JP5589319B2 - 晶析方法 - Google Patents
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Description
条件(a):晶析装置からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度VsAVの200%以上となる。
なお、本明細書において平均供給速度(平均抜き出し速度)は、1時間あたりの供給量(抜き出し量)をいい、単なる供給速度(抜き出し速度)は、ある時点における瞬間的な流量(すなわち瞬間速度)をいうものとする。
(I)前記条件(a)を満足する開放と、下記条件(b)を満足する完全閉止ないし略閉止とを繰り返す。
条件(b):晶析装置からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度VsAVの0〜10%となる。
(II)前記条件(a)を満足する開放の頻度を、10分あたり1回以上とする。
(III)前記条件(a)を満足する開放の合計時間を、原料の晶析開始から晶析終了までの時間の0.1〜20%とする。
図1は、本発明の晶析方法に用いられる晶析システムの一例を示す構成図である。晶析システム10は、原料を含む液(A)を冷却して原料の晶析物を含む液(B)を得る第1の晶析装置12と;原料を含む液(A)を冷却して原料の晶析物を含む液(B)を得る第2の晶析装置14と;原料の晶析物を含む液(B)を原料の晶析物とろ液とに分離する固液分離装置16と;ろ液を貯留するろ液タンク18と;原料を含む液(A)を第1の晶析装置12に供給する原料供給流路20と;原料の晶析物を含む液(B)を第1の晶析装置12から抜き出し、原料を含む液(A)として第2の晶析装置14に供給する第1の抜出流路22と;原料の晶析物を含む液(B)を第2の晶析装置14から抜き出し、固液分離装置16に供給する第2の抜出流路24と;固液分離装置16から原料の晶析物を晶析システム10の後段へ移送する移送26と;固液分離装置16からろ液をろ液タンク18へ移送する移送流路28と;ろ液タンク18からろ液を、原料を含む液(A)として晶析システム10よりも前段に返送する返送流路30と;原料供給流路20から分岐し、第1の抜出流路22の途中に原料を含む液(A)を流体(C)として供給する第1の流体供給流路32と;ガスタンク33から第1の抜出流路22の途中にガスを流体(C)として供給する第2の流体供給流路34と;移送流路30から分岐し、第1の抜出流路22の途中にろ液を流体(C)として供給する第3の流体供給流路36と;第1の流体供給流路32から分岐し、第2の抜出流路24の途中に原料を含む液(A)を流体(C)として供給する第4の流体供給流路38と;第2の流体供給流路34から分岐し、第2の抜出流路24の途中にガスを流体(C)として供給する第5の流体供給流路40と;第3の流体供給流路36から分岐し、第2の抜出流路24の途中にろ液を流体(C)として供給する第6の流体供給流路42と;第1の流体供給流路32が分岐する位置よりも下流側の原料供給流路20の途中に設けられた原料供給弁44と;第1の流体供給流路32、第2の流体供給流路34および第3の流体供給流路36が合流する位置よりも下流側の第1の抜出流路22の途中に設けられた第1の抜出弁46と;第4の流体供給流路38、第5の流体供給流路40および第6の流体供給流路42が合流する位置よりも下流側の第2の抜出流路24の途中に設けられた第2の抜出弁48と;第3の流体供給流路36が分岐する位置よりも下流側の返送流路30の途中に設けられた返送弁50と;第4の流体供給流路38が分岐する位置よりも下流側の第1の流体供給流路32の途中に設けられた第1の流体供給弁52と;第5の流体供給流路40が分岐する位置よりも下流側の第2の流体供給流路34の途中に設けられた第2の流体供給弁54と;第6の流体供給流路42が分岐する位置よりも下流側の第3の流体供給流路36の途中に設けられた第3の流体供給弁56と;第4の流体供給流路38の途中に設けられた第4の流体供給弁58と;第5の流体供給流路40の途中に設けられた第5の流体供給弁60と;第6の流体供給流路42の途中に設けられた第6の流体供給弁62と;第1の流体供給流路32が分岐する位置よりも上流側の原料供給流路20の途中に設けられた原料供給ポンプ64と;第3の流体供給流路36が分岐する位置よりも上流側の返送流路30の途中に設けられた返送ポンプ66と;前記各弁の開閉を制御する制御手段68とを具備する。ただし、流体(C)を供給する各流体供給流路(32、34、36、38、40、42)は必要に応じて抜出弁(46、48)の下流側の閉塞を抑制するために、抜出弁(46、48)の下流側にも併せて接続してもよい。
移送装置26としては、スクリューフィーダ、ベルトコンベア等が挙げられる。
各弁としては、電磁弁、電動弁、エアー駆動弁等が挙げられる。
インターフェイス部は、前記各弁ならびに液面検出手段78と処理部との間を電気的に接続するものである。
処理部は、記憶部に記憶された所定のインターバル、供給速度、抜き出し速度等に基づいて前記各弁のそれぞれの開閉を制御するものである。
また、制御手段68には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続されるものとする。ここで、入力装置とは、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスのことをいい、表示装置とは、CRT、液晶表示装置等のことをいう。
つぎに、晶析システム10を用いた晶析方法について説明する。
まず、原料供給弁44を開き、原料供給ポンプ64を駆動させて、原料供給流路20経由で原料を含む液(A)を第1の晶析装置12に、1時間あたりの供給量が所定量となるように連続的に(場合によっては断続的に)供給する。流体(C)として原料を含む液(A)と同一の流体を用いる場合には、流体(C)中の原料を含む液(A)と同一の成分量も考慮して所定流量となるようにする。
第1の晶析装置12内で、原料を含む液(A)を冷却して原料を晶析させ、原料の晶析物を含む液(B)を得る。
所定のインターバルで第1の抜出弁46の開閉や抜出量の調整を行い、第1の抜出流路22経由で原料の晶析物を含む液(B)を第1の晶析装置12から後述する条件(a1)を満足するように断続的に抜き出し、原料を含む液(A)として第2の晶析装置14に断続的に供給する。
所定のインターバルで第2の抜出弁48の開閉や抜出量の調整を行い、第2の抜出流路24経由で原料の晶析物を含む液(B)を第2の晶析装置14から後述する条件(a2)を満足するように断続的に抜き出し、固液分離装置16に断続的に供給する。
必要に応じて、返送弁50を開き、返送ポンプ66を駆動させて、返送流路30経由でろ液タンク18からろ液を、原料を含む液(A)として晶析システム10よりも前段に返送する。
条件(a1):第1の晶析装置12の晶析槽70からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve1(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度Vs1AVの200%以上となる。
条件(a2):第2の晶析装置14の晶析槽70からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve2(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度Vs2AVの200%以上となる。
条件(b1):第1の晶析装置12の晶析槽70からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve1(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度Vs1AVの0〜10%となる。
(II)条件(a1)を満足する第1の抜出弁46の開放の頻度を、10分あたり1回以上とする。
(III)条件(a1)を満足する第1の抜出弁46の開放の合計時間を、第1の晶析装置12の晶析槽70における原料の晶析開始から晶析終了までの時間の0.1〜20%とする。
(IV)流体供給弁については、第1の抜出弁46の開放の1〜60秒前から第1の抜出弁46の開放まで開放しそれ以外は閉止してもよいし、第1の抜出弁46の開放の1〜60秒前から第1の抜出弁46の開放まで、および第1の抜出弁46の開放から第1の抜出弁46の完全閉止ないし略閉止までの間は開放し、それ以外は閉止してもよい。
条件(a1)を満足する第1の抜出弁46の開放の合計時間を、原料の晶析開始から晶析終了までの時間の20%以下とすることにより、第1の抜出流路22の径を大きくできるため、第1の抜出流路22の閉塞の頻度を少なくできる。
各流体供給弁の開放開始を、条件(a1)を満足する第1の抜出弁46の開放の60秒前およびそれ以降に開始することにより、流体(C)の流量が抑えられる。第1の抜出流路22の閉塞を抑制できる範囲であれば、流体(C)の流量は低く抑える方が好ましい。
各流体供給弁を、第1の抜出弁46の開放から第1の抜出弁46の完全閉止ないし略閉止までの間、開放することにより、原料の晶析物を含む液(B)を抜き出している間の、第1の抜出流路22における晶析物の詰まりを十分に抑制できる。
条件(b2):第2の晶析装置14の晶析槽70からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve2(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度Vs2AVの0〜10%となる。
(II)条件(a2)を満足する第2の抜出弁48の開放の頻度を、10分あたり1回以上とする。
(III)条件(a2)を満足する第2の抜出弁48の開放の合計時間を、第2の晶析装置14の晶析槽70における原料の晶析開始から晶析終了までの時間の0.1〜20%とする。
(IV)流体供給弁については、第2の抜出弁48の開放の1〜60秒前から第2の抜出弁48の開放まで、および第2の抜出弁48の開放から第2の抜出弁48の完全閉止ないし略閉止までの間は開放し、それ以外は閉止する。
条件(a2)を満足する第2の抜出弁48の開放の合計時間を、原料の晶析開始から晶析終了までの時間の20%以下とすることにより、第2の抜出流路24の径を大きくできるため、第2の抜出流路24の閉塞の頻度を少なくできる。
各流体供給弁の開放開始を、条件(a2)を満足する第2の抜出弁48の開放の60秒前およびそれ以降に開始することにより、流体(C)の流量が抑えられる。第2の抜出流路24の閉塞を抑制できる範囲であれば、流体(C)の流量は低く抑える方が好ましい。
各流体供給弁を、第2の抜出弁48の開放から第2の抜出弁48の完全閉止ないし略閉止までの間、開放することにより、原料の晶析物を含む液(B)を抜き出している間の、第2の抜出流路24における晶析物の詰まりを十分に抑制できる。
また、前記(I)〜(III)の範囲内で、晶析装置からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度VsAVの10%超200%未満となるような各抜出弁の開放を適宜行ってもよい。
図1に示す晶析システム10を用いて、粗メタクリル酸の精製を行った。
晶析槽70の内部の温度は4〜7℃に調整した。
粗メタクリル酸にメタノールを加え、メタノール濃度が5質量%のメタクリル酸溶液を調製した。
第1の晶析装置12には、原料供給流路20経由で供給されるメタクリル酸溶液(平均供給速度Vs1−1AV=1800kg/時間)と第1の流体供給流路32経由で供給されるメタクリル酸溶液(平均供給速度Vs1−2AV=100kg/時間)の合計として、平均供給速度Vs1AV=1900kg/時間で供給した。
また、開放時以外は、第1の抜出弁46は完全閉止(すなわち、抜き出し速度Ve1(瞬間速度)は0kg/時間であり、メタクリル酸溶液の平均供給速度Vs1AVの0%)であった。
また、第1の抜出弁46の開放の頻度は、10分あたり10回であった。
また、第1の抜出弁46の開放の合計時間は、原料の晶析開始から晶析終了までの時間の8.3%であった。
メタクリル酸の晶析を行っている間、制御手段68により第2の抜出弁48を、図2に示す(i)のインターバルで開閉させ、これを繰り返し、第2の抜出流路24経由でメタクリル酸の結晶を含むスラリーを第2の晶析装置14から平均抜き出し速度Ve2AV=2000kg/時間で断続的に抜き出し、固液分離装置16に断続的に供給した。
また、開放時以外は、第2の抜出弁48は完全閉止(すなわち、抜き出し速度Ve2(瞬間速度)は0kg/時間であり、メタクリル酸溶液の平均供給速度Vs2AVの0%)であった。
また、第2の抜出弁48の開放の頻度は、10分あたり10回であった。
また、第2の抜出弁48の開放の合計時間は、原料の晶析開始から晶析終了までの時間の8.3%であった。
制御手段68による各抜出弁および各流体供給弁の制御を行わないことによって、各晶析装置から各抜出流路経由でメタクリル酸の結晶を含むスラリーを連続的に抜き出し、かつ各流体供給流路から各抜出流路へメタクリル酸溶液および窒素ガスを供給しなかった以外は、実施例1と同様にして粗メタクリル酸の精製を行った。精製開始から5時間後、抜出流路におけるメタクリル酸の結晶の詰まりが確認されたため、粗メタクリル酸の精製を中止した。
各条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして粗メタクリル酸の精製を行った。200時間連続して粗メタクリル酸の精製を行ったが、各抜出流路の入口および内部においてメタクリル酸の結晶が詰まることはなかった。
各流体供給流路から各抜出流路へメタクリル酸溶液および窒素ガスを供給しなかった以外は、実施例1と同様にして粗メタクリル酸の精製を行った。比較例1において、粗メタクリル酸の精製の開始から、抜出流路にメタクリル酸の結晶が詰まるまでの時間を超えても、各抜出流路の入口および内部においてメタクリル酸の結晶が詰まることはなかった。
12 第1の晶析装置
14 第2の晶析装置
22 第1の抜出流路
24 第2の抜出流路
46 第1の抜出弁
48 第2の抜出弁
68 制御手段
Claims (2)
- 原料を含む液(A)が、アクリル酸溶液、またはアクリル酸の結晶を含むスラリーであり、原料の晶析物を含む液(B)が、アクリル酸の結晶を含むスラリーである、または、
原料を含む液(A)が、メタクリル酸溶液、またはメタクリル酸の結晶を含むスラリーであり、原料の晶析物を含む液(B)が、メタクリル酸の結晶を含むスラリーであり、
晶析装置に原料を含む液(A)を平均供給速度VsAV(kg/時間)で連続的または断続的に供給しながら、晶析装置内で原料を晶析させる間、
下記条件(a)を満足する抜き出しを断続的に行い、かつ下記条件(a)を満足する抜き出しの頻度を10分あたり1回以上とすることを特徴とする晶析方法。
条件(a):晶析装置からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度VsAVの200%以上となる。 - 晶析装置から原料の晶析物を含む液(B)を抜き出す抜出流路に設けられた抜出弁の開閉を、抜出弁に接続された制御手段によって下記(I)〜(III)のように制御する、請求項1に記載の晶析方法。
(I)前記条件(a)を満足する開放と、下記条件(b)を満足する完全閉止ないし略閉止とを繰り返す。
条件(b):晶析装置からの原料の晶析物を含む液(B)の抜き出し速度Ve(kg/時間)が原料を含む液(A)の平均供給速度VsAVの0〜10%となる。
(II)前記条件(a)を満足する開放の頻度を、10分あたり1回以上とする。
(III)前記条件(a)を満足する開放の合計時間を、原料の晶析開始から晶析終了までの時間の0.1〜20%とする。
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