JP3605993B2 - 車両用発電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用交流発電機に対して進相電流制御を行う車両用発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用エンジンの高効率化が進み、少ない燃料消費で高出力を得ることができるエンジンが開発され実用化されている。このようなエンジンでは、それ以前のエンジンと同じ駆動力を発生させたときの発熱量を比べると、エンジンの運転効率が上昇した分だけ発熱量が低く抑えられるため、始動直後のエンジン冷却水の上昇が遅くなり、暖機運転に時間がかかることになる。
【0003】
また、エンジン冷却水は、車載用のヒータの熱源にもなっているため、エンジン冷却水の温度上昇が遅くなるということは、それだけヒータの暖房能力も低下するということであり、特に冬場の朝にエンジンを始動してもヒータの吹き出し口から温風が出てくるまでにかなりの時間を要していた。
【0004】
このような暖房能力の低下を補う従来技術としては、電気ヒータや燃焼式暖房装置を用いて直接温風を吹き出させる方法が知られている。あるいは、従来から特開平4−4736号公報に開示されているような液冷式の車両用交流発電機が知られており、ステータコイル等を冷却する冷却液としてエンジン冷却水を用いることにより、エンジン始動直後は車両用交流発電機の廃熱によってエンジン冷却水を加熱することも考えられる。
【0005】
また、特開昭57−178912号公報には、加熱用の発電機を設け、ステータ巻線を短絡することで多くの廃熱を発生させ、冷却水の加熱性能を上げる技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように電気ヒータや燃焼式暖房装置を用いて直接温風を吹き出させる方法では、暖房のためだけにこれらの機器を取り付ける必要があり、コストの増大を招くとともに、取り付けスペースが必要になって車両の小型化、軽量化の妨げになるため、実用的ではない。また、車両用交流発電機の発熱によってエンジン冷却水を加熱しようとしても、車両用交流発電機の発熱量は電気負荷の大小によって変動するため、電気負荷が小さいと発熱量が少なくなって、エンジン冷却水の温度を上げるまでには至らないことになる。また、ステータ巻線を短絡する方法では、電気負荷への電力供給が停止されてしまうため、車両一般電気負荷への電力供給を行う発電機に使用することはできない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は車両用交流発電機により電気負荷に電力を供給するとともに、その発熱を利用してエンジン始動直後のエンジン冷却水の温度を上げることができる車両用発電装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用発電装置は、車両用交流発電機の電機子巻線に誘起された交流電圧を直流電圧に変換するために、スイッチング手段を所定のタイミングで開閉する交直電力変換手段を有しており、この開閉タイミングを発電制御装置によって切り替えることにより電機子巻線による発熱量を増加させている。したがって、車両用交流発電機の電気負荷が小さい場合であっても、電機子巻線による発熱量を増やすことができ、電機子巻線の冷却水としても使用されるエンジン冷却水の温度が低い場合に、このエンジン冷却水を速やかに加熱することができる。
【0009】
特に、上述したスイッチング手段の開閉タイミングを切り替えることにより、車両用交流発電機の発電効率を下げることができ、電機子巻線による発熱を増加させることができる。あるいは、上述したスイッチング手段の開閉タイミングを切り替えることにより、電機子巻線に誘起される起電力よりも電機子巻線に流れる電流の位相を進めることができ、負荷角δが大きくなって電機子巻線による発熱量を増加させることができる。
【0010】
また、上述した発電制御装置は、整流素子としてダイオードブリッジを用いた場合と等価的な発電制御を行う第1の発電モードと、これより発熱量が多い発熱優先の第2の発電モードとを選択的に切り替えて発電制御を行うことが可能であり、所定の発熱量増加要求があったときに第2の発電モードで発電制御を行っている。したがって、例えばエンジン水温検出手段によってエンジン冷却水の温度が所定値以下であることを検出したときに発熱量増加要求がなされるようにしておけば、エンジン冷却水の温度が低いときだけ、発熱量が多い第2の発電モードで発電制御を行うことができるため、それ以外のときには不必要な発熱を抑えた無駄のない発電制御を行うことができる。
【0011】
また、発電制御装置は、上述した第1の発電モードと第2の発電モードの他に、より多くの出力電流が取り出せる出力優先の第3の発電モードを有しており、所定の出力増加要求があったときに第3の発電モードで発電制御を行っている。したがって、例えば放電状態検出手段によってバッテリが放電状態にあることを検出したときに出力増加要求がなされるようにしておけば、高出力が要求されるときだけ第3の発電モードで発電制御を行うことができるため、それ以外のときには無理のない余裕を持った発電制御を行うことができる。つまり、車両電気負荷の要求に合わせた電力供給を維持しながら、要求に応じた廃熱の発熱量制御が可能となる。
【0012】
特に、発電制御装置は、車両用交流発電機に含まれる界磁巻線に流す界磁電流を断続することにより、車両用交流発電機の出力をほぼ一定に維持する出力電圧制御手段を備えているため、上述した放電状態検出手段は、この出力電圧制御手段による界磁電流の導通率を調べることにより、車載バッテリが放電状態であるか否かを容易に検出することができる。
【0013】
また、上述した交直電力変換手段は、電機子巻線の各出力端子に接続されたハイサイドスイッチとローサイドスイッチ(3相全波整流を考えた場合にはそれぞれ3個ずつのスイッチが必要)を有しており、発電制御装置の位相制御手段によってこれらの各スイッチをオフにするタイミングを次第に遅らせることにより、出力優先の第3のモード、さらには発熱優先の第2のモードが実現でき、いずれのモードを選択するかをモード切替手段によって設定するようにすれば、必要に応じて各種の発電モードを使い分けることができる。
【0014】
また、発電制御装置は交流発電機の回転数を検出する回転数検出手段を備えており、位相制御手段によって各スイッチをオフにするタイミングを回転数に応じて設定することにより、より正確に第2あるいは第3の発電モードの発電制御が可能となる。特に、各発電モードごとに、回転数と各スイッチをオフに切り替えるタイミングを特定するために必要なタイミングデータとの対応をテーブルの形でタイミングデータ記憶手段に記憶しておくことにより、各発電モードに対応した発電制御をリアルタイムに行うことができる。
【0015】
また、上述したスイッチング手段をIGBT、Si−MOSトランジスタなどと接合ダイオードの組み合わせを利用することで上述した位相制御による発電制御を行うことができるが、SiC−MOSトランジスタにより交直電力変換手段を構成することにより、高温時に低損失を実現できるため交直電力変換手段での損失が低減され出力電流を向上することで、上述した電機子巻線の発熱量を増すことができ、エンジン冷却水を速やかに加熱することができる。また、低損失が実現できるので従来のヒートシンクを小型化できることにより、電機子巻線の冷却水経路の確保が容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を適用した車両用発電装置は、エンジン冷却水を用いて電機子巻線であるステータコイル等の冷却を行う液冷式の車両用交流発電機(以後、「オルタネータ」と称する)の発熱量を制御することにより、エンジン冷却水の温度が低い場合にこれをオルタネータの廃熱によって効率よく加熱することに特徴がある。以下、本発明を適用した一の実施形態の車両用発電装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した一実施形態の車両用発電装置の詳細構成を示す図である。同図に示す車両用発電装置は、三相交流電圧を発生するとともにこれを整流して直流電流を出力するオルタネータ1と、このオルタネータ1の界磁電流を制御するとともにオルタネータ1に含まれる交直電力変換手段としての3相全波整流回路2における整流動作のタイミングを制御する発電制御装置3とを含んで構成される。
【0018】
オルタネータ1は、固定子であるステータに含まれるX相、Y相、Z相からなる3相のステータコイル10と、回転子であるロータに含まれる界磁巻線であるフィールドコイル12と、ステータコイル10の出力端子に誘起される3相交流電圧を全波整流する3相全波整流回路2とを備えている。このオルタネータ1は、少なくともステータコイル10がエンジン冷却水によって冷却される液冷式の構造を有しており、図示しないハウジング内に導入されたエンジン冷却水がステータコイル10で発生した熱を奪って再度ハウジング外に回収される気密構造を有している。
【0019】
3相全波整流回路2は、SiCで形成されたスイッチング手段としての6個のMOSFET20a〜20fを備えており、これらを3相ブリッジ接続した構成を有している。例えば、各MOSFETはNチャネルタイプであり、ソースからドレインに向かって電流が流れる方向に寄生ダイオードが形成されている。具体的には、正極側の3個のMOSFET20a、20b、20cのそれぞれのドレインがイグニッションスイッチ4を介してバッテリ5の正極側端子および電気負荷6の一方端に共通に接続され、MOSFET20a、20b、20cのそれぞれのソースがステータコイル10のX相、Y相、Z相の一方端に接続されている。また、負極側の3個のMOSFET20d、20e、20fのそれぞれのソースがバッテリ5の負極側端子および電気負荷6の他方端に共通に接続され、MOSFET20d、20e、20fのそれぞれのドレインがステータコイル10のX相、Y相、Z相の一方端に接続されている。なお、正極側の3個のMOSFET20a、20b、20cのそれぞれが半導体スイッチング素子からなるハイサイドスイッチに対応しており、負極側の3個のMOSFET20d、20e、20fのそれぞれが半導体スイッチング素子からなるローサイドスイッチに対応している。
【0020】
発電制御装置3は、オルタネータ1に含まれるフィールドコイル12に並列接続されるフライホイールダイオード30と、フィールドコイル12に流れる界磁電流を断続するスイッチングトランジスタ32と、このスイッチングトランジスタ32のオンオフ状態と上述した3相全波整流回路2に含まれる6個のMOSFET20a〜20fのそれぞれのスイッチングのタイミングを制御するコントローラ34とを備えている。
【0021】
図2は、発電制御装置3に含まれるコントローラ34の詳細な構成を示す図である。同図に示すように、コントローラ34は、オルタネータ1に含まれるステータコイル10のX、Y、Z相の各相電圧Va 、Vb 、Vc に応じた位相角信号Sa 、Sb 、Sc を生成する波形処理回路40と、いずれかの相電圧(例えばVc )に基づいてオルタネータ1の回転数を検出する回転数検出手段としての回転数検出回路42と、水温センサ7の出力に基づいてエンジン冷却水の水温を検出する水温検出手段としての水温検出回路44と、スイッチングトランジスタ32および6個のMOSFET20a〜20fのそれぞれのオンオフ切り替えタイミングを各種の発電モード(後述する)ごとに設定するタイミング処理部46と、このタイミング処理部46からの指示に応じてMOSFET20a〜20fのそれぞれのゲートに駆動電圧を印加するゲート駆動回路48とを備えている。
【0022】
また、タイミング処理部46は、3相全波整流回路2の出力端子(+B端子)とバッテリ5の正極端子(S端子)の電圧に基づいてスイッチングトランジスタ32をオンオフすることによりPWM制御を行ってオルタネータ1の出力電圧をほぼ一定に維持する出力電圧制御手段50と、スイッチングトランジスタ32のオンオフ状態と水温検出回路44によって検出されたエンジン冷却水の水温とに基づいて発電モードをノーマルモード、出力優先モード、発熱優先モードのいずれかに設定するモード切替手段52と、これらの各発電モードに対応させて各回転数毎に段階的に変化させるタイミングデータが予め記憶されたタイミングデータ記憶手段54と、いずれかの発電モードが設定されたときに、回転数検出回路42によって検出されたオルタネータ1の回転数に対応するタイミングデータをタイミングデータ記憶手段54から読み出し、波形処理回路40から出力される各位相角信号Sa 、Sb 、Sc をこのタイミングデータに応じて所定時間遅らせてゲート駆動回路48を駆動する位相制御手段56とを含んでいる。例えば、このタイミング処理部46は、マイクロコンピュータによって所定の制御プログラムを実行することにより実現されるものであり、その詳細な動作手順については後述する。また、タイミングデータ記憶手段54は、例えば半導体メモリによって構成することができる。
【0023】
本実施形態の車両用発電装置はこのような構成を有しており、その動作を説明する前に、発電モードとして設定されるノーマルモードと、出力優先モードおよび発熱優先モードを含む進相制御モードについて説明する。なお、ノーマルモードが第1の発電モードに、出力優先モードが第3の発電モードに、発熱優先モードが第2の発電モードにそれぞれ対応している。
【0024】
図3は、波形処理回路40から出力される位相角信号とゲート駆動回路48から出力されるゲート信号の関係を示す図である。同図に示す「位相角Sa 、Sb 、Sc 」のそれぞれは、波形処理回路40から出力される位相角信号であり、オルタネータ1のステータコイル10のX相、Y相、Z相のそれぞれに現れる相電圧Va 、Vb 、Vc が正電位にあるときにHレベルが、負電位にあるときにLレベルが対応している。
【0025】
ノーマルモードとは、3相全波整流回路2の各MOSFET20a〜20fをダイオードに置き換えて動作させた場合の発電状態を実現するものである。ダイオードブリッジを用いて整流を行う場合には、ダイオードの順方向電圧降下や配線による電圧降下を無視すると、ステータコイル10の各相電圧Va 、Vb 、Vc の絶対値がバッテリ5の端子間電圧の絶対値を越えた場合に、各ダイオードに順方向電流が流れる。したがって、各相電圧Va 、Vb 、Vc の絶対値がバッテリ5の端子間電圧の絶対値を越えた期間だけ、対応するMOSFET20a〜20fをオン状態に制御することにより、ノーマルモードの発電制御が実現できる。
【0026】
図3のノーマルモードの「ゲート信号Ga 〜Gf 」は、このようなタイミングで各MOSFET20a〜20fをオン状態に制御するためにゲート駆動回路48から出力されるものである。例えば、ステータコイル10のX相に着目すると、この相電圧Va が正電位になった後所定時間(所定角度Ta )だけ経過したときに、この相電圧Va がバッテリ電圧より高くなるものとすると、この角度Ta に相当する時間が経過したときにMOSFET20aに送るゲート信号Ga をHレベルに変化させる。また、この相電圧Va が負電位になるより所定角度Ta だけ前にこの相電圧Va がバッテリ電圧より低くなるため(オルタネータ1の出力波形に歪みがないものとする)、このタイミングでMOSFET20aに送るゲート信号Ga をLレベルに変化させる。他のゲート信号Gb 〜Gf についても同様であり、このようなゲート信号をMOSFET20a〜20fに入力することにより、ダイオードブリッジを用いて整流を行う場合と同様のノーマルモードの発電制御が可能となる。
【0027】
ところで、上述したノーマルモードの発電制御では、各MOSFET20a〜20fをダイオードと置き換えた場合と同様にそのオンオフ状態を制御したため、各MOSFET20a〜20fに電流が逆流することはなかったが、それぞれをオフ状態に切り替えるタイミングを遅らせることによりそれぞれに電流を逆流させて各MOSFET20a〜20fとステータコイル10との間に循環電流を流し、これにより発電効率を改善する進相電流制御を行うことができる。
【0028】
すなわち、図3の進相制御モードの「ゲート信号Ga 〜Gf 」に示すように、各位相角Sa 、Sb 、Sc の立ち上がりと立ち下がりをともに角度Tb だけ遅らせたゲート信号Ga 〜Gf を用いた場合には、各MOSFET20a〜20fのオン期間の後半に対応する相電圧の絶対値がバッテリ電圧の絶対値より小さくなる期間やこれを越えて相電圧の極性が反転する期間も含まれるため、MOSFET20a〜20fにオルタネータ1の出力電流が逆流してステータコイル10との間に循環電流が流れる。
【0029】
図4は、進相制御を行った際に流れる循環電流を説明するための図である。図3に示すある時刻tにおける発電状態を示す図である。時刻tにおいては、ゲート信号Gb とGf がHレベルであるため、MOSFET20bと20fを通してバッテリ5および電気負荷6に、図4に示す出力電流ia が流れる。また、このときステータコイル10のX相の相電圧Va は負電位になっているがMOSFET20aはオン状態のままであるため、MOSFET20a、20bとステータコイル10のX相、Y相との間に、図4に示す循環電流ib が流れる。この循環電流によって電流の位相を進ませることができ、その結果負荷角δが増加し、出力電流が増加する。このように、負荷角δは、MOSFET20a〜20fをオンオフするタイミングを遅らせることによって制御することができる。
【0030】
図5は、本実施形態の車両用発電装置の等価回路を示す図である。同図において、Eは無負荷起電力(起電圧)、Zs は同期インピーダンス、Vは相電圧、Iは同期インピーダンスZs に流れる電流である。なお、E、Zs 、V、Iはそれぞれベクトル量である。
【0031】
図6は、ノーマルモードに対応する円線図である。電流ベクトルI0 は、相電圧ベクトルVに対して遅れ角度θ0 となり、出力は、V・I0 (=|V||I0 |cos θ0 )となる。このような、ノーマルモードの状態における負荷角δ0 を次第に増加させると、電流ベクトルIは半径apの円周上の軌跡を移動し、負荷角δの変化に伴って増加する。そして、電流ベクトルIは、d点において遅れ角度θが0となって力率1となり、このd点を越えると進み電流となる。
【0032】
図7は、電流ベクトルIが進み電流となった場合の円線図である。円周上のd点をすぎたe点における電流ベクトルI1 は増大し、ノーマルモードの電流ベクトルI0 より大きくなって、出力V・I1 (=|V||I1 |cos θ1 )も増加する。さらに、負荷角がδ2 となるf点に達すると、電流ベクトルI2 はさらに増大し、出力V・I2 (=|V||I2 |cos θ2 )は最大となる。
【0033】
図8は、出力最大点(f点)を越えた場合の円線図である。円周上のf点を過ぎても電流ベクトルIは増加するが、出力V・Iは減少する。すなわち、ステータコイル10に流れる電流は増加するが、出力として取り出すことができる電流は減少する。これは、電流として取り出すことができない循環電流が増加することを示しており、これに伴って発熱量が増す。安定限界線上のg点に達すると、負荷角δ3 となって、発熱量が最大となる。
【0034】
このように、進相制御を行って負荷角δを大きくしていって出力最大になったときの発電状態を出力優先モード、さらに負荷角δを大きくしていって発熱量最大になったときの発電状態を発熱優先モードという。ノーマルモード(負荷角δ0 )のときに取り出すことができる電流をi0 、出力優先モード(負荷角δ2 )のときに取り出すことができる電流をi2 、発熱優先モード(負荷角δ3 )のときに取り出すことができる電流をi3 とすると、i0 =i3 <i2 となる。したがって、発熱優先モードにすることにより、電気負荷6に供給する出力電流をノーマルモードと同じに保ちながら、オルタネータ1のステータコイル10による発熱量を増加させることができる。
【0035】
図9は、進相制御を行って負荷角を大きくしていった場合の出力電流IALT と循環電流Is の関係を示す図である。同図に示すように、ノーマルモードの負荷角δ0 から次第に遅延角度T(図3に示す遅延角度Tb )を増していったときに、出力IALT が最大となる負荷角δ2 、および循環電流Is が増大していってステータコイル10に流れる電流(IALT +Is )に比例して発熱量も最大となるδ3 を設定することができる。
【0036】
次に、本実施形態の車両用発電装置の動作を説明する。上述したように、本実施形態の車両用発電装置は、3相全波整流回路2に含まれるMOSFET20a〜20fのオンオフ切り替えのタイミングを制御することにより、同じ出力電流を取り出すことができるノーマルモードと発熱優先モードの2種類の発電状態を有しており、エンジン始動直後のエンジン冷却水の温度が低い場合には発熱優先モードで発電を行い、エンジン冷却水の温度が高くなった後はノーマルモードで発電を行う。また、この車両用発電装置は、電気負荷6が大きくなってバッテリ5が放電していると判断すると、ノーマルモードと発熱優先モードのいずれの状態にあるかにかかわらず出力優先モードで発電を行って、バッテリ上がりを防止する。
【0037】
図10は、本実施形態の車両用発電装置の動作手順を示す流れ図であり、主に発電制御装置3内のコントローラ34に含まれるタイミング処理部46による発電制御の動作手順が示されている。イグニッションスイッチ4がオン状態になって発電制御装置3が動作可能な状態になると、まずタイミング処理部46のモード切替手段52は、エンジン冷却水の温度が所定値より高いか否かを判定し(ステップ100)、エンジン始動直後であってエンジン冷却水の温度が所定値より低い場合には発電モードを発熱優先モードに設定する(ステップ101)。このようにして発熱優先モードに設定された後、位相制御手段56による所定のタイミング制御および出力電圧制御手段50による界磁電流制御が行われる(ステップ103、104)。
【0038】
具体的には、位相制御手段56は、タイミングデータ記憶手段54に格納されているテーブルから、回転数検出回路42によって検出されたその時点の回転数Nに対応する発熱優先モードの遅延角度T3 を読み出し、波形処理回路40から出力される位相角信号Sa 、Sb 、Sc をこの読み出した遅延角度T3 だけ遅延させたゲート信号Ga 〜Gf を生成する。このようにして生成されたゲート信号Ga 〜Gf に基づいて、ゲート駆動回路48によってMOSFET20a〜20fのオンオフタイミングが制御される。
【0039】
図11は、タイミングデータ記憶手段54に格納されたテーブルの一例を示す図である。同図に示すように、このテーブルには各回転数N毎にノーマルモード、出力優先モード、発熱優先モードのそれぞれに対応した遅延角度T0 、T2 、T3 がタイミングデータとして格納されている。図6〜図8に示した各発電モードの負荷角δ0 、δ2 、δ3 を実現するために必要な遅延角度T0 、T2 、T3 が、それぞれシミュレーション計算によってあるいは実測によって求められ、これらの計算結果あるいは実測結果が各回転数N毎に分類されて図11に示すテーブルとして格納されている。したがって、その時点におけるオルタネータ1の回転数Nとどのモードに設定されているかが決まれば、ノーマルモードの制御を行うために必要な角度T0 、あるいは発熱優先モードや出力優先モードの制御を行うために必要な遅延角度T3 、T2 が特定される。
【0040】
このようにして、エンジン冷却水の温度が低い場合には発熱優先モードに設定されてMOSFET20a〜20fのオンオフタイミングを変更するタイミング制御が行われる。また、この位相制御手段56によるタイミング制御と並行して、あるいはこのタイミング制御の後に、出力電圧制御手段50は、所定の界磁電流制御を行い、この界磁電流制御によって設定された所定の導通率Fdutyを有するスイッチング信号がスイッチングトランジスタ32に送られてそのオンオフ制御がなされて、オルタネータ1のフィールドコイル12に所定の界磁電流が供給される。界磁電流制御の詳細については後述する。
【0041】
次に、モード切替手段52は、出力電圧制御手段50からスイッチングトランジスタ32に送られるスイッチング信号の導通率Fdutyが所定の最大値(例えば99%)以上であるか否かを判定し(ステップ105)、最大値未満である場合(オルタネータ1の発電状態に余裕がある場合)には、上述したステップ100に戻って処理を繰り返す。このようにして、エンジン冷却水の温度が上昇して所定値を越えるまで発熱優先モードで発電制御が行われる。なお、上述したステップ105における判定処理を行うモード切替手段52が放電状態検出手段に対応している。
【0042】
また、エンジン始動後ある程度時間が経過して、エンジン冷却水の温度が所定値を越えると、ステップ100において肯定判断が行われ、次にモード切替手段52は、発電モードをノーマルモードに設定する(ステップ102)。上述した発熱優先モードの場合と同様に、位相制御手段56は、タイミングデータ記憶手段54に格納されている図11に示すテーブルから、その時点の回転数に対応するノーマルモードの角度T0 を読み出し、波形処理回路40から出力される位相角信号Sa 、Sb 、Sc とこの読み出した角度T0 とに基づいてノーマルモード用のゲート信号Ga 〜Gf を生成する。このようにして生成されたゲート信号Ga 〜Gf に基づいて、ゲート駆動回路48によってMOSFET20a〜20fのオンオフタイミングが制御される(ステップ103)。このようにして、エンジン冷却水の温度が上昇して所定値を越えた後はノーマルモードで発電制御が行われる。
【0043】
上述したように、エンジン冷却水の温度に応じてノーマルモードあるいは発熱優先モードに設定されて発電制御が行われるが、界磁電流を制御するスイッチングトランジスタ32の導通率であるFdutyが所定の最大値以上であるとき(ステップ105で肯定判断)には、モード切替手段52は、バッテリ5が放電していると判断し、バッテリ上がりを防止するために、発電モードを出力優先モードに設定する(ステップ106)。以後、上述した発熱優先モードやノーマルモードの場合と同様に、位相制御手段56は、タイミングデータ記憶手段54に格納されているテーブルから、その時点の回転数に対応する出力優先モードの遅延角度T2 を読み出し、波形処理回路40から出力される位相角信号Sa 、Sb 、Sc をこの読み出した遅延角度δ2 だけ遅延させたゲート信号Ga 〜Gf を生成する。このようにして生成されたゲート信号Ga 〜Gf に基づいて、ゲート駆動回路48によってMOSFET20a〜20fのオンオフタイミングが制御される。このようにして、Fdutyが所定の最大値以上になると出力優先モードで発電制御が行われ、Fdutyが所定の最大値未満に戻ると再び発熱優先モードあるいはノーマルモードによる発電制御が行われる。
【0044】
図12は、上述したステップ104において実行される界磁電流制御の具体的な動作手順を示す流れ図である。出力電圧制御手段50は、S端子を介して印加されるバッテリ5の端子電圧Vs が所定の設定電圧Vreg 以上であるか否かを判定し(ステップ200)、設定電圧Vreg 以上である場合にはスイッチングトランジスタ32の導通率であるFdutyを所定値分低下させ(ステップ201)、反対に設定電圧Vreg 未満である場合にはFdutyを所定値分上昇させる(ステップ202)。このようなFdutyの調整はステップ104における界磁電流制御処理が実行されるたびに行われる。したがって、バッテリ電圧Vs が所定の設定値Vreg 以上である場合にはFdutyが徐々に低下するため、3相全波整流回路2の出力電圧+Bが次第に低くなり、反対にバッテリ電圧Vs が所定の設定値Vreg 未満である場合にはFdutyが徐々に上昇するため、3相全波整流回路2の出力電圧+Bが次第に高くなり、結局バッテリ電圧Vs が所定の設定値Vreg に等しくなるように制御される。
【0045】
このように、エンジン始動直後においてエンジン冷却水の温度が低い場合には、発熱優先モードに設定されて効率を下げた状態で発電制御が行われ、オルタネータ1のステータコイル10に流れる循環電流が増大して発熱量が増すため、エンジン冷却水の温度を速やかに上昇させることができる。このため、エンジン冷却水の熱を利用したヒータから吹き出される温風の温度も速やかに上昇し、補助的に電気ヒータや燃焼式暖房器具を使用する必要がなくなる。
【0046】
また、エンジン冷却水の温度が高くなった後は、ノーマルモードに設定されて効率を上げた状態で発電制御が行われるため、オルタネータ1の各部の温度が下がってこれら各部の耐久性向上に奏することができ、同じ出力を得るために必要な駆動力も発熱優先モードに比べると少なくて済むためエンジンにかかる負担を減らすことができる。
【0047】
また、電気負荷6が増えてバッテリ5から放電された状態になった場合には、出力優先モードに設定され、効率をさらに上げて取り出すことができる出力電流が最大となる状態で発電制御が行われるため、バッテリ上がりを防止することができる。
【0048】
特に、上述したノーマルモード、発熱優先モード、出力優先モードのそれぞれの発電制御を行うために必要な回転数毎のタイミングデータがタイミングデータ記憶手段54にテーブルの形で格納されているため、その時点での回転数に応じてこのテーブルから必要なデータを読み出すだけで、所望の発電モードの制御をリアルタイムに行うことができる。
【0049】
図13は、発熱優先モードで発電制御を行う場合に、ステータコイル10に流れる循環電流を徐々に増やすことにより、ステータコイル10の急激な温度上昇を抑えた場合の動作手順を示す流れ図である。図10に示した発電制御動作に対して、ステップ101の発熱優先モードの設定処理を以下に示すステップ101a、101b、101cの各処理に置き換えた点が異なっている。
【0050】
エンジン冷却水の温度が所定値以下である場合にはステップ100において否定判断が行わ、次にモード切替手段52は、進相電流制御を行うための遅延角度Tが発熱優先モードの遅延角度T3 と同じか否かを判定する(ステップ101a)。例えば最初は遅延角度Tが0に設定されており、次にモード切替手段52は、タイマを起動してあるいは既にタイマが起動されている場合にはそのタイマを監視することにより、一定時間が経過したか否かを判定し(ステップ101b)、一定時間を経過したときには現時点における遅延角度Tに所定値を加算して遅延角度Tを増加させる(ステップ101c)。
【0051】
また、遅延角度Tが発熱優先モードの遅延角度T3 に等しい場合(現時点の遅延角度Tに所定値を繰り返し加算していった結果T3 に等しくなった場合)にはステップ101aで肯定判断が行われ、あるいはタイマを起動してから一定時間が経過しない間はステップ101bで否定判断が行われ、その時点の遅延角度Tを維持した状態で、所定のタイミング制御および界磁電流制御が行われる(ステップ103)。
【0052】
このように、エンジン冷却水の温度が低い場合であっても最初から発熱優先モードに設定して発電制御を行うのではなく、遅延角度Tを徐々に増やしていって負荷角δを次第に増加させており、ステータコイル10に流れる循環電流が少しずつ増えるため、ステータコイル10および他の構成部品の急激な温度上昇を緩和することができる。したがって、オルタネータ1の各部品、特にエンジン冷却水を密閉するためのシール部の寿命を向上させることができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、発熱優先モードに対応させてステータコイル10の発熱量が最大となる安定限界線近傍の負荷角δ3 を、出力優先モードに対応させて外部に取り出すことができる出力が最大となる負荷角δ2 をそれぞれ実現するようにしたが、必ずしも発熱量あるいは出力が最大となる必要はなく、それらの負荷角δ3 、δ2 の近傍の負荷角δ3 ′、δ2 ′のときを発熱優先モード、出力優先モードとして発電制御を行うようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、ノーマルモードと発熱優先モードの他に、バッテリ上がりを防止するために出力優先モードを設けたが、従来のダイオードブリッジによる全波整流回路を有する発電機にエンジン冷却水の加熱機構を追加するだけでよい場合には、必ずしも出力優先モードを設ける必要はなく、ノーマルモードの他に発熱優先モードのみを設けるようにしてもよい。
【0055】
また、図13に示した動作手順においては、エンジン冷却水の温度が低い場合に、遅延角度Tを一定時間に所定量ずつ増やしていって最終的に発熱量最大の負荷角δ3 を実現するようにしたが、制御開始時(加熱開始時)のエンジン冷却水の温度の高低によって、この一定時間毎に増やす所定量を変えてもよい。すなわち、エンジン冷却水の温度が極端に低い場合には増加量ΔTを大きく設定し、エンジン冷却水の温度がそれほど低くない場合には増加量ΔTを小さく設定することにより、エンジン冷却水の温度が高くなるまでの時間を加熱開始時の温度によらず、ある程度近づけることができる。具体的には、図14に示すように、エンジン冷却水の温度tmpと、これに対応する遅延角度Tの増加量ΔTとの関係をテーブルの形でメモリに記憶しておいて、加熱開始時のエンジン冷却水の温度に対応した増加量ΔTを読み出すようにすればよい。あるいは、増加量ΔTをエンジン冷却水の温度に応じて変える代わりに、増加量ΔTを一定にして次にこの増加量を加算するまでの時間間隔を、エンジン冷却水の温度が低い場合には短く、ある程度高い場合には長く設定するようにしてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、3相全波整流回路2としてMOSFET20a〜20fを用いたが、従来からあるダイオードブリッジによる3相全波整流回路とスイッチング素子による短絡回路を組み合わせて用いるようにしてもよい。短絡回路としては、図15(A)に示すようなスイッチング素子をブリッジ構造に接続したもの、図15(B)に示すようなΔ結線を行ったもの、図15(C)に示すようにY結線を行ったものが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態の車両用発電装置の詳細構成を示す図である。
【図2】発電制御装置に含まれるコントローラの詳細な構成を示す図である。
【図3】波形処理回路から出力される位相角信号とゲート駆動回路から出力されるゲート信号の関係を示す図である。
【図4】進相制御を行った際に流れる循環電流を説明するための図である。
【図5】本実施形態の車両用発電装置の等価回路を示す図である。
【図6】ノーマルモードに対応する円線図である。
【図7】電流ベクトルIが進み電流となった場合の円線図である。
【図8】出力最大点を越えた場合の円線図である。
【図9】進相制御を行って負荷角を大きくしていった場合の出力電流と循環電流の関係を示す図である。
【図10】本実施形態の車両用発電装置の動作手順を示す流れ図である。
【図11】タイミングデータ記憶手段に格納されたテーブルの一例を示す図である。
【図12】界磁電流制御の具体的な動作手順を示す流れ図である。
【図13】発熱優先モードで発電制御を行う場合にステータコイルの循環電流を徐々に増やす場合の動作手順を示す流れ図である。
【図14】エンジン冷却水の温度と遅延角度の増分との関係を示す図である。
【図15】ダイオードブリッジによる整流回路と短絡回路とを組み合わせた場合の変形例の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 オルタネータ
2 3相全波整流回路
3 発電制御装置
5 バッテリ
6 電気負荷
7 水温センサ
32 スイッチングトランジスタ
34 コントローラ
40 波形処理回路
42 回転数検出回路
44 水温検出回路
46 タイミング処理部
48 ゲート駆動回路
50 出力電圧制御手段
52 モード切替手段
54 タイミングデータ記憶手段
56 位相制御手段
Claims (13)
- エンジン冷却水によって冷却される電機子巻線と、スイッチング手段を所定のタイミングで開閉することにより前記電機子巻線に誘起された交流電圧を整流して直流電圧に変換する交直電力変換手段とを有する車両用交流発電機と、
前記スイッチング手段を開閉するタイミングを切り替えることにより、前記電機子巻線による発熱量を増加させる制御を行う発電制御装置と、
を備えることを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項1において、
前記発電制御装置は、前記スイッチング手段を開閉するタイミングを切り替えて、前記車両用交流発電機の発電効率を下げることにより、前記電機子巻線の発熱量を増加させることを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項1において、
前記発電制御装置は、前記スイッチング手段を開閉するタイミングを遅らせて、前記電機子巻線に誘起される起電力よりも前記電機子巻線に流れる電流の位相を進めることにより、前記電機子巻線による発熱量を増加させることを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記発電制御装置は、整流素子としてダイオードブリッジを用いた場合と等価的な発電制御を行う第1の発電モードと、前記第1の発電モードと同等の出力電流が取り出せるとともに前記電機子巻線の発熱量が増加するように発電制御を行う第2の発電モードとを有しており、所定の発熱量増加要求があったときに、前記第2の発電モードで発電制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項4において、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温検出手段をさらに備えており、
前記発電制御装置は、前記水温検出手段によって検出した前記エンジン冷却水の温度が所定値以下であるときに、前記第2の発電モードで発電制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項4または5において、
前記発電制御装置は、前記第1の発電モードと前記第2の発電モードの他に、前記スイッチング手段を開閉するタイミングを切り替えることにより前記第1および第2の発電モードよりも多くの出力電流が取り出せる第3の発電モードを有しており、所定の出力増加要求があったときに、前記第3の発電モードで発電制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項6において、
車載バッテリが放電状態にあることを検出する放電状態検出手段をさらに備えており、
前記発電制御装置は、前記放電状態検出手段によって前記車載用バッテリが放電状態にあると判断されたときに、前記第3の発電モードで発電制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項7において、
前記発電制御装置は、前記車両用交流発電機に含まれる界磁巻線に流す界磁電流を断続することにより、前記車両用交流発電機の出力をほぼ一定に維持する出力電圧制御手段をさらに備えており、
前記放電状態検出手段は、前記出力電圧制御手段による界磁電流の導通率が所定値以上であるときに、前記車載バッテリが放電状態であることを検出することを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項5において、
前記交直電力変換手段に含まれるスイッチング手段は、
前記電機子巻線の各相の出力端と正極側出力端子との間に個別に接続された半導体スイッチング素子からなるハイサイドスイッチと、
前記電機子巻線の各相の出力端と負極側出力端子との間に個別に接続された半導体スイッチング素子からなるローサイドスイッチとを有し、
前記発電制御装置は、
前記水温検出手段によって検出した前記エンジン冷却水の温度が所定値以下であるときに前記第2の発電モードに設定するモード切替手段と、
前記電機子巻線の出力端の電位が所定電位以下になってから所定期間経過後に前記ハイサイドスイッチをオフし、前記電機子巻線の出力端の電位が所定電位以上になってから所定期間経過後に前記ローサイドスイッチをオフする位相制御手段とを有し、
前記モード切替手段によって前記第2の発電モードに設定されたときに、位相制御手段によって前記第2の発電モードで発電制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項8において、
前記交直電力変換手段に含まれるスイッチング手段は、
前記電機子巻線の各相の出力端と正極側出力端子との間に個別に接続された半導体スイッチング素子からなるハイサイドスイッチと、
前記電機子巻線の各相の出力端と負極側出力端子との間に個別に接続された半導体スイッチング素子からなるローサイドスイッチとを有し、
前記発電制御装置は、
前記水温検出手段によって前記エンジン冷却水の温度が所定値以下であることを検出したときに前記第2の発電モードに設定し、前記放電状態検出手段によって前記車載バッテリが放電状態であることを検出したときに前記第3の発電モードに設定するモード切替手段と、
前記電機子巻線の出力端の電位が所定電位以下になってから所定期間経過後に前記ハイサイドスイッチをオフし、前記電機子巻線の出力端の電位が所定電位以上になってから所定期間経過後に前記ローサイドスイッチをオフする位相制御手段とを有し、
前記モード切替手段によって前記第2の発電モードあるいは第3の発電モードに設定されたときに、位相制御手段によって前記第2の発電モードおよび第3の発電モードのそれぞれに対応した前記所定期間を設定して発電制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項9または10において、
前記発電制御装置は、前記車両用交流発電機の回転数を検出する回転数検出手段をさらに備えており、
前記位相制御手段は、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチをオフするまでの前記所定期間を、前記回転数検出手段によって検出された回転数に応じて設定することを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項11において、
前記発電制御装置は、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチをオフするまでの前記所定期間に関するタイミングデータを前記車両用交流発電機の回転数に対応させたテーブルとして記憶するタイミングデータ記憶手段をさらに有しており、
前記位相制御手段は、前記回転数検出手段によって検出された前記車両用交流発電機の回転数に応じて、対応する前記タイミングデータを読み出して所定の制御を行うことを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項1において、
前記スイッチング手段としてSiC−MOSトランジスタを用いることにより前記交直電力変換手段を構成することを特徴とする車両用発電装置。
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