JP5441951B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
始動、アシスト等の駆動時におけるスイッチング素子の発熱は、通電による発熱と電流遮断時に発生するスイッチングオフ時の損失による発熱があげられる。これらは電流が大きいほど増加する傾向にあるが、回転電機の回転速度が低回転ほど電流が大きくなるため、始動や駆動時では発熱量が大きくなる。そのため、スイッチング素子の温度が大幅に上昇し、最悪の場合素子が破損する恐れがある。
また、コンデンサを用いることでスイッチングオフ時の損失を吸収することは可能であるが、エンジンルームのような高温になる場所ではコンデンサの寿命が短くなるため、必要以上にサイズ、重量アップやコストアップにつながってしまう。また、自動車に用いる製品には小型軽量化が求められており、特にエンジンルームでは大型のコンデンサを搭載する場所の確保が困難である。
また、スイッチング素子のアバランシェ領域を用いて過電圧を防止する構成が上記特許文献2に記載されているが、駆動中に使用する方法については記載されていない。
また、発熱量が低減されることでスイッチング素子の温度上昇が抑制されるため駆動時間を延長することや、同じ駆動時間でも温度上昇が低減されるため、雰囲気温度をより高温で使用可能である。
さらに、スイッチング素子自身でスイッチングオフ時のスイッチング損失を受け持つことで、コンデンサを不要に、あるいは容量を減らすことができ、コスト削減、サイズ、重量の低減につながる。
駆動源として、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関101と回転電機102を含んでいる。これらは、直接結合あるいはベルトやプーリーなどの結合手段104を介してお互いにトルクの授受可能な状態で配置されている。また、回転電機102は、蓄電池103と電気的に接続されている。この蓄電池103は、他の車両用負荷とともに共用する蓄電池でも、本回転電機102専用であっても良い。
モータ・ジェネレータ部200は、3相のY型もしくはΔ型結線された電機子巻線201と界磁巻線202により構成されている。なお、モータ・ジェネレータ部200は、3相以外の電機子巻線を用いてもよい。
U相上アームスイッチング素子303a、V相上アームスイッチング素子303b、W相上アームスイッチング素子303cで上アームを、U相下アームスイッチング素子304a、V相下アームスイッチング素子304b、及びW相下アームスイッチング素子304cで下アームを構成している。
実施の形態1における駆動制御部420の構成を図3に示す。
図3に示すように、駆動制御部420は、回転電機102の回転速度を検出する回転速度検出部421と、電力の入出力端子であるB端子と基準電位との間に発生するB端子電圧を検出するB端子電圧検出部422と、界磁巻線に流れる界磁電流を検出する界磁電流検出部423を備え、これらで検出した回転速度、B端子電圧、界磁電流及びトルク指令値427とが演算手段426に入力される。また、マップ記憶手段425に記憶されている位相ずらし量や界磁電流のマップを元に演算手段426の位相ずらし量演算部426a、界磁電流指令値演算部426bにより、必要なトルクに対しスイッチング時の遮断電流が最小となる位相ずらし量と界磁電流指令値とを決める。
なお、ここでの回転速度検出部421は、レゾルバ、エンコーダ、ホール素子などのセンサにより位置情報を得るものでも、誘起電圧や相電流などのように電気特性から位置情報を推測するものでも良い。
なお、図4において白四角は界磁電流が5Aの場合、白丸は10Aの場合、白三角は20Aの場合を示している。
スイッチング損失は、電力変換用スイッチング素子303a〜303c、304a〜304c(例えばMOSFET)のアバランシェ降伏を用いてスイッチングオフ時の電圧上昇を緩和することで、素子自身でスイッチング損失を受け持つことになり、コンデンサ等の容量を低減でき、サイズ、重量、コストを低減することができる。
スイッチング損失Eは、遮断電流Ioffによる影響が大きいことから、駆動時はスイッチング損失が大きくなる。そこで、目標のトルクに対して界磁電流と位相ずらし量を最適化することで、目標トルクを出しつつ、スイッチングオフ時の遮断電流Ioffを使用範囲内で略最小にすることができ、駆動時のスイッチング素子に加わるスイッチング損失を低減でき、温度低減につながる。
なお、図6(a)は界磁電流をそれぞれ黒四角は5A、黒丸は10A、黒三角は20Aとしたときの位相ずらし量とジュール発熱との関係を示す図で、図6(b)は界磁電流をそれぞれ白四角は5A、白丸は10A、白三角は20Aとしたときの位相ずらし量とスイッチング損失の1secあたりの時間平均の関係を示す図である。
また、発熱量が低減されることでスイッチング素子の温度上昇が抑制されるため、駆動時間を延長することや、同じ駆動時間でも温度上昇が低減されるため、より高温の雰囲気中で使用可能である。
さらに、電力変換用スイッチング素子の冷却に必要な冷却手段の小型軽量化が可能となり、ひいては回転電機全体の小型軽量化が可能となる。
好ましくは例えば小容量のセラミックコンデンサを用いることで、全体サイズの小型化が可能である。
実施の形態1では、マップ記憶手段425のマップは、駆動トルクと位相ずらし量の関係を界磁電流ごとに設けており、演算手段426内の位相ずらし量演算部426aと界磁電流指令値演算部426bで、位相ずらし量、界磁電流指令値を決めていたが、界磁電流を最大とすることで、位相ずらし量に対する遮断電流が、他の界磁電流と比べてどの位相ずらし量でも最小となる。また、位相ずらし量を調整することで遮断電流をマップ内の最小とすることができる。
モータが多相(3相以上)であり、対応する電力変換用スイッチング素子303a〜303c、304a〜304cのうち少なくとも2相のスイッチング素子でアバランシェ電圧を揃えることで、スイッチング損失を2相で受け持つことができ1相だけが集中的に温度上昇するのを防ぐことが可能である。
実施の形態3によれば、スイッチング損失が1相に集中するのを防ぐことで、スイッチング素子の急激な温度上昇を防ぐことが可能である。
実施の形態1では、位相ずらし量の大きさに関わらず、(ジュール発熱)<(スイッチング損失の1secあたりの時間平均)となるマップを用いていたが、図7のようにマップを部分的に(ジュール発熱)>(スイッチング損失の1secあたりの時間平均)とすることで、位相ずらし量に対するトルク変動を抑えることができる。なお、図7に示す実施例では、(ジュール発熱)>(スイッチング損失の1secあたりの時間平均)となる位相ずらし量は60〜100degとなっている。
Claims (5)
- パワー回路用半導体スイッチング素子を有し、電力の入出力端子であるB端子を介して蓄電池と接続されて、モータ・ジェネレータ部における電機子巻線および界磁巻線に電流を供給する電力変換部と、前記電力変換部による前記電機子巻線および界磁巻線に供給する電流を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記B端子と基準電位との間に発生するB端子電圧を検出するB端子電圧検出手段と、前記界磁巻線に流れる界磁電流を検出する界磁電流検出手段と、通電位相を制御するためのマップを記憶するマップ記憶手段と、検出した回転速度、B端子電圧、界磁電流と前記マップ記憶手段にあるマップから位相ずらし量、界磁電流指令値を決める演算手段と、前記演算手段から得られた前記界磁電流指令値になるように制御する界磁電流制御部と、前記演算手段から前記パワー回路用半導体スイッチング素子に矩形波電圧を印加するタイミングを制御する矩形波印加電圧指令部と、前記矩形波印加電圧指令部と前記界磁電流制御部からの信号を出力するゲート駆動部とを備え、前記パワー回路用半導体スイッチング素子のアバランシェ降伏を用いてスイッチングオフ時の電圧上昇を緩和するとともに、スイッチングオフ時に前記スイッチング素子に流れている電流が略最小となるように、前記マップ記憶手段に記憶されているマップから前記各検出手段により検出したB端子電圧、回転速度ごとに前記演算手段を用いて界磁電流、位相ずらし量を変更するようにしたことを特徴とする回転電機。
- 前記界磁巻線に流れる界磁電流が最大となるよう制御することで遮断電流を最小としてスイッチング損失を低減するようにしたことを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 電機子巻線が3相以上の回転電機において、対応するスイッチング素子のうち少なくとも2相のスイッチング素子のアバランシェ電圧を揃えて、スイッチング損失を少なくとも2相で受け持つようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
- スイッチングオフ時の損失のジュール発熱が、スイッチング損失の1secあたりの時間平均より大となるように、前記マップ記憶手段に記憶されているマップから前記演算手段により界磁電流及び位相ずらし量を制御するようにしたことを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記パワー回路用半導体スイッチング素子自体でスイッチング損失を受け持つことで、スイッチングオフ時の損失を吸収するコンデンサを不要あるいは容量を小さくしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
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