JP3935543B2 - Pmモータの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はPMモータの制御装置に関し、特にインバータによる交流モータの制御システムにおいて、PMモータに印加される電圧を正確に知る必要がある場合に、PMモータに流れる電流値とインバータの制御信号からPMモータ各相電圧の平均値を検出し、インバータのデッドタイム電圧の補正を可能とするPMモータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータのデッドタイムに起因する誤差電圧の補正方法については、例えば、特開平2─179277号公報に開示されている。この方法では、インバータを離散時間系システムによりフィードバックする制御方法において、離散的に得られる電流値に対して、電流方向を実電流と等しくするオフセット電流を加え、オフセット電流が加えられた電流値に基づいて電流の方向を判別し、電流の方向に基づいてデッドタイム補償を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、誘導モータや同期モータをインバータにより回転センサを使用せずに制御する回転センサレス制御システムや、広範囲の回転数又はトルクを高精度に制御するシステムでは、インバータを構成するスイッチング素子の短絡防止のために設けられているデッドタイム(一対のスイッチング素子の導通期間を若干ずらせてスイッチング動作させる場合のずれ時間、即ち、何れのスイッチング素子もオフ状態の期間)に起因する誤差電圧の補正が必要である。
【0004】
例えば上記の文献に記載のように、従来、このデッドタイムに起因する誤差電圧の補正のためにスイッチング前の電流値からスイッチング時の誤差電圧を予測して補正する等の方法や、上述の文献の方法のようにオフセット電流が加えられた電流値に基づいて電流の方向を判別し、電流の方向に基づいてデッドタイム補償を行う方法等がとられてきた。
【0005】
しかしながら、これらの方法では必ずしも正確なデッドタイム補償が行えないばかりか、構成が複雑化する問題や、スイッチングノイズが発生する問題や、さらに電圧測定等のために例えば絶縁増幅器等の高価な装置を多数必要とする問題があった。
本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、簡素化された構成で、かつ絶縁増幅器等の高価な装置を必要とせずに、デッドタイムに起因する誤差電圧を高い精度で補償可能なPMモータの制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、電流符号記録回路3において、例えばU相の電流の向きを表す電流符号信号331aを電圧比較器331により生成し、インバータ1のスイッチング素子を制御するスイッチ制御信号92の立上がりと立下がりに引き続くデッドタイム期間のタイミングを遅延回路321により生成して電流符号信号を記録する。この電流符号信号を情報処理部に入力し、情報処理部にて実際のPWMデューティを算出することにより、正確な平均電圧を算出する。そしてこの算出結果を回転子の角度計算等に使用する。なお、他の2相のV相及びW相も同様である。
【0007】
このように構成することにより、簡素化された構成で、かつ絶縁増幅器等の高価な装置を使用せずにデッドタイムに起因する誤差電圧を補正することができ、その結果、制御システムの制御精度を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明によるPMモータの制御装置のブロック図である。図示のように、本発明のPMモータの制御装置は、基本的に、PMモータ(M)を制御するインバータ1と、このインバータ1を制御する情報処理部2と、PMモータ(M)に供給する電流の方向を記録する電流符号記録回路3と、インバータ1のスイッチング素子を駆動制御するスイッチ駆動回路6と、デッドタイム付加回路7とにより構成される。
【0009】
インバータ1は6個のスイッチング素子(111,112等)で構成される3相インバータである。情報処理部2はインバータ1の電源電圧信号8aと、U相の電流信号41aと、W相の電流信号42aと、後述するインバータ1の出力電圧の推定値とからセンサレス制御理論によりPMモータの回転子の位置(角度)を推定し、図示しない外部から入力されるトルク指令に従ってインバータ1のスイッチング制御信号を生成する。電流符号記録回路3はスイッチ制御信号92と、U相とW相の電流信号からスイッチング時の電流の向きを記録するものである。
【0010】
41は3相モータMのU相の電流を検出するU相電流センサであり、42は3相モータMのW相の電流を検出するW相電流センサである。51は突極形のPMモータ(突極形の永久磁石界磁の同期モータ)の電機子コイルである。
スイッチ駆動回路6はインバータ1内の6個のスイッチング素子を駆動するためのものである。
【0011】
デッドタイム付加回路7は、情報処理部2からのスイッチ制御信号92に基づきインバータ1内の上側及び下側配線間の短絡防止用のデッドタイムを付加してオーバーラップの無い3対の遅延付加スイッチ制御信号96を生成する。
さらにインバータ1内にはインバータ1の電源の電圧を検出する電源検出回路8が設けられる。
【0012】
図2は図1の電流符号記録回路3の詳細ブロック図である。図2において、31は利得が−1の加算回路である。加算回路31にはU相電流センサ41からの電流値とW相電流センサ42からの電流値が入力され、その出力は後述する電圧比較器に供給される。
321〜323は遅延回路であり、各遅延回路の入力には情報処理部2からの対応するスイッチ制御信号が供給され、各遅延回路の出力は後述する対応するD形フリップフロップ回路に供給される。
【0013】
331〜333は電圧比較器であり、電圧比較器331はU相電流センサ41からの検知電流値を受け、電圧比較器333はW相電流センサ42からの検知電流値を入力する。これらの電圧比較器331,333の比較結果の出力は対応するD形フリップフロップ回路に供給される。一方、電圧比較器332は加算回路31の出力電圧を受け、比較結果の出力をD形グリップフロップ343,344に供給する。
【0014】
341〜346はD形フリップフロップ回路であり、各電圧比較器毎に1対設けられている。また、351〜353はNOT回路である。NOT回路は遅延回路のQ出力を反転し一方のD形フリップフロップ回路に供給するものである。
例えば、U相について、遅延回路321はシフトレジスタで構成され、その遅延時間はスイッチ駆動回路6とインバータ1内のスイッチング素子とU相電流センサ41と電圧比較器331とによる伝搬遅延時間の総和と、デッドタイム付加回路7で付加するデッドタイムの1/2を加算した時間とする。そしてこの遅延回路321はインバータ1内のU相電圧の立上りと立下りのデッドタイムの中央での相電流の符号がD形フリップフロップ回路に記録できるように調整する。なお、W相についても上述のU相と同様にW相の電流の符号をフリップフロップ回路に記録できるように構成する。一方、V相については、U相電流値IuとW相電流Iwを加算回路31で算出してV相電流とする以外は上述のU相、W相の場合と同様である。
【0015】
本図のIu,Iw,Su,Sv,Sw等の記号は図1の電流符号記録回路3の記号に対応する。また、本図の端子93からの各電流符号信号(Fu1,Fu2,Fv1,Fv2,Fw1,Fw2等)は、図1の電流符号記録回路3のFijに対応する。即ち、“ij”は“U1”,“U2”....等の何れかに対応する。ここで、j=1はスイッチ制御信号の立上り、j=2は立下りのタイミングに対応する。
【0016】
図3は図1の情報処理部2の詳細ブロック図である。本図において、21は高速演算可能なデジタル信号処理装置(DSP: Digital Signal Processor) であり、22はDSP21の各電圧指令21a〜21cに従って3相のPWM信号を生成可能なPWM回路であり、23〜25はA/Dコンバータ(アナログ/デジタル変換器)である。
【0017】
A/Dコンバータ24と25は、PWM回路22から入力された変調周期信号22aに同期して、入力されたU相とW相の電流Iu及びIwをサンプリングし、後述するようにA/D変換の後にDSP21に割込みをかけて割込み処理を開始させるように構成してある。図中のVBは図1の電圧検出回路8からの出力を受ける端子であり、Fijは図1の電流符号記録回路3からの電流符号信号Fijに対応する。
【0018】
図4(A),(B)は図1及び図2の情報処理部のフローチャートである。(A)は起動直後に実行されるリセット割込みルーチンであり(S21)、(B)はインバータのPWM制御周期で電流をサンプリングするA/Dコンバータからの割込み信号で起動する割込み処理ルーチンである(S22)。
(A)において、まずハードウェアを初期化し(S210)、次に制御変数を初期化し(S211)、回転子の初期の角度位置を検出し(S212)、磁極の極性を判別する(S213)、等のモータ制御の準備を行う。
【0019】
その後に、外部からトルク指令を入力し(S214)、電流指令を計算し(S215)、電源電圧を入力した(S216)後、固定子コイルの温度を測定し(S217)、固定子コイルの抵抗を計算する(S218)。以下S214から再度繰り返し実行する。
(B)において、U相,W相電流センサにより検出された相電流検出値を入力し(S220)、固定座標上の電流ベクトルを算出し(S221)、電流符号記録回路3から電流方向を示す電流符号信号Fijを入力し(S222)、電流符号信号Fijにより電圧指令のデッドタイムにおける電圧を補正し(S223)、固定座標上の電圧ベクトルを計算し(S224)、補正された電圧ベクトルと電流ベクトルからセンサレス制御理論に基づいて回転子の位置を計算する(S225)。
【0020】
さらに回転座標(d−q座標)上の電流ベクトルを計算し(S226)、回転子の速度を計算し(S227)、ベクトル制御方式により電流指令を計算し、現在の電流をPI制御方式で制御する電圧指令を計算し(S228)、固定座標上の3相の第1の電圧指令に変換し、最後にデッドタイムの影響を現在の電流値から推定し(S229)、補正して第2の電圧指令として出力する(S229)。
【0021】
上記の各ステップにおいて電圧指令の補正(S223)が本発明の特徴とするものであり、その他のステップについてはステップS223を導出するための段階及び導出結果を用いて電圧指令を発生する段階を説明している。
以下に、PMモータの場合の回転子の位置と速度を、電機子電圧と電流から計算する計算式について説明する。
【0022】
PMモータの電圧方程式を、
d = (Rd + pLd )id - ωLq iq
vq = ωLd id + (Rq + pLq )iq + ωφf
とする。
ここで、vd は回転座標のd軸方向の電圧成分、
vq は回転座標のq軸方向の電圧成分、
id は回転座標のd軸方向の電流成分、
iq は回転座標のq軸方向の電流成分、
Rd ,Rq は電機子抵抗、
Ld はd軸方向のインダクタンス、
Lq はq軸方向のインダクタンス、
Pは微分演算子、
ωは回転子の速度、
φf は界磁磁束、
である。
【0023】
さらに下記の如き固定座標(xy座標)と回転座標(dq座標)の関係式、
d = cosθvy + sin θvx
q = - sinθvy + cos θvx
id = cosθiy + sin θix
iq = - sinθiy + cos θix
をd軸に関する電圧方程式に代入し、整理すると、
tan θ= {vy - (Rd + pLd )iy + ω(Lq - Ld)ix
/ {-vx + (Rd + pLd)ix +ω(Lq - Ld)iy
を得る。
【0024】
回転子の位置θから電流、電圧のdq座標上での値がわかるので、q軸に関する電圧方程式から、回転子の速度ωは、
ω={vq - (Rq + pLq )iq}/ (Ldid + φf )
よなる。
上述以外の説明、例えば、起動時の回転子の磁極の極性判別等、PMモータのセンサレス制御に関する詳細は文献、渡辺他「永久磁石界磁同期電動機の回転子位置と速度のセンサレス検出の方法」(電気学会論文誌D,110巻11号、平成2年)に記載されている。
【0025】
図5は図1及び図2の電流符号記録回路3の動作をU相に関して説明するタイミング・チャートである。図中、TDはデッドタイムであり、U相下側スイッチング素子の立下がりと上側スイッチング素子の立上がりの期間若しくはU相上側スイッチング素子の立下がりとU相下側スイッチング素子の立上がりの期間を示す。
【0026】
また、T1は図2の遅延回路の遅延時間であり、t1はU相電圧の仮の立ち上がり時刻、t2はU相電圧の仮の立ち下がり時刻(t1,t2は図示のように実際の立上がり/立下がりではない)である。また、I1は時刻t1における相電流Iuの値、I2は時刻t2における相電流Iuの値である。本発明では遅延回路により遅延時間T1を調整して時刻t1,t2をデッドタイムTDの中央に設定するようにし、電流をサンプリングする方法をとる。
【0027】
また、電流符号信号Fu1,Fu2に示される斜線の部分は論理が不定であることを示す。また、上記以外の図中の符号は図1と図2の対応部分の信号に対応している。
図6は図4のフローチャートの処理ステップS223の詳細をU相に関して説明する図である。図中、図5に示すようにTはインバータ1を制御するスイッチ制御信号Suのパルス幅、TDはデッドタイム、VDはデッドタイムに対応するPWM制御周期当たりの平均電圧の変動である。平均電圧の変動VDは、
VD=(電源電圧VB)×(デッドタイムTD)/(PWM制御周期)
の関係がある。
【0028】
なお、電圧VBは図5に示すようにインバータU相出力電圧であるが、このVBは図1に示すインバータ1内の電圧検出回路8の出力でもあり情報処理部2に供給されるものである。
本図は電流符号信号Fu1とFu2とデッドタイム補正後の第2の電圧指令値Vからこの制御周期における相電圧の平均電圧がどのように変化するかを示している。各デッドタイムTDではU相上側スイッチング素子111とU相下側スイッチング素子112が同時にオフとなるので、電流が負(モータからインバータの向き)の場合にはU相上側ダイオード121が導通して電圧はVBに、電流が正の場合にはU相下側ダイオード122が導通して電圧は0となる。
【0029】
従って、上記処理ステップS223では前回インバータに出力した第2の電圧指令Vに対して、Fu1=Fu2=0の場合は+VD、Fu1=Fu2=1の場合は−VDの補正を加えて前回の電圧の出力の平均値として(V+VD又はV−VD)回転子の位置の計算(ステップS225)に使用する。Fu1≠Fu2の場合には補正は不要である(Vを使用する)。
【0030】
本発明の作用を以下により詳細に説明する。なお、以下ではU相を中心に説明するが、他の2相も同様である。
上記構成によれば、PWM制御周期中のインバータ出力電圧の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのデッドタイムTDの中央の時刻のU相電流Iuの符号が図2の電流符号記録回路3のフリップフロップ341と342に記録されて情報処理部2に出力され、情報処理部2は電流のサンプリング時に同時に前回のPWM制御周期における立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのデッドタイムの電流の符号を入力してこの電流の符号から電圧指令値を図6に基づいて正しく補正する。従って、制御周期以前の電流符号からデッドタイムでの電圧を補正する従来の回転子の位置計算に比べて精度が向上し、最終的にはトルク制御精度が向上することになる。
【0031】
例えば、図5のように制御周期中に電流の符号が変化する場合、従来の方式では制御周期の直前の電流の符号から2つのデッドタイムでの電圧は0Vである(即ち、インバータ出力の平均電圧がVDだけ減少する)と予測して第1の指令電圧Vに対してV+VDをインバータに指示する。
しかし、電流符号がPWM周期中に途中で変化する場合にはインバータでは誤差が加わらないのでVDだけ出力が過大となる。従来の方式ではこの過大な電圧を回転子の計算に使用することになるので、位置の計算精度が悪化していた。
【0032】
一方、本発明ではインバータの出力電圧は従来と同様にしか補正されないが、実際の出力電圧が出力後に電圧指令値からどのように変動したかを補正できるのでセンサレス方式で最も重要な位置の計算精度が向上するのである。
上述のように本発明の補正方式の効果は電流の符号がPWM制御期間中に変化する場合に発揮されるが、これは電流振幅に対してリップルが大きい場合で、かつデッドタイムによる電圧誤差VDがPWMによる平均電圧に対して無視できない場合であり、モータの制御状態に換言すると、低速度かつ低トルクの場合となる。
【0033】
なお、以上の補正はデッドタイムの間に電流符号の変化がないと仮定しているが、デッドタイム中に電流符号の変化がある場合にも、推定誤差の統計的な期待値を最小とするようにデッドタイムの中央の時刻での電流符号を記録するのである。
さらに、第2の実施形態としては図2の電流符号記録回路3の遅延回路321としてアナログ的なパルス遅延回路を使用したものを提示する。パルスを遅延させるという機能の実現方法を置き換えただけであるので詳細説明を省略する。
【0034】
さらに、第3の実施形態として図2の電流符号記録回路3の加算回路31を削除し、図1のインバータ出力のV相にV相電流センサ(図示せず)を付加してその出力を電圧比較器332に入力することもできる。図2で説明したV相電流値を得る手段を置き換えただけであるから詳細説明を省略する。
さらに、上述の実施形態では電流符号を得るために電流をサンプリングするタイミングとしてデッドタイムTDの中央を指定しているが、制御精度が許せば中央以外(例えばスイッチング後)でも適用可能である。
【0035】
さらに、上述の説明では3相のPMモータのセンサレス制御方式に関して説明したが、一般の多相交流での拡張は容易である。即ち、図2の電流符号記録回路を相数に合わせて増設すればよい。
【0036】
図7は情報処理部の他の構成例ブロック図である。上述の説明では電流符号記録手段はハードウェアによって実現したが、以下に説明するように情報処理手段における演算プログラムによって実現することもできる。
【0037】
図示のように、情報処理部2は、各相のスイッチ制御信号の立上がりによって起動し、前述の遅延回路321〜323の遅延時間と同一の時間後に対応するA/Dコンバータに電流値のサンプリングを指示するタイマ261、263及び265で構成された第1の計時手段と、
各相のスイッチ制御信号の立下がりによって起動し、遅延回路321〜323の遅延時間と同一の時間後に対応するA/Dコンバータに電流値のサンプリングを指示するタイマで構成された第2の計時手段と、
U相電流値とW相電流値からV相電流値を算出する演算増幅器で構成された加算回路28と、
タイマ261〜266によりサンプリング動作を起動するA/Dコンバータ271〜276と、により構成され、
A/Dコンバータ271〜276は変換終了直後にデジタル信号処理装置21に割込みをかけるように構成される。
【0038】
図8(A)〜(F)は図7のデジタル信号処理装置における割込み処理フローチャートである。デジタル信号処理装置21は、A/Dコンバータ271〜276におけるA/D変換終了後に図示の割込み処理プログラムが起動するようなプログラムを持つ。なお、図中、sign(x) は x の符号を返す関数である。
このような構成において、A/Dコンバータ271〜276は図5と同様のタイミングt1又はt2で各相の電流値を記録する。その直後に起動する割込み処理プログラムは、各ステップ(S230,S240,...,S280)で示すように、図5に示す各相のデッドタイム期間の中央での電流値(相電流Iu,Iv,Iw)を、対応するA/Dコンバータ(271〜276)から読み込む。
そして、各ステップ(231,S241,...,S281)で示すように、その正負を判定することにより各相の電流の符号が得られ、図1に示す電流符号記録手段と同一の機能を実現することができる。即ち、得られた電流符号信号Fijに基づいてデジタル信号処理装置21は図4(B)に示す処理を実行する。この処理については既に説明しているのでここでは省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるPMモータの制御装置のブロック図である。
【図2】図1の電流符号記録回路の詳細ブロック図である。
【図3】図1の情報処理部の詳細ブロック図である。
【図4】図1及び図2の情報処理部のフローチャート(A,B)である。
【図5】図1及び図2の電流符号記録回路の動作をU相について説明するタイミング・チャートである。
【図6】図4のフローチャートの処理ステップS223の詳細をU相について説明する図である。
【図7】図1の情報処理部の他の構成例ブロック図である。
【図8】図7のデジタル信号処理装置における割込み処理フローチャート(A〜F)である。
【符号の説明】
1…インバータ
2…情報処理部
3…電流符号記録回路
6…スイッチ駆動回路
7…デッドタイム付加回路
21…デジタル信号処理装置(DSP)
22…PWM回路
23〜25,271〜276…A/D変換器
31…加算回路
41…U相電流センサ
42…W相電流センサ
51…PMモータ
261〜266…タイマ
321〜323…遅延回路
331〜333…電圧比較器
341〜346…D形フリップフロップ回路
351〜353…NOT回路

Claims (5)

  1. インバータの出力に接続されたモータの回転を制御するPMモータの制御装置であって、
    前記PMモータ(M)を前記インバータを介してPWM制御する情報処理手段(2)と、
    前記情報処理手段から出力させたスイッチ制御信号にデッドタイムを付加するデッドタイム付加手段(7)と、
    前記デッドタイム付加手段の出力により前記インバータ(1)のスイッチング素子を駆動制御するスイッチ駆動手段(6)と、
    前記PMモータの相電流を検出する電流検出手段(41,42)と、
    前記電流検出手段からの出力と、前記スイッチ制御信号に基づいて、前記デッドタイムにおける前記PMモータの各相の電流の符号を記録する電流符号記録手段(3)とを備え、
    前記情報処理手段は、前記電流符号記録手段の出力に基づいて、前記デッドタイムにおける電圧を算出し、前記算出された電圧によりPWM周期全体の相電圧の平均値を算出し、算出された平均値に基づいて前記PMモータの回転子の位置を算出することを特徴とするPMモータの制御装置。
  2. 前記電流符号記録手段(3)は、
    前記電流検出手段からのU相電流値とW相電流値を受け、これらを加算して出力する加算回路(31)と、
    前記情報処理手段からのスイッチ制御信号を受け、所定の遅延を行う各相ごとの遅延回路(321〜323)と、
    前記電流検出手段からのU相電流値とW相電流値の正負の符号を検出するU相/W相電圧比較回路(331,333)と、
    前記加算回路の出力電圧の正負の符号を検出するV相電圧比較回路(332)と、
    前記電圧比較回路の出力と前記遅延回路の出力を受ける一方のD形フリップフロップ回路及び前記電圧比較回路の出力と前記遅延回路の反転出力を受ける他方のD形フリップフロップ回路とで構成され、各々の回路から電流符号信号(Fu1,Fu2,Fv1,Fv2,Fw1,Fw2)を前記情報処理部(2)に出力する各相ごとのD形フリップフロップ回路対と、
    を具備する請求項1に記載のPMモータの制御装置。
  3. 前記情報処理手段(2)は、
    前記インバータの電源電圧信号(8a)を受け、アナログ─デジタル変換する第1のA/D変換回路(23)と、
    U相電値を受け、アナログ─デジタル変換する第2のA/D変換回路(24)と、
    W相電値を受け、アナログ─デジタル変換する第3のA/D変換回路(25)と、
    前記第1〜第3のA/D変換回路からのデジタル信号と前記電流符号記録手段からの電流符号信号(Fij)を受け、所定の処理後に各相毎の電圧指令値(21a〜21c)を出力するデジタル信号処理部(21)と、
    前記電圧指令値に基づいて各相毎のパルス幅変調を行ってスイッチ制御信号を生成し、かつパルス幅変調の変調周期信号を前記第2及び第3のA/D変換回路に出力するPWM回路(22)と、
    を具備する請求項1に記載のPMモータの制御装置。
  4. 前記電流符号記録手段(3)は、前記デッドタイムの中央で電流のサンプリングをする請求項1に記載のPMモータの制御装置。
  5. 前記電流符号記録手段(3)は、
    各相のスイッチ制御信号の立上がりで起動する相数個の第1の計時手段と、
    各相のスイッチ制御信号の立下がりで起動する相数個の第2の計時手段と、
    前記相数の2倍の数の計時手段によって起動して各相の電流値をサンプリングする記録手段と、
    前記記録手段で記録した電流の符号を求める演算プログラムと、
    を具備する請求項1に記載のPMモータの制御装置。
JP01060197A 1996-02-01 1997-01-23 Pmモータの制御装置 Expired - Fee Related JP3935543B2 (ja)

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