JP5575354B2 - 排ガス浄化フィルタ - Google Patents

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本発明は、ディーゼルエンジンなどの排ガスに含まれるPM(Particulate
Matter)を捕集して、排ガスを浄化する、排ガス浄化フィルタおよびその製造方法に関するものである。
ディーゼルエンジンなどの排ガスに含まれるPMは、その粒子径がほぼ1μm以下で、大気中に浮遊しやすく、呼吸時に人体に取り込まれやすい。また、PMは発ガン性物質を含んでおり、ディーゼルエンジンからのPMの排出には厳しい規制が実施されている。
PMを除去する方法に、耐熱性の多孔質材料などからなる排ガス浄化フィルタでPMを捕集し、ヒーターなどで加熱してPMを燃焼させ、ガスに変えて放出する方法がある。また、排ガス浄化フィルタに金属酸化物などを含む排ガス浄化触媒を担持して、触媒作用によって、通常のPM燃焼温度より低温で燃焼させる方法がある。
排ガス浄化触媒としては、CuやVなどの金属酸化物を用いたものが、高い活性を持つことが知られている。例えば、特許文献1には、CuやVを含む金属酸化物の排ガス浄化触媒が開示されている。また、特許文献2には、VやMoなどの金属酸化物にハロゲン化アルカリなどの金属塩を添加した排ガス浄化触媒が開示されている。また、特許文献3には、Cu、Mn、Moなどの酸化物に、アルカリ金属の酸化物と貴金属とを添加した排ガス浄化触媒およびこれを担持した排ガス浄化フィルタが開示されている。
特開昭58−143840号公報 特開昭58−174236号公報 特公平4−42063号公報
このような従来の排ガス浄化フィルタには、以下の課題があった。
排ガスの流路に排ガス浄化フィルタを設けてPMを捕集すると、排ガス浄化フィルタ上にPMの堆積層が形成される。排ガス浄化フィルタとして広く普及しているコージェライト製DPF(Diesel Particulate Filter)などは、このPM堆積層が形成された状態では、PM、特にすすに対して高い捕集率を発揮することが、一般に知られている。
逆に、PM堆積層が十分形成されていない状態では、十分高い捕集率を発揮できない。また、一端PM堆積層が形成されても、排ガス温度が、PMが自然に燃焼する温度以上、
または排ガス浄化フィルタに担持された排ガス浄化触媒のPM燃焼活性が十分に発揮できる温度では、PM堆積層は消失し、PMの捕集率が低下する。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、容易な手段を用いて、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明においては、無機酸化物のゾルに、多孔質材料からなるフィルタを含浸した後、凍結乾燥し、乾燥時の前記無機酸化物の移動を抑制することにより、前記多孔質材料からなるフィルタ細孔内に浸透した無機酸化物は、細孔内の空隙中に分散した状態で乾燥され、三次元架橋構造を形成し、前記フィルタ細孔内部の空間を分割したことを特徴としている。
この手段により、フィルタが有する細孔の細孔径が小さくなり、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタが得られる。
本発明によれば、無機酸化物のゾルに、多孔質材料からなるフィルタを含浸した後、凍結乾燥し、乾燥時の前記無機酸化物の移動を抑制することにより、前記多孔質材料からなるフィルタ細孔内に浸透した無機酸化物は、細孔内の空隙中に分散した状態で乾燥され、三次元架橋構造を形成し、前記フィルタ細孔内部の空間を分割したことによって、フィルタが有する細孔の細孔径が小さくなり、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタを提供することができる。
本発明の実施例1の評価例1における細孔径分布評価の結果を示す図 本発明の評価例2、3および5の排ガス試験を表す図 本発明の実施例1の評価例2における排ガス試験の結果を示す図 本発明の実施例2の評価例3における排ガス試験の結果を示す図 本発明の実施例3および4の評価例4における細孔径分布評価の結果を示す図 本発明の実施例2および5の評価例5における排ガス試験の結果を示す図 本発明の実施例6および7の評価例5における排ガス試験の結果を示す図
本発明の請求項1に記載の発明は、無機酸化物のゾルに、多孔質材料からなるフィルタを含浸した後、凍結乾燥し、乾燥時の前記無機酸化物の移動を抑制することにより、前記多孔質材料からなるフィルタ細孔内に浸透した無機酸化物は、細孔内の空隙中に分散した状態で乾燥され、三次元架橋構造を形成し、前記フィルタ細孔内部の空間を分割したことにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できるようにしたことを特徴とする排ガス浄化フィルタである。
これにより、フィルタが有する細孔の細孔径が小さくなり、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタが得られる。
また、排ガス浄化触媒を担持した場合、フィルタ細孔内に耐熱性材料の三次元架橋構造を有するので、ここに触媒が担持されて、触媒とPMとの接触効率が向上し、効果的にPMを燃焼できると考えられる。
無機酸化物を担持させるには、無機酸化物のゾルまたは、無機酸化物の粉末を分散させた懸濁液に、多孔質材料からなるフィルタを含浸する。
これにより、フィルタに均一に無機酸化物を被覆することができる。また懸濁液を調製する際は、分散剤を加えるのも良い。分散剤は、例えばポリカルボン酸型高分子界面活性剤のような、乾燥時または焼成時に燃焼するなどして、フィルタ上に残存しないものが好ましい。
そして、無機酸化物のゾルまたは、無機酸化物の粉末を分散させた懸濁液に、多孔質材料からなるフィルタを含浸する際、減圧する。
これにより、フィルタの細孔内に無機酸化物が十分浸透して、効果的に細孔径が小さくなり、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタが得られる。
そして、無機酸化物のゾルまたは、無機酸化物の粉末を分散させた懸濁液に、多孔質材料からなるフィルタを含浸した後、フィルタを吸湿性材料と接触させて、余剰なゾルまたは懸濁液を除去する。
なお、フィルタを吸湿性材料と接触させて、余剰な添着液を除去することを特徴とした排ガス浄化フィルタの製造方法としてもよい。
エアブローなどで余剰なゾルまたは懸濁液を除去すると、風圧や部分的な乾燥により、フィルタに保持された無機酸化物が移動するおそれがある。
フィルタを吸湿性材料と接触させることにより、穏やかに余剰なゾルまたは懸濁液を除去することができる。
吸湿性材料としては、不織布などを用いることができる。
そして、無機酸化物のゾルまたは、無機酸化物の粉末を分散させた懸濁液に、多孔質材料からなるフィルタを含浸した後、凍結乾燥する。
なお、耐熱性材料が分散した液を細孔内に保持した、多孔質材料からなるフィルタを、凍結乾燥することを特徴とする排ガス浄化フィルタの製造方法としてもよい。
これにより、乾燥時の無機酸化物の移動を抑制することができる。従って、細孔内に浸透した無機酸化物は、細孔内の空隙中に分散した状態で乾燥され、三次元の架橋構造を形成すると考えられる。
フィルタを凍結させる手段としては、真空凍結乾燥装置などを用い、減圧して溶媒を昇華させ、その昇華熱により凍結させることができる。
そして、凍結乾燥する際、乾燥前に液体窒素に含浸し、予めフィルタを凍結させ、減圧乾燥する。
これにより、瞬間的にフィルタを凍結させることができ、乾燥時の無機酸化物の移動を抑制することができる。
また、多孔質材料がコージェライトであることを特徴とする。
コージェライト製DPFは、ディーゼル排ガス浄化フィルタとして優れた捕集率を有し、広く普及している。
これを用いることにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタが、容易に得られる。
また、無機酸化物がチタニア、ジルコニア、シリカ、シリカアルミナ、アルミナの内の
、一つ以上の無機酸化物を含むことを特徴とする。
これら無機酸化物は耐熱性に優れ、また容易に入手することができる。
これらを用いることにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できる排ガス浄化フィルタが、容易に得られる。
また、無機酸化物のゾルまたは、無機酸化物の粉末を分散させた懸濁液に、多孔質材料からなるフィルタを含浸し、次に乾燥および/または焼成した後、排ガス浄化触媒を担持することを特徴とする。
これにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮でき、同時にPMを燃焼除去できる排ガス浄化フィルタが得られる。
また、排ガス浄化触媒が金属酸化物と、1族の金属の硫酸塩および/または2族の金属の硫酸塩とを、含むことを特徴とする。
これにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮でき、同時にPMに対して高い燃焼活性を持つ排ガス浄化フィルタが得られる。
また、金属酸化物がV、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pbの内の、一つ以上の金属を含むことを特徴とする。
これにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮でき、同時にPMに対して非常に高い燃焼活性を持つ排ガス浄化フィルタが得られる。
また、1族の金属の硫酸塩が硫酸セシウムであることを特徴とする。
これにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮でき、同時にPMに対して非常に高い燃焼活性を持つ排ガス浄化フィルタが得られる。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
直径5.66インチ、高さ6インチ、セル密度300cpsiのコージェライト製DPFをチタニアゾルに含浸し、ゾルに浸したまま減圧装置内に設置した。減圧装置内を約10kPaまで減圧し、その状態を30分間維持した。次に、DPFをゾルから引き上げた後、震盪して余剰のゾルを除去した。さらにDPFを不織布と接触させ、ゾルを十分除去した。次に、DPFを液体窒素に浸して、添着したゾルを凍結させた後、真空凍結乾燥装置を用いて乾燥させた。次に、電気炉を用いて、DPFを700℃で5時間焼成して、チタニアで均一に被覆された排ガス浄化フィルタを製造した。
なお、実施例1では多孔質材料からなるフィルタとしてコージェライト製DPFを用いたが、連通した気孔構造を有する発泡金属などの金属多孔質体でもよい。
また、実施例1では無機酸化物の一つとしてチタニアを用いたが、他にも、ジルコニア、シリカ、シリカアルミナ、アルミナの内の、一つ以上の無機酸化物を含んでもよい。
また、実施例1ではチタニアゾルを用いたが、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ
アルミナ、アルミナなどのゾルや粉末を分散させた懸濁液でもよい。
また、実施例1ではDPFを凍結させる際、液体窒素に含浸したが、真空凍結乾燥装置などを用い、減圧して溶媒を昇華させ、その昇華熱により凍結させてもよい。
(比較例1)
実施例1で用いたものと同じ仕様のDPFを準備し、これを比較例1とした。
(比較例2)
実施例1で用いたものと同じ仕様のDPFを用いて、実施例1と同様の工程でチタニアを被覆した排ガス浄化フィルタを製造した。ただし、比較例2では凍結乾燥を行わず、余剰のゾルを除去した後、電気炉にて300℃で2時間熱乾燥した。
(評価例1)
実施例1、比較例1および2の排ガス浄化フィルタの細孔径分布を、水銀圧入法により評価した。結果を図1に示す。
図1に示したように、何も処理をしていない比較例1の細孔径分布は20〜40μmにピークを持ち、また平均細孔径31μm、空隙率55%であった。このとき、細孔径が20μm以下の細孔の容積は、全細孔容積の21%であった。一方、実施例1の細孔径分布は4〜20μmにピークを持ち、また平均細孔径12μm、空隙率48%であった。このとき、細孔径が20μm以下の細孔の容積は、全細孔容積の88%を占めた。
これより、チタニアなどの被覆によってフィルタが有する細孔の細孔径を、効果的かつ大幅に小さくできることが分かった。
また、比較例2の細孔径分布は20〜40μmにピークを持ち、また平均細孔径34μm、空隙率36%であった。このとき、細孔径が20μm以下の細孔の容積は、全細孔容積の40%であった。
これより、凍結乾燥などによって乾燥時のチタニアの移動を抑制でき、効果的に細孔径を小さくできることが分かった。また、乾燥前に液体窒素に含浸し、予めフィルタを凍結させることで、乾燥時のチタニアの移動を効果的に抑制できたと考えられる。また、余剰なゾルを除去する際、フィルタを不織布と接触させることにより、穏やかに余剰なゾルを除去することができ、チタニアの移動の抑制に寄与したと考えられる。
また、比較例1を基準に細孔容積の割合を求めると、比較例2は51%と半分になったのに対し、実施例1では77%の容積を維持した。
以上の結果より、実施例1は細孔容積をある程度維持しつつ、細孔径は大幅に小さくなった。これは、細孔内でチタニアが三次元の架橋構造を形成し、細孔内部の空間を分割したためだと考えられる。
フィルタの細孔内でチタニアが三次元の架橋構造を形成することで、フィルタの圧力損失を大幅に上昇させることなく、効果的に細孔径が小さくなり、同時にPM捕集面積が増加するので、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できると考えられる。また、さらに排ガス浄化触媒を担持した場合、チタニアの三次元架橋構造に触媒が担持されて、触媒とPMとの接触効率が向上し、効果的にPMを燃焼できると考えられる。
なお、ここで用いたチタニアの平均粒子径は20nmであり、フィルタの細孔に比べて
十分小さい。
(評価例2)
実施例1および比較例1の排ガス浄化フィルタを用いて、以下のような排ガス試験を行った。
行った排ガス試験を、図2を参照しながら説明する。
排気量4.3Lのディーゼルエンジン1を使用し、ディーゼルエンジン1からの排気ラインには切替え弁2を設け、バイパスライン3と本ライン4を設置し、本ライン4側に排ガス浄化フィルタ5を設置した。
バイパスライン3に排気しながら、ディーゼルエンジン1を1500rpm、排ガス温度500℃となるように作動した。排気を安定させた後、切替え弁2によって排ガス浄化フィルタ5を設置した本ライン4に、排ガスを導入した。排ガス導入後から30分間、排ガス浄化フィルタ5前後のスモーク値を、スモークメータ6で読み取った。
排ガス浄化フィルタ5前後のスモーク値の変化率を排ガス浄化フィルタ5の捕集率として、結果を図3に示す。
図3に示したように、何も処理をしていない比較例1のフィルタは、排ガス導入直後の捕集率が低い。捕集率はPMの堆積にともなって向上し、10分後にはほぼ100%に達した。一方、チタニアを被覆した実施例1のフィルタは、排ガス導入直後からほぼ100%の捕集率を発揮した。これより、フィルタをチタニアで被覆することによって、フィルタが有する細孔の細孔径が小さくなり、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できることがわかった。
なお、図3において、実施例1のプロットが100%を越えるのは測定誤差である。
(実施例2)
実施例1で用いたものと同じ仕様のDPFを用いて、実施例1と同様の工程でチタニアを被覆した排ガス浄化フィルタを製造した。
続いて、以下のようにして、チタニアで被覆したフィルタに、排ガス浄化触媒を担持した。
純水3Lに、硫酸セシウムを1140gと、硫酸銅五水和物を600gと、酸化硫酸バナジウムを790gと、酢酸マンガン四水和物を3gとを、溶解させ、触媒成分を含む水溶液を調製した。
次に、調製した水溶液にフィルタを5分間含浸し、引き上げた後、震盪して余剰の水溶液を除去した。さらにフィルタを不織布と接触させ、水溶液を十分除去した。次に、フィルタを液体窒素に浸して、添着した水溶液を凍結させた後、真空凍結乾燥装置を用いて乾燥させた。次に、電気炉を用いて、フィルタを700℃で5時間焼成して、排ガス浄化触媒が均一に担持された排ガス浄化フィルタを製造した。
実施例2において、被覆したチタニアはDPF重量の約28%であり、担持された排ガス浄化触媒はDPF重量の約25%であった。
なお、ここでは金属酸化物を構成する金属として、Cuと、Vと、Mnとを選択したが
、他にも、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Sn、Pbの内の、一つ以上の金属を含んでもよい。また、ここでは1族の金属の硫酸塩として、硫酸セシウムを選択したが、セシウム以外の1族の金属の硫酸塩および/または2族の金属の硫酸塩から選択してもよい。
また、実施例2において触媒成分を含む水溶液にフィルタを含浸する際、フィルタを水溶液に浸したまま、減圧装置などを用いて減圧してもよい。これにより、フィルタの細孔内に触媒成分が十分浸透して、より均一に触媒を担持することができる。
また、実施例2ではフィルタを凍結させる際、液体窒素に含浸したが、真空凍結乾燥装置などを用い、減圧して溶媒を昇華させ、その昇華熱により凍結させてもよい。
(評価例3)
実施例2の排ガス浄化フィルタを用いて、評価例2と同じ排ガス試験を行った。結果を図4に示す。
図4に示したように、実施例2のフィルタは、実施例1と同様に、排ガス導入直後からほぼ100%の捕集率を発揮した。また試験前後のフィルタ重量は変化していないことから、試験後のフィルタ上にPMの堆積がないことが確認された。これより、排ガス浄化触媒を担持したフィルタにおいて、その触媒活性が十分発揮され、PM堆積層が形成されない場合も、フィルタをチタニアで被覆することによって高い捕集率を発揮できることがわかった。
なお、図4において、実施例2のプロットが100%を越えるのは測定誤差である。
(実施例3)
直径5.66インチ、高さ6インチ、セル密度300cpsiの炭化珪素製DPFを用いて、実施例1と同様の工程でチタニアを被覆した排ガス浄化フィルタを製造した。
(実施例4)
実施例3で用いたものと同じ仕様のDPFを用いて、実施例1と同様の工程でチタニアを被覆した排ガス浄化フィルタを製造した。ただし、チタニアの被覆重量は実施例3の2倍になるようにした。
(比較例3)
実施例3で用いたものと同じ仕様のDPFを準備し、これを比較例3とした。
(評価例4)
実施例3、4および比較例3の排ガス浄化フィルタの細孔径分布を、評価例1と同様に、水銀圧入法により評価した。結果を図5に示す。
図5に示したように、何も処理をしていない比較例3の細孔径分布は10〜18μmにピークを持ち、また平均細孔径15μm、空隙率37%であった。このとき、細孔径が10μm以下の細孔の容積は、全細孔容積の6%であった。一方、実施例3の細孔径分布は2〜10μmにピークを持ち、また平均細孔径7μm、空隙率27%であった。このとき、細孔径が10μm以下の細孔の容積は、全細孔容積の93%を占めた。また、実施例4の細孔径分布は2〜6μmにピークを持ち、また平均細孔径4μm、空隙率16%であった。このとき、細孔径が10μm以下の細孔の容積は、全細孔容積の91%を占めた。また、比較例3を基準に細孔容積の割合を求めると、実施例3は71%の容積を維持した。
以上の結果より、炭化珪素製DPFを用いた場合も、実施例1と同様に、チタニアなどの被覆によってフィルタが有する細孔の細孔径を、効果的かつ大幅に小さくできることが分かった。また、凍結乾燥などによって乾燥時のチタニアの移動を抑制でき、効果的に細孔径を小さくできると考えられる。また、乾燥前に液体窒素に含浸し、予めフィルタを凍結させることで、乾燥時のチタニアの移動を効果的に抑制できたと考えられる。また、余剰なゾルを除去する際、フィルタを不織布と接触させることにより、穏やかに余剰なゾルを除去することができ、チタニアの移動の抑制に寄与したと考えられる。
また、実施例3および4も実施例1と同様に、細孔容積をある程度維持しつつ、細孔径が大幅に小さくなっており、細孔内でチタニアが三次元の架橋構造を形成したと考えられる。これにより、フィルタの圧力損失を大幅に上昇させることなく、効果的に細孔径が小さくなり、同時にPM捕集面積が増加するので、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できると考えられる。また、さらに排ガス浄化触媒を担持した場合、チタニアの三次元架橋構造に触媒が担持されて、触媒とPMとの接触効率が向上し、効果的にPMを燃焼できると考えられる。
(実施例5)
実施例3で用いたものと同じ仕様のDPFを用いて、実施例4と同様の工程でチタニアを被覆した排ガス浄化フィルタを製造した。さらに、実施例2と同様の工程で、排ガス浄化触媒を担持した。
実施例5において、被覆したチタニアはDPF重量の約11%であり、担持された排ガス浄化触媒はDPF重量の約9%であった。
(実施例6)
直径5.66インチ、高さ6インチ、セル密度400cpsiのコージェライト製フロースルーハニカムに白金触媒を担持した酸化触媒を準備した。この酸化触媒を排ガス流路の上流側に備え、下流側に実施例2の排ガス浄化フィルタを備えた。
(実施例7)
実施例6で用いたものと同じ仕様の酸化触媒を排ガス流路の上流側に備え、下流側に実施例5の排ガス浄化フィルタを備えた。
(評価例5)
実施例2、5および比較例1の排ガス浄化フィルタ、または実施例6および7の排ガス浄化装置を用いて、以下のような排ガス試験を行った。
行った排ガス試験を、図2を参照しながら説明する。
排ガス試験は評価例2と同様の実験系で行ったが、ここで用いたディーゼルエンジン1の排気量は4.2Lである。また、酸化触媒を備える場合は、排ガス浄化フィルタ5の位置に、酸化触媒と排ガス浄化フィルタを直列に配置した。
バイパスライン3に排気しながら、ディーゼルエンジン1を1500rpm、排ガス温度を250℃または490℃となるように作動した。排気を安定させた後、切替え弁2によって排ガス浄化フィルタ5を設置した本ライン4に、排ガスを導入した。90分後、排ガス浄化フィルタ5前後から排ガスをサンプリングし、適当に希釈して、濾紙7にて捕集した。ただし、酸化触媒を備える場合は、排ガス浄化フィルタ5の位置に酸化触媒と排ガス浄化フィルタを直列に配置し、その前後の排ガスをサンプリングした。濾紙7に捕集されたPMの重量から、排ガス浄化フィルタ5前後のPM排出量を求めた。
排ガス浄化フィルタ5前後のPM排出量の変化率を、フィルタの捕集率として求めた。また、試験前後の排ガス浄化フィルタの重量から、フィルタ上に堆積したPM量を求めた。排ガス温度490℃で実施例2、5および比較例1を評価し、結果を図6に示す。排ガス温度250℃で実施例6および7を評価し、結果を図7に示す。
図6に示したように、比較例1はPM堆積層の効果により捕集率97%となっているが、フィルタ上には6.7gものPMが堆積していた。一方、実施例2は捕集率90%を達成しているが、PMはほぼ堆積していなかった。同様に、実施例5は捕集率84%を達成しているが、PMはほぼ堆積していなかった。
これより、コージェライトおよび炭化珪素製DPFをチタニアで被覆し、これに排ガス浄化触媒を担持した排ガス浄化フィルタは、捕集したPMを効果的に燃焼除去することができ、かつこのようなPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できることがわかった。
図7に示したように、実施例6および7の捕集率はどちらも90%以上となった。
排ガス温度が250℃の排ガスは、未燃燃料や潤滑油などに由来する揮発成分を多く排出していると考えられる。これらは、排ガス浄化フィルタを通過するときはガス状であったり、凝集した微小粒子であったりするので、捕集が困難である。しかし、酸化触媒を排ガス流路の上流側に備え、下流側に本発明に記載の排ガス浄化フィルタを備えることで、酸化触媒の効果により揮発成分が酸化分解され、高い捕集率を発揮できることがわかった。
本発明の排ガス浄化フィルタは、多孔質材料からなるフィルタを耐熱性材料で被覆することにより、フィルタ上にPM堆積層がない場合にも高い捕集率を発揮できるため、有用である。排ガス浄化の対象は、自動車だけでなく、建設機械、発電機、フォークリフト、耕運機、船舶など幅広く存在し、適用が可能である。
1 ディーゼルエンジン
2 切替え弁
3 バイパスライン
4 本ライン
5 排ガス浄化フィルタ
6 スモークメータ
7 濾紙
8 排ガスの流れ

Claims (8)

  1. 無機酸化物のゾルに、多孔質材料からなるフィルタを含浸した後、凍結乾燥し、乾燥時の前記無機酸化物の移動を抑制することにより、前記多孔質材料からなるフィルタ細孔内に浸透した無機酸化物は、細孔内の空隙中に分散した状態で乾燥され、三次元架橋構造を形成し、前記フィルタ細孔内部の空間を分割した排ガス浄化フィルタ。
  2. 凍結乾燥する際、乾燥前に液体窒素に含浸し、予めフィルタを凍結させ、減圧乾燥することを特徴とする、請求項に記載の排ガス浄化フィルタ。
  3. 前記多孔質材料がコージェライトであることを特徴とする、請求項またはに記載の排ガス浄化フィルタ。
  4. 無機酸化物がチタニア、ジルコニア、シリカ、シリカアルミナ、アルミナの内の、一つ以上の無機酸化物を含むことを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載の排ガス浄化フィルタ。
  5. 無機酸化物のゾルに、多孔質材料からなるフィルタを含浸し、凍結乾燥および焼成した後、排ガス浄化触媒を担持することを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載の排ガス浄化フィルタ。
  6. 排ガス浄化触媒が金属酸化物と、1族の金属の硫酸塩および/または2族の金属の硫酸塩とを、含むことを特徴とする、請求項に記載の排ガス浄化フィルタ。
  7. 金属酸化物がV、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sn、Pbの内の、一つ以上の金属を含むことを特徴とする、請求項に記載の排ガス浄化フィルタ。
  8. 1族の金属の硫酸塩が硫酸セシウムであることを特徴とする、請求項またはに記載の排ガス浄化フィルタ。
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