JP3542478B2 - 電子線式検査または測定装置およびその方法並びに光学的高さ検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハ等の半導体基板を対象物として、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる検査または測定装置およびその方法、荷電粒子線像観察および加工装置並びに光学的高さ検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
荷電粒子線を用いる装置として、電子顕微鏡画像を用いて半導体ウェハなどに形成された微細回路パターンを検査・計測するための自動検査システムを例として説明する。半導体ウェハなどに形成される微細回路パターンの欠陥検査は、被検査パターンと良品パターンや被検査ウェハ上の同種のパターンとの比較により行われ、光学式顕微鏡画像を用いた装置が多く実用化されている。同様に、電子顕微鏡画像を用いる場合にもパターンの画像を比較することにより欠陥検査が行われる。また、半導体装置の製造プロセス条件の設定やモニタなどに使用される微細回路パターンの線幅や穴径などを測定する走査型電子顕微鏡による測長装置においても、画像処理による測長の自動化が行われている。
このように、同様のパターンの電子線像を比較することによりその欠陥を検出する比較検査や、電子線像を処理してパターンの線幅などを測定する場合には、得られる電子線像の質がその検査結果の信頼性に多大な影響を与える。電子線像の質は、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像歪みや、デフォーカスによる解像度の低下などにより劣化する。これらの像質の劣化は比較検査や測長の性能を低下させる。試料表面の高さが一定でない場合に、その全ての範囲にわたり同じ条件で入力した電子線像で検査を行うと、図1に示すように検査箇所により電子線像が変化する。合焦点の画像(a)とデフォーカスした画像(b)および(c)を比較して検査を行うと正しい結果は得られない。また、これらの画像ではパターンの幅が変化したり、画像のエッジ検出の結果が安定して得られなくなるため、パターンの線幅や穴径も安定して測定できないこととなる。従来電子顕微鏡の焦点合わせは、電子線像を見ながら対物レンズの制御電流等を調節することにより行っているが、多くの時間を要するのに加え、電子線で試料表面を何度も走査することとなり、試料へのダメージも問題となる可能性がある。
【0003】
また、収束荷電粒子線を用いた加工装置の場合には、荷電粒子線の焦点合わせは加工精度に影響を与えることとなり、観察用の装置と同様に非常に重要な課題である。これらの装置においては、電子顕微鏡のように像を観察して焦点調節を行うことができない。このため、ウェハの高さをほかの手法で検出し、対物レンズの制御電流あるいは試料ステージ高さにフィードバックすることが必要とされる。加工装置の例としては、電子線式の半導体パターン露光装置や、収束イオンビームによる回路の修正装置などがあげられる。
さらに、荷電粒子光学系は試料の高さが変化すると、焦点の合い具合だけでなく、一般に、その倍率も変化する。このため、試料の高さを検出し荷電粒子光学系の走査幅にもフィードバックを加えることが必要になる。
【0004】
従来、たとえば特開昭58−168906に示されているように、スポット光を試料表面に照射し、この正反射光を結像しその像の位置を検出器で検出することにより、試料の高さを求めることが広く行われていた。検出器としては、光の当たった位置に比例した信号を出力するPSDと呼ばれる検出器、2分割フォトダイオード、1次元リニアイメージセンサの何れかが従来用いられてきた。しかしこの方法は、試料表面に反射率の分布がありスポット光が反射率の異なる境界上に当たる場合、大きな高さ検出誤差を生じるという問題点がある。これはスポット光の検出波形が崩れるために、スポットの真の中心位置とスポットの重心位置が一致しないため、スポットの重心位置を出力するPSDや2分割フォトダイオードではスポットの真の中心位置が検出できないためである。1次元リニアイメージセンサを使用すれば、信号処理方法を工夫することによって、スポットの真の中心位置に検出値を近づけることができるが、試料表面に大きい反射率むらがある場合にスポット像の輪郭を正確に安定に検出することは困難である。試料表面の反射率むらの原因としては表面の材質の違いのほかに、表面上の微細パターンによる散乱の影響があり、特に半導体装置の表面の様に微細な回路パターンが描かれた試料の場合にはこの影響は深刻である。また、試料表面の変位が大きい場合には、投影光と試料表面、検出器の間の結像関係が変化するため、検出光の像の増大などの原因により、試料表面の反射率むらによる誤差がさらに大きくなるという問題がある。製造プロセス途中にある被検査物の半導体ウェハは加熱処理などによる変形が生じ、その変形量は最悪大で数百μmにもおよぶため、広範囲な検出においても安定に精度を保つことが重要となる。
【0005】
試料表面の状態の変化により生じる誤差対策として、特開昭59ー195728に開示されているように、光学式の投影露光装置の焦点あわせのためのウェハ高さセンサとして、複数のスリット像をウェハに斜方から投影し、その正反射光の位置をラインイメージセンサで検出することによって、高精度にウェハ表面の高さと傾き検出を行う手法が提案されている。しかし、この手法によっても、先述のような広範囲検出の際の不安定さの十分な解決策とはならない。この手法はZステージをもち、ステージによりウェハ表面を一定の高さに制御してから露光を行う光学式の投影露光装置に用いる手法であり、広範囲で安定な高さ検出は必ずしも必要ではなかった。しかし、電子顕微鏡などの荷電粒子線装置では、真空試料室内での可動機構の信頼性やコストの問題があり、Zステージを持たないものが一般的であり、広範囲な高さ検出の実現は非常に重要である。
別の公知例として、USP4477185およびUSP5311288に示されているように、左右から試料上の同一の点にスポット光を重ねあわせて投影し、それぞれの正反射光の位置をたし合わせて検出する方法が開示されている。この方法は、試料表面の反射率の分布による検出誤差は反対方向から検出すると符号が反対になり、たしあわせることにより相殺される事を利用している。この方法は、試料が基準高さにあってスポット光の位置が正確に重ね合わされている場合は検出誤差が非常に小さくなるが、試料の高さが変わると、スポット光の重ね合わせが成り立たなくなり、試料表面の反射率の分布による検出誤差を発生する。そのため先述の方法と同様に、常にZステージで試料の高さを一定に保つような場合にはこの方法は効果を奏するが、Zステージを持たずに対物レンズの制御によって焦点位置を変化させる構成の装置のための高さセンサとしては、問題があった。
【0006】
試料表面の変位に対して、光学系を移動させる機能を持った高さ検出方式も特開平6−36727や特開昭63−254649などに示されているが、高精度な可動機構が必要となり、装置が大がかりになるといった問題がある。
また、これら光学式の手法により安定な高さ検出を実現することができたとしても、それを用いて焦点調節を行う荷電粒子光学系の視野と高さ検出器の測定位置が一致していなければ、焦点調節の機能はうまく働かなくなる。特に、試料の載ったステージを連続的に移動させながらフォーカスを制御する場合には、高さ検出器の検出時間遅れによる位置ずれが生じるため、対策が必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像ひずみやデフォーカスによる解像度の低下などを低減して電子線像の質を向上させて、電子線像を用いた検査や測長を、高精度でかつ高い信頼性で行えるようにした電子線式検査または測長装置およびその方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、被検査対象物の表面の高さ検出と電子光学系に対する制御とを実時間で実行できることにより、連続的なステージ移動による画像歪みのない高解像度の電子線画像を得て、検査性能およびその安定性を向上し、しかも検査時間を短縮できるようにした電子線式検査または測定装置およびその方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、荷電粒子光学系の偏向や収差などが原因となる画像ひずみやデフォーカスによる解像度の低下などを低減して荷電粒子線像の質を向上させて、良好な画像を用いた観察を行えるようにした荷電粒子線観察装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、極微細なパターンを像歪みのない高解像度で露光や加工をできるようにした電子ビーム露光装置、収束イオンビーム加工装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡単な構成によって対象物の表面の高さを高精度に検出することができるようにした光学的高さ検出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、前記被検査対象物上に格子状(例えばスリット状)の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出される格子状の信号から得られる例えば被検査対象物の表面の概略高さに基づいて検出誤差が小さい結像状態(例えば(数34)式に基づいて合焦点格子sf)を探索し、該探索された検出誤差が小さい結像状態に対して適合する重み付け処理(例えば、重みを用いた加重平均処理または重みを用いた積和処理)を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を例えば(数35)式または(数37)式に基づいて求めて前記被検査対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で得られた被検査対象物の表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置である。
【0010】
また、本発明は、電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、前記被検査対象物上に格子状(例えばスリット状)の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出される格子状の信号に対して検出誤差が小さくなるような選択的な処理を施すことによって格子状の信号としての基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記被検査対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で得られた被検査対象物の表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置である。
【0011】
また、本発明は、前記電子線式検査または測定装置において、前記光学的高さ検出装置の算出手段における選択的な処理は、重み関数(w(x)またはw(s))に基づく重み付け処理(例えば、重みを用いた加重平均処理または重みを用いた積和処理)であることを特徴とする。
また、本発明は、電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、例えば図30、図32、図33に示す如く、前記電子光学系によって電子線が照射される被検査対象物上の領域において近接した異なる複数の個所に複数のスリット状あるいはスポット状の光束の各々を斜め上方から結像投影する投影光学系と該投影光学系で被検査対象物上の複数の個所に結像投影された複数の光束によって反射された複数の光束の各々を結像させてこれら結像された複数の光束像を受光して複数の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出された複数の検出信号の各々における基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記複数個所の表面の高さに応じた情報を得、該得られた複数個所の表面の高さに応じた情報を補間(内挿補間および外挿補間も含む。)することによって位置ずれ分シフトした電子線が照射される個所における表面の高さに応じた情報を算出する算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で算出された電子線が照射される個所における表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置である。
【0012】
また、本発明は、電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、前記電子光学系によって電子線が照射される被検査対象物上の領域において近接した異なる複数の個所に複数のスリット状あるいはスポット状の光束の各々を斜め上方から結像投影する投影光学系と該投影光学系で被検査対象物上の複数の個所に結像投影された複数の光束によって反射された複数の光束の各々を結像させてこれら結像された複数の光束像を受光して複数の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出された複数の検出信号の各々における基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記複数個所の表面の高さに応じた情報を得、該得られた複数個所の表面の高さに応じた情報を補間(内挿補間および外挿補間も含む。)することによって位置ずれ分シフトした電子線が照射される個所における表面の高さに応じた情報を算出する算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で算出された電子線が照射される個所における表面の高さに応じた情報から、表面の高さに応じた情報と焦点制御電流または焦点制御電圧との間の校正パラメータに基づいて焦点制御電流または焦点制御電圧を算出し、該算出された焦点制御電流または焦点制御電圧を前記電子光学系の対物レンズに与えるように制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置である。
【0013】
また、本発明は、前記電子線式検査または測定装置において、更に、前記光学的高さ検出装置で算出された電子線が照射される個所における表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の偏向素子への偏向量を補正して前記焦点制御に基づいて生じる電子線像の倍率誤差を含む像歪を校正する偏向制御手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、予め、ステージ上に載置され、電子線が照射される被検査対象物上の領域において被検査対象物上に形成されたパターンの配列情報に基づいて決められた間隔で表面高さを検出する高さ検出装置と、該高さ検出装置により検出される前記間隔での表面高さを補間することによって前記間隔の間の任意の位置における表面高さを推定する推定手段と、電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を前記ステージ上に載置された被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、前記推定手段によって推定された前記電子光学系によって電子線が照射される任意の位置における被検査対象物の表面高さの情報に基づいて前記電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置である。
【0014】
また、本発明は、前記電子線式検査または測定装置において、前記焦点制御手段として、前記電子光学系による焦点位置と前記被検査対象物を載置するテーブルとの高さ方向の相対位置を制御するように構成しても良い。
また、本発明は、被検査対象物を少なくとも所定方向に移動させ、被検査対象物上に格子状(例えばスリット状)の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系とを有する光学的高さ検出装置により前記検出光学系で検出される格子状の信号に基づいて検出誤差が小さい結像状態(例えば(数34)式に基づいて合焦点格子sf)を探索し、該探索された検出誤差が小さい結像状態に対して適合する重み付け処理を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を例えば(数35)式または(数37)式に基づいて求めて電子線が照射される被検査対象物上の領域における表面の高さを検出し、該検出された表面の高さに基づいて電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線源から発せられた電子線を電子光学系の偏向素子で偏向させて被検査対象物上に合焦点状態で集束させ、該偏向して合焦点状態で集束して照射された電子線によって被検査対象物上から発生する二次電子線像を電子線像検出光学系によって検出し、該検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行うことを特徴とする電子線式検査または測定方法である。
【0015】
また、本発明は、被検査対象物を少なくとも所定方向に移動させ、例えば図30、図32、図33に示す如く、被検査対象物上の近接した異なる複数の個所に複数のスリット状あるいはスポット状の光束の各々を斜め上方から結像投影する投影光学系と該投影光学系で被検査対象物上の複数の個所に結像投影された複数の光束によって反射された複数の光束の各々を結像させてこれら結像された複数の光束像を受光して複数の信号に変換して検出する検出光学系とを有する光学的高さ検出装置により前記検出光学系で検出された複数の検出信号の各々における基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記複数個所の表面の高さに応じた情報を得、該得られた複数個所の表面の高さを例えば図31および図34に示す如く補間(内挿補間および外挿補間も含む。)することによって位置ずれ分シフトした電子線が照射される個所における表面の高さを算出し、該算出された表面の高さに基づいて電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線源から発せられた電子線を電子光学系の偏向素子で偏向させて被検査対象物上に合焦点状態で集束させ、該偏向して合焦点状態で集束して照射された電子線によって被検査対象物上から発生する二次電子線像を電子線像検出光学系によって検出し、該検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行うことを特徴とする電子線式検査または測定方法である。
【0016】
また、本発明は、前記電子線式検査または測定方法において、前記電子光学系の対物レンズに与える焦点制御電流または焦点制御電圧を、算出された位置ずれ分シフトした電子線が照射される個所における表面の高さから、表面の高さに応じた情報と焦点制御電流または焦点制御電圧との間の校正パラメータに基づいて算出することを特徴とする。
また、本発明は、予め、高さ検出装置により、ステージ上に載置され、電子線が照射される被検査対象物上の領域において被検査対象物上に形成されたパターンの配列情報に基づいて決められた間隔で表面高さを検出して高さ分布を求め、該高さ分布(前記間隔での表面高さ)を補間することによって前記間隔の間の任意の位置における表面高さを推定し、該推定された電子線が照射される位置における表面の高さに基づいて電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線源から発せられた電子線を電子光学系の偏向素子で偏向させて被検査対象物上に合焦点状態で集束させ、該偏向して合焦点状態で集束して照射された電子線によって被検査対象物上から発生する二次電子線像を電子線像検出光学系によって検出し、該検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行うことを特徴とする電子線式検査または測定方法である。
【0017】
また、本発明は、電子、イオンなどの荷電粒子線源と該荷電粒子線源から発せられた荷電粒子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される荷電粒子線を被観察対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する荷電粒子光学系と、該荷電粒子光学系で偏向し、集束して照射された荷電粒子線によって前記被観察対象物上から発生する荷電粒子線像を検出する荷電粒子線像検出光学系と、被観察対象物上に格子状の光束を被観察対象物の斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被観察対象物の表面において反射した格子状の光束を結像させてその光学像の位置を検出する検出光学系とを備え、該検出光学系で検出する格子状の光束からなる光学像の位置変化に基づいて前記被観察対象物上の領域における表面の高さを光学的に検出するように構成した光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で検出された被観察対象物上の表面の高さに基づいて前記荷電粒子線光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して荷電粒子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記荷電粒子線像検出光学系で検出される荷電粒子線像を表示する表示手段を有することを特徴とする荷電粒子線像観察装置である。
【0018】
また、本発明は、前記荷電粒子線像観察装置において、更に、前記光学的高さ検出装置で検出された被検査対象物上の表面の高さに基づいて前記電子光学系の偏向素子への偏向量を補正して前記焦点制御に基づいて生じる荷電粒子線線像の倍率誤差を含む像歪を校正する偏向制御手段を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記荷電粒子線像観察装置において、更に、前記光学的高さ検出装置で検出された被検査対象物上の表面の高さから、該被観察対象物上の表面の高さと焦点制御電流または焦点制御電圧との間の校正パラメータに基づいて焦点制御電流または焦点制御電圧を算出し、該算出された焦点制御電流または焦点制御電圧を前記荷電粒子光学系の対物レンズに与えるように制御して荷電粒子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記荷電粒子線像検出光学系で検出される荷電粒子線像を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、電子、イオンなどの荷電粒子線源と該荷電粒子線源から発せられた荷電粒子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される荷電粒子線を被観察対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、該電子光学系で偏向し、集束して照射された荷電粒子線によって前記被観察対象物上から発生する荷電粒子線像を検出する荷電粒子線像検出光学系と、被観察対象物上に格子状の光束を被観察対象物の斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被観察対象物の表面において反射した格子状の光束を結像させてその光学像の位置を検出する検出光学系とを備え、該検出光学系で検出する格子状の光束からなる光学像の位置変化に基づいて前記被観察対象物上の領域における表面の高さを光学的に検出するように構成した光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で検出された被観察対象物の表面の高さに基づいて、前記電子光学系による焦点位置と前記被観察対象物を載置するテーブルとの高さ方向の相対位置を制御して荷電粒子線を被観察対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、前記荷電粒子線像検出光学系で検出される荷電粒子線像を表示する表示手段とを有することを特徴とする荷電粒子線像観察装置である。
【0020】
また、本発明は、電子、イオンなどの荷電粒子線源と該荷電粒子線源から発せられた荷電粒子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される荷電粒子線を被加工対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する荷電粒子光学系と、該荷電粒子光学系で偏向し、集束して照射された荷電粒子線によって前記被加工対象物上から発生する荷電粒子線像を検出する荷電粒子線像検出光学系と、被加工対象物上に格子状の光束を被加工対象物の斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被加工対象物の表面において反射した格子状の光束を結像させてその光学像の位置を検出する検出光学系とを備え、該検出光学系で検出する格子状の光束からなる光学像の位置変化に基づいて前記被加工対象物上の領域における表面の高さを光学的に検出するように構成した光学的高さ検出装置と、該光学的高さ検出装置で検出された被加工対象物上の表面の高さに基づいて前記荷電粒子線光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して荷電粒子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、収束して照射された荷電粒子線により前記被加工対象物表面を加工する手段を有することを特徴とする荷電粒子線像加工装置である。
【0021】
また、本発明は、前記荷電粒子線像加工装置において、更に、前記光学的高さ検出装置で検出された被検査対象物上の表面の高さに基づいて前記電子光学系の偏向素子への偏向量を補正して前記焦点制御に基づいて生じる荷電粒子線線像の倍率誤差を含む像歪を校正する偏向制御手段を有することを特徴とする。
また、本発明は、対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と、該投影光学系で投影された格子状の光束によって対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と、該検出光学系で検出される格子状の信号に基づいて検出誤差が小さい結像状態を探索し、該探索された検出誤差が小さい結像状態に対して適合する重み付け処理を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有することを特徴とする光学的高さ検出装置である。
また、本発明は、対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と、該投影光学系で投影された格子状の光束によって対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と、該検出光学系で検出される格子状の信号に対して検出誤差が小さくなるような選択的な処理を施すことによって格子状の信号としての基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有することを特徴とする光学的高さ検出装置である。
【0022】
また、本発明は、対象物上の近接した異なる複数の個所に複数のスリット状あるいはスポット状の光束の各々を斜め上方から結像投影する投影光学系と、該投影光学系で被検査対象物上の複数の個所に結像投影された複数の光束によって反射された複数の光束の各々を結像させてこれら結像された複数の光束像を受光して複数の信号に変換して検出する検出光学系と、該検出光学系で検出された複数の検出信号の各々における基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記複数個所の表面の高さに応じた情報を得、該得られた複数個所の表面の高さに応じた情報を補間(内挿補間および外挿補間も含む。)することによって任意の位置における表面の高さに応じた情報を算出する算出手段とを有することを特徴とする光学的高さ検出装置である。
【0023】
以上説明したように、前記構成によれば、被検査対象物の表面状態に影響されずに、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像歪みやデフォーカスによる解像度の低下などを低減して電子線像(SEM像)の質を向上させて、電子線像(SEM像)に基づく検査や測長を、高精度で、且つ高信頼性でもって実行することができる。
また、前記構成により、被検査対象物の表面の高さ検出と電子光学系に対する制御とを実時間で実行でき、連続的なステージ移動による画像歪みのない高解像度の電子線画像(SEM画像)を得て、検査性能およびその安定性を向上し、しかも検査時間を短縮することができる。
また、前記構成により、荷電粒子光学系の偏向や収差などが原因となる画像ひずみやデフォーカスによる解像度の低下などを低減して荷電粒子線像の質を向上させて、良好な画像を用いた観察を行うことができる。
また、前記構成により、極微細なパターンを像歪みのない高解像度で露光や加工をできるようにした電子ビーム露光装置、収束イオンビーム加工装置を実現することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態について図を用いて説明する。
本発明に係る被検査対象物である半導体ウエハなどに形成された微細回路パターンを検査・計測するための自動検査システムの実施の形態について説明する。半導体ウエハなどに形成される微細回路パターンの欠陥検査は、被検査パターンと良品パターンや被検査ウエハ上の同種のパターンとの比較により行われる。電子顕微鏡画像(SEM画像)を用いた外観検査の場合にもパターンの画像を比較することにより欠陥検査が行われる。また、半導体装置の製造プロセス条件の設定やモニタなどに使用される微細回路パターンの線幅や穴径などを測定する走査型電子顕微鏡による測長(SEM測長)においても、画像処理による測長の自動化が行われる。
このように、同様のパターンの電子線像を比較することによりその欠陥を検出する比較検査や、電子線像を処理してパターンの線幅などを測定する場合には、得られる電子線像の質がその検査結果の信頼性に多大な影響を与える。電子線像の質は、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像歪みや、デフォーカスによる解像度の低下などにより劣化する。これらの像質の劣化は比較検査や測長の性能を低下させる。もし、被検査対象物の表面の高さが一定でなく、全ての範囲にわたって同じ条件で検査を行うとすると、図1に示すように、検査箇所(領域A、領域B、領域C)により電子線像(SEM画像)が変化することになる。その結果、図1(b)に示す合焦点の画像(領域A(高さza)の電子線像)aと図1(c)に示すデフォーカスした画像(領域B(高さzb)の電子線像)bおよび図1(d)に示すデフォーカスした画像(領域C(高さzc)の電子線像)cとを比較して検査を行うとすると正しい検査結果が得られないことになる。また、これらの画像ではパターンの幅が変化したり、画像のエッジ検出の結果が安定して得られなくなるため、パターンの線幅や穴径も安定して測定できないこととなる。
【0025】
次に、本発明に係る電子線装置の実施の形態について、図2を用いて説明する。被検査対象物(試料)106上に電子線を照射する電子線鏡筒からなる電子線装置100は、電子線を出射する電子線源101と、電子線源101より出た電子線を2次元に偏向させる偏向素子102と、電子線を試料106上に焦点を結ぶように制御される対物レンズ103とを備えて構成する。即ち、電子線源101より出射された電子線は、偏向素子102および対物レンズ103を通って試料106上に焦点を結んで照射される。試料106は、XYステージ105上におかれ、レーザ測長系107で位置が計測される。さらにSEM装置の場合は、2次電子検出器104で試料106から放出された2次電子を検出し、検出された2次電子信号をA/D変換器122でSEM画像に変換し、この変換されたSEM画像について画像処理手段124で処理される。例えば、測長用SEMの場合には、画像処理手段124において、指定された画像中のパターン間の距離の測定を行う。また観察用SEM(SEM画像に基づく外観検査)の場合には、画像処理手段124において、画像の強調等の処理が行われる。
【0026】
次に、上記電子線装置(観察用SEM装置、測長用SEM装置)における電子線像の劣化を防止する手段について説明する。即ち、電子線像の質は、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像歪みや、デフォーカスによる解像度の低下などにより劣化することになる。これらの像質の劣化を防止する手段として、高さ検出光学装置200aと高さ計算手段200bとからなる高さ検出装置200、焦点制御装置109、偏向信号発生装置108、および全体制御装置120によって構成される。
高さ検出光学装置200aと高さ計算手段200bとからなる高さ検出装置200は、図10を用いて後述する実施例とほぼ同様に構成され、試料106に対して電子線の光軸110を中心に投影光学系270と検出光学系271が左右に設置される。各高さ検出光学装置200aの投影光学系270は、光源201とコンデンサレンズ202とマルチスリット状のパターンを形成したマスク203と投影レンズ210とによって構成される。また、各高さ検出光学装置200aの検出光学系は、検出レンズ215と該投影レンズ215で結像された中間のマルチスリット像を拡大してラインイメージセンサ214上に結像される拡大レンズ264とミラー206と円筒レンズ(シリンドリカルレンズ)213とラインイメージセンサ214とによって構成される。
【0027】
そして、高さ検出光学装置200aの照明光学系によって、上記の如く電子線が照射されてSEM画像を検出する試料106上の測定位置110に、マルチスリット状のパターンが投影され、この正反射像を各高さ検出光学装置200aの検出光学系によって結像させてマルチスリット像として検出する。まず光源201を出射した光はコンデンサレンズ202によって投影・検出レンズの瞳に光源像を結像するよう絞られる。この光は更に、マルチスリット状のパターンの描かれたマスク203を照明し、投影レンズ210によって試料106に投影される。試料上に投影されたマルチスリットパターンは正反射し、電子線の光軸110に対して反対側に配置されている検出レンズ215を通って拡大レンズ264の前に結像される。この中間像は拡大レンズ264によってラインイメージセンサ214上に結像される。この実施の形態ではラインイメージセンサ214の前に、円筒レンズ213を置いて、スリットの長手方向を圧縮してラインイメージセンサ214上に絞り込んでいる。検出光学系の倍率をmとすると、試料の高さがzだけ変化するとマルチスリット像は2mz・sinθだけ全体的にシフトする。これを利用して、高さ計算手段200bは、各高さ検出光学装置200aの検出光学系から検出されるマルチスリット像の信号から各スリット像のシフト量を算出し、この算出されたマルチスリット像のシフト量に対して、そのシフト量に応じた重みを与え、加重平均を行うことによって試料面の高さを算出し、電子線の光軸110における高さを求める。
【0028】
なお、上記高さ検出光学装置200aとしては、図11に示す実施例とほぼ同様に構成した場合について説明したが、図28に示す実施例、または図29に示す実施例、または図30、図41の各々に示す実施例の光学系を用いても良いことは明らかである。
焦点制御装置109は、高さ計算手段200bより求められた高さデータ190に基づいて電磁レンズまたは静電レンズ103を駆動制御し、電子線の焦点を試料106の表面上に合わせる。ここで、高さデータとしては、図43、図44および図45を用いて説明する実施例の手段によって、予め検出しておいた高さ情報を用いてもよい。
偏向信号発生装置108は偏向素子102に対して偏向信号141を発生するが、このとき、試料106の表面の高さ変動にともなう像倍率変動、電磁レンズ103の制御にともなう像回転を補償するように、高さ計算手段200bより求められた高さデータ190に基づいて偏向信号141に補正を加える。なお、103として、電磁レンズの代りに静電レンズを用いれば、焦点制御に伴う像回転が生じなくなるので、高さデータ190によって像回転を補正する必要はなくなる。また、103を、電磁レンズと静電レンズとの組合わせで構成し、主な収束作用は電磁レンズに持たせ、静電レンズによって焦点位置の調整を行う構成にすれば、やはり、高さデータ190によって像回転を補正する必要はない。
また、ステージ105をXYZステージとして、焦点制御装置109によって電磁レンズまたは静電レンズ103の焦点位置を直接制御する代わりに、ステージ105の高さを制御してもよい。
【0029】
全体制御装置120は、電子線装置(SEM装置)全体の制御を行い、画像処理手段124で処理された処理結果を、表示手段143に表示したり、記憶手段142に試料上の座標データと共に記憶したりする。また、全体制御装置120は、高さ計算手段200b、焦点制御装置109、および偏向信号発生装置108を制御し、電子線装置における高速オートフォーカス制御とこのフォーカス制御にともなう像倍率補正、像回転補正とを実現する。また、全体制御装置120は、後述する高さ検出値の校正も実行する。
図3には、SEM画像を用いた外観検査装置の一実施の形態の構成を示す。即ち、SEM画像を用いた外観検査装置は、電子線を発生させる電子線源101と、ビームを走査させて画像化するためのビーム偏向器102と、電子線をウエハ等から構成された被検査対象物106上に結像させる対物レンズ103と、対物レンズ103と被検査対象物106との間に設けたグリッド118と、被検査対象物106を保持し、これを走査したり位置決めしたりするステージ105と、被検査対象物106から発生した二次電子を検出する二次電子検出器104と、高さ検出光学装置200aと、対物レンズ103の焦点位置を調整する焦点位置制御装置109と、電子線源の電圧を制御する線源電位調整手段121と、ビーム偏向器102を制御してビーム走査を実現する偏向制御装置(偏向信号発生装置)108と、グリッド118の電位を制御するグリッド電位調整手段127と、試料台の電位を調整する試料台電位調整手段125と、二次電子検出器104よりの信号をA/D変換するA/D変換器122と、A/D変換されたデジタル画像を処理する画像処理回路124と、このための画像メモリ123と、ステージ105を制御するステージ制御手段126と、これら全体を制御する全体制御部120と、真空試料室(真空容器)100とから構成される。高さ検出センサ200の高さ検出値190は、焦点位置制御装置109と偏向制御装置(偏向信号発生装置)108に常にフィードバックされる。被検査対象物106に対して検査する際、全体制御部120は、ステージ制御装置126に指示を出すことによって、ステージ105を連続移動する。これと同時に全体制御部120は、偏向制御装置(偏向信号発生装置)108に指令を出し、偏向制御装置108は、ビーム偏向器102を駆動して電子線をこれと直交する方向に走査する。同時に、偏向制御装置108は、高さ計算手段200bから得られる高さ検出値190を受け取って偏向方向と偏向幅に補正を加える。また焦点位置制御手段109は、計算手段250から得られる高さ検出値190に合わせて電磁レンズあるいは静電レンズ103を駆動し、電子線の合焦高さに補正を加える。このとき試料106から発生する二次電子を二次電子検出器104で検出しA/D変換器122に入力し焦点の合ったSEM画像を連続的に得る。このように、SEM画像に基づく外観検査の場合には、ある程3x広い領域に亘って2次元のSEM画像を取り込む必要があるため、ステージ105を連続移動しながら、ビーム偏向器102を駆動して電子線をステージ105の移動方向とほぼ直交する方向に走査して二次電子検出器104で2次元の二次電子画像信号を検出する必要がある。即ち、ステージ105を例えばX方向に連続移動しながら、ビーム偏向器102を駆動して電子線をステージ105の移動方向とほぼ直交するY方向に走査し、次にステージ105をY方向にステップ移動させ、その後ステージ105をX方向に連続移動しながら、ビーム偏向器102を駆動して電子線をステージ105の移動方向とほぼ直交するY方向に走査して二次電子検出器104で2次元の二次電子画像信号を検出する必要がある。そして、画像処理回路124は、画像メモリ123よって遅延された電子線画像とA/D変換器122から直接入力された画像を比較することによって繰り返しパターンの対応する画像を比較することにより、比較検査を実現することができる。全体制御部120は、画像処理回路124を制御すると同時に検査結果を受け取って、表示手段143に表示したり、記憶手段142に格納したりする。なお、この図に示す実施の形態では、応答性が優れた対物レンズ193に流す制御電流を制御して焦点あわせを行っているが、かわりにステージ105を上下させてもよい。しかし、ステージ105を上下動させて制御すると応答性の点で劣ることになる。
【0030】
更に、SEM画像を用いた外観検査装置について、図4〜図9を用いて説明する。本発明に係るSEM画像を用いた外観検査装置の一実施の形態を図4に示す。ここでは、電子線112によりウエハ等の被検査対象物106を走査して、電子線の照射によって被検査対象物106から発生する電子を検知し、その強度変化に基づいて走査部位の電子線像を得、電子線像を用いてパターン検査を行う。被検査対象物106としては、例えば図5に示す如く半導体ウエハ3がある。この半導体ウエハ3には最終的に同一の製品となるチップ3aが多数配列されている。チップ3aの内部のパターンレイアウトは、同図の拡大図に示すように、メモリセルが2次元的に同一ピッチで規則的に配列しているメモリマット部3cと、周辺回路部3bとからなる。この半導体ウエハ3のパターンの検査に適用する場合には、あるチップ(例えばチップ3d)での検出画像を記憶しておき、別のチップ(例えばチップ3e)での検出画像とを比較する(以下「チップ比較」と呼ぶ)、あるいは、あるメモリセル(例えばメモリセル3f)での検出画像を記憶しておき、別のセル(例えばセル3g)での検出画像とを比較する(以下「セル比較」と呼ぶ)ことにより、欠陥を認識する。
仮に、被検査対象物106の繰り返しパターン同士(半導体ウエハを例に取れば、チップ同士あるいはセル同士)が厳密に等しく、また、等しい検出画像が得られるのであれば、画像同士を比較した時に不一致となるのは欠陥のみなので、欠陥の認識は可能である。
【0031】
しかし、実際には、正常部においても両画像間の不一致は存在する。正常部での不一致には、被検査対象物に起因する不一致と、画像検出系に起因する不一致とがある。被検査対象物に起因する不一致とは、露光、現像、エッチング等のウエハ製作過程を通して生ずる、繰り返しパターン同士の微妙な差異による。これは、検出画像上では、パターン形状の微小な差異、階調値の差異となって現れる。画像検出系に起因する不一致とは、照明光量の変動、ステージの振動、種々の電気的なノイズ、二つの画像の検出位置の狂いなどによる。これらは、検出画像上では、部分画像の階調値の差異、パターンの歪み、画像の位置ずれとなって現れる。
本発明に係る第一の実施の形態では、画素単位に位置合わせされた座標(x,y)の階調値がf1(x,y)である検出画像(第1の2次元画像)と座標(x,y)の階調値がg1(x,y)である比較画像(第2の2次元画像)とを比較して欠陥判定する際のしきい値(許容値)を、パターンの位置ずれ、階調値の差異などを考慮して画素ごとに設定し、この画素ごとに設定されたしきい値(許容値)に基づいて欠陥を判定する。
【0032】
本パターン検査システムは、図4および図7に示す如く、検出部115、画像取り出し部121、画像処理部124、システム全体を制御する全体制御部120からなる。なお、本パターン検査システムは、室内が真空排気される検査室100と、該検査室100内に被検査対象物106を搬入、搬出するための予備室(図示せず)を備えており、この予備室は検査室100とは独立して真空排気できるように構成されている。
まず、検出部115について図4および図7を用いて説明する。即ち、検出部115における検査室100内は、大別して、電子光学系116、電子検出部117、試料室119、および光学顕微鏡部118から構成される。電子光学系116は、電子銃31(101)、電子線引き出し電極11、コンデンサレンズ32、ブランキング用偏向器13、走査偏向器34(102)、絞り14、対物レンズ33(103)、反射板17、ExB偏向器15、およびビーム電流を検出するファラデーカップ(図示せず)から構成される。反射板17は、円錐形状にして二次電子増倍効果を持たせた。
電子検出部117のうち、例えば二次電子、反射電子等の電子を検出する電子検出器35(104)が検査室100内の例えば対物レンズ33(103)の上方に設置されている。電子検出器35の出力信号は、検査室100の外に設置されたアンプ36で増幅される。
【0033】
試料室119は、試料台30、Xステージ31、Yステージ32、位置モニタ用測長器107、被検査基板高さ測定器200から構成されている。なお、ステージには、回転ステージを設けても良い。
位置モニタ用測長器134は、ステージ31、32(ステージ105)等の位置をモニタし、その結果を全体制御部120に転送するものである。またステージ31、32の駆動系も全体制御部120によって制御される。この結果、全体制御部120は、これらのデータに基づいて電子線112が照射されている領域や位置が正確に把握できるようになっている。
被検査基板高さ測定器200は、ステージ31、32上に載置された被検査対象物106の高さを測定するものである。そして、被検査基板高さ測定器200で測定された測定データに基づいて、電子線112を細く絞るための対物レンズ33(103)の焦点距離がダイナミックに補正され、常に被検査領域に焦点があった状態で電子線を照射できるように構成されている。なお、図7では、高さ測定器200は、検査室100の内部に設置されているが、検査室100の外部に設置し、ガラス窓等を通して検査室100の内部に光を投影するなどする方式でもよい。
【0034】
光学顕微鏡部118は、検査室100の室内における電子光学系116の近傍であって、互いに影響を及ぼさない程度離れた位置に設置されており、電子光学系116と光電顕微鏡部118との間の距離は当然既知の値となって構成されている。そして、Xステージ31またはYステージ32が電子光学系116と光学顕微鏡部118との間の既知の距離を往復移動するように構成されている。光学顕微鏡部118は、光源61、光学レンズ62、CCDカメラ63により構成されている。光学顕微鏡部118は、被検査対象物106である例えば半導体ウエハ3に形成された回路パターンの光学画像を検出し、この検出された光学画像に基づいて回路パターンの回転ずれ量を算出し、この算出された回転ずれ量を全体制御部120に送信する。すると全体制御部120は、この回転ずれ量分を例えば回転ステージを回転させることによって補正をすることが可能となる。また全体制御部120は、この回転ずれ量を補正制御回路120’に送り、補正制御回路120’によりこの回転ずれ量に基づいて例えば走査偏向器34による電子線の走査偏向位置を補正することによって回転ずれの補正が可能となる。また光学顕微鏡部118は、被検査対象物106である例えば半導体ウエハ3に形成された回路パターンの光学画像を検出し、例えばこの光学画像をモニタ50に表示して観察し、この観察された光学画像に基づいて検査領域の座標を入力手段を用いて全体制御部120に入力することによって、検査領域を全体制御部120に対して設定することもできる。また例えば半導体ウエハ3に形成された回路パターンにおけるチップ間のピッチ、或いはメモリセルのような繰り返しパターンの繰り返しピッチを予め測定して、全体制御部120に入力させることも可能となる。なお、光学顕微鏡部118は、図7では検査室100の内部にあるが、検査室100の外部に配置して、ガラス窓等を通して半導体ウエハ1の光学画像を検出するのでも良い。
【0035】
図4および図7に示す如く、電子銃31(101)を出た電子ビームは、コンデンサレンズ32、対物レンズ33(103)を経て、試料面では画素サイズ程度のビーム径に絞られる。この際、グランド電極38(118)、リターディング電極37によって、試料に負電位を引加し、対物レンズ33(103)と被検査対象物(試料)106間で電子ビームを減速することで低加速電圧領域での高分解能化を図る。電子線が照射されると、被検査対象物(ウエハ3)106からは電子が発生する。走査偏向器34(102)による電子線のX方向の繰り返し走査と、ステージ2(105)による被検査対象物(試料)106のY方向の連続的な移動に同期して被検査対象物106から発生する電子を検出することで、被検査対象物の2次元の電子線像が得られる。被検査対象物から発生した電子は検出器35(104)で捕らえられ、アンプ36で増幅される。ここで、高速検査を可能にするために、電子ビームをX方向に繰り返し走査させる偏向器34(102)としては、偏向速度の速い静電偏向器を用いることが、また、電子銃31(101)としては、電子ビーム電流を大きくできるので照射時間が短くできる熱電界放射型電子銃を用いることが、また、検出器35(104)には高速駆動が可能な半導体検出器を用いることが望ましい。
【0036】
次に、画像取り出し部140について図4、図7および図8を用いて説明する。即ち、電子検出部117における電子検出器35(104)で検出された電子検出信号は、アンプ36で増幅され、A/D変換器39(122)によりデジタル画像データ(階調画像データ)に変換される。そして、A/D変換器39(122)の出力を、光変換手段(発光素子)23、伝送手段(光ファイバケーブル)24、および電気変換手段(受光素子)25により伝送するように構成した。この構成によれば、伝送手段24はA/D変換器39(122)のクロック周波数と同じ伝送速度であれば良い。A/D変換器39の出力は、光変換手段(発光素子)23において光デジタル信号に変換され、伝送手段(光ファイバケーブル)24によって光伝送されて電気変換手段(受光素子)25によりデジタル画像データ(階調画像データ)に変換される。このように光信号に変換して伝送するのは、反射板17からの電子52を半導体検出器35(104)に導くために、半導体検出器35から光変換手段23までの構成要素(半導体検出器35、アンプ36、A/D変換器39、および光変換手段(発光素子)23)を高電圧電源(図示せず)により正の高電位にフローティングする必要があるからである。正確には、半導体検出器35のみを正の高電圧にすればよい。しかしアンプ36とA/D変換器39は、ノイズの混入と信号の劣化を防ぐため、半導体検出器の直近にある方が望ましく、半導体検出器35のみを正の高電圧に保つことは困難で、上記構成要素全体を高電圧にする。すなわち、伝送手段(光ファイバケーブル)24は高絶縁材料で形成されているため、光変換手段(発光素子)23においては正の高電位レベルにあった画像信号が、伝送手段(光ファイバケーブル)24を通過後、電気変換手段(受光素子)25からはアースレベルの画像信号の出力が得られる。
【0037】
前処理回路(画像補正回路)40は、暗レベル補正回路72、電子源の揺らぎ補正回路73、シェーディング補正回路74等によって構成される。電気変換手段(受光素子)25から得られるデジタル画像データ(階調画像データ)71は、前処理回路(画像補正回路)40において、暗レベル補正、電子源の揺らぎ補正、シェーディング補正等の画像補正が行われる。暗レベル補正回路72における暗レベル補正は、図9に示すように、全体制御部120から得られる走査ライン同期信号75に基づいて抽出されるビーム・ブランキング期間中における検出信号71を基準に暗レベルを補正する。即ち暗レベルを補正する基準信号は、ビーム・ブランキング期間中の例えば特定位置における特定数画素の階調値の平均を暗レベルとし、走査ライン毎に更新する。このように暗レベル補正回路72において、ビーム・ブランキング期間中に検出される検出信号が、ライン毎に更新される基準信号に暗レベル補正が行われる。電子源の揺らぎ補正回路73における電子源の揺らぎ補正は、図9に示すように、暗レベル補正がなされた検出信号76を、補正周期(例えば100kHzのライン単位)で上記ビーム電流を検出するファラデーカップ(図示せず)でモニタされたビーム電流77で正規化して行う。電子源の揺らぎには、急激な変動がないので、1〜数ライン前に検出されたビーム電流を用いてもよい。シェーディング補正回路74におけるシェーディング補正は、図9に示すように、電子源の揺らぎ補正された検出信号78に対して、全体制御部120から得られるビーム走査位置79による光量変動を補正するものである。即ち、シェーディング補正は、予め検出した基準明るさデータ83をもとに画素毎に補正(正規化)を行うものである。シェーディング補正用基準データ83は、予め検出して、検出された画像データを一旦画像メモリ(例えば147)に格納し、この格納された画像データを、全体制御部120内に設けられた計算機または全体制御部120にネットワークで接続された上位の計算機に送信し、全体制御部120内に設けられた計算機または全体制御部120にネットワークで接続された上位の計算機においてソフトウエアで処理して作成する。またシェーディング補正用基準データ83は、全体制御部120にネットワークで接続された上位の計算機において予め算出して保持しておき、検査開始時にダウンロードし、このダウンロードしたデータをシェーディング補正回路74におけるCPUが取り込めるようにしても良い。全視野幅対応については、シェーディング補正回路74内に、通常の電子ビームの振り幅の画素数(例えば1024画素)の補正メモリを2面持ち、検査領域外の時間(1視野検査終了から次の1視野検査開始までの時間)にメモリを切り換えることにより対応する。補正データとしては、電子ビームの最大の振り幅の画素数(例えば5000画素)分持ち、各補正メモリに次の1視野検査終了までにCPUが書き替えればよい。
【0038】
以上、電気変換手段(受光素子)25から得られるデジタル画像データ(階調画像データ)71に対して、暗レベル補正(ビーム・ブランキング期間中における検出信号71を基準に暗レベルを補正する。)、電子ビーム電流の揺らぎ補正(ビーム電流強度をモニターし、信号をビーム電流で正規化する)、シェーディング補正(ビーム走査位置による光量変動を補正)を行った後、補正されたデジタル画像データ(階調画像データ)80に対して、フィルタリング処理回路81において、ガウシアンフィルタ、平均値フィルタ、あるいはエッジ強調フィルタなどによるフィルタリング処理を行って、画質を改善する。また、必要に応じて、画像の歪みの補正も行なう。これらの前処理は、後の欠陥判定処理において有利なように検出画像を変換するためのものである。
【0039】
シフトレジスタ等で構成される遅延回路41は、前処理回路40から画質が改善されたデジタル画像信号(階調画像信号)82を一定時間だけ遅延させるが、遅延時間を、全体制御部120から得て、例えばステージ2がチップピッチ分(図5でのd1)移動する時間にすれば、遅延された信号g0と遅延されていない信号f0とは隣り合うチップの同じ箇所での画像信号となり、前述したチップ比較検査となる。あるいは遅延時間を、全体制御部120から得て、ステージ2がメモリセルのピッチ分(図5でのd2)移動する時間にすれば、遅延された信号g0と遅延されていない信号f0とは隣り合うメモリセルの同じ箇所での画像信号となり、前述したセル比較検査となるわけである。このように遅延回路41は、全体制御部120から得られる情報に基づいて、読み出す画素位置を制御することによって任意の遅延時間を選択できるように構成されている。以上のようにして、画像取り出し部120から、比較すべきデジタル画像信号(階調画像信号)f0とg0とが取り出される。以下、f0を検出画像、g0を比較画像と呼ぶことにする。なお、図7に示すように、比較画像信号g0をシフトレジスタや画像メモリ等で構成された第1画像記憶部46に記憶し、検出画像信号f0をシフトレジスタや画像メモリ等で構成された第2画像記憶部47に記憶しても良い。上述したごとく、第1画像記憶部46は遅延回路41を構成してもよく、また第2画像記憶部47は必ずしも必要としない。
また、前処理回路40内、および第2画像記憶部47等に取り込まれた電子線画像あるいは光学顕微鏡部118で検出した光学画像はモニタ50に表示され、観察することが可能である。
【0040】
次に、画像処理部124について図4を用いて説明する。
前処理部40からは被検査対象物106上のある検査領域についての階調値(濃淡値)で表わされる検出画像f0(x,y)が得られ、遅延回路41からは比較される基準となる被検査対象物106上のある検査領域についての階調値(濃淡値)で現わされる比較画像(基準画像:参照画像)g0(x,y)が得られる。
画素単位の位置合わせ部42では、上記検出画像f0(x,y)に対する比較画像g0(x,y)の位置ずれ量が0〜1画素の間になるように、いいかえれば、f0(x,y)とg0(x,y)との「整合度」が最大となる位置が0〜1画素の間になるように、例えば比較画像の位置をずらす。その結果、例えば図3に示すように検出画像f0(x,y)と比較画像g0(x,y)とが1画素単位以下で位置合わせされることになる。図6に鎖線で示す四角な目が画素を示す。この画素は、電子検出器35で検出されてA/D変換器39(122)でサンプリングされてデジタル値(階調値:濃淡値)に変換される単位である。即ち、画素単位は、電子検出器35で検出される最小単位を示す。なお、上記「整合度」としては、次に示す(数1)式などが考えられる。
【0041】
max|f0−g0|, ΣΣ|f0−g0|, ΣΣ(f0−g0)2 (数1)
max|f0−g0|は、検出画像f0(x,y)と比較画像g0(x,y)との差の絶対値の最大値を示す。ΣΣ|f0−g0|は、検出画像f0(x,y)と比較画像g0(x,y)との差の絶対値の画像内の合計である。ΣΣ(f0−g0)2は、検出画像f0(x,y)と比較画像g0(x,y)との差を2乗してx方向およびy方向に積分した値を示す。
上記(数1)式のいずれを採用するかによって処理内容が変わってくるが、ここではΣΣ|f0−g0|を採用した場合について示す。
比較画像g0(x,y)のx方向のずらし量をmx,y方向のずらし量をmy(ただしmx,myは整数)とし、e1(mx,my)、s1(mx,my)の各々を次に示す(数2)式および(数3)式のように定義する。
【0042】
e1(mx,my)=ΣΣ|f0(x,y)−g0(x+mx,y+my)| (数2)
s1(mx,my)=e1(mx,my)+e1(mx+1,my)+e1(mx,my+1)+e1(mx+1,my+1) (数3)
(数2)式においてΣΣは画像内の合計を表す。ここで求めたいのはs1(mx,my)が最小となるx方向のずらし量をmx,y方向のずらし量をmyの値なので、mx,およびmyの各々を±0,1,2,3,4・・・・・nと変化させて、いいかえれば、比較画像g0(x,y)を画素ピッチでずらして、その時々のs1(mx,my)を算出する。そして、それが最小となるmxの値mx0と、myの値my0とを求める。なお、比較画像の最大ずらし量であるnは、検出部115の位置精度に応じて、位置精度が悪いほど大きな値にする必要がある。画素単位の位置合わせ部42からは、検出画像f0(x,y)はもとのまま、比較画像g0(x,y)は(mx0,my0)だけずらして出力する。すなわち、f1(x,y)=f0(x,y)、g1(x,y)=g0(x+mx0,y+my0)である。
【0043】
画素以下の位置ずれ検出部(図示せず)では、画素単位に位置合わせされた画像f1(x,y)、g1(x,y)を小領域(例えば128*256画素からなる部分画像)に分割して、分割した領域(部分画像)ごとに画素以下の位置ずれ量(位置ずれ量は0〜1の実数となる。)を算出する。小領域に分割するのは、画像の歪みに対応するためであり、歪みが無視できる程度の領域に設定する必要がある。整合度の測度としては、やはり(数1)式で示すような選択肢があるが、ここでは、三番目の「差の2乗和」(ΣΣ(f0−g0)2)を採用した例を示す。
f1(x,y)とg1(x,y)との中間位置を位置ずれ量0とし、図6に示すように、f1はx方向に−δx、y方向に−δy、g1はx方向に+δx、y方向に+δyだけずれていると仮定する。つまり、f1とg1とのずれ量は、x方向が2*δx、y方向が2*δyと考える。δx、δyは整数ではないため、δx、δyだけずらすには、画素と画素の間の値を定義する必要がある。f1をx方向に+δx、y方向に+δyだけずらした画像f2、g1をx方向に−δx、y方向に−δyだけずらした画像g2を、次に示す(数4)式および(数5)式のように定義する。
【0044】
f2(x,y)=f1(x+δx,y+δy)=f1(x,y)+δx(f1(x+1,y)−f1(x,y))+δy(f1(x,y+1)−f1(x,y)) (数4)
g2(x,y)=g1(x−δx,y−δy)=g1(x,y)+δx(g1(x−1,y)−g1(x,y))+δy(g1(x,y−1)−g1(x,y)) (数5)
(数4)(数5)式はいわゆる線形補間である。f2とg2との整合度e2(δx,δy)は「差の2乗和」を採用すると次に示す(数6)式のようになる。
e2(δx,δy)=ΣΣ(f2(x,y)−g2(x,y))2 (数6)
ΣΣは小領域(部分画像)内の合計である。画素以下の位置ずれ検出部(図示せず)の目的は、e2(δx,δy)が最小値をとるδxの値δx0、δyの値δy0を求めることである。それには、上記(数6)式をδx,δyで偏微分した式を0とおいて、それをδx,δyについて解けばよい。結果は次に示す(数7)式および(数8)式のようになる。
【0045】
δx={(ΣΣC0*Cy)*(ΣΣCx*Cy)−(ΣΣC0*Cx)*(ΣΣCy*Cy)}/{(ΣΣCx*Cx)*(ΣΣCy*Cy)−(ΣΣCx*Cy)*(ΣΣCx*Cy)} (数7)
δx={(ΣΣC0*Cx)*(ΣΣCx*Cy)−(ΣΣC0*Cy)*(ΣΣCx*Cx)}/{(ΣΣCx*Cx)*(ΣΣCy*Cy)−(ΣΣCx*Cy)*(ΣΣCx*Cy)} (数8)
ただし、C0、Cx、Cyの各々は、次に示す(数9)式、(数10)式、(数11)式の関係になる。
【0046】
C0=f1(x,y)−g1(x,y) (数9)
Cx={f1(x+1,y)−f1(x,y)}−{g1(x−1,y)−g1(x,y)}(数10)
Cy={f1(x,y+1)−f1(x,y)}−{g1(x,y−1)−g1(x,y)}(数11)
δx0,δy0の各々を求めるには、(数7)式、および(数8)式に示すように、上記種々の統計量ΣΣCk*Ck(但しCk=C0、Cx、Cy)を求める必要がある。統計量算出部44は、画素単位の位置合わせ部42から得られる画素単位で位置合わせされた階調値(濃淡値)からなる検出画像f1(x,y)と比較画像g1(x,y)に基づいて、上記種々の統計量ΣΣCk*Ckの算出を行う。
サブCPU45は、統計量算出部44において計算されたΣΣCk*Ckを用いて、上記(数7)式、(数8)式の演算を行ってδx0、δy0を求める。
シフトレジスタ等で構成された遅延回路46、47は、画素以下の位置ずれ検出部(図示せず)でδx0、δy0を求めるのに要する時間分だけ画像信号f1とg1を遅延させるためのものである。
【0047】
差画像抽出回路(差分抽出回路:距離抽出部)49では、計算上2*δx0、2*δy0の位置ずれを有するf1とg1との差画像(距離画像)sub(x,y)を求める。この差画像(距離画像)sub(x,y)は、(数12)式で表すと、次のようになる。
sub(x,y)=g1(x,y)−f1(x,y) (数12)
しきい値演算回路(許容範囲演算部)48は、遅延回路46、47を経た画像信号f1、g1および、画素以下の位置ずれ検出部(図示せず)から得られる画素以下の位置ずれ量δx0、δy0を用いて、欠陥判定回路(欠陥判定部)50において差画像抽出回路(差分抽出回路:距離抽出部)49から得られる差画像(距離画像)sub(x,y)の値に応じて欠陥候補か否かを判定するための二つのしきい値(許容範囲を示す許容値)thH(x,y)とthL(x,y)とを算出するものである。thH(x,y)は、差画像(距離画像)sub(x,y)の上限を規定するしきい値(許容範囲を示す許容値)であり、thL(x,y)は、差画像(距離画像)sub(x,y)の下限を規定するしきい値(許容範囲を示す許容値)である。しきい値演算回路48の構成を図5に示す。しきい値演算回路48における演算の内容を(数13)式および(数14)式で表すと次のようになる。
【0048】
thH(x,y)=A(x,y)+B(x,y)+C(x,y) (数13)
thL(x,y)=A(x,y)−B(x,y)−C(x,y) (数14)
ただし、A(x,y)は、(数15)式の関係で示され、画素以下の位置ずれ量δx0、δy0を用いて、実質的に差画像(距離画像)sub(x,y)の値に応じてしきい値を補正するための項である。
またB(x,y)は、(数16)式の関係で示され、検出画像f1と比較画像g1との間において、パターンエッジの微小な位置ずれ(パターン形状の微小な差異、パターン歪みも局所的に見ればパターンエッジの微小な位置ずれに帰着する)を許容するための項である。
【0049】
またC(x,y)は、(数17)式の関係で示され、検出画像f1と比較画像g1との間において、階調値(濃淡値)の微小な差異を許容するための項である。
A(x,y)={dx1(x,y)*δx0−dx2(x,y)*(−δx0)}+{dy1(x,y)*δy0−dy2(x,y)*(−δy0)}={dx1(x,y)+dx2(x,y)}*δx0+{dy1(x,y)+dy2(x,y)}*δy0 (数15)
B(x,y)=|{dx1(x,y)*α−dx2(x,y)*(−α)}|+|{dy1(x,y)*β−dy2(x,y)*(−β)}|=|{dx1(x,y)+dx2(x,y)}*α|+|{dy1(x,y)+dy2(x,y)}*β| (数16)
C(x,y)=((max1+max2)/2)*γ+ε (数17)ここで、α、βは0〜0.5の実数、γは0以上の実数、εは0以上の整数である。
【0050】
dx1(x,y)は、(数18)式の関係で示され、検出画像f1(x,y)におけるx方向+1隣りの画像との階調値(濃淡値)の変化分を示す。
またdx2(x,y)は、(数19)式の関係で示され、比較画像g1(x,y)におけるx方向−1隣りの画像との階調値(濃淡値)の変化分を示す。
またdy1(x,y)は、(数20)式の関係で示され、検出画像f1(x,y)におけるy方向+1隣りの画像との階調値(濃淡値)の変化分を示す。
またdy2(x,y)は、(数21)式の関係で示され、比較画像g1(x,y)におけるy方向−1隣りの画像との階調値(濃淡値)の変化分を示す。
dx1(x,y)=f1(x+1,y)−f1(x,y) (数18)
dx2(x,y)=g1(x,y)−g1(x−1,y) (数19)dy1(x,y)=f1(x,y+1)−f1(x,y) (数20)
dy2(x,y)=g1(x,y)−g1(x,y−1) (数21)
max1は、(数22)式の関係で示され、検出画像f1(x,y)における自身も含め、x方向+1隣りの画像、y方向+1隣りの画像の最大階調値(濃淡値)を示す。
【0051】
またmax2は、(数23)式の関係で示され、比較画像g1(x,y)における自身も含め、x方向−1隣りの画像、y方向−1隣りの画像の最大階調値(濃淡値)を示す。
max1=max{f1(x,y),f1(x+1,y),f1(x,y+1),f(x+1,y+1)} (数22)
max2=max{g1(x,y),g1(x−1,y),g1(x,y−1),g(x−1,y−1)} (数23)
まず、しきい値thH(x,y)、thL(x,y)を算出する(数13)式および(数14)式における第1項A(x,y)について説明する。即ち、しきい値thH(x,y)、thL(x,y)を算出する(数13)式および(数14)式における第1項A(x,y)は、位置ずれ検出部43で求めた画素以下の位置ずれ量δx0、δy0に対応してしきい値を補正するための項である。例えば(数18)式で表されるdx1は、f1の階調値のx方向の局所的な変化率だから、(数15)式に示されるdx1(x,y)*δx0は、位置がδx0ずれた時のf1の階調値(濃淡値)の変化の予測値ということができる。よって、(数15)式に示される第1項{dx1(x,y)*δx0−dx2(x,y)*(−δx0)}は、x方向にf1の位置をδx0、g1の位置を−δx0ずらした時に、f1とg1の差画像(距離画像)の階調値(濃淡値)がどのぐらい変化するかを画素ごとに予測した値ということができる。同様に第2項はy方向について予測した値ということができる。即ち、{dx1(x,y)+dx2(x,y)}*δx0は、検出画像f1と比較画像g1との差画像(距離画像)におけるx方向の局所的変化率{dx1(x,y)+dx2(x,y)}に対して位置ずれδx0を掛け算してf1とg1の差画像(距離画像)の階調値(濃淡値)がx方向にどのぐらい変化するかを画素ごとに予測した値であり、{dy1(x,y)+dy2(x,y)}*δy0は、検出画像f1と比較画像g1との差画像(距離画像)におけるy方向の局所的変化率{dy1(x,y)+dy2(x,y)}に対して位置ずれδy0を掛け算してf1とg1の差画像(距離画像)の階調値(濃淡値)がy方向にどのぐらい変化するかを画素ごとに予測した値である。
【0052】
以上説明したように、しきい値thH(x,y)、thL(x,y)における第1項A(x,y)は、既知の位置ずれδx0、δy0をキャンセルするための項である。
【0053】
次に、しきい値thH(x,y)、thL(x,y)を算出する(数13)式および(数14)式における第2項B(x,y)について説明する。即ち、しきい値thH(x,y)、thL(x,y)を算出する(数13)式および(数14)式における第2項B(x,y)は、パターンエッジの微小な位置ずれ(パターン形状の微小な差異、パターン歪みも局所的に見ればパターンエッジの微小な位置ずれに帰着する)を許容するための項である。A(x,y)を求める(数15)式とB(x,y)を求める(数16)式を対比させれば明らかなように、B(x,y)は位置ずれα、βによる差画像(距離画像)の階調値(濃淡値)の変化予測の絶対値である。A(x,y)によって位置ずれがキャンセルされるとするならば、A(x,y)にB(x,y)を加算するのは、位置の合った状態から、さらにパターン形状やパターンの歪みに基づく微小な差異によるパターンエッジの微小な位置ずれを考慮してx方向にα、y方向にβだけ位置をずらすことを意味している。つまり、パターン形状やパターンの歪みに基づく微小な差異によるパターンエッジの微小な位置ずれとして、x方向に+α、y方向に+βを許容するのが、上記(数13)式で示す+B(x,y)である。また、上記(数14)式で示す如くA(x,y)からB(x,y)を減ずるのは、位置の合った状態からさらにx方向に−α、y方向に−βだけ位置をずらすことを意味している。x方向に−α、y方向に−βの位置ずれを許容するのが、上記(数14)式で示す−B(x,y)である。上記(数13)式および(数14)式で示すごとく、しきい値に上限thH(x,y)、下限thL(x,y)を設けることによって、±α、±βの位置ずれを許容することになるわけである。そして、しきい値演算回路48において、入力されるパラメータα、βの値を適切な値に設定することによって、パターン形状やパターンの歪みに基づく微小な差異による許容する位置ずれ量(パターンエッジの微小な位置ずれ量)を自由にコントロールすることが可能となる。
【0054】
次に、しきい値thH(x,y)、thL(x,y)を算出する(数13)式および(数14)式における第3項C(x,y)について説明する。しきい値thH(x,y)、thL(x,y)を算出する(数13)式および(数14)式における第3項C(x,y)は、検出画像f1と比較画像g1との間において、階調値(濃淡値)の微小な差異を許容するための項である。(数13)式で示すようにC(x,y)の加算は、比較画像g1の階調値(濃淡値)が検出画像f1の階調値(濃淡値)よりもC(x,y)だけ大きいのを許容することを意味し、(数14)式で示すようにC(x,y)の減算は、比較画像g1の階調値(濃淡値)が検出画像f1の階調値(濃淡値)よりもC(x,y)だけ小さいのを許容することを意味する。ここでは、C(x,y)を、(数17)式で示すように、局所領域での階調値の代表値(ここではmax値)に比例定数γを掛けた値と、定数εとの和としたが、この関数にこだわる必要はなく、階調値の変動の仕方が既知であれば、それに合った関数するのがよい。例えば、階調値の平方根に変動幅が比例すると分かっていれば、(数17)式の代わりに、C(x,y)=((max1+max2)の平方根)*γ+εとすべきである。しきい値演算回路48において、B(x,y)と同様、入力されるパラメータγ、εによって、許容する階調値(濃淡値)の差異を自由にコントロールすることが可能となる。
【0055】
即ち、しきい値演算回路(許容範囲演算部)48は、遅延回路46から入力される階調値(濃淡値)からなる検出画像f1(x,y)と遅延回路47から入力される階調値(濃淡値)からなる比較画像g1(x,y)とに基づいて、(数18)式および(数19)式により{dx1(x,y)+dx2(x,y)}なる演算を施す第1の演算回路と、(数20)式および(数21)式により{dy1(x,y)+dy2(x,y)}なる演算を施す第2の演算回路と、(数22)式および(数23)式により(max1+max2)なる演算を施す第3の演算回路とを有する。更に、しきい値演算回路48は、第1の演算回路から得られる{dx1(x,y)+dx2(x,y)}と画素以下のずれ検出部43から得られるδx0と入力されるαパラメータとに基づいて、(数15)式の一部と(数16)式の一部である({dx1(x,y)+dx2(x,y)}*δx0±|{dx1(x,y)+dx2(x,y)}|*α)なる演算を施す第4の演算回路と、上記第2の演算回路から得られる{dy1(x,y)+dy2(x,y)}と画素以下のずれ検出部43から得られるδy0と入力されるβパラメータとに基づいて、(数15)式の一部と(数16)式の一部である({dy1(x,y)+dy2(x,y)}*δy0±|{dy1(x,y)+dy2(x,y)}|*β)なる演算を施す第5の演算回路と、上記第3の演算回路から得られる(max1+max2)と入力されるγ、εパラメータとに基づいて、例えば(数17)式に従って(((max1+max2)/2)*γ+ε)なる演算を施す第6の演算回路とを有する。更に、しきい値演算回路48は、第4の演算回路から得られる({dx1(x,y)+dx2(x,y)}*δx0+|{dx1(x,y)+dx2(x,y)}|*α)と第5の演算回路から得られる({dy1(x,y)+dy2(x,y)}*δy0+|{dy1(x,y)+dy2(x,y)}|*β)と第6の演算回路から得られる(((max1+max2)/2)*γ+ε)とを+演算して上限のしきい値thH(x,y)を出力する加算回路と、第6の演算回路から得られる(((max1+max2)/2)*γ+ε)を−演算する減算回路と、第6の演算回路から得られる({dx1(x,y)+dx2(x,y)}*δx0−|{dx1(x,y)+dx2(x,y)}|*α)と演算回路から得られる({dy1(x,y)+dy2(x,y)}*δy0−|{dy1(x,y)+dy2(x,y)}|*β)と減算回路から得られる−(((max1+max2)/2)*γ+ε)とを+演算して下限のしきい値thL(x,y)を出力する加算回路とを有している。
【0056】
なお、しきい値演算回路48は、CPUがソフト処理によっても実現することができる。またしきい値演算回路48に入力されるパラメータα、β、γ、εは、全体制御部120に備えられた入力手段(例えば、キーボード、記録媒体、ネットワーク等からなる。)を用いて入力させても良い。
欠陥判定回路(欠陥判定部)50では、差画像抽出回路(差分抽出回路)49から得られる差画像(距離画像)sub(x,y)、並びにしきい値演算回路48から得られる下限のしきい値(下限の許容範囲を示す許容値)thL(x,y)、および上限のしきい値(上限の許容範囲を示す許容値)thH(x,y)を用いて、次に示す(数24)式の関係を満たせば、位置(x,y)の画素は非欠陥候補、満たさなければ位置(x,y)の画素は欠陥候補と判定する。欠陥判定回路50は、非欠陥候補画素は例えば0、欠陥候補画素は不一致量を示す例えば1以上の値を持つdef(x,y)を出力する。
thL(x,y)≦sub(x,y)≦thH(x,y) (数24)
特徴抽出回路50aでは、ノイズ除去処理(例えば、def(x,y)に対して縮小・膨張の処理を行う。例えば3×3画素の全てに亘って同時に欠陥候補画素ではないときには、その中心の画素として例えば0(非欠陥候補画素)にして縮小処理を行って消去し、それを膨張処理して元に戻すことを行う。)によってノイズ的(例えば3×3画素の全てに亘って同時に欠陥候補画素ではない。)な出力を削除したあと、近隣の欠陥候補部を一つにまとめる欠陥候補部のマージ処理を行う。その後、一まとまりごとに、重心座標、XY投影長(x方向およびy方向における最大長さを示す。なお、(X投影長の2乗+Y投影長の2乗)の平方根は最大長さとなる。)、面積などの特徴量88を算出して出力する。
【0057】
以上説明したように、全体制御部120によって制御される画像処理部124からは、電子ビームが照射されて電子検出器35(105)で検出させる被検査対象物(試料)106上の座標に応じて欠陥候補部の特徴量(例えば、重心座標、XY投影長、面積など)88が得られることになる。
全体制御部120では、検出画像上での欠陥候補部の位置座標を被検査対象物(試料)106上の座標系に変換し、疑似欠陥の削除を行い、最終的に、被検査対象物(試料)106上での位置と画像処理部124の特徴抽出回路50aから算出された特徴量とからなる欠陥データをまとめる。
【0058】
本実施の形態によれば、小領域(部分画像)全体としての位置ずれや、個々のパターンエッジの微小な位置ずれや、階調値(濃淡値)の微小な差異が許容されるため、正常部を欠陥と誤認識することがなくなる。また、パラメータα、β、γ、εを適切な値に設定することによって、位置ずれ、階調値の変動の許容量のコントロールを容易に行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、補間によって擬似的に位置の合った画像を生成することを行っていないため、補間では避けがたい画像の平滑化効果を受けないので、微細な欠陥部の検出に有利という利点もある。実際、発明者等の実験によれば、画素以下の位置ずれ検出の結果を用いて、補間によって擬似的に位置の合った画像を生成した後、本実施の形態と同様に位置ずれ、階調値の変動を許容するしきい値を算出して欠陥判定を行った結果と、本実施の形態によって欠陥判定を行った結果とを比較すると、本実施の形態では5%以上の欠陥検出性能の向上が見られた。
以上説明した電子線装置における電子線像の劣化を防止する手段について更に説明する。即ち、電子線像の質は、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像歪みや、デフォーカスによる解像度の低下などにより劣化することになる。これらの像質の劣化を防止する手段として、高さ検出光学装置200aと高さ計算手段200bとからなる高さ検出装置200、焦点制御装置109、偏向信号発生装置108、および全体制御装置120によって構成される。
【0059】
次に、上記高さ検出光学装置200aの実施例について説明する。
図10および図11は、本発明に係る高さ検出光学装置200aの第1の実施例を示す図である。即ち、本発明に係る高さ検出光学装置200aは、光源201と該光源201からの光で照明される同一のパターン、例えば長方形状のパターンを反復させた(繰り返された)パターンが描かれたマスク203と投影絞り211とS偏光を出射する偏光フィルタ240と投影レンズ210とで構成され、例えばマルチスリット状パターンをS偏光で試料面106に対して垂直からθ傾けた角度(θ=60度以上)で投影する投影光学系270と、試料面106からの正反射光をラインイメージセンサ214の受光面に結像させる検出レンズ215と検出絞り216とマルチスリット状パターンの長手方向をラインイメージセンサ214の受光画素に集光するシリンドリカルレンズ213とラインイメージセンサ214とで構成される検出光学系271とから構成される。これらのうち、投影光学系270と検出光学系271を併せたものが高さ検出光学系272である。なお、高さ計算手段200bは、ラインイメージセンサ214から検出されるマルチスリット像のシフト量から試料面106aの高さを検出するものである。
【0060】
光源201を射出した光は、同一のパターン、例えば長方形状のパターンを反復させたマルチスリット状のパターンが描かれたマスク203上を照明する。マスク203面が投影光学系の光軸に垂直な面であれば、マルチスリット状のパターンは投影光学系光軸と試料面106aの交点近傍に、マスク面と平行な結像面を持つ。このとき、図10に示すように、投影光学系光軸と検出光学系光軸を含む平面(図10では紙面と平行な平面)とマスク面の交線をs軸とすると、反復されるスリットパターンはs軸の方向に並べる。
【0061】
ここで、マスク203に描かれたマルチスリット状のパターンは、必ずしも、スリット状のパターンである必要はなく、同一のパターンの繰り返しであれば、楕円形、正方形等どんな形のものでもよい。これらマルチスリット光の光束は試料面106上で反射され、検出レンズ215により再びCCD等のラインイメージセンサ214上に結像される。この検出光学系の倍率をmとすると、試料面106aの高さがzだけ変化するとマルチスリット像は、2z・sinθ・mだけ全体的にシフトすることになる。これを利用して、ラインイメージセンサ214で受光した信号に基づいて得られるマルチスリット像のシフト量から試料面106aの高さを検出することができる。
ここで、110は高さを検出したい位置であり、上記高さ検出装置200aをオートフォーカス用の高さセンサとして用いる場合においては、110は上方観察系の光軸となる。なお、試料面106a上に投影されるマルチスリット状パターンのピッチをpとし、投影像のマルチスリット状パターンのピッチはp/cosθ、マスク203上に形成されたマルチスリット状パターンのピッチは投影光学系の倍率をm’とするとp/(cosθ・m’)となる。また、イメージセンサ214上でのパターンのピッチはp・mとなる。
【0062】
図11(a)(b)に示すように試料106上において反射率の異なる境界上で高さを検出する場合、ラインイメージセンサ214上で検出される信号の強度分布は試料の反射率分布に影響される。しかし、マルチスリット状のパターンは、高さ検出範囲において鮮明な像を保てる限りなるべく細いものを用いることによって、対象物の表面の反射率の分布に因る検出誤差を小さく抑えることができる。なぜなら、検出誤差は試料の反射率分布によるスリット像の重心の偏りによって生じ、この偏りの絶対値はスリットの幅に比例して大きくなるためである。図11に示す実施例では、左から3番めのスリットに、試料の境界による反射率のむらの影響が出ているが、スリット幅が狭いために検出誤差は小さい。さらに、複数のスリットによる高さ検出値を用いることによって、対象物起因の検出誤差、および、検出ばらつきを低減することができる。
【0063】
また、図10に示す実施例では、偏光フィルタ240が投影レンズ210の前におかれて、S偏光を選択的に投影するようにしている。これは、透明膜中での多重反射による位置シフトを抑える効果と、領域間での反射率の差異を小さくする効果をもつ。図12に示す様に、試料の表面が絶縁膜などのように光に対して透明な膜で覆われているときに、透明膜のなかで投影光が多重反射を起こして投影光の位置がシフトする現象が生じる。S偏光の方がP偏光よりも透明膜の表面で反射しやすいため、偏光フィルタ240の挿入によって多重反射を起こしにくくなる。一方、図13には、透明膜の一例であるレジストとシリコンの反射率のグラフが示されている。RsがS偏光の反射率、RpがP偏光の反射率、Rがランダム偏光の反射率である。このようにS偏光の方が反射率の材質間の差異が小さくなる。また、このグラフから読み取れるように、反射率は入射角が大きいほど大きく、材質間の差が小さくなる。すなわち、パターン境界での誤差を生じにくくなる。このため、入射角θはなるべく大きいほうがよい。80°以上が理想的だが、少なくとも60°以上の入射角を使用することが望ましい。なお、偏光フィルタ240の位置は、必ずしも投影レンズ210の前である必要はなく、光源201と検出器214の間のどこに在ってもほぼ同じ効果を奏する。また、光源201はレーザ光源や発光ダイオードでもよいが、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプのような広帯域のランプの方がより望ましい。または、複数の波長のレーザや発光ダイオードをダイクロイックミラーを用いて混合してもよい。これは、単色光は、透明膜内で多重干渉を起こして投影光がシフトしたり、材質や試料上のパターンによる反射率の違いが大きくなって、大きい誤差を生じやすいためである。
また、図10に示す実施例では、ラインイメージセンサ214の前にシリンドリカルレンズ213がおかれている。これは、ラインイメージセンサ214上に集光し、検出光量を増すと共に、試料上の広い面積からの反射光を平均化することによって誤差を減少するものである。ただし、シリンドリカルレンズ213を用いることは必須条件ではなく、必要性に応じて使用を決定すべきものである。
【0064】
次に、図10に示した構成の高さ検出光学系272を備えた高さ検出装置200aに接続された高さ計算手段200bにより試料面106aの高さを検出するアルゴリズムの一実施の形態について、図14を用いて説明する。
ここで、簡単のため、検出光学系の倍率m=1の場合について説明する。m=1でない場合はpをm・pとすれば良い。
【0065】
スリットの総数をn、ピッチをp、検出波形をy(x)とする。高さz=0の時の各スリットに対応するピークの位置をygo(i)(i=0,・・・,n−1)とする。(ygo(i)=ygo(0)+p*iの関係がある。)
ここで、スリットの総数nと、ピッチpとは、既知の値につき、高さ計算手段200bに対して全体制御部120から与えられる。また、高さz=0の時の各スリットに対応するピークの位置[ygo(i)(i=0,・・・,n−1)]については、高さ計算手段200bは、例えば標準試料130を用いて全体制御部120から設定される高さz=0のとき、高さ検出光学系272から得られる検出波形y(x)に基づいて設定してもよい。また、高さz=0の時の各スリットに対応するピークの位置[ygo(i)(i=0,・・・,n−1)]については、例えば標準試料130を用いて全体制御部120から設定される高さz=0のとき、高さ検出光学系272から得られる検出波形y(x)を、例えば全体制御部120に備えられた表示手段143に表示するなどして、全体制御部120においてマニュアルで設定し、それを高さ計算手段200bに提供することも可能である。
【0066】
次に、図15に示すように、高さ計算手段200bによる被検査対象物(試料)106に対する高さを検出するアルゴリズムについて説明する。
1.ステップS151において、リニアセンサ214から得られる信号波形y(x)をスキャンし、最大値をとる位置xmaxを求める。
2.ステップS152において、xmaxから左右にピッチpずつたどっていって、各ピークの概略の位置を求める。
3.ところで、左端のピーク位置をx0とすると、ピークiの概略の位置はx0+p*iとなる。左右の谷の位置は(x0+p*i−p/2,x0+p*i+p/2)となる。
【0067】
ここで、簡単のため、検出光学系の倍率m=1の場合について説明する。m=1でない場合はpをm・pとすれば良い。
【0068】
そして、yminは、次に示す(数30)式で示すように、左右の谷のうち大きいほうによって求まる。
ymin=max(y(x0+p*i−p/2),y(x0+p*i+p/2))
(数30)
以上の関係から、ステップS153において、しきい値(閾値)ythは、次に示す(数31)式によって設定される。
yth=ymin+k*(y(x0+p*i)−ymin) (数31)
kは、0.3前後の定数である。
【0069】
4.ステップS154において、(x0+p*i−p/2)と(x0+p*i+p/2)との間でy(x)>ythとなる点に対してy(x)−ythの重心を求めてこれをyg(i)とする。
5.ステップS155において、Δg(i)=(yg(i)−ygo(i))の加重平均[ΣΔg(i)/n]をもとめてこれを像シフト(スリットの移動量[ΣΔg(i)/n])とする。
【0070】
そして、次に示す(数32)式に基づくように、像シフトに検出ゲイン(1/(2m・sinθ))をかけてオフセットを加えることによって高さzを計算する。
【0071】
z=[Δg(i)の加重平均]×(1/(2m・sinθ))+オフセット値 (数32)
ここで、上記ステップS155において加重平均を行う理由とその方法の詳細な実施例については後述する。なお、本実施例では、スリット像のピークを用いたが、代りにスリット像間の谷を用いてもよい。すなわち、y(x)<ythとなる点に対してyth−y(x)の重心を求めて各谷の像の重心とし、これらの谷の像の移動量の平均によって全体の像シフトを求める。これによって、次のような効果を奏する。検出波形は投影波形と試料表面の反射率の積によってきまるため、スリット像の明るい部分の方が、反射率のばらつきの影響が大きく、検出波形の形状が変化しやすい。これに対して、波形の谷の部分は試料表面の反射率に影響されにくい。このため、スリット像間の谷の移動量の測定に基づく高さ検出アルゴリズムによって、さらに、対象物の表面状態に起因する検出誤差を低減することが可能である。
【0072】
さて、図11に示した例では、スリットの幅を小さくすると検出誤差は比例して減少するが、これには限界があり、ある限度以上スリットを細くしてももはやスリットは、イメージセンサ214上に鮮明には結像されず、コントラストが落ちてくる。そこで、次に説明するように、予め高さ検出光学系272を設計しておく必要がある。
即ち、図15に示すステップS156は、予め高さ検出光学系272を設計するための設計仕様の条件を示したものである。目標とする高さ検出範囲を±zmaxとすると、このときイメージセンサ214上のマルチスリット像は、±2zmax・cosθだけデフォーカスする。一方、試料面106a上に投影されたマルチスリット状のパターンの周期をp、検出レンズ215のNA(Numerical Aperture)をNAとすると、この焦点深度は、±a・0.61p/NAとなる。そこで、スリット周期pが次に示す(数31)式の関係を満たすことが、常に、マルチスリット像が鮮明に検出できるための設計条件である。ここで、aは焦点深度を振幅がどこまで低下した状態で定義するかによって定まる定数で、振幅が1/2に落ちた状態で焦点深度を定義する場合、aは約0.6である。このように、図15に示すステップS151〜S155において、試料面106aの高さzを算出する際、常に、マルチスリット像が鮮明に検出できるための設計条件((数33)式の関係)に設定されている。
(2zmax・cosθ)<(a・0.61p/NA) (数33)
図10に示す実施例では、投影絞り211が投影レンズ210の前側焦点位置に、検出絞り216が検出レンズ215の後側焦点位置におかれている。これは、投影レンズ210と検出レンズ215とを試料側テレセントリックにして、試料106の上下による倍率変動をなくするためである。
【0073】
ここで、試料面の高さ変位が大きい場合に、この試料表面の反射率むらが高さ検出に与える影響について説明する。該説明を簡単にするために、図16に示すスリット光束が一本の場合を用いて上記原理について説明する。図16(a)は高さ検出光学系の焦点273と試料面106が一致している場合、図16(b)は試料面の高さ変動によってデフォーカスが生じている場合である。図16(b)に示すように、試料面106の高さがZ変化すると高さ検出光学系272全体の光路長が変化する。このとき、投影レンズ210と検出レンズ215は試料側テレセントリックとなっているために倍率変動は生じないが、投影光学系270により形成されるマルチスリット像の結像位置273と、検出光学系271においてセンサ面と共役な合焦点位置274および、試料面275が一致しなくなる。図16(a)に示すように、投影光学系270の結像位置および検出光学系271の合焦点位置が試料面で合っている場合には、その表面にあるパターンの像によって、検出されるスリット光束の信号波形276は崩れるが、デフォーカスによる検出されるスリット光束の信号波形における幅の増大などは生じない。これに対し、図16(b)に示すようにデフォーカスした状態で試料面275に投影されると、低反射率部における反射した光線は暗くなり、図16(b)に示すように光束内に強度分布を持つこととなる。また、検出光学系の焦点も合っていないため、検出されるスリット光束による信号波形277としては、デフォーカスによる振幅の低下やスリット幅の増大を生じる。このような場合には、試料面のパターンは殆ど解像しないが、光束内での強度分布の影響を受けてスリット像全体がシフトするといった現象が起きるため、図16(a)に示した焦点の合った状態よりも、図16(b)のデフォーカスした状態の方が更に大きな検出誤差を生じる。このようなデフォーカスにより生じる像のシフトが生じている場合に、スリット光束の真の中心位置を正確に求めることは非常に困難である。このように、試料表面の反射率むらにより生じる検出誤差の大きさは、投影光学系および検出光学系の焦点位置と試料表面との位置関係により変化する。このため、試料面高さによって検出精度が変化するという問題が生じ、広い高さ検出範囲が必要な場合には問題となる。図10に示したマルチスリット光束を検出する際にも同様の現象が起きる。
【0074】
次に図10に示す光学系における、試料面高さとマルチスリット光束の関係について、図17を用いて説明する。図17(a)は試料面106の高さが基準位置にある状態を示し、図17(b)は試料面高さがZ変化した場合を示す。図17(a)の状態では投影光学系270のスリット光束の結像位置と検出光学系271の合焦点位置は一致しており、且つ中央のスリット光束Bの焦点位置(中間像の位置)B’は試料面上にある。各スリット光束A、B、Cの焦点位置A’、B’、C’とセンサ上の結像位置A”、B”、C”とは光学的に共役な関係となっている。また、図17(b)は簡単のためスリット光束B、Cの光路のみ示しており、この場合、光路長の変化によって投影光学系270と検出光学系271の焦点位置は一致しないため、投影光学系270と検出光学系271の2つの焦点位置の中間を、高さ検出光学系全体の焦点位置としてB’、C’で図示してある。図17(a)の3本のスリット光束A、B、Cは、全て投影光学系270と検出光学系271の焦点位置が一致しているが、特に焦点(中間像)位置が試料面上の投影位置と一致するスリット光束Bでは、試料面パターンのデフォーカスによる検出像の劣化が生じないため、他のスリット光束に比べて、反射率むらに起因する高さ検出誤差は小さくなる。これに対し、図17(b)に示すように高さ変位Zが生じると、スリット光束Bにおける高さ検出光学系272としての焦点位置B’と試料面上の投影位置275とは離れてしまい、そのかわりにスリット光束Cにおける高さ検出光学系272としての焦点位置C’が試料面での投影位置と一致するようになる。この場合には、スリット光束Cの像が最も検出誤差が小さくなる(しかし、高さ検出光学系272の全体としてのデフォーカスの影響があるため、図17(a)の場合のスリット光束Bに比べると検出誤差は若干大きくなる)。このように、試料面の高さによって、反射率むらにより生じる検出誤差が最小となるスリット光束は変化することから、試料面の高さに応じて検出誤差の小さいスリット光束について選択的な処理をして高さ検出を行えば、広い検出範囲においても比較的安定に高さ検出を行うことができる。ここで、各試料面高さにおいて検出誤差が最小となるスリット光束における焦点位置279は、図18に示すようになる。すなわち、高さ検出光学系272としての検出誤差が最小となるスリット光束における焦点位置279は、試料面の高さに関わらず常に一定となるのである。
【0075】
次に、このような課題を解決する方法について説明する。図10に示す高さ検出光学系272を備えた高さ検出装置200aからマルチスリット像を得、それを高さ計算手段200bにおいて次に説明するように処理することにより上記課題を解決することができる。
即ち、図18に示すように、中央のスリット光束を0番として順にスリット番号0、±1、±2、..、±s、..、±Sとすると、焦点位置と試料面が一致するスリット番号sfは次に示す(数34)式で求められる。ここで、zeは試料面の概略高さ、pは試料面上に投影されたスリットピッチ、m’は投影光学系270の倍率であり、以後このスリットsf(z)を合焦点スリットと呼ぶ(図18に示す場合、合焦点スリットsfは番号+1のスリット)。
【0076】
sf(ze)=ze・sinθ/p (sf(ze)は整数) (数34)
即ち、図19に示すように、高さ計算手段200bは、例えば、ラインイメ−ジセンサ214から得られる図14に示す信号波形y(x)から前述したステップS151〜S155と同様なステップS191〜S195からなる高さ検出アルゴリズムに基づいて、試料面106aの概略高さzeを算出する。例えば、図14で示した方法により得られた各スリット像y(x)の移動量[Δg(i)=(yg(i)−ygo(i))]を平均することで、誤差の影響はあるが、試料面106aの概略の高さzeを知ることができる。特にステップS155において、上記(数32)式に基づいて、試料面106aの概略高さzeを算出する。そして、図19に示すステップS197において、上記算出されたzeに基づいて上記(数34)式より合焦点スリットsf(ze)を求める。
【0077】
各スリット光束において反射率むら起因で生じる検出誤差の大きさは、この合焦点スリットsf(ze)から離れるに従って連続的に大きくなっていく。そこで、図19に示すステップS198において、図14に示すようなマルチスリット光束による検出値y(x)に対して、検出誤差の小さいスリット光束に対して大きな重みを与えるような重み関数w(s)を決め、次に示す(数35)式に基づいて、検出誤差の小さいスリット光束に対する選択的な処理である上記重み関数w(s)による重み付けを行って加重平均することにより高精度な高さ検出zを行う。
【0078】
上記重み関数w(s)として、例えば図20に示すように、s=0で最大値をとり、離れるに従って重みが減少するようなs=0の軸に対象な関数280を用意する。
z=[Δg(i)=(yg(s)−ygo(s))について重み関数w(s−sf)に基づく重み付けによる加重平均]×(1/(2m・sinθ))+OFFSET値
z=Σ(Δg(s)・w(s−sf))/Σ(w(s−sf))×(1/(2m・sinθ))+OFFSET値 (Σは−S≦s≦S) (数35)
但し、Δg(s)=(yg(s)−ygo(s))
ygo(s)(s=−((n−1)/2),−((n−1)/2)+1,・・・,0,・・・,((n−1)/2)−1,((n−1)/2))は、高さz=0の時の各スリットに対応するピークの位置を示す。nはスリット光束の総数、pは試料面上におけるスリット光束のピッチである。
y(x)はイメージセンサ214から検出される検出波形である。
yg(s)は、ステップ194において求まるy(x)>ythとなる点に対する(y(x)−yth)の重心である。
閾値ythは、ステップS151〜S153と同様にステップS191〜S193において、上記(数30)式および(数31)式によって求めることができる。
【0079】
以上説明したように(数35)式を用いて、合焦点スリットsfの移動量に重きを置いた加重平均を行うことにより、試料面高さの変位が大きい場合においても比較的安定な高さ検出精度を得ることができる。このとき、ステップS196に示すように、高さ検出範囲全体において合焦点スリットが存在するためには、スリット本数n、スリットピッチp、高さ検出範囲zrange(zmax)は次に示す(数36)式を満たさなければならない。なお、ステップS196は、図15にステップS156で示すのと同様に、予め高さ検出光学系272を設計するための設計仕様の条件を示すものである。
【0080】
(n−1)・p/sinθ ≧ zrange (数36)
更に、この加重平均の方法に関する詳細な実施例について説明を行う。はじめに重み関数w(s)の選び方について説明する。先に説明したように、図10に示すマルチスリット光束を用いた高さ検出光学系272では、試料面106aの高さによって各スリット光束における誤差の生じ方が変化する。そこで、マルチスリット光束を用いて、各々の高さにおいて最も検出誤差の小さいスリット光束のみを選択する事によって、従来の一本のみのスリット光束を用いる場合に比べ、広範囲において比較的安定な高さ検出精度を実現することができる。この場合は誤差最小のスリット光束のみを選択するため、先の重み関数w(s)として、図20に示すw2(s)281となる。この重み関数w2(s)281は、s=0において1、s=0以外は全て0である。
【0081】
しかし、図20に示したような重み関数w(s)280を用いて複数のスリットの検出値の加重平均をとることでさらに安定で高精度な高さ検出を実現することができる。次に図20の重み関数w(s)280を用いた場合の実施例について説明する。試料表面の反射率むら起因誤差は、高さ検出光学系のデフォーカスによりその大きさが変化するが、高さ検出光学系のデフォーカスが生じていても、試料面の反射率が均一であれば誤差は生じない。つまり、図11に示したように、反射率むら起因の誤差を生じるのはパターンの境界部などにスリット光が投影されている場合のみである。このため、デフォーカスしているスリットであっても、試料面の反射率むらの影響のないものであれば、多くのスリットを用いて平均処理を行うことで、境界部の誤差の影響の低減や、その他のノイズなどによる誤差の影響を低減することができる。検出波形の対称性などを用いて投影されたスリット光がパターン境界にかかっているか否かを判断することができれば、そのスリットの検出値を除くことにより高精度な高さ検出が行えるが、図16(b)で示したように、高さ検出光学系272のデフォーカスが生じた状態では、試料面の像は解像しないため、パターン境界の影響を判断することは困難である。これに対し、反射率むらに起因して大きな誤差を生じるデフォーカス状態のスリット光束に対して重みを小さく、誤差を生じにくいフォーカス状態のスリット光束に対して重みを大きくして加重平均を行えば、デフォーカスによる誤差の増大の影響を防ぎ、且つ多くのスリットを使用することによる誤差低減の効果を得ることができるのである。即ち、スリット状光束(格子状光束)の光像の結像状態に適合するように重み関数w(s)に基づく重み付け処理(例えば加重平均)を施すことによって検出誤差の低減を図ることができる。
【0082】
図21は本方式を用いた場合の高さ検出結果の一例を示す図である。
図21(a)は、スリット状光束(格子状光束)の光像の結像状態を示す合焦点スリット番号sf=−3とした場合の重み関数w(s−sf)を示した図であり、横軸はスリット番号sを示す。
図21(b)は、合焦点スリットsf(−3)の投影位置に試料表面のパターン境界がある場合における試料面の高さに対応するスリット移動量[yg(s)−ygo(s)]を示す。試料表面は平らで、検出誤差が無い場合における平均スリット移動量を0として示しているため、縦軸は検出誤差となる。四角は、各スリット番号による検出誤差を示す。パターン境界に投影されているスリット番号sfでは、合焦点状態であるにもかかわらず、パターンの影響を受けて、比較的大きな検出誤差を生じる。
また、図21(c)は、パターン境界がスリット番号+4の投影位置にある場合における試料面の高さに対応するスリット移動量[yg(s)−ygo(s)]を示す。試料表面は平らで、検出誤差が無い場合における平均スリット移動量を0として示しているため、縦軸は検出誤差となる。四角は、各スリット番号による検出誤差を示す。スリット番号が+4で示されるパターン境界部は、合焦点スリットsfから離れ、デフォーカスの状態であるため、図21(b)に比べ、大きな検出誤差を生じる。
【0083】
図21(b)および図21(c)の各々に示す場合において、スリット移動量[Δg(s)=(yg(s)−ygo(s))]を単純平均した結果を鎖線で示し、図21(a)に示した重み関数w(s−sf)を用いて上記(数35)式で示すような加重平均を行った結果を一点鎖線で示す。図21(b)に示す場合では、誤差の生じている合焦点スリット光束sf=−3に大きな重みを与えるため、加重平均の場合の検出誤差は単純平均よりわずかに大きくなるが、合焦点スリット光束sf=−3のみを用いる場合の検出誤差(四角で示される検出誤差)より誤差が低減される。これに対し、図21(c)に示す場合は、パターン境界におけるスリット光束がデフォーカスしているため、非常に大きな検出誤差を生じ、単純平均では、検出誤差を十分に低減することができない。これに対して図21(a)に示す重み関数w(s−sf)を用いて上記(数35)式で示すような加重平均を行った結果では、検出誤差は殆どゼロとなる。このように、上記(数34)式で示されるように高さ(ze)に応じて得られる結像状態である合焦点スリットsfに適合するように重み付けを行うことにより、広い検出範囲において、安定で高精度な高さ検出を実現することができる。単純平均を行った結果と、本実施の形態によって加重平均を行った場合の高さ検出結果を比較すると、本実施の形態ではパターン境界部における誤差を50%以下に低減することができた。
【0084】
次に、この重み関数w(s)は図20に示した2種類の他にも合焦点スリット周辺の数本を選択するものやガウス関数の標準偏差を変更したものなど、様々なものが考えられる。これらの重みはデフォーカスにより生じる誤差が許容できない大きさになるスリット光束に対する重み付けが十分低くなるように設定すれば良い。通常、デフォーカスの影響は連続的に変化するため、w(s)280のような連続的な関数を用いて多くのスリットによる検出値を用いる方が安定な結果を得ることができる。各スリットにおいて、デフォーカスにより生じる誤差を測定すれば、各スリットによる検出値の信頼性の指標とすることができる。例えば、検出誤差の標準偏差を求め、その逆数を信頼性の評価値として、それに比例した重みを与えるような関数を用いて加重平均をすれば、精度の良い高さ検出値が得られる。このように、光学系の仕様や目標精度に応じて適切な重み関数を選択すれば良い。このとき、スリット光束の幅が同じ(デフォーカスの条件が同じ)であれば、スリットピッチpが小さいほど、使用できるスリット本数nが増え、マルチスリットの効果を大きく得ることができる。また、先に述べたように、スリット幅は可能な限り細いものを使用することで、反射率むら起因の誤差を低減することができる。
【0085】
次に、図21を用いて、試料面106aが傾いている場合に、高さ検出に与える影響について説明する。
図22は、図10の一部拡大図で、210は投影レンズ、215は検出レンズである。検出レンズ215によるイメージセンサ214の共役面あるいは合焦面を218とすると、この共役面218上の投影光のシフトがイメージセンサ214上では検出される。試料面106aの高さがzだけ高くなると、検出光はデフォーカスした状態で試料上で反射することとなる。さらに試料面106aが角度εradだけ傾くと、いわゆる光てこ効果により217で反射した検出光は2εradだけ余分に傾く。するとイメージセンサの共役面218上での検出光の位置は2εz・cos(π−2θ)/cosθだけ移動する。この移動量を高さに変換するために1/2sinθをかけると、試料106の傾きεradによって高さ検出値は−2εz/tan2θ変化することとなる。これに対し、傾きεradによって生じるスリット光投影位置217と、試料面106aと検出光学系の合焦面218との交点282との高さ変位も−2εz/tan2θとなる。すなわち、光てこ効果による検出像の移動と傾きにより生じる実際の高さ変化が互いに打ち消し合うのである。スリット光束が投影される領域近傍の微少な範囲であれば、試料面はほぼ平面であると考えられることから、常にこのような条件が成り立ち、試料面106aの傾きεに関わらず、検出光学系の合焦面218と試料面106aの交点282に相当する高さが検出される。これは、マルチスリットにより高さ検出を行う場合も同様であり、複数のスリットの移動量は、全て同じ点の高さを示すこととなる。ここで、以下の点に留意する必要がある。図23に示すように、先の交点282とスリット光束の投影位置217の間に、試料表面の段差などがある場合には、検出される高さにこの段差が加わることになる。このように、図10に示す光学系により検出されるマルチスリットの移動量のばらつきは、各スリット投影位置の段差と検出誤差に因るものであり、傾きの影響は受けない。もしも、マルチスリットによる高さ検出値が各スリット光投影位置の高さを反映するのであれば、先の加重平均を行うと、その傾きによって検出値にオフセットを生じることとなるが、このような理由により傾きの影響は無く問題はない。
【0086】
また、図10に示すように、試料面の高さ変化zにより、スリット光束の投影位置217が高さを検出したい位置110よりz・tanθだけずれる。各スリットの検出値は試料面の段差を検出するため、投影位置ずれにより高さ検出誤差を生じることとなる。しかし、図18からわかるように、重みを置くスリット(合焦点スリット)の投影位置は試料面の高さに関わらず常に一定であるため、上記(数35)式に基づく先の重み付け加重平均の処理を行うことによって、この投影位置ずれの補正をも実現できるのである。
【0087】
また、要求される検出精度に対して、試料表面に存在する段差が小さい場合には、図22に示す試料面の傾きによって生じるスリット光束の投影位置ずれは特に問題とならない。このような場合には、マルチスリットの各移動量Δg(i)から誤差の大きいもののみを取り除くことで、検出精度の向上がはかれる。先述のように、マルチスリットの移動量のばらつきは、各スリット投影位置の段差と検出誤差に因るものである。そこで、段差が問題とならない程小さければ、得られたマルチスリットの移動量のうち、大きく値の異なるものはパターン境界における検出誤差を大きく含むものと推定される。そこで、はじめに得られた各スリットの移動量を単純に平均し、その平均値と最も大きく値が異なるものを反射率むら起因の誤差を含んでいるもの判断して、これを取り除いて再度平均を行う。これを、残ったスリットの移動量の最大最小の差がある一定の値(しきい値)以下になるまで繰り返せば、誤差の大きなスリットを除いた処理が行える。このしきい値は、試料面に存在する段差の大きさを考慮して決めればよい。この処理では、選択されるスリットが不定となってしまうため、加重平均を行う場合のような投影位置ずれの補正の効果は得られない。また、試料面に大きな段差がある場合や、検出器の電気ノイズなど他の要因による誤差が大きい場合には不安定な結果を示すおそれがあるため、このような場合には図20あるいは図21で示したような加重平均処理を用いた方法の方がより良い結果を得られる。
【0088】
次に、先の実施例における加重平均処理の実施例について説明する。合焦点スリットを求め、加重平均の際の重み付けを行うためには、試料面の高さzeが必要((数34)式参照)であるが、ここで必要なzeはスリット選択のための概略の値でよいため、単純平均によって求めた高さ検出値、または、前回求めた高さをzeとして用いればよい。これらの処理を実現する高さ検出手段の構成例を以下に説明する。なお、処理時間が問題とならないのであれば、これらと等価な処理はソフトウェアでも実現することができる。
【0089】
図24は、高さ計算手段200bによって、スリット移動量の単純平均によって合焦点スリットの選択を行って試料面の高さを算出する場合の実施例を示す図である。ラインイメージセンサ214により検出されたマルチスリット画像検出信号y(x)248は、スリット位置検出部283によって処理され、各スリットの位置284が計算される。ここで、スリット位置検出部283は、画像処理により各スリット位置を検出する手段であり、例えば図19に示したステップS191〜S194に示す処理を行うことによりスリット移動量yg(i)を算出する。これら算出されたスリット位置yg(i)284と、予め記憶しておいた基準高さにおけるスリット位置ygo(i)285の差を減算器286により求めて、各スリットの移動量[Δg(i)=(yg(i)−ygo(i))]287を得る。このスリット移動量287を記憶手段289にて一旦記憶しておき、これらの値を加重平均演算部290へ入力する。加重平均演算部290では、はじめに単純平均(全ての重みが等しい加重平均)[ΣΔg(i)/n=Σ(yg(i)−ygo(i))/n]を行う。単純平均の結果は検出誤差を含むが、試料面106aの高さの概略値zeに相当するスリット移動量(例えば(数34)式に基づいて合焦点スリットsf(ze)を算出する。)296が得られる。この単純平均の結果(例えば合焦点スリットsf(ze))はセレクタ292に入力され、その結果に基づいて重み係数選択部293によって重み係数w(s−sf)294を決定する。重み係数w(s)は予めテーブル295に記憶しておき、スリット移動量(例えば合焦点スリットsf(ze))296に応じて、適切なものを選択する。この選択された重み係数w(s−sf)294を加重平均演算部290へ入力すると、加重平均演算部290はこの重み係数w(s−sf)294と記憶しておいたスリット移動量[Δg(s)=(yg(s)−ygo(s))]287とを用いて、加重平均[Σ(Δg(s)・w(s−sf))/Σ(w(s−sf))]によるスリット移動量(Δg)297を算出する。この結果(Δg)に乗算器298を用いて[1/(2m・sinθ)]を乗じ、オフセット値を加えて、高さ情報z299に変換し、全体制御装置120、および焦点制御装置109へと出力される。
【0090】
図25は、高さ計算手段200bによって、前時刻の検出値を用いて重みづけを行って試料面の高さを算出する場合の実施例を示す図である。図24と同様にスリットの移動量[Δg(i)=(yg(i)−ygo(i))]287を検出するが、検出値の記憶は行わず、その結果を加重平均部290へ入力する。一方、重み係数選択部293には、遅延回路300により遅延された前時刻におけるスリット移動量[Δg(s)]301が入力され、重み係数w(s−sf)294を決定し、加重平均部290に入力される。こうして、1時刻前のスリット移動量301に基づいて決定された重み係数w(s−sf)294を用いて、現時刻におけるスリット移動量[Δg(s)]287に対して加重平均[Σ(Δg(s)・w(s−sf))/Σ(w(s−sf))]を行い、スリットの移動量(Δg)291を検出し、この結果(Δg)に乗算器298を用いて[1/(2m・sinθ)]を乗じ、オフセット値を加えて、高さ情報z299に変換し、全体制御装置120、および焦点制御装置109へと出力される。即ち、1時刻前のスリット移動量と現時刻のスリット移動量との間に試料面の高さに換算して数10μm程度以下の変動に抑制することができるので、1時刻前のスリット移動量301に基づいて重み係数w(s−sf)294を決定したとしても、問題がなく試料面の高さにおける検出誤差として数μm程度以下を実現することができる。
【0091】
次に、図26を用いて試料106の高さの2次元分布を求める実施例について述べる。光源201を出射した光は、例えば長方形状のパターンの反復したパターンの描かれたマスク203”を照明する。これは、投影レンズ210によって試料106上の217の位置に投影される。試料上に投影されたマルチスリットパターン217は検出レンズ215でCCD等の2次元イメージセンサ214”上に結像される。検出系の倍率をmとすると、試料の高さがzだけ変化するとスリット像は2mz・sinθだけシフトする。このシフト量はスリットが試料を照射する点の高さを反映しているので、これを利用して、マルチスリットの照射範囲における試料面106aの高さ分布を検出することが可能になる。
さて、図26に示す実施例では、絞り211が投影レンズ210の前側焦点位置に、絞り216が検出レンズ215の後ろ側焦点位置におかれている。これは、レンズ210と215を試料側テレセントリックにして、試料106の上下による倍率変動をなくするためである。これによって試料面106の高さ変化に伴う倍率変動をおさえ、検出リニアリティーを向上することができる。
また、図26に示す実施例のように、偏光フィルタ240を投影レンズ210の前に加えて、S偏光を選択的に投影するようにしてもよい。これは、絶縁膜等に形成されたパターンについて、SEM画像に基づいて検査する場合、絶縁膜が透明膜であるため、該透明膜中での多重反射を防止し、材質間での反射率の違いを抑えて検査できるようにするためである。偏光フィルタ240の位置は必ずしも投影レンズ210の前である必要はなく、光源201と検出器214”の間のどこに在ってもほぼ同じ効果を奏する。
【0092】
ここで、簡単のため、検出光学系の倍率m=1の場合について説明する。m=1でない場合はpをm・pとすれば良い。
【0093】
次に、高さ計算手段200bにおいて実行するマルチスリット移動量の検出アルゴリズムについて、図15および図19と異なる実施例について説明する。図27は周期波形の位相変化φを検出する方法を示している。マルチスリット状のパターンのピッチをpとすると位相変化φ(rad)は移動量pφ/2πに対応し、これは、高さ変化pφ/(2πm・sinθ)に対応することから、高さ検出は周期波形の位相変化を検出することに帰結される。高さ計算手段200bにおける高さ検出は、積和演算によって実現できる。すなわち、検出波形をy(x)とし、関数g(x)=w(x)exp(i2πx/p)との積和を求め、この結果の位相を求めればよい。ここで、iは虚数単位、w(x)は重み関数であり、適当な実数の相関関数である。この相関関数w(x)がガウス関数である時、w(x)は特にガボールフィルターと呼ばれるが、両端でなめらかに消失する関数であればw(x)はどんな関数でもよい。上の説明では複素関数を用いていたが、実数で表すと以下のようになる。
【0094】
即ち、gr(x)=w(x)・cos(i2πx/p)とgi(x)=w(x)・sin(i2πx/p)とを夫々y(x)と積和し、その結果をそれぞれRとIとする。するとy(x)の位相は次に示す(数37)式の関係から得られる。当然位相の変化も(数37)式に基づいて得られることになる。
φ=arctan(I/R) (数37)
ただし、この位相は−π〜πで折り返してしまうので、前回の検出位相から飛びが生じないよう追跡をして、位相をつなぎ合わせるか、別途ピークの概略位置を求めて、位相の2πオーダーの概略値を求める。なお、重み関数w(x)のは先の実施例における加重平均と同様に、スリット状光束(格子状光束)の光学像の結像状態である合焦点スリットに重みが付くように決定してやればよい。
次に、高さ計算手段200bにおいて実行する別のスリット移動量測定アルゴリズムの実施例について図28を用いて説明する。図15および図19に示す実施例では重心を用いてスリット像の変位を計測していたが、本方法では、スリット像のエッジの位置をもとに高さに換算する。まず図15および図19に示す実施例と同様に各スリットのピークの概略位置(x0+p*i)と両側の谷の位置(x0+p*i−p/2,x0+p*i+p/2)を求め、その振幅[y(x0+p*i)−y(x0+p*i−p/2),またはy(x0+p*i)−y(x0+p*i+p/2)]から適当な閾値ythを求める。
【0095】
次に、この閾値ythを挟む2点を探し(xj、yj)、(xj+1、yj+1)とする。すると、この二点を結ぶ線分と閾値が交差する点のx座標は、xj+{(xj+1−xj)*(yth−yj)/(yj+1−yj)}で表される。この操作をスリットの左右の傾斜部それぞれについて行い、それぞれ閾値と線分の交点の位置を求め、その中点をスリット光束iの位置yg(i)とする。
上記方法は全てスリット光束の位置yg(i)を求めるという前提で説明したが、かわりに、スリット間の遮光部、すなわち、検出波形の谷の位置を求めて、この位置の移動を検出することによって試料の高さzを求めることも可能である。このようにすると次のような効果を奏する。試料表面の反射率分布による検出マルチスリットパターンの波形の乱れは、マルチスリット像の山部に反射率境界が一致した場合の方が、谷部に一致した場合に比べて大きくなる。これは、検出される光量分布が試料反射率が一定の時の光量分布と試料の反射率の積によって定まるためである。そのために明るい部分の方が同じ反射率の変化に対する検出光量の変化が起きやすくなる。そこで、波形の乱れの小さい谷部の位置を求めた方が、試料の反射率の状態に左右されずに、小さい誤差でスリット像の位置を検出し、試料の高さを検出することが可能になる。谷部の位置を検出する方法としては、符号を反転した波形−y(x)に対して図15および図19に示す重心を求めるアルゴリズム、図28に示す閾値ythを横切る点を補間で求めるアルゴリズム等を利用すればよい。
【0096】
次に測定位置ずれによる検出誤差について説明する。図10に示す実施例では、電子光学系視野中心と高さ測定位置110とが一致していたが、図29に示すように電子光学系視野中心291と高さ測定位置110の間に偏差がある場合には、試料面106aの傾きにより誤差を生じることとなる。そこで測定位置のずれ量が明らかな場合に、検出値を補正して電子光学系視野中心の正しい高さを求めることのできる高さ検出方法の実施例について以下に説明する。
図22に示す実施例で述べたように、斜方から投影したスリット光束を試料面106aで反射させ、その像の移動量により試料面の高さzを求める方法では、試料面106aの傾きεに関わらず高さ検出位置は、試料面106aとセンサの共役な面218との交点282であった。そこで、図30に示すように、スリット203を用いて2つのスリット光束A、Bを試料面106aに投影し、それらの反射光の各々をセンサ214a、214bの各々で検出する。このとき、ガラス板302、303により光路長を変化させ、それぞれのスリット光束A、Bについて、それぞれ試料面上の投影位置(近接した異なる位置)が、投影光学系270の結像位置および検出光学系271の合焦点位置と一致するようにする(A’およびB’)。このようにすると、1つの高さ検出光学系で2箇所の高さ検出を同時に行うことができる。これら各センサ214a、214bからの検出値を単純に平均すれば、A’とB’の中間点Cの高さを検出することができる。また、図31に示すように、この光学系によって検出された2点の高さzA,zBを元に、試料面106aの傾きεが求められる。2つの検出位置周辺の狭い範囲では試料面は平面であると考えられるため、近傍にあり、高さ検出器測定位置110に対する電子光学系視野中心291の位置ずれ量等に基づく明確な任意の点(図31においては黒丸で示す。)の高さを検出することができる。
【0097】
図30に示す実施例のように、測定点1点につき1本のスリット光のみを用いる場合は、図32に示すように、検出器としてリニアセンサの他に分割センサやPSDなどを利用することもできる。図32の実施例では、各スリット光束A,Bを検出するために、実際のセンサ位置を異ならしめた分割センサ等から構成された2つの検出器214’a、214’bを用いることが可能となる。この実施例の場合、ガラス板302、303は不要となる。また、広範囲な高さ検出が必要な場合には、図30におけるスリット203から得られる2つのスリット光束A、Bの夫々を、マルチスリットにして、先の実施例と同様に用いればよい。
【0098】
また、図30の実施例に比べると検出精度は落ちるが、同様に2箇所の高さから検出値を補正する方法を図33に示す。図33では、投影する光束Aは1本であるが、試料面106aで反射したスリット光束をビームスプリッター305で分岐し、距離の異なる位置に2つのリニアセンサ214”a、214”bを配置する。このとき、投影光は試料面106aで結像させる。また検出光学系において2つのセンサ214”a、214”bの夫々の共役面(合焦点面1、2)がスリット光の投影位置を中心に対称になるように2つのセンサ214”a、214”bを配置する。すると、2つのセンサ214”a、214”bの夫々で検出される検出位置1、2は、これら共役面(合焦点面1、2)と試料面106aの交点であるから、図33に示すように2点の高さをそれぞれ検出することとなる(図33では、センサ214”aに合焦面1、検出位置1が、センサ214”bに合焦面2、検出2が対応する。)。そこで図31の実施例と同様に、これらの検出値を補正して、所望の位置の高さを検出することができる。図30の実施例の場合と異なり、図33の実施例では、投影光学系270の結像位置と検出光学系271の合焦点位置が一致しないため、デフォーカスによって試料面の反射率むら起因誤差は若干大きくなる。図33の実施例のように、1本のスリット光のみAを用いる場合は、検出器としてリニアセンサの他にPSDや分割センサなどを利用することもできる。また、図33におけるスリットをマルチスリットにして、先の実施例と同様に加重平均を行うことで精度向上も可能である。また、図26の実施例と同様に2次元のセンサ214”を用いて、試料面106aの2次元高さ分布を求めることも可能である。
【0099】
次に、このような位置補正の機能を用いた電子線式検査装置の実施例について説明する。
図3および図4に示すSEM画像に基づく外観検査の場合には、ある程度広い領域に亘って2次元のSEM画像を取り込む必要があるため、ステージ105を連続移動しながら、ビーム偏向器102を駆動して電子線をステージ105の移動方向とほぼ直交する方向に走査して二次電子検出器104で2次元の二次電子画像信号を検出する必要がある。即ち、ステージ105を例えばX方向に連続移動しながら、ビーム偏向器102を駆動して電子線をステージ105の移動方向とほぼ直交するY方向に走査し、次にステージ105をY方向にステップ移動させ、その後ステージ105をX方向に連続移動しながら、ビーム偏向器102を駆動して電子線をステージ105の移動方向とほぼ直交するY方向に走査して二次電子検出器104で2次元の二次電子画像信号を検出する必要がある。
【0100】
この実施の形態においても、常に高さ検出装置200により二次電子画像信号を検出する被検査対象物106の表面の高さを求めて自動焦点制御を行って、正しい検査結果を得る必要がある。
【0101】
しかしながら、高さ検出光学装置200aにおけるイメージセンサ214の画像蓄積時間、高さ計算手段200bの計算時間、焦点位置制御装置109の応答性等により、焦点制御に遅れが生じることになる。そこで、焦点制御に遅れが生じても、二次電子画像信号を検出する被検査対象物106の表面に正確に焦点を合わせることが必要となる。焦点制御の時間遅れの間にステージ105が移動するため、図29に示した例と同様の位置ずれが生じることとなる。そこで、先ほどの図30あるいは図32あるいは図33に示した高さ検出装置を用いた位置ずれ補正により、この焦点制御時間遅れによる位置ずれを補正すればよい。例えば、図30においてステージ105を右方向から左方向へと連続移動させるものとする。この場合、図34に示すように、予め上記遅れ時間を考慮して高さ計算手段200bは上方観察系視野中心110より若干右方の高さを算出し、この算出された高さに基づいて、焦点制御装置109によって対物レンズ103への焦点制御電流または焦点制御電圧を制御して焦点合わせ制御をすればよい。必要な検出位置のシフト量は、上記遅れ時間Tとステージ105の走査速度(移動速度)Vの積VTとなる。このずれ量VTを先の図31に示した方法により補正すればよい。このような手段により、焦点制御に遅れが生じても、高さ計算手段200bは二次電子画像信号を検出する被検査対象物106の表面の高さを算出することになるので、焦点制御装置109によって対物レンズ103への焦点制御電流または焦点制御電圧を制御して二次電子画像信号を検出する被検査対象物106の表面に正確に焦点合わせをすることが可能となる。このとき、時間遅れにより生じた検出位置ずれが生じても、図34に示すように、検出位置341が2つの検出位置(スリットAの検出位置342とスリットBの検出位置343)の間に入るようにセンサ214a〜214”a、214b〜214”bの検出位置間隔を設定しておけば、位置ずれ補正は必ず2点の内挿補間となり、安定な検出が可能となる。
【0102】
図34に示した実施例では、ステージ2の走査方向とマルチスリットの投影―検出方向がほぼ平行という前提の検出時間遅れ補正方法を示したが、次にステージの走査方向とマルチスリットの投影―検出方向にかかわらず、使用できる検出時間遅れ補正方法について説明する。ラインイメージセンサ214、214”は、ある時間T1の間に蓄積した画像信号を出力するので、T1の期間の平均的な画像が得られると考えて良い。即ち、ラインイメージセンサ214、214”から得られるデータは、T1/2の時間遅れをもつ。更に、画像を、計算機から構成される高さ計算手段200bで処理するために、一定の時間T2が必要である。合計で、(T1/2)+T2の時間だけ、過去の情報を高さ検出値は示していることになる。高さ計算手段200bは、図35に示すように、一定の間隔で得られる検出値をZ−m,Z−(m−1),…Z−2,Z−1,Z0とすると、これらのデータから現在の高さZcを推定することができる。例えば、図35で示すように、最新の検出値Z0と一つ前の目の検出値からこれを直線で外挿補間して次に示す(数38)式によって求めることができる。
【0103】
Zc=Z0+((Z0)−(Z−1))×((T1/2)+T2)/T1 (数38)
勿論、外挿補間直線を3ヶ以上の点Z−m,Z−(m−1),…Z−2,Z−1,Z0に対して誤差が小さくなるようにあてはめて求めても良いし、これらの点に対して2次関数、3次関数等をあてはめて求めても良い。これらの外挿補間方法は数学的によく知られており、どの方式を使うかは高さ検出値の変化の大きさ、ばらつきの大小によって最適なものを選べば良い。
別な実施例として、高さ検出値を補間して出力する場合を説明する。間隔T1で高さ検出値がステップ状に変化した場合、これを使って電子線にフィードバックをかけると、電子線像の質が間隔T1で急に変化するので好ましくないことがある。この場合、Zcを補間して短い時間間隔で少しずつ変化される方が良い。この場合、外挿補間高さ検出値Zcの他に、更に時刻aよりT1だけ後の高さ外挿補間値Zc’も同様に求める。図36に示す実施例では、次に示す(数39)式によって求める。
【0104】
Zc=(Z−1)+(((Z−1)−(Z−3))/(2T1))×2.5T1
Zc’=(Z0)+(((Z0)−(Z−2))/(2T1))×2.5T1 (数39)
これらZcとZc’とを用いて時刻aよりtだけ後の高さZ1を内挿補間を用いて次に示す(数40)式によって求めることができる。
Z1=Zc+(Zc’−Zc)t/T1 (数40)
以上によって、CCD蓄積時間と高さ計算時間に伴う検出時間遅れを補正し、被検査対象物106の高さが刻々と変化する場合にも、誤差の小さい高さ検出値を得て、安定に電子線を制御する電子光学系にフィードバックをかけることが可能である。
【0105】
次に、試料表面の高さ分布を予め求めておく方法について説明する。これまでの実施例では、検査あるいは測定の際に試料面の高さを検出し、その情報を用いて電子ビームの焦点合せや偏向補正を行うものであった。しかし、高さ検出が十分な速さで行えない場合や、時間遅れの補正が十分に行えない場合には、予め試料表面の高さ分布を調べて記憶しておき、その情報に基づいて焦点調節などを行うこともできる。
図2の実施例に示した電子線検査装置において、検査開始前に全体制御部120からの指令に基づいて、ステージ制御装置126を制御して、ステージ105により試料を移動させる。移動した各点において高さ検出装置200により試料面高さを検出し、レーザ測長系107により得られたステージ位置とともに高さ検出結果を全体制御系120を介して記憶装置142に記憶しておく。このとき、高さ検出は試料表面全ての点で行う必要はなく、適当な間隔で測定しておけばよい。対象とする試料の形状や保持方法によっても異なるが、高さ変化が比較的緩やかな場合には、その高さ変化の周期に応じた適当な間隔で高さを検出し、それらを補間する事で試料面全体の高さ分布を得ることができる。検査中はレーザ測長系107によって常に試料位置を知ることができるので、全体制御部120によって予め記録しておいた高さ分布から、当該位置の高さを焦点制御装置109へと入力することにより、検査と同時に高さ検出を行う場合と同じように電子線の焦点調節および偏向補正を行うことができる。
【0106】
また、予め高さ検出情報を得ておく焦点調節方法は、図2に示す実施例のように、高さ検出手段を持ち得ない場合にも応用することができる。例えば、高さ分布のかわりに各試料面高さに対して電子光学系の最適な焦点制御電流あるいは焦点制御電圧を求めることができれば、これらの値を高さ情報と同様に補間することで同様の効果を得ることができる。各点において荷電粒子検出器である二次電子検出器104によって検出される荷電粒子線像である二次電子画像信号(SEM画像信号)が最も鮮明となる焦点制御電流または焦点制御電圧を焦点制御装置109から得て測定する。このとき、荷電粒子線像である二次電子画像(SEM画像)の鮮明度は、二次電子検出器104によって検出され、A/D変換器39(122)で変換されたデジタルSEM画像信号または前処理回路40で前処理されたデジタルSEM画像信号を、全体制御部120に入力して表示手段143に表示するか、画像メモリ47に格納して表示手段50に表示して目視、または全体制御部120に入力されたSEM画像におけるエッジ部での画像の変化率を求める画像処理等により決定する。このようにして得られた最適な制御電流あるいは制御電圧の値を補間することでも焦点制御を行うことはできるが、後述する図42に示す実施例で示すような校正パターン130をXYステージ105上に設置して用いれば、試料面高さと制御電流の間の非線形性が補正でき、高さ検出器なしで試料面の高さ情報を得ることもできる。
【0107】
図37には、緩やかに表面高さが変化する試料について、高さ検出およびその補間を行う場合の実施例を示す。図37(a)は、試料106の断面形状であり、試料全体のうねりの他に、その表面にはパターン306による段差307がある。図37(b)および(d)は、同図(a)の断面図に、高さ測定点308を示したもので、同図(c)、および(e)は、これらの検出結果を1次補間した結果309であり、点線で断面形状310を示してある。図37(b)、(c)では、常に段差の上部のみで高さを検出しているため、補間結果は良好である。しかし、図37(d)、および(e)では高さ測定位置が段差の上部と底部の両方を含んでいるために、うまく断面形状を得ることができない。このような理由から、高さ検出値の補間によって試料面の高さ分布を求める際には、その表面の段差が同じ点を選択して検出を行う必要があることがわかる。なお、図37では、簡単のため1次補間の結果を示したが、更に高次の補間を行うことにより、より滑らかで精度のよい結果を得ることができる。図5に示したように、本発明の電子線式検査装置が対象としている半導体ウェハの表面には、チップ3aが多数配列されている。チップ3aの中にはメモリマット部3cと周辺回路部3bがあり、通常この2つの領域ではその表面高さが異なる。そこで、この試料表面のレイアウトに応じて、先の高さ測定位置を決定する。全てのチップにおいて同じ領域である点を選択するためには、選択する点の間隔をチップ3aの間隔と等しいか、あるいはその整数倍とすればよい。
【0108】
しかし、通常半導体装置のチップの間隔は十数ミリメートルにおよぶため、高さ変化が急激な場合には、更に細かな間隔で高さ検出を行う必要がある。この場合には、例えば図38に示すように、チップ3aの間隔を基本ピッチとして、それと同ピッチで位相の異なる点において高さを検出すればよい。このとき、パターン上部のみを選択するには、高さ測定点の位相を次のように決めればよい。図38に示すように、まず、チップ内に複数のメモリマット部がある場合には、これらを順にメモリマット部1、メモリマット部2、...、メモリマット部iとし、これらの幅をwi、メモリマット部w1とwiの間の距離をd1iとする。このメモリマット部1の中央を基準位置として、測定点の基本ピッチをチップ間隔と等しくし、これをpcとすると、位相phの取り得る範囲は、次の(数41)で与えられる。
【0109】
ph={x|d1i−wi/2<x<d1i+wi/2|} (i=1,2,...,mm) (数41)
ここで、mmは、チップ間隔をpcとしたときのチップ内のメモリマット部の個数である。この(数41)の範囲内で、適当な間隔で測定点を選べば、常にメモリマット部状の点を測定点として選ぶことができる。
通常、半導体装置の外観を検査する装置では、検査対象ウェハの製品や工程毎に検査条件を記録した条件ファイルを用いて検査を行う。この検査条件ファイルには、検査対象ウェハのチップや、チップ内のメモリマット部のレイアウトなどの情報が含まれており、これらの情報を用いれば、先の高さ検出位置のピッチや位相の範囲を決定することができる。また、検査開始時には電子線画像あるいは図7に示した構成であれば光学顕微鏡118の画像などを用いて試料の位置決めを行うため、検査条件ファイルの位置が試料上のどの位置に対応するのかを知ることもできる。試料の位置決め終了後、試料表面の状態に応じて高さ検出位置を選択してやることで、安定に試料表面の高さ分布を得ることができる。なお、図38では、1方向x方向のみについて示したが、y方向についても同様に高さ測定位置を選択すればよい。
【0110】
また、図39に示したように段差の上部のみで高さを検出すると、段差底部を観察する場合には焦点が合わなくなってしまう。電子顕微鏡の焦点深度に対して問題のない程度の段差であればよいが、段差が大きい場合には問題となる。そこで、図39に示すように、位相をずらして、パターン底部の点311の高さも同時に検出する。次に、得られた高さ検出値のうち、パターン上部のもののみで補間を行い、試料面全体の高さ分布を求める。補間により得られた高さ分布からパターン底部にあたる点311における高さ推定値を得て、これを高さ検出装置200で実際に測定した値と比較すれば、パターンによる段差を計算することができる。試料面全体で段差が一様な場合にはこれらを平均すれば段差を求めることができる。この段差情報を用いて、パターン底部を観察する場合のみ先のパターン上部の高さ分布から段差を差し引いたものを試料面高さとして、焦点合わせを行えば良い。また、段差が試料表面全体にわたって変化する場合には、底部における高さ検出値のみを用いて段差上部と同様に高さ分布を得て、これらを組み合わせて使用すればよい。パターン底部における高さ検出位置の選択も、パターン底部の幅および、基準に対する位置を用いて上記(数41)式により決定すればよい。
【0111】
このようにして得られた高さ分布の情報を表示手段143を用いて操作者に知らせることもできる。例えば、図40に示すように、試料面の高さ分布の等高線表示312を行ったり、任意の断面を指定して、その断面形状313や変位の最大−最小314を表示することが可能となる。また、検査装置の設計仕様を越えるような非常に大きな試料面の変位や傾きといった、予期せぬ状態が検出された場合は、その旨の警告を表示するといった機能を持たせることもできる。特に、形状が変化しないような方法で試料を保持している場合であれば、このような機能により、試料の形状に関する情報を操作者に与えることができる。
【0112】
次に、図2、または図3、または図4、または図7に示す外観検査用SEM装置も含む観察用SEM装置、測長用SEM装置等において、荷電粒子光学系(対物レンズ103)の焦点制御電流または焦点制御電圧と焦点位置の校正方法に関する実施例について説明する。制御電流と焦点位置の関係が非線形である場合には非線形性の補正が必要となる。線形性の評価および補正値を決定する方法について説明する。図42に示すような校正用の標準パターン130を図41に示すように被検査対象物106を保持したステージ105上の試料台に固定して配置しておく。校正用の標準パターン130は、荷電粒子線である電子線112の走査により帯電しないよう導電性の材料で作成する。
【0113】
校正時には、全体制御部120からの指令に基づいてステージ制御装置126を制御して、この校正用の標準パターン130を上方観察系光軸110を中心とした観察領域へ移動させる。全体制御部120は、この標準パターン130を使用して、各点において荷電粒子検出器である二次電子検出器104によって検出される荷電粒子線像である二次電子画像信号(SEM画像信号)が最も鮮明となる焦点制御電流または焦点制御電圧を焦点制御装置109から得て測定する。このとき、荷電粒子線像である二次電子画像(SEM画像)の鮮明度は、二次電子検出器104によって検出され、A/D変換器39(122)で変換されたデジタルSEM画像信号または前処理回路40で前処理されたデジタルSEM画像信号を、全体制御部120に入力して表示手段143に表示するか、画像メモリ47に格納して表示手段50に表示して目視、または全体制御部120に入力されたSEM画像におけるエッジ部での画像の変化率を求める画像処理等により決定する。ところで、校正用の試料面(校正用の標準パターン130)の実高さ寸法は既知なので、この高さ情報を入力手段(図示せず)を用いて入力することにより、全体制御部120は、上記測定により図43(a)に示すように試料面実高さ寸法と最適な焦点制御電流または焦点制御電圧との関係を求めることができる。同時に高さ検出光学装置200aおよび高さ計算手段200bによって、校正用の標準パターン130の高さの測定を行うことにより、全体制御部120は、図43(b)に示すように試料面実高さ寸法と高さ検出光学装置200aおよび高さ計算手段200bによって測定される高さ検出値との関係を表す校正曲線を求める。この2つの校正曲線から、全体制御部120は、高さ検出光学装置200aおよび高さ計算手段200bによる検出値から焦点のあった荷電粒子線像を撮像するための最適な焦点制御電流または焦点制御電圧の値がわかる。また、全体制御部120は、試料面高さ寸法と高さ検出光学装置200a等による検出値、試料面実高さ寸法と焦点制御電流または焦点制御電圧の2組の校正曲線を別個に求める代わりに、図43(c)に示す高さ検出光学装置200a等による検出値と焦点制御電流または焦点制御電圧との間の校正曲線を直接求めても良い。この場合、校正用の標準パターン130の実高さ寸法を知る必要はない。
【0114】
即ち、図45に示すように、校正用の標準パターン130を用いて校正される。ステップS30において、校正が開始される。ステップS31において、全体制御部120は、ステージ制御装置126に指令し、校正用の試料片130の位置nを電子光学系の光軸110にもってくる。次に、ステップS32とステップS33〜S38とを並列に実行する。ステップS32において、全体制御部120は、高さ計算手段200bに高さ検出指令を出し、無補正の高さ検出Zdnを得る。同時に、ステップS33において、全体制御部120は、焦点制御装置109に指示を出し、電子光学系(対物レンズ103)の焦点制御信号をIiに合わせる。次に、ステップS34において、全体制御部120は、偏向制御装置108に指示を出し、電子線を1次元または2次元に走査する。次に、ステップS35において、全体制御部120は、画像処理手段124に指示し、取得されたSEM画像を処理し、画像の鮮明度Siを求める。次にステップS36において、電子光学系(対物レンズ103)の焦点制御信号Iiにおけるi=i+1に変えて、ステップS37においてi≦Nnになるまで、ステップS33〜S35を繰り返して、各々の焦点制御信号Iiにおける画像の鮮明度Siを求める。次に、ステップS37においてi≦NnがNOとなると、ステップS38において、全体制御部120は、画像の鮮明度Siが最大となる焦点制御信号Inを求める。
【0115】
次に、ステップS39において、全体制御部120は、画像処理手段124に指示し、校正用の試料片130における各高さZnにおける像倍率補正、像回転補正等からなる像歪補正パラメータを求め、記憶手段142に格納する。次にステップS40において、試料片130上の位置nをn=n+1に変えて、ステップS41においてn≦Nnになるまで、ステップS31〜S39を繰り返して、各試料片の高さZdnにおける画像の鮮明度が最大となる焦点制御信号Inと、像倍率補正、像回転補正等からなる像歪補正パラメータを求める。次に、ステップS41においてn≦NnがNOとなると、ステップS42において、全体制御部120は、無補正の高さ検出値Zdnと各試料片の高さZdnにおける画像の鮮明度が最大となる焦点制御信号Inから図43(c)に示す校正曲線を得るか、または試料片130の各位置nの実高さ寸法Znが既知ならば、Zdn、Zn、Inから図43(a)(b)に示す校正曲線を得る。そして、ステップS43において、全体制御部120は、上記校正曲線のパラメータ(例えば、多項式近似の係数)を求め、記憶手段142に格納して終了(S44)となる。
なお、図42に示した校正用の標準パターン130は、その両端が平坦になっており、この2カ所において校正を行うことによって、ゲインやオフセットの校正も可能である。この校正用の標準パターン130は、校正曲線の形状は安定してるが、ゲインやオフセットのみがドリフトする場合に迅速な校正が行える点で有効である。校正曲線の形状が非常に安定でこれが他の方法により校正できる場合には、図44(a)に示すように段差が一段の標準パターンで光学式の高さ検出光学装置200aと対物レンズ103への制御電流との間のゲインとオフセットの校正をすれば良い。また、校正曲線の形状が2次関数で近似出来るような単純な形状の場合には図44(b)に示すように2段の段差を持つ標準パターンを用いれば良い
また、SEM装置などの荷電粒子線装置がZステージを有する場合には、図42、図44に示すような標準パターンではなく、通常の段差のないパターンのみで、Zステージを移動させて高さを検出し、画像を評価することにより高さ検出光学装置200aと対物レンズ103への制御電流の校正を行うことができる。この場合、Zステージによる焦点調節も可能であるが、ステージの応答速度が観察箇所を変更する速度に対して十分でない場合には、ステージを固定しておいて対物レンズ103の制御電流により焦点調節を行うことも可能である。
図2または図3に示すSEM装置において、以上説明したように求められた校正パラメータを用いて校正してSEM画像に基づく外観検査することについて、図46に示す処理フローに基づいて説明する。即ち、ステップS70において、開始される。次に、ステップS71において、全体制御部120は、記憶手段142から校正パラメータを取り出して、高さ計算手段200bに高さ検出装置校正パラメータをロードし、焦点制御装置109に高さ−焦点制御信号校正パラメータをロードし、偏向制御装置108に像倍率補正等の像歪補正パラメータをロードする。
【0116】
次に、ステップS72において、全体制御部120は、ステージ制御装置126に指示し、ステージ走査開始位置へステージを移動する。次に、ステップS73とステップS74とステップS75とステップS76とを並列に実行する。ステップS37において、全体制御部120は、ステージ制御装置126に指示し、該ステージ制御装置126により被検査対象物106を載置したステージ2を定速駆動制御する。同時に、ステップS74において、全体制御部120は、高さ計算手段200bに指示し、該高さ計算手段200bにより高さ検出光学装置200aから得られる実時間高さ検出と高さ検出装置校正パラメータに基づく補正検出高さの情報190を焦点制御装置109、および偏向制御装置108へ出力する。更に同時に、ステップS75において、全体制御部120は、焦点制御装置108、および偏向制御装置109へ指示し、該焦点制御装置108、および偏向制御装置109の各々により電子線のスキャンと補正検出高さに基づく高さ−焦点制御信号校正パラメータによる焦点制御、補正検出高さに基づく像倍率補正等の像歪補正パラメータによる偏向歪み補正を連続して行う。更に同時に、ステップS76において、全体制御部120は、画像処理手段124に指示し、該画像処理手段124により連続して得られるSEM画像を求めて外観検査を行う。 次に、ステップS77において、ステージ走査終了位置で、全体制御部120は、画像処理手段124から受け取った検査結果を表示手段143に表示したり、記憶手段142に格納したりする。次に、ステップS78において、検査終了しない場合には、ステップS72に戻ることになる。ステップS78において、検査終了となると終了となる(ステップS79)。
【0117】
以上説明した実施の形態では、SEM装置(電子線装置)について説明したが、収束イオンビーム装置等のほかの収束荷電ビーム装置にも適用することが可能である。その場合、電子銃101をイオン源に代えれば良い。そして、この場合、二次電子検出器104は必ずしも必要でないが、イオンビームによる加工状態をモニタするために、104の位置に二次電子検出器あるいは二次イオン検出器をおいても良い。また、電子線を用いた描画装置も含めた広義の加工装置にも適用可能である。この場合、二次電子検出器104は必ずしも必要でないが、加工状態のモニタ、試料の位置合わせのために、同様に用いることが望ましい。
また、通常の光学顕微鏡、光学式外観検査装置および光露光装置のような光学装置でも、その焦点位置を制御する機構があれば同様に本高さ検出装置を用いて自動焦点機構を構成できることは明らかである。焦点合わせのために試料を上下させるのではなく光学系の焦点位置を変化させるような装置の場合は、本高さ検出装置のもつ広範囲で高精度の高さ検出ができるという特性の効果が特に大きくなる。図47は、この場合の実施の形態を示す図である。図2と異なる点のみ説明する。191が光学装置の光源で、レンズ196、ハーフミラー195、対物レンズ193を通して、試料106に照明光が照射される。この像は対物レンズ193を通り、ハーフミラー195で反射され、レンズ197を介して画像検出器194上に像を結ぶ。このとき、対物レンズ193の焦点を試料106の表面に合わせる必要がある。このとき高さ検出器200をもっていれば高速の焦点あわせを実現出来る。この図に示す実施の形態では、対物レンズ193を上下させて焦点あわせを行っているが、かわりにステージ105を上下させてもよい。ただし、対物レンズ193を上下させる場合のほうが、本高さ検出器200の広い計測範囲で高精度が得られる特性の効果をより発揮できる。あるいは、191、193、195、196、197、194からなる光学系全体を上下させて焦点合わせを行っても勿論よい。図47の構成に図2および図3に示す画像処理手段124等を付加して光学式の外観検査装置を構成してもよい。更に、図47に示す実施の形態の構成を用いて、レーザー加工機を構成しても勿論よい。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、電子光学系の偏向や収差などが原因となる画像歪みやデフォーカスによる解像度の低下などを低減して電子線像(SEM像)の質を向上させることができ、その結果電子線像(SEM像)に基づく検査や測長を、高精度で、且つ高信頼性でもって実行することができる効果を奏する。
また、本発明によれば、光学式高さ検出装置で検出される被検査対象物の表面の高さ情報と電子光学系の焦点制御電流または焦点制御電圧、および像倍率誤差等の像歪との間の校正パラメータを求めておくことにより、被検査対象物から像歪みのない最も鮮明な電子線像(SEM像)を得て、該電子線像(SEM像)に基づく検査や測長を、高精度で、且つ高信頼性でもって実行することができる効果を奏する。
また、本発明によれば、電子線式の検査装置において、被検査対象物の表面の高さ検出と電子光学系に対する制御とを実時間で実行できることにより、連続的なステージ移動による画像歪みのない高解像度の電子線画像(SEM画像)を得て検査が可能となり、検査性能およびその安定性を向上でき、しかも検査時間を短縮できる効果を奏する。特に、検査時間の短縮は、被検査対象物が半導体ウエハの如く、大口径化に対して有効である。
また、本発明によれば、収束荷電粒子線を用いた観察加工装置においても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子線画像検査において半導体ウエハ等の被検査対象物に対して焦点合わせをする必要性を説明するための図である。
【図2】本発明に係る電子線装置(SEM装置)の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る電子線検査装置(SEM検査装置)の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る電子線検査装置(SEM検査装置)の一実施の形態を示す具体的構成図である。
【図5】本発明に係る半導体メモリが形成された半導体ウエハを示す図である。
【図6】本発明に係る電子線検査装置(SEM検査装置)において比較検査する検出画像f1(x,y)と比較画像g1(x,y)とを示す図である。
【図7】本発明に係る電子線検査装置(SEM検査装置)の他の実施の形態を示す具体的構成図である。
【図8】図4および図7に示す前処理回路を具体的に示した図である。
【図9】図8に示す前処理回路で補正する内容を説明するための図である。
【図10】本発明に係る高さ検出装置における高さ検出光学装置の第1の実施例を示す図である。
【図11】マルチスリットによる検出誤差低減原理を説明するための図である。
【図12】半導体ウエハ等に存在する絶縁膜等の透明膜による多重反射によって発生する検出誤差を説明するための図である。
【図13】半導体ウエハ等に存在するシリコンとレジスト(絶縁膜等の透明膜)とにおける入射角に対する反射率の変化を示す図である。
【図14】本発明に係る高さ検出装置における高さ計算手段で処理する高さ検出アルゴリズムの一実施例を説明するための図である。
【図15】本発明に係る高さ検出装置における高さ計算手段で処理する高さ検出アルゴリズムの一実施例を説明する処理フロー図である。
【図16】本発明に係る高さ検出装置における高さ検出光学系のデフォーカスと試料表面における反射率むらに起因する誤差について説明するための図である。
【図17】本発明に係る高さ検出装置におけるマルチスリットと高さ検出光学系の焦点位置の関係を説明するための図である。
【図18】本発明に係る高さ検出光学装置の実施例において、検出誤差が最小となるスリット光束を示す図である。
【図19】本発明に係る高さ検出装置における高さ計算手段で処理する高さ検出アルゴリズムの他の一実施例である重み関数に基づく重み付け処理を説明するための処理フロー図である。
【図20】本発明に係る高さ検出装置において、各スリットの検出値を加重平均する際の重み関数の例を示す図である。
【図21】本発明に係る高さ検出装置において、試料表面高さに応じた加重平均を行うことによる、高さ検出誤差低減の効果を説明するための図である。
【図22】本発明に係る高さ検出光学装置の実施例において、試料の傾きによる検出誤差の無いことを説明するための図である。
【図23】本発明に係る高さ検出光学装置の実施例において、スリット光投影位置における試料表面段差の影響を説明するための図である。
【図24】本発明に係る高さ検出光学装置において、マルチスリットの加重平均による高さ検出処理手段を具体的に示した図である。
【図25】本発明に係る高さ検出光学装置において、前時刻の検出値を用いたマルチスリットの加重平均による高さ検出処理手段を具体的に示した図である。
【図26】本発明に係る高さ検出光学装置による面上の高さ分布を計測する構成例を示す図である。
【図27】本発明に係る高さ検出装置における高さ計算手段で処理する高さ検出アルゴリズムであるガボールフィルターによりマルチスリットパターンの位置を検出する実施例を説明するための図である。
【図28】本発明に係る高さ検出装置における高さ計算手段で処理する高さ検出アルゴリズムであるスリットのエッジ位置を計測する実施例を示す図である。
【図29】本発明に係る高さ検出光学装置において、測定位置ずれにより生じる高さ検出誤差について説明するための図である。
【図30】本発明に係る高さ検出光学装置の別の実施例であり、同時に2ヵ所の高さを検出できる高さ検出光学装置の構成を示す図である。
【図31】本発明に係る高さ検出装置において2つの高さ検出値により、測定位置ずれを補正する方法を説明する図である。
【図32】本発明に係る高さ検出光学装置の実施例であり、同時に2ヵ所の高さを検出できる高さ検出光学装置の別の構成を示す図である。
【図33】本発明に係る高さ検出光学装置の別の実施例であり、同時に2ヵ所の高さを検出できる高さ検出光学装置の構成を示す図である。
【図34】本発明に係る高さ検出装置において2つの高さ検出値により、高さ検出時間遅れにより生じる測定位置ずれを補正する方法を説明する図である。
【図35】本発明に係る高さ検出装置において、ステージの走査方向とマルチスリットの投影―検出方向にかかわらず、使用できる検出時間遅れ補正方法を説明するための図である。
【図36】本発明に係る高さ検出装置において、ステージの走査方向とマルチスリットの投影―検出方向にかかわらず、使用できる検出時間遅れ補正方法を説明するための図である。
【図37】本発明に係る試料表面の高さ検出方法において、高さ測定位置と検出値の補間結果の関係を説明するための図である。
【図38】本発明に係る試料表面の高さ検出方法において、パターン上部のみを測定点として選択する方法を説明するための図である。
【図39】本発明に係る試料表面の高さ検出方法において、パターンの上部および底部を測定点として選択する方法を説明するための図である。
【図40】本発明に係る自動検査装置において、操作者に示す試料表面の高さ分布の情報の実施例を示す図である。
【図41】X−Yステージ上に校正用の標準パターンを配置した電子線装置等を示す図である。
【図42】傾斜部分のある校正用の標準パターンの一実施例を示す斜視図である。
【図43】本発明に係る電子線装置等において校正用の標準パターンを用いて求めた校正曲線を説明するための図である。
【図44】校正用の標準パターンの他の実施例を示す斜視図である。
【図45】校正用のパラメータを求める処理フローを示す図である。
【図46】本発明に係る電子線検査装置において、ステージを定速駆動して校正用のパラメータを用いて補正しながら検査する概略フローを示す図である。
【図47】本発明に係る光学式外観検査装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
8…グランド電極、24…伝送手段、32…コンデンサレンズ、37…リターディング電極、38…グランド電極、40…前処理回路、100…電子線装置(検査室)、101(31)…電子源、102(34)…偏向素子(走査偏向器)、103(33)…対物レンズ、104…二次電子検出器、2、105…ステージ、106…試料(被検査対象物)、107…レーザ測長系、108…偏向制御装置、109…焦点制御装置、110…上方観察系の光軸、115…検出部、116…電子光学系、117…電子検出部、118…グリッド、119…試料室、120…全体制御部、120’…補正制御回路、121…線源電位調整手段、122(39)…A/D変換器、123…画像メモリ、124…画像処理手段(画像処理回路)、125…試料台電位調整手段、126…ステージ制御装置、127…グリッド電位調整手段、130…標準パターン(校正用試料)、142…記憶装置、143…表示手段、200…高さ検出装置、200a…高さ検出光学装置、200b…高さ計算手段、201…光源、202…コンデンサレンズ、203…マルチスリットマスク(、205…ハーフミラー、206…反射鏡、210…投影レンズ、211…投影絞り、213…シリンドリカルレンズ、214…ラインイメージセンサ、214”…2次元センサ、214a、214”a、214b、214”b…リニアセンサ(検出器)、214’a、214’b…分割センサ、215…検出レンズ(結像用レンズ)、216…検出絞り、217…スリット光投影位置、240…偏光フィルタ、280…重み関数w(s)、281…重み関数w2(s)、302、303…ガラス板、305…ビームスプリッター、306…パターン部、307…段差、308…高さ測定点、309…高さ測定結果、310…試料面断面形状、311…段差底部の検出位置、312…高さ分布等高線表示、313…断面形状表示、314…断面最大値−最小値表示
Claims (8)
- 電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、
該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、
前記被検査対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が小さい状態で検出される特定の格子状の信号を探索し、該探索された特定の格子状に対して大きな重みを与えるように重み付け処理を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記被検査対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、
該光学的高さ検出装置で得られた被検査対象物の表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、
前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置。 - 電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、
該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、
前記被検査対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が最も小さい格子状の信号を探索し、該探索された高さ検出誤差が最も小さい格子状の信号を選択して重み付け処理を施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記被検査対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、
該光学的高さ検出装置で得られた被検査対象物の表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、
前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置。 - 更に、前記光学的高さ検出装置で得られた被検査対象物の表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系の偏向素子への偏向量を補正して前記焦点制御に基づいて生じる電子線像の倍率誤差を含む像歪を校正する偏向制御手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の電子線式検査または測定装置。
- 電子線源と該電子線源から発せられた電子線を偏向する偏向素子と該偏向素子で偏向される電子線を被検査対象物上に集束して照射する対物レンズとを有する電子光学系と、
該電子光学系で偏向し、集束して照射された電子線によって前記被検査対象物から発生する二次電子線像を検出する電子線像検出光学系と、
前記被検査対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と該検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が小さい特定の格子状の信号を探索し、該探索された特定の格子状の信号に対して大きな重みを与えるように重み付け処理を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記被検査対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有する光学的高さ検出装置と、
該光学的高さ検出装置で得られた被検査対象物の表面の高さに応じた情報に基づいて前記電子光学系による焦点位置と前記被検査対象物を載置するテーブルとの高さ方向の相対位置を制御して電子線を被検査対象物上に合焦点状態で集束させる焦点制御手段と、
前記電子線像検出光学系で検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする電子線式検査または測定装置。 - 被検査対象物を少なくとも所定方向に移動させ、
被検査対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系とを有する光学的高さ検出装置により前記検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が小さい特定の格子状の信号を探索し、該探索された特定の格子状の信号に対して大きな重みを与えるように重み付け処理を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて電子線が照射される被検査対象物上の領域における表面の高さを検出し、
該検出された表面の高さに基づいて電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線源から発せられた電子線を電子光学系の偏向素子で偏向させて被検査対象物上に合焦点状態で集束させ、
該偏向して合焦点状態で集束して照射された電子線によって被検査対象物上から発生する二次電子線像を電子線像検出光学系によって検出し、
該検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行うことを特徴とする電子線式検査または測定方法。 - 被検査対象物を少なくとも所定方向に移動させ、
被検査対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と該投影光学系で投影された格子状の光束によって被検査対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系とを有する光学的高さ検出装置により前記検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が最も小さい格子状の信号を探索し、該探索された高さ検出誤差が最も小さい格子状の信号を選択して重み付け処理を施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて電子線が照射される被検査対象物上の領域における表面の高さを検出し、
該検出された表面の高さに基づいて電子光学系の対物レンズに流す電流または印加する電圧を制御して電子線源から発せられた電子線を電子光学系の偏向素子で偏向させて被検査対象物上に合焦点状態で集束させ、
該偏向して合焦点状態で集束して照射された電子線によって被検査対象物上から発生する二次電子線像を電子線像検出光学系によって検出し、
該検出される二次電子線像に基づいて被検査対象物上に形成されたパターンの検査または測定を行うことを特徴とする電子線式検査または測定方法。 - 対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と、
該投影光学系で投影された格子状の光束によって対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と、
該検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が小さい特定の格子状の信号を探索し、該探索された特定の格子状の信号に対して大きな重みを与えるように重み付け処理を前記検出光学系で検出される格子状の信号に対して施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有することを特徴とする光学的高さ検出装置。 - 対象物上に格子状の光束を斜め上方から投影する投影光学系と、
該投影光学系で投影された格子状の光束によって対象物の表面から反射した格子状の光束を結像させてこの結像状態に応じた格子状の光学像を受光して格子状の信号に変換して検出する検出光学系と、
該検出光学系で検出される格子状の信号から被検査対象物の表面の高さ検出誤差が最も小さい格子状の信号を探索し、該探索された高さ検出誤差が最も小さい格子状の信号を選択して重み付け処理を施すことによって格子状の信号としての基準高さに応じた基準信号に対する移動量または位相変化量を求めて前記対象物の表面の高さに応じた情報を得る算出手段とを有することを特徴とする光学的高さ検出装置。
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