JP3853222B2 - タイヤ成形用金型の製造方法 - Google Patents

タイヤ成形用金型の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3853222B2
JP3853222B2 JP2002021266A JP2002021266A JP3853222B2 JP 3853222 B2 JP3853222 B2 JP 3853222B2 JP 2002021266 A JP2002021266 A JP 2002021266A JP 2002021266 A JP2002021266 A JP 2002021266A JP 3853222 B2 JP3853222 B2 JP 3853222B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
rough
tire
partial
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002021266A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003220616A (ja
Inventor
泰之 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2002021266A priority Critical patent/JP3853222B2/ja
Publication of JP2003220616A publication Critical patent/JP2003220616A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3853222B2 publication Critical patent/JP3853222B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ成形用金型の製造方法に関する。さらに詳しくは、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができるタイヤ成形用金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ成形用金型は、そのデザインがシャープな凹形状コーナー部やアンダーカット形状等を有する複雑なものであることから機械加工製法では作製が困難な場合が多く、鋳造製法によることが一般的であり、中でも、アルミニウム合金、鋳鉄、鋳鋼製のものが一般的によく使用されている。特に、タイヤのデザイン形状に、「サイプ」と呼ばれる、幅が0.1〜3.0mm程度の溝が多数形成されている場合(具体的には、スタッドレスタイヤ等がこれに該当する)においては、機械加工製法では対応することができないため、この傾向が顕著なものとなる。
【0003】
タイヤ成形用金型は大別すると、上下一体型タイプ(セクショナルモールドタイプ)と上下分割型タイプ(2ピースモールドタイプ)との二つのタイプがある。上下一体型タイプは、タイヤ成形後の部分金型からの脱型時のアンダーカット量が少なくなる分だけ、上下分割型タイプよりも複雑なデザインに対応し易く、寸法精度面でも、真円度、上下型半径差特性等が優れているが、上下分割型タイプと比較して機械加工すべき面が増えることに起因して、コスト高になり易いという面も持っている。これらの特徴を踏まえて、どちらのタイプの金型分割方式を採用するかが決定される。
【0004】
鋳造製法で、これらの金型を作製する場合には、どちらのタイプも基本的に次のような工程を経ることになる。例えば、図15に示すように、上下分割型タイプを用いた場合、従来のタイヤ成形用金型の製造方法では、所望のタイヤ形状を円周方向に数分割した大きさの基本形状であるマスターモデル101を形成し(図15(a))、マスターモデル101の反転形状であるゴム型102を形成し(図15(b))、ゴム型102を用いて、その反転形状である部分鋳型103を必要個数形成し(図15(c))、各部分鋳型103を乾燥(焼成)させ、これを組み立てることができるように端面を切断する角度加工を行い(図15(d))、各部分鋳型103を組み立てることで1リング分の全体鋳型104を形成する(図15(e))。このようにして形成された全体鋳型104を、定盤108上に設置し、鋳枠105で囲い、全体鋳型104と鋳枠105との間隙に合金溶湯106を流し込み(図15(f))、合金溶湯106を硬化させることによって、所望のタイヤ形状の反転形状を有する粗型部分金型107を形成し(図15(g))、これらの粗型部分金型107の製品部分を残すように余剰部分を除去し精型部分金型109を形成し、タイヤ成形時に精型部分金型109を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型110を製造していた(図15(h))。
【0005】
このようにして鋳造されたタイヤ成形用金型は、最終工程で加硫機(タイヤ成形機)に取り付けるための機械加工により余剰部分を除去することになるが、タイヤ成形用金型のいわゆる割位置(図15(h)に示すような、精型部分金型109が分割される面)においては、タイヤ成形用金型の意匠面部も機械加工されることになる。通常、この割位置面部の加工方法としては、上下一体型タイプは主にフライス盤、上下分割型タイプは主に旋盤が用いられている。
【0006】
このような機械加工によって粗型部分金型の余剰部分を除去する際に、粗型部分金型の加工面(割位置面)の意匠面部分に、プロファイル面から大きく突出し、かつ幅の狭い鋳出し骨形状のような突起が存在すると、この突起を破損してしまうことがあるという問題があった。
【0007】
例えば、図16(a)に示すように、意匠面部分に幅の狭い突起202を有する粗型部分金型201を形成し、この粗型部分金型201の余剰部分203を除去する場合は、図16(b)に示すように、フライス盤等の回転刃204を回転させて粗型部分鋳型201の余剰部分203を除去する場合であっても、また、図16(c)に示すように、粗型部分金型201を回転させて旋盤等の固定刃205を用いて余剰部分203を除去する場合であっても、図16(d)に示すように、加工面の突起202に作用する負荷が粗型部分金型201の材料強度を超えたときに破損が生じる。
【0008】
このような突起に掛かる負荷は、余剰部分を切削する際の粗型部分金型を一度に送り込む切削量に比例するために、粗型部分金型の切削量を小さくし、何パスかに分けることによって破損を回避することができる。しかし、粗型部分金型の余剰部分の切削量を小さくすると、加工工数が増加してしまうことから、通常は、余剰部分の切削量は可能な限り大きくして加工効率を向上させ、最終の仕上げ段階においてのみ切削量を小さくするという対応が採られているが、どの程度の切削量であれば突起が破損しないかということを定量的に予測することは困難であり、依然として突起の破損が生じたり、充分に加工効率を向上させることができていないというのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができるタイヤ成形用金型の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、以下のタイヤ成形用金型を提供するものである。
【0011】
[1] タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の所定箇所に板状部材を配設し、前記板状部材が前記鋳型の前記溝に配設された状態で前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み前記板状部材を前記粗型部分金型に鋳包ませ、前記溶湯が硬化した後に前記板状部材を抜き取り、抜き取った後に形成された前記板状部材の反転形状であるスリット(隙間)によって前記製品部分と前記余剰部分とに分断された、前記溝の反転形状である突起を有する前記粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0012】
[2] 前記板状部材が、前記粗型部分金型を形成する前記溶湯と融着しない材料から構成された[1]に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0013】
[3] 前記溝の、前記粗型部分金型の余剰部分を除去した後に前記粗型部分金型に加工代分が残るような所定箇所に、前記板状部材を配設する[1]又は[2]に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0014】
[4] タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の所定箇所に充填材を充填し、前記充填材が前記鋳型の前記溝に充填された状態で前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み硬化させることによって、前記製品部分には前記溝の反転形状である突起を有し、かつ前記余剰部分には突起を有しない粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0015】
[5] 前記充填材が、前記鋳型を構成する鋳型材と同一の材料から構成された[4]に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0016】
[6] 前記溝の、前記粗型部分金型の余剰部分を除去した後に前記粗型部分金型に仕上げ加工代分が残るような所定箇所に、前記充填材を充填する[4]又は[5]に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0017】
[7] タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の幅を拡張し、前記溝の幅が拡張された前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み硬化させることによって、前記製品部分には前記溝の反転形状である突起を有し、かつ前記余剰部分には幅の拡張された前記溝の反転形状であるの広い突起を有する前記粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第三の発明」ということがある)。
【0018】
[8] 前記粗型部分金型の余剰部分の除去時の仕上げ加工代分が残るように、前記溝の幅を拡張する[7]に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明(第一の発明〜第三の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。また、図示において上下対称の鋳型を説明する際には、鋳型の下半分を点線で示し、その部分の説明を省略することがある。
【0020】
<第一の発明> 第一の発明は、タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の所定箇所に板状部材を配設し、前記板状部材が前記鋳型の前記溝に配設された状態で前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み前記板状部材を前記粗型部分金型に鋳包ませ、前記溶湯が硬化した後に前記板状部材を抜き取り、抜き取った後に形成された前記板状部材の反転形状であるスリット(隙間)によって前記製品部分と前記余剰部分とに分断された、前記溝の反転形状である突起を有する前記粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とする。
【0021】
このように構成することによって、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0022】
例えば、まず、図1(a)に示すように、溝2、3を有するタイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型1を形成する。この鋳型1には、その反転形状である粗型部分金型5(図1(d)参照)における製品部分に対応する領域10’と、余剰部分に対応する領域9’とが存在する。
【0023】
次に、図1(b)及び(c)に示すように、鋳型1の反転型として形成する粗型部分金型5(図1(d)参照)の余剰部分を除去する工程において、加工面に破損が生じる恐れのある部位を推測する。図1(b)においては、鋳型1の溝2がこれに該当し、溝2の、鋳型1の反転型として形成する粗型部分金型5(図1(d)参照)における余剰部分に対応する領域9’の所定箇所に、板状部材4を配設する。このとき、溝2の、粗型部分金型5(図1(d)参照)の余剰部分を除去した後に粗型部分金型5(図1(d)参照)の仕上げ加工代分が残るような所定箇所に、板状部材4を配設することが好ましい。さらに、鋳造の収縮にはバラツキがあるために、予定される収縮分に対して過不足が発生する分も見越して設定しておくことが好ましい。また、板状部材4は、粗型部分金型5(図1(d)参照)を形成する合金溶湯と融着しない材料から構成されることが好ましい。
【0024】
次に、板状部材4が鋳型1の溝2に配設された状態で、鋳型1を鋳枠(図示せず)で囲い、その間隙に合金溶湯を流し込み、図1(d)に示すように、板状部材4を粗型部分金型5に鋳包ませる。
【0025】
次に、図1(e)に示すように、合金溶湯が硬化した後に板状部材4を抜き取り、抜き取った後に形成された板状部材4の反転形状であるスリット7(隙間)によって製品部分10と余剰部分9とに分断された、溝2(図1(a)参照)の反転形状である突起6を有する粗型部分金型5を形成する。
【0026】
図2(a)に示すように、粗型部分金型5の突起6にはスリット7(隙間)が存在するために、フライス盤等の回転刃13によって余剰部分9を除去する際に発生する過大な負荷が、製品部分10側の突起6まで伝達することはない。
【0027】
また、図2(b)に示すように、仮に、余剰部分9側の突起6が破損したとしても、余剰部分9側の突起6のみが破損し、製品部分10側の突起6の破損を防止することができる。
【0028】
また、図2(c)及び(d)に示すように、粗型部分金型5の加工代分として残された余剰部分9のわずかな突起6を回転刃13で除去する場合は、一回の切削量を小さくし破損を防止するこができる。
【0029】
このように構成することによって、粗型部分金型5の製品部分10の表面形状を破損することなく余剰部分9を除去し、図2(e)に示すような、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる精型部分金型8を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0030】
これまで、上下一体型タイプのタイヤ成形用金型の製造方法について図1及び2を用いて説明したが、上下分割型タイプのタイヤ成形用金型も同様の方法を用いて製造することができる。例えば、図3(a)に示すように、溝12を有するタイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型11を形成する。この鋳型11には、その反転形状である粗型部分金型15(図3(c)参照)における製品部分に対応する領域20’と、余剰部分に対応する領域19’とが存在する。
【0031】
次に、図3(b)に示すように、鋳型11の反転型として形成する粗型部分金型15(図3(c)参照)の余剰部分を除去する工程において、形状に破損が生じる恐れのある溝12に板状部材14を配設する。このとき、溝12の、粗型部分金型15(図3(c)参照)の余剰部分を除去した後に粗型部分金型15(図3(c)参照)の仕上げ加工代分が残るような所定箇所に、板状部材14を配設することが好ましい。さらに、鋳造の収縮にはバラツキがあるために、予定収縮分に対して過不足が発生する分も見越して設定しておくことが好ましい。また、板状部材14は、粗型部分金型15(図3(c)参照)を形成する合金溶湯と融着しない材料から構成されることが好ましい。
【0032】
次に、板状部材14が鋳型11の溝12に配設された状態で、鋳型11を鋳枠(図示せず)で囲い、その間隙に合金溶湯を流し込み、板状部材14を粗型部分金型15(図3(c)参照)に鋳包ませ、合金溶湯が硬化した後に板状部材4を抜き取ることによって、図3(c)に示すような、抜き取った後に形成された板状部材14(図3(b)参照)の反転形状であるスリット17(隙間)よって、製品部分20と余剰部分19とに分断された、溝12(図3(a)参照)の反転形状である突起16を有する粗型部分金型15を形成する。粗型部分金型15の突起16にはスリット17(隙間)が存在するために、旋盤等の固定刃18によって余剰部分19を除去する際に発生する過大な負荷を、製品部分20側の突起16まで伝達することはない。このように構成することによって、図1及び2に示したタイヤ成形用金型の製造方法と同様に、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる精型部分金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0033】
また、第一の発明によれば、板状部材を粗型部分金型に鋳包ませることによって、突起(鋳出し骨等)部分の合金溶湯の凝固・冷却速度が他の部位と比較して早くなる。例えば、板状部材に金属材を用いた場合は、鋳型材(石膏やセラミック材等)よりも板状部材の方が抜熱スピードが速いため、板状部材周辺の合金溶湯の凝固が早く完結する。これにより、突起(鋳出し骨等)部分の金属組織(結晶粒)が他の部位より微細化され、耐力、破断強度が上昇することになる。このように破損し易い突起(鋳出し骨等)部分の母材強度が向上することによって、さらに余剰部分を除去する際の粗型部分金型の破損を防止することができる。板状部材を粗型部分金型に鋳包ませて形成することは、前述したように、板状部材の反転形状であるスリット(隙間)よって製品部分と余剰部分とに分断された溝の反転形状である突起を有する粗型部分金型を形成することの他に、結晶粒の微細化による母材の強度を上昇させるという効果をあげることもできる。したがって、板状部材は鋳造時の合金溶湯からの抜熱スピードが早く、抜熱量が大きい材料から構成することが好ましい。このような材料は、熱伝導率の高い材質であって、かつ、なるべく重い材質、例えば、アルミ合金鋳造の場合は、銅合金を用いて可能な限り肉厚の厚い板状部材を形成し、また、鉄系合金の鋳造の場合は、銅合金を用いるのは困難であるため純度の高い鋼材やニッケル合金材を用いることが好ましい。
【0034】
また、第一の発明において、加工面(割位置面)を平面として説明したが、曲面の場合であっても同様に構成することができる。
【0035】
このように第一の発明によれば、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0036】
<第二の発明> 第二の発明は、タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の所定箇所に充填材を充填し、前記充填材が前記鋳型の前記溝に充填された状態で前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み硬化させることによって、前記製品部分には前記溝の反転形状である突起を有し、かつ前記余剰部分には突起を有しない粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とする。
【0037】
このように構成することによって、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0038】
例えば、まず、図4(a)に示すように、溝22、23を有するタイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型21を形成する。この鋳型21には、その反転形状である粗型部分金型25(図4(d)参照)における製品部分に対応する領域30’と、余剰部分に対応する領域29’とが存在する。
【0039】
次に、図4(b)及び(c)に示すように、鋳型21の反転型として形成する粗型部分金型25(図4(d)参照)の余剰部分を除去する工程において、加工面に破損が生じる恐れのある部位を推測する。図4(b)においては、鋳型21の溝22がこれに該当し、溝22の、鋳型21の反転型として形成する粗型部分金型25(図4(d)参照)における余剰部分に対応する領域29’の所定箇所に、充填材24を充填する。このとき、溝22の、粗型部分金型25(図4(d)参照)の余剰部分の除去した後に粗型部分金型25(図4(d)参照)の仕上げ加工代分が残るような所定箇所に、充填材24を充填することが好ましい。さらに、鋳造の収縮にはバラツキがあるために、予定収縮分に対して過不足が発生する分も見越して設定しておくことが好ましい。また、充填材24は、粗型部分金型25(図4(d)参照)を構成する鋳型材と同一の材料から構成されることが好ましい。
【0040】
次に、鋳型21を鋳枠(図示せず)で囲い、その間隙に合金溶湯を流し込み硬化させることによって、図4(d)に示すように、製品部分30には溝22(図3(c)参照)の反転形状である突起26を有し、かつ余剰部分29は突起を有しない粗型部分金型25を形成する。
【0041】
図4(e)に示すように、この粗型部分金型25は余剰部分29に突起26を有していないため、フライス盤等の回転刃27によって余剰部分29を除去する際に発生する過大な負荷が製品部分30側の突起26まで伝達することはない。
【0042】
このように構成することによって、粗型部分金型25の製品部分30の表面形状を破損することなく余剰部分29を除去し、図4(f)に示すような、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる精型部分金型28を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0043】
これまで、上下一体型タイプのタイヤ成形用金型の製造方法について図4を用いて説明したが、上下分割型タイプのタイヤ成形用金型も同様の方法を用いて製造することができる。
【0044】
また、余剰部分に対応する領域に形成された溝に、充填材を個々に充填するのではなく、充填材としてダミー鋳型を用いることによって第二の発明を実施することができる。例えば、図5(a)に示すように、溝32、33を有するタイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型31を形成する。この鋳型31には、その反転形状である粗型部分金型(図示せず)における製品部分に対応する領域40’と、余剰部分に対応する領域39’とが存在する。
【0045】
次に、図5(b)に示すように、鋳型31の反転型として形成する粗型部分金型における余剰部分に対応する領域39’を除去する。このとき、溝32の、粗型部分金型(図示せず)の余剰部分を除去した後に粗型部分金型(図示せず)の仕上げ加工代38分が残るように除去することが好ましい。
【0046】
次に、図5(c)に示すように、図5(b)で除去した部分に相当するダミー鋳型34を形成する。ダミー鋳型34はプロファイル面形状を有しているが、前述した溝32、33(図5(a)参照)は形成されていない。
【0047】
次に、図5(d)に示すように、鋳型31にダミー鋳型34を貼り付ける。
【0048】
このように構成することによって、図5(e)及び(f)に示すように、粗型部分金型における余剰部分に対応する領域39’に形成された溝32及び33が塞がれた状態の鋳型31を形成する。この後、前述した図4(d)及び(e)と同様の工程を経ることによって、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる精型部分金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。また、このようにダミー鋳型を用いることによって、加工面に破損の恐れのある部位が多数存在する場合において容易に対応することができる。
【0049】
また、このようなダミー鋳型は、本体の原型作製時に溝形状を持たないプロファイル面のみの原型を必要角度より大きく形成し、これから切り出して作製したダミー原型を、ゴム型・鋳型と反転を繰り返すことで、簡単に作製することができる。
【0050】
また、このようなダミー鋳型は、必ずしもプロファイル面を有する必要はなく、図6(a)及び(b)に示すように、単に直方体の板形状のものをダミー鋳型34として、鋳型31に貼り付けてもよい。
【0051】
また、第二の発明において、加工面(割位置面)を平面として説明したが、曲面の場合であっても同様に構成することができる。
【0052】
<第三の発明> 第三の発明は、タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の幅を拡張し、前記溝の幅が拡張された前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み硬化させることによって、前記製品部分には前記溝の反転形状である突起を有し、かつ前記余剰部分には幅の拡張された前記溝の反転形状であるの広い突起を有する前記粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とする。
【0053】
このように構成することによって、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0054】
例えば、まず、図7(a)に示すように、溝42、43を有するタイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型41を形成する。この鋳型41には、その反転形状である粗型部分金型45(図7(d)参照)における製品部分に対応する領域50’と、余剰部分に対応する領域49’とが存在する。
【0055】
次に、図7(b)及び(c)に示すように、鋳型41の反転型として形成する粗型部分金型45(図7(d)参照)の余剰部分を除去する工程において、加工面に破損が生じる恐れのある部位を推測する。図7(b)においては、鋳型41の溝42がこれに該当し、溝42の、鋳型41の反転型として形成する粗型部分金型45(図7(d)参照)における余剰部分に対応する領域49’の幅を拡張する。このとき、粗型部分金型45(図7(f)参照)の余剰部分の除去時の仕上げ加工代分が残るように溝42の幅を拡張することが好ましい。さらに、鋳造の収縮にはバラツキがあるために、予定収縮分に対して過不足が発生する分も見越して設定しておくことが好ましい。また、拡張後の溝42’の幅Wは、溝42の深さH以上の寸法とすることが好ましい。
【0056】
次に、図7(d)に示すように、鋳型41(図7(c)参照)を鋳枠で囲い、その間隙に合金溶湯を流し込み硬化させることによって、製品部分50には溝42(図7(c)参照)の反転形状である突起46を有し、かつ余剰部分49には拡張後の溝42’(図7(c)参照)の反転形状であるの広い突起47を有する粗型部分金型45を形成する。
【0057】
図7(e)に示すように、フライス盤等の回転刃44によって余剰部分49を除去する際に発生する過大な負荷を粗型部分鋳型45の幅の広い突起47によって吸収し、製品部分50側の突起46の破損を防止することができる。
【0058】
このように構成することによって、粗型部分金型45の製品部分50の表面形状を破損することなく余剰部分49を除去し、図7(f)に示すような、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる精型部分金型48を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0059】
これまで、上下一体型タイプのタイヤ成形用金型の製造方法について図7を用いて説明したが、上下分割型タイプについても同様の方法を用いることができる。
【0060】
また、余剰部分に対応する領域に形成された溝の幅を個々に拡張するのではなく、ダミー鋳型を用いることによって溝の幅をまとめて拡張してもよい。例えば、図8(a)に示すように、溝52、53を有するタイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型51を形成する。この鋳型51には、その反転形状である粗型部分金型における製品部分に対応する領域60’と、余剰部分に対応する領域59’とが存在する。
【0061】
次に、図8(b)に示すように、鋳型51の、その反転形状の粗型部分金型における余剰部分に対応する領域59’を除去する。このとき、粗型部分金型の余剰部分の除去時の仕上げ加工代58分が残るように除去することが好ましい。
【0062】
次に、図8(c)に示すように、図8(b)で除去した部分に相当するダミー鋳型54を作製する。このダミー鋳型54はプロファイル面形状を除去するように形成されている。
【0063】
次に、図8(d)に示すように、鋳型51にダミー鋳型54を貼り付ける。
【0064】
このように構成することによって、図8(e)に示すように、粗型部分金型における余剰部分に対応する領域59’のプロファイル面形状をすべて除去した状態の鋳型51を得ることができる。この後、前述した図7(d)及び(e)と同様の工程を経ることによって、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる精型部分金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。また、このようにダミー鋳型を用いることによって、加工面に破損の恐れのある部位が多数存在する場合においても容易に対応することができる。
【0065】
また、このようなダミー鋳型は、本体の原型作製時に、溝形状を持たないプロファイル面のみの原型を必要角度より大きく形成し、これから切り出して作製したダミー原型を、ゴム型・鋳型と反転を繰り返し、このダミーのプロファイル面のみを一度に除去することで容易に作製することができる。
【0066】
また、第三の発明において、加工面(割位置面)を平面として説明したが、曲面の場合であっても同様に構成することができる。
【0067】
以上説明したように、第一及び第二の発明は、粗型部分金型の製品部分の突起を、余剰部分の突起と切り離した状態で形成し、製品部分の突起に負荷が伝達しないように構成されたタイヤ成形用金型の製造方法であり、逆に、第三の発明は、余剰部分の突起の幅を広くし負荷を吸収させることで、製品部分の突起に負荷が伝達しないように構成されたタイヤ成形用金型の製造方法である。どちらの場合であっても、このように構成することによって、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。全実施例を通じて、図9に示すような、上下のデザインが対称に構成された上下一体型の鋳型61を用いた。この鋳型61を構成する鋳型材としては、非発泡石膏((株)ノリタケジプサム製 商品名:G−6)を用い、鋳型61を形成する場合の調合条件は、非発泡石膏:水=100:60(重量比)とした。また、鋳型61の反転形状である粗型部分金型を構成する鋳造合金材としては、JIS規格鋳造用アルミニウム合金(AC4C:Si7重量%、Cu0.8重量%、Mg0.4重量%、残Al)を用いた。この鋳型61は、全体の高さが340mm、製品部分の高さが259.5mm、成形するタイヤの最大外周がR526.3、最小外周がR472.5であり、左右に余剰部分を20mmずつ有している。また、この表面形状には、幅2.1mm、深さ15.1mmの第二リブ62(溝)と、幅13.2mm、深さ14.9mmの第一リブ63(溝)とが上下に一本ずつ形成されている。このように構成された鋳型61を、結晶水除去、乾燥後に、前述したJIS規格鋳造用アルミニウム合金を用いて鋳造して、図10に示すような、粗型部分金型65(最小肉厚60mm)を作製し、この粗型部分金型65の余剰部分の除去はフライス盤71によって実施された。フライス盤71は、高速度鋼から形成された直径φ200mmの回転刃72を十枚有し、刃回転数は1300r.p.m.、加工送りスピードは800mm/minとし、加工面に潤滑油として白灯油を塗布した。
【0069】
実施例1
実施例1は、まず、図11に示すような、SUS304製の板状部材64(縦10mm、横30mm、幅1mmの板)を作製した(破線部は、後の工程で鋳型に埋設される位置を示している)。
【0070】
次に、図12に示すように、溝62の、鋳型61の反転型として形成する粗型部分金型65(図10参照)における余剰部分に対応する領域69’の所定箇所に板状部材64を配設した。このとき、溝62は、鋳型61の加工面68から余剰部分に対応する領域69’側に0.3mmの位置に配設し、これを一個の鋳型61につき上下左右の四箇所で実施した。以降は、図1(c)〜図2(f)に示したような工程を経て、図10に示すように、粗型部分金型65を形成し、その余剰部分をフライス盤71で除去した。粗型部分金型65の余剰部分の1パス当りの加工肉厚は、開始時には1mmに設定し、仕上げ加工代が0.5mmになった時点で、1パス当りの加工肉厚を0.5mmに変更し対応した。このようにして加工された精型部分金型は、突起等の表面形状に破損を生じることはなかった。
【0071】
実施例2
実施例2は、図13(a)及び(b)に示すように、溝62の、鋳型61の反転型として形成する粗型部分金型65(図10参照)における余剰部分に対応する領域69’の所定箇所に、図13(c)に示すように、充填材66を充填した。充填材66は、鋳型61を構成する鋳型材と同一の材料から構成され、鋳型61の加工面68から余剰部分に対応する領域69’側に0.3mmの位置から余剰部分に対応する領域69’の溝62の全域に渡って充填した。これを一個の鋳型61につき上下左右の四箇所で実施した。以降は、図4(c)〜(f)に示したような工程を経て、図10に示すように、粗型部分金型65を形成し、その余剰部分をフライス盤71で除去した。粗型部分金型65の余剰部分の1パス当りの加工肉厚は、開始時には1mmに設定し、仕上げ加工代が0.5mmになった時点で、1パス当りの加工肉厚を0.5mmに変更し対応した。このようにして加工された精型部分金型は、突起等の表面形状に破損を生じることはなかった。
【0072】
実施例3
実施例3は、図14(a)及び(b)に示すように、溝62の、鋳型61の反転型として形成される粗型部分金型65(図10参照)における余剰部分に対応する領域69’の幅を、図14(c)に示すように、鋳型61の加工面68から余剰部分に対応する領域69’側に0.3mmの位置から、幅20mm、深さ16mmとなるように拡張した。これを一個の鋳型61につき上下左右の四箇所で実施した。以降は、図7(c)〜(f)に示したような工程を経て、図10に示すように、粗型部分金型65を形成し、その余剰部分をフライス盤71で除去した。粗型部分金型65の余剰部分の1パス当りの加工肉厚は、開始時には1mmに設定し、仕上げ加工代が0.5mmになった時点で、1パス当りの加工肉厚を0.5mmに変更し対応した。このようにして加工された精型部分金型は、突起等の表面形状に破損を生じることはなかった。
【0073】
比較例
図9に示したままの状態の鋳型61を用いて、図10に示すような、粗型部分金型65を形成し、その余剰部分をフライス盤71で除去した。実施例1〜3と同様の加工条件で実施したところ、余剰部分の仕上げ加工代が0.5mmに達する前に、粗型部分金型65の余剰部分に形成された突起(鋳出し骨)の一部が付け根から破損してしまい、製品部分に形成された突起も湾曲するように変形してしまった。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、タイヤ成形用金型を精密鋳造法を用いて製造する方法において、粗型部分金型の製品部分の表面形状を破損することなく余剰部分を除去し、所定の表面形状を有するタイヤを成形することのできる金型を、簡易かつ効率的に低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明(第一の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の一の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図2】 図1に示す工程以降のタイヤ成形用金型の製造方法を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図3】 本発明(第一の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の他の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図4】 本発明(第二の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の一の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図5】 本発明(第二の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の他の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図6】 本発明(第二の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の他の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図7】 本発明(第三の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の一の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図8】 本発明(第三の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の他の実施の形態を工程順に模式的に示す斜視図である。
【図9】 本発明のタイヤ成形用金型の製造方法の各実施例に用いられる鋳型を示す斜視図である。
【図10】 本発明のタイヤ成形用金型の製造方法の各実施例における、粗型部分鋳型をフライス盤で加工する工程を模式的に示す斜視図である。
【図11】 本発明(第一の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施例1に用いられる板状部材を示す斜視図である。
【図12】 本発明(第一の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施例1における、鋳型の溝(リブ)に板状部材を配設する工程を模式的に示す斜視図である。
【図13】 本発明(第二の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施例2における、鋳型の溝(リブ)に充填材を充填する工程を模式的に示す斜視図である。
【図14】 本発明(第三の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施例3における、鋳型の溝(リブ)の幅を拡張する工程を模式的に示す斜視図である。
【図15】 従来のタイヤ成形用金型の製造方法を工程順に示す説明図である。
【図16】 従来のタイヤ成形用金型の製造方法における、粗型部分金型の余剰部分を除去する工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…部分鋳型、2,3…溝、4…板状部材、5…粗型部分金型、6…突起、7…スリット、8…精型部分金型、9…余剰部分、9’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、10…製品部分、10’…粗型部分金型における製品部分に対応する領域、11…部分鋳型、12…溝、13…回転刃、14…板状部材、15…粗型部分金型、16…突起、17…スリット、18…固定刃、19…余剰部分、19’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、20…製品部分、20’…粗型部分金型における製品部分に対応する領域、21…部分鋳型、22,23…溝、24…充填材、25…粗型部分金型、26…突起、27…回転刃、28…精型部分金型、29…余剰部分、29’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、30…製品部分、30’…粗型部分金型における製品部分に対応する領域、31…部分鋳型、32,33…溝、34…ダミー鋳型、35…粗型部分金型、38…加工代、39’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、40’…粗型部分金型における製品部分に対応する領域、41…部分鋳型、42,43…溝、42’…拡張後の溝、44…回転刃、45…粗型部分金型、46…突起、47…の広い突起、48…精型部分金型、49…余剰部分、49’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、50…製品部分、50’…粗型部分金型における製品部分に対応する領域、51…部分鋳型、52,53…溝、54…ダミー鋳型、58…加工代、59’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、60’…粗型部分金型における製品部分に対応する領域、61…部分鋳型、62,63…溝(リブ)、64…板状部材、65…粗型部分金型、66…充填材、68…加工面、69’…粗型部分金型における余剰部分に対応する領域、71…フライス盤、72…回転刃。

Claims (8)

  1. タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、
    前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の所定箇所に板状部材を配設し、前記板状部材が前記鋳型の前記溝に配設された状態で前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み前記板状部材を前記粗型部分金型に鋳包ませ、前記溶湯が硬化した後に前記板状部材を抜き取り、抜き取った後に形成された前記板状部材の反転形状であるスリット(隙間)によって前記製品部分と前記余剰部分とに分断された、前記溝の反転形状である突起を有する前記粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
  2. 前記板状部材が、前記粗型部分金型を形成する前記溶湯と融着しない材料から構成された請求項1に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
  3. 前記溝の、前記粗型部分金型の余剰部分を除去した後に前記粗型部分金型に加工代分が残るような所定箇所に、前記板状部材を配設する請求項1又は2に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
  4. タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、
    前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の所定箇所に充填材を充填し、前記充填材が前記鋳型の前記溝に充填された状態で前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み硬化させることによって、前記製品部分には前記溝の反転形状である突起を有し、かつ前記余剰部分には突起を有しない粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
  5. 前記充填材が、前記鋳型を構成する鋳型材と同一の材料から構成された請求項4に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
  6. 前記溝の、前記粗型部分金型の余剰部分を除去した後に前記粗型部分金型に仕上げ加工代分が残るような所定箇所に、前記充填材を充填する請求項4又は5に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
  7. タイヤの表面形状の一部をその表面形状として有する鋳型を形成し、前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に溶湯を流し込み硬化させることによって前記鋳型の反転形状である粗型部分金型を形成し、前記粗型部分金型から製品部分が残るように余剰部分を除去して精型部分金型を形成し、タイヤ成形時に前記精型部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられるタイヤ成形用金型を製造する方法であって、
    前記タイヤの表面形状に対応して、表面に溝を有する前記鋳型を形成し、前記溝の、前記鋳型の反転型として形成する前記粗型部分金型における前記余剰部分に対応する領域の幅を拡張し、前記溝の幅が拡張された前記鋳型を鋳枠で囲い、その間隙に前記溶湯を流し込み硬化させることによって、前記製品部分には前記溝の反転形状である突起を有し、かつ前記余剰部分には幅の拡張された前記溝の反転形状であるの広い突起を有する前記粗型部分金型を形成することを含むことを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
  8. 前記粗型部分金型の余剰部分の除去時の仕上げ加工代分が残るように、前記溝の幅を拡張する請求項7に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
JP2002021266A 2002-01-30 2002-01-30 タイヤ成形用金型の製造方法 Expired - Fee Related JP3853222B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002021266A JP3853222B2 (ja) 2002-01-30 2002-01-30 タイヤ成形用金型の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002021266A JP3853222B2 (ja) 2002-01-30 2002-01-30 タイヤ成形用金型の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003220616A JP2003220616A (ja) 2003-08-05
JP3853222B2 true JP3853222B2 (ja) 2006-12-06

Family

ID=27744556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002021266A Expired - Fee Related JP3853222B2 (ja) 2002-01-30 2002-01-30 タイヤ成形用金型の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3853222B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4789241B2 (ja) * 2005-11-29 2011-10-12 日本碍子株式会社 タイヤ金型の鋳造方法
JP5072556B2 (ja) * 2007-11-30 2012-11-14 株式会社ブリヂストン ダミーゴム用ゴム組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003220616A (ja) 2003-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4421473B2 (ja) タイヤモールド用ピース及びピース式タイヤモールド
EP3576895A1 (en) Mold body with integrated chill
JP5361483B2 (ja) タイヤ成型用金型の製造方法
JP5243157B2 (ja) タイヤ成型金型用鋳物の製造方法
JP3853222B2 (ja) タイヤ成形用金型の製造方法
JP3297029B2 (ja) タイヤ成形用金型の製造方法及び補修方法
US20230001471A1 (en) Rapid manufacturing process for high definition ceramic core used for investment casting applications
JP4781625B2 (ja) インベストメント鋳造法及び装置
JPH0699247A (ja) 特殊中子を用いた鋳造方法
JP4301510B2 (ja) タイヤ成形用金型の製造方法
CN112496264B (zh) 一种无激沟缺陷的树脂砂铸件制备方法
JP4217590B2 (ja) タイヤ成形用金型に用いるピース金型の製造方法
JP2005169660A (ja) タイヤ加硫用金型の製造方法
JP4373772B2 (ja) タイヤ成形用金型の鋳造方法およびタイヤ成形用金型
JP2001105420A (ja) コンクリート製品の製造方法
US1852502A (en) Means for coring key-ways
JP2005169929A (ja) タイヤ加硫用金型の製造方法
JP3806091B2 (ja) タイヤ成形用金型の製造方法
JP3895309B2 (ja) タイヤ成形用金型の製造方法およびその製造方法で製造されるタイヤ成形用金型
JP2005007445A (ja) ネジ穴を有する鋳物の作製方法
JP3835973B2 (ja) 薄肉部付き鋳造物の製造方法
JPH06126376A (ja) 鋳造用特殊中子
KR100186642B1 (ko) 곡형 호스금형의 제조방법
JP2006103079A (ja) タイヤ成形用金型の製造方法
JP2004223529A (ja) ピース式タイヤモールドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050215

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050405

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20050602

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060905

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees