JP2543056B2 - 光学情報記録部材の製造方法 - Google Patents

光学情報記録部材の製造方法

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威夫 太田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、光学的に情報を記録再生する情報記録薄膜
の製造法に関するものである。
従来の技術 テルルを含む酸化物系の薄膜の製造方法としては、Te
およびTeO2の2つの蒸発源からなる共蒸着系において、
基板に、TeとTeO2を同時に蒸着する方法が知られてい
る。さらにTeO2と、還元材料カーボンあるいはAl等の混
合体を真空中で加熱し、TeO2を一部還元して、形成する
方法等が知られている。
又、テルル蒸発源を用い、蒸発テルルを、イオンプレ
ーティング法により、一部酸化させて基板に形成する方
法等が知られている。
発明が解決しようとする問題点 テルルを含む酸化物薄膜形成において、特に重要な点
は次の3点である。第1は、薄膜のテルルと酸素の組成
比を選び、かつこれを一定にして膜を形成することであ
る。
共蒸着法,還元蒸着法においては、それぞれの蒸発源
の温度、あるいは、TeO2材料と、還元材料の混合比等
で、組成比を定めるが、温度制御の変動あるいは、還元
反応の進行により、組成比が若干変化する問題点があっ
た。これに対して、テルル蒸発源を用いた酸素によるイ
オンプレーティングの方法は、酸素分圧と、テルルの蒸
発源の速度制御により、比較的組成比を安定にできる利
点がある。
第2に重要な点は、膜内の粒状異物,欠陥の除去であ
る。φ1μm以下の粒状欠陥が付着しても、情報の記録
再生に関して、ビットエラーの発生原因になる。
この粒状欠陥は特に、テルルの蒸発時における突沸が
主たる原因で発生する。従来の方法は、いずれも加熱に
より、テルルの蒸気圧の作用で、蒸発させ膜を形成する
ものであり、ルツボ内の温度分布の差等により、突沸を
除去することは困難であり、膜内にテルル等の粒状異物
の付着がみられた。
第3に重要な点は、テルルと酸素に対し、他の点火材
料の適用方法である。
従来の方法では、いずれも蒸発プロセスを用いており
添加材料と、テルルの蒸気圧の差から一定量の添加等は
困難であった。
問題点を解決するための手段 本発明は、複数種の成分からなる光学記録部材である
TeO2とTeとPdの混合薄膜の製造において、安定かつ均質
な膜の形成を可能にすることを目的とするものである。
膜の形成手段としては、スパッタリング法を用い、ス
パッタリングターゲットとして、Teを主成分としPdを添
加材料として含ませた合金あるいは、混合体成型ターゲ
ットを用い、このターゲットを、真空チャンバー内の酸
素分圧0.5×10-3Torrから、1.5×10-3Torrの雰囲気にお
いてスパッタすることにより、酸素リアクティプスパッ
タにより、基板上に、Te,TeO2,Pdからなる均一膜を形成
するものである。
作用 TeとPdからなる混合体ターゲットを用い、これを、酸
素分圧が数mTorr以下のガス雰囲気中でスパッタリング
することにより、形成した膜のTeとPdの比をあらかじめ
選んだ混合体ターゲットにおけるTeとPdの比によって一
定にすることが可能になる。
さらに、スパッタ中の雰囲気として、酸素分圧を一定
に保つことにより、TeOx+Pdの形で形成した膜の酸素比
xを一定にすることが可能になる。
又、混合体ターゲットを、バッキングプレートを介し
て水冷等の手段で冷却することにより、Teのターゲット
からの蒸発を阻止でき、突沸蒸発に伴う欠陥の発生が除
去できる。
実 施 例 Arガス,O2ガスを用いて、テルルと添加材料Pdからな
るターゲットを用い、スパッタ法でTeとTeO2とPdからな
る光学情報記録部材の製造方法を、図の概念図を用いて
説明する。
真空槽1の中に、ガス導入バルブ2,3を通して、Arお
よびO2を導入する。1つの実施例として、真空槽の全圧
を4×10-3Torrに保ち、Arの導入流量を4.0sccMとし、O
2の導入量を、2.0sccMに選び、真空槽1を導入ガスで一
定雰囲気にする。ターゲット5は、テルルと添加材料パ
ラジウムの混合体である。例えば、Te80Pd20の組成比の
合金又は、ホットプレス混合体を用いる。このターゲッ
トは、バッキングプレート6を介して水冷する。
基板7としては、ポリカーボネートインジェクション
板を用いる。基板7は、120rpmで回転させる。RFスパッ
タを用いる場合、ターゲット5の真径を6インチとし、
基板7とφ130に選ぶ。基板7内の膜厚を一定にするた
めに基板7の中心とターゲット5の中心の偏心を選ぶ。
RF入力パワー240Wで約500Å/minのスパッタレイトで
膜形成できる。
ターゲット上にゴミ等がある場合は、異常放電が生じ
膜中に粒状欠陥を発生する場合があるが、この場合はエ
ラーレイトが、10-5〜10-4台と低下する。
異常放電のない場合、10-6〜10-5台とエラーレイト品
質が向上する。
この方法によれば、スパッタ時の組成変動は、非常に
少なく、120hの連続スパッタにおいて、膜の組成変動を
±1at%以内におさえることが可能である。
発明の効果 ArおよびO2ガスを用い、合金又は混合体からなる、Te
1-xPdxターゲットから直接反応スパッタを行うことによ
り次の効果を得る。
(1) 膜中のテルルと酸素の比は、酸素流量により定
めることができ、一定酸素流量に対し、安定な膜形成が
可能になる。
(2) 水冷ターゲットからのスパッタにより、膜形成
するため、蒸発プロセスを介せず、粒状欠陥の少い膜が
実現できる。
(3) 添加材料の膜への添加量は、ターゲット面積に
占める、テルルの量と、パラジウムの量により定まり、
任意の高融点添加材料の添加を安定に行うことが実現す
る。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の光学情報記録部材の製造方法を実施したス
パッタ法を行う真空槽系の概念図である。 1……真空槽、2,3……ガス導入バルブ、5……ターゲ
ット、6……バッキングプレート、7……基板、8……
マグネット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小寺 宏一 門真市大字門真1006番地 松下電器産業 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−148291(JP,A) 特開 昭62−137748(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ等の光を薄膜に照射し、そのエネル
    ギーを吸収し、昇温させ、状態を変化させて情報を記憶
    する部材において、その薄膜を、テルルを含む酸化物と
    し、添加材料としてパラジウムを含ませてなる部材を形
    成する方法においてスパッタ法を用い、ターゲット材料
    として、Te,Pdからなる合金または、混合体とし、真空
    チャンバー内の酸素分圧を、0.5×10-3Torrから、1.5×
    10-3Torrに選んでスパッタすることにより、基板上に、
    Te,O,Pdを含む薄膜を形成することを特徴とする光学情
    報記録部材の製造方法。
  2. 【請求項2】ターゲット材料として、Te1-xPdxからなる
    合金または混合体とし、その組成比を0<x<0.3に選
    ぶことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光学情
    報記録部材の製造方法。
  3. 【請求項3】チャンバー内のスパッタガスを、Arおよび
    O2に選ぶことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    光学情報記録部材の製造方法。
  4. 【請求項4】Arのガス導入流量を一定とし、酸素のガス
    導入流量を選ぶことにより、形成膜のTeとOの組成比を
    定めることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光
    学情報記録部材の製造方法。
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JP5581893B2 (ja) * 2010-08-25 2014-09-03 住友ベークライト株式会社 水蒸気透過性評価用セルおよびその製造方法

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JPH0799595B2 (ja) * 1985-12-09 1995-10-25 松下電器産業株式会社 光学情報記録再生デイスクの製造方法
JPS62148291A (ja) * 1985-12-24 1987-07-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 光学式情報記録担体およびその製造方法

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