本発明の開閉装置は、建築物等の開口部や内部空間を開閉する開閉体が、開放方向及び閉鎖方向に駆動する駆動部によって開閉動作するものであり、例えば、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、ロールスクリーン装置、スライディングウォール装置、防煙垂れ壁装置、防煙垂れ幕装置、引戸装置、オーニング装置等が挙げられる。
また、本発明の開閉装置は、開閉体を巻取り軸に巻き取って収納するようにした形態や、開閉体を巻取り軸に巻取ることなく開放方向側に収納するようにした形態を含む。
本発明の開閉体の形態として、例えば、シート状体、ネット状体、複数のスラットやパイプ、あるいはパネルを開閉方向へ連設してなる形態等、さらには、前述のシート状体、ネット状体、スラット、パイプ、パネル、パイプを適宜に組み合わせてなる形態等が挙げられる。本発明は、例示した各種開閉体のうち、特に、温度によって剛性が変化しやすい開閉体や引っ張りに対して変形しやすいシート状体、又はネット状体を備えた開閉体を用いている開閉装置に採用すると効果的である。
本発明の基準位置は、全開位置及び全閉位置を除く開閉体の開閉動作範囲内において、どの位置に設定してもよいが、好ましい設定位置としては、開閉体の開閉動作範囲内における全開位置付近である。ここでいう全開位置付近とは、開閉体が開閉する開口部や内部空間を通過する人等に、少なくとも、原点検出時において閉鎖動作する開閉体の閉鎖側端部が接触しない、もしくは接触しないと想定される位置である。
前述の原点検出部は、開閉体が基準位置を越えて移動する際に接点状態が切り替わる1つの原点センサを備えている。このような原点検出部として、例えば、駆動部の駆動軸の回転を減速する減速ギアと、この減速ギアの被減速軸に設けられたカム部を備え、開閉体が基準位置を越えたときにこのカム部によって原点センサの接点状態を切り替えるようにした構成が挙げられる。開閉体が基準位置より開放側にあるか閉鎖側にあるかは、原点センサの電気導通の有無により区別される。このような原点センサの形態としては、例えば、機械式接点のマイクロスイッチや磁気式接点の近接スイッチが挙げられる。
前述の制御部は、非給電状態から給電状態への切り替わり時において、前述の接点状態によって開閉体が前述の基準位置より開放側にあると判断された場合には、開閉体を閉鎖動作させ、接点状態が切り替わる原点信号の出力時に原点補正を行い、接点状態によって開閉体が基準位置より閉鎖側にあると判断された場合には、開閉体を開放動作させ、接点状態が切り替わった後に、開閉体を閉鎖動作させ、接点状態が切り替わる原点信号の出力時に原点補正を行う。更に、この制御部は、原点に対する開閉体の動作位置の設定値によって開閉体の全開位置と全閉位置を設定しており、動作位置検知部で検知される開閉体の動作位置が設定値と一致したときに前記駆動部を停止させるようになっている。
本明細書中において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と直交する方向であって、開閉体厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開口部や内部空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
以下、本発明の開閉装置及び原点補正方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本実施形態の開閉装置1の構成を示す概略図である。開閉装置1は、開閉体10と、開閉体10を開閉動作させる駆動部20と、駆動部20の動作を検知することで開閉体10の動作位置を検知する動作位置検知部2と、開閉体10の開閉動作の基準位置Pを駆動部20の動作位置によって検出して原点信号を出力する原点検出部3と、原点信号の検出時に動作位置検知部2によって検知される動作位置を原点とする原点補正を行い、原点に対する開閉体10の動作位置に基づいて駆動部20の動作を制御する制御部4とが備えられている。
開閉体10は、柔軟な合成樹脂材からなるシート状体である。駆動部20は、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりするように回転可能に支持された巻取り軸21と、巻取り軸21を駆動回転させる駆動モータ22と、駆動モータ22の駆動回転を巻取り軸21に伝達する駆動伝達部23を備えている。これら、巻取り軸21、駆動モータ22、駆動伝達部23は、収納部24に内蔵され、巻取り軸21が開閉体10を巻取ることにより、開閉体10を収納部24に収納するようになっている。
巻取り軸21は、軸方向を開閉体幅方向と平行として回転自在に支持されている。駆動モータ22は、モータ軸220の軸方向を開閉体幅方向と平行として支持されている。回転伝達部23は、巻取り軸21の支持軸210とモータ軸220とにわたって設けられたギア列、チェーン、ベルト等により、駆動モータ22の回転を巻取り軸21に伝達するようになっている。
駆動モータ22は、開閉体10の開閉動作範囲内における全開位置P1と全閉位置P2とにわたって、開閉体10が開閉動作するように巻取り軸21を回転させるように駆動するとともに、開閉体10が全開位置P1及び全閉位置P2に至ると駆動停止するように制御されている。
動作位置検知部2は駆動モータ22の駆動回転数及び駆動回転方向をパルスカウントすることにより、開閉体10の現在の動作位置を検知するものである。パルスカウントされた結果は、リアルタイムで制御部4に出力するように制御されている。このパルスカウントの増と減とは、開閉体の開閉方向に対応し、増減量は、開閉体の開閉移動量に対応(好ましくは略比例)する。
すなわち、動作位置検知部2で検知した結果に基づいて、制御部4が駆動モータ22の駆動を前述のように停止させたり継続させたりする制御を行う。動作位置検知部2には、例えば、ホールICやロータリエンコーダ等を用いることができる。
全開位置P1は、収納部24の下端部240に対応する位置に設定され、全閉位置P2は、開閉体10の下端部100が接触する床面FLに対応する位置に設定されており、この全開位置P1と全閉位置P2との間に基準位置Pが設定されている。基準位置Pは、全開位置P1の付近(例えば、全開位置P1から下方に50mm〜70mmの範囲)に設定されている。基準位置P、全開位置P1、全閉位置P2は、動作位置検知部2のパルスカウントにより設定されている。
本実施形態では、例えば、全開位置P1でのパルスカウントの設定値を「6050」、全閉位置P2でのパルスカウントの設定値を「4050」、基準位置Pでのパルスカウントの設定値を「6000」として設定しておく。動作位置検知部2から出力されるパルスカウント信号が「6050」となったときに、開閉体10の下端部100が全開位置P1に至った状態で開閉体10の開放動作が停止し、動作位置検知部2から出力されるパルスカウント信号が「4050」となったときに、開閉体10の下端部100が全閉位置P2に至った状態で開閉体20の閉鎖動作が停止するように、制御部4が駆動部20を制御する。なお、図1で示す開口高さに対する全開位置P1領域の幅と全閉位置P2領域の幅の割合は、説明の便宜上全開位置P1領域の割合を大きく誇張表現しており、実際の開閉装置における割合とは異なっている。
原点検出部3は、開閉体10が基準位置Pを境に開放方向側P10から閉鎖動作して、開閉体の下端部100が基準位置Pに合致したときに原点を検出するとともに、原点検出信号を制御部4に出力するようになっている。また、開閉体10の下端部100が基準位置Pを境に開放方向側P10と閉鎖方向側P20の何れにあるかを検出するとともに、位置検出信号を制御部4に出力するようになっている。
原点検出部3は、カムスイッチ構造のものであり、巻取り軸21の支持軸210に軸支された減速ギア30と、減速ギア30の被減速軸31に軸支されたカム部32と、カム部32の回転でON/OFFされる機械式接点のマイクロスイッチ33とを備えている。
減速ギア30は、複数のギアからなり、巻取り軸21の回転数が、開閉体10を全開位置P1と全閉位置P2にわたって一方向に動作させる回転数であるときに、カム部32の回転がマイクロスイッチ33のON/OFFを一回行う回転数になるように減速させる構造のものである。本実施形態の減速ギア30は、巻取り軸21に軸支されたシャフトギア300と、シャフトギア300と噛み合うアイドラギア301と、アイドラギア301と噛み合う被減速ギア302の3枚のギアから構成されている。巻取り軸21の回転が減速されて回転する被減速ギア302の被減速軸31には、カム部32が被減速軸31と一体回転するように軸支されている。
カム部32は、円板の周縁の一箇所に円弧状のカム凹部320を凹設し、このカム凹部320以外の周縁をカム凸部321として構成されている。
マイクロスイッチ33は、ヒステリシス性を有する可動接点と固定接点の一対の接点(図示せず)を内蔵したスイッチ本体330に、可動接点を固定接点に対して接離させるためのスイッチレバー331を備えている。スイッチレバー331には、カム部32の回転中において、カム凹部320とカム凸部321とに接触するローラ332が支持されている。
スイッチレバー331は、カム部32の回転中(図3において反時計方向の実線矢印)に、ローラ332がカム凸部321からカム凹部320に至ると、前述の可動接点を固定接点に対して非接触状態にする方向に移動してマイクロスイッチ33をOFFするようになっている。また、カム部32の回転中(図3において時計方向の一転鎖線矢印)に、ローラ332がカム凹部320からカム凸部321に至ると、前述の可動接点を固定接点に対して接触状態にする方向に移動してマイクロスイッチ33をONするようになっている。すなわち、このマイクロスイッチ33は、ローラ332がカム凸部321上にあるときにマイクロスイッチがONになり、ローラ332がカム凹部320上にあるときにOFFになるように設定・設置されている。
カム部32は、巻取り軸21が開閉体10を閉鎖動作させる方向に回転したときにマイクロスイッチ33をOFFする方向に回転し、巻取り軸21が開閉体10を開放動作させる方向に回転したときにマイクロスイッチ33をONする方向に回転するようになっている。このカム部32は、開閉体10の下端部100が開放方向側P10から基準位置Pに至ったときに、マイクロスイッチ33のローラ332がカム凸部321からカム凹部320に至るように回転位置が設定されている。すなわち、開閉体10の下端部100が開放方向側P10に位置しているとき、マイクロスイッチ33のローラ332は、カム部32のカム凸部321上にあり、開閉体10の下端部100が閉鎖方向側P20に位置しているとき、マイクロスイッチ33のローラ332は、カム部32のカム凹部320上にある。
なお、開閉体10の下端部100が開放方向側P10に位置しているとき、マイクロスイッチ33のローラ332がカム部32のカム凹部320上にあって、開閉体10の下端部100が閉鎖方向側P20に位置しているとき、マイクロスイッチ33のローラ332がカム部32のカム凸部321上にあるようにしてもよく、この場合は、マイクロスイッチ33を、ローラ332がカム凹部320からカム凹部321に至ると、OFFになるようにする。
この構成の原点検出部3は、マイクロスイッチ33がONからOFFに切り替わったときに原点検出を行い、マイクロスイッチ33がOFFであるときに、開閉体10の下端部100が閉鎖方向側P10に位置していることを検出し、マイクロスイッチ33がONであるときに、開閉体10の下端部100が開放方向側P10に位置していることを検出するようになっている。
マイクロスイッチ33がONからOFFに切り替わるときに、原点検出を行うようにした理由は、次のとおりである。
ヒステリシス性を有する可動接点と固定接点は、接点の切り替わりが速いため、検出と非検出の切り替え時間が短いという特徴を有している。そのため、正確な検出を行うという点について適している。しかも、可動接点と固定接点には、通常、板ばね等が用いられており、構造的に複雑なものではないため、小型で安価なマイクロスイッチ33とすることができる。
しかしながら、前述の可動接点と固定接点がヒステリシス性を有するために、接触・非接触の切り替わりが速いものの、ONからOFFへの切り替えとOFFからONへの切り替えとに応答差が生じるおそれがあり、特に、この速い切り替わりにより接触時における接点同士のバウンドが生じ、このバウンドで発生するチャタリングにより原点検出動作が不安定になるおそれがある。
したがって、マイクロスイッチ33がONからOFFに切り替わるときに原点検出を行えば、前述の可動接点が固定接点に対して接触するときに発生するチャタリングによる不安定な原点検出動作を回避することができ、安定した原点検出動作を行うことができる。
図4は、制御部4の構成を示すブロック図である。制御部4は、記憶部5、開閉制御部6、原点補正制御部7、CPU8を備えている。
記憶部5は、CPU8が実行する各種プログラムや、各種アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶したROM、基準位置データ、全開位置データ、全閉位置データや前述のパルスカウント及び演算結果等を一時的に記憶するRAM、基準位置Pから全開位置P1までの距離に関するパルスカウント量の値と、基準位置Pから全閉位置P2間での距離に関するパルスカウント量の値とを、電源OFF時も保持される設定データとして記憶する不揮発性メモリ(EEPROMなど)等を備えており、開閉制御部6及び原点補正制御部7の要求に基づいて各種プログラムや各種データの出し入れが行われる。
開閉制御部6は、リモコン等の開閉操作部60からの開閉指示により駆動モータ22を駆動させるとともに、停止指示により駆動モータの駆動を停止させる制御をするものである。また、動作位置検知部2から出力されるパルスカウント信号に基づいて、駆動モータ22の駆動を停止させる制御をするものである。
具体的には、開閉制御部6が動作位置検知部2から出力されるパルスカウント信号を検出しており、開放動作において検出したパルスカウント信号が全開位置データと合致したときに、駆動モータ22の駆動を停止させ、閉鎖動作において検出したパルスカウント信号が全閉位置データと合致したときに、駆動モータ22の駆動を停止させる制御をするようになっている。
原点補正制御部7は、停電や故障等による非給電状態から給電状態に復帰させたときに、原点検出部3から出力される原点信号に基づいて、前述の基準位置データの補正を行う給電復帰時の原点補正制御と、開閉体10の通常の開閉動作時に、原点検出部3から出力される原点信号に基づいて、前述の基準位置データの補正を行う通常開閉時の原点補正制御とを行うものである。
前述の給電復帰時の原点補正制御は、原点検出部3からの位置検出信号が、開閉体10の下端部100が全閉位置P2を除く閉鎖方向側P20にあるという信号であったとき、駆動モータ22に対して、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越えるまで開閉体10を開放動作させるように駆動させるとともに、越えた後に開閉体10の下端部100が基準位置Pを越えるまで閉鎖動作させるように駆動させる制御をするものである。そして、この閉鎖動作において、開閉体10の下端部100が基準位置Pに合致したときに、マイクロスイッチ33のOFFにより原点検出が行われ、原点検出部3からの原点検出信号に基づいて前述の基準位置データの補正を行う制御をするものである。
更に、前述の給電復帰時の原点補正制御には、前述の原点検出信号の入力後に、駆動モータ22に対して開閉体10を開放動作させるように駆動させる制御が含まれている。このとき、動作位置検知部2からのパルスカウント信号が、開閉体10の下端部100が全開位置P1に至ったという信号であるときに、前述したように開閉制御部6が駆動モータ22の駆動を停止させるようになっている。
更に、前述の給電復帰時の原点補正制御には、開閉制御部6に対して行われる開閉体10の通常の開閉指示を無効にする制御が含まれており、この給電復帰時の原点補正制御において原点検出部3が原点検出動作をしている状態では、駆動モータ22に対して通常開閉動作の駆動をさせないようになっている。
更に、前述の給電復帰時の原点補正制御には、原点検出後に開閉体10が全開位置P1に至った後に、この給電復帰時の原点補正制御を終了し、前述の通常開閉時の原点補正制御を有効にする制御が含まれている。
原点補正制御部7は、給電継続時、あるいは給電を復帰させるための電源投入時において、開閉体10の下端部100が全開位置P1又は全閉位置P2にある場合、あるいは前述の給電復帰時の原点補正が終了した場合には、前述の通常開閉時の原点補正制御が行われるように制御している。
図5は、前述の給電復帰時の原点補正制御方法を含むプログラムのフローチャートである。このプログラムは、停電や故障等による非給電状態から開閉装置1に対して電源投入して給電状態にすることにより起動するプログラムである(ステップS1)。開閉装置1が起動すると、開閉体10の下端部100の現在位置を検出し(ステップS2)、開閉体10の下端部100が全開位置P1又は全閉位置P2にある場合、前述の給電復帰時の原点補正制御から通常開閉時の原点補正制御に切り替え(ステップS3)、開閉体10の下端部100が全開位置P1及び全閉位置P2以外の位置である場合には、給電復帰時の原点補正制御を継続する(ステップS4)。
給電復帰動時の原点補正制御が継続された状態で、開閉装置1に対して開放指示又は閉鎖指示をすると(ステップS5)、これらの指示にかかわらず、開閉体10の下端部100が開放方向側P10にあれば(ステップS6)、駆動モータ22を開閉体10が閉鎖動作するように駆動させ(ステップS7A)、開閉体10の下端部100が閉鎖方向側P20にあれば(ステップS6)、駆動モータ22を開閉体10が開放動作するように駆動させる(ステップS7B)。この給電復帰時の原点補正制御では、ステップS7A以下のフローチャートで示す制御方法と、ステップS7B以下のフローチャートで示す制御方法との2種類の制御方法により原点補正を行うようになっている。
先ず、ステップS7A以下のフローチャートを説明する。閉鎖動作する開閉体10の下端部100が基準位置Pに合致したときに原点検出部3が原点を検出し(ステップS8A)、原点検出信号を原点補正制御部7に出力する(ステップS9A)。原点補正制御部7は、出力された原点検出信号に基づいて、前述の基準位置データの補正を行う(ステップS10A)。
この基準位置データの補正と同時に、駆動モータ22を開閉体10が開放動作するように駆動させる(ステップS11A)。このとき、動作位置検知部2が駆動モータ22の駆動回転数及び駆動回転方向をパルスカウントしており、このパルスカウント信号をリアルタイムで開閉制御部6に出力する(ステップS12A)。
開閉制御部6は、出力されるパルスカウント信号が全開位置データと合致したときに(ステップS13A)、駆動モータ22の駆動を停止させる(ステップS14A)。駆動モータ22が駆動停止すると、給電復帰時の原点補正制御が終了し、通常開閉時の原点補正制御に切り替わる(ステップS15A)
次に、ステップS7B以下のフローチャートを説明する。このステップS7Bにおける開閉体10の開放動作では、マイクロスイッチ33がONになるため、原点検出部3の原点位置検出が行われない。
原点検出部3からの位置検出信号が開閉体10の下端部100が開放方向側P10にある信号であるとき(ステップS8B)、駆動モータ22を開閉体10が閉鎖動作するように駆動させる(ステップS9B)。このとき、閉鎖動作する開閉体10の下端部100が基準位置Pに合致したときに原点検出部3が原点を検出する(ステップS8A)。このステップS8A以下、ステップS9A〜ステップ15Aと同じ制御方法で前述の基準位置データの補正が行われるとともに、通常開閉時の原点補正制御に切り替えられる。
なお、図5のフローチャートにおいて、開閉体10の開閉動作中に随時停止指示により開閉体10を停止させるステップと、このステップで図5のフローチャートによるプログラムが中断されるステップを設定してもよい(図示せず)。また、基準位置データの補正が完了する前に前述の停止指示により開閉体10を停止させた場合には、ステップS1(電源投入)が再度行われるまで、開閉体10を動作できないようにするステップを設定してもよい(図示せず)。また、図5のフローチャートにおいて、ステップS1(電源投入)に換えて所定のリセット操作として設定してもよい(図示せず)。
次に、開閉体10の通常開閉動作時の原点補正制御を説明する。この原点補正制御は、通常の開閉体10の閉鎖動作時に、開閉体10の下端部100が基準位置Pを通過して閉鎖方向側P20に移動するときに、原点検出を行って前述の基準位置データの補正を行うものである。
図6は、開閉体10の通常閉鎖動作時の原点補正制御の方法を含むプログラムのフローチャートであり、このプログラムは、閉鎖指示が行われたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
閉鎖指示がされると、開閉制御部6は、駆動モータ22を開閉体10が閉鎖動作するように駆動させ(ステップS2)、この駆動モータ22の駆動回転に伴って動作位置検知部2のパルスカウントが開始される(ステップS3)。開閉制御部6は、駆動モータ22の駆動回転中に停止指示の有無を検出しており、停止指示を検出すると(ステップS4)、駆動モータ22の駆動回転を停止させる(ステップS5)。停止指示が検出されない場合、駆動モータ22の駆動回転を継続する(ステップS6)。
開閉体10の閉鎖動作が継続され、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越えるときに、開閉体10の下端部100が基準位置Pに合致する位置で原点検出部3が原点を検出する(ステップS7)。原点検出がされると原点検出部3が原点検出信号を原点補正制御部7に出力し(ステップS8)、原点補正制御部7が出力された原点検出信号に基づいて、前述の基準位置データの補正を行う(ステップS9)。
前述の基準位置データの補正後も駆動モータ22の駆動及びパルスカウント、並びにパルスカウント信号の出力が継続され、出力されるパルスカウント信号が全閉位置データと合致したときに(ステップS10)、開閉制御部6が駆動モータ22の駆動を停止させることにより、開閉体10の閉鎖動作が終了する(ステップS11)。
また、ステップS7において原点検出がされない場合、駆動モータ22の駆動及びパルスカウント、並びにパルスカウント信号の出力が継続され、出力されるパルスカウント信号が全閉位置データと合致したときに(ステップS10)、開閉体10の閉鎖動作が終了する(ステップS11)。
前述の通常閉鎖動作時の原点補正制御も、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越える閉鎖動作時には、マイクロスイッチ33がOFFになるため、原点検出部3の原点位置検出が行われる。
図7は、開閉体10の通常開放動作時の原点補正制御の方法を含むプログラムのフローチャートであり、このプログラムは、開放指示が行われたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
開放指示がされると(ステップS2)、開閉制御部6は、駆動モータ22を開閉体10が開放動作するように駆動させ(ステップS3)、この駆動に伴って動作位置検知部2のパルスカウントが開始される(ステップS4)。開閉制御部6は、駆動モータ22の駆動中に停止指示の有無を検出しており(ステップ5)、停止指示を検出すると、駆動モータ22の駆動を停止させる(ステップS6)。停止指示が検出されない場合、駆動モータ22の駆動及びパルスカウント、並びにパルスカウント信号の出力が継続され、出力されるパルスカウント信号が全開位置データと合致したときに(ステップS7)、開閉制御部6が駆動モータ22の駆動を停止させることにより、開閉体10の開放動作が終了する(ステップS8)。
前述の通常開放動作時の原点補正制御も、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越える開放動作時には、マイクロスイッチ33がONになるため、原点検出部3の原点位置検出が行われない。
次に、開閉体10の通常開閉動作時における原点補正制御の他の実施形態を説明する。この原点補正制御も、通常の開閉体10の閉鎖動作時に、開閉体10の下端部100が基準位置Pを通過して閉鎖方向側P20に移動するときに、原点検出を行って前述の基準位置データの補正を行うものである。
図8は、開閉体10の通常開閉動作時の原点補正制御の方法を含むプログラムのフローチャートである。このプログラムは、電源投入後に、開閉体10が全開位置P1にあって、給電復帰時の原点補正制御が行われなかった状態及び給電復帰時の原点補正制御が終了して、通常開閉動作に切り替わった状態で、閉鎖指示が行われたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
閉鎖指示がされると、開閉制御部6は、駆動モータ22を開閉体10が閉鎖動作するように駆動させ(ステップS2)、この駆動モータ22の駆動回転に伴って動作位置検知部2のパルスカウントが開始される(ステップS3)。開閉制御部6は、駆動モータ22の駆動回転中に停止指示の有無を検出しており、停止指示を検出すると(ステップS4)、駆動モータ22の駆動回転を停止させる(ステップS5)。停止指示が検出されない場合、駆動モータ22の駆動回転を継続する(ステップS6)。
開閉体10の閉鎖動作が継続され、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越えるときに、開閉体10の下端部100が基準位置Pに合致する位置で原点検出部3が原点を検出する(ステップS7)。原点検出がされると原点検出部3が原点検出信号を原点補正制御部7に出力し(ステップS8)、原点補正制御部7が出力された原点検出信号に基づいて、前述の基準位置データの補正を行う(ステップS9)。
前述の基準位置データの補正後も駆動モータ22の駆動及びパルスカウント、並びにパルスカウント信号の出力が継続され、出力されるパルスカウント信号が全閉位置データと合致したときに(ステップS10)、開閉制御部6が駆動モータ22の駆動を停止させることにより、開閉体10の閉鎖動作が終了する(ステップS11)。
開閉体10の閉鎖動作の終了後、開放指示を行うことにより(ステップS12)、開閉制御部6は、駆動モータ22を開閉体10が開放動作するように駆動させ(ステップS13)、この駆動に伴って動作位置検知部2のパルスカウントが開始される(ステップS14)。開閉制御部6は、駆動モータ22の駆動中に停止指示の有無を検出しており(ステップ15)、停止指示を検出すると、駆動モータ22の駆動を停止させる(ステップS16)。停止指示が検出されない場合、駆動モータ22の駆動及びパルスカウント、並びにパルスカウント信号の出力が継続され、出力されるパルスカウント信号が全開位置データと合致したときに(ステップS17)、開閉制御部6が駆動モータ22の駆動を停止させることにより、開閉体10の開放動作が終了する(ステップS18)。
前述の通常開閉動作時の原点補正制御も、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越える閉鎖動作時には、マイクロスイッチ33がOFFになるため、原点検出部3の原点位置検出が行われ、開閉体10の下端部100が基準位置Pを越える開放動作時には、マイクロスイッチ33がONになるため、原点検出部3の原点位置検出が行われない。
前述の通常開閉動作時の原点補正制御は、開閉体の開閉回数にかかわらず、給電が継続している状態で開閉指示があるときに行われるようになっており、非給電状態になった場合又はこの原点補正制御を停止させる指示があった場合において終了する。
図6〜図8のフローチャートにおける停止指示における開閉動作停止について、フローチャート中に記載されている以外にも、開閉体10の開閉動作中に随時停止指示により開閉体10を停止させるステップを設定してもよい。
本実施形態の開閉装置1及び開閉装置1の原点補正方法によれば、マイクロスイッチ33がONからOFFに切り替わるときに原点位置検出を行うようにしているため、開閉体10に変形や破損等が生じても原点補正を行うことができ、前述のチャタリングによる不安定要素を排除して安定した原点補正を行うことができる。しかも、安価な機械式接点のマイクロスイッチ33を用いているため、開閉装置1の低コスト化と小型化ができる。
更に、基準位置Pを開閉体10の開閉範囲中に設定しているので、開閉体10の通常の閉鎖動作で原点を検出することができる。しかも、基準位置Pの設定位置は、全開位置P1と全閉位置P2の間、かつ開閉体10を原点検出時の動作が可能な位置であれば、どの位置でも設定が可能である。すなわち、基準位置Pの位置を開閉装置1の設置現場に応じて任意に設定することができるので、開閉装置1の設計自由度を拡げることができる。
更に、原点補正後に開閉体10を開放動作させるとともに、開閉体10を全開位置P1で停止させるようにしているので、原点補正後に開閉指示の操作をすることなく、通常開閉動作を行う状態に移行させることができる。
更に、基準位置Pを全開位置P1の近くに設定することにより、開閉体10の原点位置検出時における閉鎖動作量を少なくすることができる。しかも、通常開閉時でない原点検出動作時には閉鎖動作する開閉体10の直下に障害物等があっても、この障害物等に対する開閉体10の接触を防ぐことができる。その上、原点補正後における開閉体10の全開状態への移行を迅速に行うことができる。
更に、開閉体10の通常閉鎖動作において原点補正を行っているので、気温や使用等による開閉体10の剛性変化で、開閉体10の下端部100の位置と基準位置Pとにずれが生じるような状況であっても、常に、駆動制御部が検知する開閉体の動作位置と実際の開閉体の開閉位置との関係を正常にすることができる。
なお、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。例えば、前述の実施形態の原点検出部3は、開閉体10の閉鎖動作時に原点検出を行うように構成したものであるが、本発明では、原点検出部3を開閉体10の開放動作時に原点検出を行うようにした構成としてもよい(図示せず)。
また、前述の実施形態では、原点検出時において開閉体10の下端部100が基準位置Pに合致したときに原点検出が行われるように構成したものであるが、本発明では、原点検出時における基準位置Pに合致させる開閉体10の部位を下端部100に限定するものではない。
また、前述の実施形態では、基準位置Pを全開位置P1付近に設定しているが、本発明では、基準位置Pを全閉位置P2付近(例えば、全閉位置P2から開放方向に50mm〜70mmの範囲)に設定し、開閉体10の下端部100が閉鎖方向側p20から開放方向側へ至ったときに、マイクロスイッチ33がONからOFFに切り替わり、原点検出を行うようにしてもよい(図示せず)。この場合の原点補正制御としては、図5〜図8に示すフローチャートにおいて、開放・全開と閉鎖・全閉を入れ換えて用いればよい。また、カム部32は、開閉体10の下端部100が閉鎖方向側P20から基準位置に至ったときに、マイクロスイッチ33のローラ332がカム凸部321からカム凹部320に至るように回転位置が設定される(図示せず)。この実施形態によると、開閉体10を人が出入りできるほど開けたくない状況下(例えば、休業中店舗入口の開閉装置への電源投入等)でも、それをあまり気にすることなく原点補正を行うことができる。
また、前述の実施形態の原点検出部3は、カムスイッチ構造としたものであるが、本発明では、近接スイッチ構造とした構成としてもよい(図示せず)。この近接スイッチは、可動接点が固定接点に対して磁力により接触・離間する構造でありヒステリシス性を有している。すなわち、ONからOFFへの切り替えとOFFからONへの切り替えとに応答差が生じるおそれがあり、特に、この接点同士の接触時におけるバウンドによるチャタリングが生じるおそれがあるため、前述のカムスイッチ構造と同様に、可動接点が固定接点に対して離間するときに原点検出を行うようにすることにより、原点検出の正確性を向上させることができる。
また、前述の実施形態では、カムスイッチ構造の原点検出部3と減速ギア30とによる構成を例示したが、減速ギア30に換えて増速ギアとし、原点検出部3を実開昭51−177330号公報記載のものと同様の構造のものを用いてもよい(図示せず)。この公報に記載のものは、カム機構を備えたカウンタ機構を対称形状で2セット(符号LS1、LS2)備えているが、そのうちどちらか適した一方を用いるか、1セット分省略して用いればよい。また、カム(符号13)とマイクロスイッチ(符号MS1)の関係性は、前述の実施形態と同等に設定されればよい。この場合も、マイクロスイッチがONからOFFに切り替わったときを原点検出とする。
また、本実施形態では、開閉体10の開閉方向を図示において上下方向としているが、本発明では、開閉体10の幅方向を上下方向とし、開閉体10の開閉方向を左右方向(横方向)とした形態、開閉体10の開閉方向を斜め方向とした形態も含む(図示せず)。更に、開閉体10の開閉方向が開閉中に切り替わるような形態も含む(図示せず)。