JP4470707B2 - 水蒸気透過性評価方法 - Google Patents
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試験片の腐食状態を短時間で測定する方法としては、試験片の表面状態をカメラで撮影し、その画像を画像処理装置で二値化処理して、腐食領域の面積などを測定する方法が考えられる(例えば、特許文献1)。しかしながら、あらかじめ設定した閾値による二値化処理手法が有効となるのは、画像上での試験片の腐食領域と未腐食領域の濃淡、あるいは、色の差が大きい場合のみである。基板、腐食金属、腐食物の組み合わせによっては、腐食領域と未腐食領域の濃淡、あるいは、色の差が、試験片の表面のむらや照明のばらつきと同程度かそれ以下の場合がある。このような試験片に対しては画像の二値化処理を用いた表面状態測定方法を用いることはできず、検査員が目視により長時間かけて腐食の状態を測定するしかなかった。
(1)水蒸気透過性を評価する材料から成る固体基板の片面側に、水分と反応して腐食する腐食性金属を形成し、かつ腐食性金属の形成箇所を特定するためのマークが腐食性金属と重ならない領域に少なくとも2個形成されている金属腐食試験片を湿度環境下に保管し、固体基板を透過した水蒸気によって前記腐食性金属の一部分が腐食した金属腐食試験片の画像を撮影し、撮影した画像に微分処理を行うことにより得られた輪郭点群のうち隣接する輪郭点同士を、4近傍連結法、8近傍連結法、連結された曲線の滑らかさや曲線を構成する輪郭点間の距離をもとに評価値を作成し、遺伝的アルゴリズムなどの最適化手法により評価値が大きくなるように輪郭点を連結する方法、輪郭点における輪郭の角度をもとに曲線を延長し輪郭点を連結していく方法のいずれかにより接続することにより得られた閉曲線を腐食領域の輪郭として腐食領域の面積を測定することで水分と反応した金属の腐食状態を評価し、腐食領域の形状、分布及び/又は面積から固体基板の水蒸気透過性を評価する水蒸気透過性評価方法、
(2)前記金属腐食試験片の単位時間あたりの腐食面積増加量と腐食金属の厚みから算出される単位時間あたりの腐食金属の体積変化量から、金属と反応する単位時間あたりの水分量を定量化し、水蒸気透過度を測定する(1)記載の水蒸気透過性評価方法。
(3)前記腐食性金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはその合金を含むものである(1)または(2)記載の水蒸気透過性評価方法。
(4)前記腐食性金属がCa、Mgの何れかを含むものである(1)〜(3)いずれか記載の水蒸気透過性評価方法、
である。
本発明の水蒸気透過性評価方法に用いる金属腐食試験片としては、固体基板の片面側に腐食性金属を形成した後に、腐食性金属を形成した面側を大気開放することなしに、固体基板の周辺および腐食性金属側を硬化性接着剤とガラス基板で封止することにより得られる試験片(図4)、固体基板の表面に腐食性金属を形成した後に非腐食性金属またはバリア性の高い透明酸化物で固体基板と接触していない腐食性金属の表面を保護した後に、固体基板の周辺および腐食性金属側の面を硬化性接着剤とガラス基板で封止することにより得られる試験片(図5)、固体基板の表面に腐食性金属を形成した後に非腐食性金属で固体基板と接触していない腐食性金属の表面を保護した後に、腐食性金属と非腐食性金属を順じ形成した固体基板の腐食性金属側の面をガラス基板と硬化性接着剤を介して接着することにより得られる試験片(図6)が挙げられる。また、固体基板の表面に腐食性金属を形成した後に非腐食性金属で固体基板と接触していない腐食性金属の表面を保護した後に、腐食性金属と非腐食性金属を順じ形成した側の面を低透湿性の熱可塑性樹脂で全面封止することにより得られる試験片や腐食性金属と非腐食性金属を順じ形成した側の固体基板全面を低透湿性の熱可塑性樹脂を挟んでガラス基板で封止する試験片(図7)が挙げられる。
また、バリア薄膜層のみの水蒸気透過性を評価するために、ガラス基板のような不透湿性基板上に腐食性金属を形成した後に、大気開放せずに連続で水蒸気透過性を評価したいバリア薄膜層を用いて腐食性金属の表面を保護することにより得られる試験片を挙げることもできる。
本発明の水蒸気透過性を評価する装置の概略構成図を図1に示す。照明装置3の光を試験片2の表面で反射させ撮像装置1にて撮影する。試験片2の腐食による表面状態の変化を感度良く撮影するため、試験片2の表面からの正反射光を撮像装置1にて撮影できるように、撮像装置1、試験片2、照明装置3の位置を設定する。つまり、照明装置3から試験片2への光の入射角と試験片2から撮像装置1への反射角を等しくする。撮像装置1のセンサの種類としては、CCD、CMOSなどがあるが、いずれでも良い。撮像装置1のセンサの形式としては、2次元の画像が取得可能なエリア形と、素子自体は1次元の画像のみが取得可能だが、試験片2と撮像装置1を相対的に移動させながら撮影することにより2次元の画像を構成可能なラインセンサ形がある。試験片2の測定対象範囲を数回以内の撮影でカバーできる場合は、エリア形、それよりも広い範囲を撮影する必要がある場合はラインセンサ形を使用すると、撮影時間、精度の面で好ましい。照明装置3としては、撮像装置1で正反射の光を撮影するのに十分な面積が必要で、輝度はできる限り均一であることが好ましい。
試験片2の画像を処理し、表面の腐食を測定した結果は表示装置6に表示するとともに、記憶装置7に記録し、後からデータを引き出すことが可能にするのが好ましい。
試験片2の測定対象領域を1回の撮影では撮影しきれない場合は、試験片2を移動させるためのアクチュエータ9を具備させ、撮影領域をずらしながら撮影を繰り返し行うことにより測定対象領域全体の測定をすることが可能となる。アクチュエータ9の動作と撮像装置1の撮影やその後の処理の同期を取るため、制御装置8より各装置の制御を行う。撮像装置1がエリア形の場合、試験片2をアクチュエータ9により、連続的、もしくは、断続的に動かし、撮影領域をずらしながら撮影することにより、測定対象領域全体を撮影することができる。撮像装置1がライン形の場合は、試験片2を連続的に動かしながら撮影することにより測定対象領域全体を撮影することができる。
図8、図9にマーキングを入れた腐食性金属試験片の例を示した。
金属腐食試験片に用いるマークは水蒸気透過により、マークが消失しないことが必要であり、耐水性のインクや非腐食性金属等で形成されることが好ましい。形成方法は、マスクを用いた印刷やマスクを用いた真空蒸着やスパッタ法等の真空成膜法が挙げられるが、腐食性金属を形成する面を清浄に保ち評価面のダメージを軽減するためには、真空蒸着法が好ましい。
M + aH2O → M(OH)a + (a/2)H2 (式1)
よって水蒸気透過量は、恒温恒湿処理時間、金属腐食試験片の腐食性金属面積と処理後の腐食された金属面積、腐食性金属の厚み、腐食性金属の腐食後の厚み補正係数(式3)、腐食後の金属水酸化物の密度から求めることができる。
恒温恒湿処理後の金属水酸化物のモル量(X):
X=(δ*t*α*d(MOH))/M(MOH) (式2)
1<α≦(M(MOH)/d(MOH)))/(M(M)/d(M)) (式3)
水蒸気透過度(g/m2/day)=X*18*m*(104/A)*(24/T)(式4)
恒温恒湿処理時間 : T(hour)
腐食性金属の面積 : A(cm2)
腐食性金属の厚み : t(cm)
腐食性金属の腐食後の厚み補正係数 :α
腐食された金属面積 : δ(cm2)
腐食性金属の分子量 : M(M)
腐食後の金属水酸化物分子量 : M(MOH)
腐食性金属の密度 : d(M)(g/cm3)
腐食後の金属水酸化物密度 : d(MOH)(g/cm3)
腐食性金属の価数 : m
また、本発明の水蒸気透過性評価方法を用いて、任意の条件下で恒温恒湿度処理を施した金属腐食試験片の腐食性金属の面積に対する腐食された金属面積の割合を腐食面積率(式5)とし、腐食面積率を恒温恒湿処理時間に対してプロットしたグラフの傾きから得られる腐食面積率成長速度(式6)と腐食性金属の厚みから算出される単位時間あたりに生成する腐食金属の水酸化物の総体積から、単位時間当たりに腐食性金属と反応した水分量が算出されるため、金属腐食試験片の水蒸気透過性を、式7を用いて定量的に評価することもできる。
腐食面積率:Y(%) Y=δ/A*100 (式5)
腐食面積率成長速度:Z(%/h) Z=ΔY/ΔT (式6)
水蒸気透過度(g/m2/day)=8.64*104*Z*t*α*d(MOH)/M(MOH) (式7)
(実施例1)
厚さ200μmのポリエーテルサルホンフィルム/厚さ5μm紫外線(UV)硬化性樹脂(有機層1)/厚さ50nmのSiOx(無機層1)の順に積層された構造を持つ固体基板を用いた。有機層1はスヒ゜ンコートで塗布乾燥後、UVを照射し固化した。無機層1はスハ゜ッタリンク゛にて形成した。この固体基板を用いて水蒸気透過性評価用の金属腐食試験片を作製した。金属腐食試験片は、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE-400)を用い、腐食金属としてカルシウムを10x10mm、厚み200nmに蒸着し、真空を解除すること無に連続で非腐食性金属のアルミニウムを40x40mm、厚み4μmで封止した後に、窒素雰囲気下でカルシウム/アルミニウムを積層した固体基板の周囲を二液性熱硬化接着剤(ERS-2300/2830:住友ベークライト社製)でガラス基板と貼り合せて作製した。
作製した金属腐食試験片を、高温高湿槽中50℃95%RHの環境条件下に一定時間の保管した後、カルシウム腐食状態を評価することを繰り返し、水蒸気透過によるカルシウムの腐食状態の経時変化を観察した。作製した金属腐食試験片の全面を高解像度で撮影するためラインセンサカメラを使用し、アクチュエータにより等速度で試験片を移動させながら撮影した。照明はハロゲン光源で、ファイバーガイドを用いて試験片へと導き、斜めに入射した照明光の試験片上での正反射光をラインセンサカメラで撮影し、画像データとして得た。湿熱処理により発生したカルシウム腐食状態の画像に対し微分処理を行うことにより得た隣接する輪郭点同士を接続し、図3に示されるように各腐食領域を閉曲線として解析した。金属腐食試験片の測定時間は、画像取り込み及び腐食領域と総腐食面積の解析を含め1分/1試験片と非常に迅速であり、試験片の湿度環境暴露試験を中断する時間を短時間にすることが出来た。
作製した金属腐食試験片を高温高湿50℃95%RHの条件下で累積24時間処理した後、試験片の腐食状態を評価した。カルシウム部分には不均一に分散した大きさの異なる腐食パターンが見られ、水蒸気透過が局所的なバリア膜構造欠陥から生じたものであることが確認できた。腐食状態の画像解析から10mm□サイス゛のカルシウム膜に総面積が6.70×10-3cm2の金属腐食が測定できた。カルシウムの分子量と比重は40.08と1.55g/cm3であり、腐食として観察される水酸化カルシウムの分子量と比重は74.09と2.08〜2.34g/cm3であることから、金属腐食の厚み補正を考慮すると24時間の湿熱処理で生成した水酸化カルシウムのモル数は3.76×10-9〜5.83×10-9molである。よって、水蒸気透過度は0.0135〜0.0210(g/m2/day)と見積もることができた。
厚さ200μmのポリエーテルサルホンフィルム/厚さ5μm紫外線(UV)硬化性樹脂(有機層1)/厚さ80nmのSiOx(無機層1)の順に積層された構造を持つ固体基板を用いた。有機層1はスヒ゜ンコートで塗布乾燥後、UVを照射し固化した。無機層1はスハ゜ッタリンク゛にて形成した。この固体基板を用いて水蒸気透過性評価用の金属腐食試験片を作製した。金属腐食試験片は、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE-400)を用い、腐食金属としてカルシウムを10x10mm、厚み200nmに蒸着し、真空を解除すること無に連続で非腐食性金属のアルミニウムを40x40mm、厚み4μmで封止した後に、真空状態を解除し、速やかに蜜蝋(融点 60〜62℃)とパラフィン(融点 60〜62℃)を1:1の割合で溶融混合した熱可塑性樹脂でカルシウム/アルミニウムを積層した面を樹脂封止した後に、更にガラス基板を積層し熱可塑性樹脂を冷却固化させることにより作製した。
作製した金属腐食試験片を、高温高湿槽中50℃95%RHの環境条件下に一定時間の保管した後、フィルム側からカルシウム腐食状態を評価することを繰り返し、水蒸気透過によるカルシウムの腐食状態の経時変化を実施例1の腐食状態評価装置を用いて観察した。金属腐食試験片の測定時間は、画像取り込み及び腐食領域と総腐食面積の解析を含め1分/1試験片と非常に迅速であり、試験片の湿度環境暴露試験を中断する時間を短時間にすることが出来た。
作製した金属腐食試験片を高温高湿50℃95%RHの条件下で累積24時間処理した後、試験片の腐食状態を評価した。カルシウム部分には不均一に分散した大きさの異なる腐食パターンが見られ、水蒸気透過が局所的なバリア膜構造欠陥から生じたものであることが確認できた。腐食状態の画像解析から10mm□サイス゛のカルシウム膜に総面積が5.32×10-3cm2の金属腐食が測定できた。実施例1と同様な方法により水蒸気透過度を推定すると、24時間の湿熱処理で生成した水酸化カルシウムのモル数は2.99×10-9〜4.63×10-9molであるため、水蒸気透過度は0.0107〜0.0167(g/m2/day)と見積もることができた。
厚さ200μmのポリエーテルサルホンフィルム/厚さ2μm紫外線(UV)硬化性樹脂(有機層1)/厚さ50nmのSiOx(無機層1)の順に積層された構造を持つバリア性フィルムを用いた。有機層1はスヒ゜ンコートで塗布乾燥後、UVを照射し固化した。無機層1は実施例2と異なるスハ゜ッタリンク゛条件にて形成した。用いる固体基板以外は実施例2と同様な条件で、金属腐食試験片を作製した。
作製した金属腐食試験片を、高温高湿槽中40℃90%RHの環境条件下に一定時間の保管した後、フィルム側からカルシウム腐食状態を評価することを繰り返し、水蒸気透過によるカルシウムの腐食状態の経時変化を実施例1の腐食状態評価装置を用いて観察した。金属腐食試験片の測定時間は、画像取り込み及び腐食領域と総腐食面積の解析を含め1分/1試験片と非常に迅速であり、試験片の湿度環境暴露試験を中断する時間を短時間にすることが出来た。
作製した評価用セルを高温高湿40℃、90%RHの条件下で6時間処理した後に、試験片の腐食状態を評価した。カルシウム部分には不均一に分散した大きさの異なる腐食パターンが見られ、水蒸気透過が局所的なバリア膜構造欠陥から生じたものであることが確認できた。腐食状態の画像解析から10mm□サイス゛のカルシウム膜に総面積が0.168cm2の金属腐食が測定できた。実施例1と同様な方法により水蒸気透過度を推定すると、6時間の湿熱処理で生成する水酸化カルシウムのモル数は9.43×10-8〜14.6×10-8molであるため、水蒸気透過度は0.136〜0.211(g/m2/day)と見積もることができた。用いた固体基板をモコン法により評価した結果、水蒸気透過度は0.18(g/m2/day)であったことから、本発明による水蒸気透過測定の定量性は十分実用レベルと判断できる。
厚さ200μmのポリエーテルサルホンフィルム/厚さ5μm紫外線(UV)硬化性樹脂(有機層1)/厚さ100nmのSiOx(無機層1)の順に積層された構造を持つ固体基板を用いた。有機層1はスヒ゜ンコートで塗布乾燥後、UVを照射し固化した。無機層1は実施例1と異なる成膜条件でスハ゜ッタリンク゛法にて形成した。この固体基板を用いて水蒸気透過性評価用の金属腐食試験片を作製した。金属腐食試験片は、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE-400)を用い、腐食金属としてカルシウムを15x15mm、厚み200nmに蒸着し、真空を解除すること無に連続で非腐食性金属のアルミニウムを40x40mm、厚み4μmで封止した。更に、マーキング用のパターンを入れたマスクを用いてアルミニウムを蒸着し、評価基板にマーキングを4点形成した。封止膜とマーキング形成した後に真空状態を解除し、実施例2に用いた方法でカルシウム/アルミニウム形成面及びマーキングを形成した面を樹脂封止した後に、更にガラス基板を積層し熱可塑性樹脂を冷却固化させることにより評価セルを作製した。
作製した金属腐食試験片を、高温高湿槽中50℃95%RHの環境条件下に保管し、フィルム側からカルシウム腐食状態変化を経時的に撮影することを繰り返し、水蒸気透過によるカルシウムの腐食状態の経時変化を実施例1の腐食状態評価装置を用いて画像撮影した。金属腐食試験片の測定時間は、画像取り込み及び腐食領域と総腐食面積の解析を含め1分/1試験片と非常に迅速であり、試験片の湿度環境暴露試験を中断する時間を短時間にすることが出来た。また、マーキングを基準点とすることで、撮影する度毎の評価セルの固定位置を一定に保つことが容易になり、金属腐食の経時変化観察の精度を向上し撮影することができた。
作製した金属腐食試験片を高温高湿50℃95%RHの条件下で累積33時間処理した後、試験片の腐食状態を評価した。15mm□のカルシウムの中央12mm□の領域を用いて解析を行った。カルシウム部分には不均一に分散した大きさの異なる腐食パターンが見られ、水蒸気透過が局所的なバリア膜構造欠陥から生じたものであることが確認できた。腐食状態の画像解析は15mm□のカルシウムの中央12mm□の領域を用いて行った。腐食状態を撮影した画像のマーキングを基準にして腐食点の特定を行うことで各腐食に着目した解析が容易になった。各腐食点の面積を処理時間に対してプロットした結果(図10)、殆どの腐食点は非常に緩やかに成長するが、数個の腐食は4〜5倍の速度で成長する傾向が確認され、無機膜の防湿性は数個の防湿性欠陥が大きく影響していることが解った。また、各腐食点を累積した総腐食面積から腐食面積率を算出し、処理時間に対してプロットすることから腐食面積率成長速度を得た(図11)。腐食面積率成長速度は1.87x10-2%/hであり、水蒸気透過度は9.07×10-4〜1.41×10-3(g/m2/day)と見積もることができた。
実施例1で作製した金属腐食試験片を本発明の試験片測定装置ではなく、レーザー顕微鏡を用いて評価した。金属腐食成長の経時変化を評価するため、1サンプルに対し1.0mm×1.4mm範囲の画像を88枚撮影した。腐食状態測定に要した時間は90分/1試験片と長時間が必要であり、試験片の湿度環境暴露試験を長時間中断せざるを得なかった。腐食領域と総腐食面積の解析をするために、撮影した88枚の画像データを1つの画像データにつなぎ合わせた。つなぎ合わせた画像を記録紙に印刷した後に、腐食領域のみを切り抜き、評価領域全重量に対する切り抜き部分の重量を計量することで、腐食領域と腐食総面積の評価を行った。金属腐食試験片の腐食状態測定及び腐食領域と総腐食面積の解析を含め120分/1試験片と長時間が必要であった。
作製した金属腐食試験片を高温高湿50℃95%RHの条件下で累積24時間処理した後、腐食状態の顕微鏡観察からカルシウム膜の中央10mm□サイス゛の腐食総面積を7.26×10-3cm2と測定した。実施例1と同様な方法により水蒸気透過度を推定すると、24時間の湿熱処理で生成した水酸化カルシウムのモル数は4.08×10-9〜6.32×10-9molであるため、水蒸気透過度は0.0147〜0.0227(g/m2/day)と見積もることができ、微量な水蒸気透過量を測定することはできたが、画像測定は効率よく行うことは困難であった。
2 試験片
3 照明装置
4 画像入力装置
5 画像処理装置
6 表示装置
7 記憶装置
8 制御装置
9 アクチュエータ
10 入力画像
11 腐食領域
12 むら
13 微分処理画像
14 輪郭点
15 輪郭点連結画像
16 輪郭点の接続により生成された閉曲線
17 輪郭点の接続により生成された開曲線
18 腐食領域抽出画像
19 腐食領域輪郭
20 腐食状態生画像データ
21 腐食領域抽出画像データ
22 腐食性金属層
23 プラスチックフィルム
24 ガスバリア層
25 硬化性接着剤
26 ガラス基板
27 非腐食性金属
28 低透湿性の熱可塑性樹脂
29 マーキング
Claims (4)
- 水蒸気透過性を評価する材料から成る固体基板の片面側に、水分と反応して腐食する腐食性金属を形成し、かつ腐食性金属の形成箇所を特定するためのマークが腐食性金属と重ならない領域に少なくとも2個形成されている金属腐食試験片を湿度環境下に保管し、固体基板を透過した水蒸気によって前記腐食性金属の一部分が腐食した金属腐食試験片の画像を撮影し、撮影した画像に微分処理を行うことにより得られた輪郭点群のうち隣接する輪郭点同士を、4近傍連結法、8近傍連結法、連結された曲線の滑らかさや曲線を構成する輪郭点間の距離をもとに評価値を作成し、遺伝的アルゴリズムなどの最適化手法により評価値が大きくなるように輪郭点を連結する方法、輪郭点における輪郭の角度をもとに曲線を延長し輪郭点を連結していく方法のいずれかにより接続することにより得られた閉曲線を腐食領域の輪郭として腐食領域の面積を測定することで水分と反応した金属の腐食状態を評価し、腐食領域の形状、分布及び/又は面積から固体基板の水蒸気透過性を評価する水蒸気透過性評価方法。
- 前記金属腐食試験片の単位時間あたりの腐食面積増加量と腐食金属の厚みから算出される単位時間あたりの腐食金属の体積変化量から、金属と反応する単位時間あたりの水分量を定量化し、水蒸気透過度を測定する請求項1記載の水蒸気透過性評価方法。
- 前記腐食性金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはその合金を含むものである請求項1または2記載の水蒸気透過性評価方法。
- 前記腐食性金属がCa、Mgの何れかを含むものである請求項1〜3いずれか記載の水蒸気透過性評価方法。
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