JP5581893B2 - 水蒸気透過性評価用セルおよびその製造方法 - Google Patents

水蒸気透過性評価用セルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水蒸気透過性評価用セルおよびその製造方法に関するものである。
従来より、プラスチック、フィルム、シートなどの包装材料の重要な特性の一つである水蒸気透過度は、所定の温度と湿度の条件下で単位時間に単位面積の試験片を通過する水蒸気の量で評価され、代表的な試験方法として、感湿センサー法、カップ法などにより測定されている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
近年、ディスプレイなどに用いる薄膜などにおいては耐透水性の良好な膜が開発されるようになり、従来の水蒸気透過度試験では評価が困難なレベルとなり、カルシウム層を用いた試験法などにより測定されるようになってきた(例えば、非特許文献3参照。)。しかし、このような方法においても、高度な耐透水性が求められる薄膜の試験では、試験片やカルシウム層上の異物や、カルシウム層形成時に発生する酸化物等の影響により、加湿処理の際に、評価用セルにおけるカルシウム層の外層に設けられた水不透過層にわずかな割れなどを生じることがある。このようにわずかなものであっても割れなどが生じると、その隙間から水蒸気が進入し、カルシウム腐食法の評価基準となるカルシウム層に、目的としない腐食物を生じることとなり、試験片が本来有する特性や測定精度に影響を与えることとなり、評価の信頼性を向上させることが求められている。
JIS K 7129 JIS Z 0208 G. NISATO at al, SID Conference Record of the International Display Research Conference pp. 1435-8
本発明は、水蒸気透過性を評価する試験片の水蒸気透過性評価において、セルの割れを防止することが可能であり、より高い信頼性を有する評価結果が得られる水蒸気透過性評価セル及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、試験片の評価面に、水蒸気透過性を評価するための腐食性金属層と、水蒸気不透過層とを備えた水蒸気透過性評価用セルにおいて、前記水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層を還元蒸着金属層とすることにより、腐食性金属層を形成する際に、評価用セルの外層の割れの要因の一つである金属酸化物などを生じることがなくなり、金属酸化物などの生成に起因する評価用セルの割れを防止することが可能となることより、評価における信頼性が向上することを見出し、さらに検討することにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記第(1)項〜第(4)項に記載の水蒸気透過性評価用セル、及び下記第(5)項〜第(6)項に記載の水蒸気透過性評価用セルの製造方法により構成され
る。
(1)試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層とを備えた、水蒸気透過性評価に用いる評価用セルであって、前記水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層が、還元蒸着金属層であり、腐食性金属の炭酸塩と還元剤と混合したものを蒸気化して作製したものであることを特徴とする水蒸気透過性評価用セル。
(2)前記水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層は、金属合金で構成されるものである第(1)項に記載の水蒸気透過性評価用セル。
(3)前記水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層は、還元蒸着アルカリ土類金属を含むものである第(1)項又は第(2)項に記載の水蒸気透過性評価用セル。
(4)前記還元剤が、チタン、アルミニウム及びジルコニウムから選ばれるものである第(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の水蒸気透過性評価用セル。
(5)試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層とを備えた、水蒸気透過性評価に用いる評価用セルを製造する方法であって、前記試験片の評価する面に、還元蒸着法により、水と化学反応して腐食物を生じる金属から、腐食性金属の炭酸塩と還元剤と混合したものを蒸気化して、腐食性金属層を形成する工程を有することを特徴とする水蒸気透過性評価用セルの製造方法。
(6)前記水と化学反応して腐食物を生じる金属は、アルカリ土類金属を含むものである第(5)項に記載の水蒸気透過性評価用セルの製造方法。
本発明によれば、水蒸気透過性を評価する試験片の水蒸気透過性評価において、セルの割れを防止することが可能であり、より高い信頼性を有する評価結果が得られる水蒸気透過性評価セルを得ることができるものである。
本発明の水蒸気透過性評価用セルの構造の第一例について説明するための模式図である。 本発明の水蒸気透過性評価用セルの構造の第二例について説明するための模式図である。
本発明は、試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層とを備えた、水蒸気透過性評価に用いる評価用セルであって、前記水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層が、還元蒸着金属層であることを特徴とする水蒸気透過性評価用セルであり、腐食性金属層を還元蒸着金属層とすることにより、腐食性金属層を形成する際に、評価用セルの外層の割れの要因の一つである金属酸化物などを生じることがなくなり、金属酸化物などの生成に起因する評価用セルの割れを防止することが可能となり、高い信頼性を有する評価結果が得られるものである。
本発明の水蒸気透過性評価用セルの構造について、図面を用いて、その例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の水蒸気透過性を評価する試験片と、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層(以下、腐食性金属層)と、水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層(以下、水蒸気不透過層)とを備えた評価用セルの第一例を示す模式図である。
図2は、本発明の水蒸気透過性を評価する試験片と、腐食性金属層と、水蒸気不透過層とを備え、水蒸気不透過層が、水蒸気不透過金属層と水蒸気不透過金属層との間に、割れ防止緩衝層(以下、割れ防止緩衝層)を有する積層構造を備えた評価用セルの第二例を示す模式図である。
本発明の評価用セルとしては、まず、第一例において、フィルムなどの水蒸気透過性を評価する試験片1の評価面の所定の位置に、腐食性金属層2が設けられ、次いで、腐食性金属層2を覆うように、水蒸気不透過層3が設けられた積層構造を有するものを挙げることができる。ここで、腐食性金属層2は還元蒸着金属層とするものである。
次に、第二例としては、第一例において、水蒸気不透過層について、割れ防止緩衝層を備えた積層構造とするものを挙げることができる。その構造の例としては、まず、フィルムなどの水蒸気透過性を評価する試験片1の評価面の所定の位置に、腐食性金属層2が設けられ、次いで、第二の例における水蒸気不透過層3が設けられている。第二の例の水蒸気不透過層3は、腐食性金属層2を覆うように、第一の水蒸気不透過金属層4が設けられ、さらに第一の水蒸気不透過金属層4を覆うように、割れ防止緩衝層5が設けられ、さらに割れ防止緩衝層5を覆うように、第二の水蒸気不透過金属層6が設けられた積層構造を有するものである。ここで、腐食性金属層2は還元蒸着金属層とするものである。なお、水蒸気不透過層の構造は、2つの水蒸気不透過金属層の間に、割れ防止緩衝層を備えた積層構造を示したが、水蒸気不透過金属層の間に、割れ防止緩衝層をサンドイッチ状とする積層構造を構成することにより、金属酸化物などの他の異物などに起因する評価用セルの割れ防止効果をより発現しやすくなるものである。図面の構造に限られるものではないが、水蒸気不透過金属層は、1種又は2種以上の金属層であっても良い。
本発明の評価に用いる試験片としては、フィルム状、シート状、板状あるいはブロック状などの形状を有するものを用いることができる。本発明の水蒸気透過性評価には、一般的に、食品や電子部品などに用いられる単層もしくは複合防湿フィルムやシート、金属蒸着膜、建材用防水シート、組立部品などが適用される。
次に、本発明の評価用セルの作り方の例を説明する。
まず、上記第一の例について説明すると、水蒸気透過性を評価する試験片1を用意し、該試験片の評価する面、通常は水蒸気を接触させる面の反対側の面の所定の位置に、水と化学反応して腐食物を生じる金属を用いて、還元蒸着法により、腐食性金属層2を形成することができる。次いで、上記試験片上の腐食性金属層2を覆うように、水蒸気を透過しない金属を用いて、蒸着法などの方法により水蒸気不透過層3を形成し、積層構造を形成することができる。
次いで、上記で得られた、積層構造が形成された試験片1において、水蒸気に暴露される際に、少なくとも積層構造が水蒸気に接触することがないように、水蒸気接触面以外の部分を、樹脂、ガラス、金属等により封止を行い、評価用セルを得ることができる。
次に、上記第二の例について説明すると、水蒸気透過性を評価する試験片1を用意し、該試験片の評価する面、通常は水蒸気を接触させる面の反対側の面の所定の位置に、水と化学反応して腐食物を生じる金属を用いて、還元蒸着法により、腐食性金属層2を形成することができる。次いで、第二の例における水蒸気不透過層3を形成するが、まず、上記試験片上の腐食性金属層2を覆うように、水蒸気を透過しない金属を用いて、蒸着法などの方法により第一の水蒸気不透過金属層4を形成することができる。
次いで、上記第一の水蒸気不透過金属層4を覆うように、アルカリ土類金属を用いて、上記同様にして蒸着法などの方法により、割れ防止緩衝金属層5を形成し、さらに上記割れ防止緩衝層5を覆うように、水蒸気を透過しない金属を用いて、上記同様にして蒸着法などの方法により、第二の水蒸気不透過金属層6を形成することで水蒸気不透過層3を形成することができる。
次いで、上記で得られた、腐食性金属層2と水蒸気不透過層3が形成された試験片1において、水蒸気に暴露される際に、少なくとも腐食性金属層2と水蒸気不透過層3が水蒸気に接触することがないように、水蒸気接触面以外の部分を、樹脂、ガラス、金属等により封止を行い、評価用セルを得ることができる。
上記水と化学反応して腐食物を生じる金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムなどのアルカリ土類金属などのイオン化傾向の高い金属が挙げられる。これらの中でも、バリウム又はカルシウムが好ましい。これらの金属は、還元蒸着の際に、1〜5mm程度の粒子径のものを用いることができる。
本発明における還元蒸着金属層は還元蒸着法により形成することができるが、還元蒸着法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着及びレーザー蒸着などの加熱方法を用い、真空中などで行う物理蒸着法や、熱を用いた化学蒸着、及びプラズマを用いた化学蒸着などの方法を用いた化学蒸着法などを用いた還元蒸着が挙げられ、例えば、前記蒸着法を用いて、腐食性金属層を形成するのに必要な上記水と化学反応して腐食物を生じる金属を蒸気として供給するが、このとき、腐食性金属は、チタン、アルミニウム及びジルコニウムなどの還元剤と混合したものを加熱するなどして蒸気化し、試験片上に金属層を形成することができる。また、上記腐食性金属の炭酸塩などを用い、前記還元剤と混合したものを用いることもできる。
上記腐食性金属層の厚みとしては、30nm〜500nmが好ましく、それぞれの腐食性金属層の厚みは同じであっても異なっていても良い。
上記水蒸気を透過しない金属としては、水蒸気を透過しない、かつ、水と化学反応して腐食物を生じない金属であればよく、アルミニウム、亜鉛、錫、インジウム、鉛、銀及び銅などの金属が挙げられ、これらの金属を含む合金であっても良い。これらの中でも、アルミニウム及び銀が好ましい。これらの金属は、第二の例の水蒸気不透過層において、異なる金属を用いることができる。
上記割れ防止緩衝層に用いるアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムなどが挙げられる。これらの中でも、バリウム又はカルシウムが好ましい。また、割れ防止緩衝層に、水と化学反応して腐食物を生じる金属を用いることで、水蒸気不透過層の割れを確認することもできる。
上記水蒸気不透過層を作製する方法、また、第二の例の水蒸気不透過層における水蒸気不透過金属層と割れ防止緩衝金属層を作製する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング蒸着法、イオプレーテイング法等の公知の蒸着法を用いることができ、さらには一般的な溶射法を用いることができるが、割れ防止緩衝金属層については、上記腐食性金属層と同様に、還元蒸着法により作製することにより、評価用セルの外層の割れの要因の一つである金属酸化物などを生じることがなくなり、より好ましい。
上記水蒸気不透過層の厚みとしては、500nm〜20μmが好ましく、第二の例のように水蒸気不透過層において水蒸気不透過金属層が複数ある場合は、それぞれの水蒸気不透過金属層の厚みは同じであっても異なっていても良い。
また、割れ防止緩衝層の厚みとしては、10nm〜800nmが好ましい。
上記水蒸気接触面以外の部分を封止する樹脂としては、評価用セルの水蒸気不透過層の表面を保護するために、評価の際に加湿を行う条件、例えば、温度40±0.5℃、相対湿度90±2%の条件下に、評価用セルを24時間暴露したときに、封止樹脂の質量変化が、暴露面積50cmで当たり1mg以下である有機物であれば良く、具体例としては、蜜蝋、カルナバ蝋、パラフィン系ワックス等を挙げることができる。
水蒸気接触面以外の部分の封止を行う方法としては、例えば、蜜蝋とパラフィンとを1:1の割合で溶融混合した樹脂混合物を溶融させ、溶融樹脂として、これを用いて、少なくとも水蒸気不透過層(最外層の前記水蒸気不透過金属層)の露出面の全面を覆うことができるよう、接触させて樹脂層を形成した後、樹脂層を冷却固化させて封止することができる。また、ガラス板や金属板などと、溶融樹脂とを組み合わせて用いることにより、ガラス板や金属板などを樹脂で固定して、腐食性金属層と水蒸気不透過層を封止することもできる。
次に、本発明の水蒸気透過性評価用セルの用い方の例を説明する。
本発明の水蒸気透過性評価用セルを用いて、試験片の水蒸気透過性を評価する方法の例としては、まず、上記評価用セルを用意し、これを水蒸気接触面に水蒸気が触れるように、恒温恒湿槽内に配置して、所定の条件下にて加湿処理を行う。
加湿処理条件としては、封止樹脂の融点以下での任意の条件下において行うことが好ましいが、例えば、温度が40±0.5℃で、相対湿度が90±2%で行うことができる。
このような加湿処理を、測定する時間ごとに行った評価用セルを、それぞれ用意し、腐食性金属層の腐食状態を評価することにより、試験片の水蒸気透過性を評価することができる。また、加湿処理時間を経過するごとに、評価用セルを取り出し腐食性金属層の腐食状態を評価することもできる。
また、このような腐食状態を評価する方法としては、試験片と接する、腐食性金属層の表面を直接観察することにより、試験片の欠陥部(生成腐食物)を評価する方法が挙げられる。さらには、腐食性金属層における腐食物の面積と腐食物の厚みから算出される金属腐食物の体積から、試験片を透過した水分量を定量することができる。
上記試験片を透過した水分量の定量法としては、加湿処理により、腐食性金属層は水分と化学反応することで、下記化学式(1)に示すように、価数aの腐食性金属層を構成する金属Mの1モルはaモルの水分と反応し、1モルの金属水酸化物を生成する。
M + aHO → M(OH)a + (a/2)H 化学式(1)
このことより、試験片を透過した水分量を1日の単位面積当たりに換算した水蒸気透過度(単位:g/m/day)として表すことができ、前記水蒸気透過度は、上記加湿処理における、加湿処理時間、水蒸気透過性評価用セルの腐食性金属層の面積、加湿処理後の腐食性金属層に生成した金属腐食物の面積と腐食性金属層の厚み、腐食後の金属水酸化物の密度から、下記数式(1)により算出して求めることができる。
水蒸気透過度=X*18*a*(10000/A)*(24/T) 数式(1)
なお、上記数式(1)中、Tは恒温恒湿処理時間(時間)、Aは腐食性金属層の面積(cm)、tは腐食性金属層の厚み(cm)、δは腐食性金属層に生成した金属腐食物の面積(cm)、dは腐食後の金属水酸化物密度(MOH)(g/cm)、aは腐食性金属層を構成する金属の価数を表し、Xは下記数式(2)で得られる加湿処理により生成する金属腐食物(金属水酸化物)のモル質量(g/mol)を表す。
X=(δ*t*d)/Mw 数式(2)
上記数式(2)中、Mwは腐食性金属層に生成した金属腐食物(金属水酸化物)の分子量(式量)を表し、δ、t及びdは数式(1)中のそれらと同じものを表す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)水蒸気透過性評価用セルの作製
試験片として、ポリエーテルサルホンフィルム(厚み200μm)とSiO層(無機層、厚み50nm)からなる二層構造を有する水蒸気不透過性フィルムを用意し、試験片の一方の面の中央部に、腐食性金属層として、カルシウム層を形成するにあたり、腐食性金属カルシウムの炭酸塩である炭酸カルシウム50mgに、還元剤として、チタニウム粉末65mgを混ぜたものを用いて、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)を用いて、還元蒸着法により、面積が2.0mm×2.0mmで、厚み200nmからなるカルシウムの還元蒸着金属層を形成した。この時、排気系統はロータリーポンプと油拡散ポンプの2種を用いた。次いで、前記還元蒸着金属層の露出面のすべてを覆うように、金属アルミニウムを用いて、真空蒸着法により、厚み4μmの水蒸気不透過層を形成した。次いで、蜜蝋(融点60〜62℃)とパラフィン(融点60〜62℃)とを1:1の割合で溶融混合した樹脂を用いて、80℃〜100℃の温度で溶融させたものに、水蒸気不透過層を全て覆うように接触させ、樹脂を冷却固化させて封止を行い、水蒸気透過性評価用セルを作製した。なお、試験片のフィルムは、その無機層をスパッタリングにて形成したものを用いた。
(2)水蒸気透過性の評価
上記で得た水蒸気透過性評価用セルを用い、これを40℃、湿度90%の恒温恒湿槽に、400時間載置し、恒温恒湿による処理(加湿処理)を行った。加湿処理後、還元蒸着金属層における腐食物の生成について、レーザー顕微鏡により、2.0mm×2.0mmの画像を撮影し記録した。腐食した部分は、金属カルシウムが水分と反応し、水酸化カルシウムとなり、撮影すると変色あるいは白色部として観察された。予め、加湿処理前に、上記水蒸気透過性評価用セルの還元蒸着金属層における腐食物の生成について、レーザー顕微鏡により記録しておいた画像を基準として比較して、恒温恒湿処理400時間での腐食部の総面積を測定した。恒温恒湿度300時間処理後の2.0mm×2.0mmの面積の還元蒸着金属層に50〜150μm径の腐食が確認でき、腐食総面積は7.1x10−4cmであった。腐食として観察される水酸化カルシウムの分子量と密度は76.1と2.24g/cmとであることから、生成した水酸化カルシウムのモル質量は4.18x10−10g/molであった。これらより、水蒸気透過度を求めたところ、2.3×10−4(g/m/day)であった。尚、腐食部付近を観察したが、水蒸気不透過層に割れは認められず、上記水蒸気透過性評価用セルが正常に機能したことがわかった。
(実施例2)
(1)水蒸気透過性評価用セルの作製
実施例1において、水蒸気不透過層(第一の水蒸気不透過金属層)の露出面のすべてを覆うように、金属バリウム(2価)を用いて、真空蒸着法により、厚み50nmの割れ防止緩衝層を形成した。次いで、割れ防止緩衝層の露出面のすべてを覆うように、銀を用いて、真空蒸着法により、厚み1μmの第二の水蒸気不透過金属層を形成し、水蒸気不透過層の構造を、2つの水蒸気不透過金属層の間に割れ防止緩衝層をサンドイッチ状にした積層構造とした以外は、実施例1と同様にして、水蒸気透過性評価用セルを作製した。
(2)水蒸気透過性の評価
上記で得た水蒸気透過性評価用セルを用い、実施例1における恒温恒湿槽の載置時間を、400時間から300時間とした以外は、実施例1と同様の操作により水蒸気透過性の評価を行った。
加湿処理後の還元蒸着金属層における腐食物の生成について確認したところ、変色あるいは白色部となった腐食物である水酸化カルシウムが観察された。
恒温恒湿度300時間処理後の2.0mm×2.0mmの面積の還元蒸着金属層に50〜150μm径の腐食が確認でき、腐食総面積は5.1x10−4cmであった。腐食として観察される水酸化カルシウムの分子量と密度は76.1と2.24g/cmとであることから、生成した水酸化カルシウムのモル質量は3.00x10−10g/molであった。これらより、水蒸気透過度を求めたところ、2.2×10−4(g/m/day)であった。尚、腐食部付近を観察したが、水蒸気不透過層に割れは認められず、上記水蒸気透過性評価用セルが正常に機能したことがわかった。
(比較例1)
(1)水蒸気透過性評価用セルの作製
実施例1において、試験片として、水蒸気不透過性フィルム上に、直径約100μm〜約500μmの異物粒子を付着させた試験片を用い、腐食性金属層を形成する際に、炭酸カルシウムとチタニウム粉末の混合物に替えて、腐食性金属として金属カルシウム(2価)を用いて、真空蒸着法により、腐食性金属層を形成した以外は、実施例1と同様にして水蒸気透過性評価用セルを作製した。
(2)水蒸気透過性の評価
上記で得た水蒸気透過性評価用セルを用い、実施例2と同様の操作により水蒸気透過性の評価を行った。
加湿処理後の腐食性金属層における腐食物の生成について確認したところ、変色あるいは白色部となった腐食物である水酸化カルシウムが観察された。恒温恒湿度300時間処理後の2.0mm×2.0mmサイズのカルシウム薄膜中に100〜580μm径の腐食が確認でき、腐食総面積は7.5×10−3cmであった。これより算出される水酸化カルシウムのmol質量は4.42×10−9g/molであった。これらより、水蒸気透過度を求めたところ、3.2×10−3(g/m/day)であった。なお、腐食部付近を観察したところ、水蒸気不透過層に割れが認められ、水蒸気透過性評価用セルが正常に機能していないことがわかった。
1 試験片
2 腐食性金属層
3 水蒸気不透過層
4 第一の水蒸気不透過金属層
5 割れ防止緩衝層
6 第二の水蒸気不透過金属層

Claims (6)

  1. 試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層とを備えた、水蒸気透過性評価に用いる評価用セルであって、前記水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層が、還元蒸着金属層であり、腐食性金属の炭酸塩と還元剤と混合したものを蒸気化して作製したものであることを特徴とする水蒸気透過性評価用セル。
  2. 前記水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層は、金属合金で構成されるものである請求項1に記載の水蒸気透過性評価用セル。
  3. 前記水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層は、還元蒸着アルカリ土類金属を含むものである請求項1又は2に記載の水蒸気透過性評価用セル。
  4. 前記還元剤が、チタン、アルミニウム及びジルコニウムから選ばれるものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水蒸気透過性評価用セル。
  5. 試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、水蒸気を透過しない金属からなる水蒸気不透過層とを備えた、水蒸気透過性評価に用いる評価用セルを製造する方法であって、前記試験片の評価する面に、還元蒸着法により、水と化学反応して腐食物を生じる金属から、腐食性金属の炭酸塩と還元剤と混合したものを蒸気化して、腐食性金属層を形成する工程を有することを特徴とする水蒸気透過性評価用セルの製造方法。
  6. 前記水と化学反応して腐食物を生じる金属は、アルカリ土類金属を含むものである請求項5に記載の水蒸気透過性評価用セルの製造方法。
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