JP5587522B2 - 透明導電パターンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電パターンの製造方法に関する。
ガラス基板などの誘電体表面に透明導電膜を形成するために、従来はインジウムスズ酸化物(ITO)などの真空蒸着金属酸化物が使用されていた。
しかし、上記ITOなどの真空蒸着金属酸化物は、脆弱で曲げ耐性もないという問題がある。また、薄膜作製には真空過程を必要とするため製造コストが高くなるという問題もある。さらに、薄膜作製時に高温が必要であり、耐熱性が低いプラスチックフィルムなどの樹脂基板を使用することができないという問題もある。また、薄膜を所定のパターンに加工するためにはエッチング工程が必要となり生産性に劣る。
そこで、真空、高温雰囲気下での処理が不要な透明導電パターンの形成方法として金属ナノワイヤを使用した透明導電膜の製造方法が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、金属ナノワイヤを液体に分散し、該液体を乾燥させることによって金属ナノワイヤ網層を該基板上に形成し、透明導電体を作製する方法が記載されている。また、上記金属ナノワイヤ網層に圧力または熱を作用させて導電性を向上させる点も記載されている。
また、下記特許文献2には、直線状金属ナノワイヤが互いに交点で接合して網目を形成している導電膜が記載されている。また、上記接合が圧着またはメッキによりされている点も記載されている。
また、下記非特許文献1には、銀のナノワイヤに30w/cm2の光を10〜120秒照射してネットワーク化する技術が記載されている。
特表2009−505358号公報 国際公開第2009/035059号パンフレット
Self-limitedplasmonic welding of silver nanowire junctions NATURE MATERIALS(2012)DOI:10.1038/NMAT3238 Eric C.Garnett,Wenshan Cai,et al.
しかし、上記特許文献1では、圧力または熱を作用させ、特許文献2ではメッキにより金属ナノワイヤ網の導電性を向上させているが、まだ、透明性と導電性はトレードオフの関係があり、両者を同時に向上させることは不十分であった。また、特許文献1の場合、熱を作用させるために乾燥炉を使用するが、樹脂基板には適用が難しいという問題もあった。また、非特許文献1では、高エネルギーの光を長時間照射するため、銀ナノワイヤが高温になり、樹脂基板には適用が難しいという問題があった。
本発明の目的は、耐熱性が高くない樹脂基板に対しても適用可能な導電性が向上した透明導電パターンの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、透明導電パターンの製造方法であって、基板上に堆積された金属ナノワイヤに、パルス幅が20マイクロ秒から50ミリ秒であるパルス光を照射して前記金属ナノワイヤの交点を接合することを特徴とする。
ここで、上記金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤであり、上記銀ナノワイヤの直径は10〜300nm、長さは3〜500μmであることが好適である。
また、基板上への金属ナノワイヤの堆積は、基板上に金属ナノワイヤを分散させた分散液を塗布、乾燥することが好適である。この分散液は、バインダー樹脂を含んでいてもよい。
本発明によれば、パルス光照射により透明導電パターンの導電性を向上させることができる。
パルス光の定義を説明するための図である。 実施例で作製した銀ナノワイヤのSEM像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態にかかる透明導電パターンは、金属ナノワイヤを含んで構成されており、基板上に堆積された金属ナノワイヤにパルス光を照射することにより金属ナノワイヤ相互の交点を接合させて形成する。本明細書中において「パルス光」とは、光照射期間(照射時間)が短時間の光であり、光照射を複数回繰り返す場合は図1に示すように、第一の光照射期間(on)と第二の光照射期間(on)との間に光が照射されない期間(照射間隔(off))を有する光照射を意味する。図1ではパルス光の光強度が一定であるように示しているが、1回の光照射期間(on)内で光強度が変化してもよい。上記パルス光は、キセノンフラッシュランプ等のフラッシュランプを備える光源から照射される。このような光源を使用して、上記基板に堆積された金属ナノワイヤにパルス光を照射する。n回繰り返し照射する場合は、図1における1サイクル(on+off)をn回反復する。なお、繰り返し照射する場合には、次パルス光照射を行う際に、基材を室温付近まで冷却できるようにするため基材側から冷却することが好ましい。
パルス光の1回の照射時間(on)は、光強度にもよるが、20マイクロ秒から50ミリ秒の範囲が好ましい。20マイクロ秒よりも短いと焼結が進まず、導電パターンの性能向上の効果が低くなる。また、50ミリ秒よりも長いと光劣化、熱劣化により基材へ悪影響を及ぼすことがあり、またナノワイヤが吹き飛びやすくなる。より好ましくは50マイクロ秒から10ミリ秒である。上記理由により、本実施形態では連続光ではなくパルス光を用いる。パルス光の照射は単発で実施しても効果はあるが、上記の通り繰り返し実施することもできる。繰返し実施する場合照射間隔(off)は20マイクロ秒から5秒、より好ましくは2000マイクロ秒から2秒の範囲とすることが好ましい。20マイクロ秒よりも短いと、連続光と近くになってしまい一回の照射後に放冷される間も無く照射されるので、基材が加熱され温度がかなり高くなってしまう。5秒よりも長いとプロセス時間が長くなるので好ましくない。
ここで、金属ナノワイヤとは、材質が金属であるナノメートルサイズの粒子のうち形状が棒状または糸状のものを表す。すなわち、径の太さがナノメーターオーダーのサイズである金属を意味する。なお、本明細書においてナノワイヤはポーラスあるいはノンポーラスのチューブ状(中央が中空)の形状の金属ナノチューブも含む。本発明において用いる金属ナノワイヤには分岐している形状や、球状の粒子を数珠上に繋げた形状は含まない。
上記金属ナノワイヤの材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、イリジウム、白金、金が挙げられ、導電性が高いことから銅、銀、白金、金が好ましく、銀がより好ましい。また、金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ)の直径は、10〜300nm、長さは3〜500μm、より好ましくは直径が30nm〜100nm、長さが10から100μmであることが好適である。直径があまりに細いと結合したときの強度が足りず、あまりに太いと透明度が低下する。また、長さがあまりに短いと効果的に交点が重なることが出来ず、あまりに長いと印刷性が低下する。
上記金属ナノワイヤは公知の方法によって合成することができる。例えば溶液中で硝酸銀を還元する方法が挙げられる。溶液中で硝酸銀を還元する具体的な方法としては金属複合化ペプチド脂質から成るナノファイバーを還元する方法や、エチレングリコール中で過熱しながら還元する方法、クエン酸ナトリウム中で還元する方法等が挙げられる。中でも、エチレングリコール中で加熱しながら還元する方法が最も容易に金属ナノワイヤを製造できるので好ましい。
本実施形態にかかる透明導電パターンを製造する場合は、適宜な基板上に金属ナノワイヤを所定のパターン形状(ベタ状を含む)に堆積し、この金属ナノワイヤに、キセノン式のパルス式照射ランプを用いて、パルス幅が20マイクロ秒から50ミリ秒、より好ましくは50マイクロ秒から10ミリ秒であるパルス光を照射して金属ナノワイヤ相互の交点を接合する。ここで、接合とは、金属ナノワイヤの交点において、ナノワイヤの材料(金属)がパルス光照射を吸収し、交差部分でより効率的に内部発熱を起こすことにより、その部分が熔接されることである。この接合により、交差部分でのナノワイヤ間の接続面積が増え表面抵抗を下げることができる。このように、パルス光を照射して金属ナノワイヤの交点を接合することにより、金属ナノワイヤが網目状となった導電パターンが形成される。このため、透明導電パターンの導電性を向上できる。なお、金属ナノワイヤが形成する網目は、間隔を空けずに密集している状態では好ましくない。間隔を空けないと光の透過率が低下するからである。
基板上に金属ナノワイヤを堆積する方法は、特に限定されないが、例えばウエットコート等を挙げることができる。ウェットコートとは基板上に液体(金属ナノワイヤ分散液)を塗布することによって製膜するプロセスを指す。本実施形態に用いるウェットコートは公知の方法であれば特に制限はなく、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコート、ドロップコート、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法などを用いることができる。また、ウェットコートの後に基板を加熱して用いた溶媒を除去するプロセスや、分散剤などの添加物を洗浄によって洗い流すプロセスなどが含まれていても良い。なお、上記ウェットコートは1回だけではなく複数回繰り返しても良い。また、グラビア印刷やスクリーン印刷を用いてパターン印刷を行っても良い。
上記ウェットコートに使用する分散媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチルなどのエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族化合物;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルムなどのハロゲン系炭化水素;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テルピネオール、グリセリン、ジグリセリン、ボルニルシクロヘキサノール、ボルニルフェノール、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノールなどのアルコール化合物、水あるいはこれらの混合溶媒などを挙げることができる。以上の分散媒の中では水溶性溶媒が好ましく、特にアルコール、水が好ましい。
上記金属ナノワイヤ分散液における金属ナノワイヤの含有量は、金属ナノワイヤの良好な分散性並びに得られる塗膜の良好なパターン形成性、高い導電性及び良好な光学特性の観点から、分散液総質量に対して、金属ナノワイヤが0.01〜10質量%の量であり、より好ましくは0.05〜2質量%の量である。金属ナノワイヤが0.01質量%未満であると、所望の導電性を確保し難く。複数回堆積(塗布)工程を反復する必要がある。また、10質量%を超えると所望の透明度を確保するには、非常に薄く堆積(塗布)する必要があり作業性が悪い。
また、上記金属ナノワイヤ分散液にその特性を損なわない範囲で必要に応じてバインダー樹脂、腐食防止剤、密着促進剤、界面活性剤等の他の成分を含有させてもよい。バインダー樹脂を含有させた分散液を塗布することにより、光照射時の金属ナノワイヤと基板との密着性が向上する。バインダー樹脂として使用できる高分子化合物としては、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニルカプロラクタムのようなポリ−N−ビニル化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリTHFのようなポリアルキレングリコール化合物、ポリウレタン、セルロース化合物およびその誘導体、エポキシ化合物、ポリエステル化合物、塩素化ポリオレフィン、ポリアクリル化合物のような熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が使用できる。但し、バインダー樹脂を多く含むと金属ナノワイヤ間にバインダー樹脂が介在し導電性を低下させることになるので、バインダー樹脂は金属ナノワイヤ100質量部に対して50質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下であり、分散液総質量に対して2質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下である。下限は特にないが、通常金属ナノワイヤ100質量部に対して0.01質量部、好ましくは0.1質量部、より好ましくは0.5質量部である。
また、腐食防止剤としてはベンゾトリアゾール等、密着促進剤としては2−ヒドロキシメチルセルロース等、界面活性剤としては商品名F―472SF(DIC(株)製)等が挙げられる。
また、上記基板の材料としては、特に限定されないが、例えばガラス、アルミナなどのセラミックスや、鉄、アルミニウム、銅等の金属、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<銀ナノワイヤの作製>
ポリビニルピロリドンK−90((株)日本触媒社製)(0.049g)、AgNO(0.052g)およびFeCl(0.04mg)を、エチレングリコール(12.5mlに溶解し、150℃で1時間加熱反応した。得られた析出物を遠心分離により単離し、析出物(銀ナノワイヤ)をエタノールに再分散させ、銀ナノワイヤを2質量%含む分散液を得た。図2(a)、(b)に、分散液のエタノールを除去、乾燥して得られた銀ナノワイヤのSEM像を示す。使用したSEMは、日立ハイテク株式会社製 FE−SEM S−5200である。
図2(a)、(b)からわかるように、銀ナノワイヤは棒状であり、その棒状のワイヤの直径は約70nm、長さは10〜20μm程度であり、棒状に成長しているものが全体の約95%以上を占めた。なお、残りは粒状であった。
上記遠心分離によって単離後乾燥した銀ナノワイヤ乾固物を大気雰囲気下50〜600℃の範囲で昇温速度20℃/minで熱重量分析をしたところ、5.8%の重量減少が見られた。これより銀ナノワイヤ中に調製時に使用したポリビニルピロリドンK−90を含有することが示唆される。なお、熱重量分析にはブルカー・エイエックスエス株式会社製差動型示差熱天秤TG-DTA galaxyを使用した。
上記エチレングリコール、ポリビニルピロリドンK−90、AgNO、FeClは和光純薬工業株式会社製である。
また、銀ナノ粒子の長さおよび直径は、SEMとTEMで測定した。なお、使用したTEMは日本電子株式会社製TEM;JEOL,JEM−2100透過電子顕微鏡である。
実施例1〜12
<透明導電パターンの作製>
上記銀ナノワイヤの分散液を表1に記載の銀ナノワイヤ濃度となるようにエタノールで希釈、調製し、この分散液を125μm厚のPETフィルム(東レ株式会社製ルミラー 易接着グレード)上にドロップコートにより塗布し、6時間風乾することにより、上記銀ナノワイヤを基板上に堆積した。
次に、基板上に堆積した銀ナノワイヤに対して、NovaCentrix社製のキセノン照射装置Pulse Forge3300を使用し、パルス光を単発で照射した。パルス光の照射条件(光源の駆動電圧(V)、照射時間(パルス幅 msec)、照射時の銀ナノ粒子堆積層の露光量(J/cm))を表1の実施例1〜12に示す
パルス光を照射した後、SEMにて観察した結果、銀ナノワイヤの表面に突起物が生成していた。
<透明導電パターンの表面抵抗値及び透過率の測定>
表1の実施例1〜12の条件でパルス光を照射する前後の銀ナノ粒子の堆積層について、三菱化学株式会社製LORESTA−GP MCP−T610 4探針法表面抵抗率、体積抵抗率測定装置を使用して表面抵抗値を測定した。なお、その際、ドロップコートした塗膜を2cm角に切り取り、測定を行った。
また、実施例1〜12について、日本分光株式会社製の紫外可視近赤外分光光度計 Jasco V−570を用いて透明度の尺度として可視光域(400〜800nm)の光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005587522
比較例1
上記銀ナノワイヤをエタノールに濃度1質量%となるように分散した分散液を用いて実施例同様銀ナノワイヤを基板上に堆積した。その後パルス光を照射する代わりに、加熱炉(空気雰囲気)により100℃、10分間加熱した。表面抵抗値は加熱前後でほとんど変化しなかった。また、基板にPETフィルムを使用しているので、100℃より高い温度では加熱出来なかった。
表1に示されるように、実施例1〜12におけるパルス光照射前後の透明導電パターン(銀ナノワイヤの堆積層)の表面抵抗値の低下率(照射後の表面抵抗値/照射前の表面抵抗値(%))が、比較例における100℃加熱前後の透明導電パターンの表面抵抗値の低下率(加熱後の表面抵抗値/加熱前の表面抵抗値(%))である98%に較べて、何れも大幅に低下している。これは、光照射によりナノワイヤの交差する点での接合が起こり、導電性が向上していることを反映している。また、光照射によりナノワイヤの交差する点(接合点)でのナノワイヤの熔接が起こり、これに伴い鉛直方向からの投影面積が増加するため、銀ナノワイヤをエタノールに濃度1質量%となるように分散した分散液を用いた実施例1−6では光照射後の光線透過率が光照射前の光線透過率に比べてやや低下している。なお、実施例1〜12では、銀ナノワイヤの濃度が同一であってもパルス光照射前の透明導電パターンの表面抵抗値がばらついているが、これは使用した銀ナノワイヤ分散液中の銀ナノワイヤ濃度のばらつきを反映している。また、光線透過率は、略80%以上であり、十分実用レベルにある。
実施例13
<透明導電パターンの作製>
上記2質量%銀ナノワイヤ分散液に対して、テルピネオール(日本テルペン化学(株))を少量加え、良く分散させた後、エタノールを留去し溶媒置換を行った。その後テルソルブ MTPH(日本テルペン化学(株)製、イソボルニルシクロヘキサノール)およびテルピネオールを最終的に分散媒の濃度がテルピネオール/テルソルブ MTPH=1/8(質量比)となるように加え、(株)シンキー社製のARV−310を用いてよく分散させた分散液を得た。なお、最終的に得られる分散液の濃度が1質量%になるよう、最初に加える少量のテルピネオールの量は予め計算して決定しておいた。
上記分散液を用いてスクリーン印刷機MT−320TVZ(マイクロテック(株)製)により2.5cm角ベタパターンを印刷した。なお、基材には125μm厚のPETフィルム(東レ株式会社製ルミラー 易接着グレード)を用いた。印刷後、熱風乾燥機にて表2に示した条件で段階的に乾燥させたところタックフリーの印刷パターンが得られた。
次に、乾燥後のパターンにパルス光を照射した。パルス光照射は実施例1〜12同様NovaCentrix社製PulseForge3300を用いて600V−50μsecで単発照射した。表面抵抗値を測定したところ抵抗値は7.86Ω/□であった。
<透明導電パターンの表面抵抗値、光線透過率およびヘーズの測定>
実施例1〜12同様三菱化学株式会社製LORESTA−GP MCP−T610 4探針法表面抵抗率、体積抵抗率測定装置を使用してパルス光を照射する前後の銀ナノ粒子印刷パターンの表面抵抗値および光線透過率を測定した。パルス光照射前では抵抗値が測定できるほど抵抗は下がらなかった(表2では、OLと表記)。実施例1〜6同様銀ナノワイヤが1質量%であるにもかかわらず抵抗値が測定できなかったのは、分散液の調製に使用した高沸点溶媒が乾燥後も塗膜に残存しているためと推定される。一方、パルス光照射後は7.86Ω/□であった。
なお、表2に示す光線透過率の測定には、日本電色工業(株)製濁度計NDH2000を用いた。
Figure 0005587522
実施例14〜16
実施例13にて用いた分散液中に、表2記載の濃度となるようにポリビニルピロリドンK−90((株)日本触媒社製)を添加した分散液を調製し使用した以外は実施例13同様に透明導電パターンを作製し表面抵抗値および光線透過率測定した。結果を表2にまとめて示した。分散液中にバインダー樹脂を添加した場合でもパルス光照射により導通が取れることが確認できた。
実施例17〜20
銀ナノワイヤとして前記合成品を使用する代わりに市販品(bluenano社製 SLV-NW-35(イソプロパノール分散状態、銀ナノワイヤの径35nm、長さ約15μm(カタログ値))を、表2に記載の濃度となるように添加、調製した分散液を使用した以外は実施例13同様に透明導電パターンを作製し表面抵抗値および光線透過率を測定した。結果を表2にまとめて示した。銀ナノワイヤ濃度が同一(1質量%)でバインダー樹脂を添加していない実施例13と実施例17は表面抵抗値、光線透過率とも同レベルであった。銀ナノワイヤ濃度の減少に伴い表面抵抗値は徐々に大きくなり、光線透過率は徐々に大きくなる傾向が認められた。

Claims (10)

  1. 基板上に堆積された金属ナノワイヤに、パルス幅が20マイクロ秒から50ミリ秒であるパルス光を照射して前記金属ナノワイヤの交点を接合することを特徴とする透明導電パターンの製造方法。
  2. 前記パルス光を複数回照射することを特徴とする請求項1に記載の透明導電パターンの製造方法。
  3. 前記金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明導電パターンの製造方法。
  4. 前記銀ナノワイヤの直径が10〜300nm、長さが3〜500μmであることを特徴とする請求項に記載の透明導電パターンの製造方法。
  5. 前記銀ナノワイヤの直径が100nm以下、長さが10μm以上であることを特徴とする請求項3または4に記載の透明導電パターンの製造方法。
  6. 前記基板上への金属ナノワイヤの堆積は、基板上に金属ナノワイヤを分散させた分散液を塗布、乾燥する工程により行なわれることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の透明導電パターンの製造方法。
  7. 前記分散液がバインダー樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載の透明導電パターンの製造方法。
  8. 前記バインダー樹脂がポリ−N−ビニル化合物であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電パターンの製造方法。
  9. 前記ポリ−N−ビニル化合物がポリ−N−ビニルピロリドンまたはポリ−N−ビニルカプロラクタムであることを特徴とする請求項8に記載の透明導電パターンの製造方法。
  10. 前記基板の材料は、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂の何れかである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の透明導電パターンの製造方法。
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