JP5585270B2 - 車両用発電機 - Google Patents

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Description

本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用発電機に関する。
車両用発電機は、出力端子に接続された充電線を介してバッテリや各種の電気負荷に充電電力や動作電力を供給している。この車両用発電機の発電動作時に出力端子やバッテリ端子が外れると、ロードダンプと称される過渡的な高電圧が発生する。このとき発生する電圧は、出力電流等にもよるが場合によっては100V以上に達することがある。このようにして発生する高電圧は、電気負荷や車両用発電機内の各種素子の破損の原因になるため、何らかの対策が必要になる。このような対策を行う従来技術としては、例えば車両用発電機のブリッジ回路のローサイド素子をMOSトランジスタで構成し、ロードダンプ発生時に車両用発電機の相電圧が基準電圧を超えたときにこれらのMOSトランジスタをオンすることにより、高電圧の発生を抑制する保護動作を行うようにした車両用発電機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用発電機では、ブリッジ回路のローサイド素子としての各MOSトランジスタをオンすることで相電圧が再び基準電圧以下になると、各MOSトランジスタは再びオフされ、ブリッジ回路による通常の整流動作が再開されるようになっている。
また、ロードダンプ発生時の高電圧を抑制する他の従来技術として、高電圧検出時に上アーム側(ハイサイド側)および下アーム側(ローサイド側)のそれぞれのパワーMOSFETの制御モードを逆位相に変更するようにした車両用発電機が知られている(例えば、特許文献2参照。)。ロードダンプ発生時の高電圧が解消されると、制御モードが逆位相から通常状態に戻される。
特開平9−219938号公報(第5−9頁、図1−14) 特開2003−244864号公報(第4−10頁、図1−16)
ところで、特許文献1に開示された車両用発電機では、相電圧が基準電圧を超えたときにローサイド素子としてのMOSトランジスタがオンされるためこの相電圧が一時的に低下し、この相電圧が別の基準電圧以下になるとMOSトランジスタが再びオンされる。このMOSトランジスタのオン/オフは、Gパルス電圧のエネルギーが十分消耗するまで繰り返されることになる。このように、MOSトランジスタのオン/オフを繰り返すということは、このMOSトランジスタに接続されたステータコイルに流れている電流を遮断することになるため、このステータコイルに高電圧が発生し、この高電圧が基準電圧を超える原因にもなるため、高電圧の発生を迅速に終わらせることができないという問題があった。また、特許文献1に開示された車両用発電機では、相電圧が基準電圧を超えたときにローサイド素子としてのMOSトランジスタが整流動作の周期に比べて高速にオン/オフされるため、Gパルス電圧のエネルギーが十分消耗するまでに時間がかかるという問題があり、この点でも高電圧の発生を迅速に終わらせることができなかった。さらに、各相電圧の高低を判定するために共通の定電圧回路が用いられているため、この定電圧回路が故障すると全ての相電圧の高低判定が行えなくなり、保護動作の信頼性が低下するという問題があった。
また、特許文献2に開示された車両用発電機では、ロードダンプ発生時に保護動作に入るとき、あるいは保護動作を解除するときに、上アームと下アームの各パワーMOSFETのオンオフ状態を切り替えているため、これらのパワーMOSFETが接続されたステータコイルに電流が流れていると切り替え時にサージ電圧が発生するという問題があった。特に、上アームと下アームの各パワーMOSFETのオン/オフの切り替えタイミングは素子毎に多少のばらつきがあり、同時にオフされる場合にはステータコイルに流れている電流を遮断することになるため、高いサージ電圧が発生することになる。また、このような保護動作を実施するために、各相巻線に対応する各パワーMOSFETを逆位相に制御するために共通の制御回路や基準電圧回路を用いているため、これらの回路が故障すると保護動作が一切行えないことになり、保護動作の信頼性が低下するという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることができる車両用発電機を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ロードダンプ発生時に行われる保護動作の信頼性を向上させることができる車両用発電機を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の車両用発電機は、2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、整流素子によって構成された上アームと下アームからなる直列回路を、2相以上の相巻線のそれぞれに対応するように複数備えてブリッジ回路を構成するとともに、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって下アームの整流素子を形成し、電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、電機子巻線に備わった2相以上の相巻線のそれぞれに対応しており、スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、電機子巻線に備わった2相以上の相巻線のそれぞれに対応しており、直列回路の出力電圧を監視し、出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたときに、この直列回路に含まれる下アームを構成するスイッチング素子をオンする指示を制御部に対して行い、第1のしきい値電圧を超えた後に出力電圧が第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って、下アームを構成するスイッチング素子をオフする指示を制御部に対して行うロードダンプ保護判定部とを備えている。
ロードダンプ発生時に下アームのスイッチング素子をオンすることでロードダンプ時の高電圧の発生を防止する保護動作を行う場合であって、高電圧の発生が抑制された後に保護動作を解除する動作を、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って行うことにより、サージ電圧が発生するタイミングを避けて通常の整流動作を再開することができ、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることが可能となる。また、上アームと下アームからなる直列回路の出力電圧が低下するまで下アームのスイッチング素子のオン状態が維持されるため、このスイッチング素子が頻繁にオン/オフを繰り返すことがなく、オン/オフの繰り返しに伴う高電圧の発生がなく、しかも、相巻線に発生したエネルギーを速やかに消滅させることができ、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることができる。さらに、保護動作およびその解除動作を行うために必要な構成が各相巻線毎に設けられているため、いずれかの相巻線に対応する構成に不具合が発生した場合であっても他の相巻線に対応する構成を用いて保護動作を行うことができ、保護動作の信頼性を向上させることができる。なお、各相毎に出力電圧等が検出されて保護動作への移行やその解除動作が行われるため、各相毎にしきい値がばらついたとしても、早く過電圧を検出した相から保護動作へ移行することになる。このことは、仮に全相同時に保護動作に移行した場合は必要以上に大きな還流電流が下アームのスイッチング素子を介して流れることになるため、むしろ好ましいといえる。
また、上述したロードダンプ保護判定部は、出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたことを検出した後、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って、下アームを構成するスイッチング素子をオンする指示を制御部に対して行うことが望ましい。これにより、保護動作解除時だけでなく、保護動作に移行する際についても、サージ電圧が発生するタイミングを避けて保護動作を行うことが可能となる。
また、上述したサージ電圧の発生を抑制するタイミングは、下アームを構成するスイッチング素子がオンされたときに、このスイッチング素子に接続された相巻線からこのスイッチング素子に電流が流れるタイミング以外のタイミングである。特に、上述したサージ電圧の発生を抑制するタイミングは、下アームを構成するスイッチング素子がオンされたときに、このスイッチング素子からこのスイッチング素子に接続された相巻線に電流が流れるタイミングである。これにより、オンオフ状態が切り替わるスイッチング素子に接続された相巻線に流れる電流の遮断や急変を防止することができ、相巻線に高いサージ電圧が発生することを抑制することができる。
また、上述したスイッチング素子はMOSトランジスタであり、ロードダンプ保護判定部は、MOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧を検出するMOS電圧検出部と、この検出したソース・ドレイン間電圧に基づいて、このMOSトランジスタをオンしたときにこのMOSトランジスタを介して流れる電流の向きを検出する通電方向検出部と、通電方向検出部による検出結果に基づいてサージ電圧の発生を抑制するタイミングを判定するタイミング判定部とを備えることが望ましい。MOSトランジスタはオン時においても所定のソース・ドレイン間電圧を有するため、この電圧を検出して電流の向きを検出することが可能となり、サージ電圧の発生を抑制するタイミングを確実に判定することができる。
また、上述したサージ電圧の発生を抑制するタイミングは、ソース側を基準としたMOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧が0V以下になるタイミングであることが望ましい。これにより、MOSトランジスタを通して流れる電流の向きを確実かつ容易に判定することができる。また、MOSトランジスタと直列に電流検出用のシャント抵抗を追加する必要がなくなるため、シャント抵抗による損失がなく、その分通常発電時の発電効率を上げることができる。
また、上述したサージ電圧の発生を抑制するタイミングは、ソース側を基準としたMOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧が0V以下になってから所定期間遅らせたタイミングであることが望ましい。特に、上述した所定期間は、相巻線の誘起電圧の周期の1/4に対応する期間であることが望ましい。回路のLC成分により、検出している電圧と電流の間には位相のずれが生じることがある。具体的には、ソース・ドレイン間電圧が0Vでも電流は0A以上である場合がある。このような場合であっても、確実にソースからドレインに電流が流れるタイミングで保護動作の解除を行うことが可能となる。
また、上述したサージ電圧の発生を抑制するタイミングは、出力電圧が第1のしきい値電圧を超えて下アームを構成するスイッチング素子がオンされた後に、このスイッチング素子を流れる電流の向きが、相巻線からこのスイッチング素子に流れ込む向きからこのスイッチング素子から相巻線に向けて流れ出す向きに変化するタイミングの周期に同期したタイミングであることが望ましい。これにより、出力電圧が低下してスイッチング素子を流れる電流が少なくなった場合であっても、サージ電圧の発生を抑制可能なタイミングで確実に保護動作を解除することができる。
また、上述したロードダンプ保護判定部は、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を検出できなかったときに、強制的に下アームを構成するスイッチング素子をオフする指示を制御部に対して行うことが望ましい。サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を検出できなかった場合(例えば、スイッチング素子をMOSトランジスタで構成する場合にこのMOSトランジスタに流れる電流が少ない場合)には強制的にスイッチング素子がオフされて保護動作が解除されるが、このような場合には、どのタイミングでスイッチング素子をオフしても遮断する電流が少ないため、大きなサージ電圧が発生することはなく、結果的にサージ電圧の発生を抑制してロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることが可能となる。また、強制的にスイッチング素子をオフすることにより、早期に保護動作を終了させて発電動作(整流動作)を再開することができるため、発電効率の向上にもつながる。
また、上述した強制的に指示を行うタイミングは、第1のしきい値電圧を超えた後に出力電圧が第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧よりも低くなってから所定時間経過したときであることが望ましい。保護動作を強制的に解除するタイミングを所定時間後とすることにより、確実に保護動作を終わらせて通常の整流動作に移行することができる。
また、上述した所定時間は、可変値であることが望ましい。所定時間を可変値とすることにより、その時点の状況における適正値を用いることが可能となる。あるいは、上述した所定時間は、固定値であることが望ましい。所定時間を固定値とすることにより、所定時間経過のタイミング判定が容易となる。
また、上述した所定時間は、低回転時に長く、高回転時に短い値に設定することが望ましい。サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングは回転数に対応した周期で到来するため、回転数に応じて所定時間の長短を設定することにより、回転数を考慮した短い時間設定が可能となり、早期に保護動作を終了させることができる。
また、上述したロードダンプ保護判定部は、回転数の高低を相巻線の電圧に基づいて検出することが望ましい。これにより、回転数検出のために部品を追加したり、励磁電流を制御する発電制御装置等との間で信号の入出力を行う必要がなくなるため、構成や配線の簡略化や小型化が可能となる。
また、上述した所定時間は、出力電圧が第1のしきい値電圧を超えて下アームを構成するスイッチング素子をオンする指示が出される前に、回転子の界磁極を磁化する界磁巻線に流れる励磁電流が多いときに短く、少ないときに長い値に設定することが望ましい。保護動作に入る前の励磁電流が多いということはそれだけロードダンプ時に発生するエネルギーも大きい。したがって、相巻線に流れる電流も多くなり、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングを検出しやすくなると考えられる。反対に、保護動作に入る前の励磁電流が少ないということはそれだけロードダンプ時に発生するエネルギーが少なく、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングを検出しにくくなる。これらを考慮し、励磁電流に応じて所定時間の長短を設定することにより、励磁電流を考慮した短い時間設定が可能となり、早期に保護動作を終了させることができる。
一実施形態の車両用発電機の構成を示す図である。 整流器モジュールの構成を示す図である。 制御回路の詳細構成を示す図である。 ロードダンプ発生時に保護動作に移行し、その後、再度通常の整流動作に復帰する遷移状態を示す図である。 車両用発電機の相電圧を示す図である。 ロードダンプ保護判定部の構成を示す図である。 出力電圧としきい値電圧判定部による判定結果との関係を示す図である。 ソース・ドレイン間電圧と参照電圧との関係を示す図である。 1つの整流器モジュールのみが保護動作に移行した場合のMOS電圧検出部の出力の具体例を示す図である。 強制的に保護動作を解除するロードダンプ保護判定部の変形例を示す図である。 ロードダンプ保護判定部の他の変形例を示す図である。 ロードダンプ保護判定部の他の変形例を示す図である。 ロードダンプ保護判定部の他の変形例を示す図である。 同期整流に必要な制御回路を整流器モジュール群毎に設けるようにした変形例の構成を示す図である。 2つの固定子巻線のそれぞれ毎に共通の保護回路を設けるようにした変形例の構成を示す図である。
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用発電機について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態の車両用発電機の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車両用発電機1は、2つの固定子巻線(電機子巻線)2、3、界磁巻線4、2つの整流器モジュール群5、6、発電制御装置7を含んで構成されている。2つの整流器モジュール群5、6がスイッチング部に対応する。
一方の固定子巻線2は、多相巻線(例えばX相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる三相巻線)であって、固定子鉄心(図示せず)に巻装されている。同様に、他方の固定子巻線3は、多相巻線(例えばU相巻線、V相巻線、W相巻線からなる三相巻線)であって、上述した固定子鉄心に、固定子巻線2に対して電気角で30度ずらした位置に巻装されている。本実施形態では、これら2つの固定子巻線2、3と固定子鉄心によって固定子が構成されている。
界磁巻線4は、固定子鉄心の内周側に対向配置された界磁極(図示せず)に巻装されて回転子を構成している。励磁電流を流すことにより、界磁極が磁化される。界磁極が磁化されたときに発生する回転磁界によって固定子巻線2、3が交流電圧を発生する。
一方の整流器モジュール群5は、一方の固定子巻線2に接続されており、全体で三相全波整流回路(ブリッジ回路)が構成され、固定子巻線2に誘起される交流電流を直流電流に変換する。この整流器モジュール群5は、固定子巻線2の相数に対応する数(三相巻線の場合には3個)の整流器モジュール5X、5Y、5Zを備えている。整流器モジュール5Xは、固定子巻線2に含まれるX相巻線に接続されている。整流器モジュール5Yは、固定子巻線2に含まれるY相巻線に接続されている。整流器モジュール5Zは、固定子巻線2に含まれるZ相巻線に接続されている。
他方の整流器モジュール群6は、一方の固定子巻線3に接続されており、全体で三相全波整流回路(ブリッジ回路)が構成され、固定子巻線3に誘起される交流電流を直流電流に変換する。この整流器モジュール群6は、固定子巻線3の相数に対応する数(三相巻線の場合には3個)の整流器モジュール6U、6V、6Wを備えている。整流器モジュール6Uは、固定子巻線3に含まれるU相巻線に接続されている。整流器モジュール6Vは、固定子巻線3に含まれるV相巻線に接続されている。整流器モジュール6Wは、固定子巻線3に含まれるW相巻線に接続されている。
発電制御装置7は、界磁巻線4に流す励磁電流を制御する励磁制御回路であって、励磁電流を調整することにより車両用発電機1の出力電圧(各整流器モジュールの出力電圧)が調整電圧Vreg になるように制御する。例えば、発電制御装置7は、出力電圧が調整電圧Vreg よりも高くなったときに界磁巻線4への励磁電流の供給を停止し、出力電圧が調整電圧Vreg よりも低くなったときに界磁巻線4に励磁電流の供給を行うことにより、出力電圧が調整電圧Vreg になるように制御する。また、発電制御装置7は、通信端子および通信線を介してECU8(外部制御装置)と接続されており、ECU8との間で双方向のシリアル通信(例えば、LIN(Local Interconnect Network)プロトコルを用いたLIN通信)を行い、通信メッセージを送信あるいは受信する。
本実施形態の車両用発電機1はこのような構成を有しており、次に、整流器モジュール5X等の詳細について説明する。
図2は、整流器モジュール5Xの構成を示す図である。なお、他の整流器モジュール5Y、5Z、6U、6V、6Wも同じ構成を有している。図2に示すように、整流器モジュール5Xは、2つのMOSトランジスタ50、51、制御回路54を備えている。MOSトランジスタ50は、ソースが固定子巻線2のX相巻線に接続され、ドレインが充電線12を介してを電気負荷10やバッテリ9の正極端子に接続された上アーム(ハイサイド側)のスイッチング素子である。MOSトランジスタ51は、ドレインがX相巻線に接続され、ソースがバッテリ9の負極端子(アース)に接続された下アーム(ローサイド側)のスイッチング素子である。これら2つのMOSトランジスタ50、51からなる直列回路がバッテリ9の正極端子と負極端子の間に配置され、これら2つのMOSトランジスタ50、51の接続点にX相巻線が接続されている。また、MOSトランジスタ50、51のそれぞれのソース・ドレイン間にはダイオードが並列接続されている。このダイオードはMOSトランジスタ50、51の寄生ダイオード(ボディダイオード)によって実現されるが、別部品としてのダイオードをさらに並列接続するようにしてもよい。なお、上アームおよび下アームの少なくとも一方を、MOSトランジスタ以外のスイッチング素子を用いて構成するようにしてもよい。
図3は、制御回路54の詳細構成を示す図である。図3に示すように、制御回路54は、制御部100、電源102、バッテリ電圧検出部110、動作検出部120、130、ロードダンプ保護判定部140、温度検出部150、ドライバ170、172、通信回路180を備えている。
電源102は、エンジン始動に伴って固定子巻線2のX相巻線に所定の相電圧が発生したときに動作を開始し、制御回路54に含まれる各素子に動作電圧を供給する。この動作自体は、発電制御装置7において従来から行われている動作と同じであり、同じ技術を用いて実現することができる。
ドライバ170は、出力端子(G1)がハイサイド側のMOSトランジスタ50のゲートに接続されており、MOSトランジスタ50をオンオフする駆動信号を生成する。同様に、ドライバ172は、出力端子(G2)がローサイド側のMOSトランジスタ51のゲートに接続されており、MOSトランジスタ51をオンオフする駆動信号を生成する。
バッテリ電圧検出部110(バッテリ電圧検出手段)は、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、車両用発電機1の出力端子と充電線12を介して接続されたバッテリ9の正極端子の電圧に対応するデータを出力する。
動作検出部120は、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、ハイサイド側のMOSトランジスタ50のソース・ドレイン間電圧(図2、図3のB−C端子間電圧)に対応するデータを出力する。制御部100は、このデータに基づいて、ドライバ170の駆動状態に対応するMOSトランジスタ50の動作状態を監視し、適宜MOSトランジスタ50の制御や故障検知を行う。
動作検出部130は、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、ローサイド側のMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧(図2、図3のC−D端子間電圧)に対応するデータを出力する。制御部100は、このデータに基づいて、ドライバ172の駆動状態に対応するMOSトランジスタ51の動作状態を監視し、適宜MOSトランジスタ51の制御や故障検知を行う。
ロードダンプ保護判定部140は、車両用発電機1(整流器モジュール群5、6)の出力電圧(B端子電圧)を監視し、B端子電圧がロードダンプ発生を判定する第1のしきい値電圧V1(例えば20V)を超えた後に保護動作を開始する指示(保護開始指示)を行い、その後、B端子電圧がこの保護動作によって低下して第1のしきい値電圧V1よりも低い第2のしきい値電圧V2(例えば16.5V)を下回った後に保護動作を停止して通常の整流動作を再開する指示(整流再開指示)を行う。例えば、このロードダンプ保護判定部140は、迅速な処理を行う必要から、各種の能動素子や受動素子を組み合わせたアナログ回路によって構成することが望ましい。制御部100は、ロードダンプ保護判定部140による保護開始/整流再開指示に応じて保護動作や保護動作解除後の整流動作を実行する。ロードダンプ保護判定部140の詳細構成および保護動作の詳細については後述する。
温度検出部150は、定電流源、ダイオード、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、温度によって変化するダイオードの順方向電圧降下に対応するデータを出力する。制御部100は、このデータに基づいて整流器モジュール5Xの温度を検出する。
通信回路180は、発電制御装置7と同様の通信を行う通信手段であって、発電制御装置7とECU8の間を接続する通信端子および通信線に共通に接続されており、ECU8や他の整流器モジュールとの間で双方向のシリアル通信(例えば、LINプロトコルを用いたLIN通信)を行い、通信メッセージを送信あるいは受信する。
例えば、通信頻度として、1通信あたり20ms程度でECU8との間で通信メッセージを送受信しているような場合を考えると、1秒間に50回の通信を行うことができる。したがって、本実施形態において6個の通信モジュール5X等を追加してそのための通信メッセージの送受信が増加しても、発電制御装置7とECU8との間で発電状態を含む通信メッセージやダイアグ情報等の通信メッセージの送受信を行う発電制御に支障はないといえる。
本実施形態の整流器モジュール5X等はこのような構成を有しており、次に、ロードダンプ発生時の保護動作と、保護動作から通常の発電(整流)状態に復帰する動作の詳細について説明する。
図4は、ロードダンプ発生時に保護動作に移行し、その後、再度通常の整流動作に復帰する遷移状態を示す図である。図4において、「整流」はロードダンプが発生していない通常時において行われる整流動作を示しており、「保護」はロードダンプ発生時に行われる保護動作を示している。また、図5は、車両用発電機1の相電圧を示す図であり、図5(A)には通常時における相電圧が、図5(B)にはロードダンプ発生時の相電圧がそれぞれ示されている。
バッテリ9の端子電圧(車両用発電機1の出力電圧)をVbatt、MOSトランジスタ50、51のオン時のソース・ドレイン間電圧をαとすると、ロードダンプが発生していない通常時には、例えばX相巻線の相電圧VxがVbatt+αを超えたときにハイサイド側のMOSトランジスタ50がオンされ、相電圧Vxが−αよりも低下したときにローサイド側のMOSトランジスタ51がオンされる同期整流が行われる(図5(A))。
このような状態において、車両用発電機1の出力端子と充電線12との接続、あるいは、バッテリ9の正極端子と充電線12との接続が外れると、車両用発電機1の固定子巻線2、3の各相電圧が一時的に高くなるロードダンプが発生する(図5(B))。このときの相電圧VLDは、バッテリ9の端子電圧Vbattに比べて高くなるため(例えば100V以上)、車両用発電機1内の整流器モジュール5X等や発電制御装置7あるいは各種の電気負荷10を保護するために、「保護準備」の手順を経た後に保護動作に移行する(図4)。
具体的には、相電圧が第1のしきい値電圧V1を超えたときに「保護準備」の手順に移行する。この保護準備とは、保護動作に入る最適なタイミングを判定する動作であり、保護動作に入る際のサージ電圧の発生を抑えることができるタイミングに合わせて保護開始指示が行われる。また、定格電圧12Vの鉛蓄電池をバッテリ9として用いる場合を想定すると、第1のしきい値電圧が例えば20Vに設定されている。この第1のしきい値電圧V1は、電気負荷10が故障等の異常を生じない値に設定されており、一時的に出力電圧が第1のしきい値電圧まで上昇しても、電気負荷10は正常動作を維持することができる。
本実施形態では、ロードダンプ発生時に整流器モジュール5Xの出力電圧VB(=車両用発電機1の出力電圧)が20Vを超えると、ローサイド側のMOSトランジスタ51がオンされ、同時に、ハイサイド側のMOSトランジスタ50がオフされて保護動作が実施される。その後、ロードダンプ発生に伴う高電圧が解消するまで、これらのMOSトランジスタ50、51のオフ/オン状態が継続される。この保護動作中は、相電圧は、図5(B)にVpで示すように、−αから+α(−0.1Vから+0.1V)の範囲を推移するようになる。
ところで、図5においてAで示される範囲では、保護動作移行前はハイサイド側のMOSトランジスタ50がオン、ローサイド側のMOSトランジスタ51がオフされていたため、これら2つのMOSトランジスタ50、51のオン/オフを瞬時に入れ替えると、相巻線に大きなサージ電圧が発生するおそれがある。例えば、実際にはMOSトランジスタ50、51のオン/オフ切り替えタイミングは素子毎にばらつきがあり、オンされていたハイサイド側のMOSトランジスタ50をオフするタイミングのみがわずかに早くなると、相巻線に流れていた電流が遮断されるため、大きなサージ電圧が発生する。
また、図5においてBで示される範囲では、相巻線に電流は流れていないが、ローサイド側のMOSトランジスタ51ではソースとドレインの電位差が大きく、このMOSトランジスタ51をオンした際に、瞬間的に大きな相電流が発生するため、この相電流の変化に対抗する大きなサージ電圧が発生する。
このように、図5においてA、Bで示される範囲にあるときに保護動作に入ると大きなサージ電圧の発生を伴うおそれがあるため、本実施形態では、図5においてCで示される範囲に含まれることを確認した後に保護動作に入るようにしている。「保護準備」では、Cで示される範囲にあるときに、保護動作に入る最適なタイミングであると判定している。
一方、ロードダンプ時に発生した高電圧が解消して保護動作から通常の整流動作に復帰する場合も、同様に間に「復帰準備」の手順を経ている。具体的には、ロードダンプ発生時に高電圧となった整流器モジュール5Xの出力電圧が再び低下して第2のしきい値電圧を下回ったときに「復帰準備」の手順に移行する。この復帰準備とは、通常の整流動作に入る最適なタイミングを判定する動作であり、整流動作に入る際のサージ電圧の発生を抑えることができるタイミングに合わせて整流再開指示が行われる。整流再開指示が出されると、制御部100によってローサイド側のMOSトランジスタ51がオフされ、その後、制御部100による通常の整流動作(同期整流の制御動作)が行われる。
ところで、保護動作中はローサイド側のMOSトランジスタ51が常時オンされており、図5(B)のVpで示される相電圧が発生している。この状態で、ローサイド側のMOSトランジスタをオフするということは、AとBで示された範囲においてはそれまでMOSトランジスタ51を通して流れていた大きな相電流を遮断することになるため、大きなサージ電圧が発生する。したがって、本実施形態では、上述した「保護準備」の手順と同様に、図5においてCで示される範囲に含まれることを確認した後に通常の整流動作に入るようにしている。「復帰準備」では、Cで示される範囲にあるときに、整流動作に入る最適なタイミングであると判定している。
次に、保護準備動作と復帰準備動作を行うロードダンプ保護判定部140の詳細について説明する。図6は、ロードダンプ保護判定部140の構成を示す図である。図6に示すように、ロードダンプ保護判定部140は、B電圧検出部141、しきい値電圧判定部142、MOS電圧検出部143、通電方向検出部144、タイミング判定部145、146を備えている。
B電圧検出部141は、整流器モジュール5Xの出力電圧VB(車両用発電機1の出力電圧)を検出する。しきい値電圧判定部142は、出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1よりも高くなったか否か、一旦第1のしきい値電圧V1より高くなった出力電圧VBが第2のしきい値電圧よりも低くなったか否かを判定する。
図7は、出力電圧VBとしきい値電圧判定部142による判定結果との関係を示す図である。図7において、横軸は出力電圧VBを、縦軸はしきい値電圧判定部142の判定結果をそれぞれ示している。図7に示すように、しきい値電圧判定部142は、出力電圧VBが高くなって第1のしきい値電圧V1(例えば20V)を超えたときに、出力をローレベル(L)からハイレベル(H)に切り替える。また、一旦V1を超えた出力電圧VBが低くなって第2のしきい値電圧V2(例えば16.5V)よりも低くなったときに、出力をハイレベルからローレベルに切り替える。
MOS電圧検出部143は、ローサイド側のMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧Vds(図2、図3のC−D端子間電圧)を検出する。通電方向検出部144は、MOS電圧検出部143によって検出されたMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧Vdsに基づいて、MOSトランジスタ51をオンしたときにソース・ドレイン間に流れる電流の向きを判定する。
ロードダンプ発生時であって保護動作に入る前(ローサイド側のMOSトランジスタ51をオンする前)の状態においては、図5においてAあるいはBで示す範囲に対応する相電圧VLDは、0V以上となる。したがって、Cで示す範囲にあるか否か(MOSトランジスタ51をオンしたときに、このMOSトランジスタ51に並列接続されたダイオードの順方向と反対方向に電流が流れるか否か)を知りたければ、相電圧VLD、すなわちMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧Vdsが0Vよりも低い所定の基準電圧Vref を下回ったか否かを調べればよい。ソース・ドレイン間電圧Vdsが基準電圧Vref よりも低いということは、相電圧VLDが図5においてCに示す範囲にあることを示しており、この場合には、通電方向検出部144の出力がハイレベルになる。
実際には、MOS電圧検出部143において−0.1〜+0.1Vの範囲の電圧を精度よく検出し、通電方向検出部144において0V近傍の参照電圧Vref を用いて精度よく電圧比較を行うことは難しい。このため、MOS電圧検出部143では、検出したソース・ドレイン間電圧Vdsを所定の利得で増幅して電圧レベルを変換した後の電圧Vds’を出力し、通電方向検出部144はこの電圧Vds’を用いて電圧比較を行っている。
図8は、ソース・ドレイン間電圧Vds’と参照電圧Vref’との関係を示す図である。図8において、縦軸は変換後の電圧Vds’を、横軸は変換前のソース・ドレイン間電圧Vdsをそれぞれ示している。通電方向検出部144において電圧比較を行う範囲は−0.1〜+0.1Vの範囲に含まれるソース・ドレイン間電圧Vdsであるため、この範囲が例えば20倍に増幅されている。図8に示す例では、−0.1Vが0Vに、+0.1Vが+5Vにそれぞれ対応し、その間の電圧が線形的に1対1に対応している。また、ソース・ドレイン間電圧Vdsが−0.1Vよりも低くなった場合、あるいは、+0.1Vよりも高くなった場合には、MOS電圧検出部143の出力電圧が0Vあるいは+5Vにクリップ(固定)されるようになっている。例えば、参照電圧Vref’=2.5V(Vds=0V)に設定されている。なお、図5においてCで示される範囲に含まれるタイミングを正確に判定するためには、参照電圧Vref’は+5Vに近い値に設定する必要がある。
通電方向検出部144は、MOS電圧検出部143の出力電圧Vds’と参照電圧Vref’ とを比較し、Vds’がVref’ よりも低い場合に出力をハイレベルにし、高い場合に出力をローレベルにする。なお、通電方向検出部144は、出力をハイレベルにするタイミングを所定期間遅らせるようにしてもよい。一般に、整流器モジュール5X等の回路のLC成分により、検出したソース・ドレイン間電圧Vdsと実際にソース・ドレイン間に流れる電流との間には位相のずれが生じることがある。具体的には、ソース・ドレイン間電圧が0Vでも電流は0A以上である場合がある。このような場合を考慮して、ハイレベルに変化するタイミングを所定期間遅らせるようにしてもよい。所定期間としては、例えば相巻線の誘起電圧(相電圧)の周期の1/4に対応する期間が用いられる。
一方のタイミング判定部145は、しきい値電圧判定部142の出力がローレベルからハイレベルに変化した後、通電方向検出部144の出力がハイレベルになったとき、すなわち、ロードダンプ発生に伴って出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1よりも高くなり、かつ、図5(B)においてCで示す範囲にあると判定されたときに、出力をハイレベルにする。このタイミング判定部145のハイレベルの出力が「保護開始指示」に対応しており、この保護開始指示が出力されると、制御部100は、ドライバ170を駆動してハイサイド側のMOSトランジスタ50をオフするとともに、ドライバ172を駆動してローサイド側のMOSトランジスタ51をオンすることにより、ロードダンプ発生時の保護動作を開始する。
他方のタイミング判定部146は、しきい値電圧判定部142の出力がハイレベルからローレベルに変化した後、通電方向検出部144の出力がハイレベルになったとき、すなわち、ロードダンプ発生に伴って一旦第1のしきい値電圧V1を超えた出力電圧VBが再び第2のしきい値電圧V2よりも低くなり、かつ、図5においてCで示す範囲にあると判定されたときに、出力をハイレベルにする。このタイミング判定部146のハイレベルの出力が「整流再開指示」に対応しており、この整流再開指示が出力されると、制御部100は、ドライバ172を駆動してローサイド側のMOSトランジスタ51をオフする。以後、制御部100は、同期整流の制御動作を再開する。
なお、通電方向検出部144の出力がハイレベルに変化するタイミングを所定期間遅らせる場合とは、図5においてCで示す範囲の中央近傍に対応するタイミングをねらう意図である。この点については、2つのタイミング判定部145、146の両方に当てはまるものである、ハイレベルに変化するタイミングを所定期間遅らせる機能をタイミング判定部145、146の少なくとも一方にもたせ、これらにおいてこのタイミングの変更を行うようにしてもよい。
このように、本実施形態の車両用発電機1では、ロードダンプ発生時にローサイド側のMOSトランジスタ51をオンすることでロードダンプ時の高電圧の発生を防止する保護動作を行う場合であって、高電圧の発生が抑制された後に保護動作を解除する動作を、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って行うことにより、サージ電圧が発生するタイミングを避けて通常の整流動作を再開することができ、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることが可能となる。また、ハイサイド側のMOSトランジスタ50とローサイド側のMOSトランジスタ51からなる直列回路の出力電圧VBが低下するまで下アームのスイッチング素子のオン状態が維持されるため、これらのMOSトランジスタ50、51が頻繁にオン/オフを繰り返すことがなく、オン/オフの繰り返しに伴う高電圧の発生がなく、しかも、相巻線に発生したエネルギーを速やかに消滅させることができ、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることができる。さらに、保護動作およびその解除動作を行うために必要な構成が各相巻線(各整流器モジュール5X等)毎に設けられているため、いずれかの相巻線に対応する構成に不具合が発生した場合であっても他の相巻線に対応する構成を用いて保護動作を行うことができ、保護動作の信頼性を向上させることができる。
また、保護動作解除時だけでなく、保護動作に移行する際についても、各相巻線に対応する各整流器モジュール毎に保護動作移行の有無やタイミングが判定され、個別にサージ電圧が発生するタイミングを避けて保護動作を行うことが可能となる。
また、サージ電圧の発生を抑制するタイミングとして、MOSトランジスタ51がオンされたときに、このMOSトランジスタ51に接続された相巻線からこのMOSトランジスタ51に電流が流れるタイミング(図5においてAおよびBで示した範囲)以外のタイミングを設定している。これにより、オンオフ状態が切り替わるMOSトランジスタ51に接続された相巻線に流れる電流の遮断や急変を防止することができ、相巻線に高いサージ電圧が発生することを抑制することができる。
また、MOSトランジスタ51はオン時においても所定のソース・ドレイン間電圧を有するため、この電圧を検出して電流の向きを検出することが可能となり、サージ電圧の発生を抑制するタイミングを確実に判定することができる。
ところで、本実施形態では、保護動作への移行タイミングが各整流器モジュール毎に判定されるため、ロードダンプ発生の原因となる不良箇所(例えば、車両用発電機1の出力端子外れか、バッテリ9の正極端子外れか)やそのときの相電流の大きさ等によっては、1相の相巻線に対応する1つの整流器モジュールのみが保護動作に移行する場合もある。例えば、一方の固定子巻線2について考えた場合に、整流器モジュール5Xのみが保護動作に移行し、他の整流器モジュール5Y、5Zについては保護動作に移行しない場合がある。このような場合の保護動作中は、整流器モジュール5Xのローサイド側のMOSトランジスタ51のみがオンされ、他の整流器モジュール5Y、5Zのローサイド側のMOSトランジスタ51はオフ状態を継続することになる。このため、オフ状態にある整流器モジュール5Y、5Zの下アーム(ローサイド側)については、MOSトランジスタ51と並列に接続されたダイオードを介してのみ電流が流れることになり、オン状態にある整流器モジュール5XのMOSトランジスタ51については、ソースからドレインに向かう向き(MOSトランジスタ51からX相巻線に向けて電流が流れ込む向き)には電流が流れなくなる現象が確認されている。このような場合には、オンされているMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧Vdsが0V以下になる。
図9は、1つの整流器モジュールのみが保護動作に移行した場合のMOS電圧検出部143の出力の具体例を示す図である。図9に示すように、t0 において出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1を超えて1つの整流器モジュールのみが保護動作に移行すると、MOS電圧検出部143の出力電圧Vds’が常に2.5V(Vdsでは0V)以上を維持することになる。このような場合を想定して、通電方向検出部144で用いる参照電圧Vref’を2.5Vよりも高い参照電圧Vref''に置き換えるようにしてもよい。これにより、1つの整流器モジュールのみが保護動作に移行することによって、第1のしきい値電圧V1を超えたB端子電圧が第2のしきい値電圧V2以下になった場合であっても通常の整流動作に復帰することが可能となる。
また、上述した1つの整流器モジュールのみによる保護動作が行われる現象は、保護動作を解除して通常の整流動作に復帰する場合も起こりうる。すなわち、通常の整流動作に復帰するタイミングも各整流器モジュール毎に判定されるため、3つの整流器モジュールの内の2つについて先に保護動作が解除されると、残り1つの整流器モジュールのみについて保護動作が維持されることになる。このようにして保護動作を維持している整流器モジュールのMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧Vdsも0Vより低くならない場合があることが確かめられている。
このような場合であっても、既に出力電圧VBが第2のしきい値電圧V2よりも低くなっているため、図5において示したCの範囲にあることが明らかな場合にはこのタイミングで通常の整流動作に復帰してもよいことになる。例えば、全ての整流器モジュールによる保護動作中は、通電方向検出部144の出力がハイレベルとローレベルを交互に繰り返し、しかも、ローレベルからハイレベルに変化するタイミングが図5においてCで示された範囲の左端近傍に対応する。保護動作を解除する前後の回転数は、数回転については実質的に一定と考えることができる。したがって、タイミング判定部146によって、通電方向検出部144の出力がハイレベルに変化する周期Tを検出、保持しておいて、B端子電圧が第2のしきい値電圧V2よりも低くなる直前に通電方向検出部144の出力がローレベルからハイレベルに変化したタイミング(Vds’がVref’よりも低くなった時点)から周期Tあるいはその整数倍(2T等)経過した時点を判定して、タイミング判定部146の出力をハイレベルに変化させる(整流再開指示を出力する)ようにしてもよい。同様に、タイミング判定部145によって、通電方向検出部144の出力がハイレベルに変化する周期Tを検出、保持しておいて、出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1を超える直前に通電方向検出部144の出力がローレベルからハイレベルに変化したタイミング(Vds’がVref’よりも低くなった時点)から周期Tあるいはその整数倍(2T等)経過した時点を判定して、タイミング判定部145の出力をハイレベルに変化させる(保護開始指示を出力する)ようにしてもよい。
ところで、保護動作中に流れる相電流が少ない場合(保護動作に入る直前の励磁電流が少ない場合や回転数が低い場合)には、図5(B)に示したような相電圧Vpが現れにくくなり、相電圧Vpによる復帰タイミングの判定を行うことが難しくなる。このような場合には強制的に保護動作を解除するようにしてもよい。
図10は、強制的に保護動作を解除するロードダンプ保護判定部の変形例を示す図である。図10に示すロードダンプ保護判定部140Aは、B電圧検出部141、しきい値電圧判定部142、MOS電圧検出部143、通電方向検出部144、タイミング判定部145、146、タイマ147を備えている。このロードダンプ保護判定部140Aは、図6に示したロードダンプ保護判定部140に対して、タイマ147が追加された点が異なっている。
図5(B)に示す例では、MOSトランジスタ51がオンされている場合のソース・ドレイン間電圧Vdsが−0.1V〜+0.1Vの範囲で変化するものとしたが、相電流(ソース・ドレイン間電流)が少ない場合にはソース・ドレイン間電圧Vdsが小さくなって、復帰準備時にソース・ドレイン間電圧Vds’が参照電圧Vref’より低くならないことがある。すると、通電方向検出部144の出力がハイレベルに変化せず、タイミング判定部146の出力もローレベルを維持することになり、整流再開指示が出されなくなる。このような場合を想定して、タイマ147が追加されている。
タイマ147は、しきい値電圧判定部142の出力がハイレベルからローレベルに変化したときに計測を開始し、所定時間経過したときにタイムアップ信号を出力する(例えば出力をローレベルからハイレベルに変化させる)。タイミング判定部146は、しきい値電圧判定部142の出力がハイレベルからローレベルに変化した後、通電方向検出部144の出力がハイレベルになったときに整流再開指示を出力することが基本であるが、通電方向検出部144の出力がハイレベルにならなくてもタイマ147からタイムアップ信号が出力された場合には整流再開指示を出力する。
タイマ147によって計測される所定時間として例えば固定値が用いられる。図5に示した電圧波形から明らかなように、しきい値電圧判定部142の出力がハイレベルからローレベルに変化した後、相電圧の1周期T以内に必ずCあるいはDの期間が到来するはずである。したがって、最も周期が長い場合を想定した1周期T(例えばアイドリング回転に対応する相電圧の1周期)以上の値が、上記所定時間として設定されている。このように、所定時間として固定値を用いることにより、所定時間経過のタイミング判定が容易となる。
なお、上述した説明では、所定時間として固定値を用いたが、保護動作を速やかに解除するためにはこの所定時間は短いほど望ましく、どの程度短くすることができるかは保護動作時の状況(回転数や直前の励磁電流値等)によって異なると考えられるため、所定時間の値を可変設定するようにしてもよい。
図11は、ロードダンプ保護判定部の他の変形例を示す図である。図11に示す変形例のロードダンプ保護判定部140Bは、図10に示したロードダンプ保護判定部140Aに対してタイマ時間設定部148を追加した点が異なっている。タイマ時間設定部148は、タイマ147においてタイムアップ信号を出力する時間(所定時間)を可変設定する。具体的には、タイマ時間設定部148は、保護動作中の通電方向検出部144から出力される信号の周期(例えば、ハイレベルからローレベルに変化する周期)を取り込んでタイマ147の時間(所定時間)設定を行う。この周期は、相電圧の周期であって、相電圧に基づいて車両用発電機1の回転数を検出していることになる。タイマ時間設定部148は、低回転時(周期が長い場合)には所定時間を長く、反対に高回転時(周期が短い場合)には所定時間を短く設定する。この所定時間の可変設定は、回転数(周期)に応じて連続的に滑らかに変化させてもよいし、階段状に不連続に変化させてもよい。
サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングは回転数に対応した周期で到来するため、回転数に応じて所定時間の長短を設定することにより、回転数を考慮した短い時間設定が可能となり、早期に保護動作を終了させることができる。特に、回転数の高低を相電圧に基づいて検出することにより、回転数検出のために部品を追加したり、励磁電流を制御する発電制御装置7等との間で信号の入出力を行う必要がなくなるため、構成や配線の簡略化や小型化が可能となる。
図12は、ロードダンプ保護判定部の他の変形例を示す図である。図12に示す変形例のロードダンプ保護判定部140B’は、図11に示したロードダンプ保護判定部140B内のタイマ時間設定部148をタイマ時間設定部148’に置き換えたものである。制御部100は、保護動作に入る前は動作検出部120、130の出力データに基づいて同期整流の制御動作を行っているため、この制御動作に必要な回転数検出を行っている。タイマ時間設定部148’は、制御部100によって検出された回転数Nを取り込んでタイマ147の時間(所定時間)設定を行う。具体的には、図11に示したタイマ時間設定部148と同様に、低回転時には所定時間が長く、反対に高回転時には所定時間が短く設定される。また、この所定時間の可変設定は、回転数に応じて連続的に滑らかに変化させてもよいし、階段状に不連続に変化させてもよい。
図13は、ロードダンプ保護判定部の他の変形例を示す図である。図13に示す変形例のロードダンプ保護判定部140Cは、図10に示したロードダンプ保護判定部140Aに対してタイマ時間設定部149を追加した点が異なっている。タイマ時間設定部149は、タイマ147においてタイムアップ信号を出力する時間(所定時間)を可変設定する。具体的には、タイマ時間設定部149は、保護動作直前の励磁電流If(Duty値または電流指示値等)を制御部100および通信回路180経由で発電制御装置7から取り込んでタイマ147の時間(所定時間)設定を行う。タイマ時間設定部149は、励磁電流Ifが少ない場合には所定時間を長く、反対に励磁電流Ifが多い場合には所定時間を短く設定する。この所定時間の可変設定は、励磁電流Ifに応じて連続的に滑らかに変化させてもよいし、階段状に不連続に変化させてもよい。
保護動作に入る前の励磁電流が多いということはそれだけロードダンプ時に発生するエネルギーも大きい。したがって、相巻線に流れる電流も多くなり、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングを検出しやすくなると考えられる。反対に、保護動作に入る前の励磁電流が少ないということはそれだけロードダンプ時に発生するエネルギーが少なく、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングを検出しにくくなる。これらを考慮し、励磁電流に応じて所定時間の長短を設定することにより、励磁電流を考慮した短い時間設定が可能となり、早期に保護動作を終了させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、2つの固定子巻線2、3と2つの整流器モジュール群5、6を備えるようにしたが、一方の固定子巻線2と一方の整流器モジュール群5を備える車両用発電機についても本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、各整流器モジュール5X等を用いて整流動作(発電動作)を行う場合について説明したが、MOSトランジスタ50、51のオン/オフタイミングを変更することにより、バッテリ9から印加される直流電流を交流電流に変換して固定子巻線2、3に供給することにより、車両用発電機1に電動動作を行わせるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、2つの整流器モジュール群5、6のそれぞれに3つの整流器モジュールを含ませるようにしたが、整流器モジュールの数は3以外であってもよい。
また、上述した実施形態では、MOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧Vdsを検出してその検出値に基づいて保護動作に移行するタイミングあるいは保護動作を解除して通常の整流動作に移行するタイミングを決定したが、MOSトランジスタ51を通して流れる電流の向きや値を直接検出して同様のタイミング判定を行うようにしてもよい。例えば、MOSトランジスタ51のソース側あるいはドレイン側に電流検出用素子(抵抗等)を挿入し、この素子の両端電圧に基づいて同様の判定を行うようにしてもよい。この場合には、MOSトランジスタ51あるいはこれと並列接続されたダイオードを通して相巻線に電流が流れ込むタイミング(図5においてDで示した範囲)を確実に検出して保護動作への移行あるいは保護動作の解除を行うことができる。これにより、相巻線に流れる電流の遮断や急変を防止することができ、相巻線に高いサージ電圧が発生することを抑制することができる。
また、上述した実施形態では、上アームと下アームの両方にMOSトランジスタを用いたが、下アームのみをMOSトランジスタとし、上アームをダイオードで構成するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、各相巻線に対応する各整流器モジュール毎に、図6に示したロードダンプ保護判定部140や同期整流時にMOSトランジスタ50、51をオン/オフ制御する構成を設けたが、その中で、ロードダンプ時の保護動作に必要な構成以外(同期整流に必要な構成)については、各整流器モジュール毎に設けるのではなく、全体で1つあるいは整流器モジュール群5、6毎に1つずつ設けるようにしてもよい。
図14は、同期整流に必要な制御回路を整流器モジュール群5、6毎に設けるようにした変形例の構成を示す図であり、図1に示した一方の固定子巻線2に対応した3個の整流器モジュール5X、5Y、5Zに対応して置き換え可能な構成が示されている。なお、他方の固定子巻線3に対応した3個の整流器モジュール6U、6V、6Wに対応して置き換え可能な構成についても同様であり、詳細な説明は省略する。
図14において、固定子巻線2のX相巻線に対応して、MOSトランジスタ50、51、ロードダンプ保護判定部140X、制御部100X、アンド回路190X、オア回路192X、ドライバ170X、172Xが設けられている。Y相巻線およびZ相巻線のそれぞれについても同様の回路が設けられている。
ロードダンプ保護判定部140Xは、図3および図6に示したロードダンプ保護判定部140に対応するものであって、同じ構成を有している。制御部100Xは、図3に示した制御部100からロードダンプ発生時の保護動作および復帰動作に関連する構成を抜き出したものであり、ロードダンプ保護判定部140Xの出力に基づいてMOSトランジスタ50、51をオン/オフする制御を行う。整流制御回路54Aは、図2および図3に示した制御回路54からロードダンプ保護判定部140、ドライバ170、172および上述した制御回路100Xの機能を取り除いた構成(通常の整流動作の制御に必要な構成)を、固定子巻線2の3つの相巻線分備えている。
保護動作に移行する前は、制御部100Xからアンド回路190Xの一方の入力端子にハイレベルの信号が入力され、オア回路192Xの一方の入力端子にローレベルの信号が入力される。したがって、この状態では整流制御回路54Aから出力される信号によってドライバ170X、172X等が駆動され、MOSトランジスタ50、51がオン/オフ制御されて整流動作が行われる。
一方、ロードダンプ発生時には、制御部100Xからアンド回路190Xの他方の入力端子にローレベルの信号が入力され、オア回路192Xの他方の入力端子にハイレベルの信号が入力される。したがって、上アーム(ハイサイド側)のMOSトランジスタ50が強制的にオフされ、下アーム(ローサイド側)のMOSトランジスタ51が強制的にオンされる。このように、固定子巻線2に対応する共通の整流制御回路54Aを設け、ロードダンプ保護動作用の構成を各相巻線毎に設けるようにしてもよい。特に、整流動作については、他の相巻線の状態に基づいてフィードバック制御することで、より安定した制御が可能となる。なお、上述した整流制御回路54Aによって、2つの固定子巻線2、3の両方に対応する整流制御を行うようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、2つの固定子巻線2、3を備える場合について説明したが、これら2つの固定子巻線2、3は共通の出力端子を介して充電線12に接続されているため、固定子巻線2、3の各相巻線毎にロードダンプ時の保護動作に必要な構成(保護回路)を設ける代わりに、2つの固定子巻線2、3のそれぞれ毎に共通の保護回路を設けるようにしても、出力端子の電圧上昇を抑えるために有効であるといえる。
図15は、2つの固定子巻線2、3のそれぞれ毎に共通の保護回路を設けるようにした変形例の構成を示す図であり、図1に示した2つの固定子巻線2、3に対応した6個の整流器モジュール5X、5Y、5Z、6U、6V、6Wに対応して置き換え可能な構成が示されている。一方の固定子巻線2に対応して設けられたロードダンプ保護判定部140−2は、図14に示した3つのロードダンプ保護判定部140X、140Y、140Zの機能を有している。制御部100−2は、図14に示した3つの制御部100X、100Y、100Zの機能を有している。ロードダンプ保護判定部140−3、制御部100−3についても同様であり、他方の固定子巻線3に対応しており、3つのロードダンプ保護判定部140X、140Y、140Zや3つの制御部100X、100Y、100Zと同等の機能を有する。また、整流制御回路54Aは、2つの固定子巻線2、3の両方に対応する整流制御を行う。なお、整流制御回路54Aは、2つの固定子巻線2、3のそれぞれに対応させて設けるようにしてもよい。このように、図14および図15に示すように、整流制御回路54Aを複数の相巻線に対応させて設けた場合であっても、ロードダンプ発生時の保護回路を各相巻線毎に、あるいは、2組以上設けることで、信頼性向上が可能となる。
上述したように、本発明によれば、ロードダンプ発生時に下アームのMOSトランジスタ51をオンすることでロードダンプ時の高電圧の発生を防止する保護動作を行う場合であって、高電圧の発生が抑制された後に保護動作を解除する動作を、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って行うことにより、サージ電圧が発生するタイミングを避けて通常の整流動作を再開することができ、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることが可能となる。また、上アームと下アームからなる直列回路の出力電圧が低下するまで下アームのMOSトランジスタ51のオン状態が維持されるため、このスイッチング素子が頻繁にオン/オフを繰り返すことがなく、オン/オフの繰り返しに伴う高電圧の発生がなく、しかも、相巻線に発生したエネルギーを速やかに消滅させることができ、ロードダンプ時の高電圧発生を迅速に終わらせることができる。さらに、保護動作およびその解除動作を行うために必要な構成が各相巻線毎に設けられているため、いずれかの相巻線に対応する構成に不具合が発生した場合であっても他の相巻線に対応する構成を用いて保護動作を行うことができ、保護動作の信頼性を向上させることができる。
1 車両用発電機
2、3 固定子巻線
4 界磁巻線
5、6 整流器モジュール群
5X、5Y、5Z、6U、6V、6W 整流器モジュール
7 発電制御装置
8 ECU
9 バッテリ
10 電気負荷
12 充電線
50、51 MOSトランジスタ
54 制御回路
100 制御部
140 ロードダンプ保護判定部
141 B電圧検出部
142 しきい値電圧判定部
143 MOS電圧検出部
144 通電方向検出部
145、146 タイミング判定部
147 タイマ
148、148’ 149 タイマ時間設定部
170、172 ドライバ

Claims (15)

  1. 2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、
    整流素子によって構成された上アームと下アームからなる直列回路を、2相以上の前記相巻線のそれぞれに対応するように複数備えてブリッジ回路を構成するとともに、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって下アームの前記整流素子を形成し、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、
    前記電機子巻線に備わった2相以上の相巻線のそれぞれに対応しており、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、
    前記電機子巻線に備わった2相以上の相巻線のそれぞれに対応しており、前記直列回路の出力電圧を監視し、前記出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたときに、この直列回路に含まれる前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオンする指示を前記制御部に対して行い、前記第1のしきい値電圧を超えた後に前記出力電圧が前記第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って、前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオフする指示を前記制御部に対して行うロードダンプ保護判定部と、
    を備え、前記サージ電圧の発生を抑制するタイミングは、前記下アームを構成する前記スイッチング素子がオンされたときに、このスイッチング素子に接続された相巻線からこのスイッチング素子に電流が流れるタイミング以外のタイミングであることを特徴とする車両用発電機。
  2. 2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、
    整流素子によって構成された上アームと下アームからなる直列回路を、2相以上の前記相巻線のそれぞれに対応するように複数備えてブリッジ回路を構成するとともに、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって下アームの前記整流素子を形成し、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、
    前記電機子巻線に備わった2相以上の相巻線のそれぞれに対応しており、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、
    前記電機子巻線に備わった2相以上の相巻線のそれぞれに対応しており、前記直列回路の出力電圧を監視し、前記出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたときに、この直列回路に含まれる前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオンする指示を前記制御部に対して行い、前記第1のしきい値電圧を超えた後に前記出力電圧が前記第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って、前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオフする指示を前記制御部に対して行うロードダンプ保護判定部と、
    を備え、前記サージ電圧の発生を抑制するタイミングは、前記下アームを構成する前記スイッチング素子がオンされたときに、このスイッチング素子からこのスイッチング素子に接続された相巻線に電流が流れるタイミングであることを特徴とする車両用発電機。
  3. 請求項1または2において、
    前記ロードダンプ保護判定部は、前記出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたことを検出した後、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を待って、前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオンする指示を前記制御部に対して行うことを特徴とする車両用発電機。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記スイッチング素子はMOSトランジスタであり、
    前記ロードダンプ保護判定部は、前記MOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧を検出するMOS電圧検出部と、この検出したソース・ドレイン間電圧に基づいて、このMOSトランジスタをオンしたときにこのMOSトランジスタを介して流れる電流の向きを検出する通電方向検出部と、前記通電方向検出部による検出結果に基づいて前記サージ電圧の発生を抑制するタイミングを判定するタイミング判定部とを備えることを特徴とする車両用発電機。
  5. 請求項4において、
    前記サージ電圧の発生を抑制するタイミングは、ソース側を基準とした前記MOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧が0V以下になるタイミングであることを特徴とする車両用発電機。
  6. 請求項5において、
    前記サージ電圧の発生を抑制するタイミングは、ソース側を基準とした前記MOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧が0V以下になってから所定期間遅らせたタイミングであることを特徴とする車両用発電機。
  7. 請求項6において、
    前記所定期間は、前記相巻線の誘起電圧の周期の1/4に対応する期間であることを特徴とする車両用発電機。
  8. 請求項1または2において、
    前記サージ電圧の発生を抑制するタイミングは、前記出力電圧が前記第1のしきい値電圧を超えて前記下アームを構成する前記スイッチング素子がオンされた後に、このスイッチング素子を流れる電流の向きが、相巻線からこのスイッチング素子に流れ込む向きからこのスイッチング素子から相巻線に向けて流れ出す向きに変化するタイミングの周期に同期したタイミングであることを特徴とする車両用発電機。
  9. 請求項1または2において、
    前記ロードダンプ保護判定部は、サージ電圧の発生の抑制に適したタイミングの到来を検出できなかったときに、強制的に前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオフする指示を前記制御部に対して行うことを特徴とする車両用発電機。
  10. 請求項9において、
    前記強制的に指示を行うタイミングは、前記第1のしきい値電圧を超えた後に前記出力電圧が前記第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧よりも低くなってから所定時間経過したときであることを特徴する車両用発電機。
  11. 請求項10において、
    前記所定時間は、可変値であることを特徴とする車両用発電機。
  12. 請求項10において、
    前記所定時間は、固定値であることを特徴とする車両用発電機。
  13. 請求項11において、
    前記所定時間は、低回転時に長く、高回転時に短い値に設定されることを特徴とする車両用発電機。
  14. 請求項13において、
    前記ロードダンプ保護判定部は、回転数の高低を前記相巻線の電圧に基づいて検出することを特徴とする車両用発電機。
  15. 請求項11において、
    前記所定時間は、前記出力電圧が第1のしきい値電圧を超えて前記下アームを構成する前記スイッチング素子をオンする指示が出される前に、回転子の界磁極を磁化する界磁巻線に流れる励磁電流が多いときに短く、少ないときに長い値に設定されることを特徴とする車両用発電機。
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