JP5578176B2 - 物理量センサ - Google Patents

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Description

本発明は、物体に働く歪や荷重を検出する物理量センサに関するものである。
一般に、物体に働く歪や荷重を検出する物理量センサとしては、図5A〜Cに示すものが知られている(特許文献1参照)。図5A,Bは従来の物理量センサの上面図、側面図を示したもので、この図5A,Bにおいて、起歪体1は高弾性金属材料から構成されている。そして孔2を穿設することにより薄肉の応力集中部3a〜3dを形成している。そして、この起歪体1の上面側の応力集中部3a,3bには、起歪体1の固定端4と可動端5を結ぶ長手方向に沿うとともに孔2に連通する切り欠き長孔6a,6b,7a,7bが設けられている。そしてまた、切り欠き長孔6a,7aで挟まれた中央の梁部8aの裏面と、切り欠き長孔6b,7bで挟まれた中央の梁部8bの裏面には切り欠き部9,10が形成されている。さらに、応力集中部3bの梁部8bの端部には駆動用の第1の圧電素子11と、フィードバック用の第2の圧電素子12とが貼着されている。
図5Cは図5BのA部に発振器13を接続した要部側面図である。図5Cに示すように、第1の圧電素子11は発振器13の出力側に接続され、第2の圧電素子12は発振器13の入力側に接続されている。また、第1、第2の圧電素子11,12の共振周波数は梁部8bの固有振動数fの近傍に選定されている。
上記構成において、発振器13から第1の圧電素子11に梁部8bの固有振動数fの近傍の周波数を持つ交流電圧が印加されると、梁部8bの一端に設けられた第1の圧電素子11は機械的振動を発生する。この機械的振動によって梁部8bは固有振動数fで上下に弦振動を開始する。この弦振動は第2の圧電素子12によって受信され、そして、この第2の圧電素子12から梁部8bの固有振動数fと等しい周波数を持つ交流信号が発振器13の入力側にフィードバックされる。これにより、梁部8bはその固有振動数fと等しい周波数で弦振動を持続する。
このように梁部8bが上下に弦振動している状態で、起歪体1の可動端5に働く荷重Fが大きくなると梁部8bに働く引張り力が大きくなるため、梁部8bの固有振動数fは上昇する。逆に起歪体1の可動端5に働く荷重Fが小さくなると梁部8bに働く引張り力が小さくなるため、梁部8bの固有振動数fは低下する。このようにして、端子に出力される固有振動数fを測定することにより起歪体1の可動端5に働く歪や荷重Fを測定できる。
一方、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術などの微細加工技術の進展により、きわめて小さく薄い機械振動子を作ることが可能になっている。この技術により振動子自体の質量を小さく構成することが可能となり、加えられる荷重が小さくても周波数やインピーダンスが大きく変動する高精度の振動子を作製できる。このような微小機械振動子を用いることにより、起歪体自体に応力集中点を作り込む必要はなく、起歪体に貼着するだけで簡便に起歪体に働く荷重や歪を測定することができる物理量センサを構成することができる。
本発明者らがこのMEMS技術により作成した振動子を用いてなる従来の物理量センサを図6A〜Cに示す。図6Aは従来の物理量センサの上面図、図6Bは図6Aの6B−6B線断面図、図6Cは図6Aの6C−6C線断面図である。この図6A〜Cにおいて、半導体基板101の表面には酸化シリコン層や窒化シリコン層からなる絶縁層(図示せず)が形成されている。梁部102は半導体基板101をエッチング処理して形成している。固定部103は梁部102を取り囲んでいる。また、梁部102の表面の中央部には下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなる駆動素子104が形成されている。更に梁部102の端部には下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなるフィードバック素子105が形成されている。そして、駆動素子104、フィードバック素子105は配線パターン(図示せず)によりランド106に電気的に接続されている。また、振動子は梁部102の両端の固定部103において、起歪体107に発生する歪が振動子に伝達されるようにAu−Au接合等の金属系接合材やエポキシ樹脂等の剛性を有する物質108で接続固定されている。
駆動素子104は増幅器(図示せず)の出力側に、フィードバック素子105は移相器(図示せず)を介して増幅器の入力側に接続されている。また、駆動素子104、フィードバック素子105の共振周波数は梁部102の固有振動数fの近傍に選定されている。
上記構成において、増幅器から駆動素子104に梁部102の固有振動数fの近傍の周波数を持つ交流電圧が印加されると、駆動素子104は機械的振動を発生する。この機械的振動によって梁部102は固有振動数fで上下に弦振動を開始する。この弦振動はフィードバック素子105によって受信され、そして、このフィードバック素子105から梁部102の固有振動数fと等しい周波数を持つ交流信号が移相器を介して増幅器の入力側にフィードバックされる。これにより、梁部102はその固有振動数fと等しい周波数で弦振動を持続することになる。
このように梁部102が上下に弦振動している状態で、起歪体107に働く荷重fが大きくなると梁部102に働く引張り力が大きくなるため、梁部102の固有振動数fは上昇する。逆に起歪体107に働く荷重fが小さくなると梁部102に働く引張り力が小さくなるため、梁部102の固有振動数fは低下する。このようにして、端子に出力される固有振動数fを測定することにより起歪体107に働く歪や荷重fを測定できる。
しかし、図5A〜Cに示した従来の物理量センサにおいては、駆動用の第1の圧電素子11が梁部8bの端部に貼着されているため、梁部8bには3次や5次といった高次共振モードが発生しやすい。このような高次共振モードは基本振動モード、すなわち梁部8bの中央が腹、両端部が節となる最低次の振動モードに比較して、共振の鋭さを示すQ値が低く、高次モード間の結合も生じやすい。そのため雰囲気温度や発振器13に加えられる電源電圧が変化すると梁部8bの振動周波数が大きく変化する場合がある。これにより、起歪体1の可動端5に働く歪や荷重Fを正確に測定することができない場合があった。
一方、図6A〜Cに示した従来の物理量センサにおいては、駆動素子104が梁部102の中央に形成されているため、梁部102には基本振動モードが発生する。しかしながら、フィードバック素子105は梁部102の一端のみに形成されている。そのためフィードバック素子105と梁部102の剛性差、あるいはフィードバック素子105の質量により振動モードが梁部102の中心に対して非対称となる。図7は厚さが10μmで長さが1.2mmの梁部102上に、厚み3μmで長さが0.45mmの駆動素子104と、厚み3μmで長さが0.2mmのフィードバック素子105とを形成した場合に発生する振動変位分布をシミュレーションした結果を示す図である。図7に示すように、梁部102には中央が腹、両端部が節となる基本振動モードが発生しているものの、振幅最大点が梁部102の中央から左側に移動していることが分かる。このような非対称モードは対称モードに比較して、共振の鋭さを示すQ値が低い。フィードバック素子105における振幅が低下するため、振動周波数の精度が低下するとともに、フィードバック素子105で発生する出力電荷が減少することになる。これにより、起歪体107に働く歪や荷重fの測定精度が低下する場合があるという課題を有していた。
特開平3−103735号公報
本発明の物理量センサは、梁状の振動体と、この振動体の両端を支持する固定部とを備えている。そして振動体の中央部に形成した第1の圧電素子と、振動体の両端部に形成した第2の圧電素子と第3の圧電素子を備えている。そして第1の圧電素子を駆動素子とし、第2の圧電素子と第3の圧電素子をフィードバック素子として梁状の振動体を固有振動させる。振動体の固有振動数を測定することにより梁状の振動体に作用する物理量を検出するように構成している。この構成によれば、梁状の振動体に中心対称な振動変位分布を有する基本振動モードを発生させることができるため、物体に働く歪や荷重などの物理量を安定した状態で検出することができるという作用効果を有するものである。
また本発明の別の物理量センサは、梁状の振動体と、この振動体の両端を支持する固定部とを備えている。そして振動体の中央部に形成した第1の圧電素子と、振動体の両端部に形成した第2の圧電素子と第3の圧電素子を備えている。梁状の振動体の中央部に形成した第1の圧電素子をフィードバック素子とし、かつ梁状の振動体の両端部に形成した第2、第3の圧電素子を駆動素子としている。そして第2の圧電素子と第3の圧電素子とを同振幅、同位相で駆動するように構成している。この構成によれば、梁状の振動体に中心対称な振動変位分布を有する基本振動モードを発生させることができる。更にフィードバック素子を梁状の振動体の中央の最も振動振幅の大きい位置に配置している。このためフィードバック素子からの出力電圧を大きくすることができ、これにより、物体に働く歪や荷重などの物理量を安定した状態で検出することができるという作用効果を有するものである。
本発明のさらに別の物理量センサは、梁状の振動体と、この振動体の両端を支持する固定部とを備えている。そして振動体の中央部に形成した第1の圧電素子と、振動体の両端部に形成した第2の圧電素子と第3の圧電素子を備えている。振動体の中央部に形成した第1の圧電素子を検出素子としている。梁状の振動体の両端部に形成した第2、第3の圧電素子を駆動素子としている。更に第2、第3の圧電素子の近傍に第4、第5の圧電素子をフィードバック素子として形成している。第2の圧電素子と第3の圧電素子とを同振幅、同位相で駆動することにより、振動体を固有振動させ、フィードバック素子で梁状の振動体の固有振動を測定するように構成したものである。この構成によれば、駆動素子近傍における梁状の振動体の振動状態をフィードバック素子で検出することにより、梁状の振動体に中心対称な振動変位分布を有する基本振動モードを確実に発生させることができる。更に検出素子を梁状の振動体の中央の最も振動振幅の大きい位置に配置しているため、検出素子からの出力電圧を大きくすることができる。これにより、物体に働く歪や荷重などの物理量をさらに安定した状態で検出することができるという作用効果を有するものである。
図1Aは本発明の実施の形態1における物理量センサの上面図である。 図1Bは図1Aの1B−1B線断面図である。 図1Cは図1Aの1C−1C線断面図である。 図1Dは図1Bの物理量センサに増幅器及びゲイン調整・移相器を接続した図である。 図2は図1に示す物理量センサの梁部の振動変位分布のシミュレーション結果を示す図である。 図3Aは本発明の実施の形態2における物理量センサの上面図である。 図3Bは図3Aの3B−3B線断面図である。 図3Cは図3Bの物理量センサに増幅器及びゲイン調整・移相器を接続した図である。 図4Aは本発明の実施の形態3における物理量センサの上面図である。 図4Bは図4Aの4B−4B線断面図である。 図4Cは図4Bの物理量センサに増幅器及びゲイン調整・移相器を接続した図である。 図5Aは従来の物理量センサの上面図である。 図5Bは従来の物理量センサの側面図である。 図5Cは図5BのA部に発振器を接続した要部側面図である。 図6Aは従来の物理量センサの上面図である。 図6Bは図6Aの6B−6B線断面図である。 図6Cは図6Aの6C−6C線断面図である。 図7は従来の物理量センサの梁部の振動変位分布のシミュレーション結果を示す図である。
(実施の形態1)
図1Aは本発明の実施の形態1における物理量センサの上面図である。図1Bは図1Aの1B−1B線断面図である。図1Cは図1Aの1C−1C線断面図である。図1Dは図1Bの物理量センサに増幅器及びゲイン調整・移相器を接続した図である。図1A〜Dにおいて、半導体基板21はシリコン等からなり、表面には酸化シリコン層や窒化シリコン層からなる絶縁層(図示せず)が形成されている。梁部22は半導体基板21をエッチング処理して形成したものであり、物理量の作用により固有振動数が変化する梁状の振動体を構成している。固定部23は梁部22を取り囲んでおり、梁状の振動体の両端を支持している。梁部22の表面の中央部には下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなる駆動素子24(第1の圧電素子)が形成されている。また梁部22の両端部には梁部22の中心に対して対称な位置に下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなるフィードバック素子25,26(第2、第3の圧電素子)が形成されている。そして、駆動素子24、フィードバック素子25,26は配線パターン(図示せず)によりランド27に電気的に接続されている。また、この物理量センサは梁部22の両端の固定部23において、物体を構成する起歪体28に発生する歪が振動子に伝達されるようにAu−Au接合等の金属系接合材やエポキシ樹脂等の剛性を有する物質29で接続固定されている。
図1Dにおいて、駆動素子24は増幅器30の出力側に接続され、フィードバック素子25,26はゲイン調整・移相器31を介して増幅器30の入力側に接続されている。また、駆動素子24、フィードバック素子25,26の共振周波数は梁部22の固有振動数fの近傍に選定されている。
上記構成において、増幅器30から駆動素子24に梁部22の固有振動数fの近傍の周波数を持つ交流電圧が印加されると、梁部22の中央に設けられた駆動素子24は梁部22の長手方向に平行な方向に伸縮振動を開始する。この伸縮振動によって梁部22は固有振動数fで上下に弦振動を開始する。この弦振動はフィードバック素子25,26によって受信され、そして、このフィードバック素子25,26から梁部22の固有振動数fと等しい周波数を持つ交流信号が発生する。これらの交流信号はゲイン調整・移相器31で位相調整されて増幅器30の入力側にフィードバックされる。これにより、梁部22はその固有振動数fと等しい周波数で弦振動を持続する。この時、フィードバック素子25,26からの交流信号を加算器で加算した後、ゲイン調整・移相器31を介して増幅器30の入力側にフィードバックしてもよい。
このように梁部22が上下に弦振動している状態で、起歪体28に働く荷重fが大きくなると梁部22に働く引張り力が大きくなるため、梁部22の固有振動数fは上昇する。逆に起歪体28に働く荷重fが小さくなると梁部22に働く引張り力が小さくなるため、梁部22の固有振動数fは低下する。このようにして、端子に出力される固有振動数fを測定することにより起歪体28に働く歪や荷重fを測定できるものである。
ここで、駆動素子24は梁部22の中央に、フィードバック素子25,26は梁部22の両端部に梁部22の中心に対して対称な位置に設けられている。そのため梁部22には梁部22の中心に対して対称な振動変位分布を有する基本振動モードが発生する。図2は厚さが10μmで長さが1.2mmの梁部22上に、厚みが3μmで長さが0.45mmの駆動素子24と、厚みが3μmで長さが0.2mmのフィードバック素子25,26とを形成した場合に発生する振動変位分布をシミュレーションした結果を示す図である。この図2からも明らかなように、梁部22には中央が腹、両端部が節となる基本振動モードが発生しているとともに、梁部22の中心に対して対称な振動変位分布を有することが分かる。このような対称な振動変位分布を有する基本振動モードは共振の鋭さを示すQ値が大きいため、安定した周波数で弦振動を持続する。これにより、起歪体に働く歪や荷重などの物理量を安定した状態で検出することができる。
(実施の形態2)
図3Aは本発明の実施の形態2における物理量センサの上面図、図3Bは図3Aの3B−3B線断面図、図3Cは図3Bの物理量センサに増幅器及びゲイン調整・移相器を接続した図である。なお、この実施の形態2においては、上記した実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
図3A〜Cにおいて、梁部22の中央部に下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなるフィードバック素子40(第1の圧電素子)を配置している。そして梁部22の両端部で梁部22の中心に対して対称な位置に下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなる駆動素子41,42(第2、第3の圧電素子)を配置している。これらの点が本発明の実施の形態2が本発明の実施の形態1と相違する点である。図3Cにおいて、駆動素子41,42は増幅器30の出力側に接続される。またフィードバック素子40はゲイン調整・移相器31を介して増幅器30の入力側に接続されている。そしてまた、駆動素子41,42、フィードバック素子40の共振周波数は梁部22の固有振動数fの近傍に選定されているものである。
上記構成において、増幅器30から梁部22の両端部に設けられた駆動素子41,42に梁部22の固有振動数fの近傍の周波数を持つ交流電圧が同振幅、同位相で印加される。すると駆動素子41,42は梁部22の長手方向と平行な方向に伸縮振動を開始する。この伸縮振動によって梁部22は固有振動数fで上下に弦振動を開始する。この弦振動はフィードバック素子40によって受信され、そして、このフィードバック素子40から梁部22の固有振動数fと等しい周波数を持つ交流信号が発生する。この交流信号はゲイン調整・移相器31で位相調整されて増幅器30の入力側にフィードバックされる。これにより、梁部22はその固有振動数fと等しい周波数で弦振動を持続する。
このように梁部22が上下に弦振動している状態で、起歪体28に働く荷重fが大きくなると梁部22に働く引張り力が大きくなるため、梁部22の固有振動数fは上昇する。逆に起歪体28に働く荷重fが小さくなると梁部22に働く引張り力が小さくなるため、梁部22の固有振動数fは低下する。このようにして、端子に出力される固有振動数fを測定することにより起歪体28に働く歪や荷重fを測定できる。
ここで、フィードバック素子40は梁部22の中央に、駆動素子41,42は梁部22の両端部に梁部22の中心に対して対称な位置に設けられている。そのため梁部22には図2に示したものと同様な梁部22の中心に対して対称な振動変位分布を有する基本振動モードが発生する。このような対称な振動変位分布を有する基本振動モードは共振の鋭さを示すQ値が大きいため、安定した周波数で弦振動を持続することができる。またフィードバック素子40を振動体の中央の最も振動振幅の大きい位置に配置しているため、フィードバック素子40からの出力電圧を大きくすることができる。これにより、起歪体に働く歪や荷重などの物理量を安定した状態で検出することができるという効果が得られる。
図4Aは本発明の実施の形態3における物理量センサの上面図、図4Bは図4Aの4B−4B線断面図、図4Cは図4Bの物理量センサに増幅器及びゲイン調整・移相器を接続した図である。なお、この実施の形態3においては、上記した実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
図4A〜Cにおいて、梁部22の中央部に下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなる検出素子50(第1の圧電素子)を配置している。梁部22の両端部で梁部22の中心に対して対称な位置に下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなる駆動素子51,52(第2、第3の圧電素子)を配置している。梁部22の両端部で梁部22の中心に対して対称な位置に下から順に下部電極(図示せず)、PZT等からなる圧電体層(図示せず)、及び上部電極(図示せず)からなるフィードバック素子53,54(第4、第5の圧電素子)を配置している。フィードバック素子53,54(第4、第5の圧電素子)は各々駆動素子51,52の近傍に配置している。また、図4Cにおいて、フィードバック素子53,54は第1の増幅器30の入力側に接続され、かつ第1の増幅器30からの出力信号はゲイン調整・移相器31を介して駆動素子51,52に加えられる。そして、検出素子50から得られる交流信号は第2の増幅器55を介して出力される。ここで、検出素子50、駆動素子51,52、フィードバック素子53,54の共振周波数は梁部22の固有振動数fの近傍に選定されている。
上記構成において、第1の増幅器30から梁部22の両端部に設けられた駆動素子51,52に梁部22の固有振動数fの近傍の周波数を持つ交流電圧が同振幅、同位相で印加される。そうすると駆動素子51,52は梁部22の長手方向と平行な方向に伸縮振動を開始する。この伸縮振動によって梁部22は固有振動数fで上下に弦振動を開始する。この弦振動は駆動素子51,52の近傍に配置されたフィードバック素子53,54によって受信される。そして、このフィードバック素子53,54から梁部22の固有振動数fと等しい周波数を持つ交流信号が発生する。この交流信号は増幅器30で増幅された後、ゲイン調整・移相器31を経て第1の増幅器30の入力側にフィードバックされる。これにより、梁部22はその固有振動数fと等しい周波数で弦振動を持続する。そして、検出素子50から発生する梁部22の固有振動数fと等しい周波数を持つ交流信号は第2の増幅器55で増幅されて出力される。
このように梁部22が上下に弦振動している状態で、起歪体28に働く荷重fが大きくなると梁部22に働く引張り力が大きくなるため、梁部22の固有振動数fは上昇する。逆に起歪体28に働く荷重fが小さくなると梁部22に働く引張り力が小さくなるため、梁部22の固有振動数fは低下する。このようにして、端子に出力される固有振動数fを測定することにより起歪体28に働く歪や荷重fを測定できるものである。
ここで、検出素子50は梁部22の中央に、駆動素子51,52は梁部22の両端部に梁部22の中心に対して対称な位置に設けられている。さらに梁部22の両端部で梁部22の中心に対して対称な位置にフィードバック素子53,54が各々駆動素子51,52の近傍に配置されている。このため、駆動素子近傍における振動体の振動状態をフィードバックし、検出素子50で検出することにより、振動体に中心対称な振動変位分布を有する基本振動モードを確実に発生させることができる。また、検出素子50を振動体の中央の最も振動振幅の大きい位置に配置しているため、検出素子50からの出力電圧を大きくすることができる。これにより、起歪体に働く歪や荷重などの物理量をさらに安定した状態で検出することができるという効果が得られる。
本発明に係る物理量センサは、梁状の振動体に中心対称な振動変位分布を有する基本振動モードを発生させることができる。これにより、物体に働く歪や荷重を安定した状態で検出することができるという効果を有するものであり、特に、物体に働く歪や荷重を検出する物理量センサとして有用なものである。
21 半導体基板
22 梁部(梁状の振動体)
23 固定部
24 駆動素子
25,26 フィードバック素子
28 起歪体
29 剛性を有する物質
30 増幅器
31 ゲイン調整・移相器
40 フィードバック素子
41,42 駆動素子
50 検出素子
51,52 駆動素子
53,54 フィードバック素子

Claims (5)

  1. 梁状の振動体と、
    前記振動体の両端を支持する固定部と、
    前記振動体の中央部に形成した第1の圧電素子と、
    前記振動体の一方の端部に形成した第2の圧電素子と、
    前記振動体の他方の端部に形成した第3の圧電素子とを備え、
    前記第1の圧電素子を駆動素子とし、
    前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子をフィードバック素子として、
    前記振動体を前記振動体と前記第1の圧電素子の積層方向に振動させ物理量センサ。
  2. 梁状の振動体と、
    前記振動体の両端を支持する固定部と、
    前記振動体の中央部に形成した第1の圧電素子と、
    前記振動体の一方の端部に形成した第2の圧電素子と、
    前記振動体の他方の端部に形成した第3の圧電素子とを備え、
    前記第1の圧電素子をフィードバック素子とし、
    前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子を駆動素子として、
    前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子とを同振幅、同位相で駆動することにより、
    前記振動体を前記振動体と前記第1の圧電素子の積層方向に振動させ物理量センサ。
  3. 梁状の振動体と、
    前記振動体の両端を支持する固定部と、
    前記振動体の中央部に形成した第1の圧電素子と、
    前記振動体の一方の端部に形成した第2の圧電素子と、
    前記振動体の他方の端部に形成した第3の圧電素子と、
    前記第2の圧電素子の近傍に形成した第4の圧電素子と、
    前記第3の圧電素子の近傍に形成した第5の圧電素子とを備え、
    前記第1の圧電素子を検出素子とし、
    前記第2の圧電素子及び前記第3の圧電素子を駆動素子とし、
    前記第4の圧電素子及び前記第5の圧電素子をフィードバック素子とし、
    前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子とを同振幅、同位相で駆動することにより、
    前記振動体を前記振動体と前記第1の圧電素子の積層方向に振動させ、
    振動状態を前記第4の圧電素子及び前記第5の圧電素子でフィードバックし、
    前記第1の圧電素子で前記振動体の振動数を検出する物理量センサ。
  4. 前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子は前記振動体の中心に対して対称な位置に形成されていることを特徴とする
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の物理量センサ。
  5. 前記第4の圧電素子と前記第5の圧電素子は前記振動体の中心に対して対称な位置に形成されていることを特徴とする
    請求項3に記載の物理量センサ。
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