以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図14及び図15に、本発明が適用される基板ケースを備えた遊技機の代表例としてパチンコ機PMの正面図及び背面図を示しており、まず、このパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側に配設されたヒンジ機構3a,3bに支持されて前方に横開き開閉及び着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して外枠1と係合された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側上部には、前枠2の前面域に合わせた方形状で中央部に複層ガラスが装着されたガラス扉5が正面左側に設けられたヒンジ機構7a,7bにより前方に横開き開閉および着脱が可能に支持され、前記施錠装置4により前枠2の上部前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス扉5の背後には遊技盤10を立設姿勢で収容する収容枠が前枠2と一体に成型されており、この収容枠に遊技盤10が着脱可能に収容保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を透視して前面の遊技領域を視認可能に臨ませている。
図14では遊技盤10の記載を省略するが、遊技盤10の前面には上下のレール飾りに囲まれて略円形の遊技領域が区画形成され、この遊技領域に多数本の遊技釘とともに風車や各種入賞具、遊技の進行状況に応じて所定の画像が表示される画像表示装置などの遊技構成部品が取り付けられている。遊技領域の下端部には、入賞具に落入することなく落下した遊技球を遊技盤10の裏面側に排出するためのアウト口が遊技盤を前後に貫通して設けられている。
前枠2の下部領域には、球皿ユニット6が正面左側に設けられたヒンジ機構7b,7cにより前方に横開き開閉および着脱が可能に支持されるとともに、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して前枠2の下部前面を覆う閉鎖状態に保持される。球皿ユニット6に覆われた前枠2の下部領域には遊技補助盤と称される補助機構部が設けられており、この遊技補助盤に、遊技球を発射する遊技球発射装置や、遊技領域に到達することなく戻ってきたファール球を回収するファール球回収通路などが設けられている。前枠2の前面下部には、遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
前枠2の裏側に、裏セット盤20が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤20は、遊技盤10の裏面側に突出する画像表示装置や画像制御基板等を挿通させる大型の窓口21wを有して外枠1の内寸よりも幾分小型の矩形枠状に形成された基枠体21をベースとして構成される。基枠体21の各部には、球貯留タンクに貯留された多数の遊技球を流下過程で前後各一列に整列させる整流機構50、整流機構50により整列された遊技球を上下につながった整列状態で待機させる整列待機通路22、所定の入賞条件成立に基づいて整列待機通路22に待機された遊技球を払い出す球払出装置23、及び球払出装置23から払い出された遊技球を球皿ユニット6の球皿に導く払出通路などからなる賞球機構が設けられる。
また、基枠体21の裏面側の各部には、パチンコ機各部に電力を供給する電源基板31や球払出装置23の作動を制御する払出制御基板32、パチンコ機の作動を統括的に制御する主制御基板33、画像表示装置の作動を制御する画像制御基板35、遊技施設のホールコンピュータとの間で球払い出し情報やアラーム情報などの入出力を行うターミナル基板37など、パチンコ機PMに搭載された電子部品を制御する各種制御基板が取り付けられ、これらの制御基板とパチンコ機各部の電気・電子部品がワイヤーハーネスで接続されて遊技可能に構成される。各制御基板は不正な改造行為を防止するため、透明な基板ケースに収容された状態で取り付けられている。
このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、主制御基板33や払出制御基板32等の制御基板は、いわゆる大当たりの発生確率を増大させた偽造ROMへの差し替えや、擬似的に払出指令信号を出力させるような不正回路の付加など、不正利得を目的とした改造行為の対象になりやすい。そこで、このような制御基板を収容する基板ケースは、ケース内部に制御基板を収容保持した閉止状態にロック可能に構成されるとともに、ロック後は基板ケースの一部を破壊しなければ基板ケースを開放できない構成、例えば、ケース開放時にその痕跡(履歴)が残るような構造の不正開放防止機構が設けられている。
本発明に係る基板ケースの不正開放防止機構100について、その要部構成を示す斜視図を図1〜図5の各図に示す。ここで、図1はケースを開放した状態における基板ケースBCの斜視図、図2はケースを閉止した状態(ロック待機状態)における基板ケースの斜め前方からの斜視図、図3は基板ケース及び不正開放防止機構を分解した状態における斜め前方からの斜視図、図4は基板ケース及び不正開放防止機構を分解した状態における斜め後方からの斜視図、図5は図2におけるV矢視方向に見た基板ケースの底面図である。なお、基板ケースの大きさや形状、取り付け姿勢(前後・上下・左右の各方向)等は、ケース内に収容される制御基板の形状寸法、基板ケースが取り付けられる遊技機の取り付け位置、制御基板の配設姿勢等に応じて任意に設定可能である。そのため、本明細書においては、説明の便宜上、図2に示す矢印F,R,Uの向かう方向を、それぞれ前方,右方,上方と称して説明する。
基板ケースBCは、ともに透明な樹脂材料を用いて形成されたケース本体部材50と、このケース本体部材50の前方に着脱および揺動開閉が可能に取り付けられるケース蓋部材60とを備え、ケース本体部材50にケース蓋部材60を装着して閉止したケース閉止状態で前後整合するケース右端部に、不正開放防止機構100,100が設けられている。ケース閉止状態において形成されるケース内部には、例えば前述した主制御基板や、払出制御基板などの制御基板が収容される。なお、各図には、不正開放防止機構100を2か所設けた構成を例示するが、不正開放防止機構100の数は複数であればよく、一般的には4か所程度設けられる。
ケース本体部材50は、後壁51B及びこの後壁51Bを囲んで前方に延びる上下左右の側壁51U,51D,51L,51Rを有し、全体として前面開放の矩形箱状に形成されたケース本体51と、このケース本体の右側壁51Rと連結部54を介して繋がり右方に突出して形成された複数の本体側係合部55とを主体として構成される。ケース本体51の下部には左右に所定間隔をおいて本体側ヒンジ構造52,52が形成され、ケース本体の上下の側壁51U,51Dの前端部には、それぞれ上下外向きに突出して左右に延びる矩形ブロック状の本体側閉止保持突起53,53…が設けられている。
本体側ヒンジ構造52は、ケース本体の下側壁51Dから下方に延びる軸受壁52pを左右貫通する円孔状の軸受部52jと、この軸受部52jと繋がって前方にV字状に開く導入部52gを有し、導入部52gと軸受部52jとが繋がる開口部の幅が、次述するヒンジ軸62の直径よりも幾分小さめに形成されている。ケース本体部材50は、例えばポリカーボネートやABS樹脂などの樹脂材料を用いて図示形状に一体成型される。
ケース蓋部材60は、前壁61F及び前壁61Fを囲んで後方に延びる上下左右の側壁61U,61D,61L,61Rを有し、全体として後面面開放の薄い矩形蓋状に形成された蓋本体61と、蓋本体の右側壁61Rと断面視コの字状の連結部64を介して繋がり右方に突出する蓋側係合部65とを主体として構成される。ケース蓋部材61の下部には、本体側ヒンジ構造52,52と同様の間隔をおいて蓋側ヒンジ構造62,62が形成され、蓋本体の上下の側壁61U,61Dには、前壁61Fとの間に本体側閉止保持突起53を受容可能な間隔をおいて、それぞれ内向きに突出して左右に延びる矩形ブロック状の蓋側閉止保持突起63,63…が設けられている。
蓋本体61の上下の側壁61U,61Dは、これらの側壁の内面間隔がケース本体の上下の側壁51U,51Dの外面間隔よりも僅かに大きく設定され、蓋本体61の左右の側壁61L,61Rの内面間隔は、ケース本体の左右の側壁51U,51Dの外面間隔よりも次述するスライド範囲の長さ分大きく設定されている。
蓋側ヒンジ構造62は、蓋本体の下側壁61Dから下方に延びる軸壁62pに、軸受部52の形成位置及び内径に合わせて右方に突出する円柱状のヒンジ軸62jが形成され、このヒンジ軸の先端側にヒンジ軸62jの軸径よりも直径が大きい円盤状のスライド規制部62sが形成されている。ケース蓋部材60は、ケース本体部材50と同様の樹脂材料を用いて図示する形状に一体成型される。
ケース蓋部材60は、ケース側ヒンジ構造62の左右のヒンジ軸62jを、ケース側ヒンジ構造52の導入部52gに挿入し、前方から軽く押圧して軸受部52jに係合支持させることによりケース本体部材50と前後揺動及び左右スライドが可能に連結される。ケース本体部材50に対してケース蓋部材60がスライド可能な範囲、すなわちケース蓋部材60のスライド範囲は、ケース蓋部材60を右方にスライドさせてケース蓋部材の軸壁62pがケース本体部材の軸受壁52pに当接した右端位置(以下、スライド右端位置という)と、ケース蓋部材60を左方にスライドさせてケース蓋部材のスライド規制部62sがケース本体部材の軸受壁52pに当接した左端位置(以下、スライド左端位置という)とにより規定される。
また、ケース本体51に形成された本体側閉止保持突起53,53…と、蓋本体61に形成された蓋側閉止保持突起63,63…との左右方向(スライド方向)の位置関係は、ケース蓋部材60をスライド左端位置まで移動させた状態において、蓋側閉止保持突起63,63…と本体側閉止保持突起53,53…とが左右に離隔して配設される。一方、ケース蓋部材60をスライド右端位置まで移動させた状態においては、蓋側閉止保持突起63,63…と本体側閉止保持突起53,53…とが前後に重なり、ケース蓋部材60を閉じた状態において本体側閉止保持突起53が蓋側閉止保持突起63と前壁61Fとの間に挟み込まれるように前後に係合して配置されるようになっている。
このため、ケース蓋部材60をスライド範囲の左端まで移動させたスライド左端位置では、ケース蓋部材60を揺動開閉することができるが、スライド左端位置でケース蓋部材60を閉じスライド範囲の右端側まで移動させると、本体側閉止保持突起53と蓋側閉止保持突起63とが前後に係合してケース蓋部材60を開くことができない。また、ケース蓋部材60を開いた状態でスライド右端位置まで移動させると、蓋側閉止保持突起63が本体側閉止保持突起53に当接してケース蓋部材60を完全に閉じることができない。すなわち、スライド右端位置ではケース蓋部材60の開閉ができないように構成されている。
そして、スライド左端位置でケース蓋部材60を閉じ、スライド右端位置まで移動させた状態(「ケース閉止状態」という)において、蓋本体61の上下左右の側壁61U,61D,61L,61Rがケース本体51の上下左右の側壁51U,51D,51L,51Rの外周を囲んで蓋本体61がケース本体51の前面全体を覆って配設され、ケース本体50に形成された本体側係合部55,55とケース蓋部材60に形成された蓋側係合部65,65とが位置整合して前後に重なるようになっている。
本体側係合部55及び蓋側係合部65は、それぞれケース本体51の右側壁51R、蓋本体61の右側壁61Rと繋がって右方に突出する先端円弧のブロック状に形成され、本実施形態においては、上下の本体側係合部55,55を前面及び先端部において接続し一体に形成した構成例を示す。一方、上下に分かれて形成された蓋側係合部65,65は、それぞれ後面側が開く側断面視コの字状の連結部64を介し、各々独立して蓋本体の右側壁61Rと接続されている。そして、このようにして前後に重なる本体側係合部55及び蓋側係合部65に、不正開放防止機構100が設けられる。
不正開放防止機構100は、上記の本体側係合部55及び蓋側係合部65と、蓋側係合部65に前後移動及び回動が可能に支持されたロック部材110とを備えて構成される。図6にロック部材110の(a)左側面図、(b)正面図、(c)右側面図を示し、図7に前後に延びるロック部材の中心線110X及び斜め上下に延びるロックピンの中心線115Xを含む面での断面図(図6(b)におけるVII−VII矢視の断面図)、図8に図6(c)におけるVIII矢視の軸部の背面図を示す。
ロック部材110は、前後に延びる軸部112及び軸部の前端に形成された操作部113を有するロックハンドル111と、軸部112の後端側にロック部材の中心軸110Xと直行方向にスライド変位自在に支持されたロックピン115と、ロックピン115を軸部外方に付勢するコイルスプリング116を主体として構成される。
ロックハンドル111は、前後に延びる円柱状の軸部112と、この軸部112の前端に軸部よりも大径の薄肉円盤状に形成された操作部113とを有し、例えばアルミ合金や銅合金などの金属材料を用いて一体に形成される。軸部112の後端側にはロックピン115をこのピンの軸線115Xに沿った軸方向(ロックハンドルの中心線110Xに直行する方向)にスライド変位自在に収容支持する円筒状のピン収容部114が設けられ、軸部112の後端には、溝幅がBで軸端からの深さがHの凹溝状の規制凹部117が形成されている。
規制凹部117は、ロック部材110の中心線廻りの角度姿勢が図6(b)及び図1〜図5等の各図に示す角度位置(後に詳述する「ロック待機位置」及び「ロック位置」の角度位置)において、軸部112の中心を通って左右に延びる第2規制凹部117bと、軸部の軸心Oを通って上下に延び第2規制凹部117bと直交する第1規制凹部117aとからなり、軸部112を後端側から見た背面視において十字溝状になっている。軸部112の外周面には、次述するロックピン115の基端側に近い方の第2規制凹部117bの溝端部と繋がって、軸部112の後端から前方に延びるガイド凹部117cが形成されている。なお、ロックピン115については、図7に示す配設姿勢における上端側を先端側、下端側を基端側と称して説明する。
ロックピン115は、図7に示すように、細長い軸状の軸ピン115aと、この軸ピン115aの中間部に軸ピンよりも大径に形成された短円柱状の座部115bからなり、ステンレスや真鋳等の金属材料を用いて一体に形成される。ロックピン115を収容するピン収容部114は、ロックピンの座部115bよりも幾分大きな内径で軸部112に軸直行方向に穿設された有底円筒状の座部収容穴114bと、軸ピン115aよりもわずかに大きめの内径で座部収容穴114bの底部を貫通して同軸上に形成されたピン支持孔114aと、座部収容穴114bの入り口側に薄肉の円環状に形成されたカシメ部114cから構成される。
ロックピン115は、座部収容穴114bにコイルスプリング116を収納し、ロックピン115における軸ピン115aの基端側をピン支持孔114aに挿通し、座部115bを座部収容穴114bに挿入して、コイルスプリング116を軸方向に圧縮した状態でカシメ部114cを加締めて縮径させることにより、ピン収容部114に装着される。こうしてロックピン115が装着されると、ロックピン115はこのピンの軸方向に所定範囲で摺動自在に支持され、常にはコイルスプリング116のばね力により軸ピン115aの先端側が軸部112の外方に突出するように付勢配設される。ロックピン115の長さは、ロックハンドルの軸部112の外径よりも長く、ロックピン115を摺動範囲の中間に位置させた状態(中間位置)において、ロックピン115の先端側及び基端側が、ともに軸部112から突出した状態で配設されるようになっている。なお、コイルスプリング116に代えて板ばねや皿ばねなどの付勢手段を用いてもよい。
なお、軸部112におけるロックピン115の軸方向(115X方向)と、前述した規制凹部117a,117bの延びる方向とは、軸部112を後端側から見た背面視において、互いに45度の相対角で傾斜した状態になっている。操作部113の前面には、第2規制凹部117bが水平姿勢でガイド凹部117cが右側に位置し、ロックピン115の先端側が軸心Oに対して左斜め上方45度方向となるときに、水平左方を指す角度姿勢を示す指標118が設けられている。
このようなロック部材110を、軸部112の軸方向に前後移動及び軸廻りに回動可能に支持する蓋側収容部120が蓋側係合部65を前後に貫通して形成されている。図9に蓋側係合部65をケース蓋部材60の背面側から見た斜視図、図10に蓋側係合部65をケース蓋部材60の前面側から見た斜視図を示す。
蓋側収容部120は、全体として、ロックハンドルの軸部112の外径よりも幾分大きめの内径を有して蓋側係合部65を前後に貫通する円孔状で、その内周面には、ロックピン115の先端側を受容して係合する蓋側ピン係合溝121と、ロックピン115の基端側を受容する蓋側ピン受容溝122とが形成されている。
蓋側ピン係合溝121は、図9に示すように、円孔の中心を通り左右に延びる水平線に対して蓋本体側(正面視左側)に上下各45度の角度範囲で、前面側の円孔内径よりも大径の周壁121aが後方に開いて形成され、周壁121aの前方に薄い扇形の前方規制壁121b、周壁121aの両端に後方に延びる上下の回動規制壁121u,121dが形成される。一方、蓋側ピン受容溝122は、図10に示すように、円孔の中心を通り左右に延びる水平線に対して反蓋本体側(正面視右側)に上下各45度の角度範囲で、後面側の円孔内径よりも大径の周壁122aが前方に開いて形成され、周壁122aの後方に薄い扇形の後方規制壁122b、周壁122aの両端に上下の回動規制壁122u,122dが形成されるとともに、上方の回動規制壁122uが前方に延びてロックピンのピン径よりも幾分大きな溝幅で蓋側係合部65の前面に至る正面視凹溝状の導入溝122eが形成され、下方の回動規制壁122dから同様の溝幅で蓋側係合部65の後面側に延びて背面視凹溝状の導出溝122fが形成されている。
ロック部材110の蓋側収容部への装着は、ロックピン115の先端部をコイルスプリング116のばね力に抗して引っ込ませた状態で、軸部112から突出したロックピン115の基端部を導入溝122eの角度位置に合わせ、軸部112の後端側を蓋側収容部120に挿入する。導入溝122eを通って蓋側収容部内に進入したロックピンの基端部は、所定深さで後方規制壁122bに当接し、後方への移動が規制される。このとき、ロックピン115の先端側が前方規制壁121bを越え、コイルスプリング116のばね力によってピン先端部が蓋側ピン係合溝121に突出し周壁121aと係合する。このロックピン115の突出状態は前述したロックピンの摺動範囲の中間位置であり、軸部112に対してロックピン115の先端側及び基端側の両方が突出した状態で配設される(図7を参照)。
そのため、ロック部材110は、ロックピン115のピン先端部が前方規制壁121bと係合して前方への移動(ロック部材の抜去方向への移動)が規制され、ロックピン115の基端側が下向き45度の角度位置に配設された場合を除きピン基端部が後方規制壁122bと係合して後方への移動(ロック部材の押し込み方向への移動)が規制されて、軸部112の中心線110Xを軸として回動自在な状態で蓋側係合部65に装着される。
すなわち、ロック部材110が蓋側係合部65に装着されると、ロックピン115が先端側及び基端側において前後の規制壁121b,122bに挟まれて前後方向の移動が規制され、ロックピン115の先端部が下方の回動規制壁121dに当接し基端部が上方の回動規制壁122uに当接した角度位置(軸心Oに対しロックピン115の先端が下向き45度の角度位置)〜ロックピン115の先端部が上方の回動規制壁121uに当接し基端部が下方の回動規制壁122dに当接した角度位置(軸心Oに対しロックピン115の先端が上向き45度の角度位置)の90度の角度範囲で回動自在に配設される。このため、ロック部材110が蓋側係合部65に装着されると、ロックピン115の先端が上向き45度以外の角度位置では、ロックピン115の基端部が後方規制壁122bに当接してロック部材110を押し込み方向に移動させることができず、ロックピン115の先端が上向き45度に設定された角度位置に限り、ロックピン115の基端部が導出溝122fに沿って移動可能となるため、ロック部材110を押し込み方向(後方)に移動可能になっている。
このとき、ロック部材110の前後方向の配設位置は、前後移動が規制された位置において、図1,図2,図4の各図に示すように、操作部113が蓋側係合部65の前面側に突出し、軸部112の後端が蓋側係合部65の後面側に突出することなく蓋側収容部120内に収容された状態で配設される。また、ロック部材110の回動方向の配設位置では、軸心Oに対してロックピン115の先端が下向き45度の角度位置において第1規制凹部117aが左右水平に配設され、ロックピン115の先端が上向き45度の角度位置において第2規制凹部117bが左右水平に配設される。
操作部113の前面には、第1規制凹部117aが左右水平に延びロック部材110の前後移動が規制された角度位置(本明細書において「アンロック位置」という)において鉛直下方を指し、第2規制凹部117bが左右水平に延びロック部材110の後方への移動が許容される角度位置において水平左方を指す指標118が設けられている。なお、各図に示す実施例では、指標118を操作部113の表面に凸の浮き上がった三角形状としてロックハンドル111に一体に形成するとともに、例えば赤色など有彩色に着色して、ロック部材110の角度姿勢について視認性を向上させるとともに、指標を付け替える等の偽装を効果的に防止し得る構成としている。
蓋側係合部65と前後に重なる本体側係合部55に、ケース閉止状態において蓋側収容部と位置整合して前方に開口し,ロック部材110の後端側を受容する本体側収容部130が設けられている。本実施形態においては、本体側収容部130は、例えばアルミ合金等の金属材料を用いて概略円筒形に形成された本体側収容部材140と、この本体側収容部材140の後面側を塞ぐ薄板板金製の底板145からなり、本体側収容部材140に底板145をカシメ固着し、ケース本体50の成型時にインサートモールドにより本体側係合部55に一体に設けた構成を例示する(図4では、説明の便宜上、本体側収容部材140及び底板145を分解した状態で表示している)。図11に本体側収容部材140の(a)左側面図、(b)正面図、(c)右側面図を示し、図12に本体側収容部材140を斜め前方から見た斜視図、図13に本体側収容部材140を斜め後方から見た斜視図を示す。
本体側収容部材140は、全体としては、前後に延びる円筒141の前後中間部に円筒よりも大径のフランジ部141fを設け、これらの外周側を上下平行に面取りした形態をなし、中心にロックハンドルの軸部112が嵌入される円孔状の受容筒部142が前後貫通して形成されている。本体側収容部材140の後面側には、平行面取りされた外形に合わせた輪郭形状で前後に延びる薄肉壁面のカシメ部144が形成され、ここに小判状の底板145が嵌め込まれた状態でカシメ固着され、受容筒部142の後面が閉塞される。そして、このようにして一体に結合された本体側収容部材140及び底板145がケース本体部材の金型に装着されてインサートモールドされ、ケース閉止状態において蓋側収容部120と位置整合して上下に連通する本体側収容部130が本体側係合部55に形成される。
このため、本体側収容部130の主要構造は、金属製の本体側収容部材140及び底板145により構成され、本体側収容部130の中心に、ロックハンドルの軸部112の外径よりも幾分大きめの内径の受容筒部142が前方に開口し、後面側が底板145及びモールド樹脂で塞がれた状態で配設される(図1を参照)。受容筒部142の内周面には、左右に延びる水平線に対して斜め45傾斜した角度位置に、ロックピン115のピン径よりも幾分広い溝幅で前後方向に延びる本体側ピン係合溝131及び本体側ピン受容溝132が形成されている。
このうち、正面視において左上方に位置する本体側ピン係合溝131は、図13に示すように、溝深さが浅い(溝外径が小径の)導入係合溝131aと、この導入係合溝131aと繋がって溝深さが深い(溝外径が大径の)ロック係合溝131cとからなる段付き溝状に形成され、この導入係合溝131aとロック係合溝131cとの段差部に、平坦な前方規制壁131bが形成されている。一方、正面視において右下方に位置する本体側ピン受容溝132は、図12に示すように、前面側から後面側まで一定の溝深さで形成されている。導入係合溝131aの溝外径は、蓋側ピン係合溝121における周壁121aの外径と同一又はこれより幾分大きめに形成され、本体側ピン受容溝132の溝外径は、蓋側ピン受容溝122における導出溝122fの溝外径と同一又はこれより幾分大きめに形成されている。
また、本体側収容部材140には、受容筒部142の内方に突出して前後に延びる平行キー状の規制凸部137が形成されており、インサートモールドにより、この規制凸部137が本体側収容部130の水平右側に位置し、規制凸部137の前端部137tが本体側係合部55の前面から前方に突出して配設される。規制凸部137の上下方向の幅b及び前方への突出高さhは、それぞれ前述した規制凹部117の溝幅B及び溝深さHよりも小さく(b<Bかつh<Hに)設定されている。
本体側収容部130は、ケース蓋部材60を閉じてスライド右端位置まで移動させたケース閉止状態において、蓋側収容部120に前後移動及び回動が可能に支持されたロック部材110の中心線110Xと本体側収容部の中心線130Xとが前後一致した状態で配設され、蓋側ピン受容溝122における導出溝122fと本体側ピン受容溝132とが前後に繋がった状態で配設される。
そのため、ロックハンドルの指標118が水平左方を向いてロック部材110の後方への移動が許容される角度位置においては、蓋側ピン受容溝122の導出溝122fと本体側ピン受容溝132とが前後に繋がり、本体側収容部120から前方に突出する規制凸部の前端部137tが左右水平に延びる第2規制凹部117b内に位置するとともに、本体側収容部の内方に突出して前後に延びる規制凸部137と軸部の外周に凹設されて前後に延びるガイド凹部117cとが合致した状態で配設される。
従って、ロック部材110は、この角度位置において軸部112の後端が蓋側収容部120内に収容された状態の前方位置(本明細書において「ロック待機位置」という)から後方に移動させることができる。ロック部材110が後方に移動されると、蓋側収容部120から突出した軸部112の後端が本体側収容部130の受容筒部142に嵌入し、ロックピン115の基端部が蓋側ピン受容溝の導出溝122fから本体側ピン受容溝132に進入し、蓋側ピン係合溝の上方の回動規制壁121uに沿って移動するロックピン115の先端部が本体側ピン係合溝131に進入する。このとき、ガイド凹部117cと規制凸部137との係合によりロックハンドル111の回動が規制されるため、前後の各溝部の相対位置が変化することがなく、ロック部材110がガイドされつつ引っ掛かりなく滑らかに後方に移動する。
そして、ロック部材110が、前方のロック待機位置から所定ストローク後方に移動されると、本体側ピン係合溝131に進入し導入係合溝131aに係合していたロックピン115の先端部が、導入係合溝131aを通過してロック係合溝131cに至り、内蔵されたコイルスプリング116のばね力により突出して、ロックピン115の先端がロック係合溝131cの溝底面(溝外周面)と係合する。このとき、軸部112の後端面と本体側収容部における底板145の前面とがわずかなクリアランスで対峙して配設される。そのため、ロック部材110は、ロックピン115と前方規制壁131bとの係合により前方(抜去方向)への移動が規制され、底板145により後方への移動が規制された後方位置(本明細書において「ロック位置」という)に保持される。ロック位置では、ガイド凹部117cと規制凸部137とが係合しており、ロック部材110は、前後移動及び回動の両方が規制された状態で保持される。
ロック部材110がロック位置に設定されると、本体側係合部55と蓋側係合部65とがロック部材110により係合連結された閉鎖状態に保持される。閉鎖状態では、ロック部材110が、ロックピン115と本体側収容部の前方規制壁131bとの係合により前方への移動が規制されてロック部材110をロック待機位置まで引き抜くことができず、また、ロックハンドルの軸部112が蓋側収容部120と本体側収容部130とに跨って嵌入されているため、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60をスライドさせることもできない。従って、ロック部材110をロック位置に設定することにより、基板ケースBCが強固な閉鎖状態に保持される。なお、基板ケースBCを開放する際には、蓋側係合部65と蓋本体61との間に形成された連結部64をニッパ等の工具により切断して本体側係合部55と連結された状態の蓋側係合部65を切り離し、蓋本体61をスライド左端位置にスライドさせて行う。
さて、以上のように構成される不正開放防止機構100の具体的な作用について、以下、簡潔に説明する。まず、未使用の基板ケースBCに収容し不正開放防止機構100を利用してケース内にロック保持させる場合について説明する。未使用の基板ケースBCでは、複数のロック部材100が全て未使用状態であり、ロックハンドル111は軸部112の後端側が後方に突出することなく蓋側収容部120内に収容され、蓋側係合部65の前面側に突出する操作部113に付された指標118が鉛直下方を向いた「アンロック位置」に設定された状態になっている。
このとき、軸部後端の規制凹部117は、第1規制凹部117aが左右水平に伸びる角度姿勢に配設されており、ケース閉止位置では、本体側収容部130の前面側に突出する規制凸部137の前端部137tが、第1規制凹部117aの溝内(正面視における溝右端部)に位置して配設されている。蓋側係合部65の後面側には、規制凹部117と同様の溝幅B及び溝深さHで、ケース蓋部材60のスライド範囲に相当する長さの逃げ溝127が蓋側収容部120の円孔から水平右方に延びて形成されている。すなわち、ケース蓋部材60がケース本体部材50の前面を覆うように閉じた状態で、ケース蓋部材60を左右にスライドさせたときに、規制凸部137の前端部137tが逃げ溝127内を相対移動してスライド範囲で移動可能になっている。一方、蓋側収容部と65本体側収容部55とが前後に重なった「ケース閉止状態」では、本体側閉止保持突起53と蓋側閉止保持突起63とが前後に係合してケース蓋部材60を開くことができない。
そこで、まずケース蓋部材60をスライド左端位置までスライド移動させた状態でケース蓋部材60を前方に開放し、主制御基板33や発射制御基板33など当該基板ケースBCの収容対象である制御基板をケース蓋部材60またはケース本体部材50に形成された基板固定部(不図示)に固定する。そして、ケース蓋部材を閉止する前に、複数のロック部材100のうち、最初の封止に使用するロック部材100のロックハンドル111を、「アンロック位置」から時計廻りに90度回動して指標118が水平左方(蓋本体側)を指す「ロック待機位置」に設定する。蓋本体61の前面には、ロック部材110の位置状態を把握する基準として、指標118と同様の三角形の合いマーク68が水平右向きで設けられており、ロック部材110が「ロック待機位置」に設定されたときに指標118と合いマーク68とが対向し、ロック部材110の位置設定状況が一目で視認可能になっている。
ロック部材110が「ロック待機位置」に設定されると、ロックハンドル111の規制凹部117は、第2規制凹部117bが左右水平に伸び、スライド凹部117cが右端側に位置して配設される。そこで、ケース蓋部材60を閉じて右方にスライドさせると、逃げ溝127の右端側に没入した規制凸部の前端部137tが、溝内を右端側から蓋側収容部120に向かって相対移動し、ケース閉止状態となるスライド右端位置において第2規制凹部117bとスライド凹部117cとが交わる交差部に配設される。
このとき、「ロック待機位置」にあるロック部材110は、上記規制凸部の前端部137tと第2規制凹部117bとの係合によりロックハンドル111の回動が規制されるとともに、蓋側収容部120における蓋側ピン係合溝121及び蓋側ピン受容溝122(導出溝122f)とロックピン115との係合により、後方への移動のみが許容された状態になっている。そこで、操作部の指標118とケース本体の合いマーク68とが対向したロック待機位置にあるロック部材110(図2を参照)について、操作部113を手で押圧して後方に移動させると、蓋側収容部120から突出した軸部112が本体側収容部130に嵌入し、ロックピン115の基端部が蓋側ピン受容溝122から本体側ピン受容溝132に進入し、ロックピン115の先端部が蓋側ピン係合溝121から本体側ピン係合溝131に進入する。
そして、「ロック待機位置」から所定ストローク後方に移動した「ロック位置」において、ロックピン115の先端部が本体側ピン係合溝のロック係合溝131cに突出し、ロックピン先端部と前方規制壁131bとの係合、及び軸端と底板145との当接により前後方向への移動が規制される。ロック位置では、ガイド凹部117cと規制凸部137とが係合しており、ロック部材110は、前後移動及び回動の両方が規制された状態で保持される。
こうしてロック部材110がロック位置に設定されると、このロック部材110により本体側係合部55と蓋側係合部65とが係合連結され、基板ケースが閉止施錠された閉鎖状態に保持される。この閉鎖状態では、ロックハンドル111の前方への移動がロックピン115と前方規制壁131bとの係合により規制されており、ロック部材110を前方に引き抜くためにはロックピン115を剪断する必要である。従って、こじ開け時に基板ケースBCが破損しない限度でロックピンに作用すると想定される剪断力に応じて、ロックピン115の材質及び直径を設定することにより、ロック部材110の引き抜きを困難とすることができる。また、ロックハンドルの軸部112が蓋側収容部120と本体側収容部130とに跨って嵌入されているため、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60をスライドさせることも不可能である。従って、ロック位置に設定されたロック部材110によって基板ケースBCが強固な閉鎖状態に保持される。
特に、本実施形態の不正開放防止機構では、ロックハンドル111、ロックピン115、本体側収容部130等を金属材料により形成している。このため、小型の構成で強引なこじ開けに対する耐力が高い不正改造防止機構を提供できるとともに、本体側係合部130の側方からドリル等の機械的手段により孔をあけ、あるいは、はんだごてやヒートカッタ等の熱的手段により孔をあけて、ロックピン115とロック係合溝131cとの係合を解除させるような不正行為を効果的に防止することができる。
また、軸部112の前端に、軸部の外径よりも大径で蓋側係合部65の前面を覆うような操作部113を設けているため、ロック部材110の回動及び押し込み操作の操作性を向上させるとともに、蓋側係合部65の前方から上記同様の機械的、熱的手段によりロックピン115とロック係合溝131cとの係合を解除させるような不正行為を効果的に防止することができる。さらに、本体側収容部130に、受容筒部142の後面側を塞ぐ金属製の底板145を設けているため、基板ケースBCが遊技機に装着された状態で改造状況を発見しにくい本体側係合部55の後方(基板ケースBCの後面側)から孔をあけ、ロックピン115とロック係合溝131cとの係合を解除させるような不正行為を効果的に防止できる。
このように、強固な閉鎖状態に保持された基板ケースBCを開放する際には、蓋側係合部65と蓋本体61との間に形成された連結部64をニッパ等の工具により切断し、本体側係合部55と連結された状態の蓋側係合部65を切り離す。これにより、ロック部材110で本体側係合部55と連結された蓋側係合部65が蓋本体61と切り離され、切り離された蓋側係合部65を残した状態で、蓋本体61を左方にスライドさせてケース蓋部材を開放することができる。基板ケースBCには、基板ケースBCを開放した痕跡(履歴)が明瞭に残ることになる。
一方、ケース閉止状態において「アンロック位置」にあるロック部材110は、蓋側収容部120において蓋側ピン係合溝121(前方規制壁121b)及び蓋側ピン受容溝122(後方規制壁122b)とロックピン115との係合により前後方向の移動が規制され、左右水平に伸びて配設された第1規制凹部117aと規制凸部の前端部137tとの係合によりロックハンドル111の回動が規制されて、前後移動及び回動が規制された状態に保持される。
すなわち、「アンロック位置」に設定されている未使用のロック部材110は、ケース閉止状態にされると、前後移動も回動もできない状態で蓋側係合部65に保持される。従って、既に他のロック部材により閉鎖保持された基板ケースBCについて、誤って他の未使用のロック部材をロック位置に移動させて二重ロックしてしまうようなことがなく、誤操作を確実に防止できる構成になっている。なお、アンロック位置にあるロック部材では、ガイド凹部117cが鉛直上方に位置しており、第1規制凹部117aの溝底部と規制凸部の前端部137tとの前端との関係においても、ロック部材110の後方移動が規制される。従って、例えばロックハンドル111の操作部113をハンマーで叩打するような強引な悪戯行為があっても、アンロック位置のロック部材が本体側収容部130に嵌入されてしまうようなことがない。
ここで、全てのロック部材が「アンロック位置」の状態では基板ケースを閉鎖することができないが、この場合には基板ケースが閉鎖されていないため、一旦ケース蓋部材60をスライド左端位置まで移動させて、規制凹部117と規制凸部の前端部137tとの係合を解除し、いずれか一箇所のロック部材を90度回動して「ロック待機位置」に設定し、以降ロック操作を行えばよい。この際、基板ケースBCを開放してもロック部材110が「アンロック位置」または「ロック待機位置」で蓋側係合部65に保持されているため、基板交換等の作業中にロック部材100を誤って紛失させてしまうようなこともない。
また、ロックハンドル111の操作部113に指標118が設けられており、この指標118が指す方向を確認することにより、ロック部材110が「アンロック位置」にあるか「ロック待機位置」にあるかを一目で認識でき、この指標位置と操作部113の前後方向位置により、基板ケースBCの前方からロック部材110がアンロック位置・ロック待機位置・ロック位置のいずれにあるかを直感的に判断できる。
なお、操作部の指標118を確認せず、ロック部材110がアンロック位置とロック待機位置との間の角度位置にある状態で、ケース蓋部材60を閉じようとする場合が考えられる。しかしながら、このような状態では、軸部後端の規制凹部117は、第1規制凹部117a及び第2規制凹部117bのいずれも左右水平にならず、斜めに傾いた状態で移動される。そのため、ケース蓋部材60を右方にスライドさせると、相対移動する規制凸部の前端部137tが第1規制凹部117aと第2規制凹部117bとの間の軸端部に当接し、ケース蓋部材60をスライド右端位置まで移動できない。
このとき、ケース本体部材50とケース蓋部材60とは、本来前後に重なるべき蓋側係合部65と本体側係合部55とが重ならずに左右にずれた状態になる。このため、作業者は基板ケースBCがケース閉止状態にならないことを直ちに把握して、中途半端な角度設定のロック部材110をアンロック位置またはロック待機位置に是正することができる。これにより、基板ケースの封止作業に際してロック部材の誤設定を有効に防止することができる。
従って、以上説明したような不正開放防止機構100によれば、制御基板の保守作業等に際して特殊工具を用いたりロック部材110を紛失したりすることなく容易に基板ケースBCを再封止できるとともに、強引なこじ開けに対する耐力の高い、遊技機用の不正開放防止機構を提供することができる。
なお、実施形態では、ロック部材110の回動角度位置を視覚により判別可能な識別手段として、円盤状の操作部113の前面に外方を向く三角形の指標118を形成した構成例を示したが、指標118はドットや矢印、打ち抜きなど任意の形態とすることができ、また例えば、操作部113の形状自体を三角形状や矢印形状にするなどにより、ロック部材110の回動角度位置を認識可能な形態であればよい。また、本発明をパチンコ機の基板ケースに適用した事例について説明したが、スロットマシンやアーケードゲーム機などの他の遊技機の基板ケースに適用することができ、同様の効果を得ることができる。