JP2006103079A - タイヤ成形用金型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイプブレードを鋳包む場合でも、ゴム型−サイプブレード間干渉による意匠面デザイン変形が生じにくい製造技術を提供する。
【解決手段】原型1、ゴム型5、鋳型、鋳物の注型反転工程を経る鋳造法でタイヤ成形用金型を製造する工程において、金属薄板材であるサイプブレードを鋳包み、金型に薄肉突起形状を形成させる。金型用のサイプブレード6はゴム型5に埋設されるが、その為のスリット溝形状をゴム型5に付与する為に、原型1に貼り付けるモデル用ブレード2の大きさを、金型用ブレード6の鋳包み部寸法に対して、ゴム型反転時のゴム材の収縮率α分だけ比例拡大させて製作しておく。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等に用いられるタイヤを成形する為の金型であるタイヤ成形用金型を製造する方法に関するものである。更に詳しくは、原型、ゴム型、鋳型、鋳物の注型反転工程を経る鋳造法でタイヤ成形用金型を製造する工程において、金型本体材質より高強度の材質からなる金属薄板材であるサイプブレードを鋳包み、金型に薄肉突起形状を形成させる方法に関するものである。
自動車用などのタイヤは、グリーンタイヤと呼ばれる未硬化ゴム材を金型に押し付け、加熱硬化させる事で製作される事が多い。この際に使用する金型がタイヤ成形用金型である。タイヤには様々な幅寸法の溝が形成される事が多く、タイヤ金型にはこの形状に対応した反転形状である突起部を付与する必要が有る。タイヤ金型の突起部の呼称として、『骨』と言う名称が用いられる事が多い。
骨形状の様な突起形状デザインを持った金型を機械加工で作成する事は困難な場合が多い事から、タイヤ成形用金型製法としては、原型,ゴム型,鋳型,鋳物と言う注型反転(転写)工程を経る鋳造製法が採用される事が一般的である。鋳物としては、アルミ合金,鋳鉄,鋳鋼製のものが一般的に良く使用される。特に、スタッドレスタイヤついてはこの傾向が特に顕著になる。
タイヤ成形用金型の骨部の内、幅寸法(厚さ寸法)で0.2〜2.0mm程度の薄肉のものについては、鋳物反転(転写)による『鋳出し』で形状を作成すると、強度面で不十分となり、タイヤ成形,脱型時に該当骨部が破損してしまう事が多い。この為、薄肉の骨部は鋳物反転で形成されるタイヤ金型本体よりも高強度な金属薄板材用いて、外周形状切り出しを行い、必要に応じてプレス曲げ成形を施した『サイプブレード』と称する金属薄板部材を『鋳包む』と言う製法が一般的に用いられている。(特にアルミ合金製金型の場合。)図1に原型、ゴム型、鋳型、鋳物の注型反転工程を経る鋳造法でタイヤ成形用金型を製造する工程を示す。また図2に、サイプブレードを鋳包み、金型に薄肉突起形状を形成させる方法を示す。サイプブレードの鋳包みについては、本発明者の特許文献1に記載されている。
サイプブレードはジグザグ状の曲げ形状であることが多く、図3に示すようにワイヤ放電加工法によってプレス金型素材をジグザグ状に切断して一対のプレス型を製造し、それらの間に平面状の金属素材を挟んでプレス曲げ成形する方法で製造されるのが普通である。また図4に示すように、原型(マスターモデル)にセットされるモデル用ブレードの高さをHcとすると、タイヤ成形用金型に鋳包まれる金型用ブレード(サイプブレード)の高さはHc+Hpとなる。Hcの部分は金型本体に鋳包まれる部分であり、脱落防止用のロッキングホールが設けられている。またタイヤ成形用金型の意匠面に突出するHpの部分にはタイヤ成形時にブレードで間仕切りされた密閉空間内の空気抜きのためのクロスベントホールが形成されている。このように、サイプブレードの鋳包みにはモデル用ブレードと金型用ブレードとの2種類のブレードが用いられる。
図2に示されるように、モデル用ブレードが原型の表面にセットされてゴム型への注型反転が行われ、それによってゴム型の表面に形成されたスリット溝に金型用ブレードが差し込まれるのであるが、このゴム型への注型反転工程において、以下のような問題が発生する。
本タイヤ金型の鋳造製法工程内で用いられるゴム型は、複数回の石膏鋳型反転を繰り返しても高い寸法安定性を示す必要が有る事から、一般的には、ゴム材単体で構成される事は無く、図5に示すようにゴム材よりも高い剛性を持った『裏打ち材』で補強する事で構成される事が多い。またそのゴム材質としては『注型反転型(自己硬化型)』ゴム材が用いられる事が多い。
この注型反転型ゴム材としては、縮合型シリコーンゴム,付加型シリコーンゴム,ポリサルファイドゴム等が存在している。これらのゴム材は、通常、主材と硬化剤を混練して原型上に流し込み、硬化させる事で用いられるが、特許文献2に示されているように、主材と硬化剤を混練した直後から、液状収縮、ゲル状収縮、硬化収縮を伴いつつ硬化する為、ゴム材単体のみを用いて精確に原型のままの寸法形状を反転・転写する事は困難である。その収縮特性を図6に示す。本明細書では、ゴム型として使用し始めるときの収縮率αをゴム材の収縮率と定義する。
タイヤ金型は高い寸法精度特性を必要とされる為、原型からゴム型反転する際に、このゴム材の収縮挙動による変形が発生しては困る事から、図5に示したように、タイヤの踏面(プロファイル面)を基準としてほぼ均一な肉厚Tのゴム層を、ゴム材よりも高い剛性を持った裏打ち材で保持する方法を用いる事が多い。この裏打ち材としては、各種樹脂材,金属材,石膏材と言ったものが良く用いられる。また、鋳出し骨形状用の突起内部には裏打ち構造を付与しないのが普通である。(現実問題としてゴム骨は幅が狭く、裏打ち構造を持たせる事が難しい上、この部位に裏打ち材を付与してしまうと、石膏鋳型を脱型する際に、大きな脱型抵抗が発生してしまい、石膏鋳型を破損させてしまう可能性が高い為。)
鋳出し骨用のゴム突起部以外のゴム層を、ほぼ均一な肉厚Tとするのは、裏打ち材を付与したといえども、ゴム層肉厚方向のゴム材の収縮発生を押え込む事が出来ない為、肉厚をほぼ均一な値Tとする事で、(突起部を除く)ゴム型のプロファイル面全体が、ゴム層肉方向にほぼ均一に縮むようにし、原型のプロファイル面形状を歪ませない事を狙う為である。
タイヤ金型にサイプブレードを鋳包む場合は、ゴム層の厚さTがサイプブレードの鋳包み代寸法より大きな値になる様に設定する。しかしながら、ゴム型に裏打ち材を付与しても、ゴム層の収縮そのものを完全に『零』に押え込む事は出来ない為、タイヤ金型にサイプブレードを鋳包ませる場合は、これに起因した『サイプブレード−ゴム層間干渉』によるゴム型の意匠面デザイン変形(ゴム骨変形,ゴム型からの金型用ブレード浮き上り・倒れ等)が発生し易いと言う問題が存在する。
図7にその詳細を示す。(1)で原型1にモデル用ブレード2をセットし、(2)でゴム材3を注型して裏打ち材4を被せる。この時点ではゴム形状はモデル形状のままである。しかし(3)でゴム材3が硬化収縮を始めるとモデルや裏打ち材4等による拘束力の高い箇所以外がモデル形状よりも収縮する。(4)でゴム材3の硬化完了後にモデルからゴム型5を脱型すると、モデルの拘束力がなくなり裏打ち材4から遠い部分ほどゴム型形状がモデル形状よりも縮む。(5)のようにゴム型5の脱型後も経時収縮がさらに進行し、ゴム骨の高さ減少、細ゴム骨湾曲等が自発的に発生する。(6)その後、鋳型作成時に金型用ブレード6(鋳包み部形状がモデル用ブレード2と同寸法のもの)を嵌め込むが、(7)に示すように金型用ブレード6の寸法に対してゴム型5ではそれに対応する部位のスリット寸法が収縮しているうえ、ゴム骨そのものが既に変形しているため、金型用ブレード6が所定の位置まで嵌め込めず、金型用ブレード6の倒れや高さ浮きが発生し、細ゴム骨湾曲も発生する。図8に図7の(5)を拡大して示す。
上記したようなゴム材の収縮に起因するゴム型の意匠面のデザイン変形は、従来は認識されていなかったが、近年タイヤの意匠面形状は、より細かな溝とサイプ形状を複雑に絡み合わせたものへと急速に移行しつつある為、従来の簡易デザインでは不具合として検出されづらかった上記問題が健在化し、その有効な対処策を求められる様になってきたのである。なお、従来このような技術的課題を認識したことを示す文献はおそらく存在しないものと思われる。
特許第2673000号公報 特許第2690452号公報
本発明はこの様な状況下でなされたものであり、その第一の目的は、鋳造製法でタイヤ成形用金型を製作する際、サイプブレードを鋳包む場合でも、ゴム型−サイプブレード間干渉による意匠面デザイン変形が生じにくい製造技術を提供する事にあり、第二の目的は、その技術に必要とされるモデル用ブレードを安価に、簡易に製作できる技術を提供する事にある。
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、原型、ゴム型、鋳型、鋳物の注型反転工程を経る鋳造法でタイヤ成形用金型を製造する工程において、金型本体材質より高強度の材質からなる金属薄板材であるサイプブレードを鋳包み、金型に薄肉突起形状を形成させるに際し、ゴム型に対して金型に鋳包ませるサイプブレードを埋設する為のスリット溝形状を付与する為にタイヤ意匠面形状を持った原型に貼り付けるモデル用ブレードの大きさを、金型用ブレードの鋳包み部寸法に対して、ゴム型反転時のゴム材の収縮率分だけ比例拡大させて製作しておくことを特徴とするものである。
また請求項1の発明において、ゴム型反転時のゴム材の収縮率分だけ比例拡大させたモデル用ブレードは、モデル用ブレードを成形する為の平面素材を冷却し、金型用ブレードに対して大きくしたい分だけ平面素材の寸法を冷却収縮させた状態でプレス曲げ成形し、プレス曲げ成形後大気温度まで戻すと同時に熱膨脹させる事で、曲げ形状まで含めたモデル用ブレードの大きさを金型用ブレードの大きさより大きくする方法で製作することができる。
本発明によれば、モデル用ブレードの大きさを、金型用ブレードの鋳包み部寸法に対して、ゴム型反転時のゴム材の収縮率分だけ比例拡大させておくので、ゴム型−サイプブレード干渉によるうねり変形を発生させること無く、健全なタイヤ成形用金型を簡易に製作する事が出来る。このため微細な鋳出し形状と鋳包みサイプブレードを突き合わせるようなデザインに対しても、形状精度の高いタイヤ成形用金型を製作する事が出来る。また請求項2の発明によれば、サイプブレードを製造する場合に用いるものと同一のプレス金型を用い、ゴム材の収縮率分だけ比例拡大させたモデル用ブレードを製作することができる利点がある。
本発明では、モデル用ブレードの大きさを、金型用ブレードの鋳包み部寸法に対して、ゴム型反転時のゴム材の収縮率分だけ比例拡大させておく。ゴム材全体が均一に一定量(収縮率α)収縮して、ゴム型の金型ブレード打込み用スリット部の寸法が、モデル用ブレードの寸法より縮む事になる為、これを補正できる様にモデル用ブレードを拡大できれば理想的であると言える。
これを模式図化したのが図9である。正面形状,曲げ形状ともに全体を一定比率で拡大して対応するには、モデル用ブレードの平面素材形状、モデル用ブレードの曲げ形状の双方を金型用ブレードの鋳包み部形状に対して、{1÷(1−α)}だけ拡大してやらなければならない。
以下に図10〜図11を参照しつつ、請求項1の発明の手順を説明する。
先ず図10に示すように、金型用ブレード6の形状を金型寸法基準で設定する。次に、金型用ブレード6の形状を基準として、モデルのプロファイル面形状を考慮して形状設定したモデル用ブレード形状を決定し、これをゴム材の収縮率α分だけ形状拡大する。拡大したモデル用ブレード形状をモデル上に貼り付けた際に隙間ができてしまう箇所は、形状補充し、モデル用ブレード形状の最終決定を行う。高さ方向の寸法基準はモデルプロファイル面、長さ方向基準は仮想中心として形状定義を行う。このようにして形状定義されたモデル用ブレードを原型(マスターモデル)1上に貼り付ける。
次に図11のようにゴム材3を注型してゴム型反転を行う。上段の図は未硬化ゴムの状態を示す。ゴム材3の硬化後、ゴム型5を脱型する。ゴム型5は原型1の形状よりも収縮率αだけ縮んだ形状となっている。このようにして完成したゴム型5の金型用ブレード設置用のスリットは、金型用ブレード6の鋳包み部と同一寸法、同一形状となっているため、金型用ブレード6を嵌め込んだときに浮き上りやゴム骨の湾曲などの不具合減少は起こらない。
上記した工程においては、収縮率α分だけ形状拡大したモデル用ブレード2を製作することとなる。その形状が平面形状でプレス曲げ成形を必要としない場合に、圧延材から金型用ブレードを切り出す(打ち抜く)寸法を変更するだけで対応が出来る為、モデル用ブレードの製作上、工数増となる度合いは少ないと言える。しかし多くの場合、金型用ブレード6にプレス曲げ形状が存在するため、金型用ブレード6をプレス曲げする為のプレス曲げ型に加えて、モデル用ブレード2のプレス曲げの為に、金型用ブレード6のプレス曲げ型を{1÷(1−α)}だけ拡大した曲げ形状を持ったプレス曲げ型を新たに製作しなければならないと言う手間が生じる。
請求項2の発明は、このモデル用ブレードのプレス曲げ型を増設する事無く、金型用ブレードのプレス曲げ型を流用して、金型用ブレードの曲げ形状より{1÷(1−α)}だけ曲げ形状を拡大した、モデル用ブレードをプレス曲げ成形出来るようにしたものである。
モデル用ブレードの平面素材を金型用ブレードのプレス曲げ型を用いてプレス曲げ成形した後に、モデル用ブレードを金型用ブレードの鋳包み部形状より{1÷(1−α)}だけ自発的に拡大させる事が出来れば、モデル用ブレードと金型用ブレードのプレス曲げ型を共用する事が可能であると言える。
請求項2の発明ではこの事を実現させるのに、モデル用ブレードの熱膨脹収縮特性を利用して、モデル用ブレード2の平面素材をプレス曲げ成形する時は冷却収縮率αとなる温度域まで冷却しておき、室温状態の金型用ブレードのプレス曲げ型で手早くプレス曲げ成形した後、モデル用ブレードを室温まで復元させると言う手法を用いる。通常型取り用ゴム型に用いるゴム材の収縮率αは0.002〜0.010程度である事と、モデル用ブレード製法としてプレス曲げ成形できる事、また、液体窒素(マイナス200℃程度)の冷媒による冷却までを実用上の冷却下限値としても、上記α=0.002〜0.010程度に匹敵する冷却収縮率を持たせる事が出来るモデル用ブレード材質を検討した場合、
・鉛(Pb):25℃〜‐200℃間の冷却収縮率≒0.0065(0.65%)
・アルミニウム(Al):25℃〜‐200℃間の冷却収縮率≒0.0054(0.54%)
・銅(Cu):25℃〜‐200℃間の冷却収縮率≒0.0037(0.37%)
及びそれらを主成分とする合金が、請求項2に好適に用いられるモデル用ブレード材質であると言える。モデル用ブレードは金型用ブレードとは違い、ゴム型に金型用ブレードを設置する為のスリット溝形状を転写させられるものであれば、材質は問わない為、この様な材質選定が可能である。
この手法を図12〜図14の模式図で解説する。先ず請求項1に従ってモデル用ブレードの形状を定義する。使用するゴム材の収縮率をαとすると、
Wm=Wc×{1÷(1−α)}
Lm=Lc×{1÷(1−α)}
H1m=H1c×{1÷(1−α)}
H2m=H2c×{1÷(1−α)} となる。
このようにして定義したモデル用ブレードを平面形状に展開する。
次に図13に示すように製作した平面素材を切り出し、その材質の持つ冷却収縮特性を利用して、平面素材が室温T1状態から収縮率α分だけ収縮する温度T2まで冷却し、平面素材を自発的に『縮めて』おく。平面素材材質のT1〜T2までの平均線膨脹(収縮)係数をρ、温度差をΔT=T1−T2とすると、収縮率α=ρ×ΔTとなる。そして収縮率α分だけ冷却収縮させた平面素材を、室温状態の金型用ブレードのプレス曲げ型で手早くプレス曲げ成形する。
次に図14に示すように冷却したモデル用ブレードの平面素材を温度上昇する前にプレス曲げする。曲げ成形後のモデル用ブレード各部寸法は、金型用ブレードの鋳包み部寸法と同じ状態で仕上がる。その後、モデル用ブレードが室温まで復元する際の熱膨張で各部寸法が拡大して行き、狙い寸法形状のモデル用ブレードとなる。
上記の模式図では、解説を簡素にする為に、実際のブレードのプレス曲げ成形で生じる以下の2点については無視してある。
1) モデル用ブレードのプレス曲げ成形時の、平面素材の局部板厚クビレ等の影響による『材料伸び』と言った、プレス曲げ成形後の展開長寸法の増加分ΔL。
2)プレス曲げ成形時の、モデル用ブレードの温度上昇分ΔTb。
3)プレス曲げ成形時の、プレス曲げ型の温度低下分ΔTp。
4)冷却時のモデル用ブレードの板厚方向寸法変化ΔB
これらの影響項を考慮に入れる場合は、それぞれ以下の対応をすれば良い。1)を考慮に入れる場合は、平面素材の展開長Lmを Lm≒Lc×{1÷(1−α)}−ΔL0とすれば良い。2)を考慮に入れる場合は、冷却温度T2を T2=T1−ΔT−ΔTb とすれば良い。3)を考慮に入れる場合は、プレス曲げ型の温度を T1(室温)+ΔTpとすれば良い。4)を考慮に入れる場合は、モデル用ブレード平面素材の板厚を T+ΔBとすれば良い。
経験的には、1),2)の影響項は考慮に入れて対応する必要性が高いと言えるが、3),4)の影響項は殆ど無視することができる。
この様に、場合によっては(ゴム型に使用するゴム材の収縮率αの大きさによっては)モデル用ブレードの平面素材を、マイナス200℃近傍まで冷却してプレス曲げ成形する必要がある為、これだけの冷却をしても『低温脆性』を示さない材質を用いる事が、請求項2の発明を用いる場合の基本と言える。先に紹介した、Pb,Al,Cuは、こういった特性も満たしている。
以下に本発明の実施例を示す。全実施例を通して製作したタイヤ金型形状(鋳造に用いた原型の形状)は図15に示すとおりである。また上記タイヤ金型の鋳造製法概要は下記の通りである。
原型 : 上下に基準径を設けたもの(収縮率≒11/1000として金型形状を拡大したもの)。材質は合成木材『ケミウッド』
ゴム型 : 裏打ち材は石膏,ゴム材質はポリサルファイドゴム,ゴム層厚は10mmを基本。ゴム材の収縮率α≒0.4%
鋳型 : 材質は非発泡石膏(ノリタケジプサムG-6),石膏パウダー1kgに対し水600gの割合で調合、スラリー化
鋳造 : 合金材質AC4C(Si 7重量%,Mg 0.4重量%,残 Al)、鋳込み温度670℃で鋳造。
図15中に示されるα部の2本の鋳出し骨間に、円周方向に約30mm間隔で、板厚0.7mmのサイプブレード(SUS304製)を鋳包んだ。サイプブレードの形状および基本的な鋳包み形態は図16、図17に示すA、B2タイプとした。
<比較例1>請求項1を用いなかった場合の比較例
タイプAのサイプブレードを鋳包ませたタイヤ成形用金型を従来製法で製作(モデル用ブレードと金型用ブレードの寸法を同寸で製作)した。この製造工程で、ゴム型に金型用ブレードを設置した所、幅4mmの鋳出し骨に対応するゴム突起が、金型用ブレードに押されて0.2mmほど局部うねり変形を生じ、これに起因して完成したタイヤ金型でも該当鋳出し骨のうねり変形が発生した。
<実施例1>請求項1の実施例
タイプAのサイプブレードを鋳包ませたタイヤ成形用金型を製作する際、モデル用ブレードの長手寸法を、片側0.15mm(全長で0.3mm)、金型用ブレード長手寸法に対して大きくして対応(レーザーカットでモデル用ブレード寸法を大きく製作)した所、得られたゴム型に金型用ブレードを設置しても、比較例1の様なゴム突起のうねり変形は発生しなかった。また得られたタイヤ金型の鋳出し骨にも、うねり変形は発生しなかった。
<比較例2>請求項2を用いなかった場合の比較例
タイプBのサイプブレードを鋳包ませたタイヤ成形用金型を従来製法で製作(モデル用ブレードと金型用ブレードの寸法を同寸で,同一プレス曲げ型を用いて製作)した。この製造工程で、ゴム型に金型用ブレードを設置した所、幅4mmの鋳出し骨に対応するゴム突起が、金型用ブレードに押されて0.2mmほど局部うねり変形を生じたのと同時に、プロファイル面上でブレードの凹形状側に、ゴム層−ブレード間に0.1mmほどの隙間を生じてしまった。このゴム型を用いて、石膏鋳型を製作した所、先の隙間に石膏スラリーがバリ状に差込んでいた為、手仕上げでこれを除去したが、ブレード周辺の石膏鋳型のプロファイル面形状にも微妙な(0.1mm未満程度の)うねり変形が発生している事が確認された。これに起因して完成したタイヤ金型でも該当鋳出し骨,及びプロファイル面形状のうねり変形が発生していた。
<実施例2>請求項2の実施例
タイプBのサイプブレードを鋳包ませたタイヤ成形用金型を製作する際、モデル用ブレードの展開長を金型用ブレードより0.5%ほど長く設定し、平面素材を0.7mm厚のアルミ薄板(JIS 1100材)から切り出し、これを液体窒素を用いて−200℃程度まで冷却した後、金型用ブレードのプレス曲げ型を用いて手早くプレス曲げ成形し、室温まで復元した時点で原型に貼付け、ゴム型反転を行った。なお上記設定は前記の各補正分をΔL=0,ΔTb=50,ΔTp=0,ΔB≒0と設定した対応結果である。この製造工程で、ゴム型に金型用ブレードを設置した所、比較例2で生じたような、ブレード周辺のゴム突起,プロファイル面形状のうねりは殆ど確認されなかった。(このゴム型から反転した石膏鋳型にも異常は生じなかった。)もちろん完成したタイヤ金型も、局部うねり変形の無い健全なものであった。
以上の実施例からも明らかなように、本発明によればゴム型−サイプブレード干渉によるうねり変形を発生させること無く、健全なタイヤ成形用金型を簡易に製作する事が出来る。このため微細な鋳出し形状と鋳包みサイプブレードを突き合わせるようなデザインに対しても、形状精度の高いタイヤ成形用金型を製作する事が出来る。
原型、ゴム型、鋳型、鋳物の注型反転工程を経る鋳造法でタイヤ成形用金型を製造する工程説明図である。 サイプブレードの鋳包み方法の模式図である。 サイプブレードの製法を示す模式図である。 モデル用ブレードと金型用ブレードの形状を示す斜視図である。 ゴム型構造を示す断面図である。 ゴム材の収縮特性を示すグラフである。 従来の問題点を示す模式図である。 図7の(5)の拡大図である。 モデル用ブレードと金型用ブレードの形状差を示す模式図である。 請求項1の発明の実施形態を示す模式図である。 請求項1の発明の実施形態を示す模式図である。 請求項2の発明の実施形態を示す模式図である。 請求項2の発明の実施形態を示す模式図である。 請求項2の発明の実施形態を示す模式図である。 実施例のタイヤ金型形状及び原型形状を示す断面図である。 実施例におけるタイプAの鋳包み形態を示す平面図と断面図である。 実施例におけるタイプBの鋳包み形態を示す平面図と断面図である。
符号の説明
1 原型
2 モデル用ブレード
3 ゴム材
4 裏打ち材
5 ゴム型
6 金型用ブレード

Claims (2)

  1. 原型、ゴム型、鋳型、鋳物の注型反転工程を経る鋳造法でタイヤ成形用金型を製造する工程において、金型本体材質より高強度の材質からなる金属薄板材であるサイプブレードを鋳包み、金型に薄肉突起形状を形成させるに際し、ゴム型に対して金型に鋳包ませるサイプブレードを埋設する為のスリット溝形状を付与する為にタイヤ意匠面形状を持った原型に貼り付けるモデル用ブレードの大きさを、金型用ブレードの鋳包み部寸法に対して、ゴム型反転時のゴム材の収縮率分だけ比例拡大させて製作しておくことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
  2. モデル用ブレードを成形する為の平面素材を冷却し、金型用ブレードに対して大きくしたい分だけ平面素材の寸法を冷却収縮させた状態でプレス曲げ成形し、プレス曲げ成形後大気温度まで戻すと同時に熱膨脹させる事で、曲げ形状まで含めたモデル用ブレードの大きさを金型用ブレードの大きさより大きく製作することを特徴とする請求項1記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
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