JP2005114631A - 角速度センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐衝撃性に優れ、組立性の良い角速度センサを提供する。
【解決手段】 柱状の振動子1aの振動時に発生する2つの節点部をそれぞれ上下方向から挟持するように上記節点部に接合され、上記振動子1aの機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材10A1,10A2,10B1,10B2を備える角速度センサ1であって、上記支持部材10A1,10A2,10B1,10B2は、各節点の上側の支持部材10A1,10A2と下側の支持部材10B1,10B2で上記振動子1aの長手方向に関して互いに同方向に屈曲された屈曲部11をそれぞれ途中に含み、上記振動子1aの上下方向および長手方向に直交する方向に伸びた腕部12と、該腕部12に上記振動子1aとの接続部13を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 柱状の振動子1aの振動時に発生する2つの節点部をそれぞれ上下方向から挟持するように上記節点部に接合され、上記振動子1aの機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材10A1,10A2,10B1,10B2を備える角速度センサ1であって、上記支持部材10A1,10A2,10B1,10B2は、各節点の上側の支持部材10A1,10A2と下側の支持部材10B1,10B2で上記振動子1aの長手方向に関して互いに同方向に屈曲された屈曲部11をそれぞれ途中に含み、上記振動子1aの上下方向および長手方向に直交する方向に伸びた腕部12と、該腕部12に上記振動子1aとの接続部13を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、柱状の振動子の振動時に発生する節点部に接合され、上記振動子の機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材を備える角速度センサに関する。
従来、民生用の角速度センサとしては、棒状の振動子を所定の共振周波数で振動させておき、角速度の影響によって生じるコリオリ力を圧電素子等で検出することによって角速度を検出する、いわゆる振動ジャイロ型の角速度センサが広く使用されている。
このような角速度センサにおいて、振動子の形状として四角柱状の音片型があり、音片型の支持方法として2つの振動節点を導電性の部材で支持する方法がある。
図15に従来の角速度センサの支持方法を示す。図15において、圧電材からなる振動子96の所定面の幅方向の略中央には長手方向に溝95が設けられ、前記所定面を91aと91bに分割する。導電性がある支持部材40,41は接続部40a,41aにて振動子96と機械的且つ電気的に接続される。接続方法としては半田接続や導電性接着剤による接続がある。
このように構成された従来の角速度センサは、支持部材40と支持部材41の間に駆動信号を加えることで振動子96を振動させる。このとき振動子96が長手方向を軸として回転されるとコリオリ力が発生し振動子96の面91aと面91bに各々コリオリ力に比例した逆の極性の信号が発生する。この信号を支持部材40より取り出すことで角速度信号を検出することができる。
ここで、支持部材40及び支持部材41は振動節点を拘束する機能と、振動子96が振動する為に、ある程度節点に自由度を与えるという相反する機能を併せ持つ必要がある。支持部材40及び支持部材41の拘束が強ければ振動量が減少し角速度の検出感度が低下する。また、逆に、拘束力が弱いと振動の節点の移動が大きく、特性上不安定となり問題となる。
近年のデバイスの小型化に伴い、支持部材40及び支持部材41が図15のような直線状では、自ずと距離が短くなり剛性が上がる為、図16の支持部材50及び支持部材51のように屈曲させ剛性を下げる手法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
また、支持部材の固定は量産性とコストを考慮しインサートモールドが用いられるが、インサートモールドの製法の都合上、上下の支持部材50及び支持部材51は固定位置をずらす必要があり、必然的に上下の支持部材を振動の節点を軸に対称に配置されていた。
しかしながら、図16のように上下の支持部材50及び支持部材51が対称に配置された場合、振動子96周辺に支持部材のない空間が減少し、ハンドリング等の組立性が悪化し、小型化に伴いその問題が更に顕著となってきていた。
また、外部から衝撃が加わった場合、上下の支持部材が逆方向に配置されている為、節点に掛かる応力が上下逆方向に働き、節点に回転モーメントが発生する。この回転モーメントにより支持部材50及び支持部材51と振動子96の接合が破壊するという問題が発生する。
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、耐衝撃性に優れ、組立性の良い角速度センサを提供することにある。
本発明では、音片型角速度センサ等に用いられる振動子の支持構造において、振動子を上下に対向して挟持する支持部材の屈曲方向を上下同一にすることにより、耐衝撃性に優れ、組立性の良い角速度センサを実現する。
すなわち、本発明は、柱状の振動子の振動時に発生する2つの節点部をそれぞれ上下方向から挟持するように上記節点部に接合され、上記振動子の機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材を備える角速度センサであって、上記支持部材は、各節点の上側の支持部材と下側の支持部材で上記振動子の長手方向に関して互いに同方向に屈曲された屈曲部をそれぞれ途中に含み、上記振動子の上下方向および長手方向に直交する方向に伸びた腕部と、該腕部の先端に形成された上記振動子との接続部を有することを特徴とする。
本発明に係る角速度センサでは、上下の支持部材をほぼ同一位置に配置することにより、振動子周辺部の自由な空間が従来に比較し大幅に増大する。それにより、組立て時のハンドリング性、作業性が上がり、製造コストの低減が図れる。また、更なる小型化にも対応可能である。
また、増大した空間にチップ部品等の回路部品を配置することが可能となり、デバイスの集積化が容易となる。
一方、外部から衝撃が加わった場合、上下の支持部材が同一方向に屈曲し対向されて配置されている為、振動の節点に回転モーメントが加わらず、上下の支持部材が逆方向に配置された場合と比較し耐衝撃性に優れる。
なお、本発明は、音片型角速度センサに限定されるものではなく、支持部材が必要な振動子を用いるデバイス全般に有効である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
図1は本発明を適用した角速度センサ1の外観斜視図であり、また、図2は上記角速度センサ1を使用するための駆動検出回路30の一例を示すブロック図である。
この実施の形態における角速度センサ1は、図1及び図2に示すように、振動ジャイロとして動作する振動子1aを備えている。
振動子1aは、図1に示されるように、基体2と圧電体3とを積層してなり、長手方向に対して垂直な平面で切断したときの断面の形状(以下、単に断面形状と称する)が矩形となる四角柱状に形成されている。
この振動子1aの圧電体3は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とする圧電セラミックスからなり、通常、分極処理により生成されている。圧電体3には、その対向する一方の主面3Aであって上記基体2と接合される面に基準電極3aが形成されている。そして、この圧電体3は、その対向する他方の主面3Bに、駆動電極3bと、この駆動電極3bを挟む形で1対の検出電極3c1,3c2が、上記振動子1aの長手方向に沿って互いに平行に分割されて形成されており、駆動電極3bの形成されている部分が駆動用の圧電素子31として機能し、また、検出電極3c1,3c2の形成されている部分が検出用の圧電素子32,33として機能するようになっている。
また、この振動子1aの基体2は、上記圧電体3を構成する圧電セラミックスの主成分であるPZTと比べて、物性値が同等以下のPZT以外の材料、例えばアモルファスカーボンあるいはグラファイトなどのカーボンを主成分とするセラミックス材料からなる。
ここで、各種材料の物性値の比較結果を図3に示すように、圧電セラミックスの主成分であるPZT(BZ27M5材)はヤング率が103GPaで熱膨張係数が32×10−7〜35×10−7であるのに対し、アモルファスカーボンはヤング率が30〜33GPaで熱膨張係数が30×10−7であり、また、グラファイトはヤング率が14GPaで熱膨張係数が32×10−7であり、アモルファスカーボンやグラファイトなどカーボンを主成分とするセラミックス材料は、圧電セラミックスの主成分であるPZTとヤング率と熱膨張係数等の物性値が同等以下の値となっている。
この角速度センサ1において、圧電体3の厚さは基体2の厚さより薄く、例えば、圧電体3の厚さを0.2mm、基体2の厚さを0.8mmとしている。
そして、上記4角柱状の振動子1aは、その振動時に発生する2つの節点部をそれぞれ上下方向から挟持するように上記節点部に接合され、振動時に発生する節点部分が機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材10A1,10A2,10B1,10B2により支持されている。
上記支持部材10A1,10A2,10B1,10B2は、例えばリン青銅、ステンレス等からなり、それぞれ各節点の上側の支持部材10A1,10A2と下側の支持部材10B1,10B2で上記振動子1aの長手方向に関して互いに同方向に屈曲された屈曲部11をそれぞれ途中に含み、上記振動子1aの上下方向および長手方向に直交する方向に伸びた腕部12と、該腕部12に上記振動子1aとの接続部13を有する。上側の支持部材10A1は、上記振動子1aの振動の節点において接続部13が1対の検出電極3c1,3c2に接合され、また、支持部材10A2は、振動子1aの振動の節点において接続部13が駆動電極3bに接合されている。なお、上記駆動電極3bに接合させる支持部材10A2が検出電極3c1,3c2を跨ぐ部分には、上記支持部材10A2の腕部11が検出電極3c1,3c2と接触しないように検出電極3c1,3c2を部分的に除去し絶縁部18を設けている。
また、下側の支持部材10B1,10B2は、上記振動子1aの振動の節点において接続部13がアモルファスカーボンからなる基体2に接合されており、上記基体2を介して上記基準電極3aと導通されている。
この角速度センサ1の圧電体3は、振動駆動機能及びその振動を検出する機能を合わせ持っている。これにより、角速度センサ1は、振動駆動機能により振動しているときに振動子1aが回転することによって生じたコリオリ力を検出機能により検出する。
すなわち、この角速度センサ1は、上記基体2と圧電体3とを積層して接合なる振動子1aの上記圧電体3の対向する一方の主面3Aに設けられている基準電極3aと他方の主面3Bに設けられている駆動電極3bとの間に電圧を印加することにより上記振動子1aを振動させるとともに上記振動子1aに生じるコリオリ力を圧電体3により検出し、上記他方の主面3Bに設けられている検出電極3c1,3c2から上記コリオリ力に応じた信号として角速度検出信号を出力する。
この角速度センサ1における振動子1aは、図2に示すように、支持部材10A1,10A2を介して駆動検出回路30と接続される。接続部13は、この駆動検出回路30により共振させられる振動子1aの振動の節点(ノード点)となり、振動子1aは軸方向の両端を自由端として共振させられる。
この角速度センサ1では、上下の支持部材10A1,10A2,10B1,10B2をほぼ同一位置に配置することにより、振動子1a周辺部の自由な空間が従来に比較し大幅に増大する。これにより、組立て時のハンドリング性、作業性が上がり、製造コストの低減が図れる。また、更なる小型化にも対応可能である。また、増大した空間にチップ部品等の回路部品を配置することが可能となり、デバイスの集積化が容易となる。一方、外部から衝撃が加わった場合、上下の支持部材10A1,10A2,10B1,10B2が同一方向に屈曲し対向されて配置されている為、振動の節点に回転モーメントが加わらず、上下の支持部材10A1,10A2,10B1,10B2が逆方向に配置された場合と比較し耐衝撃性に優れる。
なお、上部の支持部材10A1,10A2と下部の支持部材10B1,10B2は、図4に示すように、垂直方向に重なるが、上部の支持部材10A1,10A2の固定部の形状を拡大することによりインサートモールドへの接続は、問題なく行うことが可能である。また、図5に示すように、上部の支持部材10A1,10A2を折り曲げ延長して、基板60に対する接続片15を支持部材10A1,10A2に設けることにより、インサートモールド等の部品を使わず直接基板60上に実装することも可能である。
また、上記腕部12の先端の接続部13は、二股形状に形成されている。これにより半田もしくは導電性接着剤が二股の間に入り込むことでより高い機械的な接続強度が得られる。また、振動子1aの小型化に伴い接続部13が小型になった場合においても、限られた面積においては、接続部13は、完全な円形よりも図6(A)に示すような半円形状とした方が内側の円の経を大きくとれるためにより機械的な接続強度が高まる。上記接続部13は、二股以上に分かれていれば図6(B)のようなY字型や図6(C)に示すコの字型や図6(D)に示す三股形状であっても同様な効果が得られる。
駆動検出回路30は、図2に示すように、振動子1aの検出電極3c1,3c2に支持部材10A1を介して接続されたインピーダンス変換回路4及び差動増幅回路7と、上記インピーダンス変換回路4に接続された加算回路5と、この加算回路5に接続された発振回路6と、この発振回路6と上記差動増幅回路7に接続された同期検波回路8と、この同期検波回路8に接続された直流増幅回路9からなり、上記発振回路6の出力が支持部材10A2を介して駆動電極3bに供給されている。また、振動子1aの基準電極3aは、アモルファスカーボンからなる基体2に導通されており、支持部材10B1,10B2を介して基準電位37に接続されている。
この駆動検出回路30では、振動子1aとインピーダンス変換回路4と加算回路5と発振回路6で形成される自励発振回路によって、振動子1aは発振し、駆動片として用いられる駆動用の圧電素子31の形成面に直交する方向に屈曲振動する。
すなわち、振動子1aは、発振回路6の発振出力Vgoが駆動用の圧電素子31に印加されることによって駆動される。そして、上記振動子1aの検出用の圧電素子32の出力Vglと圧電素子33の出力Vgrがインピーダンス変換回路4を介してVzlとVzrとして加算回路5に入力され、この加算回路5による上記VzlとVzrの加算出力Vsaが発振回路6に帰還される。
この状態で、振動子1aの長軸を中心として回転すると、コリオリ力によって屈曲振動の向きが変わる。これによって、検出用の圧電素子32と圧電素子33の間に出力差Vgl−Vgrが生じ、差動増幅回路7から出力Vdaが得られる。このとき、振動子1aを駆動するための信号は、静止時の検出用の圧電素子32と圧電素子33の出力であり、圧電素子32と圧電素子33において同相で同じ大きさの信号である。このため、振動子1aを駆動するための信号は、差動増幅回路7で相殺される。また、コリオリ力に応じた信号は、圧電素子32と圧電素子33において逆相で同じ大きさの信号VclおよびVcrである。したがって、差動増幅回路7の出力VdaはVcl−Vcrに比例した信号となる。
この差動増幅回路7の出力Vdaを同期検波回路8で同期検波することで直流信号Vsdに変換している。同期検波回路8は差動増幅回路7の出力Vdaを 上記発振回路6が駆動信号に同期して出力するクロック信号Vckのタイミングで全波整流した後で積分し、直流信号Vsdを得ている。この信号Vsdを直流増幅回路9で所定の大きさまで直流増幅することで、回転により生じる角速度信号のみを検出することができる。
ここで、インピーダンス変換回路4は、入力がハイ・インピーダンスZ2で出力がロー・インピーダンスZ3となっており、圧電素子32と圧電素子33間のインピーダンスZ1と加算回路5の入力間のインピーダンスZ4を分離するために用いられている。仮にインピーダンス変換回路4がない場合は、圧電素子32と圧電素子33間のインピーダンスZ1と加算回路5の入力間のインピーダンスZ4は分離されず、圧電素子32と圧電素子33の間に生じた出力差はZ4/(Z1+Z4)を掛けた大きさになり、インピーダンス変換回路がある場合に比べて小さくなってしまう。
インピーダンス変換回路4は、入力と出力でのインピーダンスを変換しているだけで信号の大きさには影響を与えないため、圧電素子32の出力Vglとインピーダンス変換回路4の一方の出力Vzlは同じ大きさとなり、圧電素子33の出力Vgrとインピーダンス変換回路4の他方の出力Vzrは同じ大きさとなる。したがって、加算回路5の出力Vsaでは、コリオリ力に応じた信号は相殺され、静止時の圧電素子32と圧電素子33の出力の和となる。この加算回路5と振動子1aとインピーダンス変換回路4と発振回路6による正帰還ループで発振回路を形成していて、振動子1aの共振周波数にて自励発振する。
このような駆動検出回路30の電源に、数百キロヘルツ以上の発振周波数で作られたスイッチング・レギュレータの出力電圧を供給すると、電源ノイズがインピーダンス変換回路4の2つの出力間にも飛込むことで信号ノイズとなる。ここで、インピーダンス変換回路4の2つの出力への電源ノイズの飛込み方に違いがある場合は、2つの出力VzlとVzrの間にノイズによる電位差が生じることになる。前記信号ノイズを含むインピーダンス変換回路4の2つの出力VzlとVzrが、加算回路5で加算され、発振回路6を通して振動子1aに入力される。
当然、発振回路6の出力Vgoにも前記信号ノイズが乗っているが、振動子1aはバンド・パス・フィルタと同じ働きをするので、振動子1aの共振周波数以外の成分は除去される。したがって、この駆動検出回路30では、圧電素子32と圧電素子33の出力からは前記信号ノイズが除去されているので、差動増幅回路7の出力Vdaにも前記信号ノイズが含まれず、電源ノイズの影響を受けない。
また、この実施の形態において、角速度センサ1は、同一面に検出電極3c1,3c2と駆動電極3bが配されているので、図7(A)に示すように、基体の母体であるウェハ20と両面電極メッキを施すことにより各電極を形成した圧電体の母体であるウェハ30とを積層させてこれらを接着し、図7(B)に示すように、四角柱状として個々に切り出すことにより、図7(C)に示すように、振動子1aを製造することができる。このような工程により製造される振動子1aは、非常に精度が高く、かつ超小型化が可能となる。さらに量産効果も得やすい構造とされる。また、圧電体の接着位置ずれといった問題も解決することができる。また、基体は、上記圧電体と略同様の切削加工性を有していることから、基体のウェハと圧電体のウェハとから上述したように、振動子としての切り出しが容易とされる。
さらに、従来のように、恒弾性金属振動子に圧電素子を接着したり、曲面に電極を印刷するといった難しい工程を設ける必要がなくなる。
なお、この角速度センサ1では、上記圧電体3の対向する一方の主面3Aに形成された基準電極3a と接合される基体2を導電性がある材料で形成したが、絶縁性の基体2に導電性がある材料をメッキして、上記圧電体3の主面3Aと対向する上記基体2の2つの主面2A,2Bと該2つの主面2A,2Bに連続する少なくとも1つの側面に上記基準電極3aと導通する電極を形成することによって、圧電体3に効率よく駆動電界を印加することが可能になり、感度向上を図ることが可能になる。
また、当然、小型化に伴って技術的な難しさが増し、精度を確保することが困難になると考えられるが、既にLSIやヘッド加工などで確立されている微細加工技術を応用することにより、このような問題はクリアできる。従って、高精度の寸法精度が得られるため、振動子の周波数調整も簡略化することが可能になる。
また、自励発振型駆動回路を応用することにより、非常に簡単な回路によって高精度な角速度センサ1を構成することができる。
そして、この角速度センサ1は、自励発振型なので、他励発振型の角速度センサのように温度特性の影響によって感度が低下してしまうようなこともない。
ここで、この角速度センサ1の環境温度の変化に対する感度の変化特性の実測結果を図8に示す。この図8において、特性A1は、圧電体3を構成する圧電セラミックスの主成分であるPZTと比べてヤング率と熱膨張係数が同等以下の材料(アモルファスカーボン)にて基体2を構成した角速度センサ1の特性を示し、特性B1は、基体2をPZTにて構成した場合の特性を示している。
この図8からも明らかなように、圧電体3を構成する圧電セラミックスの主成分であるPZTと比べてヤング率と熱膨張係数が同等以下の材料(アモルファスカーボン)にて基体2を構成することによって、環境温度の変化の影響を受けにくい振動子1aを構成することができる。
また、この振動子1aは、図9に示す特性A2ように、基体をPZTにて構成した場合の特性B2と比較して、振動子単体の共振抵抗の温度変化を小さくすることができ、その結果角速度検出感度の温度変化が小さくなり、また、その変化の形態が直線的なので補正を容易に行うことができる。
また、この角速度センサ1における振動子1aの断面縦横比と離調度の関係を図10に示す。なお、離調度とは、縦方向の共振周波数と横方向の共振周波数の差であり、離調度が小さい程感度は高くなる。
この図10において、特性A3は、圧電体3を構成する圧電セラミックスの主成分であるPZTと比べてヤング率と熱膨張係数等の物性値が同等以下の材料(アモルファスカーボン)にて基体2を構成した角速度センサ1の特性を示し、特性B3は、基体2をPZTにて構成した場合の特性を示している。
この図10中に特性A3に対し離調度0±200Hzに対応する振動子1aの縦横比の範囲を黒枠にて囲んで示してあるように、この角速度センサ1では、振動子1aの全幅と厚みとの比すなわち断面縦横比を1.030〜1.055の範囲内とすることによって離調度を0近傍とすることができ、初期状態でこの範囲に抑えることによって離調度を容易に且つ確実に調整することができる。
なお、この角速度センサ1では、同一面に形成された駆動電極3bと検出電極3c1,3c2の振動子1aの幅方向の電極寸法W1,W2を、図11に示すように、検出電極3c1,3c2と駆動電極3bとで異ならしめることによって、検出特性を最適化することができる。すなわち、駆動電極3bの形状や寸法を調整することで駆動効率を調整することができ、また、検出電極3c1,3c2の形状や寸法を調整することで検出効率を調整が可能になる。
上記角速度センサ1において、駆動電極3bの幅をW1、検出電極3c1,3c2の幅をW2とし、W1/W2を1〜2.8の範囲で変えた場合の感度を測定した結果を図12に示す。
この図12に示す感度特性から明らかなように、上記角速度センサ1は、W1とW2との比率が1<W1/W2≦2.6の範囲でW1/W2=1と同等以上の感度を示す。特に、1.8<W1/W2≦2.0の範囲では、W1/W2=1の場合と比較して2倍以上の感度が得られる。
また、上記角速度センサ1の感度と離調度の関係を図13に示す。
ここで、離調度とは、縦方向の共振周波数と横方向の共振周波数の差であり、離調度が小さい程感度は高くなる。TYPE1はW1/W2=1の場合を示しており、TYPE2はW1/W2=1.9の場合を示している。この図13から明らかなように、離調度がどの範囲にあっても、W1/W2=1の場合よりもW1/W2=1.9の場合の方が圧倒的に感度が高い。
さらに、この実施の形態における角速度センサ1において、圧電体3の厚さT1は基体2の厚さT2より薄く、例えば、圧電体3の厚さT1を0.2mm、基体2の厚さを0.8mmとしているが、上記圧電体3の厚みT1と上記振動子1aの厚みT0との比を変えて、振動子1aの発振周波数及びその駆動回路の移相器の調整許容量を測定したところ、図14に示すような結果が得られた。上述の如き構造の角速度センサ1では、上記圧電体3の厚みT1と上記振動子の厚みT0との比を0.14〜0.27の範囲内、具体的には、振動子1aの厚みT0が0.9mm〜1.1mmに対して、圧電体3の厚みT1を0.15mm〜0.25mmの構成にすることで、共振抵抗と発振周波数を一定の範囲内に圧縮できるとともに、振動子1aを自励発振させるための駆動回路のフェイズマージンを確保できる。さらに、振動子1aの寸法変化に対する周波数変化の度合いを低減できることにより、所定の離調度や発振周波数への調整が容易になる。
1 角速度センサ、1a 振動子、2 基体、2A,2B 主面、3 圧電体、3A,3B 主面、3a 基準電極、3b 駆動電極、3c1,3c2 検出電極、4 インピーダンス変換回路、5 加算回路、6 発振回路、7 差動増幅回路、8 同期検波回路、9 直流増幅回路、10A1,10A2,10B1,10B2 支持部材、11 屈曲部、12 腕部、13 接続部、15 接続片、18 絶縁部、20,30 ウェハ、30 駆動検出回路、31,32,33 圧電素子、37 基準電位
Claims (3)
- 柱状の振動子の振動時に発生する2つの節点部をそれぞれ上下方向から挟持するように上記節点部に接合され、上記振動子の機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材を備える角速度センサであって、
上記支持部材は、各節点の上側の支持部材と下側の支持部材で上記振動子の長手方向に関して互いに同方向に屈曲された屈曲部をそれぞれ途中に含み、上記振動子の上下方向および長手方向に直交する方向に伸びた腕部と、該腕部に上記振動子との接続部を有することを特徴とする角速度センサ。 - 上側の支持部材を折り曲げ延長して、基板に対する接続片を設け、
上記上側の支持部材及び下側の支持部材を直接基板上に直接実装してなることを特徴とする請求項1記載の角速度センサ。 - 上記圧電体の対向する一方の主面であって上記基体と接合される面に形成され、基準電位に接続される基準電極と、
上記圧電体の対向する他方の主面に上記振動子の長手方向に沿って形成され、上記振動子を振動させるための信号が供給される少なくとも1つの駆動電極と、
上記圧電体の対向する他方の主面に上記駆動電極を挟む形で互いに平行に形成され、上記振動子に生じるコリオリ力に応じた信号を出力するための少なくとも1対の検出電極とを備え、
上記振動子の機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材を介して上記駆動電極と上記基準電極との間に電圧を印加して、上記圧電体により上記振動子を振動させるとともに上記振動子に生じるコリオリ力を上記圧電体により検出し、上記検出電極から上記コリオリ力に応じた信号として得られる角速度検出信号を上記振動子の機械的支持及び電気的接続を兼ねる支持部材を介して出力することを特徴とする請求項1記載の角速度センサ。
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