JP2009101342A - パティキュレートフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】PMを短時間で燃焼させることができるパティキュレートフィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】エンジンから排出される排気ガス中のパティキュレートを捕集するために該排気ガスの通路に配設されるパティキュレートフィルタであって、前記排気ガスが通過する複数の排気ガス流路を区画する多孔質隔壁5からなるフィルタ本体6と、前記多孔質隔壁5表面に形成され、ジルコニウム(Zr)と、セリウム以外の希土類金属とを含むZr系複合酸化物を含有する触媒層8とを備え、前記Zr系複合酸化物が、ZrOと前記希土類金属の酸化物との合計量に対する前記希土類金属の酸化物の含有率が33モル%を超え40モル%未満であることを特徴とするパティキュレートフィルタを用いる。
【選択図】図3

Description

本発明は、希薄燃焼可能なディーゼルエンジンやリーンバーンガソリンエンジン等の排気ガスに含まれるパティキュレートの外部への放出を抑制するためのパティキュレートフィルタに関する。
ディーゼルエンジンやリーンバーンガソリンエンジン等から排出される排気ガス中には、炭素質成分を主体とするパティキュレート(Particulate Matter:PM)が含まれている。このPMが外気に排出されることによる環境への影響を低減するために、パティキュレートフィルタを排気通路に配設することによって、PMを捕集させている。捕集されたPMは、運転時間(エンジンの稼働時間)に応じて次第にパティキュレートフィルタに堆積していくため、PMが所定量以上堆積する前に、堆積したPMを燃焼させてパティキュレートフィルタを再生する制御が行われている。
PMを燃焼させる方法としては、例えば、バーナーやヒーターを利用してPMを燃焼させる方法が知られていた。近年では、燃料や排気ガスに含まれる炭化水素(HC)成分を、パティキュレートフィルタの上流側に配置される酸化触媒で燃焼させ、その燃焼熱で排気ガスの温度を高めることでPMの燃焼を促進させる方法等も用いられている。
また、PMは、通常、酸化雰囲気下、700℃弱にて自然着火する。この着火温度は、白金(Pt)等の触媒貴金属の作用により下げられることが知られている。そこで、パティキュレートフィルタとしては、例えば、Ptを担持したアルミナ粒子等を含有する触媒層を、排気ガスが流通する流路の表面にウォッシュコートすることによって、比較的低温でPMを燃焼できるような構成にしていることがある。さらに、PMの着火燃焼を効果的に促進させるために、セリウム(Ce)の酸化物を含み、活性酸素を放出可能な酸素吸蔵放出材を触媒層に含有させることによって、その酸素吸蔵放出材から放出された酸素を利用することや、ジルコニウム(Zr)の酸化物を含み、酸素イオン伝導性を有する酸素イオン伝導材を触媒層に含有させることによって、その酸素イオン伝導材を伝導した酸素を利用することが提案されている。
このようなウォッシュコートされたパティキュレートフィルタの一例として、例えば、下記特許文献1には、Ce、Zr、及びCe以外の希土類元素Rを含むCeZr系複合酸化物であって、R/(Ce+Zr+R)モル比が2〜11%であるものを含有する触媒層を備えたディーゼルパティキュレートフィルタが開示されている。
また、下記特許文献2には、Zrを主成分とするとともにCeおよびイットリウム(Y)を除く希土類金属が含まれたZr系複酸化物と、Ceを主成分とするとともにCeを除く希土類金属又はアルカリ土類金属が含まれたCe系複酸化物との少なくとも1つを含有するパティキュレート酸化触媒を有するディーゼルパティキュレートフィルタが開示されている。
下記特許文献3には、Zrを主成分とするとともにCeを除く希土類金属が含まれたZr系複酸化物とアルミナとを含み、Zr系複酸化物及びアルミナは、それぞれ触媒貴金属を担持しているパティキュレート酸化触媒を有するディーゼルパティキュレートフィルタが開示されている。
また、Zrを含む複合酸化物を含有する触媒層を備えた排気ガス浄化用触媒の一例として、例えば、下記特許文献4には、触媒担体基材と、該触媒担体基材の表面上に設けられた複数の触媒層とからなり、複数の該触媒層の表面をなす最表層に、Zrを含む安定化ジルコニアとCeZr複合酸化物とを含有する排気ガス浄化用触媒が開示されている。
特開2006−326573号公報 特開2007−54713号公報 特開2007−83224号公報 国際公開第06/46316号パンフレット
PMを燃焼させる、つまりフィルタを再生させる際には、排気ガスを高温にする必要があるので、例えば、エンジン燃焼室に噴射する燃料を増加させて、エンジンの排気通路まで燃料を供給する、いわゆるポスト噴射制御が行われることが多い。この増量された燃料を酸化触媒で燃焼させ、その燃焼熱で排気ガスの温度を高めて、PMの燃焼を促進させる。PMの燃焼速度が低いと、PMを完全に燃焼させるのに時間がかかるので、PMを燃焼させるための燃料の消費が増大し、燃費の悪化を招く。このようなPMを燃焼させるための燃料の消費を低減させるためには、特許文献1〜3に開示されている触媒よりも、PMの燃焼速度をさらに高めることが求められる。
特許文献1〜3によれば、Ceを除く希土類金属の含有率を高めることによって、初期のPMの燃焼速度を高めることができることが開示されている。しかしながら、Ceを除く希土類金属の含有率を高めると、耐熱性が低くなり、触媒が熱的損傷を受け、触媒効率が低下すると考えられていた。
また、特許文献4に記載の触媒は、触媒層の最表層に、安定化ジルコニウムとCeZr複合酸化物とを含有することによって、触媒の耐久性を高めることを目的としたものであって、PMの燃焼を促進させることができるものではなく、パティキュレートフィルタにそのまま適用できるものではない。
本発明は、PMを短時間で燃焼させることができるパティキュレートフィルタを提供することを目的とする。
本発明のパティキュレートフィルタは、エンジンから排出される排気ガス中のパティキュレートを捕集するために該排気ガスの通路に配設されるパティキュレートフィルタであって、前記排気ガスが通過する複数の排気ガス流路を区画する多孔質隔壁からなるフィルタ本体と、前記多孔質隔壁表面に形成され、ジルコニウム(Zr)と、セリウム以外の希土類金属とを含むZr系複合酸化物を含有する触媒層とを備え、前記Zr系複合酸化物が、ZrOと前記希土類金属の酸化物との合計量に対する前記希土類金属の酸化物の含有率が33モル%を超え40モル%未満であることを特徴とする。
触媒層に含有されるZr系複合酸化物は、希土類金属の酸化物の含有率を高めると、PMの燃焼速度を高めることができるものの、Zr系複合酸化物の結晶構造が変化しやすくなるので、耐熱性が低くなり、触媒が熱的損傷を受け、触媒効率が低下すると考えられていた。しかしながら、希土類金属の酸化物の含有率が上記範囲内であると、高温の排気ガスに晒した後にZr系複合酸化物の結晶構造が多少変化することがあっても、一旦変化した後は、それ以上ほとんど変化することはなかった。そして、その結晶構造が変化したものは、PMの燃焼速度が高いことを発見した。
従って、上記構成によれば、PMの燃焼速度を高めることができ、PMをより短時間で燃焼させることができる。また、PMの燃焼速度が高まるので、ポスト噴射制御を行う場合、燃費の向上を図ることができる。
また、前記Zr系複合酸化物が、1000℃で6時間以上の熱処理後に、X線回折測定において、前記Zr系複合酸化物からなる相と前記希土類金属の酸化物からなる相との混相として同定されるものであることが好ましい。
このようなZr系複合酸化物は、上記のように、PMの燃焼速度を高めることができ、PMをより短時間で燃焼させることができる。このことは、以下のことによると考えられる。まず、このようなZr系複合酸化物は、前記Zr系複合酸化物からなる相に、前記希土類金属の酸化物からなる相が分散しているものであると考えられる。そして、このような前記希土類金属の酸化物からなる相が分散したものは、希土類金属の酸化物からなる相の存在によって、前記Zr系複合酸化物の内部で酸素イオンが伝導しやすくなり、前記Zr系複合酸化物の酸素イオン伝導性が高まるためであると考えられる。また、前記Zr系複合酸化物は、1000℃で6時間以上の熱処理後であっても、前記Zr系複合酸化物からなる相と前記希土類金属の酸化物からなる相との混相として同定される。すなわち、長時間熱処理されても、上記のような混相として安定しているので、触媒層が熱的損傷を受けることによって、触媒効率が低下することが抑制される。
また、前記触媒層は、排気ガスの流入部により近い側を上流側、流出部により近い側を下流側とした場合に、上流側には、前記Zr系複合酸化物を含有し、下流側には、Zrと、セリウム以外の希土類金属とを含み、ZrOと前記希土類金属の酸化物との合計量に対する前記希土類金属の酸化物の含有率が8モル%以上33モル%以下である第2のZr系複合酸化物を含有することが好ましい。
パティキュレートフィルタにおいては、排気ガス上流部でPMが燃焼すると、その燃焼熱が排気ガス下流部へ伝播する。上記構成によれば、上流側の触媒層は、希土類金属の酸化物の含有率が高いので、PMの燃焼を促進させる性能が高いため、排気ガスの温度が比較的低い上流側であっても、PMを効率的に燃焼させることができる。従って、この上流側のPMの燃焼によって、下流側に流れる排気ガスの温度を高めることができ、パティキュレートフィルタ全体として、PM燃焼性能が高まる。
また、下流側の触媒層は、上流側の触媒層より希土類金属の酸化物の含有率が低いので、上流側の触媒層よりPM燃焼性能が低いものの、耐熱性がより高い。よって、上流側のPMの燃焼によって排気ガスの温度が高くなった下流側では、触媒層の熱的損傷をより抑制でき、さらに、上流側でのPMの燃焼熱を利用して、PMの燃焼を促進させることができる。
従って、触媒層が熱的損傷を受けることをより抑制でき、さらに、PMを短時間で燃焼させることができる。また、PMの燃焼速度が高まるので、ポスト噴射制御を行う場合、燃費の向上を図ることができる。
また、前記上流側の触媒層が、前記流入部から、前記フィルタ本体の前記流入部から前記流出部にわたる長さの20〜60%であることが好ましい。この構成によれば、上流側の触媒層でのPMの燃焼によって排気ガスが充分に高温になっており、PM燃焼性能が低い下流側の触媒層であっても、PMを燃焼させることができる。
また、前記希土類金属が、ネオジム(Nd)、ランタン(La)、及びプラセオジム(Pr)からなる群から選ばれることが好ましい。このような希土類金属を含む触媒層は、PMの燃焼速度をより高めることができる。
また、前記Zr系複合酸化物が、白金(Pt)が担持されたものであることが好ましい。Ptが担持されることによって、PMの燃焼速度をより高めることができる。
また、前記触媒層が、白金(Pt)が担持されたアルミナをさらに含むことが好ましい。このようなアルミナを含有すると、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)成分に対するライトオフ性能等、排気ガス浄化性能が向上する。
前記触媒層が、ジルコニウム(Zr)と、セリウム(Ce)とを含有するCeZr系複合酸化物をさらに含むことが好ましい。ZrCe系複合酸化物を含有すると、CO及びHC成分に対するライトオフ性能等、排気ガス浄化性能が向上する。
本発明によれば、PMを短時間で燃焼させることができるパティキュレートフィルタを提供することができる。
本発明の実施形態に係るディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)について説明する。
図1は、ディーゼルエンジンの排気通路1にDPF3を配設した状態を示す概略図である。排気通路(排気ガスの通路)1を構成する排気管は、図外のディーゼルエンジン本体に、排気マニホールドを介して接続される。図1に示すように、ディーゼルエンジン本体から排出される排気ガスは、白抜き矢印で示す方向に(図1では、左側から右側に)、排気通路1中を流通する。そして、上記排気通路1には、排気ガス中のPMを捕集するDPF3が装着されている。
図2は、排気ガスの流通方向上流側から見たDPF3を示す概略図である。図3は、図2に示すDPF3を、切断面線III−III’から見た概略断面図である。DPF3は、外形が円筒状に形成された、いわゆるウォールフロータイプのフィルタである。具体的には、コーディエライトやSiC、Si等の耐熱性セラミックスにより形成された多孔質隔壁5で区画して排気経路に沿って互いに略平行に多数の流路(セル)4を有するハニカム状に形成されたフィルタ本体6と、一部の流路4bの排気ガスの流入部(上流端部)及び他の流路4aの排気ガスの流出部(下流端部)を千鳥状に目封止する封止部15とを備える。図4は、多孔質隔壁5の拡大断面図を示す。多孔質隔壁5は、排気ガス流入路4aと排気ガス流出路4bとを連通する微細な細孔5aを有する。
DPF3は、下流端部が封止され、上流端部が開口している排気ガス流入路4aから流入した排気ガスが、図3において矢印で示すように、周囲の多孔質隔壁5を通過して、上流端部が封止され、下流端部が開口した排気ガス流出路4bへ流れて排出される。すなわち、排気ガスは、多孔質隔壁5の細孔5aを通過することによって、排気ガス流入路4aから排気ガス流出路4bへ流通する。そして、その間にPMが、DPF3、主に排気ガス流入路4aの内壁面と多孔質隔壁5の細孔5a表面とに捕捉され、堆積する。
また、DPF3の多孔質隔壁5の表面には、図4に示すように、PMの燃焼を促進させるパティキュレート酸化触媒を含有する触媒層8が形成されている。なお、このパティキュレート酸化触媒を含有する触媒層8は、PMが主に堆積される排気ガス流入路4aの内壁面及び多孔質隔壁5の細孔5a表面に形成されていればよく、例えば、流路4の全域にわたって形成されるものであってもよい。
前記パティキュレート酸化触媒としては、複合酸化物単体であってもよいが、PMの燃焼開始温度を低下させる触媒貴金属を担持させたものであることが好ましい。
前記触媒貴金属は、PMの燃焼開始温度を低下させるだけではなく、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を酸化させるものである。前記触媒貴金属としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びロジウム(Rh)等から選択される少なくとも1種が例示され、Ptが特に好ましい。また、例えば、Ptを複合酸化物に担持させる方法としては、複合酸化物にジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法によって、この複合酸化物に担持される。この複合酸化物に対する触媒貴金属の担持量は、例えば、Ptについてジニトロジアミン白金硝酸溶液の濃度や量を調整することによって調節できる。
前記複合酸化物としては、ジルコニウム(Zr)を主成分とするZr系複合酸化物が含まれるが、Zrとセリウム(Ce)とを含むZrCe系複合酸化物やアルミナ(Al)を含んでいてもよい。なお、ZrCe系複合酸化物及びアルミナを用いる場合は、それぞれに触媒貴金属が担持されていることが好ましい。
前記Zr系複合酸化物は、後述のように酸素イオン伝導性を有するものであり、Zrが主成分となるように調整され、Ceを除く希土類金属Rが含まれている。このZr系複合酸化物に含まれる希土類金属Rとしては、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられる。これらの中でもNd、La、及びPrから選択される少なくとも1種の金属であることが好ましく、耐熱性の点からNdが含まれているZr系複合酸化物が特に好ましい。
また、Zr系複合酸化物は、触媒層8に1〜80g/Lの範囲で含有させることが好ましい。さらには、5〜40g/Lの範囲が望ましい。ここで、当該含有量範囲はフィルタ担体の隔壁平均細孔径や気孔率、あるいはセル密度等に応じて適宜決定できる。例えば、隔壁平均細孔径に着目すると、これが約10〜30μmの範囲であれば1〜30g/Lの範囲、隔壁平均細孔径が約30μmを超える場合には上記範囲内においてより多く担持すればよく、さらに気孔率、セル密度に応じて微調整すればよい。Zr系複合酸化物が少なすぎると、PM燃焼性能を充分に発揮できない傾向があり、多すぎると、DPF3の背圧が高くなりすぎる傾向がある。
前記ZrCe系複合酸化物は、酸素吸蔵放出能を有し、ZrCe系複合酸化物から放出された酸素を利用することによって、HC及びCOの酸化を促進させ、ライトオフ性能を向上させるものである。
前記アルミナは、触媒貴金属の分散性を高めることによって、HC及びCOに対するライトオフ性能を向上させるものである。また、アルミナは、La等の希土類金属Rで安定化されたものが耐熱性の点で好ましく、さらには、比表面積として250m/g以上を有するものが触媒貴金属のシンタリングを防止する上で好ましい。
この触媒層8を形成するには、上記複合酸化物に触媒貴金属を担持させた後、この触媒貴金属担持複合酸化物を水及びバインダと混合してスラリーを生成し、このスラリーをフィルタ本体6の内部流路の内壁面にコーティングして、エアブローにより余分なスラリーを除去した後、乾燥、焼成する。この触媒層8の層厚等は、スラリーの粘度や濃度等により調整可能である。また、触媒層8を形成するパティキュレート酸化触媒に2種以上の複合酸化物が含まれる場合には、各複合酸化物に触媒貴金属を担持させるのが好ましい。
前記パティキュレート酸化触媒に含まれるZr系複合酸化物は、酸素イオン伝導性を有している。この酸素イオン伝導性を有する複合酸化物を用いたパティキュレート酸化触媒によってPMを酸化させるメカニズムは、次のように推測される。図5は、PMの酸化メカニズムを示す説明図である。なお、図5(a)は、カーボン9が堆積された触媒層8を示す拡大断面図であり、図5(b)は、触媒層8に含まれるZr系複合酸化物の結晶格子を示す概略図である。
ディーゼルエンジン本体から排気ガスが排出され、DPF3にPMが捕集されると、この触媒層8上にPMとしてのカーボン9が堆積する。このカーボン9は、多孔質で酸素と結合しやすい特性を有するため、酸素過剰条件下では、このカーボン9が堆積した触媒層8の表面部分で酸素の放出/脱離が起こり、この表面部分の酸素濃度が低下し、他の部分に対して微視的な酸素濃淡差が生じる。
このように触媒層8の表面のある部分の酸素濃度が低下すると、この触媒層8を構成する複合酸化物に含まれるZr系複合酸化物が酸素イオン伝導性を有するため、酸素濃度が高い複合酸化物内部から酸素イオンO2−が、当該酸素濃度が低下している表面部分に移動する。この酸素イオンO2−は、触媒層8の表面に達して活性酸素となり、その結果、複合酸化物表面にカーボン9の酸化反応の生じやすいところが局所的に生ずる。
そして、反応条件が最も整った部位において、カーボン9の酸化反応が始まる。図5(a)に示すように、この酸化反応が始まると、そこに火種10が生じ、この火種10によってその周囲の酸素は欠乏して酸素欠乏空間11が形成される。酸素欠乏状態になると、通常はカーボン9の酸化反応、すなわち、火勢が弱まりやがて火種10は消失するが、本実施形態に係るDPF3では、触媒層8を構成するパティキュレート酸化触媒が酸素イオン伝導性を有するZr系複合酸化物を含有して構成されるため、このZr系複合酸化物の働きによって酸素欠乏空間11に活性酸素が継続的に供給されることにより、カーボン9の酸化反応は、促進され、火種10を中心として燃焼領域が拡大していく。
すなわち、酸素過剰条件下では、酸素欠乏空間11とその周囲との間で酸素濃淡差を生じるとともに、この濃淡差に基づき、触媒層8の複合酸化物内部の微視的領域で電荷のアンバランスが生じ、これに伴って、この触媒層8のZr系複合酸化物を介して酸素濃度の高い部分からこの酸素欠乏空間11へと酸素イオンが移動される。そして、この酸素イオンが酸素欠乏空間11に活性酸素として放出され、これによりカーボン9と活性酸素との結合燃焼、すなわち酸化が促進されることになる。従って、触媒層8の表面の一部で生じた火種10は消失することなく、燃焼領域を拡大させていくので、カーボン9であるPMを効率的かつ短時間に燃焼浄化することができ、PMの燃焼速度を高めることができる。
ここで、Zr系複合酸化物に3価の金属である希土類金属Rが含まれるので、Zr系複合酸化物の内部では、図5(b)に示すように、Zrの一部が希土類金属R(図中の黒丸で示す)で置換されている。つまり、4価の金属原子による結晶格子に、3価の金属原子で置き換わっている。これにより、図5(b)に示すように、酸素欠損部(酸素イオン空孔)が存在し、酸素イオンは、この空孔を介して搬送されることになる。なお、この図5(b)においては、アルミナは省略されている。
Zr系複合酸化物は、上記メカニズムからわかるように、希土類金属Rの含有率が高い、つまり、希土類金属Rの酸化物ROの含有率(RO/(ZrO+RO))が高いほうが、酸素イオン空孔が多く存在することなり、PMの燃焼速度が高くなる。希土類金属Rの酸化物ROの含有率(RO/(ZrO+RO))が高いほうが、PMの燃焼速度が高くなることは、後述の実施例に示すように、実験的にも確認されている。
また、Zr系複合酸化物は、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が高くなると、上記メカニズムからわかるように、酸素欠損部が多くなる。よって、Zr系複合酸化物の結晶格子が崩壊され、結晶の分相が起こりやすく、結晶構造が変化しやすくなる傾向がある。つまり、Zr系複合酸化物は、希土類金属の酸化物ROの含有率が高くなると、耐熱性が低くなる傾向があると考えられていた。しかしながら、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であると、高温の排気ガスに晒した後にZr系複合酸化物の結晶構造が多少変化することがあっても、一旦変化した後は、それ以上ほとんど変化することはなかった。そして、その結晶構造が変化したものは、PMの燃焼速度が高いことを発見した。前記希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%以下であると、Zr系複合酸化物の結晶の分相がほとんど起こらず、耐熱性がより向上するが、上述のように、PMの燃焼速度が低下する傾向がある。また、前記希土類金属Rの酸化物ROの含有率が40モル%以上であると、高温の排気ガスに晒すと、結晶構造を維持できないおそれがあった。
この結晶構造が変化したZr系複合酸化物のPMの燃焼速度が高い理由は、以下に示すメカニズムによると考えられる。図6は、Zr系複合酸化物のPMの燃焼速度が高くなるメカニズムを説明するための図面である。
この希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を越えて含有されるZr系複合酸化物を高温の排気ガスに晒すと、図6に示すように、前記Zr系複合酸化物からなるベース相21に、前記希土類金属Rの酸化物ROからなる分離相22が細かく分散した状態となる。このような分離相22がベース相21に分散したものは、分離相22の存在によって、前記Zr系複合酸化物の内部で酸素イオンが伝導しやすくなり、前記Zr系複合酸化物の酸素イオン伝導性が高まるために、結晶構造が変化したZr系複合酸化物のPMの燃焼速度が高まると考えられる。
また、前記Zr系複合酸化物は、1000℃で6時間以上の熱処理した後に、X線回折測定において、前記Zr系複合酸化物からなる相と前記希土類金属の酸化物からなる相との混相として同定されるものである。このことからも、ベース相21に分離相22が分散した状態になると推定される。また、前記Zr系複合酸化物は、1000℃で6時間以上の熱処理後であっても、前記Zr系複合酸化物からなる相と前記希土類金属の酸化物からなる相との混相として同定される。すなわち、長時間熱処理されても、混相として安定しているので、前記Zr系複合酸化物の結晶構造が変化したとしても、触媒層8が熱的損傷を受けることによって、触媒効率が低下することが抑制される。
以上のことより、本実施形態に係る排気ガス浄化用触媒は、多孔質隔壁5表面に形成された触媒層8に、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であるZr系複合酸化物を含有されているので、PMを短時間で燃焼させることができる。また、本実施形態に係る排気ガス浄化用触媒は、多孔質隔壁5表面に形成された触媒層8の全面が、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であるZr系複合酸化物を含有するものであってもよいし、一部が前記Zr系複合酸化物を含有するものであってもよい。
また、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が上記範囲外のZr系複合酸化物を用いる場合であっても、ZrOと希土類金属Rの酸化物ROとの合計量に対する希土類金属Rの酸化物ROの含有率(RO/(ZrO+RO))が、最大でも40モル%を超えないことが好ましい。この含有率が40モル%を超えると、周辺の排気ガスの温度が低い領域の触媒層であっても、結晶格子が崩壊しやすくなり、耐熱性を確保できない傾向がある。
また、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であるZr系複合酸化物を含有する触媒層8が多孔質隔壁5表面の一部に形成されている場合は、後述するように、周辺の排気ガスの温度が比較的低い上流側に形成されていることが好ましい。すなわち、前記Zr系複合酸化物を含有する触媒層8が多孔質隔壁5表面の一部に形成されている場合は、その触媒層8は、周辺の排気ガスの温度が比較的低い上流側より、周辺の排気ガスの温度が比較的高い下流側のほうが、希土類金属Rの酸化物ROの含有率を低くなるように構成することが好ましい。
具体的には、触媒層8は、図3に示すように、排気ガスの流入部により近い側(上流側)6aの触媒層が被覆されている領域と、排気ガスの流出部により近い側(下流側)6bの触媒層が被覆されている領域とに分けられ、上流側6aの触媒層と下流側6bの触媒層とが連接する構成にし、さらに、上流側6aの触媒層における希土類金属Rの酸化物ROの含有率より、下流側6bの触媒層における希土類金属Rの酸化物ROの含有率のほうが低くしている。
また、フィルタ本体6の流入部から流出部にわたる長さ(6a+6b)に対する、前記上流側6aの触媒層が被覆されている領域の長さ(6a)の比率(6a/6a+6b)は、20〜60%であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
さらに、上流側6aの触媒層における、前記含有率は、33モル%を超え40モル%未満であることが好ましく、36モル%以上であることが好ましい。この含有率が低すぎると、上流側6aの触媒層周辺の排気ガスの温度が比較的低く、PMの燃焼を促進しにくくなる傾向がある。また、上流側6aの触媒層におけるZr系複合酸化物としては、例えば、図6に示す、Zr−12Nd−24Pr、Zr−18Nd−18Pr、Zr−12Nd−18Pr−3La、Zr−18Nd−18Pr−3La等が挙げられる。なお、ここでのZr系複合酸化物(Zr−xR)は、xモル%のRを含み、残部がZrOであるZr系複合酸化物を示し、以下の説明でもこのような表記をする。具体的には、例えば、Zr−12Nd−24Prは、12モル%のNdと24モル%のPrとを含み、残部がZrOであるZr系複合酸化物を示す。
また、前記下流側6bの触媒層における、前記含有率は、8モル%以上33モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることが好ましい。この含有率が低すぎると、下流側6bの触媒層周辺の排気ガスの温度が高いが、排気ガスの温度が高くてもPMの燃焼が促進されにくくなる傾向がある。また、この含有率が高すぎると、高温の排気ガスに対する耐熱性がより高い触媒層を下流側に配置する効果を発揮しにくくなる傾向がある。
以上のことから、希土類金属Rの酸化物ROの含有率の高いZr系複合酸化物を含む上流側6aの触媒層は、PMの燃焼を促進させる性能が高い。よって、排気ガスの温度が比較的低い上流側6aであっても、PMを効率的に燃焼させることができる。また、PMの燃焼によって、排気ガスの温度が高まり、下流側6bに流れる排気ガスの温度を高める。希土類金属Rの酸化物ROの含有率の低いZr系複合酸化物を含む下流側6bの触媒層は、上流側6aの触媒層より希土類金属Rの酸化物ROの含有率が低いので、上流側6aの触媒層よりPM燃焼性能が低いものの、耐熱性がより高い。よって、上流側6aのPMの燃焼によって排気ガスの温度が高くなった下流側6bでは、触媒層の熱的損傷をより抑制でき、さらに、上流側6aでのPMの燃焼熱を利用して、PMの燃焼を促進させることができる。従って、触媒層8が熱的損傷を受けることをより抑制でき、さらに、PMを短時間で燃焼させることができる。また、PMの燃焼速度が高まるので、ポスト噴射制御を行う場合、燃費の向上を図ることができる。
また、上記実施形態は、触媒層8として、上流側6aの触媒層と下流側6bの触媒層との2つの触媒層が連接して形成される触媒層を例に挙げて説明したが、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が、上流側6aの触媒層よりも下流側6bの触媒層の方が低ければ、3つ以上の触媒層からなっていてもよい。或いはまた、上流側6aの触媒層と下流側6bの触媒層とは僅かにクリアランスが設けられていてもよい。そうすることによって、上流側6aの触媒層でPMが燃焼され、その燃焼熱で僅かなクリアランス部に堆積したPMは充分に燃焼が可能である。
以下に、本発明の実施形態であるDPF3の実施例について説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例A]
PMの燃焼速度に対する、Zr系複合酸化物の成分および含有比率の影響を検討した。
まず、Zr系複合酸化物の成分及び含有比率を変更した複数のDPF3を、以下のように作製した。
DPF担体(フィルタ本体6)としては、セルの構造が、多孔質隔壁5の壁厚12milで、セル数300cpsi(cells per square inch)の炭化ケイ素(SiC)製のDPF担体から25mlの体積を有するように切り抜いたものを使用した。
次に、表1に示す成分および含有比率の各Zr系複合酸化物を調製した。これらのZr系複合酸化物の調製方法は、イオン交換水に混合する各金属(Zr,Nd,Pr,La等)の硝酸塩を所定量溶解し、アンモニアにより調整した塩基性溶液を滴下し、各金属元素を含む沈殿を生成し、ろ過、水洗、乾燥、500℃で2時間の焼成を行って生成することによって、Zr系複合酸化物が得られる。なお、Zr−18Nd−18Prについては、1000℃で6時間の焼成を行って生成したものも用意した。
そして、これらのZr系複合酸化物に触媒貴金属としてPtを担持させた。Ptの担持方法は、Zr系複合酸化物のそれぞれにジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法により、PtをZr系複合酸化物に担持させる。このPtの担持量は、Zr系複合酸化物に対して1質量%になるように設定している。
これを乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、電気炉において500℃の大気雰囲気下で2時間加熱焼成を行い、Zr系複合酸化物を含む触媒粉末(Pt担持複合酸化物粉末)を得た。その後、Pt担持複合酸化物粉末を800℃の大気圧条件下で24時間放置するエージング処理を施した。
エージング処理を施したPt担持複合酸化物粉末をそれぞれ水及びバインダと混合してスラリーとし、そのスラリーを封止部15によって目封止されたフィルタ本体6にコーティングし、乾燥させた。このときのコーティング量は、20g/Lとなるように調整した。その後、電気炉により500℃の大気雰囲気で2時間加熱を行って焼成することによって、フィルタ本体6の内部流路の略全域に触媒層8が形成されたDPF3を得た。
得られたDPFについて、以下の方法により、カーボン燃焼速度を測定した。
(カーボン燃焼速度)
上記各DPF3を、模擬排気ガスを流通させるモデルガス流通触媒評価装置にセットした状態でカーボン燃焼性能を調べるカーボン燃焼速度評価実験を行った。
この実験としては、PMの燃焼性能を求める指標として、PMの代わりにカーボンブラック粉末(シグマアルドリッチ社製)をDPF3に堆積させ、模擬排気ガスを流しながら昇温させた際にDPF3内部でのカーボン燃焼によって排出される、COおよびCOの濃度を用いて評価を行った。このカーボンブラック粉末の堆積は、10g/L相当のカーボンブラック粉末に10ccのイオン交換水を加え、スターラーを用いて5分間攪拌混合し、充分にカーボンブラック粉末を分散させる。これにDPF3の上流端側を浸すと同時に、浸した端面と逆側よりアスピレーターにより吸引を行った。この吸引により除去できない水分を、浸した端面側よりエアブローにより除去し、乾燥器にて150℃の温度で2時間かけて乾燥させた。
上記モデルガス流通触媒評価装置においては、15℃/分の割合で600℃まで昇温させつつ、酸素ガスおよび水蒸気がそれぞれガスの総流量に対して10体積%含まれ残りが窒素ガス等とされた模擬排気ガスをその空間速度が50000/hとなるように流通させ、DPF3の出口部直後におけるCO,CO濃度を測定した。そして、このCO,CO濃度に基づいて次式に定めるカーボンの燃焼速度を求めた。なお、このカーボン燃焼速度は担体(DPF3)1L当たりに燃焼するカーボン量を示している。
Figure 2009101342
得られた結果を、表1、図7及び図8に示した。なお、図7は、各種DPF3におけるカーボンの燃焼速度を示したグラフであり、図8は、Zr−Nd複合酸化物及びZr−Nd−Pr複合酸化物におけるNdの含有率の変化に伴うカーボン燃焼速度の変化を示すグラフである。
Figure 2009101342
表1、図7及び図8からわかるように、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が高いほうが、PMの燃焼速度が高かった。また、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33%を超え、1000℃で6時間の焼成を行ったZr系複合酸化物を用いたものが、PMの燃焼速度が最も高かった。このことから、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であるZr系複合酸化物を含む触媒層を備えるDPFは、高温の排気ガスに晒されても、PMの燃焼速度が悪化せず、向上することがわかった。また、図7において、例えば、Zr−6Nd−12Pr、Zr−6Nd−6La、Zr−6Nd−12La、Zr−12Nd−6Laを用いた場合、Zr−20Laを用いた場合と比較して、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が低いにもかかわらず、PMの燃焼速度が同等かそれ以上であった。このことから、希土類金属Rとしては、Ndを含むことが好ましいことがわかる。このことは、Ndを含有させることによって、Zr系複合酸化物の耐熱性がさらに向上することによると考えられる。
次に、Zr−18Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末と、Zr−12Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末との相違について検討した。
まず、これらの触媒粉末を、大気中、1000℃、24時間のエージング処理を施した。その後、エージング処理を施した触媒粉末を、それぞれX線回折測定(XRD)を行った。図9は、Zr−18Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末及びZr−12Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末のX線回折測定の測定結果を示すチャート図である。図9(a)は、Zr−12Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末の結果を示し、図9(b)は、Zr−18Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末の結果を示す。
図9から、希土類金属Rの含有率が33モル%以下のZr系複合酸化物を含む触媒粉末は、鋭いピークが表れており、高温(1000℃)であっても、Zr系複合酸化物の結晶格子が保持されていることがわかる。
一方、希土類金属Rの含有率が33%を超えるZr系複合酸化物を含む触媒粉末は、鋭いピークが表れているが、Pr11に基づくピークが少し表れており、高温(1000℃)であると、Zr系複合酸化物の結晶の分相が起こっていることがわかる。
また、Pr11の結晶子径を、Pr11に基づくピーク位置(2θ=28.3°及び32.7°)に基づいて、シェラーの式から算出すると、20nmであった。これに対して、Prを1000℃で焼成して得られたPr11の結晶子径を、同様の方法で算出すると、150nmであった。このことから、希土類金属Rの含有率が33%を超えるZr系複合酸化物を含む触媒粉末は、高温で焼成することによって、Zr系複合酸化物からなるベース相に、Zr系複合酸化物から分離したPr11からなる分離相が細かく分散した状態になる。
以上より、このような分離相がベース相に細かく分散した分相によって、上述したように、Zr系複合酸化物の酸素イオン伝導性が高まるために、PMの燃焼性能が高まったと考えられる。
[実施例B]
さらに、Zr−18Nd−18PrとZr−12Nd−18Prとを用いてPMの燃焼性能等を評価した。
(実施例1)
Zr−18Nd−18Prを含む触媒層をフィルタ本体全面に備えたDPF3を、以下のように作製した。
DPF担体(フィルタ本体6)としては、セルの構造が、多孔質隔壁5の壁厚16milで、セル数178cpsi(cells per square inch)の炭化ケイ素(SiC)製のDPF担体から25ml(直径25.4mm)の体積を有するように切り抜いたものを使用した。
次に、Zr−18Nd−18PrとZr−23Ce−4NdとLaが5質量%、Alが95質量%含有されるように調整したLa含有アルミナとを、質量比で2:1:6となるように混合して、触媒材料を得た。
そして、その触媒材料に触媒貴金属としてPtを担持させた。Ptの担持方法は、触媒材料にジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法により、Ptを触媒材料に担持させる。このPtの担持量は、触媒材料に対して1.5g/Lになるように設定している。
これを乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、電気炉において500℃の大気雰囲気下で2時間加熱焼成を行い、Zr系複合酸化物を含む触媒粉末(Pt担持複合酸化物粉末)を得た。
Pt担持複合酸化物粉末を水及びバインダと混合してスラリーとし、そのスラリーを封止部15によって目封止されたフィルタ本体6にコーティングし、乾燥させた。このときのコーティング量は、20g/Lとなるように調整した。その後、電気炉により500℃の大気雰囲気で2時間加熱を行って焼成することによって、フィルタ本体6の内部流路の略全域に触媒層8が形成されたDPF3を得た。
(実施例2)
Zr−18Nd−18Prを含む触媒層をフィルタ本体上流側に備えたDPF3を、以下のように作製した。を用いたDPF3を、以下のように作製した。
DPF担体(フィルタ本体6)としては、セルの構造が、多孔質隔壁5の壁厚16milで、セル数178cpsi(cells per square inch)の炭化ケイ素(SiC)製のDPF担体から25mlの体積を有するように切り抜いたものを使用した。
次に、Zr−18Nd−18PrとZr−23Ce−4NdとLaが5質量%、Alが95質量%含有されるように調整したLa含有アルミナとを、質量比で2:1:6となるように混合して、触媒材料を得た。
そして、その触媒材料に触媒貴金属としてPtを担持させた。Ptの担持方法は、触媒材料にジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法により、Ptを触媒材料に担持させる。このPtの担持量は、触媒材料に対して1.8g/Lになるように設定している。
これを乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、電気炉において500℃の大気雰囲気下で2時間加熱焼成を行い、Zr系複合酸化物を含む触媒粉末(Pt担持複合酸化物粉末)を得た。
Pt担持複合酸化物粉末を水及びバインダと混合してスラリーとし、そのスラリーを封止部15によって目封止されたフィルタ本体6の上流端部から50%の領域にコーティングし、乾燥させた。このときのコーティング量は、20g/Lとなるように調整した。その後、電気炉により500℃の大気雰囲気で2時間加熱を行って焼成することによって、フィルタ本体6の内部流路の上流側に触媒層8が形成されたDPF3を得た。
(比較例1)
Zr−12Nd−18Prを含む触媒層をフィルタ本体全面に備えたDPF3を、以下のように作製した。
DPF担体(フィルタ本体6)としては、セルの構造が、多孔質隔壁5の壁厚16milで、セル数178cpsi(cells per square inch)の炭化ケイ素(SiC)製のDPF担体から25mlの体積を有するように切り抜いたものを使用した。
次に、Zr−12Nd−18PrとZr−23Ce−4NdとLaが5質量%、Alが95質量%含有されるように調整したLa含有アルミナとを、質量比で2:1:6となるように混合して、触媒材料を得た。
そして、その触媒材料に触媒貴金属としてPtを担持させた。Ptの担持方法は、触媒材料にジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法により、Ptを触媒材料に担持させる。このPtの担持量は、触媒材料に対して1.8g/Lになるように設定している。
これを乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、電気炉において500℃の大気雰囲気下で2時間加熱焼成を行い、Zr系複合酸化物を含む触媒粉末(Pt担持複合酸化物粉末)を得た。
Pt担持複合酸化物粉末を水及びバインダと混合してスラリーとし、そのスラリーを封止部15によって目封止されたフィルタ本体6にコーティングし、乾燥させた。このときのコーティング量は、20g/Lとなるように調整した。その後、電気炉により500℃の大気雰囲気で2時間加熱を行って焼成することによって、フィルタ本体6の内部流路の略全域に触媒層8が形成されたDPF3を得た。
得られたDPFについて、以下の方法により、カーボン燃焼性能、及びガス浄化性能(ライトオフ温度、高温浄化率)を評価した。
(カーボン燃焼性能)
上記各DPF3を、模擬排気ガスを流通させるモデルガス流通触媒評価装置にセットした状態でカーボン燃焼性能を調べるカーボン燃焼時間評価実験を行った。
この実験としては、PMの燃焼性能を求める指標として、PMの代わりにカーボンブラック粉末(シグマアルドリッチ社製)をDPF3に堆積させ、模擬排気ガスを流しながら昇温させた際にDPF3内部でのカーボン燃焼によって排出される、COおよびCOの濃度を用いて評価を行った。このカーボンブラック粉末の堆積は、5g/L相当のカーボンブラック粉末に10ccのイオン交換水を加え、スターラーを用いて5分間攪拌混合し、充分にカーボンブラック粉末を分散させる。これにDPF3の上流端側を浸すと同時に、浸した端面と逆側よりアスピレーターにより吸引を行った。この吸引により除去できない水分を、浸した端面側よりエアブローにより除去し、乾燥器にて150℃の温度で2時間かけて乾燥させた。
上記モデルガス流通触媒評価装置においては、窒素ガスを流通させながら、DPF3の入口の温度が580℃又は640℃となるまで昇温させた。その後、酸素及びNOxがそれぞれガスの総流量に対して10体積%、300ppm含まれ、残りが窒素ガスとされた模擬排気ガスをその空間速度が40,000/時となるように流通させ、DPF3の出口部直後におけるCO,CO濃度を経時的に測定した。そして、このCO,CO濃度に基づいて、上記式に定めるカーボンの燃焼速度を求め、1秒毎のカーボン燃焼量の積算値を算出した。その積算値からカーボンが90%燃焼した時間を測定し、その時間をカーボン燃焼時間とした。
この結果を図10及び図11に示す。図10は、DPF3の入口の温度が580℃としたときのカーボン燃焼時間の測定結果を示すグラフである。図11は、DPF3の入口の温度が640℃としたときのカーボン燃焼時間の測定結果を示すグラフである。なお、各図には、DPF3を800℃の大気圧条件下で24時間放置する熱処理を予め施したものと、施していないものとを用いた測定結果を並べて表示した。
図10及び図11から、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であるZr系複合酸化物を用いた実施例1及び実施例2は、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%以下であるZr系複合酸化物を用いた比較例1よりもカーボン燃焼速度が高いことがわかる。
(ガス浄化性能)
ガス浄化性能として、ライトオフ温度と高温浄化率とを測定した。評価においては、上記各DPF3を、モデルガス流通触媒評価装置にセットし、模擬排気ガスをその空間速度が50,000/hとなるように流通させるとともに、15℃/分の割合で昇温させた。このときの模擬排気ガスは、酸素ガス(O)、水蒸気(HO)、一酸化窒素ガス(NO)、炭化水素(プロピレン)(C)、一酸化炭素ガス(CO)、残部窒素(N)によって構成され、残部窒素以外は、それぞれ、10体積%、10体積%、100ppm、200ppmC(カーボン換算)、400ppmが含まれている。
ライトオフ温度として、DPF3の出口部直後におけるHC,CO濃度が50%となった時点でのDPF3の入口側の模擬排気ガス温度を測定した。
この測定結果を図12に示す。なお、図12には、DPF3を800℃の大気圧条件下で24時間放置する熱処理を予め施したものと、施していないものとを用いた測定結果を並べて表示した。この図12から、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%を超え40モル%未満であるZr系複合酸化物を用いた実施例1及び実施例2は、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が33モル%以下であるZr系複合酸化物を用いた比較例1よりもライトオフ温度が低下しており、排気ガス浄化性能が向上していることがわかる。
高温浄化率として、DPF3の入口側の模擬排気ガス温度が400℃となった時点での、DPF3の出口部直後におけるHC,COの浄化率を測定した。
この測定結果を図13に示す。なお、図13には、DPF3を800℃の大気圧条件下で24時間放置する熱処理を予め施したものと、施していないものとを用いた測定結果を並べて表示した。この図13から、各DPF3で大きな差がみられないことがわかる。
[実施例C]
次に、上流側と下流側とで、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が異なるZr系複合酸化物を用いた場合について検討した。
(実施例3)
本実施例のDPF担体(フィルタ本体6)としては、セルの構造が、多孔質隔壁5の壁厚12milで、セル数300cpsi(cells per square inch)の炭化ケイ素(SiC)製のDPF担体から25ml(直径25.4mm)の体積を有するように切り抜いたものを使用した。
次に、Zr系複合酸化物(Zr−18Nd−18Pr、Zr−12Nd−18Pr)を調製した。これらのZr系複合酸化物の調製方法は、イオン交換水に混合する各金属(Zr,Nd,Pr)の硝酸塩を所定量溶解し、アンモニアにより調整した塩基性溶液を滴下し、各金属元素を含む沈殿を生成し、ろ過、水洗、乾燥、500℃で2時間の焼成を行って生成することによって、Zr系複合酸化物が得られる。
そして、これらのZr系複合酸化物に触媒貴金属としてPtを担持させた。Ptの担持方法は、Zr系複合酸化物のそれぞれにジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法により、PtをZr系複合酸化物に担持させる。このPtの担持量は、Zr系複合酸化物に対して1質量%になるように設定している。
これを乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、電気炉において500℃の大気雰囲気下で2時間加熱焼成を行い、Zr系複合酸化物を含むZr系触媒粉末(Pt担持複合酸化物粉末)を得た。なお、Zr−18Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末を上流側触媒粉末とし、Zr−12Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末を下流側触媒粉末とした。
上流側触媒層と下流側触媒層との被熱の違いを模擬するため、上流側触媒粉末を800℃の大気圧条件下で24時間放置するエージング処理を施し、下流側触媒粉末を1000℃の大気圧条件下で24時間放置するエージング処理を施した。
エージング処理を施したPt担持複合酸化物粉末をそれぞれ水及びバインダと混合してスラリーとし、封止部15によって目封止されたフィルタ本体6の上流端部から20%の領域に、上流側触媒粉末を含むスラリーをコーティングし、乾燥させて後、残りの領域に下流側触媒粉末を含むスラリーをコーティングし、乾燥させる。このとき、上流側触媒層と下流側触媒層それぞれのコーティング量は、トータルコーティング量20g/Lをコーティングする領域の比率に従って分配する。本実施例の場合、上流20%、下流80%であるので、上流側触媒層に4g/Lをコーティングし、下流側触媒層に16g/Lをコーティングする。その後、電気炉により500℃の大気雰囲気で2時間加熱を行って焼成することによって、フィルタ本体6の内部流路の略全域に触媒層8が形成された、実施例1に係るDPF3(上流20%にZr−18Nd−18Pr、下流80%にZr−12Nd−18Pr)を得た。
(実施例4)
上流端部から40%の領域に、上流側触媒粉末を含むスラリーをコーティングすること以外、実施例3と同様である(上流40%にZr−18Nd−18Pr、下流60%にZr−12Nd−18Pr)。
(実施例5)
上流端部から50%の領域に、上流側触媒粉末を含むスラリーをコーティングすること以外、実施例3と同様である(上流50%にZr−18Nd−18Pr、下流50%にZr−12Nd−18Pr)。
(実施例6)
上流端部から60%の領域に、上流側触媒粉末を含むスラリーをコーティングすること以外、実施例3と同様である(上流60%にZr−18Nd−18Pr、下流40%にZr−12Nd−18Pr)。
(実施例7)
Zr−18Nd−18Prの代わりに、Zr−12Nd−24Prを用いること以外、実施例4と同様である(上流40%にZr−12Nd−24Pr、下流60%にZr−12Nd−18Pr)。
(実施例8)
Zr−18Nd−18Prの代わりに、Zr−18Nd−18Pr−3Laを用いること以外、実施例4と同様である(上流40%にZr−18Nd−18Pr−3La、下流60%にZr−12Nd−18Pr)。
(実施例9)
Zr−12Nd−18Prの代わりに、Zr−12Ndを用いること以外、実施例4と同様である(上流40%にZr−18Nd−18Pr、下流60%にZr−12Nd)。
(実施例10)
Zr−12Nd−18Prの代わりに、Zr−12Nd−12Prを用いること以外、実施例4と同様である(上流40%にZr−18Nd−18Pr、下流60%にZr−12Nd−12Pr)。
(実施例11)
上流側触媒粉末及び下流側触媒粉末に、それぞれ、Ptを担持したCe0.25Zr0.75(Ptの担持量:Ce0.25Zr0.75に対して1質量%)及びPtを担持したアルミナ(Ptの担持量:アルミナに対して1質量%)を混合させたこと以外、実施例4と同様である。
(比較例2)
実施例1における下流側触媒粉末を含むスラリーをフィルタ本体6の全面にコーティングしたこと以外、実施例3と同様である(Zr−12Nd−18Prの均一コート)。
(比較例3)
実施例1における下流側触媒粉末に、Ptを担持したCe0.25Zr0.75(Ptの担持量:Ce0.25Zr0.75に対して1質量%)及びPtを担持したアルミナ(Ptの担持量:アルミナに対して1質量%)を混合させたものを用い、この得られた粉末を含むスラリーをフィルタ本体6の全面にコーティングしたこと以外、実施例3と同様である。
(カーボン燃焼性能)
上記実施例3〜10及び比較例2に係るDPF3を、模擬排気ガスを流通させるモデルガス流通触媒評価装置にセットした状態でカーボン燃焼性能を調べるカーボン燃焼速度評価実験を行った。
この実験としては、PMの燃焼性能を求める指標として、PMの代わりにカーボンブラック粉末(シグマアルドリッチ社製)をDPF3に堆積させ、模擬排気ガスを流しながら昇温させた際にDPF3内部でのカーボン燃焼によって排出される、COおよびCOの濃度を用いて評価を行った。このカーボンブラック粉末の堆積は、10g/L相当のカーボンブラック粉末に10ccのイオン交換水を加え、スターラーを用いて5分間攪拌混合し、充分にカーボンブラック粉末を分散させる。これにDPF3の上流端側を浸すと同時に、浸した端面と逆側よりアスピレーターにより吸引を行った。この吸引により除去できない水分を、浸した端面側よりエアブローにより除去し、乾燥器にて150℃の温度で2時間かけて乾燥させた。
上記モデルガス流通触媒評価装置においては、15℃/minの割合で600℃まで昇温させつつ、酸素ガスおよび水蒸気がそれぞれガスの総流量に対して10体積%含まれ残りが窒素ガス等とされた模擬排気ガスをその空間速度が50000/hとなるように流通させ、DPF3の出口部直後におけるCO,CO濃度を測定した。そして、このCO,CO濃度に基づいて上記式に定めるカーボンの燃焼速度を求めた。なお、このカーボン燃焼速度は担体(DPF3)1L当たりに燃焼するカーボン量を示している。
この結果を図14及び図15に示す。なお、図14は、フィルタ本体6の流通方向の長さに対する、上流側触媒層の長さの比率を変化させたときのカーボン燃焼速度の測定結果を示すグラフである。図15は、上流側触媒層及び下流側触媒層の組成を変化させたときのカーボン燃焼速度の測定結果を示すグラフである。
図14及び図15から、希土類金属Rの酸化物ROの含有率が上流側より下流側のほうが低い実施例3〜6は、フィルタ本体6全面に同一組成の触媒層を形成させている比較例2よりもカーボン燃焼速度が高いことがわかる。
(ライトオフ温度)
上記実施例11及び比較例3に係るDPF3を、モデルガス流通触媒評価装置にセットし、模擬排気ガスをその空間速度が50,000/hとなるように流通させるとともに、15℃/minの割合で昇温させ、DPF3の出口部直後におけるHC,CO濃度が50%となった時点でのDPF3の入口側の模擬排気ガス温度を測定した。このときの模擬排気ガスは、酸素ガス(O)、水蒸気(HO)、一酸化窒素ガス(NO)、炭化水素(プロピレン)(C)、一酸化炭素ガス(CO)、窒素(N)によって構成され、ここでは各ガスがこの順番でガスの総流量に対して、10体積%、10体積%、300ppm、200ppmC(カーボン換算)、400ppm、その残り分、それぞれ含まれている。
このライトオフ温度の測定結果を図10に示す。この図10から、上流側と下流側とのそれぞれに、Ptが担持されたアルミナ及びCeZr系複合酸化物を含ませた触媒において、Zr系複合酸化物に対する希土類金属Rの酸化物ROの含有率が上流側より下流側のほうが低い実施例11は、実施例11における下流側のZr系複合酸化物をフィルタ本体6の全面に含んだ比較例3と比較して、ライトオフ温度が低下しており、排気ガス浄化性能が向上していることがわかる。
以上のことから、希土類金属Rの酸化物ROの含有率の高いZr系複合酸化物は、排気ガスの温度が比較的低い上流側で好適であり、希土類金属Rの酸化物ROの含有率の低いZr系複合酸化物は、排気ガスの温度が比較的高い下流側で好適であることがわかる。
ディーゼルエンジンの排気通路1にDPF3を組み付けた状態を示す概略図である。 排気ガスの流れる方向上流側から見たDPF3を示す概略図である。 図2に示すDPF3を、切断面線III−III’から見た概略断面図である。 多孔質隔壁5の拡大断面図を示す。 PMの酸化メカニズムを示す説明図である。 Zr系複合酸化物のPMの燃焼速度が高くなるメカニズムを説明するための図面である。 各種DPF3におけるカーボンの燃焼速度を示したグラフである。 Zr−Nd複合酸化物及びZr−Nd−Pr複合酸化物におけるNdの含有率の変化に伴うカーボン燃焼速度の変化を示すグラフである。 Zr−18Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末及びZr−12Nd−18Prを含むPt担持複合酸化物粉末のX線回折測定の測定結果を示すチャート図である。 DPF3の入口の温度が580℃としたときのカーボン燃焼時間の測定結果を示すグラフである。 DPF3の入口の温度が640℃としたときのカーボン燃焼時間の測定結果を示すグラフである。 ライトオフ温度の測定結果を示すグラフである。 高温浄化率の測定結果を示すグラフである。 フィルタ本体6の流通方向の長さに対する、上流側触媒層の長さの比率を変化させたときのカーボン燃焼速度の測定結果を示すグラフである。 上流側触媒層及び下流側触媒層の組成を変化させたときのカーボン燃焼速度の測定結果を示すグラフである。 ライトオフ温度の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 排気通路
3 DPF
4 流路
6 フィルタ本体
8 触媒層
9 カーボン
15 封止部

Claims (8)

  1. エンジンから排出される排気ガス中のパティキュレートを捕集するために該排気ガスの通路に配設されるパティキュレートフィルタであって、
    前記排気ガスが通過する複数の排気ガス流路を区画する多孔質隔壁からなるフィルタ本体と、前記多孔質隔壁表面に形成され、ジルコニウム(Zr)と、セリウム以外の希土類金属とを含むZr系複合酸化物を含有する触媒層とを備え、
    前記Zr系複合酸化物が、ZrOと前記希土類金属の酸化物との合計量に対する前記希土類金属の酸化物の含有率が33モル%を超え40モル%未満であることを特徴とするパティキュレートフィルタ。
  2. 前記Zr系複合酸化物が、1000℃で6時間以上の熱処理後に、X線回折測定において、前記Zr系複合酸化物からなる相と前記希土類金属の酸化物からなる相との混相として同定されるものである請求項1に記載のパティキュレートフィルタ。
  3. 前記触媒層は、排気ガスの流入部により近い側を上流側、流出部により近い側を下流側とした場合に、
    上流側には、前記Zr系複合酸化物を含有し、
    下流側には、Zrと、セリウム以外の希土類金属とを含み、ZrOと前記希土類金属の酸化物との合計量に対する前記希土類金属の酸化物の含有率が8モル%以上33モル%以下である第2のZr系複合酸化物を含有する請求項1又は請求項2に記載のパティキュレートフィルタ。
  4. 前記上流側の触媒層が、前記流入部から、前記フィルタ本体の前記流入部から前記排出部にわたる長さの20〜60%である請求項3に記載のパティキュレートフィルタ。
  5. 前記希土類金属が、ネオジム、ランタン、及びプラセオジムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のパティキュレートフィルタ。
  6. 前記Zr系複合酸化物が、白金が担持されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のパティキュレートフィルタ。
  7. 前記触媒層が、白金が担持されたアルミナをさらに含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のパティキュレートフィルタ。
  8. 前記触媒層が、ジルコニウム(Zr)と、セリウム(Ce)とを含有し、白金が担持されたZrCe系複合酸化物をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のパティキュレートフィルタ。
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