(構成)
本発明の第1の実施形態に係る遊技媒体用の基板ケースの構成について図1を参照して説明する。図1は、遊技媒体用の基板ケースをその内部に備えたスロットマシンの正面図である。
図1に示すスロットマシン10は、その外郭をなすボックス形状の機本体11を備えている。この機本体11の開口前面には、各種の遊技用構成部材をセットする前扉12がヒンジ(図示省略)により、水平方向へ横開き状態で開閉可能に組み付けられている。
前扉12の前面略中央部には窓口12aが形成されており、この窓口12aには中央表示パネル13が固着されている。中央表示パネル13の中央には表示窓14が設けられている。この表示窓14を通して、機本体11内に配設された3つの回転リール15が視認可能になっている。
中央表示パネル13の下方には、前扉12の前面側に膨出した膨出部17が形成されている。膨出部17の上面にはコインである遊技媒体を投入するコイン投入口19等が設けられている。また、膨出部17の前面にはスタートレバー18及びストップボタン21が並設されている。
スタートレバー18は、操作位置と原位置との間を揺動可能に構成され、原位置の方向に付勢されている。遊技者がスタートレバー18を付勢力に抗して揺動操作するとオンし、スタートレバー18が付勢力により原位置に戻るとオフするレバースイッチ(図示省略)が設けられている。ストップボタン21は、3つの回転リール15に対応して設けられている。ストップボタン21に対応して押圧スイッチ(図示省略)が設けられている。
次に、スロットマシン10内部に設けられた制御基板(図示省略)について説明する。
制御基板は、レバースイッチがオンすると、3つの回転リール15を一斉に回転させる制御を行う。同時に、制御基板は、遊技における役抽選の処理を実行し、抽選結果をメモリ(図示省略)に記憶する。遊技において、遊技媒体の払い出しが行われる役として、セブン役、バー役、ベル役、プラム役、チェリー役があり、遊技媒体の払い出しが行われない役としてハズレ役がある。
制御基板は、押圧スイッチの操作を検知し、対応する回転リール15の回転を停止する制御を行う。全ての回転リール15が停止して、停止した回転リール15の周面にそれぞれ描かれる3個の図柄が、メモリに記憶された抽選結果に対応する図柄になると、遊技における役が確定する。
制御基板は、遊技における役が確定した場合、その役に応じた枚数の遊技媒体(コイン)を払い出すように図2に示す払出装置25を制御する。コインをスロットマシン内部の払出装置からスロットマシン10外部へ放出するためのコイン払出し口22が前扉12の下端部に開設されている。放出されたコインを貯留するためのコイン受け皿23が前扉12の前面下端部に設けられている。
次に、スロットマシン10の内部構成を図2〜図4を参照にして説明する。図2は、前扉12を外して、スロットマシン10の内部構成を前から見た正面図である。図3は、基板ケースの斜視図、図4は、制御基板30を収容する基板ケースの分解斜視図である。
制御基板30は、回転リール15の回転及び停止制御、遊技における役抽選の処理、遊技媒体の払出制御、その他の遊技機全体を制御するためのCPU、RAM、ROM、乱数発生器などの素子を備えている。これらの素子を図4では省略して示している。
制御基板30は、スロットマシン10の内部にあって、3つの回転リール15の上方に配置されている。制御基板30は、不正な基板との交換、あるいは不正改造などを防止するために、基板ケース40に収容されている。
次に、図3から図9を参照にして、制御基板30及び基板ケース40について説明する。図5は基板ケースの正面図、図6は図5のVI−VI線断面図、図7は図5のVII−VII線断面図、図8は、図4に示すカバー部材をVIII方向から見た矢視図、図9は、図4に示すトレー部材をIX方向から見た矢視図である。
図6に示すように、基板ケース40は、制御基板30の表面(CPUなどの素子が実装される側の面)を覆うように形成されたカバー部材50と、制御基板30の裏面を覆うように形成されたトレー部材60とを備えている。図6においては、紙面の上側が制御基板30の表面側に相当し、紙面の下側が制御基板30の裏面側に相当している。
トレー部材60は、機本体11の後壁11aに内側から固定されている。トレー部材60は、制御基板30を安定的に固定するように構成されている。すなわち、制御基板30は、トレー部材60を介して機本体11の後壁11aに固定されている。制御基板30は、基板ケース40ごと機本体11にカシメ固定されている。すなわち、制御基板30は、締めることは可能であるが、緩めることが不可能な戻り止めネジを用いて機本体11に固定されている。このように、制御基板30を基板ケース40ごと機本体11にカシメ固定したことにより、第3者が基板ケース40を破壊しない限り(戻り止めネジは緩めることは不可能なため)、基板ケース40は機本体11から取り外すことが不可能となっている。なお、機本体11への固定は、戻り止めネジに限らず、打ち込み鋲であっても良い。
カバー部材50は、制御基板30を固定した状態のトレー部材60と、制御基板30を内部に収容するように組み合わされている。制御基板30の表面には、CPUなどの素子が実装されている。また、制御基板30の表面には全部で6個のコネクタ31が配設されている。制御基板30の裏側には回路パターン(接続パターン)が形成されている。
カバー部材50とトレー部材60とは表裏方向で組み合わされている。カバー部材50とトレー部材60とは、制御基板30の表面に実装されたCPUなどの素子、また制御基板30の裏側の回路パターン(接続パターン)などを外部から容易に透過可能なように、高い透明性を有するポリカーボネート(Polycarbonate)樹脂により形成されている。
次に、図3から図9を参照にして、カバー部材50について説明する。カバー部材50は箱形状に形成されている。基板ケース40を水平面で破断し、その破断面を下方から見た図6(図5のVI−VI線断面図)では、箱形状のカバー部材50の開口が下を向いている。
カバー部材50は、箱形状では底部に相当する天井部51、周壁及び周縁部を備えている。カバー部材50の天井部51は、制御基板30の表面に接触しないように形成されると共に、制御基板30の表面に実装されたCPU(図示省略)などの素子に接触しないように形成されている。
また、カバー部材50の天井部51には、透視窓511が形成されている。透視窓511は、天井部51を制御基板30のROM(図示省略)の方へ凹入することにより、形成されている。
透視窓511の底部512は、略矩形状の平面で、ROMの表面(上面)とわずかな隙間(1ミリから3ミリ程度の隙間)で向き合うように形成され、ROMの表面に記載された表記部の表記内容が視認し易いように構成され、また、ROMの着脱を制止するように構成されている。
さらに、透視窓511の底部512及び凹壁513には移動制止部514が一体的に形成されている。移動制止部514は、ROMの表面(上面)に沿って延ばされ、ROMの表面との間の隙間を僅少(1ミリ程度)にすることにより、ROMの着脱方向(図4に示す表裏方向)への移動を規制する着脱制止片515を有している。
また、移動制止部514は、ROMを周りから囲むように6個の脚状部材が延ばされ、上下方向等(図4に示す表裏方向とは直交する方向)への移動を規制する移動制止片516を有している。
さらに、移動制止部514は、天井部51の切り取り(破壊)を防止、抑制するための補強片517を有している。補強片517の一端部は透視窓511の凹壁513と一体化され、補強片517の他端部はカバー部材50の上側壁52一体化されている。
カバー部材50の周壁は、上側壁52、下側壁53及び両側壁54、55を有している。また、カバー部材50の周縁部は、下縁部56及び両側縁部57、58を有している。カバー部材50の下縁部56及び両側縁部57、58はフランジ501を有している。
カバー部材50の下縁部56は、下側壁53の端部から下方向へ延設されている。カバー部材50の両側縁部57、58は、各側壁54、55の端部から外側方向へそれぞれ延設されている。なお、カバー部材50の周縁部は、上側壁52からは延設されていない。ここでは、上側壁52が、周縁部に相当している。
カバー部材50の上側壁52には、舌片状のシール用フランジ523が形成されている。また、カバー部材50の下縁部56には、舌片状のシール用フランジ563が形成されている。
フランジ501は、カバー部材50の周縁部の裏面側(制御基板30側)に配されている。フランジ501は、略U字形の突条であり、カバー部材50の周縁部(下縁部56及び両側縁部57、58)に連続的に形成されている。フランジ501は、所定の板厚(1ミリ程度)及び所定の高さ(5ミリ程度)を有している。
フランジ501には、制御基板30の方へ延びる位置決め突起502が一体的に形成されている。位置決め突起502は、制御基板30の下縁及び両側縁にそれぞれ当接して、制御基板30の位置決めをしている。
カバー部材50の下縁部56及び両側縁部57、58には、6個のコネクタ31の位置および形状等に対応させて、6個のコネクタ用貫通孔59がそれぞれ開設されている。各コネクタ31は、各コネクタ用貫通孔59を通ってカバー部材50の外部へ突出している。
カバー部材50の下縁部56及び側縁部57、58は、制御基板30の表面に対してわずかな隙間をもって近接している。その隙間は、カバー部材50の外部からコネクタ用貫通孔59を通して、CPU等の素子が収容されているカバー部材50の内部へ針金などの不正な治具を挿入できない程度に設定されている。
次に、図3から図9を参照にして、トレー部材60について説明する。トレー部材60は、底の浅い皿形状に形成されている。図6では、トレー部材60の開口が上を向いている。トレー部材60は、底部61及び周縁部62を有している。トレー部材60の底部61には、大別すると3種類の支持部611、612、613が設けられている。
支持部611は、底部61を直方体形状に盛り上げて形成されている。また、支持部612は、底部61の底面から立ち上がったL字状のフランジに形成されている。さらに、支持部613は、底部61から立ち上がった略C字状断面形状または略L字断面形状のフランジに形成されている。支持部611、612、613は制御基板30の周縁部の裏面に対応して配されている。また、支持部611、612、613は、トレー部材60の開口の高さとほぼ同じ高さ位置に制御基板30を支持する。
トレー部材60は、カバー部材50を表裏方向で嵌め合わせ、次に、カバー部材50を表裏方向に対して直交する方向(図4に示すA方向)に相対移動させるように構成されている。
トレー部材60の上縁部63は、カバー部材50を表裏方向で嵌め合わせるときに、及びカバー部材50を直交する方向に相対移動するときに、カバー部材50の上側壁52を案内する案内面部630を有している。
また、トレー部材60の上縁部63には、舌片状のシール用フランジ636が形成されている。シール用フランジ636は、図3及び図5に示すように、カバー部材50とトレー部材60との組み付け時に、シール用フランジ523と滑らかに連続して、封印シール(図示省略)を貼るための平面を形成する。
トレー部材60の下縁部64は、カバー部材50を表裏方向で嵌め合わせるときに、及びカバー部材50を直交する方向に相対移動するときに、カバー部材50の下縁部56を案内する案内面部640を有している。
また、トレー部材60の下縁部64は、舌片状のシール用フランジ646が形成されている。シール用フランジ646は、図3及び図5に示すように、カバー部材50とトレー部材60との組み付け時に、シール用フランジ563と滑らかに連続して、封印シール(図示省略)を貼るための平面を形成する。
次に、カバー部材50をトレー部材60に組み付けるための構成について説明する。その組付構成としては、カバー部材50に設けられる被係合部と、トレー部材60に設けられる係合部とを含む。
先ず、図4、図5及び図8を参照にして、カバー部材50に設けられる被係合部について説明する。
図8は、カバー部材50の周縁部が、全部で8つの被係合部を有していることを示している。
3つの被係合部521がカバー部材50の上側壁52の端縁に所定の距離を隔てて設けられている。各被係合部521は、上側壁52の端縁から上方へ3ミリ程度突出する突起である。その突起の幅は10ミリ程度である。
また、3つの被係合部561がカバー部材50の下縁部56の端縁に所定の距離を隔てて設けられている。各被係合部561は、下縁部56の端縁から下方へ3ミリ程度突出する突起である。その突起の幅は10ミリ程度である。
さらに、2つの被係合部571がカバー部材50の側縁部57(図4に示す左側の縁部、図8に示す右側の縁部)の端縁に所定の距離を隔てて設けられている。側縁部57の端縁にはフランジ572が形成され、そのフランジ572に各被係合部571が開設されている。被係合部571は、両側方向(図4に示すA方向)に開口していて、開口丈は2ミリ程度、間口幅は14ミリ程度である。被係合部571の開口丈2ミリは、トレー部材60の係合部651の板厚に相当している。開口幅の14ミリは、幅12ミリの係合部651が嵌るための幅に設定されている。
次に、図4、図5及び図9を参照にして、トレー部材60に設けられる係合部について説明する。
図9は、トレー部材60の周縁部62が、全部で8つの係合部を有していることを示している。
3つの係合部631は、各被係合部521に対応してトレー部材60の上縁部63に設けられている。次の3つの係合部641は、各被係合部561に対応してトレー部材60の下縁部64に設けられている。残りの2つの係合部651は、各被係合部571に対応してトレー部材60の側縁部65(図9に示す左側の縁部)に設けられている。
次に、係合部を被係合部に係合するための構成について、図10から図13に基づいて説明する。図10は、係合部631と被係合部521とを水平面で破断した断面図である。
係合部631は、被係合部521を表裏方向へ案内するガイド溝632を有している。それにより、被係合部521は、制御基板30の表裏方向で係合部631と被係合部521とが対峙した図10(a)に示す状態と、係合部631の溝底部633と被係合部521とが表裏方向で重なった図10(b)に示す状態との間を移動可能に案内される。
また、係合部631は、被係合部521を表裏方向に対して直交する方向(図10に示すA方向及びB方向)に案内する溝底部633を有している。それにより、被係合部521は、図10(b)に示す状態と、表裏方向に対し直交する方向に相対移動した図10(c)に示す状態との間を移動可能に案内される。
さらに、係合部631は、直交方向(図10に示すB方向)に移動した被係合部521に係合して、被係合部521を表裏方向へ直線的に離脱不能とする係合溝634とを有している。被係合部521が、係合溝634の溝壁に係合して、表裏方向へ直線的に離脱不能な状態を図10(c)に示す。
係合溝634の溝口635の幅は、被係合部521の板厚(2ミリ)よりわずかに広めに設定されている。被係合部521の端部には、被係合部521を溝口635に入り易くするためのテーパ部522が形成されている。
図11は、係合部641と被係合部561とを水平面で破断した断面図である。係合部641は、被係合部561を表裏方向へ案内するガイド溝642を有している。それにより、被係合部561は、制御基板30の表裏方向で係合部641と被係合部561とが対峙した図11(a)に示す状態と、係合部641の溝底部643と被係合部561とが表裏方向で重なった図11(b)に示す状態との間を移動可能に案内される。
また、係合部641は、被係合部561を表裏方向に対して直交する方向(図11に示すA方向及びB方向)に案内する溝底部643を有している。それにより、被係合部561は、図11(b)に示す状態と、表裏方向に対し直交する方向に相対移動した図11(c)に示す状態との間を移動可能に案内される。
さらに、係合部641は、直交方向に移動した被係合部561に係合して、被係合部561を表裏方向へ直線的に離脱不能とする係合溝644を有している。被係合部561が、係合溝644の溝壁に係合して、表裏方向へ直線的に離脱不能な状態を図11(c)に示す。
係合溝644の溝口645の幅は、被係合部561が嵌るために、被係合部561の板厚(2ミリ)よりわずかに広めに設定されている。被係合部561の端部には、被係合部561を溝口645に入り易くするためのテーパ部562が形成されている。
次に、係合部651について、図12及び図13を参照にして説明する。図12及び図13は、係合部651と被係合部571とを水平面で破断した断面図である。図12は、カバー部材50とトレー部材60とを表裏方向で合わせたときの図、図13は、カバー部材50を表裏方向に対して直交する方向(図4に示すA方向)に相対移動したときの図である。
係合部651は、外側方向(図12に示すB方向)に突出している。係合部651の幅は、被係合部571の開口幅(14ミリ)に嵌合可能な12ミリ程度であり、係合部651の板厚は2ミリ程度であり、その開口丈が2ミリ程度の被係合部571に隙間なく嵌るように設定されている。
次に、カバー部材50が表裏方向に対して直交する方向(図12に示すB方向)へ相対移動するのを阻止するための手段について、図3、図4、図8、図9及び図12から図16を参照にして説明する。その阻止するための手段は、カバー側ボス581及びトレー側ボス661、並びに、2つの別部材であるネジ部材70及び軸部材80の各構成にある。
図14は、カバー側ボス581とトレー側ボス661とが軸部材80により結合された状態を示した断面図、図15は、図14のXV−XV線断面図、図16は、図14のXVI−XVI線断面図である。
先ず、カバー側ボス581について説明する。カバー側ボス581は全部で6個設けられている。6個のカバー側ボス581を識別するための識別マークが、カバー部材50の側縁部58に設けられている。その識別マーク(アルファベットの「A」から「F」)を図3に示す。各カバー側ボス581の構成はほぼ同じであり、以下、図3に「F」で示した、最も上位にあるカバー側ボス581の構成について代表して説明する。
カバー側ボス581は、図4に示すように、カバー部材50の側縁部58(図4に示す右側の縁部、図8に示す左側の縁部)の外縁に一体的に形成されている。カバー側ボス581は、筒状部582、筒底部583、スカート部584及び連結部585を有している。
筒状部582の筒周方向には、3つの分割壁586と3つの隙間586aとが交互に配設されている。3つの隙間586aは、それぞれ1ミリ程度の幅に設定されている。なお、分割壁586の数やその位置及び隙間586aの数やその位置は、特に限定されるものではない。
各筒状部582の外方から筒状部582の筒軸中心に向かって開設されている。第1の隙間586aは、図15に示すB方向(3時の方向)から筒軸中心に向かって開設されている。第2の隙間586aは、11時の方向から筒軸中心に向かって開設されている。第3の隙間586aは、7時の方向から筒軸中心に向かって開設されている。これらの方向は、マイナスドライバーなどの工具を隙間586aに入れ難い方向である。
なお、各隙間586aは、筒状部582の外方から筒状部582の筒軸中心を外れた方向に開設されても良い。それにより、筒軸中心を外れた方向に開設された隙間を通して、治具を筒状部582の外方から筒状部582の内部に入れ難くなる。
筒状部582の各分割壁586は、筒底部583からそれぞれ立設されている。各分割壁586は、筒状部582の外方へ撓んだ撓み位置から原位置に戻る復元力を有している。
筒状部582の分割壁586の上部には薄肉部586bが形成されている。薄肉部586bには係止突起587が形成されている。薄肉部586b及び係止突起587を成形するための成形型用の挿通孔588が、筒底部583及び分割壁586を表裏方向に貫くように設けられている。成形型用の挿通孔588を設けることにより、分割壁586が撓み易くなっている。
筒状部582の内方へ係止突起587が1.5ミリ程度突出している。分割壁586が原位置にあるとき、図15に円C1で示す3つの係止突起587を通る円の直径は、図15に円C2で示すネジ部材70の頭部71の直径より小さめに設定されている。
筒状部582の係止突起587は、ネジ部材70の頭部71に係止して、ネジ部材70を筒状部582の内部に保持可能にし、筒状部582の外方へ変位して、ネジ部材70の頭部71を筒状部582の外部から筒状部582の内部に通し可能に構成されている。
以上の構成によれば、筒状部582の係止突起587は、カバー部材50の搬送中に、ネジ部材70が筒状部582から抜け出ることのないように、筒状部582の内部に保持している。
次に、カバー側ボス581に設けられる下穴589について、図12から図14を参照にして説明する。筒底部583の中心部には、下穴589が穿設されている。下穴589は、穴が深くなる方向に段階的にその穴径を小さくした、大径部589a、中径部589b及び小径部589cを有している。大径部589a、中径部589b及び小径部589cは、次のように形成されている。なお、ネジ部材70及び軸部材80に関しては、その名称のみを挙げ、その詳細については後述する。
大径部589aは、ネジ部材70のネジ軸72のネジ山径(例えば4ミリ)よりわずかに大きめの径で形成されている。大径部589aにはネジ部材70のネジ軸72が嵌合可能となる。大径部589aは、ネジ軸72を嵌合させることにより、ネジ軸72の軸方向を軸部材80の押し込み方向に一致させるように保持する。
また、中径部589bは、ネジ部材70のネジ軸72のネジ山径よりわずかに小さめの径で形成されている。中径部589bの径は、ネジ軸72のネジ谷径にほぼ等しい。中径部589bは、軸部材80の周面部81の径(約3ミリ)よりわずかに大きめの径で形成されている。中径部589bには軸部材80が嵌合可能となる。中径部589bは、軸部材80を嵌合させることにより、軸部材80の軸方向と軸部材80の圧入方向(小径部589cの穴中心方向)と一致させるように、軸部材80を保持する。
さらに、小径部589cは、軸部材80の周面部81の径(約3ミリ)よりわずかに小さめの径(例えば2.5ミリ)で形成されている。
3つの傾斜面589dが、筒状部582と下穴589の大径部589aとの間に、大径部589aと中径部589bとの間に、及び、中径部589bと小径部589cとの間にそれぞれ形成されている。第1の傾斜面589dは、ネジ部材70のネジ軸72を筒状部582から大径部589aに案内する。第1から第3の傾斜面589dは、軸部材80を筒状部582から大径部589aに案内し、さらに、大径部589aから中径部589bへ案内し、さらに、中径部589bから小径部589cへ案内する。以上、下穴589について説明した。
筒底部583には、筒状部582と反対の位置にスカート部584(図15及び図16に示す)が設けられている。スカート部584は、内径が8ミリ程度の略円形断面形状の中空部584aを有している。中空部584aは、3つの成形型用の挿通孔588に繋がっている。また、スカート部584は、中空部584aに通じ、外側方向(図16に示すA方向)に向かって開いた6ミリ程度の出入口584bを有している。
連結部585は、カバー側ボス581の側縁部58の外縁から筒状部582に延ばされている。連結部585を表裏方向に貫くようにして設けられた貫通孔588aを図16に示す。貫通孔588aには、成形型用の挿通孔588及びスカート部584の中空部584aを介して、出入口584bが連通している。
次に、トレー側ボス661について説明する。トレー側ボス661は、側縁部66に一体的に形成されている。トレー側ボス661は、カバー部材50をトレー部材60に対し直交する方向に相対移動したときに、カバー側ボス581と表裏方向で重なり合う位置に配されている。
トレー側ボス661は、全部で6個設けられている。各トレー側ボス661の構成はほぼ同じであり、最も上位にあるトレー側ボス661の構成を説明し、他のトレー側ボス661の構成の説明に代える。
トレー側ボス661は、嵌合部662及び連接部663を有する。嵌合部662がカバー側ボス581の中空部584aに嵌入している状態、及び、連接部663がカバー側ボス581の貫通孔588aに嵌合している状態を図16に示す。
嵌合部662は、図16に示すA方向に移動したスカート部584の中空部584aに嵌入し、B方向(A方向とは反対方向)へ移動したスカート部584の中空部584aから離脱するように形成されている。
嵌合部662は、カバー部材50とトレー部材60とを表裏方向で合わせたときに、スカート部584の外の位置(図16に想像線で示す位置)にあって、スカート部584がA方向に移動したときに、出入口584bを通って、スカート部584の中空部584aに嵌入した位置(図16に実線で示す位置)に相対的に移動する。
嵌合部662は、スカート部584の中空部584aに嵌入したとき、出入口584bを完全に塞ぐ。嵌合部662と出入口584bの縁との間の隙間はない。嵌合部662と出入口584bの縁とは滑らかに連続する。その隙間を通してマイナスドライバーなどの工具をスカート部584の中空部584aに入れることは困難を伴う。
また、嵌合部662は、スカート部584の中空部584aに嵌入したとき、スカート部584の中空部584aを裏側(図14では下側)から塞ぐ円板部662aを有している。嵌合部662の円板部662aと中空部584aの縁との間の隙間はない。嵌合部662の円板部662aと中空部584aの縁とは滑らかに連続する。その隙間を通してマイナスドライバーなどの工具をスカート部584の中空部584aに入れることは困難を伴う。
嵌合部662には下穴664が穿設されている。下穴664は、軸部材80の周面部81の径(約3ミリ)より小さめの径(例えば2.5ミリ)で形成されている。スカート部584が図16に実線で示す位置に移動したとき、下穴664の穴中心は下穴589の穴中心と一致する。下穴664の裏側(図14の紙面上では下側)はキャップ部665により塞がれている。
キャップ部665は、嵌合部662と一体的に形成されている。キャップ部665の頂部(図14の紙面上では下端部)と、トレー部材60の底部61との深さの差は、2ミリから3ミリ程度である。この2ミリから3ミリは、トレー部材60が固定される機本体11の後壁11aと、キャップ部665の頂部との間の隙間に相当している。
連接部663は、カバー部材50とトレー部材60とを表裏方向で合わせたときに、図16に想像線で示す位置にあるスカート部584の中空部584a及び連結部585の貫通孔588aに嵌っている。スカート部584がA方向へ移動したときに、連接部663は、図16に実線で示す位置に移動したスカート部584の中空部584aから連結部585の貫通孔588aの方へ完全に移動する。
次に、ネジ部材70及び軸部材80について説明する。
ネジ部材70は、所謂ワンウェイネジである。ネジ部材70の頭部71は、時計方向又は反時計方向の一方に回転する図13に示すネジ回し工具T1に係止し、他方に回転するネジ回し工具T1に係止しないように形成されている。ネジ部材70のネジ軸72の先端には、軸部材80の軸に対し直交する平滑な面が形成されている。なお、ネジ部材70は、その頭部71にプラス溝又はマイナス溝が形成された一般的なネジであっても良い。
ネジ部材70は、タッピングスクリューである。例えば時計方向に回転するネジ回し工具T1にネジ部材70の頭部71が係止することにより、ネジ部材70が時計方向に回転し、ネジ軸72のネジ山が下穴589の中径部589bの穴壁を削ることで、ネジ部材70が中径部589bに螺合する。ネジ軸72は、後述する軸部材80を押し込む量に応じた長さを有している。
軸部材80は、頭無しのタッピングスクリューである。軸部材80の軸方向の全長は、約10ミリである。軸部材80は、その基端側から先端部側に渡って、その軸を中心とする螺旋状の溝が形成された周面部81と、その先端側にあって、螺旋状の溝が形成されていない細径部82とを有している。周面部81の外径は、約3ミリである。また、細径部82の外径は、約2.4ミリである。
周面部81の長さは約8ミリである。螺旋状の溝は7条(7個)設けられている。各螺旋状の溝は約8ミリピッチである。各螺旋状の溝の溝深さは、約0.3ミリである。なお、螺旋状の溝はこれに限らず、8ミリピッチより小さくても大きくても良く、また、1条以上設けられていれば良い。
軸部材80の基端には、軸に直交する平滑な面が形成されている。軸部材80の基端は、ネジ部材70の先端(平滑な面)に当接可能となっている。軸部材80の先端側に形成された細径部82の長さは、約2ミリである。
軸部材80は、ネジ部材70の先端側に位置していて、中径部589bに嵌っている。中径部589bに螺合するネジ部材70に押されることにより、螺旋状の溝が小径部589cの穴壁を削りながら、軸部材80が小径部589cに圧入する。
次に、軸部材80と下穴589、664との関係、及び、ネジ部材70と下穴589との関係について、図12から図15を参照にして説明する。
先ず、軸部材80と下穴589との関係との関係について説明する。軸部材80を筒状部582に入れる。軸部材80は、前記第1の傾斜面589dに案内されて、筒状部582から下穴589の大径部589aに入る。約3ミリ径の軸部材80は、4ミリ径の大径部589aを通り抜けて、約3ミリより大きめの径に形成された中径部589bに嵌り、中径部589bに保持される。
次に、ネジ部材70と下穴589との関係との関係について説明する。ネジ部材70のネジ軸72を単に筒状部582に入れた場合に、ネジ部材70の頭部71は、係止突起587に係止して、筒状部582の外にある。ネジ部材70の頭部71を筒状部582内に押し込む。ネジ部材70の頭部71は、係止突起587を外方へ押し広げ、筒状部582内に入る。また、ネジ部材70のネジ軸72は、大径部589aに嵌り、大径部589aに保持される。係止突起587は内方へ復元し、ネジ部材70の頭部71に係止可能となる。それにより、ネジ部材70は、筒状部582から抜け不可能となる。
ネジ部材70の頭部71を押し込むと、軸部材80がネジ部材70に押されて、軸部材80の周面部81の先端側半分が下穴589の小径部589cに嵌る(図12に示す状態)。このとき、周面部81に形成された螺旋状の溝が小径部589cの穴壁を削る。なお、図12に示す状態では、細径部82を、トレー部材60と干渉させないように、小径部589cから裏側に突出させない。
図12に示す状態では、ネジ部材70のネジ軸72が大径部589aから抜け可能であるが、係止突起587がネジ部材70の頭部71に係止可能であることにより、そのネジ部材70を筒状部582の内部に保持している。
ネジ部材70を筒状部582に嵌め込むとき、ネジ部材70の頭部71が筒状部582に遊びをもって嵌合するため、ネジ部材70を筒状部582に嵌め込み易くなり、作業性が向上する。図15に、ネジ部材70の頭部71(図15に示すC2)と筒状部582との間の隙間を示している。
また、図12に示す状態では、軸部材80の周面部81の先端側半分が小径部589cの穴壁に食い込む。それにより、軸部材80の軸と小径部589cの穴軸とを一致させている。なお、小径部589cの穴壁に軸部材80の周面部81を食い込ませなくても良く、軸部材80の周面部81の先端をわずかに食い込ませるようにしても良い。
図12に示す状態から、カバー部材50をトレー部材60に対してA方向に相対移動し、カバー側ボス581の下穴589とトレー側ボス661の下穴664との穴中心を一致させた状態を図13に示す。なお、カバー側ボス581及びトレー側ボス661は、共にポリカーボネート樹脂で成形されているため、下穴589の穴壁は、ネジ部材70のネジ山及び軸部材80の周面部81により切削可能であり、下穴664の穴壁は、軸部材80の周面部81により切削可能である。
次に、ネジ部材70により押された軸部材80と下穴589、664との関係について説明する。
図13に示す状態において、ネジ回し工具T1を例えば時計方向に回転すると、ネジ回し工具T1にネジ部材70の頭部71が係止し、ネジ部材70が時計方向へ回転し、ネジ軸72のネジ山が中径部589bの穴壁を削ることにより、ネジ部材70のネジ軸72が下穴589の中径部589bに螺合する。
螺合するネジ部材70に押されて軸部材80の周面部81は、カバー側ボス581の下穴589の小径部589c及びトレー側ボス661の下穴664に圧入される。このとき、軸部材80の周面部81に形成されたネジ山が下穴589、664の穴壁を削ることにより、下穴589、664に螺合する。図14に示す状態では、ネジ部材70の頭部71は、筒状部582の筒底部583に当接し、それ以上軸部材80を押し込み不可能となる。軸部材80の周面部81の先端側半分(約4ミリ)が下穴664に圧入され、軸部材80の周面部81の基端側半分(約4ミリ)が小径部589cに圧入される。
図13及び図14に示すように、ネジ部材70は、軸部材80を約6ミリ押し込む。この約6ミリの長さは、軸部材80の周面部81の先端側半分の長さである約4ミリと、細径部の長さである約2ミリを合わせた長さである。
カバー部材50をトレー部材60に対して図14に示すB方向に相対移動させようとすると、軸部材80に剪断力がかかる。剪断力に関しては、軸部材80の材質が鋼であり、また、軸部材80の径が3ミリであることにより、十分に対応することが可能となる。なお、軸部材80の径は3ミリ以上であることが好ましい。このとき、軸部材80の径に、中径部589b及び小径部589cの径を対応させることは言うまでもない。
カバー側ボス581とトレー側ボス661とを分離させようとすると、軸部材80を介して、カバー側ボス581の下穴589の小径部589cの穴壁とトレー側ボス661の下穴589の穴壁とに引き抜き力がかかる。引き抜き力に関しては、軸部材80の周面部81が穴壁に圧入され、また、周面部81に形成された螺旋状の溝が穴壁に食い込んでいるので、各穴壁に大きな周面摩擦力が生じることにより、引き抜き力に対抗する可能となる。
好ましくは、軸部材80は、その軸方向の長さにおいて1対1の割合で、カバー側ボス581の下穴589の小径部589c及びトレー側ボス661の下穴664に圧入される。それにより、引き抜き力に関しては、両方の穴壁にほぼ等しい周面摩擦力が生じる。それにより、軸部材80が、小径部589c又は下穴664のいずれか一方から抜け易くなることを防止することが可能となる。
周面摩擦力は、軸部材80の形状及び材質、カバー側ボス581及びトレー側ボス661の材質、並びに、下穴589の小径部589c及び下穴664の形状に依存する。軸部材80の周面部81は、約3ミリの一定の径を有する円柱形状であり、各条の螺旋状の溝も同じ溝断面でかつ同じピッチにより軸部材80の周面部81に形成され、軸部材80の材質も鋼で一定である。また、カバー側ボス581及びトレー側ボス661の材質は、共にポリカーボネート樹脂であり、下穴589の小径部589c及び下穴664は同径である。以上の点からも、引き抜き力に関しては、両方の穴壁にほぼ等しい周面摩擦力が生じる。
周面摩擦力は、軸部材80の周面部81の径が大きくなるに応じて高くなる。また、軸部材80が小径部589c及び下穴664にそれぞれ圧入する長さが長くなるに応じて高くなる。軸部材80の圧入する長さは、4ミリ以上であることが好ましい。
また、周面摩擦力を高くする観点から、軸部材80の周面部81に形成された螺旋状の溝は、7以上の多条であることが好ましい。また、螺旋状の溝の深さは、0.3ミリ以上の深さであることが好ましい。
(動作)
次に、カバー部材50をトレー部材60に組み付ける手順について、図4及び図10から図14を参照にして説明する。
制御基板30がトレー部材60に固定されていない図4に示す状態において、先ず、制御基板30をトレー部材60に安定的に固定する。
次に、図4は、制御基板30を固定した状態のトレー部材60に対して、カバー部材50を表裏方向で対峙させる。このとき、カバー部材50の被係合部521は、トレー部材60の溝底部633に対峙した図10(a)に示す状態にある。
また、カバー部材50の被係合部561は、トレー部材60の溝底部643に対峙した図11(a)に示す状態にある。
次に、カバー部材50を図4に示す表裏方向へ移動して、トレー部材60と組み合わせる。このとき、カバー部材50の被係合部521は、ガイド溝632に案内され、トレー部材60の溝底部633の方向へ移動し、図10(b)に示すように、溝底部633と重なった状態となる。
また、カバー部材50をトレー部材60と組み合わせるとき、カバー部材50の被係合部561は、ガイド溝642に案内され、トレー部材60の溝底部643の方向へ移動し、図11(b)に示すように、溝底部643と重なった状態となる。さらに、カバー部材50をトレー部材60と組み合わせるとき、カバー部材50の被係合部571は、トレー部材60の係合部651にA方向で対峙した図12に示す状態となる。
さらに、カバー部材50をトレー部材60と組み合わせるとき、図12に示すように、カバー部材50のカバー側ボス581の筒状部582にはネジ部材70が嵌っている。例えば、カバー部材50の組み付け時の振動等により、ネジ部材70が筒状部582から抜け出ようとしても、ネジ部材70の頭部71が筒状部582の係止突起587に係止するため、ネジ部材70は、筒状部582に保持された状態を維持する。
次に、カバー部材50を図4に示すA方向に移動する。それにより、カバー部材50の被係合部521は、溝底部633に案内され、図10(c)に示すように、係合部631に係合した状態となる。
また、カバー部材50をA方向に移動するとき、カバー部材50の被係合部561は、溝底部643に案内され、図11(c)に示すように、係合部641に係合した状態となる。さらに、カバー部材50をA方向に移動するとき、カバー部材50の被係合部571は、トレー部材60の係合部651に係合した図13に示す状態となる。
さらに、カバー部材50をA方向に移動するとき、トレー側ボス661の嵌合部662は、カバー側ボス581のスカート部584の外の位置(図12に示す位置)から、スカート部584の出入口584bを通って、スカート部584の内部に完全に収まった位置(図13に示す位置)になる。同時に、嵌合部662に設けられた下穴664の穴中心は、筒状部582の筒底部583に設けられた下穴589の穴中心と一致する。
次に、ネジ回し工具T1をネジ部材70の頭部71にあてがう。次に、ネジ回し工具T1を例えば時計方向へ回転する。ネジ回し工具T1がネジ部材70の頭部71に係止し、ネジ部材70が時計方向に回転する。それにより、ネジ部材70のネジ軸72がカバー側ボス581の下穴589の中径部589bに螺合する。
図13に示すように、カバー側ボス581の下穴589の大径部589aにネジ部材70のネジ軸72の先端部が予め嵌っていることにより、ネジ軸72の軸を下穴589の穴軸と一致させる。これは、ネジ軸72が中径部589bに螺合していくときも同様である。
中径部589bに螺合するネジ軸72に軸部材80が押されて、軸部材80がカバー側ボス581の下穴589の小径部589cとトレー側ボス661の下穴664とに圧入される。軸部材80が下穴589の小径部589c及び下穴664に圧入された状態を図14に示す。
図14では、ネジ部材70のネジ軸72が下穴589の中径部589bに螺合している。それにより、遊技機の稼働中に振動等でネジ部材70が下穴589から抜け出ることがない。また、仮に、ネジ部材70が下穴589から抜け出ても、筒状部582の係止突起587がネジ部材70の頭部71に係止して、ネジ部材70を筒状部582内に保持する。
軸部材80は、その軸方向の長さにおいて1対1の割合で、カバー側ボス581の下穴589の小径部589c及びトレー側ボス661の下穴664に圧入される。軸部材80の周面部81の軸方向の長さが約8ミリであるから、周面部81の約4ミリずつが、小径部589c及び下穴884にそれぞれ圧入される。このとき、軸部材80の周面部81に形成された螺旋状の溝は、下穴589の小径部589c及び下穴664の穴壁に食い込むようになる。
以上の手順により、カバー部材50とトレー部材60とが組み付けられる。次に、基板ケース40の内部に安定的に収容された制御基板30に対して、不正行為が可能であるか否かを検討する。
先ず、カバー部材50とトレー部材60とが組み付けられた状態において、カバー部材50を表裏方向へ直線的に離脱させることが可能か否かを検討する。
カバー部材50を表裏方向へ直線的に離脱させようとすると、カバー部材50の被係合部521、561が、トレー部材60の係合溝634、644に係合し、また、カバー部材50の被係合部571の開口縁が、トレー部材60の係合部651に係合する。それにより、カバー部材50を表裏方向へ直線的に離脱不能となる。
次に、カバー部材50とトレー部材60とが組み付けられた状態において、カバー部材50を表裏方向に対し直交方向(図4に示すB方向)へ移動させることが可能か否かを検討する。
カバー部材50を図4に示すB方向へ移動させようとすると、カバー側ボス581の下穴589の小径部589c及びトレー側ボス661の下穴664に圧入された軸部材80により、B方向への移動が阻止される。それにより、カバー部材50をB方向へ移動させることが不可能となる。
次に、軸部材80をカバー側ボス581の下穴589の小径部589c及びトレー側ボス661の下穴664から抜き出すことが可能か否かを検討する。
軸部材80を抜き出すためには、先ず、ネジ部材70をカバー側ボス581の下穴589の中径部589bから抜き出す必要がある。ネジ部材70は、所謂ワンウェイネジであるため、例えば反時計方向に回転するネジ回し工具T1をネジ部材70の頭部71に係止することができない。それにより、ネジ部材70を中径部589bから抜き出し不可能となり、軸部材80を抜き出すこともできない。
仮に、特殊な治具を用いて、ネジ部材70を中径部589bから抜き出すことができた場合に、軸部材80を下穴589の小径部589c及び下穴664から抜き出すことが可能か否かを検討する。
先ず、特殊な治具を軸部材80に掛止する場合を検討する。軸部材80は、外観上、引っ掛ける所がない。特殊な治具を、軸部材80に掛止させようとすると、軸部材80が頭無しであるため、掛止できない。したがって、特殊な治具を軸部材80に掛止不可能となり、軸部材80を下穴589の小径部589c及び下穴664から抜き出すことが不可能となる。
次に、特殊な治具をトレー側ボス661の下穴664の裏側(図14に示す下端側)から入れて、軸部材80を図14に示す上方へ抜き出すことが可能か否かを検討する。
トレー側ボス661の下穴664の裏側は、キャップ部665により塞がれているので、下穴664に治具を入れることができない。したがって、キャップ部665を破壊するなどの痕跡を残さずに、トレー側ボス661の下穴664の裏側から特殊な治具を入れて、軸部材80を図14に示す上方へ抜き出すことは不可能となる。
以上の説明によれば、特殊な治具を用いたとしても、軸部材80を、カバー側ボス581の下穴589の小径部589c及びトレー側ボス661の下穴664から抜き出すことが不可能となる。
したがって、カバー部材50とトレー部材60とが組み付けられた状態において、カバー部材50を表裏方向に対し直交方向(図4に示すB方向)へ移動させることは不可能となり、基板ケース40の開放の痕跡を残さずに、基板ケース40を開放することは不可能となる。
基板ケース40を開放するためには、例えば、カバー側ボス581の筒状部582を破壊して、ネジ部材70及び軸部材80を抜き出し、カバー部材50を表裏方向に対し直交方向(図4に示すB方向)へ移動可能とする必要がある。
あるいは、カバー側ボス581及びトレー側ボス661を基板ケース40側から切除する必要がある。筒状部582の破壊やカバー側ボス581等の切除を簡単に視認することができる。それにより、基板ケース40が開放されたときの痕跡を容易に発見することができる。
なお、前記実施形態では、カバー部材50をトレー部材60に対して、制御基板30の表裏方向に対して直交する方向(図4に示すA方向)に移動し、カバー部材50側の被係合部521等をトレー部材60側の係合部631等に係合させるものを示したが、直交する方向としては、制御基板30の表面又は裏面と平行な方向であれば良い。
また、実施形態では、カバー部材50をトレー部材60に対して、制御基板30の表裏方向に対して直交する方向に移動したときに、トレー側ボス661がカバー側ボス581と表裏方向で重なり合う位置に配されているものを示したが、これに限らない。例えば、カバー部材50をトレー部材60に対して、表裏方向で合わせることにより、トレー側ボス661がカバー側ボス581と表裏方向で重なり合う位置に配されているものであっても良い。
さらに、基板ケース40をその内部に備えたスロットマシン10について説明したが、これに限らない。基板ケース40を有するパチンコ遊技機、パチンコ球を用いたスロットマシン型遊技機である所謂パロットであっても良い。