JP5587794B2 - 特定のメタロセンを含有する組成物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火物および/または粘結剤と、(2)ビス-シクロペンタジエニル鉄、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物とを含む組成物に関する。
鋳物業において、金属部品を作製するために使用される手段の1つは「砂型鋳造」である。砂型鋳造においては、使い捨ての鋳物型、例えば、鋳型、中子、スリーブ、鋳込みカップ、カバーなどが、耐火物と、有機または無機の粘結剤(binder)の混合物とを含む鋳物型用ミックスを使用して加工される。この鋳物型は、絶縁特性、発熱特性、またはその両方を有することができる。
鋳型および中子等の鋳物型は、典型的に絶縁特性を有し、溶融金属が注がれる空洞を有する鋳造アッセンブリを形成するために配置される。溶融金属がこの鋳物型のアッセンブリに注ぎ入れられた後、この方法によって形成された金属部品は、鋳造アッセンブリから取り出される。鋳物型が溶融金属と接触するとき、それが崩壊しないように、粘結剤が必要とされる。所望の粘結剤特性を得るために、典型的には、様々な溶媒および添加剤が粘結剤の反応性成分と共に使用されて、必要とされる特性が高められる。
鋳物型は、典型的には、いわゆるノーベイク法、コールドボックス法、および/または熱硬化法によって作製される。ノーベイク法では、液体の硬化触媒を、パターン(pattern)の中で前記混合物を成型する前に、鋳物型用ミックスを形成させるための砂および粘結剤と共に混合する。この鋳物型用ミックスを、パターンの中でそれを圧縮することによって成型し、それが自立するまでそのまま硬化させる。コールドボックス法では、揮発性の硬化触媒を、砂と粘結剤からなる成型された混合物中(通常は中子型内)を通して通過させて、硬化した鋳物型を形成させる。熱硬化法では、成型混合物を熱にさらし、それにより硬化触媒を活性化して硬化した鋳物型を形成させる。
粘結剤系が効果的に機能するためには多くの必要条件が存在する。例えば、その粘結剤は、典型的には、低粘度であり、ゲルを含まず、使用条件下で安定でなければならない。鋳物型の製造において高い生産性を得るためには、粘結剤は、鋳物型ができるだけ早く自立し、操作可能となるようになるように、効率的に硬化することが必要とされる。
ノーベイク用粘結剤および熱硬化用粘結剤については、粘結剤により、典型的に、大き目の中子および鋳型の製作を可能にするために適切な作業時間を有する鋳物型用ミックスがもたらされる。他方、コールドボックス用粘結剤により、典型的には、適切な可使時間、鋳型からの鋳物の取り出し、およびほぼ瞬間的な硬化速度を有する鋳物型用ミックスがもたらされる。ノーベイク用、コールドボックス用、または熱硬化用の粘結剤のいずれかを用いる鋳物型用ミックスを使用して作製した鋳物型は、典型的に、適切な引張り強度(特に直接引張り強度)、引っかき硬度を有し、湿度に対する耐性を示す。
配合者が直面する最大の難題の1つは、鋳物型が作製後操作可能であり、(注がれた金属の鋳造温度は、鉄部品については1500℃、アルミニウム部品については700℃に達する)鋳造工程中に崩壊することがないのみならず、高温で注がれた金属が冷却した後、パターンから取り出すことができるものとなるように、鋳物型を一緒に保持する粘結剤を配合することである。この性質がないと、金属部品を鋳込みアッセンブリから取り出すことができるように粘結剤を破壊するために、多大な時間および労力を要する手段を用いなければならない。効果的な鋳型用粘結剤に求められる別の関連する特性は、粘結剤により作製された鋳物型がパターンから容易に剥離されなければならないことである。
砂および有機粘結剤から作製された鋳物型用ミックスの流動性は、コールドボックス用途に関してはより大きな問題を引き起こし得る。これは、場合によっては、粘結剤の成分、特にフェノールウレタン粘結剤からなる成分が、砂と混合した後それらが使用されるのを待っている間に時期早尚の反応を起こし得るためである。この時期早尚の反応が起こると、鋳物型用ミックスの流動性が低下し、その粘結剤から作製された鋳型および中子の引張り強度が低下することになる。この経時的な流動性の低下および強度の減少は、鋳物型用ミックスの「可使時間」が不適切であることを示している。粘結剤が適切な可使時間を有さない鋳物型用ミックスをもたらす場合、その粘結剤は、商品価値の限定されたものとなる。
商業的に成功する鋳型用粘結剤のためのこれらの全ての必要条件を考慮すると、鋳型用粘結剤技術における開発のペースは緩やかである。費用効率の良い方法で有益なすべての要求を満足する粘結剤を開発することは容易ではない。また、環境問題および原料のコストによって、粘結剤系に対する要求が変化する可能性がある。さらに、粘結剤における改良が、それに関連するいくつかの欠点を有する場合がある。これらの要求を考慮して、鋳物業界では、これらの欠点を低減または排除する新たな粘結剤系について継続的な探索を続けている。
鋳型用粘結剤系の開発においては多大な進歩があったが、有機粘結剤系の使用に関連する問題が依然として存在する。特に懸念されるのは、粘結剤の実際の分解により発生する副生成物に関連する問題である。これらの問題には、砂の膨張および粘結剤の強度の喪失によって引き起こされる、焼結ひずみ、肌傷、浸食、光沢カーボン、加炭、および湯皺等の鋳物欠陥が含まれる。様々な添加剤、例えば、酸化鉄、ならびに、粘土、糖類、および穀類の様々なブレンドなどが、これらの欠点の多くを最小にするか排除するのを助けるために使用される。しかし、特殊な砂および砂用添加剤の使用は、砂の膨張および金属の冷却に関連するタイプの欠陥に対処するのみである。
さらに、これらの添加剤の使用は、その他の問題、例えば、中子または鋳型内の強度低下、ガス欠陥、および有機添加剤からくる追加的なガスによって引き起こされる煤煙等を引き起こし得る。その上、添加剤は、それらが幾分かの粘結剤を吸収するか、その粘結剤が被覆する必要のある表面領域に加わる多量の微粒子をもたらし、どちらにしても、強い中子、鋳型、またはその他の型を生み出すその粘結剤の能力に影響を及ぼし、全体の混合物の強度を大幅に低下させ得る。追加の粘結剤を使用することによって従来の添加剤の使用によって引き起こされる強度の喪失は克服することができるが、これにより、粘結剤系の分解生成物に関係する欠陥、例えば、気泡欠陥、煤煙、光沢カーボン、および金属の加炭などの存在を増し得る。従来の添加剤を使用する場合には、強度の喪失を補うための追加の粘結剤なしでは、その他の欠陥、例えば、浸食、焼結ひずみ、肌傷、および湯皺の欠陥などが悪化し得る。
発熱特性を有する必要があり得る鋳物型の例としては、例えば、スリーブ、浮きカバー蓋、ならびに鋳造および/または湯口系の他の部品のためのカバーまたはパッドが挙げられる。これらの鋳物型を作製するために使用する発熱性鋳物型用ミックスには、耐火物、被酸化性金属、酸素源となる化合物、および典型的には発熱反応のための開始剤が含まれる。発熱性鋳物型用ミックスは、粘結剤が適用されず、材料の硬化がない粉末のホットトップおよびその他の材料等にも使用される。
鋳造所は、金属部品を製造するために使用する溶融金属をその液体状態に長く保ち、金属の時期早尚の固化が起こらないようにするために、発熱特性を有する発熱性材料および型を使用する。従来使用されている発熱特性を有する発熱性材料および型は有効ではあるが、発熱特性を有する鋳造用材料および型に改良された発熱特性を与える新たな材料を提供する必要がある。特に、他の発熱特性に悪影響を及ぼさなく改良された発熱特性を提供する発熱性鋳物型用ミックスに対する必要性が存在する。また、配合者が特定の金属部品の製造のための配合をカスタマイズすることを可能にする発熱性の鋳物型用ミックスを提供する必要性も存在する。
より具体的には、発熱反応を開始するのにかかるエネルギー量を制御することが重要である。理想的には、特定用途に対して必要な発熱反応を最小量のエネルギーを用いて開始させ、さらに、燃焼温度、エネルギー放出の全体量を最大限とし、発熱材料が、できるだけ高温にて、できるだけ長時間、燃焼を持続するようにすることが望まれる。
当業者に知られている発熱性鋳物型用ミックスを使用する場合には、配合者が特定の金属の鋳物を製造するために発熱性鋳物型用ミックスをカスタマイズすることには限界がある。例えば、配合者が、発熱反応がより少ないエネルギーを用いて開始することを望む場合、より細かい粒径のアルミニウムを使用しなければならない。しかし、その配合者がこれを実施すると、発熱反応の持続時間および到達する最高温度に悪影響が及ぶ。一方、配合者が発熱反応の持続時間を増し、最高温度を上昇させるためにより大きい粒径のアルミニウムを使用すると、着火させるためのエネルギーがより高くなる。このため、鋳物工場では2つの異なる粒径のアルミニウムのブレンドがしばしば使用されるが、この結果が完全に満足できるものでないことは明らかである。
米国特許第3,485,497号 米国特許第3,409,579号 米国特許第4,526,219号 米国特許第4,750,716号 米国特許第4,985,489号 米国特許第4,391,642号 米国特許第3,485,797号
本開示は、(1)耐火物および/または粘結剤、ならびに(2)ビス-シクロペンタジエニル鉄、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物を含む組成物に関する。
本開示の一態様は、耐火性組成物に関する。本開示の別の態様は、耐火物を含まない粘結剤組成物に関する。
耐火性組成物は、耐火物と、ビス-シクロペンタジエニル鉄、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択されるメタロセンとを含む。この耐火性組成物は、鋳物用途において特に有用である。
耐火性組成物は、粘結剤が適用されない自由流動性粉末、例えば、鋳物用途において使用されるホットトップに用いられる。他の用途、特に鋳物用途において、この耐火性組成物は、粘結剤をさらに含む。前記耐火性組成物が粘結剤を含むとき、これらは一般的に鋳物型、例えば、鋳型、中子、およびスリーブを作製するために使用される。発熱特性を有する鋳物型は、被酸化性金属および酸素源である化合物をその耐火性組成物に加えることによって製造することができる。鋳物用途においては、発熱性の耐火性組成物は、他の成分に混じって、発熱反応の開始剤も含むことができる。
耐火物を含まない粘結剤組成物は、粘結剤と、ビス-シクロペンタジエニル鉄、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択されるメタロセンとを含む。この耐火物を含まない粘結剤組成物は、これらが配合された後に耐火物と混合し、鋳物用途または非鋳物用途に使用することができる。非鋳物用途には、非耐火性材料、例えば、充てん剤、木材、繊維などが含まれ、複合材、プラスチック、床張り材、パネル等に使用することができる。これらの用途においては、最終材料の最終用途に求められる性能特性を維持しながら可能な限り最高の強度特性を維持することも重要である。強度特性には、材料の耐引掻性、柔軟性、亀裂抵抗、総合靭性、接着強度、および/または、耐湿性が挙げられる。
前記組成物中でのメタロセンの使用は以下の利点の1つまたは複数を提供する:
(a)鋳物の表面の光沢カーボンの量を低下させる、
(b)鋳物/鋳型界面における金属の加炭の量を低下させる、
(c)粘結剤が分解する際に発生する目に見える煤煙の量を低下させる、
(d)発熱スリーブ中の発熱反応を改善する、
(e)粘結剤の分解からくる有害大気汚染物質(DPAP)を低下させる、および/または
(f)焼結ひずみおよび熱間強度試験の結果により実証される粘結剤耐火物ミックスの熱間強度を改善する。
発熱性の耐火性組成物、例えば、メタロセンを含有する発熱性鋳物型用ミックスを使用する場合は、その発熱性の耐火性組成物を特定の金属部品の製造のためにカスタマイズして、改良された発熱特性を有する鋳物型を製造することができる。特定の鋳込み操作のために適量のフェロセン化合物を使用することによって、発熱反応を立ち上げるために必要なエネルギーを、鋳物型のその他の発熱特性、例えば、最大燃焼温度、発熱の持続時間、および放出される全エネルギーに悪影響を及ぼすことなく調節することができる。実際、出願人らは、多くの事例において、これらの特性も改善されていることを見出した。加えて、鋳物型の燃焼速度を、特定の状況に合わせることができる。その上、原料の全体コストを低下させることができる。例えば、既知の発熱性の耐火性組成物を用いる場合の温度と同等の発熱温度を達成するために、より少ないアルミニウムを使用することができる。
使用するメタロセンの量は、これらの利点が経済的に達成可能となるように十分に低い。これは、鋳込み特性を改良するために使用するその他の典型的な砂添加物、例えば、酸化鉄の使用とは対照的である。メタロセン類は、樹脂および樹脂に使用される溶媒に可溶性であるため、使用が容易であり、ミックスへの導入が容易である。これらの使用により、一部の粘結剤を実際のところ吸収し、従って強度を低下させる添加剤の使用に関連する問題も排除される。
メタロセンは樹脂系の粘結剤または触媒中に単純に含ませることができるため、メタロセンの使用によって添加剤を供給するための粉末供給装置の必要性も排除される。
定義
BOB:粘結剤を基準とする。
BOS:砂を基準とする。
鋳込みアッセンブリ:溶融金属を鋳込みアッセンブリ中に注ぎ、鋳型アッセンブリに流し、冷却して金属部品を形成させることによって鋳金を行うために使用される、鋳込みカップ、下向き湯口、湯口系、鋳型、中子、押湯、スリーブなどの鋳込み用要素のアッセンブリ。
下向き湯口:鋳込みアッセンブリの主要な供給導管であり、これを通して溶融金属が注がれる。
鋳物型:金属の鋳造において使用される型、例えば、鋳型、中子、スリーブ、鋳込みカップ、浮きカバー蓋、鋳造および/または湯口系のその他の部品のためのカバーまたはパッドなど。
湯口系:金属が、鋳込みカップから鋳型および/または中子アッセンブリに移送される系(system)。湯口系の要素としては、下向き湯口、湯道、チョーク、湯口などが挙げられる。
操作できる:一つの場所から他の場所に、壊すかまたはばらばらにしないで移送することができる鋳物型。
HAPS:有害大気汚染物質、例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン。
ISOCURE(登録商標)パートI 492: Ashland Inc.社の一事業部のAshland Performance Materialsにより販売されているフェノールウレタンコールドボックス粘結剤システムのフェノール樹脂成分。
ISOCURE(登録商標)パートII 892: Ashland Inc.社の一事業部のAshland Performance Materialsにより販売されているフェノールウレタンコールドボックス粘結剤システムのポリイソシアネート成分。パートI対パートIIの質量比は、典型的には55:45である。
鋳型アッセンブリ:鋳込みアッセンブリのための型を提供するために一組にされる鋳造凝集体(典型的には砂)および鋳型用粘結剤の混合物から作製される鋳型要素および/または中子のアッセンブリ。
PEP SET(登録商標)パートI 747: Ashland Inc.社の一事業部のAshland Performance Materialsにより販売されているフェノールウレタンノーベイク用粘結剤システムのフェノール樹脂成分。
PEP SET(登録商標)パートII 847: Ashland Inc.社の一事業部のAshland Performance Materialsにより販売されているフェノールウレタンノーベイク用粘結剤システムのポリイソシアネート成分。パートI対パートIIの質量比は、典型的には55:45である。
本組成物の配合者は、組成物の成分を様々な方法および順序で混合することができる。典型的には、メタロセンを、耐火物および/または粘結剤と予めブレンドするが、別の成分として組成物に加えることもできる。
発熱性耐火性組成物を配合する際、材料を予めブレンドした後で結合樹脂を加える場合には、安全上の理由で、酸素源および被酸化性金属を開始剤から離しておくことが望ましい。これによって、極めて大きな濃度を有する開始剤が酸素源および被酸化性金属と接触して時期早尚の反応を起こす可能性が回避される。それ以外は、混合の順序はほとんど重要ではない。典型的には、耐火物をミキサーに加え、その後あるいはそれと一緒に、被酸化性金属を加える。次に、酸素源である化合物を加え、開始剤を使用する場合には続いてその開始剤を加える。
鋳造技術で既知の任意の耐火物を使用して鋳物型用ミックスを作製することができる。例として、例えば、シリカ、マグネシア、アルミナ、カンラン石、クロマイト、ジルコン、アルミノケイ酸塩、および炭化ケイ素がとりわけ挙げられる。これらの耐火物は、丸味のあるものから角のあるもの、フレーク状のものから繊維状のものなど、様々な形状で入手可能である。また、上に列挙した耐火物と比較したとき絶縁特性を有する耐火性材料を鋳物型用ミックス中で使用することもできる。そのような絶縁性耐火物の例としては、アルミノケイ酸塩の繊維および微小球が挙げられる。
耐火物は、主要量で、典型的には、少なくとも組成物の少なくとも85質量部、より典型的には少なくとも90質量部、最も典型的には少なくとも95質量部で使用する。ここで、前記質量部は前記組成物の100質量部を基準とする。組成物のその他の成分は、それぞれより小さい量で使用され、典型的には15質量部未満、より典型的には10質量部未満、最も典型的には5質量部未満で使用する。ここで、前記質量部は前記組成物の100質量部を基準とする。
耐火物を含まない粘結剤組成物は、非耐火性材料、例えば、充てん材、木材、繊維などを含み、複合材、プラスチック、床張り材、パネル等に使用することができる。一般的に、これらの充てん材料は、鋳造耐火材料と比較して少ない量で使用する。充てん材は、典型的に50%未満、より典型的には30%未満で使用する。
耐火性組成物および粘結剤組成物に用いられる粘結剤類としては、エポキシ-アクリル、フェノールウレタン、ギ酸メチルで硬化される水性アルカリ性フェノールレゾール樹脂、二酸化炭素で硬化されるケイ酸塩粘結剤、ポリエステルポリオール、不飽和ポリエステルポリオールが挙げられる。使用する粘結剤の量は、特定の用途によってさまざまであるが、典型的には組成物の少量、最も典型的には組成物全体の質量基準で約0.5質量部〜約10質量部である。非鋳物用途のためには、粘結剤の量は組成物の主要量であり、最も典型的には組成物全体の質量基準で約50質量部〜90質量部超までである。
発熱性の耐火性組成物に使用する被酸化性金属は、典型的にはアルミニウムであるが、マグネシウム、ケイ素、およびその他の類似の金属も使用することができる。発熱性スリーブ用の被酸化性金属としてアルミニウム金属を使用するとき、アルミニウム金属は、典型的には、アルミニウム粉末、アルミニウム顆粒、および/またはフレークの形で使用する。
使用する発熱反応のための酸化剤としては、例えば、酸化鉄、酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、および塩素酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
発熱反応用の開始剤としては、例えば、氷晶石(Na3AlF6)、カリウムアルミニウム四フッ化物、カリウムアルミニウム六フッ化物、およびその他のフッ素含有塩が挙げられる。
組成物に用いるメタロセン類は、化学式がFe(C5H52であり、フェロセンとして広く知られているビス-シクロペンタジエニル鉄、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物である。フェロセンの誘導体としては、多核フェロセン類が挙げられる。多核フェロセン化合物は、個別に配置されているか互いに結合している複数の鉄原子を含むフェロセン化合物である。多核フェロセン化合物の例としては、ビス-μ(フルバレンジイル)二鉄、シクロペンタジエニル鉄ジカルボニル(二量体として入手可能)が挙げられる。フェロセンの誘導体の例としては、ビス(η5-ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄およびμ(フルバレンジイル)ジ(η5-ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄が挙げられる。シクロペンタジエニルマンガントリカルボニルの誘導体の例は、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニルである。
組成物を配合する際、特に発熱性の耐火性組成物中で使用する場合には、様々な濃度のメタロセンを使用することの有効性を検討することが必要である。発熱性鋳物型用ミックス中の低濃度のメタロセン(発熱性の耐火性組成物全体質量を基準として0.05質量部〜10質量部)により、発熱反応の着火が改良されるが、メタロセンの量が多い(発熱性の耐火性組成物全体質量を基準として10質量部を超える)と、過剰の金属酸化物(フェロセンまたはその誘導体が使用されるときは酸化鉄)が発生する可能性があり、ヒートシンクとして作用し始めるかまたは発熱反応を停止しさえもする。
典型的に、組成物中のメタロセンの量は、約0.0005質量部〜約4.0質量部の範囲であり、その質量は、組成物の100部を基準とする。より典型的には、メタロセンの量は、約0.002質量部〜約0.5質量部、最も典型的には0.006質量部〜0.2質量部の範囲である。
発熱性の耐火性組成物において、様々な成分の量は、典型的に、耐火物が40質量部〜90質量部、被酸化性金属が5〜30質量部、酸素源である化合物が2〜10質量部、発熱反応のための開始剤が2〜10質量部、メタロセンが0.001質量部〜4.0質量部の範囲で変動する。ここで、前記質量部は、発熱性の耐火性組成物の100質量部を基準とする。好ましくは、これらの量は、耐火物が50〜70質量部、被酸化性金属が10〜30質量部、酸素源である化合物が3〜7質量部、発熱反応のための開始剤が3〜6質量部、メタロセンまたはその誘導体が0.006質量部〜1.0質量部の範囲で変動する。ここで、前記質量部は、発熱性の耐火性組成物の100質量部を基準とする。
鋳物型は、鋳物型用ミックスから、その鋳物型用ミックスを鋳型用粘結剤および/または水と混合することによって製造する。この混合物を、次に鋳造技術では周知の方法、例えば、「突固め」、「バキューミング」、「吹き込み成型またはシューティング」、「コールドボックス法」、「ノーベイク法」、「ウォームボックス法」、および「ホットボックス法」によってパターンの中に導入することによって成型する。
使用する粘結剤の量は、鋳物型の形状を維持するのに効果があり、効果的な硬化を可能にする量、すなわち、硬化後操作することができるかまたは自立させることができるスリーブが形成される量である。典型的に、これらの機能を達成するために有効な量は、発熱性鋳物型用ミックスの質量を基準として、約0.5質量パーセント〜14質量パーセントまでの量である。より典型的には、粘結剤の量は、約1.0質量パーセント〜約12質量パーセントまでの範囲である。使用する量は、鋳物型用ミックスの密度および絶縁特性または発熱特性が要求されるかどうかによって決まる。高密度のミックスは、一般に、より少ない質量の粘結剤を必要とし、軽い鋳物型用ミックスは、一般に、より多い質量の粘結剤を必要とする。
突固めは、鋳物型用ミックスおよび粘結剤の混合物を、木材製、プラスチック製、および/または金属製のパターンの中に充てんする工程を含む。バキューミングは、耐火物の水性スラリーに真空をかけ、過剰の水を吸引除去して鋳物型を形成させる工程を含む。吹き込み成型は、鋳物型用ミックスおよび粘結剤をパターンの中に吹き込む工程を含む。典型的に、鋳物型を形成するために使用される工程が、その鋳物型を硬化させるために水性スラリーを真空にかける工程を含むとき、その鋳物型は、その鋳物型がパターンから取り出された後、後に残った過剰の水をさらに除去し、その粘結剤をより急速に完全に硬化させるためにオーブン乾燥される。その含有水が除去されないと、それが高温の金属と接触した状態となったときに蒸発し、安全上の問題および鋳物欠陥を引き起こす可能性がある。鋳物型を突固め、または吹き込み成型によって形成させる場合、その型は、それがパターンの中で形成された後硬化する。
鋳物型は、コールドボックス法、ノーベイク法、ホットボックス法、およびウォームボックス法、ならびに鋳物型を触媒により硬化する鋳造技術において既知の任意のその他のプロセスに従う硬化触媒で硬化することができる。これらのプロセスにおいては、パターンを、鋳物型用ミックスおよび鋳型用粘結剤で充てんする。いくつかのプロセスにおいて、この混合物は、液体の硬化触媒も含み(例えば、ノーベイク法)、またはいくつかのプロセスにおいて、鋳物型用ミックスおよび鋳型用粘結剤がパターンの中に吹き込んだ後、その鋳物型を蒸気状の硬化触媒と接触させる(例えば、コールドボックス法)。コールドボックス、ノーベイク、ホットボックス、およびウォームボックス法において使用される具体的な耐火物、粘結剤、触媒、および手順は、鋳造技術において周知である。かかる粘結剤の例は、フェノール樹脂、フェノールウレタン粘結剤、フラン粘結剤、アルカリ性フェノールレゾール粘結剤、および、とりわけエポキシ-アクリル粘結剤である。
鋳物型は、
(a)鋳物型用ミックスの主要量をパターンの中に導入して鋳物型を形成する工程と、
(b)そのパターンの中の鋳物型用ミックスを蒸気状の硬化触媒と接触させる工程と、
(c)鋳物型をそのまま硬化させる工程と、
(d)鋳物型をそのパターンから操作できるようになったとき取り出す工程と
を含むコールドボックス法により製造する。
コールドボックス法で粘結剤として典型的に使用されるものは、エポキシ-アクリルおよびフェノールウレタンコールドボックス粘結剤である。このフェノールウレタン粘結剤は、米国特許第3,485,497号および同第3,409,579号に記載されており、これらは参照により本開示に組み込まれる。これらの粘結剤は、2成分の系に基づいており、1つの部分はフェノール樹脂成分であり、他の部分はポリイソシアネート成分である。エポキシ-アクリル系粘結剤は、参照により本開示に組み込まれる米国特許第4,526,219号に記載されているように、酸化剤の存在下で二酸化硫黄により硬化させる。
その他のコールドボックス粘結剤としては、参照により本開示に組み込まれる米国特許第4,750,716号および米国特許第4,985,489号に記載のギ酸メチルで硬化される水性のアルカリ性フェノールレゾール樹脂、および、参照により本開示に組み込まれる米国特許第4,391,642号に記載の二酸化炭素で硬化されるシリケート硬化剤が挙げられる。
本鋳物型は、
(a)液体硬化触媒を含有する鋳物型用ミックスの主要量をパターンの中に導入して鋳物型を形成させる工程と、
(b)鋳物型をそのまま硬化させる工程と、
(c)鋳物型をそのパターンから操作できるようになったとき取り出す工程と
を含むノーベイク法により製造する。
ノーベイク法によるスリーブの硬化は、液体硬化触媒を樹脂および鋳物型用ミックスと混合し、触媒を含有するスリーブミックスを成形し、その形状を、典型的には熱を加えないで周囲温度でそのまま硬化させることによって起こる。ノーベイク法において粘結剤として典型的に使用されるものは、フェノールウレタン粘結剤、フラン粘結剤、および水性のアルカリ性フェノールレゾール樹脂である。
フェノールウレタン粘結剤のための好ましい液体硬化触媒は、第三級アミンであり、好ましいノーベイク硬化法は、参照により本開示に組み込まれる米国特許第3,485,797号に記載されている。かかる液体硬化触媒の具体例としては、アルキル基が1から4個までの炭素原子を有する4-アルキルピリジン、イソキノリン、フェニルピリジン等のアリールピリジン、ピリジン、アクリジン、2-メトキシピリジン、ピリダジン、3-クロロピリジン、キノリン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、4,4'-ジピリジン、4-フェニルプロピルピリジン、1-メチルベンズイミダゾール、および1,4-チアジンが挙げられる。
金属部品は、
(a)鋳物型を、鋳型アッセンブリを有する鋳込みアッセンブリ中に挿入する工程と、
(b)金属を液体状態の間に前記鋳込みアッセンブリ中に注ぐ工程と、
(c)前記金属をそのまま冷却して固化させる工程と、
(d)次にその鋳造した金属部品を前記鋳込みアッセンブリから分離する工程と
を含む、金属部品の鋳造方法によって製造する。
注がれる金属は、鉄または非鉄金属であってよい。
[フェロセンを用いるコールドボックス法により非発熱材料で作製された試験中子の例]
100部の粘結剤(ISOCURE(登録商標)492/892)を、パートI対パートIIの質量比が55/45となり、粘結剤濃度が砂の質量を基準として1.5質量パーセントとなるようにManley 1L5W Lake砂と混合した。パートIを砂に最初に加え、次いでパートIIを加えた。対照ミックスにおいては、その鋳物型用ミックスにフェロセンは添加せず、一方実施例1には、パートIの質量に対して1質量パーセントのフェロセンを、前記粘結剤のパートIに添加した。得られた鋳物型用ミックスを、ドッグボーン形状の試験用中子取にミックスを中子取に吹き込むことによって成型する。中子取中で成型されたミックスを、次いで、20psiで2秒間TEAと接触させ、続いて10秒間40psiで窒素パージし、それによって、AFS引張り強度の試料(ドッグボーン)を標準的な手順を用いて形成させる。
[試験中子についての焼結ひずみ試験]
焼結ひずみ試験を、試験用中子について「焼結歪みブロック」を用いることにより行って、溶融金属の流れに及ぼす影響、および試験用中子を作製するために使用した粘結剤の熱を測定した。焼結ひずみブロックは、2.5インチまたは3.5インチの厚さのブロックからなる鋳型アッセンブリであり、その中に3つの中子(1/2"×1"×10")(1.27 cm×2.54 cm×25.4 cm)が挿入されている。焼結ひずみ試験を行うためには、溶融鉄金属を鋳型アッセンブリに華氏1550度で下向き湯口を通して注ぐ。溶融鉄金属は最終的に中子の上および周りに流れて固化する。この工程の間に、中子は、「歪む」、すなわち、それらの寸法の正確さを失う。溶融金属が固化した後、得られた鋳物を部分に切り離し、中子の中心線からのたわみを測定して記録する。焼結歪み試験の結果を表1に示す。
焼結歪みは、パートIの質量に対して1質量パーセントのフェロセンを添加したときは、0.08"〜0.03"(0.20 cm〜0.07 cm)に大幅に減少した。表1の数字は3回の試験の平均である。
[ノーベイク法により製造された試験用中子で作製されたステンレス鋼鋳物についての光沢カーボン試験]
0.035%の生地炭素量を有する低カーボンの304Lステンレス鋼を、3"(7.62 cm)の立方体の鋳物を鋳込んだ。鋳型は、フェノールウレタンノーベイク用粘結剤システム、1% PEP SET(登録商標)I 747 / II 847、を55/45の比率で使用して作製した。3"(7.62 cm)の立方体の鋳物の表面の炭素含量を比較した。表2に、各鋳物の表面の炭素の量を示す。
伝統的に酸化鉄は、例Aに示したように、スチールの鋳物においてカーボンピックアップを低下させるために使用される。鋳物の表面の炭素含量は、3%の酸化鉄(砂質量を基準)を使用する(混合砂に混合する)と、0.14%の炭素の表面含量から0.036%の炭素に大幅に低下した。表2のデータに示されているように、酸化鉄の量と比較して少ない量のフェロセンを使用すると、鋳物の表面のカーボンピックの量が著しく減少した。その上、フェロセンを砂と混合する場合でも、フェロセンを粘結剤自体に予めブレンドする場合でも大きな違いはないようであった。
フェロセンの使用は、粘結剤をより早く燃焼させないようであるにもかかわらず、それは炭素の分解生成物には影響を及ぼすようであり、このことは、ねずみ鋳鉄上に形成される光沢カーボンの量の改良/減少、およびスチール鋳物におけるカーボンピックアップの減少によって見ることができる。黒煙の減少も顕著である。
[コールドボックス法によって製造した試験用中子を用いるHAPS (有害大気汚染物質)試験]
mk Industrievertretungen社製のCoGasマシーンを使用して、金属部品の鋳造模擬実験をした。CoGasマシーンを使用する場合は、中子を、溶融したアルミニウム金属中に浸漬させて、粘結剤からの分解生成物の逃げ道を生じさせる。この試験によって、試験で用いる中子を作製するために用いたISOCURE(登録商標)492/892粘結剤の粘結剤分解生成物を集めた。
分解生成物を集めて分析した。この試験の分解生成物の捕捉効率は、従来のフード積み重ね試験より約4倍良好な粘結剤1g当り200mgであった。炭化水素の総捕捉率は90%と推定された。
試験結果は、混合砂100部に対してフェロセン0.015部を添加した結果、フェロセンを含有しない混合砂を用いて作製した中子と比較して、中子HAPSが20%減少したことを示している。
[コールドボックス法によって製造した試験用中子を用いる高温圧縮強度試験]
高温圧縮強度試験は、膨張計を用いて直径が1"(2.54 cm)で高さが2"(5.08 cm)の試験用中子について行った。2つの試験用中子を、ISOCURE(登録商標)492/892粘結剤を用いて実施例1で示したものと同様の方法で作製し、1つはフェロセンなしで、1つは混合砂100部当りフェロセン0.015部を添加して作製した。
1メートル当り10ニュートンの初期の力を試験用中子に加え、1,100℃の温度を有する加熱炉をその試験用の中子の周りに下げた。負荷が増強され、その間変形の割合を観測した。
試験結果は、フェロセンなしで作製した試験用中子は、4%よりわずかに高い変形を伴って68N/mの最終的な負荷に達したことを示している。他方、フェロセンを含有する鋳物型用ミックスを使用して作製した試験用中子の最終的な負荷は50N/mよりわずかに高いが、データは、この試験用中子に対する負荷はより長時間、そしてより大きな量の変形に対して保持されたことを示している。このことは、フェロセンを含有させた試料が全体的により高い高温強度を有することを示している。
[試験のまとめ]
鋳物型用ミックス中にフェロセンを用いて製造した中子に関する試験データは、フェロセンを含有する鋳物型用ミックスを使用して作製した中子がいくつかの有利な点または改良点を示すことを明らかに示している。これらの試験は、フェロセンを用いて作製した鋳物型が低減された焼結歪みを示すこと、および、フェロセンを含有する鋳物型用ミックスを使用して鋳物型を作成する場合には鋳造工程の間に発生するHAPSの量がより少ないことを示している。加えて、これらの試験は、フェロセンを含有する鋳型および中子を用いて製造した鋳物は、光沢カーボンの累積の発生量が少なく、鋳物の表面のカーボンピックアップ量が低下することを示している。
[発熱性鋳物型用ミックスを使用する例]
いくつかの発熱性鋳物型用ミックスを、粉末および粒状の材料をバッチミキサー中で2分間プレミックスし、次いで粘結剤を加え、それをさらに2分間混合することによって製造した。表3は、発熱性鋳物型用ミックスを製造するために使用した様々な成分の量を示している。これらの成分の量は、発熱性鋳物型用ミックスの全体質量を基準として質量百分率で示す。この発熱性鋳物型用ミックスを、次いで、10質量パーセントのフェノールウレタンコールドボックス粘結剤、ISOCURE(登録商標)Part I 492フェノール樹脂成分、およびISOCURE(登録商標)Part II 892ポリイソシアネート成分と混合した。ここで、鋳型用粘結剤の合計質量パーセントは、発熱性鋳物型用ミックスの合計質量を基準とする。試験試料を、この発熱性鋳物型用ミックスを成形することによって製造した。型は、硬化触媒としてトリエチルアミンを用いるコールドボックス法によって硬化させた。
発熱性鋳物型用ミックスの特性を、表3の下半分に示す。ミックスAおよびBは、フェロセンを含有しておらず、比較のために示す。
着火試験を、表3に示したいくつかの発熱性ミックスからコールドボックス法によって作製した試験試料について行った。着火試験は、1100℃の加熱炉中に試験用中子を配置し、時間の関数として温度がプロットされたグラフが得られる赤外線放射温度計を用いて、周期的に着火をモニターすることにより行った。
関連する発熱特性を、次に、時間とともに温度の変化を示すグラフのデータから算出する。着火までの時間は、温度が、カップに試料を配置する前の加熱炉中のカップの温度であるベースラインと交差するまでに必要な時間である。発熱の持続時間は、温度がベースライン上に留まる時間である。最高温度は、グラフに示される最高温度であり、放出エネルギーは、ベースラインと、時間とともに温度の変化を示すグラフ上の曲線との間の面積である。
ミックスBは、若干細かめのアルミニウムを使用した。これによって若干早い着火がもたらされた。表3に示したように、より細かいアルミニウムを使用すると、悪影響が及ぼされる。例えば、発熱反応中に到達する最高温度が犠牲となり、発熱反応は、より低い量のエネルギーを放出する。
フェロセンを含有するミックスは、ミックスAまたはBと比較されるかどうかにかかわらず、より長く燃焼し、より多くのエネルギーを放出する。その上、適切な量のフェロセンを使用することによって、所望の最高燃焼温度、発熱の持続時間、および全放出エネルギーが得られるように発熱性鋳物型用ミックスをカスタマイズすることができることは明らかである。発熱性ミックスにフェロセンを用いることによって、配合者は、場合により、反応に必要な開始剤の量を減らすことができる。これにより、配合者が発熱性配合物中のフッ素の量を減らすことが可能になる。発熱性ミックス中のフッ素の量が低下すると、典型的には、延性鋳鉄におけるフィッシュアイ状欠陥の発生が低下する効果がある。さらには、発熱性ミックスにフェロセンを使用することによって、配合者は、場合により、発熱ミックスに用いる燃料の合計量を低減させることができ、それによって大きな原価節約がもたらされる。
[シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(CMT)を含有する鋳物型用ミックスについての着火試験]
表4に特定した成分を用いて鋳物型用ミックスを製造する。微小球、アルミニウム、酸化性物質、フェロセン、およびCMTを最初に混合し、次いで粘結剤(ISOCURE(登録商標)492/892)と混合する。対照においては、フェロセンをその鋳物型用ミックスに添加しなかった。MIX1〜3にはCMTをその鋳物型用ミックスを加え、MIX4にはCMTとフェロセンの両方をその鋳物型用ミックスに加えた。得られた鋳物型用ミックスを、ドッグボーン形状の試験用中子取にそれをその中子取に吹き込むことによって成型する。中子取中で成型したミックスを、次に、TEAと20psiで2秒間接触させ、続いて10秒間40psiで窒素パージし、それによって、標準的な手順を用いるAFS引張り強度の試料(ドッグボーン)を形成する。
表4に、発熱性鋳物型用ミックスの成分を示す。対照は、CMTまたはフェロセンを含まない。
着火試験を試験試料について行った。着火試験は、1100℃の加熱炉中に試験用中子を配置し、時間の関数として温度がプロットされたグラフが得られる赤外線放射温度計を用いて、周期的に着火をモニターすることにより行った。
関連する発熱特性を、次に、時間とともに温度の変化を示すグラフのデータから算出する。着火までの時間は、温度が、カップに試料を配置する前の加熱炉中のカップの温度であるベースラインと交差するまでに必要な時間である。発熱の持続時間は、温度がベースライン上に留まる時間である。最高温度は、グラフに示される最高温度であり、放出エネルギーは、ベースラインと、時間とともに温度の変化を示すグラフ上の曲線との間の面積である。
結果を、表4の下半分に示す。
データは、CMTの量が増すと、着火までの時間が減少し、到達する最高温度が増し、燃焼の持続時間が増し、放出されるエネルギーが増すことを示している。CMTおよびフェロセンの両方を含有するMIX4に関するデータは、着火に関してさらに大きく改良されていることを示している。
本明細書で用いられる用語の「含む(comprising)」(およびその文法上の変形)は、「有する(having)」または「包含する(including)」の包括的意味で使用され、「〜だけからなる(consisting only of)」の排他的な意味ではない。本明細書で用いられる用語の「不定冠詞(a)」および「定冠詞(the)」は、単数ならびに複数を含むものと理解されている。
この明細書に引用されているすべての出版物、特許および特許出願書類は、参照により本明細書に組み込まれており、任意のおよびすべての目的に対して、それぞれ個々の出版物、特許および特許出願書類が、あたかも明確にかつ個別に参照により組み込まれていることが示されているかのようである。つじつまが合わない場合は、本開示が優先される。
本開示の先行の記述は、当面の開示を明らかにし、説明している。さらに、その開示は、好ましい実施形態のみを示し、説明しているが、上記のように、本開示は、様々なその他の組み合わせ、修正、および環境における使用が可能であり、上記の教示および/または関連技術の技能または知識に相応する本明細書で示されている概念の範囲内での変更または修正が可能であることを理解すべきである。
以上で記述した実施形態は、それを実施する既知の最良の態様を説明し、他人の当業者が、本開示を上記の、またはその他の実施形態で、および特定の用途または使用法によって必要となる様々な修正により、本開示を利用することを可能にすることがさらに意図されている。従って、本記述は、本明細書に開示されている形に限定することを意図するものではない。また、添付の特許請求の範囲は、別の実施形態を含むと解釈されることが求められる。

Claims (22)

  1. (a)耐火物および粘結剤(binder)と、(b)シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択されるメタロセンとを含む、鋳物型を製造するための組成物。
  2. (a)主要量の耐火物と、
    (b)シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択されるメタロセン0.0005質量部〜4質量部と
    を含み、前記質量部が、前記耐火性組成物の100質量部を基準とする、請求項1に記載の組成物。
  3. (a)被酸化性金属5質量部〜30質量部
    (b)酸素源である化合物2質量部〜10質量部
    をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
  4. 発熱反応のための開始剤をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
  5. 鋳物型を製造するための方法であって、
    (a)請求項1に記載の組成物の主要量をパターンの中に導入して型を形成させる工程と、
    (b)型をそのまま硬化させる工程と、
    (c)型を前記パターンから取り出す工程と
    を含む方法。
  6. 前記型を硬化させる工程において触媒を使用する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記硬化触媒が、液体触媒であり、前記パターンの中に前記組成物を導入する前に前記組成物と混合される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記触媒が蒸気状の硬化触媒であり、組成物を前記パターンの中に導入した後に前記型を前記触媒と接触させる、請求項6に記載の方法。
  9. 金属部品を鋳造するための方法であって、
    (a)請求項8に記載の方法によって製造した鋳物型を、鋳型アッセンブリを有する鋳造アッセンブリ内に挿入する工程と、
    (b)液体状態の金属を前記鋳造アッセンブリに注ぎ入れる工程と、
    (c)前記金属をそのまま冷却して固化させて金属部品を得る工程と、
    (d)その後、前記鋳造した金属部品を前記鋳造アッセンブリから分離する工程と
    を含む方法。
  10. 前記粘結剤が、フェノールウレタン粘結剤である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記触媒が、アミン蒸気硬化触媒である、請求項10に記載の方法。
  12. 鋳物型を製造するための方法であって、
    (a)請求項2に記載の組成物の主要量をパターンの中に導入して型を形成する工程と、
    (b)前記型をそのまま硬化させる工程と、
    (c)前記型を前記パターンから取り出す工程と
    を含む方法。
  13. 前記型を硬化させる工程において触媒を使用する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記硬化触媒が、液体触媒であり、前記パターンの中に前記組成物を導入する前に前記組成物と混合される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記触媒が蒸気状の硬化触媒であり、組成物を前記パターンの中に導入した後に前記型を前記触媒と接触させる、請求項13に記載の方法。
  16. 金属部品を鋳造するための方法であって、
    (a)請求項15に記載の方法によって製造した鋳物型を、鋳型アッセンブリを有する鋳造アッセンブリ内に挿入する工程と、
    (b)液体状態の金属を前記鋳造アッセンブリ中に注ぎ入れる工程と、
    (c)前記金属をそのまま冷却して固化させて金属部品を得る工程と、
    (d)その後、前記鋳造した金属部品を前記鋳造アッセンブリから分離する工程と
    を含む方法。
  17. 前記粘結剤が、フェノールウレタン粘結剤である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記触媒が、アミン蒸気硬化触媒である、請求項17に記載の方法。
  19. 鋳物型を製造するための方法であって、
    − 耐火性組成物から、型をパターンの中で形成させる工程であって、前記耐火性組成物が、
    - 主要量の耐火物と、
    - フェノールウレタン粘結剤と、
    - シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、これらの誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択されるメタロセン0.0005質量部〜4質量部と
    を含み、前記質量部が、得られる前記耐火性組成物の質量を基準とする、工程と、
    − 前記形成された型を硬化させる工程と、
    − 型を前記パターンから鋳物型として取り出す工程と
    を含む、方法。
  20. 前記形成された型を硬化させる工程において触媒を使用し、前記触媒が蒸気状の硬化触媒であり、かつ、前記組成物を前記パターンの中に導入した後に前記型を前記触媒と接触させる、請求項5または19に記載の方法。
  21. 前記メタロセンが、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニルである、請求項5または19に記載の方法。
  22. 前記メタロセンが、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニルである、請求項1に記載の組成物
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