JP5584594B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5584594B2
JP5584594B2 JP2010254739A JP2010254739A JP5584594B2 JP 5584594 B2 JP5584594 B2 JP 5584594B2 JP 2010254739 A JP2010254739 A JP 2010254739A JP 2010254739 A JP2010254739 A JP 2010254739A JP 5584594 B2 JP5584594 B2 JP 5584594B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
mass
resin composition
polypropylene
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010254739A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012107078A5 (ja
JP2012107078A (ja
Inventor
吉男 杉本
竜也 楠本
泰丈 工藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Prime Polymer Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Prime Polymer Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Prime Polymer Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Prime Polymer Co Ltd
Priority to JP2010254739A priority Critical patent/JP5584594B2/ja
Publication of JP2012107078A publication Critical patent/JP2012107078A/ja
Publication of JP2012107078A5 publication Critical patent/JP2012107078A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5584594B2 publication Critical patent/JP5584594B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、機械的特性に優れ、フローマークやウェルドマークが目立ちにくく、低光沢性や耐傷つき性にも優れ、且つガラス霞性に優れた自動車内装部品を製造するのに好適なポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン樹脂組成物を射出成形することにより得られる成形体は、その優れた機械物性、成形性、経済性により、自動車部品や家電部品など種々の分野で利用されている。
自動車部品分野では、ポリプロピレンを単体で用いるほか、ポリプロピレンにエチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−ブテン共重合体(EBR)、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリスチレン−エチレン/ブテン−ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)等のゴム成分を添加して衝撃性を改善したポリプロピレン樹脂組成物(特許文献1,2参照)、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機充填剤を添加し剛性を改善したポリプロピレン樹脂組成物、またゴム成分、無機充填剤を共に添加し優れた機械物性を付与したポリプロピレン樹脂組成物が使用されている。また近年、フローマーク(トラシマ)、ウェルドマーク等の外観改善のための研究が進み、自動車部品におけるポリプロピレンの使用割合を伸ばしてきた。
一方、ポリプロピレンの射出成形体は、一般に耐傷付性が低く、光沢外観を有することから、意匠性改善のために塗装、表皮貼合といった後工程を施して用いられることが多く、また耐傷付き性を改良する為に用いられる添加剤等がガラス霞性を悪化させるという問題点があり、その優れた経済性効果が充分に享受されていない。そして、トラシマ、ウェルド等の外観を改善する近年の技術向上により、自動車内装部品での後工程削減が進んではいるが、耐傷付性が低く、光沢が高く、ガラス霞性が悪いことから、インパネ、コンソールボックス等の内装部品においては後工程の削減には至っていない。
上記の公報等に記載のポリプロピレン樹脂組成物を用いたとしても、更に高い品質が求められている自動車内装部品用途については耐傷付き性、低光沢性、ガラス霞性の更なるバランス向上が求められていた。
特開2006−307015号公報 特開2006−316103号公報
本発明は、射出成形性に優れ、機械的特性に優れ、フローマークやウェルドマークを生じにくく、しかも、低光沢性や耐傷つき性に優れ、且つガラス霞性に優れた自動車内装部品を製造するのに好適なポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記のポリプロピレン系樹脂組成物を用いることで、射出成形性に優れ、機械的特性に優れ、フローマークやウェルドマークを生じにくく、しかも、低光沢性や耐傷つき性に優れ、且つガラス霞性に優れた自動車内装部品を製造するのに好適であることを見出し、発明を完成させた。
すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
(A)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が30〜70g/10分で、23℃におけるn−デカン可溶分量が5〜15質量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体:50〜66質量%、
(B−1)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.4g/10分未満である、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体:5〜15質量%、
(B−2)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5g/10分以上、20g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体:5〜15質量%(ただし、(B−1)成分と(B−2)成分の合計量が19〜25質量%)、
(C)タルク:15〜30質量%、
(ただし、成分(A)、(B−1)、(B−2)および(C)の合計量は100質量%)
からなる(F)樹脂組成物100重量部に対して、
(D)ポリプロピレン単独重合体を有機溶媒に溶解し、次いで無水脂肪酸およびラジカル開始剤を反応させる事により製造された無水脂肪酸変性ポリプロピレン:0.1〜0.45重量部、および
(E)エルカ酸アミド:0.1〜0.5重量部、
を配合してなることを特徴としている。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物では、(B−1)成分の23℃におけるn−デカン可溶分の極限粘度[η]が2.0〜2.4dl/gであり、(B−2)成分の23℃におけるn−デカン可溶分の極限粘度[η]が1.0〜2.0dl/gであることが好ましく、(B−1)成分と(B−2)成分の合計量に対する(B−1)成分の割合が、40〜60質量%であることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物では、(C)タルクが、平均粒径が3〜5μmのタルクであることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形性に優れ、得られる成形体は、機械的特性に優れ、フローマークやウェルドマークを生じにくく、しかも、低光沢性や耐傷つき性に優れ、且つガラス霞性に優れているので、高い意匠性とガラス霞性の要求されるインパネ部品などの自動車内装部品をはじめ、種々の用途にも好適に用いられる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、下記成分(A)、(B−1)、(B−2)および(C)からなる(F)樹脂組成物に、(D)特定の製法により製造された無水脂肪酸変性ポリプロピレンおよび(E)エルカ酸アミドを配合してなる。
(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明に係る(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体は、メルトフローレートが30〜70g/10分、好ましくは40〜60g/10分である。
なお本発明において、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠
し、2.16kg荷重下、230℃で測定した値である。
本発明において、(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体の23℃n−デカン可溶分量は好ましくは5〜15質量%、より好ましくは7〜13質量%であることが望ましい。
(B−1)エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体
本発明に係る(B−1)成分である、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体は、メルトフローレートが0.4g/10分未満、好ましくは0.05〜0.35g/10分である。
また、(B−1)成分のGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2.0×105〜5.0×105、より好ましくは2.3×105〜3.0×105である。(B−1)成分がこの範囲であれば好適なサイズで分散し、成形品表面が低光沢化する。(B−1)成分の重量平均分子量が2.0×105よりも低いと、分散サイズが小さくなり、得られる成形体の表面光沢が高くなる場合があり、また、重量平均分子量が5.0×105を超えると、分散不良が発生し、成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。
(B−1)成分として用いられる、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましい態様として挙げられる。また、(B−1)成分として用いられるエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を構成するジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの環状非共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6オクタジエンなどの鎖状の共役ジエンなどが挙げられる。これらの中では、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましく用いられる。
(B−1)成分の23℃におけるn−デカン可溶分の極限粘度[η]は、2.0〜2.4dl/gであることが好ましい。(B−1)成分のα−オレフィン含量は10〜40mol%であることが好ましく、20〜35mol%であることがより好ましい。また、密度は0.850〜0.890g/cm3であることが好ましく、0.855〜0.885g/cm3であることがより好ましい。(B−1)成分のヨウ素化は、2〜7%であることが好ましく、3〜6%であることがより好ましい。
(B−2)エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明に係る(B−2)成分である、エチレン・α−オレフィン共重合体は、メルトフローレートが0.5g/10分以上、20g/10分未満、好ましくは1.5〜10g/10分である。
(B−2)成分として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体が挙げられ、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましい。
また、(B−2)成分のGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は、0.5×105〜2.0×105、好ましくは1.0〜1.8×105である。重量平均分子量がこの範囲であると、得られる組成物の機械物性バランスがよいため好ましい。
さらに、(B−2)成分の23℃におけるn−デカン可溶分の極限粘度[η]は、1.0〜2.0dl/gであることが好ましい。
(B−2)成分のα−オレフィン含量は10〜40mol%であることが好ましく、20〜35mol%であることがより好ましい。また、密度は0.850〜0.890g/cm3であることが好ましく、0.855〜0.875g/cm3であることがより好ましい。
(C)タルク
本発明に係る(C)タルクとしては、平均粒径が3〜5μmのものが好適に使用できる。
(F)樹脂組成物
本発明で用いる(F)樹脂組成物は、上記(A)成分、(B−1)成分、(B−2)成分および(C)成分からなる。
各成分の配合割合は、成分(A)、(B−1)、(B−2)および(C)の合計量を100質量%とした場合に、(A):50〜66質量%、(B−1):5〜15質量%、(B−2):5〜15質量%、(C):15〜30質量%である。(F)樹脂組成物中における(A)成分は、好ましくは54〜64質量%である。
ここで、(B−1)成分と(B−2)成分との合計である(B)成分は、(F)樹脂組成物100質量%中において、19〜25質量%の割合で含まれる。
また、(F)樹脂組成物中における、(B−1)成分と(B−2)成分との割合は、(B−1)成分と(B−2)成分の合計量(100質量%)に対する(B−1)成分の割合が、通常40〜60質量%、好ましくは40〜55質量%の範囲であるのが望ましい。(B−1)成分量が40質量%より少ない場合は分散粒径が小さくなり、光沢が上昇する可能性がある。(B−1)成分量が60質量%より多い場合には分散粒径が大きすぎて、衝撃強度が低下する場合がある。
本発明に係る(F)樹脂組成物は、射出成形し得る限りMFRは特に限定はされないが、通常、5〜50g/10分、好ましくは10〜40g/10分の範囲にある。MFRが上記範囲にあると、射出成形性に優れ、機械的強度などが良好な成形体が得られる。
(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレン
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、上述の(F)樹脂組成物100重量部に対して、ポリプロピレン単独重合体を有機溶媒に溶解し、次いで無水脂肪酸およびラジカル開始剤などを反応させる事により製造された(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレンを0.1〜0.45重量部、好ましくは0.2〜0.4重量部配合することが望ましい。
ここで、変性反応に用いる有機溶媒は、不活性な溶媒が好ましく、不活性な炭化水素溶媒がより好ましい。このような、不活性な炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ブタン等が例示できる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物中において、(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレンは、耐傷付性改良剤として作用する。作用機構としては、無水脂肪酸変性ポリプロピレンがタルク表面を被覆し、傷付時のタルク露出を防止すると推測している。
無水脂肪酸変性ポリプロピレン量がこの範囲より多い場合はガラス霞性が悪化する場合がある。
無水脂肪酸変性ポリプロピレンの製法としては上記以外に、ポリプロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体と無水脂肪酸およびラジカル開始剤を用いて、押出し機で溶融混合する事により製造する事も可能であるが、当該製造法により製造された無水脂肪酸変性ポリプロピレンは無水脂肪酸の未反応物が残留している場合があり、無水脂肪酸の未反応物によりガラス霞性が悪化する場合がある。
(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレンとしては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレンとして無水マレイン酸変性ポリプロピレンを使用する場合、プロピレン系樹脂組成物100重量部に対してマレイン酸変性基含有量(M値)が、0.3〜1.35さらには0.6〜1.2であることが好ましい。この範囲より低い場合は耐傷付性改良効果が認められず、高くなると機械物性における衝撃強度が低下する場合がある。
(E)エルカ酸アミド
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、上述の(F)樹脂組成物100重量部に対して、(E)エルカ酸アミドを0.1〜0.5重量部、好ましくは0.2〜0.4重量部することが好ましい。
(E)エルカ酸アミドは、表面の滑り性を良くして傷付度合いを小さくすると推測される。
その他の添加剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、脂肪酸金属塩、軟化剤、分散剤、充填剤、着色剤、滑剤、顔料などの他の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。配合する添加剤などの混合順序は任意であり、同時に混合してもよいし、一部成分を混合した後に他の成分を混合するというような多段階の混合方法を採用することもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物
本願発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形し得る限りMFRは特に限定はされないが、通常、5〜50g/10分、好ましくは10〜40g/10分の範囲にある。MFRが上記範囲にあると、射出成形性に優れ、機械的強度などが良好な成形体が得られる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した成分(A)、(B−1)、(B−2)および(C)からなる樹脂組成物(F)と、成分(D)および(E)と、必要に応じてその他の添加剤とを配合することにより製造することができる。これらの各成分は、任意の順序で配合することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記成分(A)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D)および(E)の各成分と、必要に応じて配合するその他の添加剤とを、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機などの混合装置により混合または溶融混練することにより得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、特に射出成形に好適に用いられる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形品は、優れた機械物性を有するとともに、フローマークやウェルドマークが目立ち難い等の優れた外観を有し、更には低光沢性、耐傷付性、ガラス霞性にも優れている。
このような本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、自動車内外装部品、家電部品などの種々の分野に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明において、各物性の測定および評価は、以下の方法により行った。
〔メルトフローレート(g/10分)〕
ASTM D1238に準拠し、試験荷重2.16kg、試験温度230℃の条件で測定した。以下、単に「MFR」ともいう。
〔n−デカン可溶分〕
5g程度のポリマー試料(このときの正確な重量をaとする)を、n−デカン200mlと、試料量に対し約1%のBHT(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)とともに、三角フラスコに入れる。145℃に加熱し、1時間撹拌溶解する。試料が完全に溶解したことを確認し、1時間放冷する。その後、マグネチックスターラーで1時間撹拌しながらポリマーを析出させる。吸引瓶とロート(325メッシュスクリーン)にて、析出したポリマーを吸引ろ過する。分離したろ液にアセトンを加え約1リットルとし、1時間撹拌してn−デカン可溶分を析出させる。もしも内容液が透明にならない場合は更にアセトンを加え撹拌を続ける。吸引瓶とロート(325メッシュスクリーン)にて、析出物をろ過する。回収した析出物を105℃、20mmHg以下にて1時間減圧乾燥する。乾燥終了後のn−デカン可溶分の回収量をbとする。n−デカン可溶分は次式によって算出する。
n−デカン可溶分(%)=(b/a)×100
a:ポリマー試料の重量(g)、b:n−デカン可溶分の回収量(g)
〔極限粘度[η]〕
サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔鏡面グロス〕
成形温度220℃、金型温度40℃で成形した長さ130mm、幅120mm、厚み2mmtで、成形品表面が鏡面仕上げした成形角板を用い、グロスメーター(日本電色工業(株)製NDH−300)により光源照射角度60℃で鏡面グロスを測定した。
〔耐傷付性1〕
成形温度220℃、金型温度40℃で成形した長さ130mm、幅120mm、厚み2mmtで角板の表面をGrainCのシボ加工した成形品を用いてFord 5−Finger Test(単位:N)試験実施後、目視にて白化が認められない最大荷重(N)を評価した。
〔耐傷付性2〕
成形温度220℃、金型温度40℃で成形した長さ130mm、幅120mm、厚み2mmtで角板の表面をGrainCのシボ加工した成形品を用いてその成形品表面をタングステン針/35g荷重により引掻き、傷部と傷なし部の色差(△E)を測定した。
以下の実施例および比較例において、使用した各成分は、次の通りである。
〔ガラス霞性〕
幅25mm×長さ100mm×厚さ2mmの平板成形品2枚を500mlのガラス瓶(胴体φ70、ガラス瓶口φ40、ガラス瓶高さ170mm)に入れてガラス板で瓶口に蓋をする。試験片の入ったガラス瓶をオイルバスに浸漬する。(高さ110mmまで)オイルバスの温度を100℃±2℃に保ち20時間加熱する。試験終了後、瓶口に設置したガラス板を取り外しヘイズメーターでヘイズを測定する。
ガラス霞度(%)=試験後のガラス板のヘイズ(%)−試験前のガラス板のヘイズ(%)
(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体
(BPP−1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
MFR=53g/10分
23℃ n−デカン可溶分重量=12質量%
23℃ n−デカン可溶分エチレン量=37mol%
23℃ n−デカン可溶分[η]=7dl/g
(B−1)エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体
(R−1)エチレン・プロピレン・ジエンランダム共重合体(KUMHO社製、製品名KEP570P)
MFR=0.2g/10分
[η]=2.4dl/g
α−オレフィン含量=27mol
密度=0.88g/cm3
ジエン成分:ノルボルネン含有量4.5%
Mw=250000
(B−2)エチレン・α−オレフィン共重合体
(R−2)エチレン・オクテンランダム共重合体(デュポンダウエラストマー社製、製品名EG8100)
MFR=2g/10分
[η]=1.8dl/g
α−オレフィン含量=25mol
密度=0.870g/cm3
Mw=110000
(C)タルク
松村産業社製、製品名5000PJ
平均粒径4μm
(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレン
(MPP−1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン
反応溶媒としてトルエンを用い、このトルエン5.7リットルあたり750gのプロピレン単独重合体(市販品 MFR=9g/10分、密度0.90g/cm3)を160℃で溶解させた。次いで、この溶液に無水マレイン酸のトルエン溶液(44.1g/250ml)およびジクミルペルオキシドのトルエン溶液(3.6g/50ml)を別々の導管から4時間かけて除々に供給した。供給後終了後、さらに160℃30分間反応を続け、次いで室温まで冷却し、ポリマーを析出させた。析出させたポリマーをろ過し、さらにアセトンで繰り返し洗浄し、80℃で一昼夜減圧乾燥して目的とする変性ポリプロピレンを得た:M値=3.0
(MPP−2)無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成社製、製品名ユーメックス1010):M値=4.5
押出変性により製造された変性ポリプロピレン
(E)エルカ酸アミド
日本精化社製、製品名ニュートロンS
[実施例1〜4および比較例1〜4]
プロピレン系樹脂組成物の組成として、表1に配合割合(重量部)を示す各成分と、さらに
酸化防止剤としてIRGANOX1010((株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):0.1重量部、
同じく酸化防止剤としてIRGAFOS168((株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):0.1重量部、
耐光安定剤としてLA−52((株)ADEKA製):0.2重量部、
滑剤としてステアリン酸カルシウム((株)日本油脂製):0.1重量部、および
顔料としてMB PPCM 802Y−307((株)東京インキ製):3重量部
とを配合して、
ヘンシェルミキサーでドライブレンドし、二軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX30α)により、バレル温度200℃、スクリュー回転600rpm、押出し量50kg/hの条件で押出し、プロピレン系樹脂組成物を得た。次いで、射出成形機にて成形温度220℃、金型温度40℃にて角板(テストピース:角板形状:130mm×120mm×2mm)を成形した。
得られたテストピースを用いてプロピレン系樹脂組成物の物性を、角板を用いて成形体の外観特性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0005584594
実施例1および4と比較例1〜2との対比により、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から得られた成形体では、(D)無水脂肪酸変性ポリプロピレンと、(E)エルカ酸アミドとを適切な量で併用することによって成形体の耐傷付性が向上していることがわかった。
また、実施例1〜4と比較例3〜5との対比により、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から得られた成形体では、(D)特定の製法により得られた無水脂肪酸変性ポリプロピレンを適切な量で使用することによってガラス霞性が向上していることがわかった。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、インパネ、コンソールボックスなどの自動車内外装部品、家電部品等、種々の分野の成形品材料として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. (A)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が30〜70g/10分で、23℃におけるn−デカン可溶分量が5〜15質量%であることを特徴とするプロピレン・エチレンブロック共重合体:50〜66質量%、
    (B−1)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.4g/10分未満である、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体:5〜15質量%、
    (B−2)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5g/10分以上、20g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体:5〜15質量%(ただし、(B−1)成分と(B−2)成分の合計量が19〜25質量%)、
    (C)タルク:15〜25質量%
    (ただし、成分(A)、(B−1)、(B−2)および(C)の合計量は100質量%)
    からなる(F)樹脂組成物100重量部に対して、
    (D)ポリプロピレン単独重合体を有機溶媒に溶解し、次いで無水脂肪酸およびラジカル開始剤を反応させる事により製造された無水脂肪酸変性ポリプロピレン:0.1〜0.45重量部、および
    (E)エルカ酸アミド:0.1〜0.5重量部
    を配合してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. (B−1)成分の23℃におけるn−デカン可溶分の極限粘度[η]が2.0〜2.4dl/gであり、(B−2)成分の23℃におけるn−デカン可溶分の極限粘度[η]が1.0〜2.0dl/gであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. (B−1)成分と(B−2)成分の合計量に対する(B−1)成分の割合が、40〜60質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. (C)タルクが、平均粒径が3〜5μmのタルクであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
JP2010254739A 2010-11-15 2010-11-15 ポリプロピレン系樹脂組成物 Active JP5584594B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010254739A JP5584594B2 (ja) 2010-11-15 2010-11-15 ポリプロピレン系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010254739A JP5584594B2 (ja) 2010-11-15 2010-11-15 ポリプロピレン系樹脂組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2012107078A JP2012107078A (ja) 2012-06-07
JP2012107078A5 JP2012107078A5 (ja) 2014-01-09
JP5584594B2 true JP5584594B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=46493049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010254739A Active JP5584594B2 (ja) 2010-11-15 2010-11-15 ポリプロピレン系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5584594B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6378678B2 (ja) * 2013-07-05 2018-08-22 株式会社プライムポリマー プロピレン系重合体組成物からなる自動二輪車用リアグリップ
JP6523166B2 (ja) * 2013-07-08 2019-05-29 株式会社プライムポリマー プロピレン系樹脂組成物およびその用途
WO2016095225A1 (en) * 2014-12-19 2016-06-23 Abu Dhabi Polymers Co. Ltd (Borouge) L.L.C. Superior stress whitening performance for battery cases
KR20200013688A (ko) * 2017-05-26 2020-02-07 바스프 에스이 코어/쉘 삼성분 블렌드 및 이의 제조
CN108219277B (zh) * 2018-01-18 2020-10-20 金发科技股份有限公司 一种汽车仪表板内饰用聚丙烯复合材料及其制备方法
JP7118140B2 (ja) * 2018-04-24 2022-08-15 株式会社プライムポリマー プロピレン系樹脂組成物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3354233B2 (ja) * 1993-10-20 2002-12-09 日産自動車株式会社 自動車外装部品用オレフィン系樹脂組成物
JP5002128B2 (ja) * 2005-03-11 2012-08-15 化薬アクゾ株式会社 変性ポリプロピレン系重合体の製造方法および該重合体
JP2009079117A (ja) * 2007-09-26 2009-04-16 Prime Polymer:Kk ポリプロピレン系樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012107078A (ja) 2012-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5877642B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP5584594B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
EP3020760B1 (en) Propylene-based resin composition
JP5092216B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体
US8354470B2 (en) Olefin polymer wax-containing resin composition
JP2009506177A (ja) 極めて良好な引っ掻き抵抗性及び柔らかい触感を有する充填剤強化熱可塑性材料から構成される成形組成物
JP2016141766A (ja) ゴム組成物および架橋体
JP6243729B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP7341353B2 (ja) エチレン系重合体組成物およびその用途
JP2007092050A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
JP2006056971A (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物、およびそれからなる射出成形体
JP2007332272A (ja) 自動車外装用プロピレン系ブロック共重合体組成物および自動車用外装部材
CN104672625A (zh) 树脂组合物
JP7118140B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP6523166B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその用途
JP6502648B2 (ja) フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物および成形体
KR101835343B1 (ko) 마스터 배치 조성물, 이를 포함하는 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품
JP2020158652A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその成形体
JP7362342B2 (ja) フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物及び自動車外装用部品
JP2007224239A (ja) 極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体
US20240174847A1 (en) Polypropylene composite resin composition and a molded article containing the same
JPH10330559A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物
JP2005126463A (ja) 導電性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140708

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5584594

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250