JP5581563B2 - 照明装置並びにそれを用いた欠陥検査装置及びその方法並びに高さ計測装置及びその方法 - Google Patents

照明装置並びにそれを用いた欠陥検査装置及びその方法並びに高さ計測装置及びその方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料上の線状の領域を照明する照明光学系並びにそれを用いた欠陥検査装置及びその方法並びに高さ計測装置及びその方法に関する。
半導体製造工程では、半導体基板(ウエハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。また、半導体素子が微細化して半導体基板中に微細な異物が存在した場合にこの異物が、キャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は、搬送装置の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスによる処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなど種々の原因により様々な状態で混入される。
同様の液晶表示素子製造工程でも、パターン上に異物が混入したり、何らかの欠陥が生じたりすると、表示素子として使えないものになってしまう。プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物混入はパターンの短絡、不良接続の原因になる。
従来この種の、半導体基板上の異物を検出する技術の一つとして、特開平7−229845号公報(従来技術1)には、光源から発射された光ビームの断面形状をアパーチャ板で所定形状に成形して試料上に斜め方向から照射し、試料からの光に基づいて試料に付着した異物を検査する装置において、フーリエ変換面状に開口絞りを配置してこの開口絞りの開口径を絞り込んで高い空間周波数成分を遮光することにより、試料上に長手方向に均一な強度分布を持つスリット光を照射する構成が開示されている。
また、特表2001-512237号公報(従来技術2)には、円柱ミラーまたは円柱レンズを用いて、入射する平行化された光ビームを被検査表面上の線状の領域に集束させ、ビームの像が表面の異常および特徴を検出する構成が開示されている。また、同様に特開2003-185593号公報(従来技術3)には、インコヒーレント光を収束してウエハ面に優勢なパターンライン方向に対して45度で斜方入射し、パターンコーナーからの反射をブロックする光学的マスクを結像光学系に設置する構成をとることにより、ウエハ面上の凹凸性欠陥を精度良く、有効に検査する構成が開示されている。さらに、パターンからの散乱光を低減する方向から円柱ミラーまたは円柱レンズを用いて照明する高効率照明光学系により、信号のばらつきの原因であるパターンからの散乱光を低減、さらにチップ内の領域毎に算出した信号のばらつきをもとにしきい値を設定する手段により、検出しきい値を低減し、検出感度の向上およびスループットの向上を実現する装置が、特開2004-301847号公報(従来技術4)に開示されている。
また、半導体や液晶基板の露光装置においては色収差パターンを結像するため、基板の高さ計測が用いられており、特に光学式の高さ計測が、特開2002-203785号公報(従来技術5)に開示されている。
特開平7−229845号公報 特表2001−512237号公報 特開2003−185593号公報 特開2004−301847号公報 特開2002−203785号公報
上記した従来技術1に開示されている検査装置においては、レーザ光源から発射されたレーザをビームエキスパンダで拡大した後、アパーチャ板で拡大したビームの中央部付近の一部のレーザを透過させ、更に開口径を絞り込んだ開口絞りを用いて試料上の線状の領域に照射するスリット状のビームの強度分布の均一化を図っているために、レーザ光源から発射されたレーザのうちの試料表面に照射される割合が小さくなってしまう。このため、試料に照射するレーザの照度を上げるためには、光源に用いるレーザとしてより強いレーザパワーが必要になり、より大型の高価なレーザ発振機が必要になるという課題があった。
また、従来技術1には、強度分布を均一化したスリット状のビームを、基板の照射領域全面に焦点を合わせるように照明光学系を構成することについては記載されていない。
また、上記の従来技術2乃至5では、基板上にパターンを形成し対象物を製作していく製造過程で発生する欠陥を散乱光により検出する欠陥散乱光検出装置に対し、従来は図21(a)に示すように、照明光学系にシリンドリカルレンズ110を用い、ガウシアン強度分布を持つレーザ光による入射ビーム10をスリット状3に照射させ、さらにスリット状3の均一な領域だけを検出系のアパーチャ111等によりスリット状にカットして照射を行っていたため、光利用効率が悪く、また強いレーザパワーが必要となるためコストが高いという課題があった。
更に、光利用効率が悪いため迷光率が高いことや、基板に対し斜めから照明するためスリット方向に強度分布が変化し、画像処理による感度補正が必要であるという課題があった。
また、上記の従来技術1から4では、基板上表面の高さ計測装置に対し、従来は図20(b)に示すように、照明光学系にレンズ111,113を用い、レーザ光による入射ビーム10のガウシアン強度分布が均一な領域だけをアパーチャ112等によりカットしてスリット状の照射を行っていたため、光利用効率が悪く、また強いレーザパワーが必要となるためより大型のレーザ光源を採用せざるを得なくなり、コストが高くなってしまうという課題があった。
更に、光利用効率が悪いため迷光率が高いことや、基板に対し斜めから照明するためスリット方向に強度分布が変化し、画像処理による感度補正が必要であるという課題があった。
本発明の目的は、試料上の所望の領域にレーザ光を斜方入射させて均一な強度分布でかつ高い光利用効率で照明することでより低いレーザパワーでも充分に検査又は計測を行えるようにして、比較的小型のレーザ光源を用いること可能にすることにより低コスト化できるようにした照明光学系及びそれを用いた検査装置並びに高さ計測装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、試料上の所望の領域にレーザ光を均一強度で照明し、高い光利用効率を達成することで迷光率を低くすることができるようにした照明光学系及びそれを用いた検査装置並びに高さ計測装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明では、欠陥検査装置や高さ計測装置に用いる試料を照明するための照明光学系(照明装置)を、照明光を発射する光源と、この光源から発射された照明光の光束の断面形状と強度分布を変換する回折光学素子を備えた光学素子と、回折光学素子で照明光の光束の断面形状と強度分布とが変換された照明光を試料上に試料の表面に対して斜め方向から照射する照射部とを備えて構成し、光学素子の回折光学素子により、照射部を介して試料上に照射される照明光が試料上の直線状の領域を直線状の全領域に渡ってほぼ均一の強度分布で直線状の全領域に渡って焦点が合った状態で照射するように照明光の光束の断面形状と強度分布とを変換するように構成した。
また、上記課題を解決するために、本発明では、試料の表面を該表面に対して斜め方向からレーザで照明する照明手段と、この照明手段で照明された試料からの反射散乱光の像を検出する検出光学系手段と、この検出光学系手段で検出した試料からの反射散乱光の像の画像信号を処理して試料表面の欠陥を検出する画像処理手段とを備えた欠陥検査装置において、照明手段は、レーザを発射する光源と、この光源から発射されたレーザの光束の断面形状と強度分布を変換する回折光学素子を備えた光学変換部と、この光学変換部で断面形状と強度分布とが調整されたレーザを試料上に照射する照射部とを有し、光学変換部の回折光学素子を介して、照射部から試料上に照射されるレーザが試料上の直線状の領域をこの直線状の領域全体に渡ってほぼ均一の強度分布でこの直線状の領域全体に渡って焦点が合った状態で照射するようにレーザの断面形状と強度分布とを変換するように構成した。
また、上記課題を解決するために、本発明では、スリット光で試料の表面を該表面に対して斜め方向から照明する照明手段と、この照明手段で試料の表面に照明されたスリット光の反射光を検出する反射光検出手段と、この反射光検出手段で反射光を検出して得た信号を処理して試料表面の高さを検出する信号処理手段とを備えた高さ計測装置において、照明手段は、照明光を発射する光源と、この光源から発射された照明光の光束の断面形状と強度分布を変換する回折光学素子を備えた光学変換部と、この光学変換部で照明光の光束の断面形状と強度分布とが変換された照明光を試料上に照射する照射部とを有し、光学変換部の回折光学素子を介して、照射部から試料上に照射される照明光が試料上の複数の直線状の領域をこの複数の直線状の領域全体に渡ってほぼ均一の強度分布でこの複数の直線状の領域全体に渡って焦点が合った状態で照射するように照明光の光束の断面形状と強度分布とを変換するように構成した。
本発明によれば、所望の照明部分に焦点を合わせたレーザ光を均一強度で照明するため高い光利用効率が達成され、低いレーザパワーのレーザ光源を使用できるようにしたことにより照明光源を低コスト化できるという効果を奏する。
また本発明によれば、所望の照明部分に焦点を合わせたレーザ光を均一強度で照明するため高い光利用効率が達成され、迷光率を低くすることができるため欠陥検出の閾値を低く設定することができるので、欠陥を高感度に検出することが可能になる。
更に本発明によれば、試料に照射するレーザ光の強度分布が均一なため、センサに対して画像処理による感度の均一化補正が不要となり照明光学系の高性能化を実現できる効果を奏する。
本発明による照明光学系とそれを用いた検査装置及び高さ計測装置の実施例を、図を用いて説明する。
先ず図1乃至5を用いて、照明光学系の原理とその構成について説明する。
図1にレーザビームを斜方入射により均一なスリット状に変換する回折光学素子104を示す。この回折光学素子104は、スリット方向で、焦点距離が異なり、直線的にこの焦点距離を変える。この構成により、図1に示すように斜めから照明しても、x方向に絞り込み、y方向にコリメートされたスリット状のビーム3で照射領域全面に亘って焦点が合った状態でウェハ1を照明することができる。即ち、この回折光学素子104により、図2(b)に示すようなy方向に平行光となる照明を実現することができる。
本発明による図1に示したような回折光学素子104を用いた照明光学系の構成を図2(a)、(b)に示す。レーザ光源101から射出した光は、凹レンズ102、凸レンズ103から構成されるビームエキスパンダを介して、回折光学素子104に入射する。
図3に示す、波長λをもつレーザ光10が回折光学素子104の素子面(x, y)3022を介し、基板面(x’, y’)3023に角度θ:3020で照射する。このとき、レーザ光による入射ビーム10が基板に入射する点を通り素子面3022に平行な面3021から素子面3022までの距離をfとすると、斜め入射によりx’方向に沿って生じる位相差の項は、次に示す(数1)で表すことができる。
Figure 0005581563
図3に示した素子面3022の複素振幅分布をU(x,y)とすると、像面3023における複素振幅U’(x’,y’)は、次に示す(数2)のU(x,y)のフーリエ変換であらわされる。
一方、複素振幅U(x,y)は、(数3)の逆フーリエ変換であらわされる。
Figure 0005581563
Figure 0005581563
先ず、図4に反復フーリエ変換を適用した回折光学素子104の設計アルゴリズムを概念的に表したものを示す。
ガウシアン振幅分布2001を持つ入射ビーム10を、初期位相2002のような素子位相分布を持つ回折格子素子104を透過させて試料面状に結像させる場合、ガウシアン振幅分布2001と初期位相2002とを持つ複素関数U(x,y)をフーリエ変換(数2)2004させ、像面側の複素振幅分布U’(x’,y’)を得る。振幅分布Re{U’(x’,y’)}に、所望する均一なスリット状振幅分布3001と入れ替える。
次に、逆フーリエ変換3004を行い、新しい複素振幅U(x,y)が求まる。ここで、複素振幅分布U(x,y)の実部は、ガウシアン振幅分布(図4の2001)をRe(U Gaussian)⇒U(x,y)とし、常に置き換える。得られた像面側の振幅分布3001が所望の振幅分布になるまで反復計算2003を繰り返す。
反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、図3に示すように斜め入射により生じる位相差の項(数1)を位相分布3002に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から素子の位相分布を求めることができる。
複素振幅分布U(x,y)からの位相分布は(数4)により求めることができる。
Figure 0005581563
次に、図4で説明した反復フーリエ変換を適用した回折光学素子104の設計アルゴリズムを、図5にフロー図を用いて説明する。まずステップ1001で、ガウシアン振幅分布と初期位相をもつ複素振幅分布U(x,y)を設定し、ステップ1002で(数2)によるフーリエ変換を行い、像面側の複素振幅分布U’(x’,y’)を得る。ステップ1003で、複素振幅分布U’(x’,y’)を、所望する均一なスリット状振幅分布に置き換える。ステップ1004で、反復計算回数がN回に満たない場合、ステップ1005で、逆フーリエ変換を行い、新しい複素振幅分布U(x,y)が求まる。複素振幅分布U(x,y)の実部はガウシアン振幅分布とし、常に置き換える。次にステップ1001に戻り、この操作をN回繰り返す。
ステップ1004でN回に達した場合、反復計算から抜け出し、ステップ1006で図3に示すような斜め入射により生じる位相差の項(数1)を掛け合わせ、逆フーリエ変換から複素振幅分布U(x,y)が求まり、ステップ1007で(数4)を用いて素子の位相分布を求めることができる。
図5に示した処理では、ステップ1001から1005までの反復計算をN回繰返した後に、ステップ1006へ進むフローを示したが、反復計算をN回繰返すかわりに、ステップ1004で毎回反復計算の集束状態をチェックして集束したと判断した場合に(|(目標振幅分布:U)−(計算結果の複素振幅分布:U’)|<ε)、ステップ1006へ進むようにしてもよい。
なお、回折光学素子104は、複数の素子を組み合わせて構成してもよい。
上記に説明した手順で設計し、作成した回折光学素子104を用いた照明光学系部を装着した欠陥検査装置の例を、図6(a),(b)を用いて説明する。本実施例における欠陥検査装置は基板上に付着又は基板上に発生した異物を検出する異物検査装置に適用した例である。図6(a)に示した構成において、基板設置台304、xyzステージ301、302、303お+よびステージコントローラ305から構成されるステージ部300と、レーザ光源101、凹レンズ102および凸レンズ103、回折光学素子104より構成される照明光学系部100と、検出レンズ201、空間フィルタ202、結像レンズ203、ND(Neutral Density)フィルタ207、ビームスプリッター204、偏光素子208、センサ等の1次元検出器(イメージセンサ)205、206より構成される検出光学系部200と、1次元検出器205,206からの出力をA/D変換して得られるデジタル信号とステージコントローラ305から得られるステージ駆動信号とを用いてデジタル画像を得、このデジタル画像を処理して基板上の欠陥を検出する演算処理部400とにより構成される。
照明光学系部100は、レーザ光源101から射出された光を、凹レンズ102および凸レンズ103より構成されるビームスプリッタ、回折光学素子104を通して、図8に示すようにスリット状のビーム3を平面的に方向11から載置台304上に設置されたウエハ(被検査対象基板)1に対して上記スリット状のビーム3の長手方向がチップの配列方向に向いて照明するよう構成される。なお、照明光として、スリット状のビーム3にするのは、異物検査の高速化を実現するためである。即ち、図8に示すように、xステージ301の走査方向のx方向およびyステージ302の走査方向のy方向に向けてチップ2を配列したウエハ1上に照明されるビーム3は、yステージ302の走査方向xあるいは走査方向yに狭く、その走査方向xあるいは走査方向yに広いスリットビームで照明する。そして、このスリット状のビーム3は、走査方向xあるいは走査方向yには、光源の像が結像するように、走査方向xあるいは走査方向yには、平行光になるようにウェハ1の表面を照明する。
特に、方向11からのスリット状のビーム3の照明で、ウエハ(被検査対象基板)1に対してチップの配列方向に向け、且つyステージ302の走査方向yに対して直角になるようにするためには、レーザビームを斜方入射により均一なスリット状に変換する回折光学素子104が必要となる。
なお、レーザ光源101として、分岐する関係で高出力のYAGレーザの第3高調波SHG、波長355nmを用いるのがよいが、必ずしも355nmである必要はない。また、レーザ光源101として、YAGSHGである必要もない。すなわち、レーザ光源101として、Arレーザ、窒素レーザ、He−Cdレーザ、エキシマレーザ等他の光源であっても良い。
検出光学系部200は、照明光学系部100により照明されてウエハ1で散乱した光を、検出レンズ(対物レンズ)201、繰り返しパターンからの反射回折光によるフーリエ変換像を遮光する空間フィルタ202、結像レンズ203、NDフィルタ(波長帯域によらず光量を調整する。)207、ビームスプリッター204、偏光素子208を通して、センサ等の1次元検出器205、206で検出するように構成される。空間フィルタ202は、繰り返しパターンからの反射回折光によるフーリエ変換像を遮光すべく、対物レンズ201の空間周波数領域、即ちフーリエ変換(射出瞳に相当する。)の結像位置に置かれている。また、偏光素子208は、照明光学系部100で偏光照明した際、回路パターンのエッジから生じる反射散乱光による偏光成分を遮光し、異物等の欠陥から生じる反射散乱光による偏光成分の一部分を透過するものである。偏光素子208は、ウェハ1の表面の状態によっては必ずしも必要としない。
照明光学系部100の回折光学素子104を用いて、照明するスリット状のビーム3について具体的に説明する。
図1に示した構成において、図9に示すようなガウシアン強度分布31、32をもつレーザビームを、回折光学素子104を用いることにより、図10に示すスリット状の均一強度分布31’、32’を得ることができる。図11に示すように、ウエハ(被検査対象基板)1に対して上記スリット状ビーム3aの長手方向が入射面に平行である状態、または図11に示すように、ウエハ(被検査対象基板)1に対して上記スリット状ビーム3bの長手方向が入射面に垂直である状態が可能である。
回折光学素子104を設計することにより、上記スリット状ビーム3aまたは3bの何れに対してもビームの長手方向の全領域に渡って焦点距離が合うように設定することができる。すなわち、スリット状のビーム3aまたは3bが照射されるウェハ1上の領域の全体にわたって、スリット状のビーム3aまたは3bの焦点が合った状態にすることができる。
また、回折光学素子104の設計を変えることにより、スリット状のビーム3aまたは3bがウェハ1上に照射される領域の向きを図11又は図12に示すX方向又はY方向に対して傾いた任意の方向に設定することが可能である。
これにより、ウェハ1上の照射領域の全面に渡って均一な照度で、かつ、全領域で焦点が合っているスリット状ビーム3を(以下、図1,8,11,12に記載したスリット状のビームを総称してスリット状ビーム3と記載する)ウェハ1に照射することが可能になる。
前述したように様々な形態の回路パターンが形成されたウエハ(基板)1に対して照明光学系部100からスリット状のビーム3が照明されると、この照明によるウエハの表面、回路パターン、異物等の欠陥からの反射回折光(あるいは散乱光)が発生する。この発生した反射回折光の一部は、検出レンズ201に入射して、ウェハ1上に形成された回路パターンのうち等ピッチで規則的に形成された回路パターンからの反射回折光により検出レンズの瞳面状に形成される回折光パターンを遮光する空間フィルタ202、空間フィルタ202を透過した反射回折光の像を結像させる結像レンズ203、結像レンズ203を透過した反射回折光の光量を調節するNDフィルタ207、NDフィルタ207を透過した反射回折光の偏光の状態を調整する偏光素子208、および偏光素子208で偏光の状態を調整された反射回折光を偏光に応じて分岐するビームスプリッター204を通して、検出器205、206で結像レンズ203により結像された光学像が受光されて光電変換される。
ここで、NDフィルタ207、偏光素子208、ビームスプリッター204の順序は、ここにあげた順序である必要はない。特に、NDフィルタ207は、ビームスプリッター204の後に配置すると、2つの検出器205、206に入る光の強度を独立に制御できるという効果を持つ。
また、ビームスプリッター204の透過、反射率は、50%である必要はない。たとえば、1%、99%と言う風に構成すると、一方の検出器に約100分の1の強度の光が入射することになり、これら強度の異なる光をそれぞれ受光する2つの検出器から得られる信号を用いることで、検出器の見かけ上のダイナミックレンジを向上することが出来る。従って、演算処理部400において、検出器205から得られる信号と検出器206から得られる信号とを用いることによってダイナミックレンジを向上させた異物等の欠陥からの検出信号を得ることができる。特に、強度が大きい光を検出器が受光して得られる信号は強度が大きい欠陥を示す成分が強調されることになり、強度が小さい光を検出器が受光して得られる信号は強度が小さい背景に近い成分が強調されることになる。従って、両信号の比などの相関をとることによって欠陥を示す信号のダイナミックレンジを向上させることができる。
しかし、レーザ光源101等の照明光学系から照射されるビーム光束の照度(パワー)を制御して変えることによっても、ダイナミックレンジを変えることができ、ビームスプリッタ−204および一方の検出器206をなくすことができる。
次に、検出器205及び206で検出した信号を処理する演算処理部400について,図6(b)を用いて説明する。
演算処理部400は、検出器205から出力される検出画像信号をA/D変換するA/D変換器4001、A/D変換器4001でA/D変換されたデジタル画像信号を記憶するデータ記憶部4002、A/D変換された検出器205からの検出画像信号に基いて閾値算出処理をする閾値算出処理部4003、上記データ記憶部4002から得られる検出画像信号4110と閾値算出処理部4003から得られる閾値画像信号4120とを基に異物検出処理を行う異物検出処理回路部4007、異物検出処理回路部4007で検出した欠陥の特徴量を算出する特徴量算出回路部4008、該特徴量算出回路4008から得られる検出した欠陥の特徴量の情報を入力して光検出器206で検出して処理された出力と統合して欠陥を分類する統合処理部4009を備えて構成される。
一方、光検出器206で得られた信号はA/D変換器4201でデジタル化された後に分岐して、一方はデータ記憶部4202に記憶され、他方は閾値算出処理部4203に入力する。データ記憶部4202から出力されたデジタル画像信号4310と閾値算出処理部4203から出力されたデジタル画像信号4320は異物検出処理回路部4207に入力されて異物検出処理が施され、検出された欠陥の画像は特徴量算出回路部4208で処理されて特徴量が算出される。該特徴量算出回路4208から得られる特徴量の情報は統合処理部4009に送られて、特徴量算出回路4008から出力された検出器205で検出された画像から得られた欠陥の特徴量の情報と統合されて大異物や小異物、パターン欠陥、基板表面の傷などの各種欠陥に分類される。
演算処理部400とレーザ光源101、ステージコントローラ305とはそれぞれ全体制御装置417に接続されており、全体制御装置417により演算処理部400とレーザ光源101、ステージコントローラ305とは制御されている。
本実施例によれば、レーザ光源101から発射されたレーザを、迷光が発生するのを防止した状態で効率よく強度分布が均一なスリット光3に成形してウェハ1の表面を照明できるために、検出器205及び206で検出した画像に対して明るさ補正処理を行なう必要が無くなり、信号処理を繰返すことによって画像データが鈍ってしまうのを防止できるので、欠陥をより高感度に検出することができる。
また、レーザ光源101から発射されたレーザを効率よくスリット光3に成形するので光量のロスが少なく、比較的小さいレーザ光源を採用することが可能になる。
次に、図6(a)に示した構成の変形例として、図6(a)に示した構成に斜方検出光学系を追加した構成を図7に示す。図7(a)に示した構成は、図6(a)に示した構成の検出光学系部200においてビームスプリッタ204と1次元検出器206を取り外した構成をウェハ1に対して垂直方向に設置した検出光学系部200’と傾斜した方向に設置した検出光学系部200”の2つ設置した構成を示す。欠陥検査装置をこのように構成することにより、ウェハに対して異なる仰角方向に散乱した散乱光を別々に検出できるので、これらの信号を処理して統合することにより欠陥の分類性能の向上を図るものである。
このような構成においてウェハ1上の欠陥を検出する方法について以下に説明する。
まず、図6(a)の構成を用いて説明した場合と同様に、ウエハ(基板)1に対して照明光学系部100からスリット状のビーム3が照明されると、この照明によるウエハの表面、回路パターン、異物等の欠陥からの反射回折光(あるいは散乱光)が発生する。この発生した反射回折光の一部は、ウェハ1に対して垂直方向に設置した検出光学系部200’の検出レンズ201に入射して、ウェハ1上に形成された回路パターンのうち等ピッチで規則的に形成された回路パターンからの反射回折光により検出レンズの瞳面状に形成される回折光パターンを遮光する空間フィルタ202、空間フィルタ202を透過した反射回折光の像を結像させる結像レンズ203、結像レンズ203を透過した反射回折光の光量を調節するNDフィルタ207、NDフィルタ207を透過した反射回折光の偏光の状態を調整する偏光素子208、および偏光素子208で偏光の状態を調整された反射回折光を検出器205で結像レンズ203により結像された光学像が受光されて光電変換される。
ここで、図6(a)の構成を用いて説明した場合と同様に、NDフィルタ207、偏光素子208、ビームスプリッター204の順序は、ここにあげた順序である必要はない。
一方、照明光学系部100によりスリット状のビーム3が照明されたウェハ1から発生した反射回折光の一部は、ウェハ1の垂線方向に対して傾斜した方向に設置した検出光学系部200”の検出レンズ201’に入射して、ウェハ1上に形成された回路パターンのうち等ピッチで規則的に形成された回路パターンからの反射回折光により検出レンズの瞳面状に形成される回折光パターンを遮光する空間フィルタ202’、空間フィルタ202’を透過した反射回折光の像を結像させる結像レンズ203’、結像レンズ203’を透過した反射回折光の光量を調節するNDフィルタ207’、NDフィルタ207’を透過した反射回折光の偏光の状態を調整する偏光素子208’、および偏光素子208’で偏光の状態を調整された反射回折光を検出器205’で結像レンズ203’により結像された光学像が受光されて光電変換される。
次に、検出光学系部200’の検出器205及び検出光学系部200”の検出器206でそれぞれ検出した信号を処理する演算処理部400’について,図7(b)を用いて説明する。
演算処理部400’は、検出光学系部200’の検出器205から出力される検出画像信号を処理する処理系として、検出器205から出力される検出画像信号をA/D変換するA/D変換器4001、A/D変換器4001でA/D変換されたデジタル画像信号を記憶するデータ記憶部4002、A/D変換された検出器205からの検出画像信号に基いて閾値算出処理をする閾値算出処理部4003、上記データ記憶部4002から得られる検出画像信号4110と閾値算出処理部4003から得られる閾値画像信号4120とを基に異物検出処理を行う異物検出処理回路部4007、異物検出処理回路部4007で検出した欠陥の特徴量を算出する特徴量算出回路部4008、該特徴量算出回路4008から得られる検出した欠陥の特徴量の情報を入力して光検出器206で検出して処理されたあと統合して欠陥を分類する統合処理部4009’を備えて構成される。
一方、検出光学系部200”の検出器205’から出力される検出画像信号を処理する処理系として、光検出器205’ から出力される検出画像信号をA/D変換器4201’でデジタル化した後に分岐して、一方はデータ記憶部4202’に記憶し、他方は閾値算出処理部4203’に入力する。データ記憶部4202’から出力されたデジタル画像信号4310’と閾値算出処理部4203’から出力されたデジタル画像信号4320’は異物検出処理回路部4207’に入力されて異物検出処理が施され、検出された欠陥の画像は特徴量算出回路部4208’で処理されて特徴量が算出される。該特徴量算出回路4208’から得られる特徴量の情報は統合処理部4009’に送られて、特徴量算出回路4008から出力された検出器205で検出された画像から得られた欠陥の特徴量の情報と統合されて大異物や小異物、パターン欠陥、基板表面の傷などの各種欠陥に分類される。
演算処理部400’とレーザ光源101、ステージコントローラ305とはそれぞれ全体制御装置417’に接続されており、全体制御装置417’により演算処理部400’とレーザ光源101、ステージコントローラ305とは制御されている。
本変形例によれば、レーザ光源101から発射されたレーザを、迷光が発生するのを防止した状態で効率よく強度分布が均一なスリット光3に成形してウェハ1の表面を照明できるために、検出器205及び206で検出した画像に対して明るさ補正処理を行なう必要が無くなり、信号処理を繰返すことによって画像データが鈍ってしまうのを防止できるので、欠陥をより高感度に検出することができる。
また、本変形例によれば、強度分布が均一なスリット光3が照射されたウェハ1からの散乱光を、ウェハ1の表面の法線方向に対して異なる角度方向(仰角方向)に散乱した散乱光を分離して検出できるので、これらの信号を処理して統合することにより欠陥の分類性能の向上を図ることができる。
本発明による照明光学系を高さ計測装置に適用した実施例を、図13に示す。高さ計測装置は、半導体の製造プロセスの条件設定やモニタのため、走査電子顕微鏡により被測定対象物(被測定物、対象物)1の電子線像を得、画像処理によって、被測定対象物1の微細なパターンの線幅や穴径を測長するものである。
光学的高さ検出系は、投影光学系、検出光学系、センサ、高さ検出手段等を備え、被測定対象物1にレーザ光101を投影し、被測定対象物1で反射されたスリット光を検出し、¥センサでスリット像による電気信号を検出する光学的高さ検出光学系150と、スリット像による電気信号から検出誤差の大きなスリット部分を除外して対象物の高さを算出する高さ算出処理器とから構成される。
次に、前記光学的高さ検出系における、光学的高さ検出光学系150について、図13、図14を用いて説明する。
図13に示すように、光学的高さ検出光学系150は、投影光学系151と検出光学系152とからなる。図13(b)は、図13(a)の上方からみた図である。
投影光学系151は、レーザ光源101と、レーザ光をコリメートするレンズ102,103と、スリット光を形成する回折光学素子104と、スリット光のうちS偏光を透過するよう設置された偏光フィルタ106とから構成される。
検出光学系152は、被測定対象物1上で正反射したスリット光を集光して中間スリット像を結像する検出レンズ121と、スリット光の進行方向を変えるミラー122と、検出レンズ121で結像された中間スリット像を拡大してセンサ124上に結像する拡大レンズ123と、センサ124とから構成される。
ここで、投影光学系151と検出光学系152は、光学的高さ検出における検出誤差を小さくするため、図13(b)に示すように、被測定対象物1を載置するXYステージのX方向125に対し傾斜して設置されている。
(シングルスリット)
被測定対象物1の表面近傍にシングルスリット像を結像する。被測定対象物1の表面近傍に結像したシングルスリット光は正反射し、検出レンズ121によって中間シングルスリット像126を結像する。ミラー122で、シングルスリット光の進行方向を変える。中間シングルスリット像126は、拡大レンズ123によって拡大され、センサ124上に結像する。
ここで、図14において、シングルスリット光の入射角θ、検出光学系の検出レンズ121、拡大レンズ124を総合した検出拡大レンズ121の倍率をmとした場合、図14に示すように、被測定対象物1の高さがΔzだけ変化すると、センサ124上のシングルスリット像は2mΔz・sinθだけ全体にシフトする。これを利用して、センサ124で得られたシングルスリット像の電気信号からシングルスリット像のシフト量を算出し、さらに、シフト量から、被測定対象物1の高さΔzを算出する。
次に、図14を用いて、高さ算出処理方法について説明する。図15は、投影光学系の回折光学素子104によるスリット光が、被測定対象物1上に投影されたときのスリット像43を示す。シングルスリット光の照射個所は、図に示すように低反射率部41と高反射率部42とからなる垂直パターンの境界部分に当った場合を示している。
シングルスリット像43は、検出レンズ121、拡大レンズ123により、図13(b)に示すセンサ124上に結像する。検出光学系の倍率をm、シングルスリット像43のスリットのX方向ピッチ、Y方向ピッチをpx、pyとすると、センサ124上のシングルスリット像のX方向ピッチ、Y方向ピッチはそれぞれmpx・cosθ、mpyとなる。又、被測定対象物1の高さがΔzだけ変化すると、センサ124上のシングルスリット像はX方向には2mΔz・sinθだけシフトするがY方向にはシフトしない。そのため、センサ124で得られたシングルスリット像の電気信号からシングルスリット像のX方向のシフト量を算出し、X方向のシフト量から、被測定対象物1の高さΔzを検出できる。
図3に示す、波長λをもつレーザ光の入射ビーム10が回折光学素子104の面(x, y)3022を介し、基板面(x’, y’)3023に角度θ3020で照射する。このとき、素子面3022から基板面3021までの距離をfとすると、斜め入射によりx’方向に沿って生じる位相差Δの項は、次に示す(数1)で表すことができる。
素子面3022の複素振幅分布をU(x,y)とすると、像面3023における複素振幅U’(x’,y’)は、次に示す(数2)のU(x,y)のフーリエ変換であらわされる。
一方、複素振幅U(x,y)は、(数3)の逆フーリエ変換であらわされる。
図4に反復フーリエ変換を適用した回折光学素子104の設計アルゴリズムを示す。
ガウシアン振幅分布2001と初期位相2002を持つ複素関数U(x,y)をフーリエ変換(数2)2004させ、像面側の複素振幅分布U’(x’,y’)を得る。振幅分布Re{U’(x’,y’)}に、所望する均一なスリット状振幅分布3001と入れ替える。
次に、逆フーリエ変換3004を行い、新しい複素振幅U(x,y)が求まる。ここで、複素振幅分布U(x,y)の実部は、ガウシアン振幅分布2001とし、常に置き換える。得られた像面側の振幅分布3001が所望の振幅分布になるまで反復計算2003を繰り返す。
反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、図3に示すように斜め入射により生じる位相差の項(数1)を位相分布3002に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から素子の位相分布を求めることができる。
複素振幅分布U(x,y)からの位相分布は(数4)により求めることができる。
図5に反復フーリエ変換を適用した回折光学素子104の設計アルゴリズムを示す。まずステップ1001で、ガウシアン振幅分布と初期位相をもつ複素振幅分布U(x,y)を設定し、ステップ1002で(数2)によるフーリエ変換を行い、像面側の複素振幅分布U’(x’,y’)を得る。ステップ1003で、複素振幅分布U’(x’,y’)を、所望する均一なスリット状振幅分布に置き換える。ステップ1004で、反復計算回数がN回に満たない場合、ステップ1005で、逆フーリエ変換を行い、新しい複素振幅分布U(x,y)が求まる。複素振幅分布U(x,y)の実部はガウシアン振幅分布とし、常に置き換える。次にステップ1001に戻り、この操作をN回繰り返す。
ステップ1004でN回に達しなかった場合、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、ステップ1006で図3に示すような斜め入射により生じる位相差の項(数1)を掛け合わせ、逆フーリエ変換から複素振幅分布U(x,y)が求まり、ステップ1007で(数4)を用いて素子の位相分布を求めることができる。
前述した本発明に係る照明光学系部の回折光学素子104を用いて、照明するスリット状のビーム3について具体的に説明する。
図9に示すガウシアン強度分布31、32をもつレーザビームを、回折光学素子104を用いることにより、図10に示すスリット状の均一強度分布31、32をえることができる。図11に示すように、ウエハ(被検査対象基板)1に対して上記スリット状ビーム3の長手方向が入射面に平行である状態、または図11に示すように、ウエハ(被検査対象基板)1に対して上記スリット状ビーム3の長手方向が入射面に垂直である状態が可能である。回折光学素子104を用いることにより、上記スリット状ビーム3の長手方向に対し、焦点距離が合うものとする。
(マルチスリット)
前記では回折光学素子104を用いて、シングルスリットへのビーム変換であったが、マルチスリットへのビーム変換も可能である。回折光学素子104を用いることにより、上記スリット状ビーム3の長手方向に対し、焦点距離が合うものとする。
被測定対象物1の表面近傍にマルチスリット像を結像する。被測定対象物1の表面近傍に結像したマルチスリット光は正反射し、検出レンズ121によって中間マルチスリット像126を結像する。ミラー122で、マルチスリット光の進行方向を変える。中間マルチスリット像126は、拡大レンズ123によって拡大され、センサ124上に結像する。
ここで、図14において、マルチスリット光の入射角θ、検出光学系の検出レンズ121、拡大レンズ124を総合した検出拡大レンズ121の倍率をmとした場合、図14に示すように、被測定対象物1の高さがΔzだけ変化すると、センサ124上のマルチスリット像は2mΔz・sinθだけ全体にシフトする。これを利用して、センサ124で得られたマルチスリット像の電気信号からマルチスリット像のシフト量を算出し、さらに、シフト量から、被測定対象物1の高さΔzを算出する。
図3に示す、波長λをもつレーザ光による入射ビーム10が回折光学素子104の面(x, y)3022を介し、基板面(x’, y’)3023に角度θ3020で照射する。このとき、素子面3022から基板面3021までの距離をfとすると、斜め入射によりx’方向に沿って生じる位相差Δの項は、次に示す(数1)で表すことができる。
素子面3022の複素振幅分布をU(x,y)とすると、像面3023における複素振幅U’(x’,y’)は、次に示す(数2)のU(x,y)のフーリエ変換であらわされる。
一方、複素振幅U(x,y)は、(数3)の逆フーリエ変換であらわされる。
図17に反復フーリエ変換を適用した回折光学素子104の設計アルゴリズムを示す。
ガウシアン振幅分布2001と初期位相2002を持つ複素関数U(x,y)をフーリエ変換(数2)2004させ、像面側の複素振幅分布U’(x’,y’)を得る。振幅分布Re{U’(x’,y’)}に、所望する均一なスリット状振幅分布3001と入れ替える。
次に、逆フーリエ変換3004を行い、新しい複素振幅U(x,y)が求まる。ここで、複素振幅分布U(x,y)の実部は、ガウシアン振幅分布2001とし、常に置き換える。得られた像面側の振幅分布3001が所望の振幅分布になるまで反復計算2003を繰り返す。
反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、図3に示すように斜め入射により生じる位相差の項(数1)を位相分布3002に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から素子の位相分布を求めることができる。
複素振幅分布U(x,y)からの位相分布は(数4)により求めることができる。
図5に反復フーリエ変換を適用した回折光学素子104の設計アルゴリズムを示す。まずステップ1001で、ガウシアン振幅分布と初期位相をもつ複素振幅分布U(x,y)を設定し、ステップ1002で(数2)によるフーリエ変換を行い、像面側の複素振幅分布U’(x’,y’)を得る。ステップ1003で、複素振幅分布U’(x’,y’)を、所望する均一なスリット状振幅分布に置き換える。ステップ1004で、反復計算回数がN回に満たない場合、ステップ1005で、逆フーリエ変換を行い、新しい複素振幅分布U(x,y)が求まる。複素振幅分布U(x,y)の実部はガウシアン振幅分布とし、常に置き換える。次にステップ1001に戻り、この操作をN回繰り返す。
ステップ1004でN回に達しなかった場合、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、ステップ1006で図3に示すような斜め入射により生じる位相差の項(数1)を掛け合わせ、逆フーリエ変換から複素振幅分布U(x,y)が求まり、ステップ1007で(数4)を用いて素子の位相分布を求めることができる。
前述した本発明に係る照明光学系部の回折光学素子104を用いて、照明するスリット状のビーム3について具体的に説明する。
図9に示すガウシアン強度分布31、32をもつレーザビームを、回折光学素子104を用いることにより、図18に示すマルチスリット状の均一強度分布31、32をえることができる。図19に示すように、ウエハ(被検査対象基板)1に対して上記マルチスリット状ビーム3の長手方向が入射面に平行である状態、または図20に示すように、ウエハ(被検査対象基板)1に対して上記マルチスリット状ビーム3の長手方向が入射面に垂直である状態が可能である。回折光学素子104を用いることにより、上記マルチスリット状ビーム3の長手方向に対し、焦点距離が合うものとする。
回折光学素子の適用によりガウシアン強度分布を均一なスリット状強度分布に整形する基本思想を説明するための図である。 回折光学素子の適用によりガウシアン強度分布を均一なスリット状強度分布に整形するための光線追跡を示した概要図である。 斜め入射による位相分布を説明するための図である。 反復フーリエ変換を用いたシングルスリット状のビーム整形素子の概念図。 反復フーリエ変換を用いたビーム整形素子の設計アルゴリズム。 本発明に係る欠陥検査装置を示す概略構成図である。 本発明に係る欠陥検査装置の変形例を示す概略構成図である。 本発明に係る半導体ウエハ等の被検査対象基板上にスリット状のビームを照射するおよび検出方法を説明するための図である。 レーザ光のガウシアン強度分布を説明するための図である。 回折光学素子を用いた照明光学系によってガウシアン強度分布を均一強度のシングルスリット状にビーム整形し、照明効率向上を図る基本思想を説明するための図である。 本発明に係る半導体ウエハ等の被検査対象基板上にy軸に沿ったシングルスリット状のビームを斜方入射により均一に照明する方法を説明するための図である。 本発明に係る半導体ウエハ等の被検査対象基板上にx軸に沿ったシングルスリット状のビームを斜方入射により均一に照明する方法を説明するための図である。 本発明に係る高さ測定装置の概略構成図である。 本発明に係る光学的高さ検出光学系の概略構成図である。 シングルスリットを用いた高さ測定処理方法を説明するための概念図。 マルチスリットを用いた高さ測定処理方法を説明するための概念図。 反復フーリエ変換を用いたマルチスリット状のビーム整形素子の概念図。 回折光学素子を用いた照明光学系によってガウシアン強度分布を均一強度のマルチスリット状にビーム整形し、照明効率向上を図る基本思想を説明するための図である。 本発明に係る半導体ウエハ等の被検査対象基板上にy軸に沿ったマルチスリット状のビームを斜方入射により均一に照明する方法を説明するための図である。 本発明に係る半導体ウエハ等の被検査対象基板上にx軸に沿ったマルチスリット状のビームを斜方入射により均一に照明する方法を説明するための図である。 従来の欠陥異物検査装置および高さ測定装置の照明系を説明する概略図である。
符号の説明
1…ウエハ、2…チップ、3…スリット状ビーム(照明領域)、41…低反射率部、42…高反射率部、100…照明光学系、101…レーザ光源、102…凹レンズ、103、111、112…凸レンズ、104…回折光学素子、105…ミラー、110…シリンドリカルレンズ、112…スリット状開口、150…高さ測定装置光学系、151…高さ測定装置照明光学系部、152…高さ測定装置検出光学系部、106…偏光フィルタ、121…検出レンズ、122…ミラー、123…拡大レンズ、124…センサ、200…検出光学系、201…検出レンズ、202…空間フィルタ、203…結像レンズ、204…ビームスプリッタ、205、206…センサ、207…NDフィルタ、208…偏光素子、300…ステージ部、301,302,303…x、y、zステージ、304…基板設置台、305…ステージコントローラ、400演算処理部

Claims (13)

  1. 照明光を発射する光源と、
    該光源から発射された照明光の光束の断面形状と強度分布を変換する回折光学素子を備えた光学変換部と、
    該光学変換部で照明光の光束の断面形状と強度分布とが調整された照明光を試料上に該試料の表面に対して斜め方向から照射する照射部とを備え、
    前記回折光学素子は、ガウシアン振幅分布をフーリエ変換した像面側の複素振幅分布の実数部をスリット状振幅分布に置き換えて逆フーリエ変換を行う反復フーリエ変換を繰り返し、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、斜め入射により生じる位相差の項を位相分布に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から求めた位相分布を備え、前記照明光が前記試料上に照射されるスリット状の領域を均一の強度分布で焦点が合った状態で照射されるように前記照明光の光束の断面形状と強度分布とを変換することを特徴とする照明装置。
  2. 前記回折光学素子は、前記照明光が前記試料上に照射される複数のスリット状の領域を均一の強度分布で焦点が合った状態で照射されるように前記照明光の光束の断面形状と強度分布とを変換することを特徴とする請求項1記載の照明装置。
  3. 前記光源はレーザ光源であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
  4. 試料の表面を該表面に対して斜め方向からレーザで照明する照明手段と、
    該照明手段で照明された前記試料からの反射散乱光の像を検出する検出光学系手段と、
    該検出光学系手段で検出した前記試料からの反射散乱光の像の画像信号を処理して前記試料表面の欠陥を検出する画像処理手段とを備え、
    前記照明手段は、
    レーザを発射する光源と、
    該光源から発射されたレーザの光束の断面形状と強度分布を変換する回折光学素子を備えた光学変換部と、
    該光学変換部で断面形状と強度分布とが調整されたレーザを試料上に照射する照射部とを有し、
    前記回折光学素子は、ガウシアン振幅分布をフーリエ変換した像面側の複素振幅分布の実数部をスリット状振幅分布に置き換えて逆フーリエ変換を行う反復フーリエ変換を繰り返し、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、斜め入射により生じる位相差の項を位相分布に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から求めた位相分布を備え、前記レーザが前記試料上に照射されるスリット状の領域を均一の強度分布で焦点が合った状態で照射されるように前記レーザの断面形状と強度分布とを変換することを特徴とする欠陥検査装置。
  5. 前記検出光学系手段は、
    前記照明手段で照明された前記試料からの反射散乱光のうち第1の方向に散乱した反射散乱光の像を検出する第1の反射散乱光像検出部と、
    前記照明手段で照明された前記試料からの反射散乱光のうち第2の方向に散乱した反射散乱光の像を検出する第2の反射散乱光像検出部とを備え、
    前記画像処理手段は、前記第1の反射散乱光像検出部で検出した画像と前記第2の反射散乱光像検出部で検出した画像とを処理することを特徴とする請求項4記載の欠陥検査装置。
  6. 前記画像処理手段は、前記第1の反射散乱光像検出部で検出した画像と前記第2の反射散乱光像検出部で検出した画像とを処理して前記試料上の欠陥を検出し、該検出した欠陥を分類することを特徴とする請求項5記載の欠陥検査装置。
  7. 試料の表面を該表面に対して斜め方向からレーザで照明し、
    該レーザで照明された前記試料からの反射散乱光の像を検出し、
    該検出した反射散乱光の像の画像信号を処理して前記試料表面の欠陥を検出する欠陥検査方法であって、
    前記レーザが前記試料上のスリット状の領域を均一の強度分布で焦点が合った状態で照射されるように、ガウシアン振幅分布をフーリエ変換した像面側の複素振幅分布の実数部をスリット状振幅分布に置き換えて逆フーリエ変換を行う反復フーリエ変換を繰り返し、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、斜め入射により生じる位相差の項を位相分布に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から求めた位相分布を備えた光学素子により、該レーザの光束の断面形状と強度分布とを変換することを特徴とする欠陥検査方法。
  8. 前記レーザで照明された前記試料からの反射散乱光のうち第1の方向に散乱した反射散乱光による第1の反射散乱光像を検出して得た第1の画像信号と、前記レーザで照明された前記試料からの反射散乱光のうち第2の方向に散乱した反射散乱光の像を検出して得た第2の画像信号とを処理して前記試料上の欠陥を検出することを特徴とする請求項7記載の欠陥検査方法。
  9. 前記検出した第1の画像と前記第2の画像とを処理して前記試料上の欠陥を検出し、該検出した欠陥を分類することを特徴とする請求項8記載の欠陥検査方法。
  10. スリット光で試料の表面を該表面に対して斜め方向から照明する照明手段と、
    該照明手段で前記試料の表面に照明された前記スリット光の反射光を検出する反射光検出手段と、
    該反射光検出手段で前記反射光を検出して得た信号を処理して前記試料表面の高さを検出する信号処理手段とを備え、
    前記照明手段は、
    照明光を発射する光源と、
    該光源から発射された照明光の光束の断面形状と強度分布を変換する回折光学素子を備えた光学変換部と、
    該光学変換部で照明光の光束の断面形状と強度分布とが変換された照明光を試料上に照射する照射部とを有し、
    前記回折光学素子は、ガウシアン振幅分布をフーリエ変換した像面側の複素振幅分布の実数部をスリット状振幅分布に置き換えて逆フーリエ変換を行う反復フーリエ変換を繰り返し、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、斜め入射により生じる位相差の項を位相分布に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から求めた位相分布を備え、前記照明光が前記試料上の複数のスリット状の領域を均一の強度分布で焦点が合った状態で照射されるように前記照明光の光束の断面形状と強度分布とを変換することを特徴とする高さ計測装置。
  11. 前記照明手段は、複数のスリット光を前記試料の表面に対して斜め方向から照明することを特徴とする請求項10記載の高さ計測装置。
  12. スリット光で試料の表面を該表面に対して斜め方向から照明し、
    該試料の表面に照明された前記複数のスリット光の反射光を検出し、
    該反射光を検出して得た信号を処理して前記試料表面の高さを検出する高さ計測方法であって、
    前記複数のスリット光で前記試料の表面に対して斜め方向から照明する工程において、
    ガウシアン振幅分布をフーリエ変換した像面側の複素振幅分布の実数部をスリット状振幅分布に置き換えて逆フーリエ変換を行う反復フーリエ変換を繰り返し、反復計算が収束した場合、反復計算から抜け出し、斜め入射により生じる位相差の項を位相分布に掛け合わせ、さらに逆フーリエ変換して求まる複素振幅分布U(x,y)から求めた位相分布を備え、前記試料上に照射される前記照明光が前記試料上の複数のスリット状の領域を均一の強度分布で焦点が合った状態で照射されるように前記照明光の光束の断面形状と強度分布とを変換する回折光学素子を用いることを特徴とする高さ計測方法。
  13. 前記試料の表面を斜め方向から照明するスリット光は、複数のスリット光であることを特徴とする請求項12記載の高さ計測方法。
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