JP2004032907A - 永久磁石式同期モータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可変電圧・可変周波数のインバータ20によって駆動される永久磁石式同期モータにおいて、モータ40に流す電流をd軸成分とq軸成分とに定めてそれぞれ独立に制御を行う電流制御手段85と、電流制御手段の出力であるd軸とq軸の電圧指令(Vq*,Vd*)に応じてインバータの出力電圧を制御する手段87と、モータの停止状態でモータのd軸とは無関係な回転座標上の位相θtestを作成し、該作成した位相と同相の電流を電流制御手段によってモータに印加し、電流制御手段の出力であるq軸電圧指令(Vq*)が最大となる時点における位相値をモータの磁極位置として推定する磁極位置推定手段90を備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を界磁に利用した永久磁石式同期モータの制御装置に係り、特に、モータ磁極位置の検出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を界磁に利用した同期モータの駆動制御では、永久磁石の磁極位置を検出し、検出した磁極位置に応じた電機子電流を流すことでトルクを調整する。このため、磁極を検出する手段が必要であり、一般的にはレゾルバやアブソリュートエンコーダ等の回転角の位置情報を有するセンサが用いられる。
上記磁極の位置情報を有するセンサは、誘導モータの駆動制御で通常用いられるインクリメンタルエンコーダに比べ、複雑な構成となるため、コストアップの点や汎用性の面で問題があった。
そこで、磁極位置を検出する手段に、安価で汎用性があるインクリメンタルエンコーダのみを利用する技術が特開平9−215382号公報に開示されている。この技術は、電源投入等の初期時において、永久磁石式同期モータの電機子巻線に流す電流値をゼロから除々に大きくし、且つ、それぞれの電流値に対して電流位相を変化させ、前記モータの出力軸が初めて動く時点の電流位相を力率が1となる磁極位置として推定する初期動作を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、永久磁石式同期モータの出力軸に直結される負荷が無負荷状態の場合に対する検討しかなされていない。すなわち、前記モータが停止状態でも出力軸に負荷トルクが生じており、出力軸に付いたブレーキによって静止保持している場合、ブレーキを開いて磁極を検出する過程で負荷トルクによって前記モータが回転させられるため、磁極推定値に多大な誤差が生じる。さらに、磁極位置を推定し、モータ駆動制御の準備が完了する前に、負荷トルクによって回転させられるため、増速を抑制できず、異常状態となる恐れもある。
【0004】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、永久磁石式同期モータがブレーキによって静止保持される停止状態でも、磁極位置情報を有するセンサを用いることなく、モータの磁極位置を推定により検出するに好適な永久磁石式同期モータの制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、永久磁石式同期モータの停止状態で任意の大きさと周波数の交流電流が前記モータに流れるようにインバータを制御する電流制御手段と、電流制御手段からの電圧指令のうち交流電流に対し位相が90°進んだ電圧成分を検出し、この電圧成分が最大となる時点における交流電流の位相値を前記モータの磁極位置として推定する磁極位置推定手段を設ける。
また、永久磁石式同期モータに流す電流を磁界と同方向(d軸)と磁界に直交する方向(q軸)とに定めてそれぞれ独立に制御を行う電流制御手段と、電流制御手段の出力であるd軸とq軸の電圧指令に応じてインバータの出力電圧を制御する手段と、前記モータの停止状態で前記モータのd軸とは無関係な回転座標上の位相を作成し、作成した位相と同相の電流を電流制御手段によって前記モータに印加し、電流制御手段の出力であるq軸電圧指令が最大となる時点における位相値を前記モータの磁極位置として推定する磁極位置推定手段を設ける。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による永久磁石式同期モータの制御装置を示す。図1において、直流電源10の直流電圧はインバータ20によって可変電圧・可変周波数の交流に変換される。インバータ20の出力は永久磁石式同期モータ40に供給され、これにより同期モータ40を可変速駆動する。永久磁石式同期モータ40の出力軸には、エンコーダ50、ブレーキ装置60、負荷装置70が直結される。エンコーダ50は、前記モータ40の回転角、回転方向及び回転速度を検出するためのパルス信号ΦA、ΦBと、モータの1回転における基準位置を表す原点信号ΦZを発生する。ブレーキ装置60は負荷装置70からのトルクを静止保持するために設けられる。
永久磁石式同期モータの制御装置は、通常動作において、速度指令手段81から速度指令ω*が発生すると、ブレーキ装置60のブレーキを開き、同期モータ40の速度制御を行い、速度制御による運転が終了した後、ブレーキを閉じて停止する。
【0007】
先ず、この通常動作について説明する。
速度指令手段81から速度指令ω*が出力されると、速度演算手段51の出力信号ωが速度制御手段82に入力される。ここで、速度演算手段51はエンコーダ50から出力されるパルス信号ΦA、ΦBの位相関係から正回転と負回転とを判断し、ΦAのパルス幅から速度を演算し、速度制御手段82に速度出力信号ωを出力する。速度制御手段82は、速度指令ω*と速度出力信号ωとの偏差に応じて働き、その出力信号は同期モータ40のトルク指令信号T*になる。速度制御手段82の出力信号T*は、q軸電流指令手段83に入力され、q軸電流指令手段83ではトルク指令信号T*に応じたq軸電流指令Iq*が演算される。q軸電流指令Iq*は、同期モータ40の電機子電流ベクトルの磁界方向(モータ磁石のN極方向)と直交する成分の指令であり、電流制御手段85に入力される。d軸電流指令手段84は、同期モータ40の電機子電流ベクトルの磁界と同方向成分の指令であるd軸電流指令Id*を演算し、このd軸電流指令信号Id*も電流制御手段85に入力される。永久磁石式同期モータの場合、永久磁石により電機子に対する磁界が常時確立しているので、通常、d軸電流は零でよく、d軸電流指令Id*は零に設定される。電流制御手段85は、uvw−dq座標変換手段88からのdq軸の電流検出値Id、Iqがdq軸の電流指令Id*、Iq*の指令通りに流れるように制御するためのものであり、その出力はd軸及びq軸の直流電圧指令Vd*、Vq*になる。uvw−dq座標変換手段88は、d軸の位相指令信号θd*をもとに電流検出器30で検出したインバータ20の出力電流iu、iv、iwをdq軸座標軸上の電流Id、Iqに変換する。ここで、通常動作において、信号切換えスイッチ54はa側の接点が入っているため、d軸の位相指令信号θd*には、加算器53からのd軸位相信号θdが入力されている。磁極位置演算手段52は、エンコーダ50から出力されるパルス信号ΦA、ΦBの位相関係から正転と逆転を判断するアップカウンタ/ダウンカウンタとして動作し、このカウンタ値をエンコーダ50の原点信号ΦZからの位相信号θzとして加算器53に出力する。また、磁極位置演算手段52では原点信号ΦZが入力されると同時にカウンタ値をゼロにし、カウント時の誤差を無くする動作を行う。加算器53では、磁極位置演算手段52からの位相信号θzと磁極位置推定手段90から出力されるオフセット値θoffsetを加算して、同期モータ40のd軸位相信号θdを作成し、信号切換えスイッチ54に出力する。
なお、磁極位置推定手段90の磁極位置推定動作については後で詳細に説明する。
dq−uvw座標変換手段86は、d軸磁極の位相指令信号θd*をもとに電流制御手段85からのVd*、Vq*を3相交流電圧指令vu*、vv*、vw*に変換する。すなわち、dq−uvw座標変換手段86は、uvw−dq座標変換手段88の逆変換手段である。PWMパルス発生手段87では、dq−uvw座標変換手段86の出力信号vu*、vv*、vw*に応じたインバータ20を駆動するPWMパルス信号をインバータ20に出力する。インバータ20では、PWMパルス発生手段87からのPWMパルス信号により、PWM制御が実行され、インバータ20の出力電圧、出力周波数が制御される。このようにして永久磁石式同期モータ40の速度が制御される。
【0008】
次に、本実施形態における磁極位置の検出動作を以下に説明する。
先ず、磁極位置の推定原理について説明する。突極型の永久磁石式同期モータのdq座標上における回路方程式は、数式(1)、(2)で表せる。
vd=(Ra+P・Ld)・id−(ωre・Lq)・iq (1)
vq=(ωre・Ld)・id+(Ra+P・Lq)・iq+ωre・Φa (2)
vd、vq:電機子電圧のd、q軸成分
id、iq:電機子電流のd、q軸成分
Ra:1相分の電機子抵抗
Ld、Lq:d、q軸の電機子自己インダクタンス
Φa:永久磁石による電機子鎖交磁束
P:微分演算子(=d/dt)
ωre:角周波数(電気角周波数)
ここで、数式(1)、(2)にモータ軸の拘束条件(ωre=0)を与えると、
vd=(Ra+P・Ld)・id (3)
vq=(Ra+P・Lq)・iq (4)
となる。このようにモータ軸を拘束した状態において、インバータから数式(5)の条件の電流をモータに印加した場合を考える。
Id*=I1、Iq*=0、θd*=∫(ω1*)dt (5)
Id*、Iq*:d、q軸の電流指令、I1:モータ印可電流の大きさ
ω1*:角周波数指令(=2πf1)、θd*:制御装置内でのd軸位相
数式(5)の電流は、モータのd、q軸上において、
id=I1・cosδ、iq=I1・sinδ、δ=θd*−θd (6)
θd:モータのd軸位相
δ:制御装置内d軸位相とモータd軸位相との差の角度となり、
電流のベクトル図は、図2のようになる。
数式(6)を数式(3)、(4)式に代入すると、制御装置内の指令値で表したモータd、q軸上の電圧vd、vqが求まる。
vd=Ra・I1・cosδ−ω1*・Ld・I1・sinδ (7)
vq=Ra・I1・sinδ+ω1*・Lq・I1・cosδ (8)
ここで、モータd、q軸電圧vd、vqと制御装置内d、q軸電圧Vd*、Vq*との関係は、図3のベクトル図のようになり、vd、vqをω1*で回転する座標である制御装置内部のd、q軸電圧Vd*、Vq*へ変換する式は、数式(9)、(10)で表せる。
Vd*=cosδ・vd+sinδ・vq (9)
Vq*=−sinδ・vd+cosδ・vq (10)
上記数式(7)、(8)を変換式の数式(9)、(10)に代入し整理すると、
を得る。
数式(11)、(12)から、制御装置内のd、q軸電圧Vd*、Vq*には、制御装置内d軸位相θd*とモータd軸位相θdの差角δに関係しない直流成分と、δに関係する成分があることが分る。
ここで、数式(12)のq軸側の式において、q軸電圧指令Vd*が最大値になる点に着目すると、cos(2δ)=1の時にVq*が最大になり、この時のδはδ=0°、180°のいずれかである。すなわち、Vq*を常時観測しておき、Vq*最大時のd軸位相指令θd*を求めれば、モータのd軸位相θdの0°又は180°の点が検出できる。ここで、モータのd軸位相θdが0°とは電機子鎖交磁束が正の極性(N極)で最大になる点であり、180°とは電機子鎖交磁束が負の極性(S極)で最大となる点である。
【0009】
図4は、モータの磁極位相θdを90°の点で固定した場合における動作波形を計算した図である。図4において、Vq*が最大値の位相θd*は、90°と270°の2点であり、極性が不明なため、モータのd軸位相がどちらなのかが不明である。そこで、極性の判別には電機子鎖交磁束の飽和現象を利用する。具体的には、磁極位置推定時に印加する電流を電機子鎖交磁束に飽和が生じる値まで大きく設定し、N極の変わりにS極側を検出する。即ち、δ=0°、180°のうち、0°は電機子鎖交磁束が正極性の位相であり、その方向に電機子電流を流した場合、電機子の鉄心内の磁束が増磁されるため、磁束飽和が生じ易くなり、その結果、N極側のVq*はS極側のVq*より小さくなる。従って、Vq*最大条件で求まるd軸位相指令θd*はS極側となるので、d軸磁極位相の推定値θd^は、
θd^=θd*(Vq*max)−180° (13)
θd^:モータd軸位相推定値
θd*(Vq*max):Vq*が最大値となる時点の制御装置内位相θd*
で求めることができる。
【0010】
図5は、図4と同様にモータの磁極位相θdを90°の点で固定した場合におけるq軸電圧指令値Vq*の動作波形を示した図である。図5において、Vq*が最大値の位相θd*(Vq*max)は270°であるので、永久磁石の磁極位置は270°−180°=90°の位置にあると推定できる。
図6は、注入する電流の大きさに対するN極とS極の位置におけるVq*の電圧差の関係を表した一例である。図6から、注入する電流の大きは、モータの定格電流(100%)程度であれば、電圧差Vq*max(S極)−Vq*max(N極)が十分大きく、ノイズ等に対して精度を確保できることが分かる。注入する電流の大きさはモータの形状等で変わるが、予め、図6に示す特性を実験により確認して決めれば良い。また、推定演算の過程でモータの電気的な定数を全く使用していないことから、温度など環境の変化によるモータ定数の変動に対し、精度が劣化しない利点がある。さらに、推定演算に複雑な数式を用いていないことから、製品として実装する際、制御系をハードで構成した場合に部品点数が押さえられる。また、マイコンによるソフトで構成した場合でも僅かなプログラムの追加で実現できる利点がある。
【0011】
以上が本実施形態における磁極位置の推定原理であり、次に、動作の詳細について説明する。
同期モータ40の磁極位置を検出する動作が必要な場合について整理すると、
(1)製品製作時やエンコーダ交換時等でエンコーダ50の原点信号ΦZの位置(θz=0°)と同期モータ40の磁極位置θdとの関係(θoffsetの量)を喪失、又はずれてしまった場合
(2)原点信号ΦZの位置(θz=0°)と磁極位置θdとの関係(θoffset)は分っているが、電源投入の初期時等で原点信号ΦZからの位相θzが分らなくなった場合
の二つに大別できる。
【0012】
先ず、上記(1)の原点信号ΦZの位置(θz=0°)と磁極位置θdとの関係(θoffset)が喪失した場合の動作について、図1と図7のフローチャートを用いて説明する。
製品製作時やエンコーダ交換時等を行った場合θoffsetが喪失しているため、図7のstep1からstep7までの処理を実施する。step1において、図1の信号切換えスイッチ54の接点を通常動作時のa点からb点に切換える。次に、磁極位置推定手段90からq軸電流指令手段83とd軸電流指令手段84の出力信号の値を設定する。具体的には、q軸電流指令Iq*をIq*=0の値に、d軸電流指令Id*をId*=100%(同期モータ40の定格)の値にする。さらに、磁極位置推定手段90から信号切換えスイッチ54へ推定用位相信号θtestを出力し、設定した電流が同期モータ40に流れるように電流制御手段85等の手段を動作させる。ここで、推定用位相信号θtestは、磁極位置推定手段90の内部で数式(14)から作成する。
θtest=∫(ωtest)dt (14)
θtest:推定用位相、ωtest:磁極推定用時の角周波数設定値
次に、step2において、磁極位置推定手段90は、電流制御手段85から出力されるq軸電圧指令Vq*を観測し、Vq*が最大値となる時点のθtestをθtest(Vq*max)として記憶し、電流印加を停止する。
step3において、磁極位置推定手段90は、step2で記憶したθtest(Vq*max)からd軸位相を数式(15)で計算する。
θd^=θtest(Vq*max)−180° (15)
ここまでの動作で同期モータの磁極位置が分かるので、次に、エンコーダ50の原点信号ΦZと磁極位置との関係を求める動作に移る。
step4において、磁極位置推定手段90は、θd^をθoffsetとして仮に設定し、加算器53に出力する。また、磁極位置演算手段52は原点信号ΦZの位相θzをゼロクリアする。
step5では、信号切換えスイッチ54の接点をb点からa点に切り換え、前述した通常運転動作により、ブレーキを開き、同期モータを回転させる。このモータ回転状態において、エンコーダ50からの原点信号ΦZが発生するのを待ち、発生後step6に移る。
step6において、磁極位置演算手段52は、原点信号ΦZ発生時の位相θzをθz’として記憶する。また、モータを停止させる。
step7において、磁極位置推定手段90は、原点信号発生時の位相θz’とd軸位相θd^との和をθoffset(=θd^+θz’)として設定し、加算器53に出力する。以上で磁極位置推定動作が完了する。
【0013】
次に、前述の(2)の原点信号ΦZからの位相θzのみを喪失した場合の動作について、図1と図8のフローチャートを用いて説明する。図8のフローチャートにおいて、step1、step2、step3は図7と同様な動作であるので説明を省略し、動作が異なるstep4B、step5Bのみを説明する。
step3までの動作でd軸位相θd^を得ている。そこで、step4Bにおいて、磁極位置演算手段52では、このθd^と予め分かっているθoffsetとから、原点信号ΦZからの位相θzを推定値θz^として計算する(θz^=θd^−θoffset)。
step5Bにおいて、磁極位置演算手段52では、step4Bで求めたθz^をθzとして設定する。信号切換えスイッチ54の接点をb点からa点に戻し、磁極位置推定動作は完了する。
【0014】
以上のように、本実施形態によれば、モータが停止した状態でも磁極位置を推定できるため、磁極位置情報を有する特別なセンサを必要としない永久磁石式同期モータの制御装置を提供できる。
【0015】
図9は、本発明をエレベータに応用した実施形態を示す。同図において図1と同一番号のものは同一物を示す。
同期モータ40からの出力軸端にシーブ2を接合し、シーブ2に巻付けられたロープ4を介して乗りかご1とカウンタウエイト3が接続される。同期モータ40すなわちシーブ2の回転にしたがって乗りかご1は昇降する。
本発明による制御装置は、図9の実施形態のエレベータのように乗りかご1とカウンタウエイト3との質量差がアンバランストルクとなってモータに加わる負荷特性をもつ駆動系において特に効果がある。すなわち、モータの出力軸に付いたブレーキによってアンバランストルクを静止保持しているモータ停止状態でも磁極位置を推定できるため、磁極位置を推定する過程でアンバランストルクにより異常増速状態になることがない。その結果、磁極位置情報を有する特別なセンサを必要としない、エレベータに応用した永久磁石式同期モータの制御装置を提供できる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、モータがブレーキによって静止保持される停止状態でも、磁極位置情報を有する特別なセンサを用いることなく、モータの磁極位置の検出を高い精度で行うことができる。
また、モータがブレーキによってアンバランストルクを静止保持している停止状態でも、磁極位置を推定できるため、磁極位置を推定する過程でアンバランストルクにより異常増速状態になることがなく、異常状態を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による永久磁石式同期モータの制御装置を示す図
【図2】電流のベクトル図
【図3】電圧のベクトル図
【図4】本発明の原理を説明する図
【図5】本発明の原理を説明する図
【図6】本発明の原理を説明する図
【図7】本発明の動作を示すフローチャート
【図8】本発明の動作を示すフローチャート
【図9】本発明の応用例を示す実施形態の図
【符号の説明】
1…乗りかご、2…シーブ、3…カウンタウエイト、4…ロープ、10…直流電源、20…インバータ、30…電流検出器、40…永久磁石式同期モータ、50…エンコーダ、51…速度演算手段、52…磁極位置演算手段、53…加算器、54…信号切換えスイッチ、60…ブレーキ装置、81…速度指令手段、82…速度制御手段、83…q軸電流指令手段、84…d軸電流指令手段、85…電流制御手段、86…dq−uvw座標変換手段、87…PWMパルス発生手段、88…uvw−dq座標変換手段、90…磁極位置推定手段
Claims (3)
- 可変電圧・可変周波数のインバータによって駆動される永久磁石式同期モータにおいて、前記モータの停止状態で任意の大きさと周波数の交流電流が前記モータに流れるように前記インバータを制御する電流制御手段と、前記電流制御手段からの電圧指令のうち前記交流電流に対して位相が90°進んだ電圧成分を検出し、この電圧成分が最大となる時点における前記交流電流の位相値を前記モータの磁極位置として推定する磁極位置推定手段を備えることを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。
- 可変電圧・可変周波数のインバータによって駆動される永久磁石式同期モータにおいて、前記モータに流す電流を磁界と同方向(d軸)と磁界に直交する方向(q軸)とに定めてそれぞれ独立に制御を行う電流制御手段と、前記電流制御手段の出力であるd軸とq軸の電圧指令に応じて前記インバータの出力電圧を制御する手段と、前記モータの停止状態で前記モータのd軸とは無関係な回転座標上の位相を作成し、該作成した位相と同相の電流を前記電流制御手段によって前記モータに印加し、前記電流制御手段の出力であるq軸電圧指令が最大となる時点における位相値を前記モータの磁極位置として推定する磁極位置推定手段を備えることを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。
- 請求項1または請求項2において、前記永久磁石式同期モータからの出力軸端にシーブを接合し、前記シーブに巻付けられたロープを介して乗りかごとカウンタウエイトを接続し、前記モータの回転にしたがって前記乗りかごを昇降制御するエレベータを設置することを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。
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