必要最小限な範囲で第一アーム40を湾曲させることができる(第二アーム50を迂回させることができる)。
次に、第二アーム50の第二アーム湾曲部53の構成について詳細に説明する。
図15(a)及び(b)に示すように、第二アーム湾曲部53は、「仮想第二アーム領域120」と、第一アーム40の第一回動軸支部48及び第一アーム上側湾曲部45と、の重複する領域(以下では、「第一回動軸支部重複領域121」と称する。)の、第二アーム50側の外形(外周121dの形状)に沿って形成される。
ここで、「仮想第二アーム領域120」とは、図15において色付き部分として示すように、(湾曲した細長い概ね棒状の部材である)第二アーム50が、第三回動軸51aと第四回動軸52aとを結んだ直線状であって、短手方向の幅が第二アーム50の短手方向の幅と同一に形成されたと仮定した場合に、その仮定した直線状の第二アーム50が占める領域として設定されるものである。即ち、端的に説明すれば、「仮想第二アーム領域120」とは、直線状に形成された第二アーム(以下では、「第二アーム150」)が占める領域を示すものである。
より詳細には、図15(c)に示すように、第一回動軸支部重複領域121の第二アーム50側の外形は、第一回動軸支部48から第二回動軸支部49側へ行くに従い第二アーム50側に膨らんだ円弧状であって第二アーム50側へ湾曲した部位121a(第一回動軸支部48における筒状部材48aに相当する部位)と、さらに第二回動軸支部49側へ行くに従い第二アーム50側へ湾曲した部位121b(第四回動軸支部59における筒状部材48aの周囲の部位48bに相当する部位であって、第一アーム上側湾曲部45に相当する部位)と、さらに第二回動軸支部49側へ行くに従い第二アーム50の反対側へ向けて湾曲する部位121c(第四回動軸支部59における第一アーム上側湾曲部45に相当する部位)と、により形成される。
これに対して、第二アーム湾曲部53は、第一回動軸支部48(第三回動軸支部58側)から第二回動軸支部49側(第四回動軸支部59側)へ行くに従い概ね下方(第一アーム40の反対側)へ向けて湾曲(部位53a)し、その後にさらに第一回動軸支部48から第二回動軸支部49側へ行くに従い概ね下方(第一アーム40の反対側)へ向けて湾曲(部位53b)し、その後に概ね上方(第一アーム40側)へ向けて湾曲(部位53c)するが、その湾曲した頂点部分57が、第一アーム40の第一アーム上側湾曲部45(より詳細には、第一アーム上側湾曲部45の第二アーム側の頂点)の概ね下方となる位置に形成される。
そして、第二アーム50において、第一回動軸支部48から第二回動軸支部49側へ行くに従い概ね下方(第一アーム40の反対側)へ向けて湾曲する部位53aの第一アーム40側の外周53eと、第一回動軸支部重複領域121において、第一回動軸支部48から第二回動軸支部49側へ行くに従い第二アーム50側に膨らんだ円弧状であって第二アーム50側へ湾曲した部位121aの第二アーム50側の外周121eと、が概ね対向して近接するように形成される。
また、第二アーム50において、さらに第一回動軸支部48から第二回動軸支部49側へ行くに従い概ね下方(第一アーム40の反対側)へ向けて湾曲する部位53bの第一アーム40側の外周53fと、第一回動軸支部重複領域121において、さらに第二回動軸支部49側へ行くに従い第二アーム50側へ湾曲した部位121bの第二アーム50側の外周121fと、が対向して近接するように形成される。
また、第二アーム50において、その後に概ね上方(第一アーム40側)へ向けて湾曲する部位53cの第一アーム40側の外周53gと、第一回動軸支部重複領域121において、さらに第二回動軸支部49側へ行くに従い第二アーム50の反対側へ向けて湾曲する部位121cの第二アーム50側の外周121gと、が対向して近接するように形成される。
上述の如く構成によって、第二アーム湾曲部53は、仮想第二アーム領域120と、第一アーム40の第一回動軸支部48及び第一アーム上側湾曲部45と、の重複する領域(「第一回動軸支部重複領域121」の、第二アーム50側の外形に沿って形成される。
さらに、第一アーム40の第二アーム50側の外形と、第二アーム50の第一アーム40側の外形とが全体として相互に沿うような形状に形成される。
ここで、第一回動軸支部重複領域121とは、上述の如く直線状に形成された第二アーム150が占める領域である。換言すれば、第一回動軸支部重複領域121とは、従来の技術と同様に第二アーム150が用いられた場合、及び取付孔ピン5aとの干渉を避けるために湾曲した部位(第一アーム上側湾曲部45)がある場合に、第一アーム40が、当該第二アーム150と干渉するため、回動させることができない領域である。
しかしながら、本発明においては、第二アーム湾曲部53は、仮想第二アーム領域120と、第一アーム40の第一回動軸支部48及び第一アーム上側湾曲部45と、の重複する領域(「第一回動軸支部重複領域121」)の、第二アーム50側の外形に沿って形成される。従って、この第一回動軸支部重複領域121において、第一アーム40が、第二アーム50に干渉することがない。また、第二アーム50は、必要最小限の範囲で第一アーム40に干渉しないように湾曲されている(第一アーム40を迂回している)。
なお、第二アーム50において仮想第二アーム領域120と重複しない部分(仮想第二アーム領域120と重複せず下側にはみ出た部分)の面積を、第一回動軸支部重複領域121の面積に近づけることで、より必要最小限な範囲で第二アーム50を湾曲させることができる(第一アーム40を迂回させることができる)。
従って、第一アーム40及び第二アーム50とケース体30とが成す角度(本実施形態においては、ケース体30は左右方向に延設されているため、第一アーム40及び第二アーム50の左右方向(水平方向)に対する傾斜角度)を、従来のものと比較して小さくすることができる。より詳細には、図16(b)に示すように、従来の技術と同様に第一アーム140及び第二アーム150を用いた場合の、当該第一アーム140及び第二アーム150の水平方向に対する角度βよりも、図16(a)に示すように、本発明に係る第一アーム40及び第二アーム50を用いた場合の、当該第一アーム40及び第二アーム50の水平方向に対する角度αを小さくすることができる。
また、第一アーム40及び第二アーム50が配置される領域を、第一アーム40及び第二アーム50の配置方向(左右方向)に小さくして、第一アーム40及び第二アーム50をコンパクトに配置することができる。
より詳細には、図16(c)に示すように、従来の技術と同様に第一アーム140及び第二アーム150を用いた場合に、当該第一アーム140及び第二アーム150の水平方向に対する角度を、本発明に係る第一アーム40及び第二アーム50を用いた場合の、当該第一アーム40及び第二アーム50の水平方向に対する角度αと同一するならば、第一アーム140及び第二アーム150の間(配置方向)の長さを、長さW2にする必要がある。
しかしながら、図16(a)に示すように、本発明に係る第一アーム40及び第二アーム50を用いた場合には、当該第一アーム40及び第二アーム50の間(配置方向)の長さを、第一アーム140及び第二アーム150の間の長さW2より短い長さである長さW1としても、当該第一アーム40及び第二アームの水平方向に対する角度を角度αとすることができる。つまり、第一アーム40及び第二アーム50が配置される領域を、第一アーム40及び第二アーム50の配置方向(左右方向)に小さくして、第一アーム40及び第二アーム50をコンパクトに配置することができる。
また、第一アーム40及び第二アーム50が配置される領域を、第一アーム40及び第二アーム50の上下方向に小さくして、第一アーム40及び第二アーム50をコンパクトに配置することができる。
より詳細には、図16(b)に示すように、従来の技術と同様に第一アーム140及び第二アーム150を用いた場合に、当該第一アーム140及び第二アーム150の間(配置方向)の長さを、本発明に係る第一アーム40及び第二アーム50を用いた場合の、当該第一アーム40及び第二アーム50の間(配置方向)の長さW1と同一するならば、第一アーム140及び第二アーム150の上下方向の長さを、長さH2にする必要がある。
しかしながら、図16(a)に示すように、本発明に係る第一アーム40及び第二アーム50を用いた場合には、当該第一アーム40及び第二アーム50の上下方向の長さを、第一アーム140及び第二アーム150の上下方向の長さH2より短い長さである長さH1としても、当該第一アーム40及び第二アーム50の間(配置方向)の長さを長さW1とすることができる。つまり、第一アーム40及び第二アーム50が配置される領域を、第一アーム40及び第二アーム50の上下方向に小さくして、第一アーム40及び第二アーム50をコンパクトに配置することができる。
以下では、本発明に係る可動体支持構造の第二実施形態について、図17を用いて説明する。
なお、以下では、第一実施形態に係る可動体支持構造と異なる点のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。
第二実施形態が第一実施形態と異なる点は、第一アーム上側湾曲部45を有しない点である。つまり、第一実施形態において、第一アーム40は、当該第一アーム40の上方に配置された取付孔ピン5aとの干渉を防ぐために、第一アーム上側湾曲部45を有していたが、第二実施形態においては、取付孔ピン5aが配置されていない。
このように構成することにより、第二アーム50の第二アーム湾曲部53は、仮想第二アーム領域120と、第一アーム40の第一回動軸支部48と、の重複する領域(以下では、「第一回動軸支部重複領域121」と称する。)の、第二アーム50側の外形(外周121iの形状)に沿って形成される。換言すれば、第二アーム湾曲部53は、第一実施形態における湾曲部よりも小さく(仮想第一アーム領域110と重複せず下側にはみ出た部分を小さく)形成することができる。従って、図17(a)に示すように、第一アーム40及び第二アーム50は、正面視で、長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向とした長方形内に収まるように形成され、第一アーム40及び第二アーム50をよりコンパクトに配置することができる。
以上のように、本発明に係る構造の一実施形態である可動体支持構造は、
一方の端部が第一回動軸41aを介してケース体30(基体)に回動自在に軸支され、他方の端部が第二回動軸42aを介して可動体60に回動自在に軸支される第一アーム40と、前記第一アーム40に対向して配置され、一方の端部が第三回動軸51aを介して前記ケース体30(基体)に回動自在に軸支され、他方の端部が第四回動軸52aを介して前記可動体60に回動自在に軸支される第二アーム50とを有し、前記可動体60を前記ケース体30(基体)に対して往復移動可能に支持する四節平行リンク機構を具備し、
前記ケース体30(基体)に対して前記第一アーム40及び第二アーム50が、前記第二アーム50側である正面視左回り(反時計回り、第一方向)に回動することで前記可動体60が待機位置から作動位置に移動し、前記第一アーム40側であって前記第一方向と反対方向である正面視右回り(時計回り、第二方向)に回動することで前記可動体60が前記作動位置から前記待機位置に移動する、
可動体の支持構造であって、
前記第一アーム40は、前記第一回動軸41aを軸支する第一回動軸支部48と、前記第一回動軸41a及び第二回動軸42aの間に配置されて前記第二アーム50の反対側へ向けて凸となるように湾曲された第一アーム下側湾曲部44(第一アーム曲成部)と、を有し、
第二アーム50は、前記第四回動軸52aを軸支する第四回動軸支部59と、前記第三回動軸51a及び第四回動軸52aの間に配置されて前記第一アーム40の反対側へ向けて凸となるように湾曲された第二アーム湾曲部53(第二アーム曲成部)と、を有し、
前記可動体60が前記待機位置に位置する待機状態において、
前記第一回動軸41aと前記第二回動軸42aとを結んだ直線状であって短手方向の幅を前記第一アーム40の短手方向の幅と同一幅として設定される仮想第一アーム領域110に前記第二アーム50の前記第四回動軸支部59を重複させ、この重複する領域の前記第一アーム40側の外形に沿って前記第一アーム40の前記第一アーム下側湾曲部44(第一アーム湾曲部)を形成し、
前記第三回動軸51aと前記第四回動軸52aとを結んだ直線状であって短手方向の幅を前記第二アーム50の短手方向の幅と同一幅として設定される仮想第二アーム領域120に前記第一アーム40の前記第一回動軸支部48を重複させ、この重複する領域の前記第二アーム50側の外形に沿って前記第二アーム50の前記第二アーム湾曲部53を形成し、
前記第一アーム40の前記第二アーム50側の外形と、前記第二アーム50の前記第一アーム40側の外形と、を全体として相互に沿うような形状に形成するものである。
このように構成することにより、可動体60をケース体30(基体)に近接させる方向へ回動する際に、第一アーム40及び第二アーム50とケース体30との成す角度を、従来のものと比較して小さくすることができ、且つ第一アーム40及び第二アーム50が配置される領域を小さくして、第一アーム40及び第二アーム50をコンパクトに配置することができる。
なお、上述の如き第一実施形態及び第二実施形態においては、第一アーム40及び第二アーム50を湾曲(弓なりに曲成)させて湾曲部を形成しているが、第一アーム40及び第二アーム50の曲成部は必ずしも湾曲状とする必要はなく、例えば、第一アーム40及び第二アーム50を直線的に折り曲げて(有角状に曲成して)曲成部を形成してもよい。