JP5580640B2 - タイヤ成形用金型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ成形用金型の製造方法に関するものである。詳しくは、タイヤのサイプを形成するためのブレードが鋳ぐるまれたタイヤ成形用金型を鋳造する製造方法に関するものである。
タイヤ成形用金型は、その金型内に未加硫ゴムを収納し加硫成形して空気入りタイヤを製造する際に用いられる金型である。このタイヤ成形用金型は一般に、複数個に分割された金型部品の組み立て構造になり、その金型分割構造には、タイヤのトレッド部を幅方向中央で2分割した2ピースモールドと、タイヤの円周方向に7〜13分割したセクショナルモールドとの2種類が存在する。これら2ピースモールド及びセクショナルモールドのいずれにおいても、タイヤ成形用金型は、成形するタイヤのトレッド部に対応する面(意匠面)の形状が複雑であり、また、成形するタイヤがサイプと呼ばれる細溝をトレッド部に具備する場合には、そのサイプを形成するためにブレードと呼ばれる高強度薄肉部材を金型の意匠面に嵌め込んで突設した形状になるから、機械加工による製作ではなく、転写法を用いた鋳造製法で製作されることが多い。
この転写法を用いた鋳造製法では、タイヤ成形用金型で成形するタイヤの原型を作製し、この原型のトレッド部をゴム型に転写し、このゴム型に転写された意匠面をタイヤ成形用金型用の鋳型に転写し、この鋳型に金属溶湯を注入して凝固させ、鋳物としてのタイヤ成形用金型を鋳造により製造する。この鋳造製法によれば、タイヤ形状の原型を機械加工により製作し、また、ゴム型から鋳型を経て鋳物を鋳造するまでの工程にわたって注型転写製法を採用することから、タイヤ成形用金型を機械加工するのでは製作が難しい、意匠面のピン角コーナー部や、突起形状部のR形状を形成することができ、また、ブレードについても鋳造時にタイヤ成形用金型に鋳ぐるむことにより、当該金型の意匠面に容易に形成させることができる。
ブレードは、タイヤ成形用金型の意匠面に、所定の位置に所定の突出高さで形成させる必要がある。そのため、上述した転写法を用いた従来の鋳造製法では、以下の工程を含む。原型におけるサイプが形成される位置に、サイプに対応するスリットを形成するか又は形成することなしに原型用ブレードを取り付け固定する。次いでゴム型に転写を行う。これにより、ゴム型の型面には原型用ブレードによって形成されたスリットが形成される。次いでゴム型のスリットに金型用ブレードを取り付けて、金型用ブレードの一方の端部がゴム型のスリットに所定深さで埋設され、他方の端部がゴム型の型面からタイヤのサイプ深さとほぼ同じ長さで突出している状態にする。この状態でゴム型を用いてタイヤ成形用金型用の鋳型を、鋳造法により作製する。この鋳型は、例えば石膏等の崩壊性鋳型よりなり、鋳造の際は、石膏を含むスラリーをゴム型に注入して当該鋳型を硬化する。硬化した鋳型をゴム型から脱型すると、金型用ブレードは、ゴム型から離れ、鋳型の型面表面でタイヤのサイプとほぼ同じ深さで埋設され、所定高さで突出するように付着形成される。鋳型に形成された金型用ブレードの周囲で生じる鋳バリを除去する等の鋳型仕上げを行ってから、当該鋳型を乾燥、焼成して、タイヤ成形用金型用の鋳型を完成させる。完成した鋳型を用いてタイヤ成形用金型の鋳造を行い、鋳造後に鋳型を崩壊させると、鋳型の表面に付着形成していた金型用ブレードは、鋳造されたタイヤ成形用金型の意匠面に所定の位置に、タイヤのサイプ深さとほぼ同じ長さで突出することになる。
このような転写法を用いた鋳造製法により、ブレードを有するタイヤ鋳造金型を製造する場合には、次の(1)〜(5)のような不具合を生じることがあった。
(1)原型に、ブレードを取り付けるためにサイプ相当深さのスリットを機械加工で形成することは困難であることが多く、特にブレードがアンダーカット部を有する形状になる場合には、加工が困難であった。この原型に、サイプよりも浅い深さのスリットを形成するか、全くスリットを形成しないで原型ブレードを取り付ける場合には、サイプ相当深さのスリットを形成する場合よりも加工は幾分容易となるが、この場合は、金型用ブレードとは形状の異なる、原型用ブレードを別途用意する必要がある。加えて、全くスリットを形成しない場合には、原型上にブレードを貼付固定する際の位置決めが困難なうえ、原型用ブレードの形状不良により原型−ブレード間に隙間が発生し易い。
(2)ゴム転写工程で、ゴム材が収縮するため、ゴム型上のブレード用スリットに金型用ブレードを設置する際に、ブレード−ゴム間で干渉が生じ易く、ゴム型変形や寸法精度の不具合が生じ易い。
(3)鋳型への転写工程で、ブレード−ゴム間の隙間に鋳型材が侵入する結果、鋳バリが発生し易く、鋳型仕上げによってこのバリを除去するという手間がかかる。
(4)鋳型への転写工程で、鋳型をゴム型から脱型する際に、ゴム型側に埋設されているブレードのアンダーカットにより、鋳型欠損が生じる場合がある。
(5)鋳型の乾燥、鋳造工程にて金型用ブレードの熱膨張により鋳型破損を生じ易く、その結果、鋳造されたタイヤ成形用鋳型のブレード周辺に段差や陥没欠陥を発生させ易い。
これらの不具合を改善したタイヤ成形用金型の製造方法に関して、次のような従来技術が提案されている。上記(2)のゴム材の収縮によるブレード−ゴム間の干渉については、原型ブレードの大きさを、金型用ブレードとゴム材の収縮分だけ比例拡大させたものを用いた製造方法がある(特許文献1)。上記(3)のブレード近傍の石膏鋳バリについては、この鋳バリが生じる部分にあらかじめ、切り欠き部や凹溝を形成したブレードを用いる製造方法がある(特許文献2、特許文献3)。上記(4)の鋳型欠損については、ブレード近傍の石膏鋳型材に、補強材を埋設する製造方法がある(特許文献4)。上記(5)の鋳型破損については、ブレードが、金型に鋳込まれる部分の面積比率を10〜40%の範囲として、残余の面積比率を石膏鋳型に埋設するようにした製造方法がある(特許文献5)。
特開2006−103079号公報 特開2005−169929号公報 特開2005−169660号公報 特開平11−170267号公報 特開2004−17346号公報
上掲した各先行技術文献は、転写法を用いた鋳造製法における前掲の不具合のいずれか一つを解決するものであって、不具合の全てを一度に克服できるものではなく、かつ、それぞれの技術にも、別の問題が生じることがあった。例えば特許文献1の技術は、金型用ブレードとは寸法を異ならせた原型用ブレードを別途に用意する必要があった。特許文献2の技術及び特許文献3の技術は、ブレードに切り欠きやくびれを形成する手間を要し、また、切り欠きやくびれの形成によりブレードの破断強度の低下を招き、ブレードの寿命が低下していた。特許文献4の技術は、補強のためのみに補強材を埋設させる手間を要していた。特許文献5の技術は、面積比率を適合させるために、鋳ぐるまれるブレードの形状の一部を切除する加工を要し、またこのブレード形状では、鋳ぐるまれる部分の面積が小さくなっているため、ブレードの金型本体への鋳ぐるみ固定力が低下していた。
また、前述した不具合のうち、(1)の原型の加工の困難さや原型ブレードの位置決めの困難さ等の不具合は、上掲した各先行技術文献で解決できるものではなく、金型のブレード及びその近傍の寸法精度に問題を残していた。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、タイヤ成形用金型の転写法を用いた鋳造製法において、製造工程を省略でき、金型の鋳造欠陥の発生を抑え、さらに得られる金型の寸法精度を高めることが可能なタイヤ成形用金型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のタイヤ成形用金型の製造方法は、タイヤの踏面形状を有する原型からゴム型を転写形成し、このゴム型にサイプ形成用のブレードを取り付けることなしに崩壊性鋳型材を注型して崩壊性鋳型を成形し、成形後の崩壊性鋳型にブレードを植え込み、植え込み後の崩壊性鋳型を用いて鋳造を行って、ブレードを有するタイヤ成形用金型を製造するに当たり、原型におけるブレードを取り付ける位置に溝を加工形成し、この原型からゴム型を経て崩壊性鋳型上に当該溝を転写形成し、この溝をガイドにブレードを植え込むことを特徴とする。
本発明のタイヤ成形用金型の製造方法は、崩壊性鋳型材として、発泡鋳型材を用いることが好ましい。
また、本発明のタイヤ成形用金型の製造方法は、ブレードを鋳型に植え込む際に当該ブレードを弾性変形させた状態で植え込むこともできる。
本発明のタイヤ成形用金型の製造方法によれば、ゴム型にサイプ形成用のブレードを取り付けることなしに崩壊性鋳型を成形し、成形後の崩壊性鋳型にブレードを植え込むことから、ゴム型にブレードを取りつける工程を省略でき、また、このゴム型にブレードを取りつける工程に由来した鋳造欠陥や金型寸法精度の低下を抑制することができる。
本実施形態の製造方法を適用したタイヤ成形用金型の製造工程の模式的な説明図である。 崩壊性鋳型に対する金型用ブレードの植え込み作業を説明する模式図である。 第2実施形態における原型の作製から崩壊性鋳型への金型用ブレードの植え込みまでの工程の模式的な説明図である。 第2実施形態における原型の作製から崩壊性鋳型への金型用ブレードの植え込みまでの工程の模式的な説明図である。 図3の崩壊性鋳型に対する金型用ブレードの植え込み作業を説明する模式図である。 図4の崩壊性鋳型に対する金型用ブレードの植え込み作業を説明する模式図である。 円形断面のアンダーカット部を有する金型用ブレードを崩壊性鋳型に植え込む場合の植え込み作業を説明する模式図である。 波形断面のアンダーカット部を有する金型用ブレードを崩壊性鋳型に植え込む場合の植え込み作業を説明する模式図である。 崩壊性鋳型に形成した溝の一例の模式図である。 第3実施形態の崩壊性鋳型に対する金型用ブレードの植え込み作業を説明する模式図である。 ブレードのバックリングの説明図である。 第4実施形態を説明する模式図である。 実施例に用いた金型用ブレードの模式的な斜視図である。
以下、本発明のタイヤ成形用金型の製造方法の第1実施形態を、図面を用いつつ具体的に説明する。
図1に、本実施形態の製造方法を適用したタイヤ成形用金型の製造工程の模式的な説明図を工程順に図1(a)〜(j)の順で示す。なお、図1は、タイヤ成形用金型がセクショナルモールドタイプ金型である例を示しているが、本実施形態は、図1に示した金型に限定されず、2ピースモールドタイプ金型であってもよい。
本実施形態は、転写法を用いた鋳造製法によりタイヤ成形用金型を製造する。まず、原型11を作製する(図1(a))。原型11の表面には、本実施形態の製造方法によって製造されるタイヤ成形用金型に転写させる踏面形状が加工形成される。もっとも、後工程で鋳造するタイヤ成形用金型には、サイプ形成用のブレードが意匠面に突設されるのであるが、原型11の表面には、従来技術とは異なり、原型用ブレードを取りつける必要がない。
次に、作製された原型11を、ゴム型形成用の型枠12内で踏面形状が加工形成された表面を上側にして載置し、この原型11に向けてゴム型の原料を供給し硬化させてゴム部13a及び基部13bとからなるゴム型13を製造する(図1(b))。ゴム型13の原料、製造条件は、公知のゴム型と同様とすることができる。例えば、ゴム部13aはシリコーンゴム、基部13bは石膏からなる構成とすることができる。ゴム型13の硬化後、ゴム型形成用の型枠12から原型11を取り外すと、ゴム型13の第1のゴム部13aの表面には、原型11の表面形状が転写されている。本実施形態の製造方法は従来技術とは異なり、転写されたゴム型11の表面に金型用のブレードを取りつけない。
型枠12の上下の向きをゴム型13の製造時から反転させ、第1のゴム部13aの表面が基部13bよりも上側になるようにしたゴム型13に向けてスラリー状の崩壊性鋳型材を注入して崩壊性鋳型14を成形する(図1(c))。崩壊性鋳型材は石膏、その他のタイヤ成形用金型を鋳造するために用いられる崩壊性鋳型材を用いることができる。硬化した崩壊性鋳型材をゴム型13から脱型すると、成形された崩壊性鋳型14の表面には、ゴム型13から転写された踏面形状が形成されている。
金型用ブレード15を用意して、成形された崩壊性鋳型14に植え込む(図1(d))。この金型用ブレード15は、後工程においてタイヤ成形用金型鋳物に鋳ぐるまれて意匠面に突出するブレードそのものを用いる。図1(d)に示した例では、タイヤの幅方向端部及び中央部のサイプに対応するブレード15a、ブレード15b及びブレード15cの3種類の金型用ブレード15が用意されている。
これらの金型用ブレード15の植え込みは、崩壊性鋳型14の踏面形状の所定の位置にて、植え込み工具、例えばハンマーT1を用いて行う(図1(e))。金型用ブレード15が崩壊性鋳型14の表面から所定の深さで埋設されるように、換言すれば金型用ブレード15が崩壊性鋳型14の表面から所定の高さで突出するように、ブレード15の植え込みは、高さ測定具、例えばゲージT2を用いて、金型用ブレード15の表面からの高さを調整しつつ行う。なお、植え込み工具は、ハンマーに限られず、例えば超音波振動工具を用いることができる。
金型用ブレード15の植え込みによって、金型用ブレード15とその金型用ブレード15の周囲の崩壊性鋳型14との間に隙間が形成された時は、その隙間にスラリー塗布具、例えば筆T3を用いて崩壊性鋳型材スラリーSを塗布して、隙間を埋める(図1(f))。
金型用ブレード15が植え込まれた崩壊性鋳型14は、加熱機のヒータHで加熱しつつファンFで大気を循環させながら乾燥、焼成を行うことで完成させる(図1(g))。
完成した崩壊性鋳型14と、鋳枠16とにより形成された鋳造空間に金型用の金属溶湯を注入してタイヤ成形用金型鋳物17を鋳造する(図1(h))。鋳枠16は、タイヤ成形用金型に通常用いられる材料であれば、崩壊性材料で製作してもよいし、非崩壊性材料で製作してもよい。タイヤ成形用金型鋳物17として用いられる金属には、例えばアルミニウム合金等があり、本実施形態ではタイヤ成形用金型に適合する金属材料であれば、特に限定されない。
鋳造後、崩壊性鋳型14及び鋳枠16をタイヤ成形用金型鋳物17から除去する(図1(i))。崩壊性鋳型14は崩壊性であるため、容易に型バラシをすることができる。タイヤ成形用金型鋳物17から崩壊性鋳型14を除去すると、崩壊性鋳型14の表面の所定位置に、所定高さで植え込まれていた金型用ブレード15は、その所定高さの長さでタイヤ成形用金型鋳物17に鋳ぐるまれるとともに、崩壊性鋳型14の表面から所定深さで埋設していたその深さ分で成形用金型鋳物16の意匠面から突出する。
その後、タイヤ成形用金型鋳物17を所定のサイズに加工してタイヤ成形用金型18を完成させる(図1(j))。
本実施形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、ゴム型13に金型用ブレード15を取り付けることなしに崩壊性鋳型14を成形し、成形後の崩壊性鋳型14に金型用ブレード15を植え込む。ゴム型13に注型される崩壊性鋳型材は、溶媒(液体)又はバインダー(粘結材)に耐火材粉体を混練したスラリーであって、そのスラリーを硬化して成形された崩壊性鋳型14は、溶媒やバインダーに起因したミクロな空孔が存在している。このミクロ空孔の存在により、成形後の崩壊性鋳型14は硬度が低く、よって金型用ブレード15を植え込み工具によって容易に植え込むことが可能である。本実施形態ではこのことを利用している。
本実施形態の製造方法は、原型11に原型用ブレードを取りつける必要がないので、この原型ブレードを製作する工程を省略することができる。また、ゴム型13に金型用ブレードを取りつけることがないので、この取り付け工程を省略することができる。また、従来技術のようにゴム転写工程でブレード−ゴム間で干渉が生じたり、鋳型への転写工程で、ブレード−ゴム間の隙間に鋳型材が侵入したり、鋳型をゴム型から脱型する際に鋳型欠損が生じたりすることがない。このことから、ゴム型変形や寸法精度の不具合を回避することができ、また、ブレード−ゴム間の鋳バリを除去する作業が不要となり、更に、鋳型欠損に起因したブレード近傍の寸法精度の低下を回避することができる。更に、金型用ブレード15が植え込み工具を用いた植え込みにより崩壊性鋳型14に取り付けられているので、植え込み時に金型用ブレード15と崩壊性鋳型14との間に微小な隙間(0.02〜0.04mm程度)が自発的に形成される。このことにより、タイヤ成形用金型鋳物17の鋳造時には、金型用ブレード15が熱膨張しても崩壊性鋳型14の破損(鋳型陥没欠陥)の発生を回避することができる。
なお、本実施形態における金型用ブレード15の植え込みは、薄板形状の金型用ブレード15を石膏等よりなる崩壊性鋳型14に物理的に押し込むことになるため、ミクロな空孔の存在により靭性が低い崩壊性鋳型14は、この金型用ブレード15を植え込む領域において欠けを生じることがある。これを図面で説明するために、図2(a)〜(f)に崩壊性鋳型14に対する金型用ブレード15の植え込み作業を説明するための模式図を時系列順に示す。
図2は金型用ブレード15を植え込む位置の崩壊性鋳型14に金型用ブレード15の植え込み方向にガイド溝などが形成されてない場合の例である(図2(a))。この崩壊性鋳型14に金型用ブレード15を植え込み工具T1により植え込むと、図2(b)に示した例では崩壊性鋳型14における金型用ブレード15が植え込まれる部分の表面近傍に割れが生じ、崩壊性鋳型14の表面から小片14pが欠ける。そのため、植え込み作業後は金型用ブレード15周囲の崩壊性鋳型14に欠け14cが生じる(図2(c))。この欠け14cの修復のために、崩壊性鋳型14の鋳造に用いた崩壊性鋳型材のスラリーSを、筆T3を用いて欠け14に充填し(図2(d))、スラリーの乾燥後、余盛の崩壊性鋳型材をヘラT4で除去する(図2(e))。この修復作業を行うことにより欠け14cの発生によるタイヤ成形用金型の寸法精度の低下を防止することができる。
次に本発明のタイヤ成形用金型の製造方法の第2実施形態を説明する。本実施形態は原型にサイプ用のブレードを取り付ける溝を形成し、この原型からゴム型を経て崩壊性鋳型上に当該溝を転写形成し、この溝にサイプ用のブレードを植え込む。それ以外の工程は第1実施形態と同じである。本実施形態を図3及び図4を用いて説明する。
図3(a)〜(d)に、本実施形態を原型の作製から崩壊性鋳型への金型用ブレードの植え込みまでの工程の模式的な説明図を工程順に示す。図3中、図1と同一の物については同一の符号を付していて、以下では同一物についての重複する説明は省略する。
図3に示した本実施形態は、図1に示した第1の実施形態と比べた相違点が、原型11Aの作製において(図3(a))、原型11Aの表面に、スリット状の溝11ssを形成した点である。溝11ssはその後の工程で転写されて崩壊性鋳型14Aに形成され、金型用ブレード15を崩壊性鋳型14Aに植え込むときの金型用ブレード15を案内する溝14ssとなる。原型11Aに溝11ssを形成する方法は特に限定されず、一般に原型の加工に用いられる形成方法を用いることができる。溝11ssは、金型用ブレード15を収容可能なように、金型用ブレード15の幅及び厚さとほぼ同じで若干大きな幅及び厚さを有している。また、溝11ssの原型11表面からの深さは、図3に示した例では、後工程で崩壊性鋳型14Aに金型用ブレード15を植え込むときの植え込み深さよりも短い。
この原型11Aの表面の溝11ssは、ゴム型13Aの製造時に当該ゴム型13Aの表面のゴム部13cに転写され(図3(b))、崩壊性鋳型14Aの成形時には当該崩壊性鋳型14Aの表面に転写される(図3(c))。硬化した崩壊性鋳型材14Aをゴム型13Aから脱型すると、崩壊性鋳型14Aの表面には、ゴム型13Aから転写された溝14ssが形成されている((図3(d))。この溝14ssをガイドに用いて崩壊性鋳型14Aに金型用ブレード15を取りつけ、金型用ブレード15が所定高さとなるように植え込む。
図4に、図3同様の模式的な説明図を工程順に示す。図4に示した第2実施形態の別の例では、原型11Bの作製において(図4(a))、原型11Bの表面に、スリット状の溝11slを形成する。溝11slは、それ以外の工程は図3に示した工程と同じである。図4に示した例における図3との相違点は、溝11slの深さが溝11ssの深さよりも深い点である。図4の溝11slの原型11A表面からの深さは、後工程で崩壊性鋳型14Bに金型用ブレード15を植え込むときの植え込み深さと同じである。
図5(a)〜(c)に、図3に示した崩壊性鋳型14Aに対する金型用ブレード15の植え込み作業を説明するための模式図を時系列順に示す。また、図6(a)〜(c)に、図4に示した崩壊性鋳型14Bに対する金型用ブレード15の植え込み作業を説明するための模式図を時系列順に示す。図5及び図6から理解されるように、本実施形態では、原型11A、11Bの溝11ss、溝11slが崩壊性鋳型14A、14Bに転写されて、金型用ブレード15の植え込み深さよりも浅い深さの溝14ss(図5(a))又は金型用ブレード15の植え込み深さと同じ深さの溝14sl(図6(a))が予め形成されている。崩壊性鋳型14A、14Bに対する金型用ブレード15の植え込み時に、この溝14ss又は溝14slをガイドに用いて金型用ブレード15を崩壊性鋳型14A、14Bに取りつけ、金型用ブレード15を所定高さで植え込む(図5(b)、図6(b))。
このように原型に溝11ss又は溝11slを形成しておき、崩壊性鋳型14A、14Bへのブレードの植え込み時には転写により形成された溝14ss又は溝14slをガイドに用いて金型用ブレード15を所定高さで植え込むことにより、金型用ブレード15の周囲の崩壊性鋳型14A、14Bに欠けが発生することを抑制することができる(図5(c)、図6(c))。したがって、本実施形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、第1の実施形態の効果を具備するばかりでなく、図2(d)で説明したような、溝が形成されていない崩壊性鋳型14に金型用ブレード15を植え込んだ場合に生じることのある欠けを補修する必要がなく、寸法精度の高いタイヤ成形用金型を製造することができる。
崩壊性鋳型14Aに溝14ssを形成又は崩壊性鋳型14Bに溝14slを形成するために、原型11A、11Bに形成する溝11ss又は溝11slは、いずれも上記の効果を有するが、溝の深さが溝11slよりも浅い溝11ssには溝の形成が容易であるという利点がある。一方、金型用ブレードの植え込み深さと同じ深さの溝11slは、溝の形状を工夫することにより、金型用ブレードの植え込み時にアンダーカット部を有する金型用ブレードを崩壊性鋳型14に鋳ぐるむことができるという利点がある。
図7(a)〜(d)に、アンダーカット部の一例として円形断面のアンダーカット部を端部に有する金型用ブレード15Aを崩壊性鋳型14Cに植え込む場合の植え込み作業を説明するための模式図を時系列順に示す。原型に形成する溝として、金型用ブレード15Aの円形断面のアンダーカット部の直径よりも広いスリット幅を有し、溝の底部にアンダーカット部に対応する円形断面の空洞を溝の幅方向中心から一方の端部側に偏らせた溝を形成する。このような形状の溝は、原型からゴム型を経て崩壊性鋳型14Cに転写されて溝14aが形成される(図7(a))。この崩壊性鋳型14に形成された溝14aに金型用ブレード15Aを挿入し(図7(b))、次いで金型用ブレード15Aが、溝14a内において溝幅方向の一方の端面に接触するように金型用ブレード15Aを移動させる((図7(c))。この移動は、溝14aの底部の円形断面の空洞が、溝幅方向の一方の端部側に偏っているので、単に金型用ブレード15Aを溝14aの底部に達するまで挿入するだけで実現する。移動後は、溝14a内の空間に崩壊性鋳型材のスラリーを充填して固化させる((図7(d))。このようにして、円形断面のアンダーカット部を有する金型用ブレード15Aを崩壊性鋳型14Cに寸法精度良く植え込むことができる。
図8(a)〜(d)に、アンダーカット部の一例として波形断面のアンダーカット部を有する金型用ブレード15Bを崩壊性鋳型14Dに植え込む場合の植え込み作業を説明するための模式図を時系列順に示す。原型に形成する溝として、金型用ブレード15Bが有する波形断面のアンダーカット部の振幅よりも広いスリット幅を有する溝を形成する。このような形状の溝は、原型からゴム型を経て崩壊性鋳型14Dに転写されて溝14bが形成される(図8(a))。この崩壊性鋳型14Dに形成された溝14bに金型用ブレード15Bを挿入する(図8(b)、(c))。挿入後は、溝14b内の空間に崩壊性鋳型材のスラリーを充填して固化させる((図8(d))。このようにして、波形断面のアンダーカット部を有する金型用ブレード15Bを崩壊性鋳型14Dに寸法精度良く植え込むことができる。
図8に示した波形断面のアンダーカット部を有する金型用ブレード15Bを、崩壊性鋳型14Bに形成された溝14bに挿入した後、溝14b内の空間に崩壊性鋳型材のスラリーを充填する時に((図8(d))、アンダーカット形状と溝14bの溝形状との関係の如何によってはスラリーを溝14b内に十分に充填することが困難な場合がある。
このような場合には、崩壊性鋳型14に形成する溝14cとして、図9(a)に示すように、直線状の溝の長さ方向両端部に広幅の補助溝14dを連結させた形状の溝14cを形成させるとよい。この形状の溝14cは、例えば原型に同一形状の溝を形成し、原型からゴム型を介して崩壊性鋳型14Dに転写させることにより形成することができる。この溝14cに金型用ブレード15Bを挿入し(図9(b))、溝14c内の空間に、崩壊性鋳型材のスラリーを当該溝14c両端の補助溝14dから供給して充填する(図9(c))。充填したスラリーが固化した後、余盛の崩壊性鋳型材を除去して植え込み工程を完了する(図9(d))。このような補助溝14dを連結させてなる形状の溝14cを用いることで、アンダーカット部を有する金型用ブレード15Bを挿入した溝14c内の空間にスラリーを十分に充填することができる。
次に本発明のタイヤ成形用金型の製造方法の第3実施形態を説明する。本実施形態は崩壊性鋳型材として、発泡鋳型材を用いる。それ以外の工程は第1実施形態又は第2実施形態と同じである。発泡鋳型材は鋳型材スラリーの攪拌時にスラリー内に空気を意図的に巻き込ませ、その気泡によりかさを増加させて低密度化させ、硬化後の軽量性及び通気性を飛躍的に向上させたものである。このため発泡鋳型材を用いることにより、一般には形状転写精度が向上し、ピンホール等の鋳造欠陥の発生を極力抑えることができ、型バラシ等の崩壊性を向上させることができ、また、鋳型材の使用量を極小化できるという効果を有している。本実施形態では、タイヤ成形用金型の鋳造に発泡鋳型材よりなる崩壊性鋳型を用いることにより、これらの効果を具備するとともに、第1実施形態又は第2実施形態の効果を具備し、更に、この崩壊性鋳型に金型用ブレードを植え込む際に生じるおそれがある鋳型欠損を抑制することができるという効果を有する。この鋳型欠損を抑制することができる効果を、図10を用いて説明する。
図10(a)〜(e)に、本実施形態の発泡鋳型材よりなる崩壊性鋳型14Eに対する金型用ブレード15Cの植え込み作業を説明するための模式図を時系列順に示す。図10に示す崩壊性鋳型14Eは、波形断面の金型用ブレード15Cを植え込む位置に、予めガイド溝が形成されていない例である(図10(a))。この崩壊性鋳型14Eに金型用ブレード15CをハンマーT1で植え込むと、崩壊性鋳型14E中の金型用ブレード15C近傍の気泡は、この金型用ブレード15Cによる押圧で潰れて、ブレード分の鋳型の体積排除を吸収する役割を果たすことになる(図10(b))。したがって、本実施形態に従い発泡鋳型材よりなる崩壊性鋳型14Eを用いることにより、金型用ブレード15Cを植え込む時に金型用ブレード15C周囲の鋳型材に割れが発生することが抑制され、よって鋳型欠損を発生させにくくするという効果を具備する。金型用ブレード15Cを崩壊性鋳型14Eに所定深さで植え込んだ後は、鋳型材スラリーSを、筆T3を用いて金型用ブレード15C周囲の隙間に充填し(図10(c))、充填したスラリーが固化した後、余盛の崩壊性鋳型材をヘラT4で除去して(図9(d))植え込み工程を完了する(図9(e))。
鋳型材を発泡させる技術については、特許第3560491号等の従来技術を用いることができる。発泡率は、植え込む金型用ブレードの厚さ、アンダーカット形状及び鋳型材の強度特性にも依存するが、15〜80vol%程度であることが好ましい。この発泡率は、スラリーについて発泡で増量した容積を発泡させる前の容積で除した値の百分率であり(発泡で増量した容積/発泡させる前の容積×100)で定義される。発泡率が15vol%程度に満たないと、十分な排除体積吸収効果を発揮できない場合があり、発泡鋳型材としての効果が十分ではない。発泡率が80vol%程度を超えると、鋳造用鋳型としての強度特性、熱膨張・収縮特性に問題が生じる場合がある。
図10に示した例では、発泡鋳型材よりなる崩壊性鋳型14Eが、金型用ブレード15Cを植え込む位置に溝を有しない例であるが、本実施形態は図示した例に限定されず、図5及び図6に示したようなガイド用の溝を有するものであってもよい。
次に本発明のタイヤ成形用金型の製造方法の第4実施形態を説明する。本実施形態は金型用ブレードを崩壊性鋳型に植え込む際に、当該金型用ブレードを弾性変形させた状態で植え込む。
一般に、タイヤ成形用金型に取り付けられる金型用ブレードは、プレス型でプレス成形して製作する場合が多い。例えば特開2002−355823号公報や特開2002−337147号公報で、その例が記載されている。しかし、金型用ブレードの材料が、強度の高い特性を有し、板厚が薄い材料である場合、プレス成形では所望の曲げ形状を付与することができない場合があった。例えば、起伏の激しい曲げ形状の場合は、プレス成形では板厚増減による塑性流動が生じがたいため、皺が生じる場合がある。また、緩やかな曲げ形状の場合は、プレス成形ではその材料の塑性変形領域まで変形させることができない場合がある。図11を用いて緩やかな曲げ形状の場合を説明すると、板厚の薄いブレード材料mを用意し(図11(a))、このブレード材料mを一対のプレス型D1及びD2を用いて緩やかな曲げ形状にプレス成形をした場合(図11(b))、プレス後のブレード材料mは、このブレード材料mの弾性的な変形回復により、プレス時の曲げ形状からずれた形に戻ってしまう(図11(c))。
特開平11−33677号公報には析出時効型鋼を溶体化処理後に曲げ加工をしてから析出時効硬化させて高強度のブレードを得る技術が記載されており、この技術を活用すれば板厚0.1〜0.15mm程度の極薄肉ブレードを作製することも理論上は可能である。しかし、この技術によってもブレードに所望の曲げ形状を付与させられないため、この技術の適用自由度が低かった。
上述したところから分かるように、プレス成形によって所定の曲げ形状の金型用ブレードを得るには、この金型用ブレードの板厚方向のほぼ全域にわたって弾性降伏限以上の応力、歪を加えなければならないが、薄肉、高強度の金型用ブレードに緩やかな曲げ形状を付与したいような場合、当該金型用ブレードにプレス加工によって弾性降伏限以上の応力、歪を加えることは極めて難しかった。
そこで本実施形態では、金型用ブレードを弾性変形させた状態で崩壊性鋳型に植え込む。本実施形態を図12(a)〜(f)に時系列順に示した模式的な説明図を用いて説明する。
先に述べた第1実施形態乃至第3実施形態のいずれかに従って崩壊性鋳型14Fを成形するとともに、金型用ブレード15Dを用意する(図12(a))。この崩壊性鋳型14Fに金型用ブレード15Dを植え込む際に、この金型用ブレード15Dに外力を加えて所望の曲げ形状に弾性変形させる(図12(b))。この外力の付与手段は特に限定されない。例えば所定の曲げ形状になるように人力で金型用ブレード15Dを曲げてもよいし、また、所定のブレード保持具を用意して、このブレード保持具に金型用ブレード15Dを取り付けて、所定の曲げ形状が植え込み時に保持されるようにしてもよい。
金型用ブレード15Dを弾性変形させた状態で崩壊性鋳型14Fに植え込む(図12(c))。植え込まれる崩壊性鋳型14Fの表面には、第2実施形態のように金型用ブレード15Dを案内する溝14eを形成していてもよいし、また、第1実施形態のように形成していなくてもよい。また、崩壊性鋳型14Fは、非発泡鋳型であってもよいし、発泡鋳型であってもよい。
植え込まれた金型用ブレード15Dは、崩壊性鋳型14Fにより固定されるため、外力を加えなくても所定の曲げ形状を保持する。曲げ形状が保持された状態でタイヤ成形用金型鋳物17Aの鋳造を行う(図12(d))。鋳造後、崩壊性鋳型14Fをタイヤ成形用金型鋳物17Aから除去し(図12(e))、タイヤ成形用金型鋳物17Aを得る(図12(f))。得られたタイヤ成形用金型鋳物17Aは、第1実施形態乃至第3実施形態のいずれかと同様に、所定のサイズに加工してタイヤ成形用金型を完成させる。
本実施形態は、第1実施形態乃至第3実施形態のいずれかの効果を具備し、加えて、金型用ブレード15Dを弾性変形させた状態で崩壊性鋳型14Fに植え込むことにより、金型用ブレード15Dのプレス加工が不要であり、特に、塑性歪を加えることが難しい材質、板厚及び曲げ形状のブレードを、タイヤ成形用金型鋳物17Aに鋳ぐるみしたい場合に、このタイヤ成形用金型鋳物17Aで必要とされるブレード形状を保持させることができるという効果を有する。
なお、図12に示したような、金型用ブレード15Dの両端部が解放形状の場合、鋳ぐるみ後に若干のスプリングバックを示す場合がある。このスプリングバックを抑えるには、特許第3321002号に記載されているような、金型用ブレード材に時効硬化を示す材料を用いる方法を利用することができる。
以下に述べる各実施例及び参考例のタイヤ成形用製造条件は次のとおりとした。
原型材質:合成木材(基本収縮率設定:11.5/1000)、
ゴム型:石膏裏打ち付きシリコーンゴム形(ゴム層肉厚 15mm)、
石膏鋳型:オリタケジプサム製G−1発泡石膏、又はG−6非発泡石膏
鋳物使用合金:AC4C アルミ合金(Si:7質量%、Mg:0.4質量%、Fe:0.3質量%、残余:Al)、
鋳造方式:ブロック鋳造方式
鋳込み温度:700℃、
鋳造されるタイヤ成形用金型鋳物の基本寸法は、
意匠面部直径:φ600±20mm程度、
タイヤ幅寸法:195±30mm程度、
鋳物肉厚:70〜100mm、
鋳物全高:300±30mm、
セクター分割数:9個/1リング(凡そ40deg)、
であった。
各実施例及び参考例のタイヤ成形用金型鋳物は、図1に従い、原型→ゴム型→鋳型→鋳物への転写・反転により作製した。
また、鋳物に鋳ぐるむブレードは、次のタイプ1〜タイプ4の合計4種類とし、これらブレードの形状、ブレード材質、鋳ぐるみ枚数は、次のとおりとした。
(タイプ1)
ブレード形状:図13(a)に図示した形状、板厚0.15mm、板長:50mm、鋳型に鋳ぐるまれる深さ:5mm、全高:15mm、
ブレード材質:MAS1C マルエージング鋼(Ni:18.5質量%、Al:0.1質量%、Ti:0.6質量%、Mo:4.8質量%、Co:9.0質量%、残余:Fe)、
鋳ぐるみ枚数:12枚/1セクター、9セクターで合計108枚、
(タイプ2)
ブレード形状:図13(b)に図示した形状、板厚0.4mm、板長:65mm、鋳型に鋳ぐるまれる深さ:5mm、全高:15mm、波形の振幅:4mm、波形の周期:6mm、
ブレード材質:SUS 304 ステンレス鋼(Cr:18質量%、Ni:8質量%、Mn:2質量%以下、Si:1質量%以下、C:0.15質量%以下、残余:Fe)、
鋳ぐるみ枚数:12枚/1セクター、9セクターで合計108枚、
(タイプ3)
ブレード形状:図13(c)に図示した形状、板厚0.4mm、板長:41mm、鋳型に鋳ぐるまれる深さ:5mm、全高:15mm、波形の振幅:4mm、波形の周期:6mm、
ブレード材質:SUS 304 ステンレス鋼(Cr:18質量%、Ni:8質量%、Mn:2質量%以下、Si:1質量%以下、C:0.15質量%以下、残余:Fe)、
鋳ぐるみ枚数:24枚/1セクター、9セクターで合計216枚、
(タイプ4)
ブレード形状:図13(d)に図示した形状、板厚0.15mm、板長:50mm、鋳型に鋳ぐるまれる深さ:5mm、全高:15mm、曲率半径R:100mm、
ブレード材質:MAS1C マルエージング鋼(Ni:18.5質量%、Al:0.1質量%、Ti:0.6質量%、Mo:4.8質量%、Co:9.0質量%、残余:Fe)、
鋳ぐるみ枚数:12枚/1セクター、9セクターで合計108枚、
なお、タイプ1〜3はプレス成形により成形し、タイプ4はプレス成形を実施せず、鋳型にブレードを植え込み時に手で上記形状に弾性変形させたものである。
(参考例1)
参考例1は、第1実施形態に対応する例である。
使用鋳型材パウダーは上記石膏鋳型のうちG−6(非発泡石膏)とし、混水率を60%(上記パウダー1kgに対して水600g)とし、発泡率をほぼ0%(非発泡として)とした鋳型スラリーをゴム型に注入、硬化させて石膏鋳型を作製した。この石膏鋳型の作製に際し、原型へのブレード植え込み用スリットは形成せず、位置決め用の罫書き線のみとした。
上記条件を用いて、石膏鋳型(乾燥前の生型)の所定の部位に、上記タイプ1のブレードを直接植え込んでタイヤ成形用金型鋳物を鋳造製作したところ、健全な鋳物が得られた。
なお、ブレードを鋳型に植え込む際は、超音波振動工具を用いた。
(実施例1)
実施例1は、第2実施形態に対応する実施例である。
使用鋳型材パウダーは上記石膏鋳型のうちG−6(非発泡石膏)とし、混水率を60%(上記パウダー1kgに対して水600g)とし、発泡率をほぼ0%(非発泡として)とした鋳型スラリーをゴム型に注入、硬化させて石膏鋳型を作製した。この石膏鋳型の作製に際し、原型へのブレード植え込み用スリットを、ブレード意匠面高さの60%深さ(6mm)のスリット形状を付与した。
上記条件を用いて、石膏鋳型(乾燥前の生型)の所定の部位に、上記タイプ2のブレードを直接植え込んでタイヤ成形用金型鋳物を鋳造製作したところ、健全な鋳物が得られた。
なお、ブレードを鋳型に植え込む際は、超音波振動工具を用いた。
(参考例2)
参考例2は、第3実施形態に対応する例である。
使用鋳型材パウダーは上記石膏鋳型のうちG−1(発泡石膏)とし、混水率を70%(上記パウダー1kgに対して水700g)とし、発泡率をほぼ50%(鋳型全容積の50%をφ0.1〜2mm程度の気泡で構成)とした鋳型スラリーをゴム型に注入、硬化させて石膏鋳型を作製した。この石膏鋳型の作製に際し、原型へのブレード植え込み用スリットは形成せず、位置決め用の罫書き線のみとした。
上記条件を用いて、石膏鋳型(乾燥前の生型)の所定の部位に、上記タイプ3のブレードを直接植え込んだ後、鋳型−ブレード間に生じた隙間を、石膏スラリーで充填し直して仕上げた後、鋳造に使用した。このようにしてタイヤ成形用金型鋳物を鋳造製作したところ、健全な鋳物が得られた。
なお、ブレードを鋳型に植え込む際は、ハンマーを用いた。
(実施例2)
実施例2は、第4実施形態に対応する実施例である。
使用鋳型材パウダーは上記石膏鋳型のうちG−1(発泡石膏)とし、混水率を70%(上記パウダー1kgに対して水700g)とし、発泡率をほぼ30%(鋳型全容積の30%をφ0.1〜2mm程度の気泡で構成)とした鋳型スラリーをゴム型に注入、硬化させて石膏鋳型を作製した。この石膏鋳型の作製に際し、原型へのブレード植え込み用スリットを、ブレード意匠面高さの40%深さ(4mm)のスリット形状を付与した。
上記条件を用いて、石膏鋳型(乾燥前の生型)の所定の部位に、平面形状のブレード素材をタイプ4の形状になるように手で押し曲げた状態で、石膏鋳型のスリット部に嵌め込み、当該形状を維持したまま鋳型へ植え込んだ後、鋳造に使用してブレードを鋳物に鋳ぐるませた。
このようにしてタイヤ成形用金型鋳物を鋳造製作したところ、健全な鋳物が得られた。また、得られた鋳物でも、ほぼ曲率半径R100の緩やかなR形状がついたブレード形状が得られた。
(比較例1)
比較例1は、実施例1と同じブレードを、従来製法を用いてタイヤ金型用鋳物に鋳ぐるませた例である。この従来製法とは、金型用ブレードをゴム型に植え込んでから石膏スラーを当該ゴム型に注入し、硬化させて得られた石膏鋳型を用いた鋳造を行い、ブレードを鋳ぐるませる方法である。この従来製法では、以下のような問題が発生した。
(1) ゴム型スリットにブレードを植え込んだところ、ゴム型−ブレード間に0.1〜0.3mm程度の隙間が発生し、ゴム表面に僅かなうねりが生じた(ゴム材の硬化収縮に起因する不具合)。
(2) 石膏鋳型において、ブレード周辺に石膏の付着物(バリ)が多量に発生した(上記のようにゴム型−ブレード間に隙間が発生したしたことに起因する不具合)。
(3) ブレードの片側端部に0.2〜0.5mm程の段差欠陥(鋳型陥没欠陥)が発生した(鋳造時のブレード熱膨張に起因する不具合)。
(比較例2)
前述した実施例2において、タイプ4のブレードを弾性変形させる代わりにプレス成形機で成形しようとしたが、スプリングバックが大きく、ターゲットとなる形状を得ることができなかった。
以上、本発明のタイヤ成形用鋳型の製造方法を、各実施形態及び各実施例並びに図面を用いて説明したが、本発明はこれらの実施形態、実施例又は図面の記載に限定されることなく、明細書及び図面に記載された範囲内で、幾多の変形が可能である。
11:原型
12:型枠
13:ゴム型
14:崩壊性鋳型
15:ブレード
16:鋳枠
17:タイヤ成形用金型鋳物
18:タイヤ成形用金型

Claims (3)

  1. タイヤの踏面形状を有する原型からゴム型を転写形成し、
    このゴム型にサイプ形成用のブレードを取り付けることなしに崩壊性鋳型材を注型して崩壊性鋳型を成形し、
    成形後の崩壊性鋳型にブレードを植え込み、
    植え込み後の崩壊性鋳型を用いて鋳造を行って、
    ブレードを有するタイヤ成形用金型を製造するに当たり、
    原型におけるブレードを取り付ける位置に溝を加工形成し、この原型からゴム型を経て崩壊性鋳型上に当該溝を転写形成し、この溝をガイドにブレードを植え込むこと、
    を特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
  2. 前記崩壊性鋳型材として、発泡鋳型材を用いることを特徴とする請求項に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
  3. 前記ブレードを鋳型に植え込む際に、当該ブレードを弾性変形させた状態で植え込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
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