以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る不正開放防止機構が適用させる基板ケースを備えた遊技機の代表例としてパチンコ機PMの正面図および背面図を図1および図2に示しており、先ずこの図を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿ユニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。球皿ユニット6の正面右側下部には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が設けられている。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する方形枠状の収容枠(図示しない)が設けられており、この収容枠に所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
図1では詳細な図示を省略しているが、遊技盤10は、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板を基板とし、上下のレール飾りに囲まれて略円形状の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘、風車、中央飾り、遊技の進行状況に応じて所定の画像が表示される液晶表示装置、各種入賞具などの遊技構成部品が設けられ、遊技領域PAの下端部には入賞具に落入することなく落下した遊技球を裏面側に排出するためのアウト口が遊技盤10を前後に貫通して形成されている。
前枠2の裏面側には、図2に示すように、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの矩形枠状に形成された裏セット盤20が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤20は、遊技盤10の背後に位置する上部領域に、遊技盤10の裏面側に突出する画像表示装置や主制御基板32(主制御基板ユニット40)、演出制御基板(演出制御基板ユニット)33等を挿通させるために前後連通して開口する大型の窓口開口20aを有する枠状に形成されており、この窓口開口20aの上方に、遊技球を貯留する球貯留タンク21、及び球貯留タンク21と繋がってゆるく傾斜するタンクレール22が設けられ、背面視における窓口開口20aの右側に、タンクレール22により前後各1列の整列状態で導かれた遊技球を遊技盤10における入賞状態に基づいて払い出す球払出装置23、この球払出装置23から払い出された遊技球を球皿ユニット6の球皿に導く球払出通路24などの賞球機構が設けられている。
また、裏セット盤20の背面側には、パチンコ機各部に電力を供給する電源基板(電源基板ユニット)31、遊技球発射装置の制御とともに遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板(払出制御基板ユニット)34などが取り付けられている。また、裏セット盤20の窓口開口20a内に位置して遊技盤10の背面側には、パチンコ機PMにおける制御の中枢を担う主制御基板32(主制御基板ユニット40)、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出の制御を行う演出制御基板(演出制御基板ユニット)33などが取り付けられ、これらの制御基板とパチンコ機PM各部の電気・電子部品がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成されている。
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス扉5、球皿ユニット6等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、球皿ユニット6の球皿に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、球皿ユニット6の球皿に貯留された遊技球が、球皿ユニット6の背面側に配設される球送りカセットによって1球ずつ遊技補助盤のガイドホルダに送り出され、発射機構のハンマーにより遊技領域PAに打ち出されてパチンコゲームが展開される。
このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、主制御基板32等の制御基板は、いわゆる大当たりの発生確率を増大させた偽造ROMへの差し替えなど、不正利得を目的とした改造行為の対象になりやすい。そこで、このような制御基板を収容する基板ケースは、ケース内部に制御基板を収容保持した閉止状態にロック可能に構成されるとともに、ロック後は基板ケースの一部を破壊しなければ基板ケースを開放できない構成、例えば、ケース開放時にその痕跡(履歴)が残るような構造の不正開放防止機構が設けられている。本実施形態にあって、前述の主制御基板32を有して構成される主制御基板ユニット40に本発明に係る不正開放防止機構が適用されており、以下においては、この主制御基板ユニット40について説明する。それでは先ず、図3〜図5を追加参照して、主制御基板ユニット40の全体構成について説明する。ここで、図3はケースを閉止した状態における主制御基板ユニット40の斜視図、図4は主制御基板ユニット40の分解斜視図、図5は主制御基板ユニット40においてケース本体部材に対するケース蓋部材の取り付け状態を説明するための模式図である。
主制御基板ユニット40は、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する上述の主制御基板32と、主制御基板32を内部に収容する主基板ケースBCとを主体に構成されている。さらに、主基板ケースBCは、遊技盤10の背面側に着脱されるケース本体部材50と、このケース本体部材50に着脱自在に取り付けられるケース蓋部材60とを備えている。なお、以降の説明においては、説明の便宜上、パチンコ機PMへの取付状態での方向として、図4の状態を基準にして、図4に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下方向と称して説明する。
主制御基板32は、基板表面の中央部に配設されたCPU32a及び左右に配設された接続コネクタ32b等の電子部品を有して構成され、その裏面側が銅箔に半田付けされたリフロー面となり、このリフロー面がケース本体部材50の底部に対向するようになっている。この制御基板32の縁部4箇所には位置決めピン32cが突設され、ケース蓋部材60の裏面側に穿設されたピン孔(図示せず)と嵌合するようになっており、ピン嵌合状態で小ネジ等により固定されている。
ケース本体部材50は、前面側に開口を有する矩形箱状の形状を有しており、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)等の透明な樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により一体的に形成されている。このケース本体部材50の内面側底部51には、図4に示すように、補強リブ51aが縦横に格子状に形成されており、ケース本体部材50の強度を向上させている。
ケース本体部材50の上下の側壁部(図4においては、底部51の上下の縁部から前方に向けて立設する側壁部)53,53の外方それぞれには、底部51から前方に突出してその前端部から左方に屈曲して延びる略L字状の係止突起54が等間隔で複数形成されている。
ケース蓋部材60は、ケース本体部材50の開口を覆う矩形箱状の形状を有しており、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)等の透明な樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により一体的に形成されている。ケース蓋部材60には、主制御基板32の接続コネクタ33bに位置整合させてコネクタ挿抜口62が開口形成されており、図3等に示すように、ケース蓋部材60がケース本体部材50にケース閉止状態で装着されたときに、主制御基板32の接続コネクタ32bがコネクタ挿抜口62を介して外部に露出するようになっている。
ケース蓋部材60の上下方向縁部から後方に向けて立設する上下の側壁部63,63のそれぞれには、この側壁部63が延びる方向(左右方向)に沿って後面側に開口しケース本体部材50の係止突起54を挿入可能な蓋部材取付溝64(図5を参照)が形成されている。蓋部材取付溝64内にはケース本体部材50の係止突起54と係合可能な係止壁部65(図5を参照)が形成されており、この係止壁部65は、係止突起54と同じ数だけ形成され、その配置間隔も係止突起54と対応している。
このような基板ケースBCにおいて、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を取り付けるときは、まず図5(A)に示すように、ケース本体部材50及びケース蓋部材60を左右方向にずらした状態で対向させ、続いて図5(B)に示すように、ケース蓋部材60の蓋部材取付溝64にケース本体部材50の係止突起54を挿入した後、図5(C)に示すように、ケース蓋部材60を左右方向(図5においては右方向)にスライド移動させて係止突起54と係止壁部65とを係合させる。このとき、ケース本体部材50の右端側には本体側仮止部46が形成されており、これに対応してケース蓋部材60の右端側には蓋側仮止部66が形成されている。ケース本体部材50に対してケース蓋部材60が取り付けられたとき、本体側仮止部56と蓋側仮止部66との位置が一致して係合された状態になり、ケース蓋部材60をケース本体部材50に対して左方向へ移動させることを規制している。なお、ケース本体部材50及びケース蓋部材60は上述のように樹脂材料で形成されており、これらの本体側仮止部56及び蓋側仮止部66は薄肉状に形成されているため、容易に撓めることができる。そのため、蓋側仮止部66を本体側仮止部56から離すように撓めることにより本体側仮止部56と蓋側仮止部66との係合は解除され、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を左方にスライド移動させて、このケース蓋部材60をケース本体部材50から取り外すことができる。
このようにして、ケース蓋部材60がケース本体部材50に対してケース閉止状態で取り付けられたときには、本体側仮止部56と蓋側仮止部66とが係合しているだけであり、ケース本体部材50からケース蓋部材60を取り外すことは容易である。そこで、ケース閉止状態にあるケース蓋部材60をケース本体部材50に対してスライド移動できなくして不正操作を防止するために、主基板ケースBCには不正開放防止機構が設けられている。それでは、図6〜図13を追加参照して主基板ケースBCに設けられた不正開放防止機構の第一実施形態について以下に説明する。ここで、図6は主制御基板ユニット40に設けられる不正開放防止機構の斜視図、図7は不正開放防止機構における本体側係合部の斜視図、図8は本体側係合部に設けられる本体側係合補助部の側断面図、図9は不正開放防止機構における蓋側係合部の斜視図、図10は不正開放防止機構におけるロック部材の斜視図、図11はロック部材の側断面図、図12は本体側係合部及び蓋側係合部にロック部材を挿入している状態を示す要部断面図、図13はロック部材のロック部が本体側係合部の係合ロック溝に係合した状態を示す要部断面図である。
不正開放防止機構100は、ケース本体部材50の右側部に連結して形成された本体側係合部110と、ケース蓋部材60の右側部に連結して形成された蓋側係合部120と、本体側係合部110と蓋側係合部120とを連結させるためのロック部材130とを主体に構成される。
本体側係合部110は、ケース本体部材50に一体的に設けられた本体側収容部111と、この本体側収容部111の内部に設けられた本体側係合補助部115とを備えて構成される。本体側収容部111は矩形箱状に形成されており、この本体側収容部111の内部には本体側係合補助部115がインサート成形により埋設されている。本体側収容部111には、後方に突出した板状の立設壁112が左右方向に延びて形成されており(本実施形態では計3個の立設壁112が形成されている)、互いに隣り合う立設壁112の内側に一対の板状の本体側リブ113が後方に突出して形成されている。この本体側リブ113は、立設壁112と上下に平行に設けられ、ケース本体部材50にケース蓋部材60が取り付けられたときに、これら一対の本体側リブ113の間にほぼ隙間なく挟まれて蓋側係合部120が保持されるようになっている。また、本体側収容部111の右端部外面には、略コ字型の係止アーム114が設けられている。
本体側係合補助部115は、図8に示すように、例えばアルミ合金等の金属材料を用いて略円筒状に形成された収容部材116と、この収容部材116の底面側を塞ぐ薄板板金製の底板118とからなり、収容部材116に底板118をカシメ固着した上で、ケース本体部材50の成形時にインサートモールドにより本体側収容部111に一体的に設けられる。
収容部材116は、前後に延びる円筒形状に形成され、その中心にロック部材130の軸部132が嵌入される円孔状の本体側受容孔117が前後貫通して設けられている。本体側受容孔117はロック部材130の軸部132よりも幾分大きな孔径に形成されており、この本体側受容孔117には、その内周面から半径方向外方へ窪むように形成され断面視において略扇型の係合ロック溝117aが凹設されている。係合ロック溝117aは、後述するロック部材130のロック部142と係合可能であり、ロック部142の揺動軌跡に対応して切り欠かれるように形成されている。また、収容部材116の底面側には、円板状の底板118が嵌め込まれた状態でカシメ固着され、収容部材116の底面側の開口が閉塞されている。底板118の中央には半球状の頂部119aを有する略円錐形状の本体側突起119が突設されており、底板118が収容部材116にカシメ固着された状態で、本板側突起119が本体側受容孔117内に収まるようになっている。そして、このようにして一体に結合された収容部材116及び底板118がケース本体部材50の金型に装着されてインサートモールドされ、ケース閉止状態において蓋側係合部120と位置整合して前後に重ね合わされる本体側係合補助部115が本体側係合部110に形成される。
一方、蓋側係合部120は、ケース蓋部材60に一体的に設けられた蓋側収容部121をベースとして構成されている。蓋側収容部121は、矩形ブロック状に形成され、ケース蓋部材60をケース本体部材50へ装着したときに本体側収容部111と位置整合して前後に重なるように構成される。蓋側収容部121の中心には、本体側受容孔117とほぼ同一の孔径に形成されてロック部材130の軸部132が挿入される円孔状の蓋側受容孔127が表裏貫通して穿設されている。この蓋側受容孔127には、後述するロック部材130のロック部142よりも幾分大きな溝幅で、その溝底面が蓋側受容孔127の径方向内側へ向かって傾斜する凹溝状のロック部案内溝127aが形成されている。ロック部案内溝127aは、周方向において本体側係合部110の係合ロック溝117aと同じ角度位置に(前後方向から見て重なるように)配置されている。蓋側受容孔127の周囲には、この蓋側受容孔127と同心的に円弧状に湾曲した蓋側リブ123が後方に突出して左右に一対形成されている。蓋側収容部121の右端部外面には、本体側係合部110の係止アーム114と係合可能な板状の係止片124が外方へ向けて突出形成されている。
また、蓋側係合部120は、略半円筒状に湾曲した連結部61を介してケース蓋部材60の右端部に連結している。連結部61は切断可能に構成されており、この連結部61を切断することで、蓋側係合部120とケース蓋部材60とを分離可能である。
ロック部材130は、前後に延びる軸部132及びこの軸部132の後端に形成された操作部133を有するロック本体131と、軸部132の外周面に径方向内方へ向けて凹設された係合体収容溝135と、軸部132外方へ突出する係合体140と、軸部132の底部に開口して前後に延び係合体収容溝135に繋がる連結孔137とを主体として構成される。なお、係合体140については、図11に示す配設姿勢における左端側を基端部(係合体基端部)、右端側を先端部(係合体先端部)と称して説明する。
ロック本体131は、前後に延びる円筒状の軸部132と、この軸部132の後端に軸部132よりも大径の円盤状に形成された操作部133とを有し、例えばアルミ合金や銅合金等などの金属材料を用いて一体的に形成される。軸部132には、この軸部132の外周面から内方に段差状に窪んだ凹部134が形成されており、この凹部134の平坦状の外壁134aから軸部132の内方(軸中心)へ向かって係合体収容溝135が凹設されている。
係合体収容溝135は、ロック本体131の中心軸131Xに対して直交方向(以下においては単に「軸直交方向」と称する)に延びる第1壁面135aと、中心軸131Xに対して傾斜し第1壁面135aとほぼ対向して延びる第2壁面135bと、第1壁面135aと第2壁面135bとを繋いで円弧状に延びる第3壁面135cと、これらの壁面135a,135b,135cを挟んで平行に配置される一対の第4壁面(図11では一方の壁面のみ図示される)135dとに囲まれて構成され、断面視において略扇型を呈している。この係合体収容溝135と凹部134との境界部分には、ロック本体131の中心軸131Xと平行に延びて係合体収容溝135の側方開口の一部を遮る規制片136が設けられており、この規制片136により、係合体140の基端部が係合体収容溝135に抜け止め状態で収容保持される。
係合体140は、矩形ブロック状の基部141と、この基部141の先端に基部141よりも薄肉の矩形平板状に形成されたロック部142とを備え、全体として2段の段付状に形成されており、係合体収容溝135に収容される基端部が基部141であり、軸部132の外方へ突出する先端部がロック部142である。ロック部142は、弾性を有する板バネ状に形成されており、本体側係合部110の係合ロック溝117aに係合可能に構成されている。なお、係合体140の幅長(図11における紙面直交方向の幅長)は、係合ロック溝117a及び係合体収容溝135の各幅長よりも幾分小さく形成されている。
係合体140は、基部141とロック部142との中間点近傍を中心として、基部141が係合体収容溝135内において動き得る範囲で揺動自在(傾動可能)であり、反時計回り方向への揺動は、基部141が第1壁面135aに当接したところで制限され、時計回り方向への揺動は、基部141が第2壁面135bに当接したところで制限される。すなわち、この係合体140は、基部141を第1壁面135aに当接させる位置(これを非揺動位置と称する)と、基部141を第2壁面135bに当接させる位置(これを最大揺動位置と称する)との間で揺動変位することが可能である。
連結孔137は、軸部132を中心軸131X方向に延びて、軸部132の底面に開口するとともに、第1壁面135a側から係合体収容溝135に繋がる略円錐台形状の貫通孔であり、軸部132の底面開口から本体側係合部110の本体側突起119を嵌入可能に形成されている。連結孔137に本体側突起119が嵌入され連結孔137の内周面(テーパ面)に本体側突起119の外周面(テーパ面)が当接した状態では、本体側突起119の頂部119aは連結孔137を抜けて係合体収容溝135内に進入しており(図13を参照)、非揺動位置の係合体140を時計回り方向へ押動して最大揺動位置まで揺動変位させるようになっている。
なお、このような構成のロック部材130は、1組の本体側係合部110及び蓋側係合部120に対して1つ使用されることになるが、本実施形態で例示するように主基板ケースBCに2組の本体側係合部110,110及び蓋側係合部120,120が設けられる構成においては、合計2つのロック部材130,130が必要である。そのため、ロック部材130を用いていずれか1組の本体側係合部110と蓋側係合部120とを係合させる際に、次回使用される未使用のロック部材(予備ロック部材)130を収容しておくために、主基板ケースBCには、本体側予備収容部151及び蓋側予備収容部152からなる略矩形箱状の予備ロック部材収容部150が設けられている。
次に、以上のように構成される不正開放防止機構100の具体的な作用について、以下において簡潔に説明する。ここでは、未使用の主基板ケースBCに対して不正開放防止機構100を利用してケース閉止状態でロック保持させる場合について説明する。未使用の主基板ケースBCでは、複数(2つ)のロック部材130が全て未使用状態であり、一方のロック部材130は予備品として予備ロック部材収容部150に収納される。
既述したように、ケース本体部材50へのケース蓋部材60の取り付けは、ケース蓋部材60をケース本体部材50に対して若干左方にずれた位置で後方からケース本体部材50を覆うように閉止し、且つ右方向へスライド移動させて、ケース本体部材50の係止突起54とケース蓋部材60の係止壁部65とを係合させることで行われる。ケース本体部材50にケース蓋部材60が装着されると、本体側係合部110に蓋側係合部120が前後に対向して重ねられ、本体側受容孔117と蓋側受容孔127とが同軸的に前後に繋がった状態となる。
このようなケース閉止状態でケース蓋部材60をケース本体部材50にロック保持させるには、ケース本体部材50に装着されたケース蓋部材60の左方(離脱方向)へのスライド移動を規制するために、ロック部材130の軸部132を本体側受容孔117及び蓋側受容孔127に受容させ、このロック部材130を介して本体側係合部110と蓋側係合部120とを係合連結させることで行われる。ロック部材130の軸部132を本体側受容孔117及び蓋側受容孔127に受容させるためには、まず、ロック部材130のロック部142を蓋側受容孔127のロック部案内溝127aに位置整合させてから、ロック部材130の軸部132を蓋側受容孔127に挿入する。ロック部材130の軸部132を蓋側受容孔127に挿入していくと、軸部132外方へ突出するロック部142の先端側がロック部案内溝127aの溝底面(傾斜面)に摺接し、ロック部142はこの傾斜面の作用を受けて弾性的に撓みながら凹部134(軸部132の内方)に徐々に押し込まれていき、蓋側受容孔127と本体側受容孔117との境界部に至ったときに最大に撓んだ状態となる。
ロック部材130の軸部132を更に挿入していくと、ロック部142は最大に撓んだ状態を保持しながら本体側受容孔117の内周面に摺接し(図12において破線で示すロック部142を参照)、係合ロック溝117aに達したときに本体側受容孔127の内周面との当接が解除されて弾性的に解放される。これにより、ロック部142は自己の復元弾性により図12における水平姿勢(軸直交方向を向く姿勢)に復帰して軸部132外方へ突出し、その先端が係合ロック溝117aと係合する。
このとき、係合体140は基部141を第1壁面135aに当接させた非揺動位置に位置しているが、本体側突起119が軸部132の連結孔137内に進入し、この本体側突起119の頂部119aが連結孔137を通過して係合体収容溝135まで至ったところで係合体140の基部141に当接し、係合体140はこの頂部119aに押動されて時計回り方向へ揺動する。そして、図13に示すように、ロック部材130の操作部133が蓋側係合部120に当接する位置まで軸部132が挿入されると、係合体140は本体側突起119の頂部119aによって更に押動されて時計回り方向に揺動され、基部142が第2壁面135bに当接して当該揺動が制限される最大揺動位置に変位することになる。この最大揺動位置では、係合体140は、本体側突起119の頂部119a、係合体収容溝135の第2壁面135b及び係合ロック溝117aの内壁面、の3点で挟持され、ロック部142の先端が係合ロック溝117aと係合した状態において、軸直交方向に対して軸部132の底面側に傾斜した姿勢(図13においては右斜め下方に向いた姿勢)で保持される。
こうしてロック部材130が本体側受容孔117及び蓋側受容孔127に挿入されると、係合体140が係合ロック溝117aに係合した状態となり、ロック部材130の中心軸131X回りの回動が規制されるとともに、中心軸131X方向(前後方向)への移動が規制され、このロック部材130により本体側係合部110と蓋側係合部120とが係合連結される。そして、ロック部材130の軸部132が本体側受容孔117及び蓋側受容孔127に跨って嵌入されているため、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60をスライド移動させることは不可能であり、主基板ケースBCが強固な閉止状態に保持される。したがって、主基板ケースBCを開放することはできず、基板ケースBC内に収容された主制御基板32に対する不正行為を防止することができる。
この閉止状態では、ロック部材130の前後移動及び回動の両方が規制されており、係合体140におけるロック部142を軸部132内方へ押し込んでロック係合溝117aとの係合状態を解除してからロック部材130を引き抜かない限りは主基板ケースBCを開放することは不可能であるが、例えば、本体側係合部110の側方からドリル等の機械的手段により本体側収容孔117に連通する小孔を開設し、この小孔から細長い棒状の不正部材を侵入させて係合体140にアクセスしたとしても、係合体140は軸直交方向に対して軸部132の底部側に傾斜した姿勢で、本体側突起119の頂部119aと、係合体収容溝135の第2壁面135bと、係合ロック溝117aの内壁面との3点で挟持されているため、ロック部142を軸直交方向に押圧しても軸部132内方への後退移動及び揺動が規制され、また、ロック部142を当該傾斜方向(図13における左斜め上方)に押圧しても第3壁面135cに突き当たることよって軸部132内方への後退移動が制限されことになる。したがって、ロック部142を軸部132内方へ押し込み操作して係合体140と係合ロック溝117aとの係合状態を解除することは困難であり、これによりロック部材130の引き抜きを効果的に抑止することが可能である。
また、係合体140のロック部142が係合ロック溝117aに係合している状態では、ロック部材130は中心軸131X回りに回動できないため、係合ロック溝117aとの係合位置を中心軸131X回り(周方向)にずらすことはできず、本体側係合部110の側方からこの係合位置へと繋がる小孔の開設位置を特定するのは困難であり、更には、この係合位置を中心軸131X回り(周方向)においてケース本体部材50側の側方位置に設定し、小孔を開設するためのドリルや不正部材をセッティングするためのスペースを制限することで、不正アクセスをより効果的に抑止することが可能である。
さらに、ロック部材130の軸部132に、この軸部132の外周面から内方に段差上に窪んだ凹部134を設けているため、ロック部材130を蓋側受容孔127及び本体側受容孔117に挿入するときに、係合体140のロック部142が弾性変形して凹部134内に収まるので(図12における破線で示すロック部142を参照)、このように弾性的に撓んだロック部142を通過させるために受容孔117,127の孔径を必要以上に大きく確保する必要がなく、両方の受容孔117,127とロック部材130の軸部132とのクリアランスを小さくして不正なアクセスを防止できる。
なお、このような強固な閉止状態に保持された主基板ケースBCを開放するには、ケース蓋部材60と蓋側係合部120との間に跨って形成された連結部61を切断工具(例えばニッパ等)を用いて切断し、本体側係合部110と係合連結された蓋側係合部120を切り離せばよい。
以上説明した第一実施形態に係る不正開放防止機構100によれば、ロック部材130の係合体140と本体側係合部110の係合ロック溝117aが係合した状態において、係合体140が本体側突起119に当接して本体側受容孔117内において軸部132の軸直交方向に対して底部側に傾斜した姿勢で保持されることで、本体側係合部110の側方からドリル等の機械的手段、あるいは、半田ごてやヒートカッタ等の加熱手段により孔を開設して、係合体140を軸部132内方へ押圧したとしても、係合体140は本体側突起119、係合体収容溝135の内壁面および係合ロック溝117aの内壁面などに突き当たって係合体140の軸部内方への後退移動及び揺動が制限されるため、係合体140を軸部内方へ押し込み操作して係合体140と係合ロック溝117aとの係合状態を解除することは困難であり、これによりロック部材130の引き抜きを効果的に抑止することができる。従って、ロック部材130への不正な操作に対する耐力を高めて、主基板ケースBCの不正開放を効果的に予防することが可能である。
また、係合体140が本体側突起119、係合体収容溝135の内壁面及びロック係合溝117aの内壁面に挟持されて三点支持されることで、本体側受容孔117内において係合体140が傾斜姿勢で強固且つ安定的に保持されるため、ロック部材130への不正な操作に対する耐力をより高めることが可能である。
さらに、係合体140が、軸部132の外方へ抜け止め状態で係合体収容溝135に収容保持される基部141と、弾性を有して軸部132の外方へ突出する板バネ状のロック部142とから構成されることで、小型コンパクト且つ簡明な構成で、ロック部材130への不正な操作に対する耐力の高い構造を実現することができる。特に、ロック部142自体が弾性変形可能であるため、係合体140を構成する部品点数の低減を図ることができる。
次に、主基板ケースBCに設けられる不正開放防止機構の第二実施形態について、図14〜図17を追加参照して以下に詳しく説明する。図14は第二実施形態における本体側係合補助部215の側断面図、図15は第二実施形態におけるロック部材230の側断面図、図16は第二実施形態における係合体240の作動を説明するための模式図、図17は第二実施形態における係合体240が係合ロック溝217aと係合した状態を示す模式図である。ここで、図16及び図17においては、説明の便宜のため、係合ロック溝217a、本体側突起219及び係合体240のみを取り出して示している。なお、本実施形態の不正開放防止機構200は、前述した第一実施形態の不正開放防止機構100における本体側係合補助部215(本体側係合部210)及びロック部材230の構成のみが異なり、他の構成が同様であるため同一部位に同一番号を付して重複説明を省略する。
第二実施形態の不正開放防止機構200は、図3等に示すように、ケース本体部材50の右側部に連結して形成された本体側係合部210と、ケース蓋部材60の右側部に連結して形成された蓋側係合部120と、本体側係合部210と蓋側係合部120とを連結させるためのロック部材230とを主体に構成される。
本体側係合部210は、図7に示すように、第一実施形態の本体側係合部110と同様にケース本体部材50に一体的に設けられた本体側収容部111と、この本体側収容部111の内部にインサート成形により埋設される本体側係合補助部215とを備えて構成されている。
本体側係合補助部215は、図14に示すように、例えばアルミ合金等の金属材料を用いて略円筒状に形成された収容部材216と、この収容部材216の底面側を塞ぐ薄板板金製の底板218とからなり、収容部材216に底板218をカシメ固着した上で、ケース本体部材50の成形時にインサートモールドにより本体側収容部111に一体的に設けられる。
収容部材216は、前後に延びる円筒形状に形成され、その中心にロック部材230の軸部232が嵌入される円孔状の本体側受容孔217が前後貫通して設けられている。本体側受容孔217はロック部材230の軸部232よりも幾分大きな孔径に形成されており、この本体側受容孔217には、その内周面から半径方向外方へ窪むように形成され断面視において略扇型の係合ロック溝217aが凹設されている。係合ロック溝217aは、後述するロック部材230のロック部242と係合可能であり、ロック部242の揺動軌跡に対応して切り欠かれるように形成されている。また、収容部材216の底面側には、円板状の底板218が嵌め込まれた状態でカシメ固着され、収容部材216の底面側の開口が閉塞されている。底板218の中央には略円筒形状の本体側突起219が突設され、この本体側突起219の先端には円弧状に湾曲した案内面219bを有して軸中心に対して半径方向外方へ偏倚して形成された案内凸部219aが設けられている。この本体側突起219は、底板218が収容部材216に固定された状態で本体側受容孔217内に収まるようになっている。そして、このようにして一体に結合された収容部材216及び底板218がケース本体部材50の金型に装着されてインサートモールドされ、ケース閉止状態において蓋側係合部120と位置整合して前後に重ね合わされる本体側係合補助部215が本体側係合部210に形成される。
ロック部材230は、前後に延びる軸部232及びこの軸部232の後端に形成された操作部233を有するロック本体231と、軸部232の外周面に径方向内方へ向けて凹設された係合体収容溝235と、軸部232外方へ突出する係合体240と、軸部232の底部に開口して前後に延び係合体収容溝235に繋がる連結孔237とを主体として構成される。なお、係合体240については、図15に示す配設姿勢における左端側を基端部(係合体基端部)、右端側を先端部(係合体先端部)と称して説明する。
ロック本体231は、前後に延びる円筒状の軸部232と、この軸部232の後端に軸部232よりも大径の円盤状に形成された操作部233とを有し、例えばアルミ合金や銅合金等などの金属材料を用いて一体的に形成される。軸部232には、この軸部外壁から内方(軸中心)へ向かって凹状の係合体収容溝235が形成される。
係合体収容溝235は、ロック本体231の中心軸231Xに対して直交方向に延びる第1壁面235aと、中心軸231Xに対して傾斜し第1壁面とほぼ対向して延びる第2壁面235bと、第1壁面と第2壁面とを繋いで円弧状に延びる第3壁面235cと、これらの壁面235a,235b,235cを挟んで平行に配置される一対の第4壁面(図15では一方の壁面のみ図示される)235dとに囲まれて構成され、断面視において略扇型を呈している。この係合体収容溝235と軸部232の外壁との境界部分には、中心軸231Xと平行に延びて係合体収容溝235の側方開口の一部を遮る規制片236が設けられており、この規制片236により、係合体240の基端部が係合体収容溝235に抜け止め状態で収容保持される。
係合体240は、図15及び16に示すように、軸部232の係合体収容溝235内に収容保持されるケーシング部241と、ケーシング部241にスライド変位自在に支持されたロック部242と、ケーシング部241内に収容される円筒状の案内ローラ243と、案内ローラ243に連結アーム245を介して連結された支持板244と、ロック部242と支持板244との間に介装されるコイルバネ246とを備えて構成されている。ここで、係合体収容溝235に収容される基端部がケーシング部241であり、軸部232の外方へ突出する先端部がロック部242である。
ケーシング部241は、基端壁241aと、この基端壁241aを囲んで側方に延びる前後及び上下の側壁241b,241cとを有し、例えばアルミ合金や銅合金等などの金属材料を用いて全体として矩形筒状に形成され、その筒内部にはロック部242をスライド変位自在に収容保持するロック部収容室241dが画成されている。ケーシング部241にはロック部収容室241dの右端側に矩形状に開口された通過口241eが設けられており、この通過口241eを介してロック部242の先端がケーシング部241の外方へ突出可能なようになっている。また、ケーシング部241における後側の側壁241bには本体側突起219の案内凸部219bが通過可能な大きさに開口形成された貫通孔241fが設けられ、上下一対の側壁241cにはロック部242のスライド方向に延びる長孔状のレール溝(図示せず)が凹設されている。
ロック部242は、ステンレスや真鋳等の金属材料を用いて矩形ブロック状に形成されており、本体側係合部210の係合ロック溝217aに係合可能に構成されている。なお、ロック部242の幅長(図16における紙面直交方向の幅長)は、係合ロック溝217aの幅長よりも幾分小さく形成されている。
案内ローラ243は、その中心に横設された回動軸243aの両方の軸端がケーシング部241における側壁241cのレール溝(図示せず)に係合されることで抜け止め状態でケーシング部241に保持されており、この回動軸243aを中心として回動自在、且つ、レール溝に沿ってスライド移動可能である。この案内ローラ243は、後に詳述するが、本体側突起219の案内面219bに摺接可能であり、この案内面219bに案内されて回動軸243aを中心に回動しながらレール溝に沿ってスライド変位するように構成されている。
支持板244は、矩形平板状に形成され、棒状の連結アーム245を介して案内ローラ243における回動軸243aの軸端に連結されている。コイルバネ246は、ロック部242と支持板244との間に介設されており、ロック部242の先端を軸部232外方へ弾性的に付勢する役割を担っている。なお、コイルバネに代えて、板バネや皿バネなどの付勢部材を用いてもよい。
係合体240は、ケーシング部241とロック部242との中間点近傍を中心として、ケーシング部241が係合体収容溝235内において動き得る範囲で揺動自在(傾動可能)であり、反時計回り方向への揺動は、ケーシング部241が第1壁面235aに当接したところで制限され、時計回り方向への揺動は、ケーシング部241が第2壁面235bに当接したところで制限される。すなわち、この係合体240は、ケーシング部241を第1壁面235aに当接させる位置(これを非揺動位置と称する)と、ケーシング部241を第2壁面235bに当接させる位置(これを最大揺動位置と称する)との間で揺動変位することが可能である。
連結孔237は、軸部232を中心軸231X方向に延びて、軸部232の底面に開口するとともに、第1壁面235aから係合体収容溝235に繋がる略円筒状の貫通孔であり、軸部232の底面開口から本体側係合部210の本体側突起219を嵌入可能に形成されている。連結孔237に本体側突起219が嵌入され連結孔237の内周面(テーパ面)に本体側突起219の外周面(テーパ面)が当接した状態では、本体側突起219の案内凸部219aは連結孔237を抜けて係合体収容溝235内に進入しており、係合体収容溝235内において非揺動位置の係合体240を時計回り方向へ押動し最大揺動位置まで揺動変位させるようになっている。
次に、以上のように構成される不正開放防止機構200の具体的な作用について、以下において簡潔に説明する。ここでは、未使用の主基板ケースBCに対して不正開放防止機構200を利用してケース閉止状態でロック保持させる場合について説明する。
既述したように、ケース本体部材50へのケース蓋部材60の取り付けは、ケース蓋部材60をケース本体部材50に対して若干左方にずれた位置で後方からケース本体部材50を覆うように閉止し、且つ右方向へスライド移動させて、ケース本体部材50の係止突起54とケース蓋部材60の係止壁部65とを係合させることで行われる。ケース本体部材50にケース蓋部材60が装着されると、本体側係合部210に蓋側係合部120が前後に対向して重ねられ、本体側受容孔217と蓋側受容孔127とが同軸的に前後に繋がった状態となる。
このようなケース閉止状態でケース蓋部材60をケース本体部材50にロック保持させるには、ケース本体部材50に装着されたケース蓋部材60の左方(離脱方向)へのスライド移動を規制するために、ロック部材230の軸部232を本体側受容孔217及び蓋側受容孔127に受容させ、このロック部材100を介して本体側係合部210と蓋側係合部120とを係合連結させることで行われる。ロック部材230の軸部232を本体側受容孔217及び蓋側受容孔127に受容させるためには、まず、ロック部材230のロック部242を蓋側受容孔127のロック部案内溝127aに位置整合させた上で、ロック部材230の軸部232を蓋側受容孔127に挿入する。ロック部材230の軸部232を蓋側受容孔127に挿入していくと、軸部232外方へ突出状態のロック部242の先端がロック部案内溝127aの溝底面(傾斜面)に摺接し、ロック部242がこの傾斜面の作用を受けながらコイルバネ246のバネ力に抗してロック部収容室241dに徐々に押し込まれていき、ロック部242が蓋側受容孔127の端部(本体側受容孔217と蓋側受容孔127との境界部)まで達したときに、ロック部242の先端が軸部232の外周面と略面一となる位置まで後退する。これにより、ロック部材230の軸部232を蓋側受容孔127から本体側受容孔217へ引っ掛かりなく滑らかに進入させることができる。
ロック部材230の軸部232を本体側受容孔217に挿入していき、ロック部242の先端側が本体側受容孔217の係合ロック溝217aへ至ると本体側受容孔217の内周面との当接が解除され、コイルバネ246のバネ力によって外方へ押し出されて本体側受容孔217の係合ロック溝217aと係合する。
このとき図16(A)に示すように、係合体240自体はケーシング部241を第1壁面235aに当接させた非揺動位置に位置しているが、本体側係合部210の本体側突起219が連結孔237から係合体収容溝235に進入していくと、本体側突起219の案内面219bに案内ローラ243の周面が摺接する。そうすると、案内ローラ243が案内面219bによって案内されレール溝に沿ってスライド変位し、これに一体的に連結されたロック部242の先端を軸部232外方へ更に押し出そうと付勢する。このとき、ロック部242はコイルバネ246のバネ力により係合ロック溝217aに係合(ロック部242の先端が係合ロック溝217aの内壁面に当接)しており、軸部232外方への移動が制限されているため、案内ローラ243とロック部242との間に介在されたコイルバネ246が案内ローラ243のスライド変位量だけ圧縮される。
図16(B)に示すように、コイルバネ246が最大圧縮量(全圧縮長)まで圧縮されると、この状態では案内ローラ243のスライド変位量をコイルバネ246の弾性変形として吸収できなくなるため、案内ローラ243がロック部242と案内凸部219aとの間でスライド規制される。この結果、図17に示すように、案内ローラ243が案内凸部219aと接触した状態で、係合体240自体が案内凸部219aに押動されることで時計回り方向へ揺動する。そして、ロック部材230において操作部233が蓋側係合部120に当接する位置まで軸部232が挿入されると(軸部232全体が挿入されると)、係合体240はケーシング部241が第2壁面235bに当接して当該揺動が制限される最大揺動位置まで揺動変位する。この最大揺動位置では、係合体240は、本体側突起219の案内凸部219aと、係合体収容溝235の第2壁面235bと、係合ロック溝217aの内壁面との3点で挟持され、ロック部242の先端が係合ロック溝217aと係合した状態において、軸直交方向に対して軸部232の底面側(図17における右斜め下方)に傾斜した姿勢で保持される。
こうしてロック部材230が本体側受容孔217及び蓋側受容孔127に挿入されると、係合体240が係合ロック溝217aに係合した状態となり、ロック部材230の中心軸231X回りの回動が規制されるとともに、中心軸231X方向(前後方向)への移動が規制され、このロック部材230により本体側係合部210と蓋側係合部120とが係合連結される。そして、ロック部材230の軸部232が本体側受容孔217及び蓋側受容孔127に跨って嵌入されているため、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60をスライド移動させることは不可能であり、主基板ケースBCが強固な閉止状態に保持される。したがって、主基板ケースBCを開放することはできず、基板ケースBC内に収容された主制御基板に対する不正行為を防止することができる。
この閉止状態では、ロック部材230の前後移動及び回動の両方が規制されており、係合体240におけるロック部242を軸部232内方へ押し込んでロック係合溝217aとの係合状態を解除してからロック部材230を引き抜かない限りは主基板ケースBCを開放することは不可能であるが、例えば、本体側係合部210の側方からドリル等の機械的手段により本体側収容孔217に連通する小孔を開設し、この小孔から細長い棒状の不正部材を侵入させて係合体240にアクセスしたとしても、係合体240は軸直交方向に対して軸部232の底部側に傾斜した姿勢で、本体側突起219の案内凸部219aと、係合体収容溝235の第2壁面235bと、係合ロック溝217aの内壁面との3点で挟持されているため、ロック部242を軸直交方向に押圧しても軸部232内方への後退移動及び揺動が規制され、また、ロック部242を当該傾斜方向(図17における左斜め上方)に押圧しても第3壁面235cに突き当たることよって軸部232内方への後退移動が制限されことになる。更には、ロック部242と案内ローラ243との間でコイルバネ246は最大に圧縮変形された状態(圧縮変形が制限された状態)で保持されているため、コイルバネ246の圧縮変形を利用してロック部242を後退移動させることはできない。したがって、ロック部242を軸部232内方へ押し込み操作して係合体240と係合ロック溝217aとの係合状態を解除することは困難であり、これによりロック部材230の引き抜きを効果的に抑止することが可能である。
また、係合体240のロック部242が係合ロック溝217aに係合している状態では、ロック部材230は中心軸231X回りに回動できないため、係合ロック溝217aとの係合位置を中心軸231X回り(周方向)にずらすことはできず、本体側係合部210の側方からこの係合位置へと繋がる小孔の開設位置を特定するのは困難であり、更には、この係合位置を中心軸231X回り(周方向)においてケース本体部材50側の側方位置に設定し、小孔を開設するためのドリルや不正部材をセッティングするためのスペースを制限することで、不正アクセスをより効果的に抑止することが可能である。
以上説明した第二実施形態に係る不正開放防止機構200によれば、ロック部材230の係合体240と本体側係合部210の係合ロック溝217aが係合した状態において、係合体240が本体側突起219に当接して本体側受容孔217内において軸部232の軸直交方向に対して底部側に傾斜した姿勢で保持されることで、本体側係合部210の側方からドリル等の機械的手段、あるいは、半田ごてやヒートカッタ等の加熱手段により孔を開設して、係合体240を軸部232内方へ押圧したとしても、係合体240は本体側突起219、係合体収容溝235の内壁面および係合ロック溝217aの内壁面などに突き当たって係合体240の軸部内方への後退移動及び揺動が制限されるため、係合体240を軸部内方へ押し込み操作して係合体240と係合ロック溝217aとの係合状態を解除することは困難であり、これによりロック部材230の引き抜きを効果的に抑止することができる。従って、ロック部材230への不正な操作に対する耐力を高めて、主基板ケースBCの不正開放を効果的に予防することが可能である。
また、係合体240が本体側突起219、係合体収容溝235の内壁面及びロック係合溝217aの内壁面に挟持されて三点支持されることで、本体側受容孔217内において係合体240が傾斜姿勢で強固且つ安定的に保持されるため、ロック部材230への不正な操作に対する耐力をより高めることが可能である。
さらに、係合体240が、直線状に延びるロック部収容室241dを有して中空筒状に形成され軸部232の外方へ抜け止め状態で係合体収容溝235に収容保持されたケーシング部241と、ロック部収容室241dに収容され当該収容室に沿って軸部232の外方及び内方へスライド変位自在に支持されたロック部242とを備え、ロック部242がロック部収容室241d内に設けられたコイルバネ246により軸部232外方へ向けて付勢されていることで、小型コンパクト且つ簡明な構成で、ロック部材230への不正な操作に対する耐力の高い構造を実現することができる。特に、ケーシング部241に対してロック部242が相対的にスライド変位自在であるため、係合体収容溝235内におけるケーシング部241の姿勢位置にかかわらずロック部242を軸部232外方および内方へ正確に作動させることができ、係合体240の作動性を向上させることが可能である。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態において、各ロック部材130,230には係合体140,240を一つのみ設けているが、これに限定されるものではなく、各ロック部材に複数の係合体を設け、これに対応して本体側係合部に複数の係合ロック溝を設けることで、1つのロック部材に対して複数の係合状態を生じさせてもよい。
また、上述の実施形態において、係合体140,240をともに断面視矩形状に形成しているが、これに限定されるものではなく、断面視において円形状や楕円形状に形成してもよく、更にはロック部142,242の先端を鉤爪形状などに形成してもよい。また、上述の実施形態において、係合体収容溝135,235を断面視扇形状に形成しているが、これに限定されるものではなく、断面視において矩形状や円形状、楕円形状などに形成してもよい。
なお、以上においては、本発明に係る不正開放防止機構をパチンコ機の主基板ケース(主制御基板ユニット)に適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、演出制御基板ユニットに構成される基板ケースや、払出制御基板ユニットに構成される基板ケースなどに適用してもよく、更には、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシンの制御基板ケースや、その他の種々のケースにも適用することができる。