JP5592695B2 - 位相差フィルムとその製造方法および画像表示装置 - Google Patents

位相差フィルムとその製造方法および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、位相差フィルムに関する。より具体的に、本発明は、λ/4板として好適に使用できる、面内位相差の逆波長分散性を示す位相差フィルムとその製造方法、ならびに当該フィルムを備える画像表示装置に関する。
延伸樹脂フィルムを用いた位相差フィルムが、画像表示分野に幅広く使用されている。位相差フィルムにより、例えば、液晶表示装置(LCD)の色調補償、視野角補償が可能となる。位相差フィルムの一種に、面内位相差が可視光域の光の波長のおよそ1/4である1/4波長板(λ/4板)がある。
従来、位相差フィルムには、トリアセチルセルロース(TAC)に代表されるセルロース誘導体、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンが主に使用されている。しかし、これら一般的な重合体を用いた位相差フィルムは、光の波長が短くなるほど位相差が大きくなる波長分散性(順波長分散性)を示す。表示特性に優れる画像表示装置とするためには、これとは逆に、光の波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示す位相差フィルムが望まれる。本明細書では、少なくとも可視光域において光の波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を、当業者の慣用の呼び名に従い、また、一般的な重合体により形成された位相差フィルムが示す波長分散性とは逆であることに基づいて、「逆波長分散性」と呼ぶ。
特許文献1に、特定の分子構造または基を有する樹脂からなる層を有する、位相差の逆波長分散性を示す位相差フィルムが開示されている。
これとは別に、特許文献2には、ビニルカルバゾール重合体の溶液を基板上に塗布し、形成された塗布膜を乾燥させることにより、フィルム法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的に正の一軸性を示す光学フィルムが得られることが記載されている。特許文献2には、当該光学フィルムと他の樹脂フィルムとを積層して使用可能であること、ならびに他の樹脂フィルムは、積層後のフィルムがその法線方向に光学軸を有するとともに光学的に正の一軸性を示す限り限定されないが、光学的に等方性であることが好ましいこと、が記載されている。
WO 2009/084663公報 特開2001-91746号公報
画像表示装置における光学的な設計の自由度を高め、表示特性がさらに向上した画像表示装置を実現するためには、面内位相差について位相差の逆波長分散性を示すとともに、厚さ方向の位相差が抑えられた位相差フィルムが望まれる。このような位相差フィルムを、例えば、LCDなどの画像表示装置に組み込むことによって、当該装置が示す画像のカラーシフトおよび入射角依存性が低減する。
しかし、特許文献1の位相差フィルムは、厚さ方向の位相差について考慮されていない。
一方、特許文献2の光学フィルムは、位相差の波長分散性について考慮されていない。これに加えて、当該文献の実施例に示されているように、特許文献2の光学フィルムにおける面内位相差は基本的に0nmであり、λ/4板としての使用はできない。特許文献2は、単に、厚さ方向に光軸を有する光学的な正の一軸性を示す光学フィルムをいかに得るかのみに着目している。
このような事情の下、本発明は、λ/4板として使用可能な面内位相差を示すとともに、面内位相差について位相差の逆波長分散性を示し、さらに、厚さ方向の位相差が抑えられた位相差フィルムとその製造方法の提供を目的とする。
本発明の位相差フィルムは、主鎖に環構造を有する重合体(A)を含む第1の樹脂層と、以下の式(1)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B)を含む第2の樹脂層と、を含む積層体からなる。前記第1の樹脂層は、波長590nmの光に対する100nm以上190nm以下の面内位相差を示すとともに、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示す。前記第1の樹脂層における厚さ方向の位相差は正である。前記第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または正の二軸性を示すとともに、波長590nmの光に対する0nmまたは10nm以下の面内位相差を示す。前記積層体のNz係数は、0.3以上0.9以下である。本発明の位相差フィルムは、面内位相差について、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性(逆波長分散性)を示す。
Figure 0005592695
式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
本発明の製造方法は、上記本発明の位相差フィルムの製造方法であって、主鎖に環構造を有する重合体(A)を含み;波長590nmの光に対する100nm以上190nm以下の面内位相差を示し;少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示し;厚さ方向の位相差が正である;第1の樹脂層の上に、以下の式(1)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B)を含む溶液を塗布した後に、前記溶液の塗布により形成された塗布膜を乾燥させて、法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または正の二軸性を示し;波長590nmの光に対して0nmまたは10nm以下の面内位相差を示す;第2の樹脂層を形成することにより、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層とを含む積層体からなり;面内位相差について、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示す;前記位相差フィルムを形成する工程を含み、前記工程において、前記第1の樹脂層に対する前記溶液の塗布厚を、前記第1の樹脂層における厚さ方向の位相差と前記第2の樹脂層における厚さ方向の位相差とが打ち消しあうことで、前記積層体のNz係数が0.3以上0.9以下となるように調整する方法である。
Figure 0005592695
式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
本発明の画像表示装置は、上記本発明の位相差フィルムを備える。
本発明の位相差フィルムでは、第1の樹脂層が、波長590nmの光に対する100nm以上190nm以下の面内位相差、すなわち、λ/4板として使用可能な面内位相差を示す。一方、第2の樹脂層は、波長590nmの光に対する0nmまたは10nm以下の面内位相差を示す。すなわち、第2の樹脂層は、面内位相差を示さないか、示したとしてもごく僅かな、非常に小さい面内位相差を示す。このため、第1および第2の樹脂層を含む積層体からなる本発明の位相差フィルムは、主として第1の樹脂層の面内位相差に基づいて、λ/4板として使用可能な面内位相差を示す。
本発明の位相差フィルムでは、第1の樹脂層が、位相差の逆波長分散性を示す。一方、第2の樹脂層は、面内位相差を示さないか、示したとしてもごく僅かな、非常に小さい面内位相差を示す。このため、第1および第2の樹脂層を含む積層体からなる本発明の位相差フィルムは、主として第1の樹脂層が示す位相差の波長分散性に基づいて、面内位相差の逆波長分散性を示す。
本発明の位相差フィルムでは、第1の樹脂層における厚さ方向の位相差が正である。一方、第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または正の二軸性を示す。すなわち、第2の樹脂層における厚さ方向の位相差は負である。このため、第1および第2の樹脂層を含む積層体からなる本発明の位相差フィルムでは、第1および第2の各樹脂層における厚さ方向の位相差が互いに打ち消しあって、厚さ方向の位相差が抑えられ、場合によってはゼロとなる(このときNz係数は0.5)。
本発明の位相差フィルムは、λ/4板として使用可能な面内位相差を示すとともに、面内位相差について位相差の逆波長分散性を示し、さらに、厚さ方向の位相差が抑えられている。本発明の位相差フィルムは、画像表示装置、特にLCDの光学補償の用途に好適である。本発明の位相差フィルムの使用により、画像表示装置における光学的な設計の自由度が高くなるとともに、当該装置の表示特性が向上する。
本発明の製造方法は、このような本発明の位相差フィルムを製造できる。
本明細書における「樹脂」は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は、例えば1種または2種以上の重合体からなってもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラー、無機フィラー;樹脂改質剤;アンチブロッキング剤;マット剤;酸補足剤;金属不活性化剤;可塑剤;滑剤;ASAやABSなどのゴム質量体などである。樹脂が添加剤を含む場合、その含有率は、例えば0.01〜20重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。
[第1の樹脂層]
第1の樹脂層は、主鎖に環構造を有する重合体(A)を含む。第1の樹脂層は、重合体(A)を含む樹脂からなる延伸配向体である。
重合体(A)は、例えば、シクロオレフィン重合体、セルロース誘導体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である。これらの重合体は、高い透明性を有する。このため、このような重合体を含む第1の樹脂層を有する本発明の位相差フィルムは、LCDなどの画像表示装置への使用に好適である。
重合体(A)は、シクロオレフィン重合体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体が好ましい。これらの重合体は、高い機械的特性を有する。また、重合体(A)としてこれらの重合体を含む第1の樹脂層は光学的な設計の自由度が高く、未延伸状態からの延伸方法を適切に選択することによって、厚さ方向の位相差が正の範囲で、光学的な一軸性を示す層としたり、光学的な二軸性を示す層としたりできる。一方、重合体(A)がセルロース誘導体である場合、光学的な一軸性を示す層とすることは難しく、通常、光学的な二軸性を示す層となる。
例えば、本発明の位相差フィルムにおいて、重合体(A)がシクロオレフィン重合体または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であり、第1の樹脂層が、当該層の面内方向に光学的な正の一軸性を示す。すなわち、層の面内方向における遅相軸の屈折率をnx、進相軸の屈折率をnyとし、層の厚さ方向の屈折率をnzとして、第1の樹脂層におけるnx、nyおよびnzが、nx>ny≒nzの関係を満たす。nx、nyおよびnzがこの関係を満たすとき、第1の樹脂層における厚さ方向の位相差(Rth={(nx+ny)/2−nz}×d:dは樹脂層の厚さ(nm))は正である。
例えば、本発明の位相差フィルムにおいて、重合体(A)がシクロオレフィン重合体、セルロース誘導体または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であり、第1の樹脂層が、当該層の面内方向に光学的な負の二軸性を示す。すなわち、第1の樹脂層におけるnx、nyおよびnzが、nx>ny>nzの関係を満たす。nx、nyおよびnzがこの関係を満たすとき、第1の樹脂層における厚さ方向の位相差は正である。
表面強度の観点からは、重合体(A)は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体が好ましい。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位を、全構成単位の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上有する重合体である。(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造を含んでいてもよく、この場合、(メタ)アクリル酸エステル単位および環構造の合計が全構成単位の50モル%以上であれば、(メタ)アクリル重合体となる。
重合体(A)である(メタ)アクリル重合体は、主鎖に環構造を有する。(メタ)アクリル重合体が主鎖に環構造を有することは、重合体(A)を含む第1の樹脂層が、λ/4板が実現されるだけの大きな面内位相差を示すことに寄与する。また、重合体(A)を含む第1の樹脂層が、当該層の面内方向に光学的な正の一軸性または負の二軸性を示すことに寄与する。
これに加えて、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)は高く、例えば110℃以上、当該重合体の構成によっては120℃以上、さらには130℃以上である。このように高いTgを有する(メタ)アクリル重合体を含むことにより、第1の樹脂層および当該層を含む本発明の位相差フィルムの耐熱性が向上する。耐熱性が高い位相差フィルムは、光源などの発熱部の近くに配置することが可能であるため、LCDなどの画像表示装置への使用に好適である。
(メタ)アクリル重合体が主鎖に有する環構造は、例えば、エステル基、イミド基または酸無水物基を有する環構造である。
より具体的な環構造の例は、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、無水グルタル酸構造、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種である。これらの環構造は、第1の樹脂層が、上述した正の一軸性または負の二軸性ならびに大きな面内位相差を示すことへの寄与の程度が大きい。
環構造は、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。ラクトン環構造またはグルタルイミド構造、特にラクトン環構造、を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体は、複屈折の波長分散性が特に小さい。この特性は、重合体(A)を含む第1の樹脂層が、当該層の位相差について強い逆波長分散性を示すことに寄与する。
(メタ)アクリル重合体が有していてもよい具体的なラクトン環構造は特に限定されないが、例えば、以下の式(2)により示される構造である。
Figure 0005592695
式(2)において、R3、R4およびR5は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の範囲の有機残基である。有機残基は、酸素原子を含んでもよい。
有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数が1〜20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数が1〜20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数が1〜20の範囲の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基および上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が水酸基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;である。
式(2)に示すラクトン環構造は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)とを含む単量体群を共重合した後、得られた共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを脱アルコール環化縮合させて形成できる。このとき、R3はH、R4およびR5はCH3である。
以下の式(3)に、グルタルイミド構造および無水グルタル酸構造を示す。
Figure 0005592695
式(3)におけるR6およびR7は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X1は、酸素原子または窒素原子である。X1が酸素原子のときR8は存在せず、X1が窒素原子のとき、R8は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
1が窒素原子のとき、式(3)に示される環構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
1が酸素原子のとき、式(3)に示される環構造は無水グルタル酸構造となる。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を、分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
以下の式(4)に、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造を示す。
Figure 0005592695
式(4)におけるR9およびR10は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X2は、酸素原子または窒素原子である。X2が酸素原子のときR11は存在せず、X2が窒素原子のとき、R11は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
2が窒素原子のとき、式(4)に示される環構造はN−置換マレイミド構造となる。N−置換マレイミド構造を主鎖に有するアクリル樹脂は、例えば、N−置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して形成できる。
2が酸素原子のとき、式(4)に示される環構造は無水マレイン酸構造となる。無水マレイン酸構造を主鎖に有するアクリル樹脂は、例えば、無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して形成できる。
(メタ)アクリル重合体における環構造の含有率は、限定されない。通常、5〜90重量%であり、20〜90重量%が好ましい。当該含有率は、30〜90重量%、35〜90重量%、40〜80重量%および45〜75重量%になるほど、さらに好ましい。環構造の含有率は、特開2001-151814号公報に記載の方法により求めることができる。
主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体は、公知の方法により製造できる。
一例として、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル重合体は、分子鎖内に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を任意の触媒存在下で加熱し、脱アルコールを伴うラクトン環化縮合反応を進行させて、得ることができる。
重合体(a)は、例えば、以下の式(5)に示される単量体を含む単量体群の重合により形成できる。
Figure 0005592695
式(5)において、R12およびR13は、互いに独立して、水素原子または式(2)における有機残基として例示した基である。
式(5)に示される単量体の具体的な例は、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルである。なかでも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、高い透明性および耐熱性を有する位相差フィルムが得られることから、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)が特に好ましい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、式(5)に示される単量体を2種以上含んでもよい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、式(5)に示される単量体以外の単量体を含んでもよい。このような単量体は、式(5)に示される単量体と共重合可能な単量体である限り特に限定されず、例えば、式(5)に示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルである。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;である。なかでも、高い透明性および耐熱性を有する位相差フィルムが得られることから、メタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、これら(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含んでもよい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどの単量体を、1種または2種以上含んでもよい。
主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体は、本発明の効果が得られる限り、上述した(メタ)アクリル単量体の重合により形成される構成単位ならびに当該構成単位の誘導体である環構造以外の構成単位を有していてもよい。
シクロオレフィン重合体は、シクロオレフィン単位を、全構成単位の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上有する重合体である。
シクロオレフィン単位は、例えば、以下の単量体の重合により形成される構成単位である:ジシクロペンタジエンおよびその誘導体(環に置換基を有するもの、例えば、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン);ノルボルネンならびにそのアルキル置換体、ハロゲンなどの極性基置換体またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン;ジメタノオクタヒドロナフタレンならびにそのアルキル置換体、ハロゲンなどの極性基置換体またはアルキリデン置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデンとの付加物;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン。
シクロオレフィン重合体は、主鎖に環構造を有する。このため、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体と同様に、高いTgを有し、第1の樹脂層および当該層を含む本発明の位相差フィルムの耐熱性が向上する。
シクロオレフィン重合体は、複屈折の波長分散性が特に小さい。この特性は、重合体(A)を含む第1の樹脂層が、当該層の位相差について強い逆波長分散性を示すことに寄与する。
シクロオレフィン重合体は、公知の方法により製造できる。
セルロース誘導体は限定されず、例えば、セルロース芳香族カルボン酸エステル重合体、セルロース脂肪酸エステル重合体である。光学特性に優れる位相差フィルムが得られることから、セルロース誘導体はセルロース低級脂肪酸エステル重合体が好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が5以下の脂肪酸を意味する。セルロース低級脂肪酸エステル重合体は、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースピバレートである。セルロース誘導体は、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース混合脂肪酸エステル重合体であってもよい。なかでも、位相差フィルムの可撓性および透明性の観点から、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートのようなセルロースアセテートが好ましい。とりわけ、位相差の波長分散性の観点から、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートが特に好ましい。
セルロース誘導体の数平均分子量Mnは5万〜15万が好ましく、5.5万〜12万がより好ましく、6万〜10万がさらに好ましい。セルロース誘導体における分子量の分散度(=重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.3〜5.5が好ましく、1.5〜5.0がより好ましく、1.7〜4.0がさらに好ましく、2.0〜3.5が特に好ましい。
セルロース誘導体は、公知の方法により製造できる。例えば、原料セルロースの水酸基を、無水酢酸、無水プロピオン酸および/または無水酪酸を用いて、常法により、アセチル基、プロピオニル基および/またはブチル基に置換することで製造できる。その際、特開平10-45804号公報および特表平6-501040号公報に記載の方法が参考となる。原料セルロースは特に限定されず、例えば、木材パルプ、綿花リンターである。木材パルプは、針葉樹のパルプでも広葉樹のパルプでもよいが、針葉樹のパルプが好ましい。フィルムへ製膜する際の剥離性の観点からは、綿花リンターが好ましい。2種以上の原料セルロースを使用できる。
第1の樹脂層における重合体(A)の含有率は、本発明の効果が得られる限り、限定されない。当該含有率は、通常、80重量%以上であり、90重量%以上が好ましい。第1の樹脂層は、重合体(A)からなってもよい。
第1の樹脂層に含まれる重合体の含有率ならびに当該重合体における構成単位の含有率は、公知の手法、例えば1H核磁気共鳴(1H−NMR)または赤外線分光分析(IR)により求めることができる。第2の樹脂層に含まれる重合体の含有率ならびに当該重合体における構成単位の含有率についても、同様である。
第1の樹脂層の構成は、波長590nmの光に対する当該層の面内位相差が100nm以上190nm以下であり、当該層の厚さ方向の位相差が正であり、当該層が位相差の逆波長分散性を示す限り、限定されない。第1の樹脂層は、例えば、特許文献1(WO 2009/84663公報)に開示されている、位相差の逆波長分散性を示す光学フィルムであって、面内位相差が100nm以上190nm以下であり、厚さ方向の位相差が正である光学フィルムである。
[第1の樹脂層の構成例1]
第1の樹脂層は、例えば、以下の重合体(A)を含む樹脂の延伸配向体である:重合体(A)が、当該重合体(A)に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Xと、当該重合体(A)に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Yとを有する;当該負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Yは、以下の式(1)、(6)または(7)に示される単位、または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位である。この重合体(A)を、以下、重合体(A−1)とする。
Figure 0005592695
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式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
重合体に負(あるいは正)の固有複屈折を与える作用を有する構成単位とは、当該単位のホモポリマーを形成したときに、形成したホモポリマーの固有複屈折が負(あるいは正)となる構成単位をいう。重合体自体の固有複屈折の正負は、当該単位によって生じる複屈折と、重合体が有するその他の構成単位によって生じる複屈折との兼ね合いにより決定される。
重合体の固有複屈折の正負は、重合体の分子鎖が一軸配向した層(例えばフィルム)において、当該層の主面に垂直に入射した光のうち、当該層における分子鎖が配向する方向(配向軸)に平行な振動成分に対する層の屈折率n1から、配向軸に垂直な振動成分に対する層の屈折率n2を引いた値「n1−n2」に基づいて判断できる。固有複屈折の値は、各々の重合体について、その分子構造に基づく計算により求めることができる。樹脂および当該樹脂からなる樹脂層の固有複屈折の正負は、当該樹脂に含まれる各重合体によって生じる複屈折の兼ね合いにより決定される。
重合体(A−1)に配向が加えられると、当該重合体(A−1)に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Xに由来して生じた複屈折と、当該重合体(A−1)に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Yに由来して生じた複屈折とが互いに打ち消し合う。ここで、複屈折が打ち消しあう程度が波長によって異なるために、重合体(A−1)を含む第1の樹脂層に位相差の逆波長分散性が生じる。
重合体(A−1)に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Xは限定されない。構成単位Xは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単位、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造、およびシクロオレフィン単位から選ばれる少なくとも1種である。重合体(A−1)は、シクロオレフィン重合体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体が好ましい。
構成単位Yは、重合体(A−1)における複屈折の波長分散性を増大させる強い作用を有する。これに対して、(メタ)アクリル酸エステル単位、当該単位の誘導体である環構造およびシクロオレフィン単位は、重合体(A−1)における複屈折の波長分散性を増大させる作用はそれほど強くない。このように、重合体(A−1)の波長分散性を増大させる程度が異なる構成単位XおよびYを組み合わせることにより、第1の樹脂層における逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
重合体(A−1)が主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である場合、当該環構造は、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。これらの環構造は、重合体(A−1)に正の固有複屈折を与える作用を有するが、その複屈折の波長分散性が非常に小さい。このため、構成単位Yとの組み合わせによって、第1の樹脂層における逆波長分散性の制御の自由度がさらに向上する。これに加えて、これらの環構造は、重合体(A−1)を含む第1の樹脂層がλ/4板として使用可能な面内位相差を発現するために大きく寄与する。
式(1)に示される単位は、重合性基であるビニル基がラクタム構造に結合した単量体(ビニルラクタム)の重合により形成される。当該単位は、例えばN−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位およびN−ビニル−ω−ヘプタラクタム単位から選ばれる少なくとも1種である。
式(1)に示される単位は、N−ビニル−2−ピロリドン単位が好ましい。
式(6)に示される単位は、ビニルアントラセン単位である。当該単位は、ビニルアントラセンの重合により形成される。なお、式(6)に示す環上の水素原子の一部が、式(2)における有機残基として例示した基によって置換されていてもよい。
式(7)に示される単位は、ジベンゾフルベン単位である。当該単位は、ジベンゾフルベンの重合により形成される。なお、式(7)に示す環上の水素原子の一部が、式(2)における有機残基として例示した基によって置換されていてもよい。
複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位(以下、単に「不飽和単量体単位」)は限定されず、例えば、当該単位が有する複素芳香族基は特に限定されない。複素芳香族基におけるヘテロ原子は、典型的には酸素原子、硫黄原子または窒素原子である。重合体(A−1)における複屈折の波長分散性を増大させる作用に優れることから、ヘテロ原子は窒素原子が好ましい。重合体(A−1)における複屈折の波長分散性を増大させる作用が強くなると、第1の樹脂層における逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
複素芳香族基は、例えばカルバゾール基、ピリジン基、イミダゾール基およびチオフェン基から選ばれる少なくとも1種である。
不飽和単量体単位は、例えばN−ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾール単位およびビニルチオフェン単位から選ばれる少なくとも1種である。
N−ビニルカルバゾール単位を、以下の式(8)に示す。なお、式(8)に示す環上の水素原子の一部が、式(2)における有機残基として例示した基によって置換されていてもよい。
Figure 0005592695
重合体(A−1)における複屈折の波長分散性を増大させる作用に特に優れることから、不飽和単量体単位は、N−ビニルカルバゾール単位が好ましい。
構成単位Yは、式(1)に示される単位または不飽和単量体単位が好ましい。
重合体(A−1)は、構成単位Xと構成単位Yとが主鎖にランダムに配置されたランダム共重合体であってもよいし、各々の構成単位からなるブロックが互いに結合したブロック共重合体であってもよい。また、一方の構成単位を有する主鎖に、他方の構成単位を有する側鎖が結合したグラフト共重合体であってもよい。
重合体(A−1)は、2種以上の構成単位Xおよび/またはYを有していてもよい。
重合体(A−1)は、第1の樹脂層が位相差の逆波長分散性を示すとともに、本発明の効果が得られる限り、上述した以外の任意の構成単位を有していてもよい。
重合体(A−1)は、公知の方法により製造できる。
重合体(A−1)における構成単位XおよびYの含有率の比は、重合体(A−1)の固有複屈折に対して各構成単位が作用する程度、あるいは位相差フィルムとして望まれる逆波長分散性の程度などに応じて異なるために一概に述べることができないが、例えば重量比にして、構成単位Y:構成単位X=1:99〜38:62の範囲である。この範囲において、逆波長分散性の制御の自由度を向上でき、用途に応じた良好な波長分散性を有する第1の樹脂層および位相差フィルムが得られる。
第1の樹脂層における重合体(A−1)の含有率は特に限定されないが、本発明の効果が確実に得られることから、通常50重量%以上であり、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。
本構成例における第1の樹脂層は、本発明の効果が得られる限り、2種以上の重合体(A−1)を含んでもよく、重合体(A−1)以外の任意の重合体および材料を含んでもよい。
[第1の樹脂層の構成例2]
第1の樹脂層は、例えば、重合体(A)を含む以下の樹脂の延伸配向体である:当該樹脂は、重合体(C)をさらに含む;重合体(A)の固有複屈折は正である;重合体(C)の固有複屈折は負である;重合体(C)は、以下の式(1)、(6)または(7)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位、すなわち構成単位Yを構成単位として有する。この重合体(A)を、以下、重合体(A−2)とする。
Figure 0005592695
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式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
当該樹脂は、固有複屈折が正の重合体(A−2)と、固有複屈折が負の重合体(C)とを含む組成物である。樹脂の延伸配向時(第1の樹脂層形成時)に、双方の重合体に対して同一方向に配向が加えられた場合、各々の重合体の遅相軸同士が直交するために、互いの複屈折が打ち消しあう。ここで、複屈折が打ち消し合う程度が波長によって異なるために、重合体(A−2)および(C)を含む第1の樹脂層に位相差の逆波長分散性が生じる。
重合体(A−2)は、正の固有複屈折を有する限り限定されず、例えば、シクロオレフィン重合体、セルロース誘導体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である。
重合体(A−2)は、シクロオレフィン重合体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体が好ましい。この場合、第1の樹脂層における逆波長分散性の制御の自由度が向上する。構成単位Yを有する重合体(C)が示す複屈折の波長分散性は、シクロオレフィン重合体または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である重合体(A−2)が示す複屈折の波長分散性に比べて、かなり大きい。このように、複屈折の波長分散性が大きく異なる重合体(A−2)および(C)を組み合わせることで、逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
重合体(A−2)が主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である場合、当該環構造は、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。これらの環構造は、重合体(A−2)に正の固有複屈折を与える作用を有するが、その複屈折の波長分散性が非常に小さい。このため、構成単位Yを有する重合体(C)との組み合わせによって、第1の樹脂層における逆波長分散性の制御の自由度がさらに向上する。これに加えて、これらの環構造は、重合体(A−2)を含む第1の樹脂層がλ/4板として使用可能な面内位相差を発現するために大きく寄与する。
重合体(A−2)は、その固有複屈折が正であるとともに本発明の効果が得られる限り、任意の構成単位を有していてもよい。例えば重合体(A−2)が構成単位Yを有していてもよく、この場合、重合体(A−2)と(C)との相溶性が向上し、透明性に優れる第1の樹脂層および位相差フィルムとなる。
重合体(A−2)は、公知の方法により製造できる。
重合体(C)は、構成単位Yを有するとともに、その固有複屈折が負である限り限定されない。
構成単位Yは、当該単位を構成単位として有する重合体(C)における複屈折の波長分散性を大きく増加させる作用を有する。このため、重合体(A−2)と(C)との組み合わせによって、逆波長分散性の制御の自由度が向上する。重合体(A−2)が、シクロオレフィン重合体または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体、特にラクトン環構造またはグルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(上述したように、これらの重合体は複屈折の波長分散性が非常に小さい)である場合、第1の樹脂層および位相差フィルムの逆波長分散性の制御の自由度がさらに高くなる。
重合体(C)は、その固有複屈折が負であるとともに本発明の効果が得られる限り、構成単位Y以外の構成単位を有していてもよい。このとき、重合体(C)における構成単位Yの含有率は、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。
例えば重合体(C)は、構成単位Yと(メタ)アクリル酸エステル単位とを構成単位として有してもよい。この場合、(メタ)アクリル重合体である重合体(A−2)との相溶性が向上し、透明性に優れる第1の樹脂層および位相差フィルムとなる。
重合体(C)は、上述した環構造を主鎖に有してもよい。この場合、より耐熱性に優れる第1の樹脂層および位相差フィルムとなる。
具体的な例として、重合体(C)は以下の単量体の重合により形成された構成単位を有してもよい:アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(例えばメチルアクリルレート、エチルアクリレート、カルバゾイルエチルアクリレート)、メタクリル酸アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、カルバゾイルエチルメタクリレート)、アクリル酸アミノアルキルエステル(例えばジエチルアミノエチルアクリレート)、メタクリル酸アミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(例えばヒドロキシエチルメタクリレート)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリコールジアリルエーテル。
重合体(C)は、公知の方法により製造できる。
本構成例の第1樹脂層における重合体(A−2)と重合体(C)との混合比は、各重合体の固有複屈折の絶対値、あるいは第1の樹脂層および位相差フィルムとして望まれる逆波長分散性の程度などに応じて異なるために一概に述べることができないが、例えば重量比にして、(A−2):(C)=1:99〜99:1の範囲であり、(A−2):(C)=10:90〜90:10の範囲が好ましく、(A−2):(C)=20:80〜80:20の範囲がより好ましい。この範囲において逆波長分散性の制御の自由度を向上でき、用途に応じた良好な逆波長分散性を有する第1の樹脂層および位相差フィルムとすることができる。
本構成例における第1の樹脂層は、本発明の効果が得られる限り、2種以上の重合体(A−2)あるいは2種以上の重合体(C)を含んでもよい。
本構成例における第1の樹脂層は、本発明の効果が得られる限り、重合体(A−2)および(C)以外の任意の重合体および材料を含んでもよい。
[第1の樹脂層の構成例3]
第1の樹脂層は、例えば、以下の構成を有する:重合体(A)の固有複屈折が正である;第1の樹脂層が、第1の膜と第2の膜とを含む積層構造を有する;第1の膜は、重合体(A)を含む、固有複屈折が正の樹脂からなる;第2の膜は、固有複屈折が負の重合体(C)を含む、固有複屈折が負の樹脂からなる;重合体(C)は、以下の式(1)、(6)または(7)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位、すなわち構成単位Yを構成単位として有する。この重合体(A)を、以下、重合体(A−2)とする。
Figure 0005592695
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式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
本構成例の第1の樹脂層では、固有複屈折の符号が互いに異なる樹脂からなる2種類の膜において、入射した光に対する双方の膜の複屈折が互いに打ち消し合う現象が生じる。ここで、複屈折が打ち消し合う程度が波長によって異なるために、第1の樹脂層は逆波長分散性を示す。
重合体(A−2)および(C)は、上述した構成例2における重合体(A−2)および(C)と同様である。
第1および第2の膜は、本発明の効果が得られる限り、それぞれ、重合体(A−2)および(C)以外の任意の重合体および材料を含んでもよい。
第1の樹脂層は、本発明の効果が得られる限り、第1および第2の膜以外の任意の膜を含んでいてもよい。
[第1の樹脂層の構成例4]
第1の樹脂層は、例えば、以下の重合体(A)を含む樹脂の延伸配向体である:重合体(A)が、以下の式(8)、(9)または(10)に示される分子構造Z、または複素芳香族基を有するセルロース誘導体である。この重合体(A)を、以下、重合体(A−3)とする。
Figure 0005592695
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前記式(8)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して水素原子またはメチル基である。
重合体(A−3)に配向が加えられると、分子構造Zまたは複素芳香族基により変性される程度がセルロース誘導体の繰り返し単位間で異なるために、各々の繰り返し単位に由来して生じた複屈折が互いに打ち消しあう。ここで、複屈折が打ち消しあう程度が波長によって異なるために、重合体(A−3)を含む第1の樹脂層に位相差の逆波長分散性が生じる。
重合体(A−3)は公知の方法により製造できる。例えば、変性の対象である繰り返し単位と結合可能な結合基を分子構造Zまたは複素芳香族基に結合させた化合物を、当該繰り返し単位を有するセルロース誘導体と反応させればよい。セルロース誘導体がTACなどのセルロースエステル重合体である場合、当該結合基は、例えば水酸基である。分子構造Zが式(8)に示される構造である場合、上記化合物は、例えば5−オキソピロリジン−2−カルボン酸の酸塩化物である。酸塩化物の形成には、塩化チオニルを使用できる。
複素芳香族基は、例えば、カルバゾール基、ピリジン基、イミダゾール基およびチオフェン基から選ばれる少なくとも1種である。
第1の樹脂層の厚さは、適宜設定でき、例えば、20〜200μmである。
第1の樹脂層の形成方法は、限定されず、公知の方法を適用できる。例えば、重合体(A)を含む樹脂をフィルムに成形し、得られたフィルム(原フィルム)を所定の方向に延伸(典型的には一軸延伸または逐次二軸延伸)することで、当該樹脂が含む重合体の分子鎖を配向させればよい。樹脂のフィルムへの成形は、キャスト法、溶融成形法(例えば溶融押出成形、プレス成形)などの公知の手法を適用できる。
重合体(A)の種類および原フィルムの延伸方法を選択することにより、第1の樹脂層の光学的特性を選択できる。例えば、重合体(A)がシクロオレフィン重合体または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である場合、当該重合体(A)を含む原フィルムを一軸延伸することで、面内方向に光学的な正の一軸性を示す第1の樹脂層を形成でき、当該重合体(A)を含む原フィルムを逐次二軸延伸することで、面内方向に光学的な負の二軸性を示す第1の樹脂層を形成できる。例えば、重合体(A)がセルロース誘導体である場合、当該重合体(A)を含む原フィルムを一軸延伸することで、面内方向に光学的な負の二軸性を示す第1の樹脂層を形成できる。
[第2の樹脂層]
第2の樹脂層は、以下の式(1)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B)を含む。
Figure 0005592695
式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。式(1)に示される単位は、N−ビニルラクタム単位である。
以下、重合体(B)が有する、式(1)に示される単位および不飽和単量体単位を構成単位Pと呼ぶ。
構成単位Pは、第2の樹脂層が当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または二軸性を示すことに寄与する。
不飽和単量体単位は、限定されない。例えば、当該単位が有する複素芳香族基は限定されない。複素芳香族基におけるヘテロ原子は、典型的には酸素原子、硫黄原子または窒素原子であり、窒素原子が好ましい。
複素芳香族基は、例えばカルバゾール基、ピリジン基、イミダゾール基およびチオフェン基から選ばれる少なくとも1種である。
不飽和単量体単位は、例えばN−ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾール単位およびビニルチオフェン単位から選ばれる少なくとも1種である。
重合体(B)を含む第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または二軸性を示すが、この光学特性の発現性に優れることから、不飽和単量体単位はN−ビニルカルバゾール単位が好ましい。
式(1)に示されるN−ビニルラクタム単位は、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位およびN−ビニル−ω−ヘプタラクタム単位から選ばれる少なくとも1種である。
重合体(B)を含む第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または二軸性を示すが、この光学特性の発現性に優れることから、式(1)に示される単位は、N−ビニル−2−ピロリドン単位が好ましい。
構成単位Pを有することにより、重合体(B)のTgは高く、例えば110℃以上、当該重合体の構成によっては、120℃以上、さらには130℃以上である。このように高いTgを有する重合体(B)を含むことにより、第2の樹脂層および当該層を含む本発明の位相差フィルムの耐熱性が向上する。
重合体(B)における構成単位Pの含有率は、第2の樹脂層が当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または二軸性を示す限り、限定されない。当該含有率は、通常、全構成単位の50モル%以上であり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上である。
重合体(B)は、構成単位Pのホモポリマーであることが好ましい。この場合、第2の樹脂層の厚さが薄いときでも、十分な光学特性が得られる。具体的には、重合体(B)はポリN−ビニルカルバゾールであってもよい。重合体(B)は、式(1)に示される単位のホモポリマーであってもよく、ポリN−ビニル−2−ピロリドンであってもよい。
ただし、重合体(B)は、重合体(B)を含む第2の樹脂層が当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または二軸性を示すとともに本発明の効果が得られる限り、構成単位P以外の構成単位を有していてもよい。当該構成単位は、例えば、以下の単量体の重合により形成される構成単位である:アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(例えばメチルアクリルレート、エチルアクリレート、カルバゾイルエチルアクリレート)、メタクリル酸アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、カルバゾイルエチルメタクリレート)、アクリル酸アミノアルキルエステル(例えばジエチルアミノエチルアクリレート)、メタクリル酸アミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(例えばヒドロキシエチルメタクリレート)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリコールジアリルエーテル。
第2の樹脂層は、2種以上の重合体(B)を含んでいてもよい。この場合、各重合体(B)が、それぞれ、異なる構成単位Pのホモポリマーであることが好ましい。これを違う観点から見ると、第2の樹脂層が2種以上の構成単位Pを含む場合、第2の樹脂層は、当該2種以上の構成単位Pの共重合体としての重合体(B)を含むよりも、各構成単位Pのホモポリマーとしての重合体(B)を2種以上含むことが好ましい。
重合体(B)は、公知の方法により製造できる。例えば、重合により構成単位Pとなる単量体を含む単量体群を、公知の方法により重合すればよい。
重合体(B)の重合時には、重合開始剤として、過酸化水素と金属塩との混合物、アゾ化合物および有機過酸化物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
アゾ化合物は、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)である。重合開始剤として2種以上のアゾ化合物を用いてもよい。
これらのアゾ化合物のうち、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が好ましい。
有機過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルヒドロペルオキシドである。重合開始剤として2種以上の有機過酸化物を用いてもよい。
これらの有機過酸化物のうち、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましく、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。
重合体(B)の重合系における重合開始剤の濃度は、重合する単量体の種類、濃度に応じて調整すればよく、特に限定されないが、例えば、単量体100重量部に対して0.001重量部〜3重量部であり、0.005重量部〜2重量部が好ましい。
重合系には、必要に応じ、連鎖移動剤、pH調整剤、緩衝材などを添加できる。
重合溶媒は特に限定されず、例えば、ケトン含有溶媒(アセトンとトルエンとの混合溶媒など)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)およびこれらの混合溶媒である。
重合温度は、重合する単量体の種類に応じて調整すればよく特に限定されないが、例えば40℃〜100℃であり、50℃〜95℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。
第2の樹脂層における重合体(B)の含有率は、当該重合体を含む第2の樹脂層が当該層の厚さ方向に光学的な正の一軸性または二軸性を示すとともに本発明の効果が得られる限り、限定されない。当該含有率は、通常、80重量%以上であり、90重量%以上が好ましい。
第2の樹脂層は、当該層の厚さ方向に光学的な正の一軸性または二軸性が見られるとともに本発明の効果が得られる限り、重合体(B)以外の任意の重合体および材料を含んでいてもよい。
第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または二軸性を示す。すなわち、第2の樹脂層では、層の面内方向における遅相軸の屈折率をnx、進相軸の屈折率をnyとし、層の厚さ方向の屈折率をnzとして、nx、nyおよびnzが、nz>nx=nyまたはnz>nx>nyの関係を満たす。nx、nyおよびnzが満たすこの関係から、第2の樹脂層の厚さ方向の位相差は負である。
第2の樹脂層は、波長590nmの光に対して、0nmまたは10nm以下の面内位相差を示す。
第2の樹脂層は、典型的には、その法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性を示す。ただし、位相差フィルムの製造時における巻き取り工程などにおいて、当該フィルムがその面内方向に僅かに延伸されることがあり、フィルム面内方向の屈折率の異方性が僅かに生じることがある。第2の樹脂層が、「法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の二軸性を示す」とは、このような異方性を許容する趣旨である。
第2の樹脂層の厚さは限定されない。例えば、1〜100μmであり、好ましくは1〜40μmである。第2の樹脂層が、構成単位Pのホモポリマーである重合体(B)を含む場合、当該層の厚さが薄くても十分な光学特性を確保できる。
第2の樹脂層の形成方法は、限定されない。
第1の樹脂層が構成単位Yを含む場合、構成単位Yと、第2の樹脂層が含む構成単位Pとは、同一であっても異なっていてもよい。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、第1の樹脂層と第2の樹脂層とを含む積層体からなる。第1および第2の樹脂層の数は、本発明の効果が得られる限り限定されないが、典型的には1層ずつである。本発明の位相差フィルムでは、典型的には、第1および第2の樹脂層が互いに接合している。より典型的には、1層の第1の樹脂層と、1層の第2の樹脂層とが互いに接合した構成を有する。
本発明の位相差フィルムは、第1の樹脂層に基づく面内位相差を示す。これにより、本発明の位相差フィルムは、λ/4板として使用可能である。本発明の位相差フィルムが示す面内位相差は、波長590nmの光に対して、100nm以上190nm以下である。
本発明の位相差フィルムは、第1の樹脂層が示す位相差の波長分散性に基づいて、面内位相差の逆波長分散性を示す。
本発明の位相差フィルムは、第1の樹脂層および第2の樹脂層における厚さ方向の位相差が互いに打ち消し合うことに基づいて、厚さ方向の位相差が抑えられている。具体的には、本発明の位相差フィルム(第1および第2の樹脂層を含む積層体)のNz係数は、0.3以上0.9以下である。Nz係数は、0.4以上0.8以下が好ましく、0.4以上0.7以下がより好ましい。Nz係数は、式{Nz=(nx−nz)/(nx−ny)}により与えられる。この式を、フィルムの面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthを用いて表現すると、Nz=Rth/Re+0.5となり、面内位相差Reに対する厚さ方向の位相差Rthの比に比例する係数であることがわかる。Nz係数が0.5であることは、位相差フィルムとしての厚さ方向の位相差がゼロであることを意味する。
これらの光学特性により、本発明の位相差フィルムは、画像表示装置、特にLCDの光学補償に好適となる。
本発明の位相差フィルムは、本発明の効果が得られる限り、第1および第2の樹脂層以外の任意の層を含んでいてもよい。
本発明の位相差フィルムは、VAモードLCD、IPSモードLCDをはじめ、各種モードのLCDの光学補償に使用できる。また、LCD以外にも、様々な画像表示装置、光学装置に使用できる。
[位相差フィルムの製造方法]
本発明の製造方法では、特定の光学特性を有する第1の樹脂層の上に、重合体(B)を含む溶液を塗布した後に、当該溶液の塗布により形成された塗布膜を乾燥させて、特定の光学特性を有する第2の樹脂層を形成する。これにより、第1の樹脂層と第2の樹脂層とを含む積層体からなる本発明の位相差フィルムが得られる。
従来、厚さ方向に光軸を有する光学的な正の一軸性を示す光学層を得るために、いわゆる収縮延伸法(特開2008-281667号公報参照)が広く用いられている。本発明の製造方法では、溶液の塗布、乾燥によって、このような光学層を実現できる。このため、本発明の製造方法は、非常に生産性が高い。
特に、構成単位PがN−ビニルカルバゾール単位、N−ビニル−2−ピロリドン単位である場合、重合体(B)のTgが非常に高くなる。このように高いTgを有する重合体を含む層の延伸は、破断が生じやすく、難しい。一方、本発明の製造方法では、重合体(B)のTgによらず、第2の樹脂層を形成できる。このため、重合体(B)が、N−ビニルカルバゾール単位のホモポリマーであるポリN−ビニルカルバゾールである場合、あるいはN−ビニル−2−ピロリドン単位のホモポリマーであるポリN−ビニル−2−ピロリドンである場合にも、第2の樹脂層を形成し、本発明の位相差フィルムを製造できる。重合体(B)における構成単位Pの含有率が高いほど、第2の樹脂層における上記光学的特性が顕著となるため、重合体(B)がポリN−ビニルカルバゾールあるいはポリN−2−ピロリドンである場合、第2の樹脂層ならびに当該層を含む本発明の位相差フィルムのさらなる薄膜化が可能となる。
重合体(B)を含む溶液の溶媒は、重合体(B)を溶解するとともに第1の樹脂層上に塗布できる限り限定されず、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;メタノール、エタノール、ブチルアルコールなどのアルコール類;グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素である。これらの溶媒を2種以上混合して使用してもよい。溶媒は、重合体(B)の溶解性に優れることから、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、メタノールが好ましい。
第2の樹脂層が形成される限り、当該溶液は、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、顔料、密着性向上剤などの各種の添加剤を含んでいてもよい。
溶液の塗布方法は限定されず、公知の方法を適用できる。具体的には、キスコート、スピンコート、ロールコート、ディップコート、カーテンコート、バーコート、ドクターブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、ダイコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、オフセットグラビアコート、リップコート、スプレーコート、コンマコートなどの各種の方法により、第1の樹脂層上に溶液を塗布すればよい。
本発明の製造方法では、このとき、第1の樹脂層における厚さ方向の位相差と、溶液の塗布、乾燥により形成される第2の樹脂層における厚さ方向の位相差とが打ち消しあうことで、位相差フィルムの(第1および第2の樹脂層を含む積層体の)Nz係数が0.3以上0.9以下となるように、溶液の塗布厚を調整する。
溶液の塗布により第1の樹脂層上に形成された塗布膜は、例えば、乾燥機、オーブンなどにより乾燥させればよい。乾燥時間は、30秒〜30分程度である。乾燥温度は、乾燥の初期段階では溶媒の沸点以下の温度とし、その後、昇温して、最終的に第1の樹脂層のTg未満とすることが好ましい。乾燥温度が過度に高いと、第1の樹脂層が有する位相差が失われたり、位相差フィルムに気泡が発生することがある。乾燥温度が過度に低いと、第2の樹脂層に溶媒が残存し、残存した溶媒が少しずつ揮発することによって位相差フィルムの位相差が経時的に変動することがある。
本発明の製造方法では、第1の樹脂層上に重合体(B)を含む溶液を塗布し、形成された塗布膜を乾燥して第2の樹脂層とした後は、基本的に、これら樹脂層に延伸を加えない。しかし、位相差フィルムの製造工程上、僅かな延伸が加わることがあるが、第1および第2の樹脂層における上述した光学特性が保たれる限り、このような延伸は許容できる。また、第1および第2の樹脂層における上述した光学特性が保たれる限り、必要に応じて、これらの樹脂層に延伸を加えることができる。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の位相差フィルムを備える。これにより、画像表示特性に優れる、例えば、高コントラストかつ広視野角の画像表示装置となる。
本発明の画像表示装置は、例えば、LCDである。より具体的には、例えば、VAモードLCD、IPSモードLCDである。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
[重合体の重量平均分子量]
第1および第2の樹脂層に使用する重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の測定条件に従って、ポリスチレン換算により求めた。
測定システム:東ソー製GPCシステムHLC-8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
溶媒流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:東ソー製、TSK-GEL super HZM-M 6.0X150、2本直列接続
東ソー製、TSK-GEL super HZ-L 4.6X35、1本
リファレンス側カラム構成:東ソー製、TSK-GEL SuperH-RC 6.0X150、2本直列接続
カラム温度:40℃。
[重合体のガラス転移温度]
第1および第2の樹脂層に使用する重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC-8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[面内位相差Re]
作製した位相差フィルムにおける波長590nmの光に対する面内位相差Re、および面内位相差Reの波長分散性は、位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100(大塚電子製)を用いて評価した。
[厚さ方向の位相差Rth]
作製した位相差フィルムにおける波長590nmの光に対する厚さ方向の位相差Rthは、位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100(大塚電子製)を用いて評価した。
(製造例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)26重量部、メタクリル酸エチル(EMA)25重量部、メタクリル酸メチル(MMA)44.8重量部、N−ビニルカルバゾール(NVCz)4.2重量部および重合溶媒としてトルエン90重量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.04重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、トルエン10重量部に上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.08重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、0.2重量部のリン酸ステアリル/ジステアリル混合物を加え、約80〜105℃の還流下において2時間、環化縮合反応を進行させた。さらに、オートクレーブ中で240℃、90分間加熱した後、得られた重合溶液を減圧下、240℃で1時間、乾燥させて、主鎖にラクトン環構造を有するとともに、N−ビニルカルバゾール単位を構成単位に有する透明な(メタ)アクリル重合体(A1)を得た。重合体(A1)の重量平均分子量は14万であり、Tgは132℃であった。
(実施例1)
製造例1で作製した重合体(A1)を、二軸押出機を用いて脱気乾燥およびペレット化し、ペレットとした。
次に、重合体(A1)のペレットをプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約140μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて自由端一軸延伸(延伸温度135℃、延伸倍率2.2倍)して、主鎖にラクトン環構造を有するとともに、N−ビニルカルバゾール単位を構成単位に有する(メタ)アクリル重合体からなる、厚さ95μmの一軸延伸性フィルム(FA−1)を得た。
作製したフィルム(FA−1)の位相差(面内位相差Re)の波長分散性の評価結果を、以下の表1に示す。なお、表1ならびに以降の実施例・比較例におけるフィルムの波長分散性を示す各表では、測定波長を590nmとしたときの面内位相差Reを基準(R0)として、その他の波長における面内位相差ReとR0との比(Re/R0)を併せて示す。
Figure 0005592695
表1に示すように、フィルム(FA−1)は、135〜150nm程度の面内位相差Reを有するとともに、位相差の逆波長分散性を有していた。
また、フィルム(FA−1)の厚さ方向の位相差Rthは69nmであり、当該フィルムのNz係数は0.98であった。これらの値から判断すると、フィルム(FA−1)は、当該フィルムの面内方向に光学的な正の一軸性を有する。
次に、得られたフィルム(FA−1)を第1の樹脂層として、当該フィルムの主面に、ポリN−ビニルカルバゾール(東京化成工業製)のトルエン溶液(B1)を、乾燥後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターにより塗布した。次に、全体を60℃で10分間乾燥した後、さらに100℃で10分間乾燥して、第1の樹脂層と、当該樹脂層に接合したポリN−ビニルカルバゾール層(第2の樹脂層)とからなる積層フィルム(FAB−1)を得た。
得られたフィルム(FAB−1)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表2に示す。表2には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FAB−1)のNz係数を併せて示す。これとは別に、得られたフィルム(FAB−1)の位相差(面内位相差Re)の波長分散性の評価結果を、以下の表3に示す。
Figure 0005592695
Figure 0005592695
表2に示すように、フィルム(FAB−1)は、λ/4板としての使用が可能な面内位相差Reを有するとともに、厚さ方向の位相差Rthが抑えられ、Nz係数が0.56であった。
表3に示すように、フィルム(FAB−1)は、面内位相差の逆波長分散性を示した。また、表1に示す第1の樹脂層の面内位相差と、表3に示す位相差フィルム(FAB−1)の面内位相差とから、第2の樹脂層の面内位相差は10nm以下であった。
(実施例2)
製造例1で作製した重合体(A1)を、二軸押出機を用いて脱気乾燥およびペレット化し、ペレットとした。
次に、重合体(A1)のペレットをプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約130μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて自由端一軸延伸(延伸温度135℃、延伸倍率2.2倍)して、主鎖にラクトン環構造を有するとともに、N−ビニルカルバゾール単位を構成単位に有する(メタ)アクリル重合体からなる、厚さ85μmの一軸延伸性フィルム(FA−2)を得た。
次に、得られたフィルム(FA−2)を第1の樹脂層として、当該フィルムの主面に、ポリビニル−2−ピロリドン(日本触媒製、ポリビニルピロリドンK−90)のメタノール溶液(B2)を、乾燥後の膜厚が15μmとなるようにバーコーターにより塗布した。次に、全体を60℃で10分間乾燥した後、さらに100℃で10分間乾燥して、第1の樹脂層と、当該樹脂層に接合したポリビニル−2−ピロリドン層(第2の樹脂層)とからなる積層フィルム(FAB−2)を得た。
得られたフィルム(FAB−2)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表4に示す。表4には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FAB−2)のNz係数を併せて示す。
Figure 0005592695
表4に示すように、フィルム(FAB−2)は、λ/4板としての使用が可能な面内位相差Reを有するとともに、厚さ方向の位相差Rthが抑えられ、Nz係数が0.70であった。
また、フィルム(FAB−2)は、実施例1のフィルム(FAB−1)と同様に、面内位相差の逆波長分散性を示し、当該フィルムにおける第2の樹脂層の面内位相差は10nm以下であった。
(比較例1)
製造例1で作製した重合体(A1)を、二軸押出機を用いて脱気乾燥およびペレット化し、ペレットとした。
次に、重合体(A1)のペレットをプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約140μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて自由端一軸延伸(延伸温度135℃、延伸倍率2.2倍)して、主鎖にラクトン環構造を有するとともに、N−ビニルカルバゾール単位を構成単位に有する(メタ)アクリル重合体からなる、厚さ100μmの一軸延伸性フィルム(FA−3)を得た。
作製したフィルム(FA−3)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表5に示す。表5には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FA−3)のNz係数を併せて示す。
Figure 0005592695
表5に示すように、フィルム(FA−3)のみでは、厚さ方向の位相差Rthが大きく、Nz係数が1.00であった。
(比較例2)
製造例1で作製した重合体(A1)を、二軸押出機を用いて脱気乾燥およびペレット化し、ペレットとした。
次に、重合体(A1)のペレットをプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約130μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて自由端一軸延伸(延伸温度135℃、延伸倍率2.2倍)して、主鎖にラクトン環構造を有するとともに、N−ビニルカルバゾール単位を構成単位に有する(メタ)アクリル重合体からなる、厚さ90μmの一軸延伸性フィルム(FA−4)を得た。
次に、得られたフィルム(FA−4)の主面に、ポリスチレン(和光純薬製)のトルエン溶液(D1)を、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにバーコーターにより塗布した。次に、全体を60℃で10分間乾燥した後、さらに100℃で10分間乾燥して、フィルム(FA−4)と、当該フィルムに接合したポリスチレン層とからなる積層フィルム(FAD−1)を得た。
得られたフィルム(FAD−1)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表6に示す。表6には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FAD−1)のNz係数を併せて示す。
Figure 0005592695
表6に示すように、フィルム(FAD−1)は、λ/4板としての使用が可能な面内位相差Reを有していたが、厚さ方向の位相差Rthが大きく、Nz係数が1.00であった。
(比較例3)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、MHMA15重量部、MMA35重量部および重合溶媒としてトルエン50重量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.03重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、トルエン3.3重量部に上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.06重量部を溶解した溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の加温、熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、0.1重量部のリン酸オクチル/ジオクチル混合物を加え、約80〜105℃の還流下において2時間、環化縮合反応を進行させた。さらに、オートクレーブ中で240℃、90分間加熱した後、得られた重合溶液を減圧下240℃で1時間乾燥させて、主鎖にラクトン環構造を有する透明な(メタ)アクリル重合体(A2)を得た。
これとは別に、攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、MHMA6重量部、MMA74重量部、N−ビニルカルバゾール20重量部および重合溶媒としてトルエン90重量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.1重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、10重量部のトルエンに上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.2重量部を溶解した溶液を4時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに3時間の加温、熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、0.9重量部のリン酸オクチル/ジオクチル混合物を加え、約80〜105℃の還流下において2時間、環化縮合反応を進行させた。次に、オートクレーブにより、240℃で90分間さらに加熱した後、得られた重合溶液を減圧下240℃で1時間乾燥させて、N−ビニルカルバゾール単位を構成単位として有するとともに主鎖にラクトン環構造を有する透明な重合体(E1)を得た。
次に、作製した重合体(A2)をプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約80μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを延伸することなく、その主面に、作製した重合体(E1)のトルエン溶液を、乾燥後の膜厚が19μmとなるようにバーコーターにより塗布した。次に、全体を60℃で1時間乾燥した後、さらに120℃で15分間乾燥して、重合体(A2)からなる層と、重合体(E1)からなる層との積層構造を有する積層体を得た。次に、作製した積層体を、上記オートグラフにより、延伸倍率が2倍となるように延伸温度142℃で自由端一軸延伸して、重合体(A2)からなる延伸配向体と重合体(E1)からなる延伸配向体との積層構造を有する厚さ70μmの延伸フィルム(FAE−1)を得た。
得られたフィルム(FAE−1)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表7に示す。表7には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FAE−1)のNz係数を併せて示す。これとは別に、得られたフィルム(FAE−1)の位相差(面内位相差Re)の波長分散性の評価結果を、以下の表8に示す。
Figure 0005592695
Figure 0005592695
表7に示すように、フィルム(FAE−1)は面内位相差の逆波長分散性を示したが、厚さ方向の位相差Rthが大きく、Nz係数が1.00であった。
(実施例3)
市販のセルロースアセテートブチレート(アクロス製、ブチル変性量35−39重量%、数平均分子量Mn=7万)を、二軸押出機を用いて脱気乾燥およびペレット化し、ペレットとした。
次に、作製したペレットをプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約110μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて自由端一軸延伸(延伸温度135℃、延伸倍率2.0倍)して、セルロース誘導体からなる、厚さ78μmの延伸フィルム(FA−5)を得た。
作製したフィルム(FA−5)の位相差(面内位相差Re)の波長分散性の評価結果を、以下の表9に示す。
Figure 0005592695
表9に示すように、フィルム(FA−5)は、105〜140nm程度の面内位相差Reを有するとともに、位相差の逆波長分散性を有していた。
また、フィルム(FA−5)の厚さ方向の位相差Rthは88nmであり、当該フィルムのNz係数は1.18であった。これらの値から判断すると、フィルム(FA−5)は、当該フィルムの面内方向に光学的な負の二軸性を有する。
次に、得られたフィルム(FA−5)を第1の樹脂層として、当該フィルムの主面に、ポリビニル−2−ピロリドン(日本触媒製、ポリビニルピロリドンK−90)のメタノール溶液(B2)を、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにバーコーターにより塗布した。次に、全体を60℃で10分間乾燥した後、さらに100℃で10分間乾燥して、第1の樹脂層と、当該樹脂層に接合したポリビニル−2−ピロリドン層(第2の樹脂層)とからなる積層フィルム(FAB−3)を得た。
得られたフィルム(FAB−3)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表10に示す。表10には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FAB−3)のNz係数を併せて示す。これとは別に、得られたフィルム(FAB−3)の位相差(面内位相差Re)の波長分散性の評価結果を、以下の表11に示す。
Figure 0005592695
Figure 0005592695
表10に示すように、フィルム(FAB−3)は、λ/4板としての使用が可能な面内位相差Reを有するとともに、厚さ方向の位相差Rthが抑えられ、Nz係数が0.79であった。
表11に示すように、フィルム(FAB−3)は、面内位相差の逆波長分散性を示した。
(比較例4)
市販のセルロースアセテートブチレート(アクロス製、ブチル変性量35−39重量%、数平均分子量Mn=7万)を、二軸押出機を用いて脱気乾燥およびペレット化し、ペレットとした。
次に、作製したペレットをプレス成形機により250℃でプレス成形して、厚さ約110μmのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて自由端一軸延伸(延伸温度135℃、延伸倍率2.0倍)して、セルロース誘導体からなる、厚さ78μmの延伸フィルム(FA−8)を得た。
作製したフィルム(FA−8)における波長590nmの光に対する面内位相差Reおよび厚さ方向の位相差Rthの評価結果を以下の表12に示す。表12には、測定したReおよびRthから求めたフィルム(FA−8)のNz係数を併せて示す。
Figure 0005592695
表12に示すように、フィルム(FA−8)のみでは、厚さ方向の位相差Rthが大きく、Nz係数が1.18であった。
本発明の位相差フィルムは、LCDをはじめとする種々の画像表示装置、光学装置に使用できる。本発明の位相差フィルムは、画像表示装置の光学補償に好適である。

Claims (17)

  1. 主鎖に環構造を有する重合体(A)を含む第1の樹脂層と、
    以下の式(1)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B)を含む第2の樹脂層と、を含む積層体からなり、
    前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層とは、直接、互いに接合しており、
    前記第1の樹脂層は、波長590nmの光に対する100nm以上190nm以下の面内位相差を示すとともに、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示し、
    前記第1の樹脂層における厚さ方向の位相差が正であり、
    前記第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または正の二軸性を示すとともに、波長590nmの光に対する0nmまたは10nm以下の面内位相差を示し、
    前記積層体のNz係数が、0.3以上0.9以下であり、
    面内位相差について、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示す位相差フィルム。
    Figure 0005592695
    式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
  2. 主鎖に環構造を有する重合体(A)を含む第1の樹脂層と、
    以下の式(1)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B)を含む第2の樹脂層と、を含む積層体からなり、
    前記第2の樹脂層は、前記第1の樹脂層の上に前記重合体(B)を含む溶液を塗布し、乾燥させて形成した層であり、
    前記第1の樹脂層は、波長590nmの光に対する100nm以上190nm以下の面内位相差を示すとともに、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示し、
    前記第1の樹脂層における厚さ方向の位相差が正であり、
    前記第2の樹脂層は、当該層の法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または正の二軸性を示すとともに、波長590nmの光に対する0nmまたは10nm以下の面内位相差を示し
    前記積層体のNz係数が、0.3以上0.9以下であり、
    面内位相差について、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示す位相差フィルム。
    Figure 0005592695
    式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R 1 およびR 2 は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
  3. 前記重合体(A)が、シクロオレフィン重合体、セルロース誘導体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記重合体(A)が、シクロオレフィン重合体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であり、
    前記第1の樹脂層が、当該層の面内方向に光学的な正の一軸性を示す請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  5. 前記重合体(A)が、シクロオレフィン重合体、セルロース誘導体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であり、
    前記第1の樹脂層が、当該層の面内方向に光学的な負の二軸性を示す請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  6. 前記重合体(A)が、当該重合体(A)に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位と、当該重合体(A)に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位と、を有し、
    前記負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位が、前記式(1)に示される単位、以下の式(6)または(7)に示される単位、または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位である請求項1または2に記載の位相差フィルム。
    Figure 0005592695
    Figure 0005592695
  7. 前記重合体(A)が、シクロオレフィン重合体、または主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である請求項に記載の位相差フィルム。
  8. 前記重合体(A)の固有複屈折が正であり、
    前記第1の樹脂層は、固有複屈折が負である重合体(C)をさらに含み、
    前記重合体(C)が、前記(1)に示される単位、以下の式(6)または(7)に示される単位、または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する請求項1または2に記載の位相差フィルム。
    Figure 0005592695
    Figure 0005592695
  9. 前記重合体(A)の固有複屈折が正であり
    前記第1の樹脂層が、
    前記重合体(A)を含むとともに固有複屈折が正である樹脂からなる第1の膜と、
    固有複屈折が負である重合体(C)を含むとともに固有複屈折が負である樹脂からなる第2の膜と、を含む積層構造を有し、
    前記重合体(C)が、前記(1)に示される単位、以下の式(6)または(7)に示される単位、または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する請求項1または2に記載の位相差フィルム。
    Figure 0005592695
    Figure 0005592695
  10. 前記重合体(A)が、以下の式(8)、(9)または(10)に示される分子構造、または複素芳香族基を有するセルロース誘導体である請求項1または2に記載の位相差フィルム。
    Figure 0005592695
    Figure 0005592695
    Figure 0005592695
    前記式(8)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して水素原子またはメチル基である。
  11. 前記α,β−不飽和単量体単位が、N−ビニルカルバゾール単位である請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  12. 前記式(1)に示される単位が、N−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位およびN−ビニル−ω−ヘプタラクタム単位から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  13. 前記重合体(B)が、前記α,β−不飽和単量体または前記式(1)に示される単位のホモポリマーである請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  14. 前記重合体(B)が、ポリN−ビニルカルバゾールまたはポリN−ビニル−2−ピロリドンである請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  15. 請求項1〜1のいずれかに記載の位相差フィルムを備える画像表示装置。
  16. 請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法であって、
    主鎖に環構造を有する重合体(A)を含み;波長590nmの光に対する100nm以上190nm以下の面内位相差を示し;少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示し;厚さ方向の位相差が正である;第1の樹脂層の上に、
    以下の式(1)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B)を含む溶液を塗布した後に、前記溶液の塗布により形成された塗布膜を乾燥させて、
    法線方向(厚さ方向)に光軸を有する光学的な正の一軸性または正の二軸性を示し;波長590nmの光に対して0nmまたは10nm以下の面内位相差を示す;第2の樹脂層を形成することにより、
    前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層とを含む積層体からなり;面内位相差について、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど位相差が小さくなる波長分散性を示す;前記位相差フィルムを形成する工程を含み、
    前記工程において、前記第1の樹脂層に対する前記溶液の塗布厚を、前記第1の樹脂層における厚さ方向の位相差と前記第2の樹脂層における厚さ方向の位相差とが打ち消しあうことで、前記積層体のNz係数が0.3以上0.9以下となるように調整する、位相差フィルムの製造方法。
    Figure 0005592695
    式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
  17. 前記溶液の溶媒がアルコールを含む請求項16に記載の位相差フィルムの製造方法。
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