JP5578110B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

回転機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5578110B2
JP5578110B2 JP2011041979A JP2011041979A JP5578110B2 JP 5578110 B2 JP5578110 B2 JP 5578110B2 JP 2011041979 A JP2011041979 A JP 2011041979A JP 2011041979 A JP2011041979 A JP 2011041979A JP 5578110 B2 JP5578110 B2 JP 5578110B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vector
component
voltage
rotating machine
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011041979A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012182858A (ja
Inventor
康明 青木
友哉 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2011041979A priority Critical patent/JP5578110B2/ja
Publication of JP2012182858A publication Critical patent/JP2012182858A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5578110B2 publication Critical patent/JP5578110B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、突極性を有する回転機の端子を互いに相違する電圧印加手段に選択的に接続するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで、前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき回転機の回転角度を推定する推定手段を備える回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、3相電動機の推定d軸の正方向および負方向に振動する高周波電圧信号を印加した際に電動機に実際に伝播する高周波電流信号に基づき電動機の電気角を推定するものも提案されている。
特許第3312472号公報
ただし、上記のように、3相電動機の制御量を制御するための電圧に高周波電圧信号を重畳させる場合、高周波電圧信号に起因したノイズが生じる。
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、突極性を有する回転機の端子を互いに相違する電圧印加手段に選択的に接続するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで、前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき回転機の回転角度を推定する推定手段を備える新たな回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
第1の発明は、突極性を有する回転機の端子を互いに相違する電圧印加手段に選択的に接続するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで、前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき回転機の回転角度を推定する推定手段を備える回転機の制御装置において、前記回転機を流れる電流についての前記電力変換回路の操作状態の切り替えに伴って変化する成分であるリプル電流を検出するリプル電流検出手段と、前記リプル電流の検出値に基づき、前記回転機の電気角周期で周期的に変化する電圧である周期ベクトルの少なくとも1成分を算出するベクトル成分算出手段とを備え、前記推定手段は、前記ベクトル成分算出手段による算出値に基づき、前記回転角度を推定することを特徴とする。
突極性を有する回転機は、回転子の周上の透磁率の相違に起因して固定子の自己インダクタンスや相互インダクタンスが変化する。そしてこの変化は、電気角の半周期を1周期とするものとして精度良くモデル化することができる。この周期的に変化するインダクタンス成分は、電気角周期で周期的に変化する成分と電気角に依存しない成分とに分解することができる。そして電気角周期で周期的に変化する成分の少なくとも一部を上記周期ベクトルとするなら、上記周期ベクトルを用いて回転角度を推定することができる。特に、この周期ベクトルには、電流の微分値を含むようにすることができるため、リプル電流に応じた成分とすることもできる。そしてこの場合、周期ベクトルは、回転機の低回転速度領域であっても使用不可能なほどに小さい値とはならない。上記発明では、この点に着目し、リプル電流を用いて上記周期ベクトルの少なくとも1成分を算出することで、回転角度を推定する。
第2の発明は、第1の発明において、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機の端子に印加することが要求されて且つ前記電力変換回路の出力電圧の平均値によって実現される平均電圧と、前記電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルとの差に基づき、印加電圧の高周波成分である高周波電圧の前記少なくとも1成分を算出する高周波電圧算出手段をさらに備え、前記ベクトル成分算出手段は、前記リプル電流の検出値に基づき、前記高周波電圧算出手段によって算出された高周波電圧から、前記周期ベクトルに平行な成分である高周波周期ベクトルの前記少なくとも1成分を抽出する高周波周期ベクトル抽出手段を備え、前記推定手段は、前記高周波周期ベクトルの前記少なくとも1成分に基づき前記回転角度を推定することを特徴とする。
電力変換回路は、用いる電圧印加手段を短いタイムスケールで切り替えることで、回転機の端子に印加される平均電圧を正弦波電圧とする。この場合、電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルから平均電圧ベクトルを減算したものが、上記切り替えに伴う高周波電圧ベクトルとなる。そしてこの高周波電圧ベクトルによって回転機を流れる電流が短いタイムスケールで変動する。このため、この電流の変動を、高周波電圧ベクトルおよび高周波周期ベクトルと関係付けることができる。上記発明では、この点に鑑み、この変動する電流(上記検出されるリプル電流)に基づき、高周波電圧ベクトルのうち周期ベクトルに平行な成分を抽出する。
第3の発明は、第1の発明において、前記ベクトル成分算出手段は、前記リプル電流の検出値と、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流と、前記電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルとに基づき、前記少なくとも1成分を算出することを特徴とする。
回転機を流れる電流は、電力変換回路の現在の操作状態のみによっては定まらず、操作状態の過去の履歴に応じて定まるものである。このため、電力変換回路の現在の操作状態によって回転機の端子に印加される電圧が定まったとしても、これに流れる電流が定まらず、ひいては、電圧と電流とを関係付けるための情報が不足する。この点、上記発明では、回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流をも用いることで、電圧と電流とを関係付けることができ、ひいては、電圧のうち周期ベクトル成分を特定する処理を行うことができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記ベクトル成分算出手段は、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流と前記リプル電流の検出値とに基づき、前記電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルのうちの前記周期ベクトルに平行なベクトル成分である現在時周期ベクトルについての前記少なくとも1成分を抽出する現在時周期ベクトル抽出手段と、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流に基づき、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機の端子に印加することが要求されて且つ前記電力変換回路の出力電圧の平均値によって実現される平均電圧から、前記周期ベクトルに平行なベクトル成分である平均周期ベクトルについての前記少なくとも1成分を抽出する平均周期ベクトル抽出手段と、前記現在時周期ベクトルの前記少なくとも1成分から前記平均周期ベクトルの前記少なくとも1成分を減算することで高周波周期ベクトルの前記少なくとも1成分を算出する高周波周期ベクトル算出手段と、を備え、前記推定手段は、前記高周波周期ベクトルの前記少なくとも1成分に基づき前記回転角度を推定することを特徴とする。
現在時周期ベクトルは、突極機特有の周期的に変化するインダクタンス成分を、電気角周期で周期的に変化する成分と電気角に依存しない成分とに分解した場合における電気角周期で周期的に変化する成分等となる。この成分は、電流の微分値に比例する項と電流の微分値に依存しない項とを有するが、これら各項同士で符号が逆となることがある。そしてこの場合には、現在時周期ベクトルは非常に小さくなり、ひいては回転角度の推定に用いたのではその推定精度が低下するおそれがある。上記発明では、この点に鑑み、現在時周期ベクトルのうち上記電流の微分値に依存しない項を平均周期ベクトルとして抽出し、現在時周期ベクトルから減算することで、上記電流の微分値に比例する項(高周波周期ベクトル)を抽出する。
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、前記リプル電流検出手段は、前記電力変換回路の操作状態が固定されている期間における少なくとも2点の電流に基づき前記リプル電流を検出することを特徴とする。
第6の発明は、第1〜5のいずれか1つの発明において、前記ベクトル成分算出手段は、前記周期ベクトルを前記推定される回転角度が誤差Δθを有するとして回転座標系に変換したものについての前記少なくとも1成分を算出することを特徴とする。
上記発明では、回転座標系を用いることで、回転角度の変化に起因して回転機の制御量を制御するための電流が変化することを回避することができる。このため、回転機を流れる電流の回転座標系成分の全変化を、上記操作状態の切り替えに伴うリプル電流とみなしたとしても、誤差を生じない。
第7の発明は、第1〜5のいずれか1つの発明において、前記ベクトル成分算出手段は、固定座標系における前記周期ベクトルの前記少なくとも1成分を算出することを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明において、前記推定手段は、固定座標系における前記周期ベクトルの前記少なくとも1成分についての複数周期分の算出値の履歴に基づき今回の回転角度を推定する手段を備えることを特徴とする。
固定座標系における周期ベクトルの成分は、回転角度を独立変数とする三角関数に比例するため、逆三角関数によって回転角度を直接算出することができる。ただし、この場合、都度の周期ベクトルの算出値に含まれるノイズ等の影響が最終的な回転角度に直接的に及ぼされるおそれがある。上記発明では、この点に鑑み、複数周期分の周期ベクトルの算出値の少なくとも1成分を用いることで、上記ノイズ等の影響を好適に抑制する。
なお、前記推定手段は、前記ベクトル成分算出手段によって算出された前記少なくとも1成分の逆三角関数から第1回転角度を算出する手段と、該第1回転角度から算出される回転速度を平滑化したものの積分演算によって第2回転角度を算出する手段と、前記推定される最終的な回転角度を前記第1回転角度にフィードバック制御すべく、前記第2回転角度を補正することで前記最終的な回転角度を算出する手段とを備えるようにしてもよい。
第9の発明は、第1〜8のいずれか1つの発明において、前記電力変換回路は、前記回転機の端子に直流電圧源の正極および負極のそれぞれを選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路であることを特徴とする。
第10の発明は、第9の発明において、前記ベクトル成分算出手段は、前記直流電圧源の電圧と、前記直流交流変換回路のスイッチング素子における電圧降下とに基づき、前記直流交流変換回路の出力電圧を算出して前記少なくとも1成分の算出処理に用いることを特徴とする。
直流交流変換回路の出力電圧(電位)は、直流電圧源の電極電位に対してスイッチング素子における電圧降下量だけずれたものとなりうる。上記発明では、この点に鑑み、スイッチング素子の電圧降下量を考慮することで、直流交流変換回路の出力電圧をより高精度に求めることができ、ひいては上記少なくとも1成分をより高精度に算出することができる。
第11の発明は、第10の発明において、前記直流交流変換回路の前記スイッチング素子は、一方向の電流の流通のみを許容するものであり、前記直流交流変換回路の前記スイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されており、前記ベクトル成分算出手段は、前記少なくとも1成分の算出処理において前記直流交流変換回路の出力電圧を算出するに際し、前記回転機を流れる電流の極性に基づき前記スイッチング素子における電圧降下と前記ダイオードの電圧降下とのいずれかを選択的に用いることを特徴とする。
スイッチング素子が一方向の電流の流通のみを許容するものである場合、回転機の電流の極性によって、電流がスイッチング素子に流れるかダイオードに流れるかが相違しうる。そして、スイッチング素子の電圧降下量とダイオードの電圧降下量とは相違することがある。上記発明では、この点に鑑み、直流交流変換回路の出力電圧の算出に際して、これら一対の電圧降下量のいずれを用いるかを選択する。
第12の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明において、前記回転機は、永久磁石を備え、前記周期ベクトルは、前記回転機の固定座標系における電圧方程式のうち電気角および電流の双方に依存する突極機特有の項から前記永久磁石によって誘起される誘起電圧に平行な成分を抽出したものを含むことを特徴とする。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 モータジェネレータを流れる電流のリプルを示すタイムチャート。 上記実施形態にかかる回転角度の推定処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるリプル電流の検出手法を示すタイムチャート。 上記推定処理において用いる電圧ベクトル成分を示す図。 第2の実施形態にかかる回転角度の推定処理の手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかる回転角度の推定処理の手順を示す流れ図。 第4の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる回転角度の推定処理の手順を示す流れ図。 第5の実施形態にかかる回転角度の推定処理の手順を示す流れ図。 第6の実施形態にかかる推定処理において用いる電圧ベクトル成分を示す図。 第7の実施形態にかかるリプル電流の検出手法を示すタイムチャート。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる回転機の制御装置を車載主機としての回転機の制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
モータジェネレータ10は、3相の永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。
モータジェネレータ10は、インバータIVを介して端子電圧が例えば百V以上の高電圧バッテリ12に接続されている。インバータIVは、スイッチング素子S*p,S*n(*=u,v,w)の直列接続体を3組備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S*#(*=u,v,w;#=p,n)として、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD*#が逆並列に接続されている。
本実施形態では、モータジェネレータ10やインバータIVの状態を検出する検出手段として、以下のものを備えている。まずモータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwを検出する電流センサ14を備えている。さらに、インバータIVの入力電圧(電源電圧Vdc)を検出する電圧センサ16を備えている。
上記各種センサの検出値は、図示しないインターフェースを介して低電圧システムを構成する制御装置20に取り込まれる。制御装置20では、これら各種センサの検出値に基づき、インバータIVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータIVのスイッチング素子S*#を操作する信号が、操作信号g*#である。以下、上記操作信号g*#の生成に関する処理について説明する。
電流センサ14によって検出される3相の実電流iu,iv,iwは、αβ変換部22において固定座標系の実電流iα、iβに変換される。ここで、α軸の正方向は、U相に一致し、β軸はこれに対して「π/2」だけ進角した方向とする。αβ軸上の実電流iα、iβは、dq変換部24においてモータジェネレータ10の回転角度θに基づき回転座標系の実電流id,iqに変換される。
一方、指令電流設定部26は、要求トルクTrに基づき、モータジェネレータ10を流れる電流のdq軸上の指令値(指令電流idr,iqr)を設定する。電流制御器28では、実電流idを指令電流idrにフィードバック制御するための操作量として指令電圧vdrを算出するとともに、実電流iqを指令電流iqrにフィードバック制御するための操作量として指令電圧vqrを算出する。ここで、フィードバック制御器は、比例要素および積分要素によって構成することが望ましい。なお、これら指令電圧vdr、vqrは、周知の非干渉制御や誘起電圧補償等のフィードフォワード項を上記フィードバック制御器の出力に加算することで算出することが望ましい。
αβ変換部30は、回転角度θに基づき、指令電圧vdr,vqrを、α軸上の指令電圧vαrとβ軸上の指令電圧vβrとに変換するものである。3相変換部32は、指令電圧vαr、vβrを、3相の指令電圧vur,vvr,vwrに変換する。PWM信号生成部34は、インバータIVの出力電圧が3相の指令電圧vur,vvr,vwrとなるように、インバータIVのスイッチング素子を操作する操作信号g*#を生成して出力する。この操作信号の生成に際しては、電圧センサ16によって検出される高電圧バッテリ12の電圧(電源電圧Vdc)が用いられる。
ところで、本実施形態では、回転角度θを角度推定部40によって推定する。この推定に際しては、拡張誘起電圧を用いる。拡張誘起電圧は、「突極型ブラシレスDCモータのセンサレス制御のための拡張誘起電圧オブザーバ 平成11年電気学会全国大会 No.1026」等に詳しい導出がある。ここでは、IPMSMの固定子の自己インダクタンスおよび相互インダクタンスが、回転子の周方向の透磁率の相違に起因して周期的(1電気角の2分の1の期間が1周期)に変動する周知のモデルが前提となっている。拡張誘起電圧は、このモデルのうち「2θ」を独立変数とする三角関数の項を、誘起電圧に平行な項と回転角度に依存しない項とに分割することで得られた以下の式(c1)における右辺第2項である。
Figure 0005578110
ただし、上記の式(c1)では、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、抵抗R、電機子鎖交磁束定数φ、電気角速度(回転速度ω)を用いている。
上記の式(c1)を、「θ+Δθ:回転角度θの推定誤差Δθ」だけ回転させることで得られる回転座標系での方程式は、以下の式(c2)となる。なお、「θ+Δθ」だけ回転した座標系は、dq軸に対してΔθだけずれた座標系であり通常γδ座標系とされるものであるが、本実施形態では、説明の便宜上、これをdq座標系と記載する。
Figure 0005578110
上記の式(c2)における回転座標系の拡張誘起電圧(e・sinΔθ,e・cosΔθ)を用いることで、回転角度θの推定誤差Δθを推定することができる。このため、これをゼロにフィードバック制御するように回転角度θを操作することで、回転角度θを真の値とすることができる。
ただし、回転速度ωがゼロまたは非常に小さい場合、拡張誘起電圧のうち回転速度ωに比例する項は非常に小さくなる。このため、通常、拡張誘起電圧は、極低速運転状態においては用いられない。しかし、本実施形態では、上記拡張誘起電圧のうち、q軸の時間微分値に比例する項を利用することで、モータジェネレータ10の停止時や極低速回転速度運転時においても拡張誘起電圧を利用して回転角度θを推定する。
ここで、q軸の時間微分値を大きくすべく、指令電流iqrを変動させる場合には、トルク変動の原因となる。そこで本実施形態では、インバータIVのスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流に着目する。すなわち、インバータIVは、スイッチング素子S*#のスイッチング状態の切り替えによって、出力平均電圧を正弦波電圧を模擬したものとするものであるものの、短いタイムスケールでは、インバータIVの出力電圧は大きく変動しており、これに伴って図2に示すように、モータジェネレータ10の各相を流れる電流も変動している。この変動する電流であるリプル電流と、これを生じさせる高周波電圧等に基づき、拡張誘起電圧から上記推定誤差Δθを抽出することで回転角度θを推定することができる。
図3に、本実施形態にかかる回転角度θの推定処理の手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、インバータIVの操作状態を表現する電圧ベクトルViがゼロ電圧ベクトルV0,V7のいずれかであるか否かを判断する。この処理は、リプル電流の検出対象となる電圧ベクトルとなっているか否かを判断するためのものである。ここで、リプル電流の検出対象となる電圧ベクトルをゼロ電圧ベクトルとしたのは、モータジェネレータ10の低回転速度運転時においては、単一の電圧ベクトルが維持される期間は、ゼロ電圧ベクトルのものが一番長いためである。このため、制御装置20内で所定周期で電流をサンプリングする場合、単一の電圧ベクトルが維持される期間が短い場合と比較して、一対の電流の差の検出精度を高くすることができる。また、ゼロ電圧ベクトルに伴うリプル電流が最も大きくなるため、リプル電流の検出精度を高いものとすることが容易ともなる。
ステップS10において肯定判断される場合、ステップS12において、平均電流iua,iva,iwaと、リプル電流変化速度piu,piv,piwとを算出する。ここで、リプル電流変化速度は、図4(a)に示す態様にて算出すればよい。すなわち、ゼロ電圧ベクトル期間(ここでは、V0を例示)の間の互いに相違する時刻t0、t1における電流の変化速度として、リプル電流変化速度piu,piv,piwを算出する。なお、上記時刻t1,t2は、図4(b)に示すように、ゼロ電圧ベクトル期間の両端部とすることが望ましい。これにより、電流の差を大きくすることができるため、リプル電流変化速度piu,piv,piwの検出精度を向上させることができる。一方、平均電流は、図4(c)に示すように、ゼロ電圧ベクトル期間(ここでは、V0を例示)の中央における各相電流の値とすればよい。もっとも、これに代えて、隣接する有効電圧ベクトル期間(図中、V1,V6を例示)の中央における各相電流の値としてもよい。
先の図3のステップS14においては、上記の式(c2)の右辺第2項の拡張誘起電圧(e・sinΔθ,e・cosΔθ)=(ed,eq)を、下記の式(c3)によって算出する。
Figure 0005578110
上記の式(c3)は、上記の式(c2)における右辺第1項を左辺に移項したものである。また、電流ベクトル(id,iq)は、微分演算子以外にかかる場合(抵抗Rにかかる場合)には、平均電流i*a(*=u,v,w)をdq変換したものであり、微分演算子にかかる場合には、リプル電流変化速度pi*をdq変換したものである。なお、上記電圧ベクトル(vd、vq)は、現在の電圧ベクトルViをdq軸上に変換したものである。ちなみに、図5(a)に示す各電圧ベクトルViのdq軸成分を、図5(b)に示した。
続くステップS16においては、上記の式(c2)における高調波成分以外の部分(基本波成分)を用いた以下の式(c4)によって、拡張誘起電圧の基本波成分である平均拡張誘起電圧(edq,eqa)を抽出する。
Figure 0005578110
続くステップS18においては、上記ステップS14において算出された拡張誘起電圧(ed,eq)から上記ステップS16において算出された平均拡張誘起電圧(eda,eqa)を減算することで、拡張誘起電圧の高周波成分である高周波拡張誘起電圧(edtr,eqtr)を算出する。続くステップS20では、まず、高周波拡張誘起電圧のd軸成分とq軸成分との比の逆正接関数によって推定誤差Δθを算出する。次に、これを入力とする比例要素および積分要素の出力同士の和として電気角速度(回転速度ω)を算出する。そして回転速度ωの時間積分演算として回転角度θを推定する。これにより、回転角度θは、推定誤差Δθをゼロにフィードバック制御するための操作量となる。
なお、上記ステップS20の処理が完了する場合や、ステップS10において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、高周波拡張誘起電圧(edtr,eqtr)に基づき、推定誤差Δθを算出することができる。ここで、高周波拡張誘起電圧を用いたのは、上記の式(c1)からもわかるように、回転速度ωがゼロでない場合に拡張誘起電圧の係数eがゼロになりうるからである。すなわち、IPMSMでは、「Ld<Lq」であるため、「Ld−Lq」は負であり、d軸電流は通常ゼロ以下であるため、力行時においては、「(Ld−Lq)ωid+ωφ>0」である。一方、力行時(q軸電流が正の場合)においては、q軸電流の微分値は、ゼロ電圧ベクトル期間においては負となるため、q軸電流の微分値に比例する項も正となり、この項が他の項と打ち消しあう。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)インバータIVのスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流を用いて算出される拡張誘起電圧(の一部)から、推定誤差Δθを算出した。これにより、永久磁石界磁による誘起電圧が小さいモータジェネレータ10の極低速運転状態においても、誘起電圧に平行なベクトルに基づき、回転角度を推定することができる。
(2)拡張誘起電圧(ed,eq)から平均拡張誘起電圧(eda,eqa)を減算することで、高周波拡張誘起電圧(edtr,eqtr)を算出し、これに基づき推定誤差Δθを算出した。これにより、回転速度ωがゼロでなくなることでq軸電流の微分値に比例する項と、それ以外の項とが打ち消しあう事態が生じたとしても、誘起電圧に平行な成分をゼロより大きい値として算出することができる。
(3)ゼロ電圧ベクトル期間における電流の変動をリプル電流として検出した。これにより、モータジェネレータ10の回転速度が小さい場合に、リプル電流の算出期間を極力大きくすることができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図6に、本実施形態にかかる回転角度θの推定処理の手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図6に示す処理において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS12の処理の後、ステップS22において、モータジェネレータ10の端子に印加される電圧の高周波成分(vdtr,vqtr)を算出する。これは、インバータIVの現在の操作状態を示す電圧ベクトルViから指令電圧vdr、vqrを減算したものとなる。すなわち、インバータIVの平均電圧は、指令電圧vdr,vqrであり、電圧ベクトルViは、これを用いて「Vi=(vdr,vqr)+{Vi−(vdr,vqr)}」と分解できる。ここで、右辺第1項は、基本波電圧であり、第2項は、高周波電圧と考えることができる。
続くステップS24においては、下記の式(c5)に基づき、高周波拡張誘起電圧(edtr,eqtr)を算出する。
Figure 0005578110
上記の式(c5)は、上記の式(c2)の高周波成分のみを抽出したものである。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかる回転角度θの推定処理の手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図7に示す処理において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、まずステップS10aにおいて、インバータIVの現在の操作状態を表現する電圧ベクトルViが有効電圧ベクトルV1〜V6であるか否かを判断する。この処理は、リプル電流の検出対象となる電圧ベクトルとなっているか否かを判断するためのものである。ここで、リプル電流の検出対象となる電圧ベクトルを有効電圧ベクトルとしたのは、モータジェネレータ10の回転速度ωがゼロではない場合において、拡張誘起電圧の係数eのうちのq軸電流の微分値に比例する項と残りの項との符号を等しくするための設定である。
そしてステップS20aでは、ステップS14において算出された拡張誘起電圧(ed,eq)に基づき、推定誤差Δθを算出する。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、固定座標系(αβ座標系)における拡張誘起電圧モデルを用いて上記第1の実施形態に対応する処理を行うことで、モータジェネレータ10の回転角度θを推定する。
図8に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図8において、先の図1に示した処理に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
角度推定部40aでは、拡張誘起電圧から回転角度θ1を算出する。速度算出部42では、回転角度θ1の時間微分演算に基づき回転速度ω1を算出する。ローパスフィルタ44は、回転速度ω1を入力とし、これに重畳されるノイズを除去することで回転速度ωを算出する。なお、ローパスフィルタ44は、たとえば1次遅れフィルタ等とすればよい。積分演算部46では、回転速度ωの積分演算を行う。フィードバック制御部48では、最終的な回転角度θを回転角度θ1にフィードバック制御するための操作量を算出する。補正部50では、積分演算部46の出力を上記操作量で補正することで回転角度θを算出する。
図9に、本実施形態にかかる回転角度θの推定処理の手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図9に示す処理において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS14aにおいて、以下の式(c6)により、αβ座標系における拡張誘起電圧(eα、eβ)を算出する。
Figure 0005578110
上記の式(c6)は、上記の式(c1)における右辺第1項を左辺に移項したものである。また、電流ベクトル(iα,iβ)は、微分演算子以外にかかる場合(抵抗Rにかかる場合)には、平均電流i*a(*=u,v,w)をαβ変換したものであり、微分演算子にかかる場合には、リプル電流変化速度pi*をαβ変換したものである。なお、上記電圧ベクトル(vα、vβ)は、現在の電圧ベクトルViをαβ軸上に変換したものである。
続くステップS16aにおいては、上記の式(c1)における高調波成分以外の部分(基本波成分)を用いた以下の式(c7)によって、拡張誘起電圧の基本波成分である平均拡張誘起電圧(eαa,eβa)を抽出する。
Figure 0005578110
続くステップS18aにおいては、上記ステップS14aにおいて算出された拡張誘起電圧(eα,eβ)から上記ステップS16aにおいて算出された平均拡張誘起電圧(eαa,eβa)を減算することで、拡張誘起電圧の高周波成分である高周波拡張誘起電圧(eαtr,eβtr)を算出する。続くステップS20bでは、高周波拡張誘起電圧のα軸成分とβ軸成分との比の逆正接関数によって回転角度θ1を算出する。
なお、上記ステップS20bの処理が完了する場合や、ステップS10において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
(4)回転角度θ1の複数周期分の算出値の履歴に基づき今回の回転角度θを推定した。これにより、都度算出される回転角度θ1に含まれるノイズ等の影響が最終的な回転角度θに直接的に及ぼされる事態を好適に回避することができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、固定座標系(αβ座標系)における拡張誘起電圧モデルを用いて上記第2の実施形態に対応する処理を行うことで、モータジェネレータ10の回転角度θを推定する。
図10に、本実施形態にかかる回転角度θの推定処理の手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図10に示す処理において、先の図6に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS12の処理の後、ステップS22aにおいて、モータジェネレータ10の端子に印加される電圧の高周波成分(vαtr,vβtr)を算出する。これは、インバータIVの現在の操作状態を示す電圧ベクトルViから指令電圧vαr、vβrを減算したものとなる。
続くステップS24aにおいては、下記の式(c8)に基づき、高周波拡張誘起電圧(eαtr,eβtr)を算出する。
Figure 0005578110
上記の式(c8)は、上記の式(c1)の高周波成分のみを抽出したものである。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記第1の実施形態では、先の図5に示したように、インバータIVの出力電圧(現在の操作状態を示す電圧ベクトルVi)を算出するに際し、スイッチング素子S*#やダイオードD*#の電圧降下量を無視した。本実施形態では、図11に示すように、これを考慮する。
すなわち、低電位側のスイッチング素子S*nがオン状態となる場合において、モータジェネレータ10に印加される実際の電圧VLを、高電圧バッテリ12の負極電位よりもスイッチング素子S*nやダイオードD*nの電圧降下量だけ高く設定する。詳しくは、相電流i*(*=u,v,w)が正である場合には、ダイオードD*nの電圧降下量Vfだけ高く設定し、相電流i*が負である場合には、スイッチング素子S*nの電圧降下量Vceだけ高く設定する。
また、高電位側のスイッチング素子S*pがオン状態となる場合において、モータジェネレータ10に印加される実際の電圧VHは、高電圧バッテリ12の正極電位よりもスイッチング素子S*pやダイオードD*pの電圧降下量だけ低く設定する。詳しくは、相電流i*が正である場合には、スイッチング素子S*pの電圧降下量Vceだけ低く設定し、相電流i*が負である場合には、ダイオードD*pの電圧降下量Vfだけ低く設定する。
<第7の実施形態>
以下、第7の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施形態にかかるdq軸上のリプル電流変化速度pid,piqの算出手法を示す。本実施形態では、互いに相違する時刻t0,t1のそれぞれにおける実電流iu,iv,iwをdq変換することで得られる実電流id,iqに基づき、リプル電流変化速度を算出する。この場合、モータジェネレータ10の回転角度θの変化に起因した電流の変化がないため、実電流id,iqの全変化を、インバータIVのスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流とみなしたとしても、誤差を生じない。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「リプル電流検出手段について」
対象とする電圧ベクトルとされる期間内(期間の境界を含む)の2点の電流に基づきリプル電流変化速度を検出するものに限らない。たとえば、期間内の3点の電流に基づき検出するものであってもよい。これは、たとえば隣接する2点同士の差によって算出される一対の電流の変化速度の平均値を算出するなどして行うことができる。
なお、期間内の電流値に基づき検出するものにも限らず、たとえば期間に移行する直前の電流値や期間の終了直後の電流値を用いてもよい。
「平均電圧について」
指令電圧(vdr、vqr)を用いる代わりに、たとえば電圧方程式の微分演算子の項を削除したものに指令電流(idr,iqr)や実電流(id,iq)を入力して算出する手段等、周知の手段によって算出される値を用いてもよい。
「制御量の制御のための電流について」
先の図4(c)に例示した態様にて検出されるものに限らない。たとえば、前回のPWM周期における電流の平均値であってもよい。もっとも電流の検出値を用いるものに限らず、たとえば指令電流(idr,iqr)を用いてもよい。
「固定座標系を用いた場合について」
今回の回転角度が複数の周期ベクトルの算出値の履歴によって定まるようにすることでノイズ等の影響を抑制する手段としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば最終的な算出値を今回の算出値にフィードバック制御するための操作量によって今回の算出値と前回の算出値との加重平均値を補正することで、最終的な算出値を算出してもよい。
「ベクトル成分算出手段について」
上記各実施形態のように、周期ベクトルの全成分を算出するものに限らず、一成分を算出するものであってもよい。この場合であっても、推定手段において逆正弦関数や逆余弦関数を用いて回転角度を推定することはできる。
「推定手段について」
逆正接関数を用いるものに限らないことについては、「ベクトル成分算出手段について」に記載したとおりである。さらに、逆三角関数を用いるものにも限らない。たとえば回転座標系における周期ベクトルの正弦波成分sinΔθをゼロにフィードバック制御すべく回転角度θを操作するものであってもよい。
「電源電圧の利用手法について」
上記第6の実施形態において、ダイオードD*#の電圧降下量Vfと、スイッチング素子S*#の電圧降下量Vceとを区別しなくて簡易に同一とみなして電源電圧Vdcを補正してもよい。
「電力変換回路について」
インバータIVに限らず、たとえば、回転機の端子に3つ以上の互いに相違する値の電圧を印加する電圧印加手段と回転機の端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備えるものであってもよい。なお、回転機の端子に3つ以上の互いに相違する値の電圧を印加するための電力変換回路としては、例えば特開2006−174697号公報に例示されているものがある。
「回転機について」
突極性を有する回転機としては、IPMSMに限らず、たとえば同期リラクタンスモータ等であってもよい。また、永久磁石を備えないものとしては、同期リラクタンスモータにも限らず、たとえば巻線界磁型同期機等であってもよい。
10…モータジェネレータ(突極性を有する回転機の一実施形態)、20…制御装置、40…角度推定部。

Claims (12)

  1. 突極性を有する回転機の端子を互いに相違する電圧印加手段に選択的に接続するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで、前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき回転機の回転角度を推定する推定手段を備える回転機の制御装置において、
    前記回転機を流れる電流についての前記電力変換回路の操作状態の切り替えに伴って変化する成分であるリプル電流を検出するリプル電流検出手段と、
    前記リプル電流の検出値に基づき、前記回転機の電気角周期で周期的に変化する電圧である周期ベクトルの少なくとも1成分を算出するベクトル成分算出手段とを備え、
    前記周期ベクトルの高周波成分を高周波周期ベクトルとし、
    前記ベクトル成分算出手段は、前記リプル電流の検出値に基づき、前記周期ベクトルに平行な成分である前記高周波周期ベクトルの少なくとも1成分を抽出する高周波周期ベクトル抽出手段を備え、
    前記推定手段は、前記高周波周期ベクトルの少なくとも1成分に基づき、前記回転角度を推定することを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記回転機の制御量を制御するために前記回転機の端子に印加することが要求されて且つ前記電力変換回路の出力電圧の平均値によって実現される平均電圧と、前記電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルとの差に基づき、印加電圧の高周波成分である高周波電圧の前記少なくとも1成分を算出する高周波電圧算出手段をさらに備え、
    前記高周波周期ベクトル抽出手段は、前記リプル電流の検出値に基づき、前記高周波電圧算出手段によって算出された高周波電圧から、前記高周波周期ベクトルの少なくとも1成分を抽出することを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記高周波周期ベクトル抽出手段は、前記リプル電流の検出値と、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流と、前記電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルとに基づき、前記高周波周期ベクトルの少なくとも1成分を抽出することを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  4. 前記ベクトル成分算出手段は、
    前記回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流と前記リプル電流の検出値とに基づき、前記電力変換回路の現在の操作状態を示す電圧ベクトルから、前記回転機に流れる電流の微分項に比例する項と前記電流の微分項に依存しない項とを有する現在時周期ベクトルについての前記少なくとも1成分を抽出する現在時周期ベクトル抽出手段と、
    前記現在時周期ベクトルのうち前記電流の微分項に依存しない項を平均周期ベクトルとし、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機に流れる電流に基づき、前記回転機の制御量を制御するために前記回転機の端子に印加することが要求されて且つ前記電力変換回路の出力電圧の平均値によって実現される平均電圧から、前記平均周期ベクトルについての前記少なくとも1成分を抽出する平均周期ベクトル抽出手段と、を備え、
    前記高周波周期ベクトル抽出手段は、前記現在時周期ベクトルの前記少なくとも1成分から前記平均周期ベクトルの前記少なくとも1成分を減算することで、前記高周波周期ベクトルの少なくとも1成分を抽出ることを特徴とする請求項3記載の回転機の制御装置。
  5. 前記リプル電流検出手段は、前記電力変換回路の操作状態が固定されている期間における少なくとも2点の電流に基づき前記リプル電流を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  6. 前記ベクトル成分算出手段は、前記周期ベクトルを前記推定される回転角度が誤差Δθを有するとして回転座標系に変換したものについての前記少なくとも1成分を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  7. 前記ベクトル成分算出手段は、固定座標系における前記周期ベクトルの前記少なくとも1成分を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記推定手段は、固定座標系における前記周期ベクトルの前記少なくとも1成分についての複数周期分の算出値の履歴に基づき今回の回転角度を推定する手段を備えることを特徴とする請求項7記載の回転機の制御装置。
  9. 前記電力変換回路は、前記回転機の端子に直流電圧源の正極および負極のそれぞれを選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  10. 前記ベクトル成分算出手段は、前記直流電圧源の電圧と、前記直流交流変換回路のスイッチング素子における電圧降下とに基づき、前記直流交流変換回路の出力電圧を算出して前記少なくとも1成分の算出処理に用いることを特徴とする請求項9記載の回転機の制御装置。
  11. 前記直流交流変換回路の前記スイッチング素子は、一方向の電流の流通のみを許容するものであり、
    前記直流交流変換回路の前記スイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されており、
    前記ベクトル成分算出手段は、前記少なくとも1成分の算出処理において前記直流交流変換回路の出力電圧を算出するに際し、前記回転機を流れる電流の極性に基づき前記スイッチング素子における電圧降下と前記ダイオードの電圧降下とのいずれかを選択的に用いることを特徴とする請求項10記載の回転機の制御装置。
  12. 前記回転機は、永久磁石を備え、
    前記周期ベクトルは、前記回転機の固定座標系における電圧方程式のうち電気角および電流の双方に依存する突極機特有の項から前記永久磁石によって誘起される誘起電圧に平行な成分を抽出したものを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
JP2011041979A 2011-02-28 2011-02-28 回転機の制御装置 Expired - Fee Related JP5578110B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011041979A JP5578110B2 (ja) 2011-02-28 2011-02-28 回転機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011041979A JP5578110B2 (ja) 2011-02-28 2011-02-28 回転機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012182858A JP2012182858A (ja) 2012-09-20
JP5578110B2 true JP5578110B2 (ja) 2014-08-27

Family

ID=47013602

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011041979A Expired - Fee Related JP5578110B2 (ja) 2011-02-28 2011-02-28 回転機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5578110B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6183291B2 (ja) * 2014-05-22 2017-08-23 株式会社デンソー 同期モータの制御装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3935543B2 (ja) * 1996-02-01 2007-06-27 株式会社日本自動車部品総合研究所 Pmモータの制御装置
JP4631672B2 (ja) * 2005-11-29 2011-02-16 株式会社デンソー 磁極位置推定方法、モータ速度推定方法及びモータ制御装置
JP4396762B2 (ja) * 2007-04-05 2010-01-13 株式会社デンソー 多相回転機の制御装置
JP2009142073A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Denso Corp 回転機の制御装置及び制御システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012182858A (ja) 2012-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5761243B2 (ja) モータ制御装置および磁極位置推定方法
JP4230276B2 (ja) ブラシレスdcモータの制御装置
JP5324159B2 (ja) モータ制御装置
JP4928855B2 (ja) 同期機のセンサレス制御装置
JP6867267B2 (ja) モータ制御装置およびモータシステム
JP5045541B2 (ja) 多相回転機の制御装置
JP2004048958A (ja) Dcブラシレスモータの制御装置
JP2017208901A (ja) 回転機の制御装置
JP3919003B2 (ja) Dcブラシレスモータのロータ角度検出装置
JP2004032907A (ja) 永久磁石式同期モータの制御装置
JP2009278760A (ja) モータ制御装置及びモータ制御方法
Depenbrock et al. Model-based speed identification for induction machines in the whole operating range
JP2008206330A (ja) 同期電動機の磁極位置推定装置および磁極位置推定方法
JP3920750B2 (ja) Dcブラシレスモータの制御装置
JP5578110B2 (ja) 回転機の制御装置
JP5312179B2 (ja) Dcブラシレスモータの制御装置
JP2009100544A (ja) モータ制御装置
JP5186352B2 (ja) 電動機の磁極位置推定装置
JP3770365B2 (ja) 速度センサレスベクトル制御方法
JP4670045B2 (ja) 電動機の磁極位置推定方法及び装置
JP4479371B2 (ja) 回転位置角推定方法及び回転位置角推定装置並びにインバータ制御方法及びインバータ制御装置
JP2012182859A (ja) 回転機の制御装置
JP7472397B2 (ja) 電力変換装置、推定器及び推定方法
WO2019008838A1 (ja) 誘導電動機の駆動装置及び駆動方法
JP2000217384A (ja) 位置センサレスモ―タの制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140610

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140623

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5578110

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees