JP5505717B2 - 導電パターンの製造方法 - Google Patents
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タッチパネル用入力装置に使用される導電性基板においては、回路パターンやアンテナアレイパターンを形成することがある。
パターンの形成方法としては、例えば、特許文献1には、透明基材の表面の全面に、塗工により導電層を形成した後、CO2レーザやQスイッチを利用したパルス幅100n秒程度のYAGレーザを照射して、絶縁にする部分の導電層をアブレーションにより除去する方法が開示されている。
特許文献2,3には、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等の印刷により透明基材の表面に導電部を所定のパターンで形成する方法が開示されている。
特許文献4には、透明基材の表面の全面に、塗工により導電層を形成した後、プラズマエッチングにより、絶縁にする部分の導電層を除去する方法が開示されている。
特許文献5には、バインダ(樹脂)中に金属ナノワイヤ(金属極細繊維)を分散させ硬化してなる透明導電層に、レーザを照射して絶縁化し、導電パターンを形成する技術が開示されている。尚、透明導電層から外部へ突出した金属ナノワイヤはレーザで除去することとしている。
特許文献6には、タッチパネル用ITO蒸着基板に対して紫外線レーザを使用し、ビーム径とレンズの焦点距離を制御し、集光エリア内の加工幅を制御することで10μm程度の微細なアブレーションにより微細パターンを形成する技術が開示されている。
[1]絶縁性基材の少なくとも一方の面に設けられた、極細の無機導電繊維を含む光線透過性導電層に、集光手段を介してパルス幅1p秒未満の極短パルスのレーザ光を所定のパターンで照射することを特徴とする導電パターンの製造方法。
[2]前記集光手段の焦点を光線透過性導電層から離れた位置にすることを特徴とする[1]に記載の導電パターンの製造方法。
[3]レーザ光を前記光線透過性導電層の同一部分に断続的に複数回照射することを特徴とする[1]または[2]に記載の導電パターンの製造方法。
[4]光線透過性導電層は、極細の無機導電繊維の2次元ネットワークであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の導電パターンの製造方法。
[5]絶縁性基材上に極細の無機導電繊維の2次元ネットワークを形成した後、絶縁性バインダを塗布することで光線透過性導電層を形成することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の導電パターンの製造方法。
[6]絶縁性基材と絶縁性バインダとを光線吸収特性が略同等の材料にすることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の導電パターンの製造方法。
入力装置1は、入力者側に配置された導電性基板10と、この導電性基板10に対向するように画像表示装置側に配置された導電性基板20と、これらの間に設けられた透明なドットスペーサ30とを備えたメンブレン式タッチパネルである。
導電性基板20は、透明な絶縁性基材21と、絶縁性基材21において少なくとも入力者側を向く面に設けられた透明な導電パターン層22と、を備えている。
また、絶縁性基材11,21の形状としては、板状のもの、可撓性を有するフィルム状のもの、立体的(3次元)に成型された成型品等を用いることができる。
導電性ナノワイヤは分散・連結されて、導電パターン層12,22内で2次元ネットワークが形成されることによって、導電性を発揮する。
また、導電性の点からは、カーボンナノチューブが精製により高純度化されていることが好ましい。精製方法としては、例えば、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等が挙げられる。
透明な絶縁性バインダとしては、透明な熱可塑性樹脂(PET等の飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン)、熱や紫外線や電子線や放射線で硬化する透明な硬化性樹脂(不飽和ポリエステル、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂)が挙げられる。
導電パターン層12,22が絶縁性バインダを含有する場合、その絶縁性バインダは、基材11(21)と光線吸収特性が略同等であることが好ましく、特に、導電パターン層12,22に含まれる絶縁性バインダと絶縁性基材11(21)に含まれる樹脂が共にポリエステルであることがより好ましい。導電パターン層12,22に含まれる絶縁性バインダと、絶縁性基材11(21)に含まれる樹脂との光線吸収特性が略同等であれば、後述するように導電パターン形成のために極短パルスレーザを照射した際に、レーザの吸収性がほぼ同等になり、基材とバインダの双方にダメージを与えずに、無機導電繊維を絶縁化できる条件設定が容易になる。
本実施形態の導電パターンの製造方法では、絶縁性基材11(21)の一方の面に形成されたパターンのない光線透過性導電層aにレーザ光Lを照射して、無機導電繊維を除去するこのとき、レーザ光Lに極短パルスレーザを使用することで、光線透過性導電層aのバインダを変形させずに、実質的に無機導電繊維のみを除去できる。したがって、レーザ光Lを所定のパターンで照射することで、導電パターンを製造できる。なお、図2の電子顕微鏡写真に示すように、導電パターン層12,22の、無機導電繊維が存在していた部分Pは空隙になり、絶縁部Iを形成するが、空隙が形成された以外はその周囲の部分2に変化はないため、レーザ照射部分とレーザ非照射部分との外観に違いは生じない。
尚、以下の説明において、レーザ加工前における絶縁性基材11(21)と該絶縁性基材11(21)の一方の面に形成された光線透過性導電層aとを有する積層体のことを、導電性基板用積層体Aという。
ここで、導電性基板用積層体Aは、絶縁性基材11(21)の一方の面に、無機導電繊維および必要に応じてバインダになる熱可塑性樹脂を含む塗工液を、各種塗工方法により塗工し、乾燥することにより形成できる。
ステージ43は、絶縁性基材11(21)が透明でレーザ光Lの出力が1Wを超える場合、ナイロン系の樹脂材料若しくはシリコンゴム系の高分子材料を用いることが好ましい。
まず、ステージ43の上面に導電性基板用積層体Aを、光線透過性導電層aが絶縁性基材11(21)より上に配置されるように載置する。
エネルギ密度・照射エネルギが上記数値範囲よりも小さな値に設定された場合、絶縁部の絶縁が不十分になるおそれがある。また、上記数値範囲よりも大きな値に設定された場合、導電パターンが目立つようになり、透明タッチパネルや透明電磁波シールドなどの用途では不適当となる。
また、スポット径面積Sは、下記式により定義される。
S=S0×D/FL
S0:レンズで集光されるレーザのビーム面積
FL:レンズの焦点距離
D:光線透過性導電層aの表面(上面)と焦点との距離
また、絶縁性基材11(21)の両面に形成された光線透過性導電層aのうち、片面側の光線透過性導電層aのみを絶縁化する場合には、集光レンズ42として開口数が0.5より大きいものを使用することとしてもよい。
また、上記製造方法では、集光レンズ42によってスポット径を小さくしたレーザ光Lを光線透過性導電層aに照射するため、高精細な導電パターン層12,22を容易に形成できる。
しかも、集光レンズ42の焦点Fを光線透過性導電層aから離れた位置にすれば、光線透過性導電層aに当たるレーザ光Lのスポット径よりも絶縁性基材11(21)に当たるレーザ光Lのスポット径が大きくなる。そのため、光線透過性導電層aに当たるレーザ光Lのエネルギ密度よりも絶縁性基材11(21)に当たるレーザ光Lのエネルギ密度が小さくなるため、絶縁性基材11(21)の損傷をより防止できる。
例えば、前述の実施形態では、絶縁性基材11、21がともに透明であることとしたが、これら絶縁性基材11、21のいずれか又は両方にある程度の透明性を有した着色が施されていても構わない。
また、導電性基板10、20には、粘着、反射防止、ハードコート及びドットスペーサなどの機能層を任意で付加することとしてもよい。
また、通常は、光線透過性導電層aは絶縁性基材11,21の少なくとも一方の面に設けられるが、絶縁性基材11,21が省略されていても構わない。
厚さ100μmの透明なポリエステル(PET)フィルム(絶縁性基材11、21)に、Cambrios社のOhm(商品名)インク(金属極細繊維4)を塗布乾燥後、紫外線硬化性のポリエステル樹脂インク(透明基体2)を上塗りして、乾燥・紫外線処理を施すことにより、PETフィルム上に線径50nm程度、長さ15μm程度の銀繊維からなる導電性の2次元ネットワークを有する耐摩擦性の光線透過性導電層aを形成した。
次いで、この銀ナノワイヤ導電フィルムを、長さ210mm、幅148mmの長方形に切断加工し、銀ナノワイヤ導電フィルム試験片とした。
厚さ100μmの透明なポリエステル(PET)フィルムの片面にシリコーンアクリルのハードコート層を設けたものを用意し、このハードコート層とは反対側の面に、マグネトロンスパッタ装置により厚さ60nmの酸化亜鉛膜を形成した。次いで、その酸化亜鉛膜の表面に、マグネトロンスパッタ装置を用いて、厚さ27nmの銀膜を形成した。さらに、この銀膜の表面に、上記酸化亜鉛膜と同様にして、厚さ60nmの酸化亜鉛膜を形成した。これにより、PETフィルム上に酸化亜鉛膜及び銀膜からなる導電性の2次元ネットワークを有する透明導電層を形成した。銀膜は、複数の粒状体が密集して連結されつつも、若干の隙間を設けるようにして形成されていた。
次いで、この銀ナノワイヤ導電フィルムを、長さ210mm、幅148mmの長方形に切断加工し、銀ナノワイヤ導電フィルム試験片とした。
波長750nm、出力10mW、パルス幅130f秒、繰り返し周波数1kHz、ビーム径5mmのフェムト秒レーザ(製造装置40)を用い、焦点距離FL=100mmの集光レンズ42とガルバノミラーを使用して、厚さ5mmのガラス板上に導電性基板(前記銀ナノワイヤ導電フィルム)を配置してなる試験片における光線透過性導電層aの表面から集光レンズ42側に向かって1.5mm離間した位置にレーザ光Lの焦点Fが設定されるように調整した後、集光点を1mm/秒で試験片の幅方向に横断させるように移動し、直線的な絶縁パターンを形成し、導電パターンを形成した。
波長10.6μm、出力15Wの炭酸ガスレーザ(連続発振)を用い、焦点距離FL=300mmの集光レンズ42とガルバノミラーを使用して、試験片における前記光線透過性導電層の表面から集光レンズ42側に向かって3mm離間した位置にレーザ光Lの焦点Fが設定されるように調整した後、集光点を300mm/秒で試験片の幅方向に横断させるように移動して、導電パターンを形成した。
導電パターン形成基板を製造例2で得たものに変更した以外は実施例1と同じ条件でレーザ光を照射した。しかし、透明導電層の絶縁化は起こらなかった。
導電パターン形成基板を製造例2で得たものに変更し、さらにレーザ光Lの焦点Fを、光線透過性導電層aの表面上とした以外は実施例1と同じ条件でレーザ光を照射して、導電パターンを形成した。
尚、評価の基準(A、B、C、D)は、下記の通りとした。
A:優良。電気抵抗値が10MΩを超えて絶縁が確実になされており、かつ、導電パターンが全く視認できないもの。
B:良。電気抵抗値が10MΩを超えて絶縁が確実になされており、かつ、導電パターンが殆んど視認できないもの(タッチパネルに組み上げた際に、実質的に加工痕が視認できないもの)。
C:可。電気抵抗値が10MΩを超えて絶縁が確実になされているが、導電パターンが視認できるもの(タッチパネルに組み上げた際に、製品として用いることができる程度のレベル)。
D:不可。電気抵抗値が10MΩ以下であり絶縁化が不十分のもの、又は、目視で確認できる程度に焼き焦げや穴あきが形成されたもの。すなわち、製品として使用できないもの。
これに対し、光線透過性導電層に炭酸ガスレーザを照射した比較例1においては、導電パターンを視認でき、製品として適用できるレベルとはならなかった。
また、光線透過性導電層aが銀膜である比較例2,3では絶縁化が不十分であった。
次に、本発明の導電パターンの製造方法を適用したタッチパネル(配線基板)の製造例について説明する。
次いで「+」マークを基点に、実施例2の条件でコネクタパターンを横断する形で絶縁パターンを形成し、25mm角の入力エリアを持つタッチパネル用配線基板を得た。得られたタッチパネル用配線基板について配線パターン間の絶縁性をテスタで確認したところ、入力エリア端部における配線パターン間が絶縁状態であった。
このように製造されたタッチパネル1は、ドットスペーサ30、配線パターンともに視認されず、また、キーマトリクスとして機能することが確認された。
10,20 導電性基板
11,21 絶縁性基材
12,22 導電パターン層
30 ドットスペーサ
40 導電パターンの製造装置
41 レーザ光発生手段
42 集光レンズ
43 ステージ
A 導電性基板用積層体
a 光線透過性導電層
Claims (6)
- 絶縁性基材の少なくとも一方の面に設けられた、極細の無機導電繊維を含む光線透過性導電層に、集光手段を介してパルス幅1p秒未満の極短パルスのレーザ光を所定のパターンで照射することを特徴とする導電パターンの製造方法。
- 前記集光手段の焦点を光線透過性導電層から離れた位置にすることを特徴とする請求項1に記載の導電パターンの製造方法。
- レーザ光を前記光線透過性導電層の同一部分に断続的に複数回照射することを特徴とする請求項1または2に記載の導電パターンの製造方法。
- 光線透過性導電層は、極細の無機導電繊維の2次元ネットワークであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電パターンの製造方法。
- 絶縁性基材上に極細の無機導電繊維の2次元ネットワークを形成した後、絶縁性バインダを塗布することで光線透過性導電層を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電パターンの製造方法。
- 絶縁性基材と絶縁性バインダとを光線吸収特性が略同等の材料にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電パターンの製造方法。
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