JP2004141852A - セラミック担体およびセラミック触媒体 - Google Patents

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Ippei Ogata
緒方 逸平
Tomohiko Nakanishi
中西 友彦
Yoshiyasu Ando
安藤 芳康
Masanori Yamada
山田 正徳
Keiichi Yamada
山田 圭一
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Abstract

【課題】低熱膨張で高温耐久性に優れるコーディエライト担体を用い、触媒成分であるアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物等の拡散を抑制して、触媒性能の低下や担体の劣化を防止し、必要な触媒性能を長期に渡り維持する。
【解決手段】コーディエライトハニカム構造体よりなるセラミック担体の表面に、担持される触媒成分の移動を抑制する触媒安定層を設ける。触媒安定層は、表面電位が、触媒層の表面電位と同等電位となるように、使用最高温度より高い融点を有する材料で構成してあり、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物等の移動を防止して、安定した触媒性能を維持する。また、触媒成分が移動しないので、コーディエライトとの反応による劣化等も防止できる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関の排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒に用いられるセラミック担体およびセラミック触媒体、詳しくは、リーンバーンエンジンやディーゼルエンジンのNOx浄化用触媒、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)、ガソリンエンジンの三元触媒に好適なセラミック担体およびセラミック触媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の排ガス浄化用触媒として、COおよびHCの酸化とNOxの還元を同時に行って排ガスを浄化する、いわゆる三元触媒が用いられている。近年、地球環境保護のために、さらなる排出ガスのクリーン化とCO2 排出量の低減が要求されており、燃費向上による排出ガス量の低減が可能な希薄燃焼(リーンバーン)方式が広く採用されるようになっている。ところが、従来の三元触媒は、リーン側(酸素過剰雰囲気)でNOxの浄化性能が低下することから、本来の機能を発揮することができず、これを補うために、NOx吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒が開発されている。
【0003】
NOx吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒は、従来の三元触媒に用いられるPt、Rh等の貴金属触媒に加えて、リーン雰囲気ではNOxを吸蔵し、ストイキ(理論空燃比)ないしリッチ雰囲気(還元雰囲気)で吸蔵されたNOxを放出するNOx吸蔵材を助触媒を添加してなる。NOx吸蔵材としては、塩基性の強い、Na、K、Cs等のアルカリ金属や、Mg、Sr、Ba等のアルカリ土類金属の化合物が使用されている。
【0004】
NOx吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒に関しては、例えば、特許文献1に記載があり、低熱膨張で耐熱性に優れるコーディエライト等からなるセラミック担体に、γ−アルミナ等の高比表面積材料をコートし、アルカリ金属酸化物とPtを担持させた触媒によって、リーン状態でのNOx排出量の低減が可能であることが開示されている。吸着されたNOxは、ストイキないしリッチ雰囲気でNOx吸蔵材から放出され、Ptにより浄化される。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−31139号公報
【0006】
一方、排ガス温度が高温化する傾向にあることから、排ガス浄化用触媒の高温耐久性の向上が重要となっている。ところが、コーディエライト担体にアルカリ金属化合物をNOx吸蔵材として担持した排ガス浄化用触媒は、排気温度が高くなると、NOx吸蔵能の低下とコーディエライト担体の劣化を引き起こす問題があった。これは、アルカリ金属化合物が多孔性のγ−アルミナ等よりなるコート層内を容易に通過して、コーディエライト中のSiと反応することが原因と考えられている。この対策として、例えば、特許文献2では、Siを含まない低熱膨張材料からなるセラミック担体またはメタル担体を使用することが提案されている。
【0007】
【特許文献2】
特開平10−165817号公報
【0008】
しかしながら、特許文献2に例示される、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、チタン酸アルミニウム、ステンレス鋼、Fe−Al−Cr合金のうち、実用上十分に低い熱膨張性を示すのは、非常に密度の大きい(重い)チタン酸アルミニウムのみである。チタン酸アルミニウムは、車両軽量化の面で不利で価格が高い。またメタル担体も高価であるという問題があり、他のセラミック材料は、熱膨張が大きく、耐熱衝撃性を考慮すると、実用的ではない。このように、コーディエライトに代わる低熱膨張率で安価な材料は、得られていないのが実情である。
【0009】
さらに、特許文献3では、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを捕集する排ガス浄化フィルタを、コーディエライト等のセラミックフィルタにシリカ、ジルコニア、チタニア等よりなるコーティング層を設けた上に、アルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩を含む触媒成分を担持して構成しており、コーティング層によって、触媒成分のフィルタ内部への拡散が抑制されることが記載されている。
【0010】
【特許文献3】
特開平10−135790号公報
【0011】
しかしながら、本発明者等が検討した結果、これらコーティング層の材料は、排ガス浄化用触媒の使用温度である約800℃の条件において、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物と反応し、さらに余剰のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が内部を移動・拡散してフィルタ表面に到達可能であることが判明した。従って、排気ガスの最高温度が1000℃付近まで上昇する現状では、これら材料からなるコーティング層により、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物の拡散を抑えることは困難であり、これら触媒成分と反応することで、フィルタ基材となるコーディエライト等の組成が変化し、熱膨張係数が増加するおそれがあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低熱膨張で高温耐久性に優れ、しかも、触媒成分として担持されるアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物等の拡散を抑制して、触媒性能の低下や担体の劣化を防止することができ、必要な触媒性能を長期に亘り維持することができるセラミック担体およびセラミック触媒体を実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、その表面に、担持される触媒成分の移動を抑制する触媒安定層を有するセラミック担体であって、上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位とし、かつ上記触媒安定層を構成する材料を、セラミック担体の使用最高温度より高い融点を有する材料としたことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、セラミック担体の表面に設けた上記触媒安定層を、触媒成分を含む触媒層の表面電位とほぼ等電位としたので、触媒の使用温度において、触媒成分がセラミック担体の内部へ移動することがない。よって、担持される触媒成分、特に助触媒成分として使用されるアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物の移動を防止し、これら助触媒成分がPt、Rh等の貴金属触媒と均一分散して存在することで安定した触媒性能を維持できる。また、触媒成分がセラミック担体に移動して反応することがないので、副生成物の生成による熱膨張の増加といった問題が生じない。
【0015】
従って、セラミック担体の基材を、安価で低熱膨張であり高温耐久性に優れるコーディエライトで構成することが可能で、担持される触媒成分の性能を長期に渡り維持することができるので、リーンバーンエンジンやディーゼルエンジン用の触媒担体として最適である。
【0016】
請求項2の発明は、セラミック担体の表面に、担持される触媒成分の移動を抑制する触媒安定層を形成し、上記触媒安定層の上に、上記触媒成分を含む触媒層を設けたセラミック触媒体であって、上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位とし、かつ上記触媒安定層を構成する材料を、セラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料としたものである。
【0017】
上記請求項1の構成のセラミック担体に、触媒の目的に応じた触媒層を形成したセラミック触媒体は、セラミック担体の基材を、安価で低熱膨張であり高温耐久性に優れるコーディエライトで構成でき、しかも上記触媒安定層の効果で、触媒性能を長期に亘り維持することができるので、リーンバーンエンジンやディーゼルエンジンのNOx触媒等の排ガス浄化用触媒として最適である。
【0018】
請求項3の発明では、上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位に対して30%以内とする。上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位に対して30%以内とすることで、触媒の使用温度において、触媒成分がセラミック担体の内部へ移動するのを抑制する本発明の効果が得られる。
【0019】
請求項4の発明では、上記触媒安定層を、上記セラミック担体の外表面および上記セラミック担体の細孔内表面に形成する。これにより、上記触媒安定層が上記セラミック担体の内外表面を覆うので、上記触媒成分が上記セラミック担体の内部へ移動するのを確実に抑制し、触媒性能と高温耐久性の向上効果を高める。
【0020】
請求項5の発明では、上記触媒安定層を構成する材料を、元素周期律表第1B族、第2B族、第3A族、第3B族、第4A族、第5A族、第6A族、第7A族および第8族の元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料とする。これら元素を含む材料を適宜選択することにより、上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0021】
請求項6の発明では、上記触媒安定層を構成する材料を、La、Y、Sc、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb、Lu、Al、Ga、Zn、Cu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtから選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料とする。具体的には、これら元素を含む材料を適宜選択することにより、上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0022】
請求項7の発明では、上記触媒安定層を構成する材料を、Y2 3 、Sc2 3 、TiO2 、Cr2 3 、MnO、Mn2 3 、Mn2 5 、Fe2 3 、Fe3 4 、Co3 4 、NiO、ZnO、CuO、Ga2 3 、ZrO2 、Zr2 3 、Nb2 5 、SnO2 、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 、HfO2 、Ta2 5 、YAlO3 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上の材料である。具体的には、これら材料から適宜選択することにより、上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0023】
請求項8の発明では、上記触媒安定層を構成する材料を、Y2 3 およびCeO2 の少なくとも一方を含むものとする。これにより、より好適に上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0024】
請求項9の発明では、上記触媒安定層の構成する材料を、平均粒子径が10nm(ナノメートル)以下のゾル粒子とする。このような微細なゾル粒子で、上記セラミック担体の外表面および上記セラミック担体の細孔内表面に形成した上記触媒安定層が、上記セラミック担体の内外表面をより均一に覆うので、上記触媒成分が上記セラミック担体の内部へ移動するのをほとんどなくし、触媒性能と高温耐久性の向上効果を高めることができる。
また、これらゾル粒子を含む材料を適宜選択することにより、上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0025】
請求項10の発明では、上記触媒安定層を構成するゾル粒子を酸化物、炭化物、窒化物およびそれらの複合化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物を含むゾル粒子とする。具体的には、これら化合物を含むゾル粒子を適宜選択することにより、上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0026】
請求項11の発明では、上記触媒安定層を構成する材料を、Y2 3 およびCeO2 の少なくとも一方を含む混合ゾルとする。これにより、より好適に上記触媒安定層の表面電位を、触媒の目的に応じた触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位に制御することができる。
【0027】
請求項12の発明では、上記触媒安定層を、超音波分散または高圧分散で均一混合された上記ゾル粒子にて構成する。上記触媒安定層を形成するに当たっては、上記ゾル粒子と溶媒とを含む混合液を調製し、該混合液に密閉した空間で超音波振動エネルギーを与えて、ゾル粒子同士の凝集を防止しつつ、均一分散混合する超音波分散を行うのがよい。あるいは、上記ゾル粒子と溶媒を含む混合液を、該混合液の流路に設けた衝突部に高圧下で衝突させることでゾル粒子を溶媒に均一分散混合する高圧分散を行うこともできる。このようにして得た懸濁液を均一に塗布し、熱処理して上記触媒安定層が形成される。
【0028】
請求項13の発明は、セラミック担体の表面に触媒成分を含む触媒層を形成し、上記触媒層中に、触媒成分を吸引してその移動を抑制する触媒トラップ材を含有させたセラミック触媒体であって、上記触媒トラップ材を、平均一次粒子径が500ナノメートル(nm)以下であり、かつセラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料で構成したものである。
【0029】
上記構成によれば、上記触媒層中に平均一次粒子径が500ナノメートル(nm)以下の上記触媒トラップ材が添加されて高分散しており、この触媒トラップ材が担持される触媒成分を表面電位で吸引して、上記触媒トラップ材周辺に捕捉するので、触媒の使用温度において、触媒成分がセラミック担体の内部へ移動することがない。よって、担持される触媒成分、特に助触媒成分として使用されるアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物の移動を防止し、これら助触媒成分をPt、Rh等の貴金属触媒とともに上記触媒層中に均一に分散保持できる。
【0030】
そして、触媒成分がセラミック担体へ移動して反応することがないので、熱膨張の増加といった問題が生じず、安価で高温耐久性に優れ、安定した触媒性能を長期に亘り維持するセラミック触媒体が得られる。
【0031】
請求項14の発明では、上記触媒トラップ材を、Y2 3 、Sc2 3 、NiO、ZnO、CuO、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上の材料とする。これら材料を適宜選択して上記触媒トラップ材とすることにより、触媒の目的に応じた触媒成分を吸引して捕捉し、上記触媒成分の移動を抑制することができる。
【0032】
請求項15の発明は、セラミック担体の表面に触媒成分を含む触媒層を形成し、上記触媒層中に、上記触媒成分に水素を供給する触媒活性材を含有させたセラミック触媒体であって、上記触媒活性材を、水蒸気改質反応により水素を上記触媒層に供給し、かつセラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料で構成したものである。
【0033】
上記構成において、上記触媒活性材は、水蒸気改質反応により生成する水素を上記触媒成分、特にPt、Rh等の貴金属触媒に供給する作用を有する。これにより、触媒表面の活性面が増加し、触媒反応が促進するので、触媒性能が向上できる。従って、長期に亘り浄化性能を高活性で維持することが要求されるガソリンエンジンの三元触媒やPM(パティキュレートマター:粒子状物質)の燃焼を同時に行うディーゼルエンジンのNOx触媒、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)等に用いられて最適である。
【0034】
請求項16の発明では、上記触媒活性材を、ランタノイド元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料で構成する。この材料により、高い選択性で水蒸気改質反応が起こり、効率よく水素を上記触媒層に供給できる。
【0035】
請求項17の発明では、上記触媒活性材は、Y2 3 、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 およびLu2 3 から選択される少なくとも1種以上の材料とする。このように、上記触媒活性材を熱的に安定した酸化物材料とすることで、安定して水蒸気改質反応を生起し、効率よく水素を上記触媒層に供給できる。
【0036】
請求項18の発明では、上記触媒活性材を、少なくともCeの酸化物または複合酸化物を含むものとする。Ceの酸化物または複合酸化物は、特に水蒸気改質反応に高活性で、効率よく水素を上記触媒層に供給できる。
【0037】
請求項19の発明では、上記触媒活性材を、CeO2 と、Y2 3 、TiO2 、ZrO2 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上との混合酸化物とする。CeO2 は、特に水蒸気改質反応に高活性で、Y2 3 、TiO2 、ZrO2 およびAl2 3 の1種以上を選択して混合した混合酸化物とすることで、より選択的に水蒸気改質反応を起こし、効率よく水素を上記触媒層に供給できる。
【0038】
請求項20の発明では、上記触媒成分を、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選択される少なくとも1種ないしそれ以上を含むものとする。これら金属元素の化合物は、排ガス浄化用触媒におけるNOx吸蔵材として用いられ、高いNOx吸蔵効果を有する。ただし、担体内部への移動による性能低下の懸念があり、本発明のセラミック担体および本発明のセラミック触媒体を用いることにより、効果的に移動を防止し、触媒性能を向上できる。
【0039】
請求項21の発明では、上記触媒成分が、Li、Na、K、Ba、Rb、Be、Mg、CaおよびSrから選択される少なくとも1種以上を含むものとする。これら金属元素を含む化合物は、排ガス浄化用触媒におけるNOx吸蔵材として用いられ、エンジンシステム、使用環境条件等に応じて排ガス浄化温度領域を任意に制御することができる。
【0040】
請求項22の発明では、上記セラミック担体および上記セラミック触媒体は、進路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下のものとする。これにより、耐熱衝撃性が向上し、高温の排気ガスが流入する排ガス浄化用触媒に使用しても、熱衝撃破壊のおそれが小さい。
【0041】
請求項22の発明では、上記セラミック担体がコーディエライトを主成分とするものとする。具体的には、上記セラミックハニカム担体として、安価で熱膨張係数の低いコーディエライトを用いると、コスト低減、耐熱衝撃性の向上効果が高い。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。図1(A)、(B)は、本発明の第1の実施の形態を示すもので、図中、本実施の形態のセラミック担体は、コーディエライト等のセラミック材料を用いたセラミックハニカム構造体を基材とし、その表面に、担持される触媒成分の移動を抑制する触媒安定層を形成してなる。基材となるセラミックハニカム構造体は、ガス流路となる多数のセルを有する構成で(図1(A)参照)、触媒安定層が形成される表面は、ガス流路に面するセル壁の外表面だけでなく、セル壁内に形成される細孔の内表面をも含むことが望ましい。このようなセル壁表面および細孔内表面に触媒安定層を有するセラミック担体の表面に、さらに触媒成分を含む触媒層を形成して、本発明のセラミック触媒体とする。触媒層は、通常、γ−アルミナ等の高比表面積材料よりなるコート層に、主触媒および助触媒を含有する触媒成分を担持させて構成される。
【0043】
このようなセラミック触媒体は、内燃機関の排ガス浄化用触媒、例えば、リーンバーンエンジンやディーゼルエンジンのNOx吸蔵還元型触媒として好適である。この場合の触媒成分には、通常、主触媒成分であるPt、Rh、Pd等の貴金属触媒に加えて、NOx吸蔵材等の助触媒成分が使用される。NOx吸蔵材は、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属およびBa、Be、Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種ないしそれ以上の元素を含む化合物、例えば、酸化物や酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の塩、それらの複合化合物等を必要に応じて使用する。好ましくは、NOx吸蔵能に優れるBa、K、Liを含む化合物、例えば、酢酸バリウム、酢酸カリウム、硝酸リチウム等が好適に用いられる。
【0044】
コーディエライトは、2MgO・2Al2 3 ・5SiO2 の化学式で表される酸化物であり、低熱膨張材料で、耐熱性が良好な上、安価であることから触媒担体として有用である。このため、表面に触媒安定層を設けた本発明のセラミック担体の基材に用いられて、流路方向の熱膨張係数を十分低く保ち、高温使用時の耐熱衝撃性を向上させることができる。ただし、NOx吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒では、助触媒成分中のアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物と反応しやすく、その理由がコーディエライト中のSiにあることが確認されている。セラミックハニカム構造体材料として、コーディエライト以外に、例えば、SiC、Si3 4 等のSiを含むセラミック材料を用いた場合にも、同様の問題が生じる。
【0045】
そこで、本実施の形態では、触媒層とセラミック担体の間に、表面電位が触媒層の表面電位とほぼ等電位である触媒安定層を介設する。触媒安定層と触媒層とが、その表面電位を同等に保つことによって、触媒層に含まれる触媒成分がセラミック担体に移動することがなくなる。具体的には、触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位に対して30%以内とすることで、触媒の使用温度において、触媒成分がセラミック担体の内部へ移動するのを抑制する本発明の効果が得られる。従って、触媒成分がセラミック担体と反応する機会がないので、例えば、コーディエライトをセラミック担体として用いても、コーディエライト中のSiと触媒成分が反応して副生成物が生じる問題がない。
【0046】
ここで、各種材料の表面電位は、現在、一般的にゼータ電位をもって表面電位と定義されている。従って、本発明においては、触媒安定層および触媒層を構成する材料のゼータ電位を計測した値をもって表面電位とし、触媒安定層を構成する材料の種類、組成比を調整することによって、触媒安定層と触媒層の表面電位の値が同等となるように制御する。ゼータ電位の計測は、具体的には、以下のようにして行う。
【0047】
触媒安定層を構成する材料は、通常、微粒子として水等の溶媒に分散したスラリー溶液で用いられる。また、触媒層を構成する、例えば、γ−アルミナ等も同様にその粒子が分散したスラリー溶液として用いている。従って、これらの触媒安定層と触媒層のスラリー溶液を、評価サンプルとして、専用のゼータ電位計を用いて計測を行うことができる。ゼータ電位は、例えば、電位泳動法では、外部から電場を与えて、各材料の粒子の表面電位に対応する泳動速度を計測し、泳動速度と電場から電気移動度を算出し、Smoiuhowski の式等を用いて電気移動度からゼータ電位を得る。また、評価サンプルとして触媒安定層を形成したセラミック担体である固体の表面も流動電位法で計測できる。
【0048】
また、ゼータ電位を計測するため評価サンプルを調整する際、本発明では溶媒として水を用いるが、この溶媒の水素イオン濃度(pH値、以下pHと記す)を、通例、pH3〜11の範囲で、任意のpHで計測する。なお、pHは、硝酸溶液およびアンモニア溶液で調整して、所望のpHとなるようにする。このようにしてpHに対するゼータ電位を得ることができる。
【0049】
さらに、この触媒安定層を構成する材料は、セラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料とする。排ガス浄化用触媒の場合、使用時の触媒温度は、通常、800〜900℃程度で、最高温度1000℃付近まで上昇するため、1000℃以上の融点を有するセラミック材料を用いればよい。融点が1000℃未満であると、使用最高温度で触媒安定層が溶融するため、触媒成分の移動を抑制する効果が低下する。
【0050】
上記した条件を満足するために、触媒安定層を構成するセラミック材料としては、元素周期律表第1B族、第2B族、第3A族、第3B族、第4A族、第5A族、第6A族、第7A族および第8族の元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料が用いられる。これら元素の具体例としては、La、Y、Sc、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb、Lu、Al、Ga、Zn、Cu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtが挙げられ、これら元素から任意に選択される1種以上の元素を含む化合物、例えば、酸化物および複合酸化物等を用いることができる。
【0051】
酸化物(複合酸化物)の例としては、Y2 3 、Sc2 3 、TiO2 、Cr2 3 、MnO、Mn2 3 、Mn2 5 、Fe2 3 、Fe3 4 、Co3 4 、NiO、ZnO、CuO、Ga2 3 、ZrO2 、Zr2 3 、Nb2 5 、SnO2 、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 、HfO2 、Ta2 5 、YAlO3 およびAl2 3 が挙げられる。
【0052】
また、上記元素の化合物として、酸化物(複合酸化物)以外にも、炭化物、窒化物等の非酸化物(複合非酸化物でも可)を用いることも可能であり、それらの複合材料も、触媒安定層の構成材料として適用することができる。そして、触媒成分を含有する触媒層の表面電位に応じて、これら化合物から選択される少なくとも1種を使用し、または複数の化合物を適当な組成比で組み合わせることにより、触媒安定層と触媒層の表面電位を同等となるように制御できる。好ましくは、触媒安定層を構成する材料に、Y2 3 、CeO2 、ZnO、NiO、TiO2 、ZrO2 、特に、Y2 3 とCeO2 を用いると好適で、触媒安定層と触媒層の表面電位を同等に保ち、触媒成分の移動・拡散を抑制する効果が高い。
【0053】
好適には、触媒安定層を構成するセラミック材料を、平均粒子径が10nm(ナノメートル)以下のゾル粒子を用いるとよい。ゾル粒子としては、上述した各種酸化物、炭化物、窒化物等の化合物およびそれらの複合材料を用いることができる。そして、触媒成分を含有する触媒層の表面電位に応じて、これら化合物から選択される少なくとも1種のゾル粒子を使用し、または複数の化合物を適当な組成比で組み合わせたゾル粒子を使用することにより、触媒安定層と触媒層の表面電位を同等となるように制御できる。触媒安定層を形成する際には、これらの化合物をゾル粒子として水等の溶媒に分散したスラリー溶液が用いられる。また、触媒層を構成する、例えば、γ−アルミナ等も同様にその粒子が分散したスラリー溶液として用いる。従って、前述のとおりこれらの触媒安定層と触媒層のスラリー溶液を、評価サンプルとして、専用のゼータ電位計を用いて計測を行うことができる(ゼータ電位については、前述の通り)。
【0054】
好ましくは、触媒安定層を構成するゾル粒子が、Y2 3 およびCeO2 の少なくとも一方を含むとよく、触媒安定層と触媒層の表面電位を同等に保ち、触媒成分の移動・拡散を抑制する効果が高い。
【0055】
上記構成のセラミック担体を製作する方法について説明する。セラミックハニカム構造体がコーディエライトからなる場合、コーディエライト化原料としては、一般に、タルク、カオリン、アルミナ等の酸化物が使用される。これらコーディエライト化原料を、上記理論組成となるように調合し、バインダ、潤滑剤、保湿剤等の成形助剤、および水を添加して混練し、押出成形することによりハニカム成形体を得る。この成形体を大気中で加熱して脱脂した後、焼成してハニカム構造体とする。このセラミックハニカム構造体のセル壁となる表面およびセル壁内部に形成される細孔の内表面に、触媒安定層を形成する方法としては、触媒安定層を構成するセラミックス材料を含むスラリー液に、セラミックハニカム構造体を浸漬し、乾燥・焼成する方法を採用することができる。スラリー液は、所望のセラミックス材料の微粒子を水等の溶媒に分散させて調製する方法、セラミックス材料の前駆体、例えばゾルゲル液、アルコキシド液を合成する方法等、いずれの方法によってもよい。その後、セラミックハニカム構造体を、通常の方法で乾燥、焼成することにより触媒安定層を形成することができる。
【0056】
表面電位を調整するために、触媒安定層を複数の材料で構成する場合には、構成材料の組成ごとに多層に形成することも可能である。この場合、触媒安定層の各層ごとにスラリー液を用意し、スラリー液への浸漬、乾燥、焼成の一連の工程を繰り返す方法により、多層構造とすることができる。なお、上記方法以外にも、スパッタ、蒸着等のPVD法や、触媒安定層の構成材料を含む前駆体ガスを、窒素、酸素、水素等のキャリアーガスまたは反応ガスで細孔内表面まで均一に導入、反応させるCVD法により形成することもできる。
【0057】
触媒安定層をセラミックハニカム構造体の表面に均一に形成するために、触媒安定層の形成に先立って、セラミックハニカム構造体の表面に、中間層を形成することもできる。一般に、セラミックハニカム構造体の内部には、焼成時に形成される多数の細孔が存在するため、その上に触媒安定層を孔や亀裂等を生じることなく均一に形成することは容易ではない。そこで、予め中間層を形成して、セラミックハニカム構造体表面の凹凸を緩和し、その上に触媒安定層を形成することで、孔や亀裂等のない均一な層とし、触媒成分の移動・拡散を防止する効果を高めることができる。
【0058】
中間層を構成するセラミック材料は、特に限定されないが、使用最高温度より融点が高いセラミック材料、好ましくは、1000℃以上の融点を有するセラミック材料であるとよい。また、セラミックハニカム構造体および触媒安定層の熱膨張係数に近いセラミック材料を選択すると、熱膨張差による応力を緩和する効果がある。中間層を形成する方法も、触媒安定層を形成する方法と同様であり、中間層を構成するセラミックス材料を含むスラリー液に、セラミックハニカム構造体を浸漬し、乾燥・焼成する方法が採用される。
【0059】
上記方法により、セラミックハニカム構造体の外表面および細孔内表面を均一に覆う触媒安定層が形成される。なお、触媒安定層および中間層を形成するセラミック粒子は、一次粒子の平均粒径が、セラミックハニカム構造体の平均細孔径(通常、5μm程度)以下、好ましくは、平均細孔径の10分の1以下であると、細孔表面の凹凸形状に沿って触媒安定層および中間層を均一に形成しやすい。また、触媒安定層および中間層は、セラミックハニカム構造体の細孔を埋めることなく、その表面を薄く覆うように形成することが好ましい(例えば、1〜3μm程度)。細孔が触媒安定層および中間層で埋められると、熱膨張差により亀裂等が生じやすくなる。また、その上に触媒層を形成する際のアンカー効果が期待できず、γ−アルミナ等のコート層の接着力が低下するおそれがある。
【0060】
触媒安定層を形成したセラミック担体の表面に、さらに、公知の方法で、γ−アルミナ等よりなるコート層に触媒成分を担持させた触媒層を形成することによりセラミック触媒体が得られる。Pt等の貴金属触媒、NOx吸蔵材等の助触媒成分は、γ−アルミナを含むスラリー中に分散させて、コート層の形成と同時に担持させても、セラミック担体にγ−アルミナをコートした後、触媒成分を含む溶液に浸漬、乾燥することにより担持させてもよい。
【0061】
このようにして得られるセラミック触媒体は、例えば、リーンバーンシステムやディーゼルエンジンの自動車排ガス浄化用触媒として好適に用いられる。ここで、触媒安定層がない従来触媒では、水蒸気存在下で、600℃程度からNOx吸蔵材等の触媒成分の移動・拡散が始まるため、最高温度が1000℃程度まで上昇する使用環境では、触媒成分の移動、拡散による触媒性能の低下、触媒成分との反応による担体の劣化等が問題となる。これに対し、本実施の形態では、セラミック担体の表面およびセラミック担体の細孔表面を、触媒層とほぼ等電位とした触媒安定層が覆っているので、高温、水分存在下(一般に、排気ガスは水分率10〜20重量%)でも、触媒成分が触媒安定層内部、さらにセラミックハニカム構造体中へ移動、拡散することがない。
【0062】
よって、本発明によれば、触媒成分が移動・拡散して触媒量が低下することにより触媒性能が低下したり、触媒成分とセラミック担体の基材が反応することにより担体が劣化するといったおそれをなくし、その機能を長期に亘り維持するセラミック触媒体を実現できる。また、セラミックハニカム構造体材料が制限されず、触媒成分と反応しやすいSiを含むセラミック材料を用いることができる。例えば、コーディエライトを用いたセラミック担体およびセラミック触媒体は、流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と十分小さく、高い耐熱衝撃性を示す。また、安価であるので、コスト低減効果が高い。
【0063】
触媒安定層の構成材料としてゾル粒子を用いる場合には、まず、溶媒に触媒安定層材料となるゾル粒子を均一分散混合して形成した懸濁液を調製し、この懸濁液をセラミック担体の表面に均一に付与する。その後、熱処理することで、触媒安定層を形成する。この時、上記懸濁液の形成に、超音波分散または高圧分散を利用することが好ましい。超音波分散は、触媒安定層材料である平均粒子径が10nm(ナノメートル)以下のゾル粒子と、溶媒とを含む混合液を調製し、該混合液に密閉した空間で超音波振動エネルギーを与える方法で、ゾル粒子同士の凝集を防止して、均一分散混合することができる。高圧分散は、密閉した容器にゾル粒子と溶媒を含む混合液を入れ、該混合液の流路に衝突部を設けて、混合液を高圧下で衝突部に衝突させることでゾル粒子を溶媒に均一分散混合する方法である。
【0064】
上記超音波分散または高圧分散は、触媒安定層材料の溶媒中での凝集、二次粒子形成を防止して,これらを一次粒子径または一次粒子径近くの粒子径を備えた状態に分散させることができる。さらに、上記超音波分散または高圧分散により作製した懸濁液は、長期間にわたって分散状態が安定し、液中での各材料の再凝集が生じ難い。上記超音波分散または高圧分散を、触媒層材料を含む懸濁液の調製に利用し、触媒層材料の溶媒中での凝集を防止することもできる。
【0065】
このように、再凝集し難い懸濁液をセラミック担体に均一分散混合状態で付与することから形成した触媒安定層や触媒層は、どの部分においても均一な表面電位や均一な混合組成を備えており、よって触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。また、触媒成分がセラミック担体に拡散し難いため,触媒成分の拡散に伴う触媒性能の低下も、セラミック担体の劣化も生じ難く、よって、長期にわたって触媒性能が変化し難いセラミック触媒体を得ることができる。
【0066】
すなわち、触媒成分がセラミック担体へ拡散し難いため、触媒層において各触媒成分は均一に分散した状態を維持して存在し続けることができる。このように触媒成分が触媒層に安定して存在するため、安定した触媒性能を維持したセラミック触媒体を得ることができる。さらに、セラミック担体として従来触媒成分の拡散発生を前提として使用できなかった低熱膨張材料からなるものを使用することが可能となって,低熱膨張率のセラミック触媒体を得ることができる。また、セラミック触媒体を高温に加熱しても,触媒成分の拡散は促進され難いため、セラミック触媒体を構成する各材料の耐熱限界まで使用できるセラミック触媒体を得ることができる。
【0067】
また、上記超音波分散または高圧分散は、触媒安定層材料や触媒層の分散を効率的かつ連続的に行うことができる。そして,安定した分散状態を備えた懸濁液を作り出すことができる。よって,本発明にかかる上記処理によれば,均一な懸濁液を安定的に製造し、よって安定的にセラミック触媒体を製造することができる。
【0068】
図2(A)、(B)に、本発明の第2の実施の形態のセラミック触媒体を示す。本実施の形態のセラミック触媒体は、コーディエライト等よりなるセラミックハニカム構造体をセラミック担体とし、その表面に触媒成分を含有する触媒層を形成してなり、この触媒層に、担持される触媒成分を吸引してその拡散を防止する触媒トラップ材を添加、含有させている。セラミック担体を構成するセラミックハニカム構造体は、上記第1の実施の形態と同様であり、触媒層は、セラミックハニカム構造体の表面、すなわちガス流路に面するセル壁外表面およびセル壁内の細孔内表面を薄く覆って形成される。触媒層の基本構成は、上記第1の実施の形態と同様で、γ−アルミナ等よりなるコート層に、Pt、Rh等の貴金属触媒と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等の助触媒成分を担持させてなる。
【0069】
本実施の形態では、この触媒層中に、平均一次粒子径が500nm以下であり、セラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料からなる触媒トラップ材を高分散させて、触媒成分が移動・拡散するのを抑制する。触媒トラップ材は、平均一次粒子径が500nm以下の微粒子であり、触媒成分を表面電位で吸引して触媒トラップ材周辺に捕捉することができる。よって、セラミック触媒体の使用温度においても、触媒成分であるアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物が、セラミック担体へ移動することがなく、触媒層中に均一に分散保持される。そして、Pt、Rh等の貴金属触媒とともに均一分散して存在することで、安定した触媒性能を維持できる。また、平均一次粒子径が500nm以下の微粒子であるので、単位重量当たりの表面積が大きく、少量の添加で効果を発揮する。
【0070】
触媒トラップ材を構成する材料としては、具体的には、Y2 3 、Sc2 3 、NiO、ZnO、CuO、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 およびAl2 3 が挙げられ、これら材料から選択される少なくとも1種以上を選択することで、効果を発揮することができる。なお、これら材料からなる触媒トラップ材は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物を捕捉し、Pt、Rh等の貴金属触媒とともに、触媒層中に均一分散して存在するだけで、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物と反応しない。従って、副生成物等が発生することがないので、安定した触媒特性が得られる。
【0071】
触媒トラップ材の使用量は、特に制限されないが、通常、触媒層のコート層を構成するγ−アルミナに対して重量で3〜30%の範囲で添加することが好ましい。触媒トラップ材は3%以上で効果が得られ、30%を越えると効果の向上がなくなり、飽和する。触媒層の形成方法は、上記第1の実施の形態と同様にすることができ、この触媒トラップ材を、γ−アルミナを含むスラリー中に添加し、均一混合した後、セラミック担体にコーティングすることにより、触媒トラップ材を触媒層中に均一に分散させることができる。
【0072】
このようにして得られるセラミック触媒体は、リーンバーンシステムやディーゼルエンジンの自動車排ガス浄化用触媒として好適で、NOx吸蔵材等の触媒成分の移動、拡散による触媒性能の低下、担体の劣化等を防止する上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0073】
図3(A)、(B)に、本発明の第3の実施の形態のセラミック触媒体を示す。本実施の形態のセラミック触媒体は、コーディエライト等よりなるセラミックハニカム構造体をセラミック担体とし、その表面に触媒成分を含有する触媒層を形成してなり、この触媒層に、触媒成分に水素を供給する触媒活性材を添加、含有させている。セラミック担体を構成するセラミックハニカム構造体は、上記第1の実施の形態と同様であり、触媒層は、セラミックハニカム構造体の表面、すなわちガス流路に面するセル壁外表面およびセル壁内の細孔内表面を薄く覆って形成される。触媒層の基本構成は、上記第1の実施の形態と同様で、γ−アルミナ等よりなるコート層に、Pt、Rh等の貴金属触媒と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等の助触媒成分を担持させてなる。
【0074】
本実施の形態では、この触媒層中に、水蒸気改質反応により水素を上記触媒層に供給し、かつ使用最高温度より高い融点を有する材料で構成した触媒活性材を高分散させて、触媒性能を向上させる。触媒活性材は、排ガスに含まれる水蒸気に水蒸気改質反応を生起して、生成する水素を触媒成分、特にPt、Rh等の貴金属触媒に供給する作用を有する。これにより、触媒表面の活性面が増加し、触媒反応が促進するので、触媒性能が向上できる。
【0075】
触媒活性材は、ランタノイド元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料で構成される。この材料により、高い選択性で水蒸気改質反応が起こり、効率よく水素を触媒層に供給できる。特に、Y2 3 、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 およびLu2 3 は、熱的に安定した酸化物材料であり、長期使用に適しているので、これら材料から選択される少なくとも1種以上を選択することで、高い効果を発揮することができる。
【0076】
特に、Ceの酸化物または複合酸化物は、特に水蒸気改質反応に高活性で、効率よく水素を上記触媒層に供給できる。これは、Ceの酸化物または複合酸化物が、酸素の吸着・脱離性能に優れた特性を有し、水蒸気改質反応が円滑に進行するためと考えられている。さらに、CeO2 と、Y2 3 、TiO2 、ZrO2 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上との混合酸化物を、触媒活性材として用いると、混合した酸化物による複合効果により、水蒸気改質反応の選択性が向上し、より効率よく水素を上記触媒層に供給できる。
【0077】
なお、触媒活性材として例示した上記材料は、いずれも、上記第2の実施の形態における触媒トラップ材として例示されており、これら材料を分散させた場合には、水素を触媒層に供給する効果に加えて、触媒成分を吸引、捕捉して移動を抑制する触媒トラップ材としての効果も、同時に得られる。
【0078】
触媒活性材の使用量は、特に制限されないが、通常、触媒層のコート層を構成するγ−アルミナに対して重量で3〜50%の範囲で添加することが好ましい。触媒活性材は3%以上で効果が得られ、50%を越えると効果の向上がなくなり、飽和する。触媒層の形成方法は、上記第1の実施の形態と同様にすることができ、この触媒活性材を、γ−アルミナを含むスラリー中に添加し、均一混合した後、セラミック担体にコーティングすることにより、触媒活性材を触媒層中に均一に分散させることができる。
【0079】
このようにして得られるセラミック触媒体も、リーンバーンシステムやディーゼルエンジンの自動車排ガス浄化用触媒として好適で、ストイキまたはリッチ雰囲気でNOx吸蔵材から放出されるNOxを、Pt、Rh等の貴金属触媒により効果的に浄化できる。
【0080】
さらに、ガソリンエンジンの三元触媒に適用することもできる。ガソリンエンジンの三元触媒では、長期に亘り浄化性能を高活性で維持することが要求されるが、本実施の形態の構成を適用し、触媒層中の触媒活性材からPt、Rh等の貴金属触媒に水素を供給することで、活性面を増加させ、安定した触媒反応を長期に渡り維持できる。また、ディーゼルエンジンから排出されるすす等のPM(パティキュレートマター:粒子状物質)を捕集し、貴金属触媒により燃焼・除去するセラミックフィルタでは、触媒成分が排ガス中のイオウ等の触媒被毒物質の影響を受けるが、本実施の形態の構成を適用し、Pt、Rh等の貴金属触媒に水素を供給することで、触媒被毒物質の除去を促進することができる。よって、活性面に触媒被毒物質が残留・堆積することがないので、触媒反応を安定して維持できる。
【0081】
【実施例】
以下に本発明の効果を確認するための実施例および比較例を示す。
コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、および水酸化アルミニウムを使用し、これら原料の粉末をコーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。この原料に、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、混練したものを、セル壁厚100μm 、セル密度400cpsi(1平方インチ当たりのセル個数)、直径50mmのハニカム形状に押出成形した。このハニカム構造体を大気雰囲気で800℃まで加熱して脱脂した後、1390℃で2時間保持することにより焼成した。
【0082】
次に、得られたハニカム構造体の表面に、表1に示す各種材料を用いて、触媒層を構成するγ−Al2 3 と表面電位が同等となるように制御した触媒安定層を形成した(実施例1〜14)。各実施例において、触媒安定層を構成する材料には、いずれも平均粒子径が100〜300nm (ナノメートル)の超微粒子 (シーアイ化成 (株) 製、ナノテック超微粒子)を用いており、それぞれ複数の酸化物の超微粒子を、表1に示す組成比となるように純水に分散してスラリー溶液を調製した。なお、触媒安定層を構成する材料の融点は、いずれも1000℃以上であった。
【0083】
これら触媒安定層を構成する材料のスラリー溶液を用い、得られたハニカム構造体を浸漬させる方法でコーティングし、乾燥させた。その後、大気中、1000℃で焼成して、表面に触媒安定層を形成したセラミック担体を製作した。なお、実施例1〜14のいずれも、触媒安定層の均一なコーティングを可能とするために、触媒安定層の形成に先立って、SiO2  (シリカ) からなる中間層を形成した。この中間層の形成も、同様にして行い、ハニカム構造体をシリカゾル (日産化学 (株) 製、コロイダルシリカ)液に浸漬してコーティングし、乾燥、焼成する方法で形成した。
【0084】
このようにして触媒安定層を形成したセラミック担体の性能を評価するために、セラミック担体上に、さらに触媒層を形成してNOx吸蔵還元型のセラミック触媒体とした。触媒層は、γ−アルミナコート層に、触媒成分として、貴金属触媒であるPt、Rhと、NOx吸蔵材であるカリウム化合物(K2 O)を担持させて構成した。また、比較のため、上記と同様の方法でコーディエライトハニカム構造体を製作した後、触媒安定層を形成せずにセラミック担体とし、同様にして触媒層を形成して、NOx吸蔵還元型のセラミック触媒体を製作した(比較例1)。
【0085】
次いで、実施例1〜14のセラミック触媒体を用い、実排ガスによる耐久試験を実施した。耐久試験は、得られたセラミック触媒に、実機エンジンを用いて900℃で10時間、排気ガスを導入することにより行い、その後、NOx吸蔵量、流路方向の熱膨張係数をそれぞれ測定して、結果を表2に記した。比較例1のセラミック触媒体についても、実施例1〜14と同様の耐久試験を行って、NOx吸蔵量、流路方向の熱膨張係数をそれぞれ測定し、結果を表5に記した。ここで、NOx吸蔵量は、比較例1の従来品(耐久後)のNOx吸蔵量に対する比で表す。また、熱膨張係数の測定は押棒式熱膨張計法で行い、25℃から800℃の間の平均の熱膨張係数で評価した。
【0086】
表5から明らかなように、触媒安定層を形成しない比較例1では、熱膨張係数が1.8×10−6/℃と高くなっている。セラミック担体をEPMAで分析した結果、コーディエライト構造中に、NOx吸蔵材であるカリウムが移動、拡散していることが確認され、セラミック担体の組成が変化(副生成物を形成)したことにより熱膨張係数が増加したと考えられる。
【0087】
これに対し、表2に示されるように、実施例1〜14のセラミック触媒体は、いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低い。また、NOx吸蔵量(耐久後)は、比較例1の従来品に比べ、40%から165%多くなっており、長期に亘り触媒性能が維持できることがわかる。また、実施例1〜14のセラミック触媒体の触媒成分、特にカリウム化合物の分散状態をEPMAで分析した結果、いずれもカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散していることを確認した。これは、実施例1〜14のセラミック触媒体では、触媒安定層によりカリウムの移動、拡散が防止され、セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていないことを示している。
【0088】
続いて、実施例15〜29において、触媒層に触媒トラップ材を添加したセラミック触媒体を製作して、その効果を調べた。まず、実施例1〜14と同様の方法でコーディエライトハニカム構造体を製作してセラミック担体とし、その上に、表3に示す触媒トラップ材を添加した触媒層を形成して、NOx吸蔵還元型のセラミック触媒体を製作した。触媒層に含まれる触媒成分は、上記実施例1〜14と同様とした。各実施例において、触媒トラップ材は、いずれも平均粒子径が100〜300nm (ナノメートル)の超微粒子 (シーアイ化成 (株) 製、ナノテック超微粒子)を用い、単独ないし複数の酸化物の超微粒子を表3に示す組成比で混合したものを使用した。これを、触媒層を構成するγ−Al2 3 に対して重量で10%を添加し、ミキサー、媒体攪拌ミル等で均一混合して、触媒トラップ材を分散させたγ−Al2 3 のスラリー溶液を調製し、セラミック担体にコーティングすることにより、触媒層を形成した。
【0089】
触媒トラップ材を添加したセラミック触媒体の性能を評価するために、実施例15〜29のセラミック触媒体を用い、実排ガスによる耐久試験を実施した。耐久試験は、上記実施例1〜14と同様の方法で行い、NOx吸蔵量、流路方向の熱膨張係数をそれぞれ測定して、結果を表3に記した。
【0090】
この結果、実施例15〜29のセラミック触媒体は、いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低く、NOx吸蔵量(耐久後)は、比較例1の従来品に比べ、32%から105%多くなっており、長期に亘り触媒性能が維持できることがわかる。また、実施例15〜29のセラミック触媒体の触媒成分のカリウム化合物の分散状態をEPMAで分析した結果、いずれもカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散していることを確認した。これは、実施例15〜29のセラミック触媒体では、触媒トラップ材によりカリウムの移動、拡散が防止され、セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていないことを示している。
【0091】
さらに、実施例30〜44において、触媒層に触媒活性材を添加したセラミック触媒体を製作して、その効果を調べた。まず、実施例1〜14と同様の方法でコーディエライトハニカム構造体を製作してセラミック担体とし、その上に、表4に示す触媒活性材を添加した触媒層を形成して、NOx吸蔵還元型のセラミック触媒体を製作した。触媒層に含まれる触媒成分は、上記実施例1〜14と同様とした。各実施例において、触媒活性材は、いずれも平均粒子径が100〜300nm (ナノメートル)の超微粒子 (シーアイ化成 (株) 製、ナノテック超微粒子)を用い、それぞれ複数の酸化物の超微粒子を、表4に示す組成比で混合使用した。これを、触媒層を構成するγ−Al2 3 に対して重量で10%を添加し、均一混合して、触媒活性材を分散させたγ−Al2 3 のスラリー溶液を調製し、セラミック担体にコーティングすることにより、触媒層を形成した。
【0092】
触媒活性材を添加したセラミック触媒体の性能を評価するために、実施例30〜44のセラミック触媒体を用い、実排ガスによる耐久試験を実施した。耐久試験は、上記実施例1〜14と同様の方法で行い、HC50%浄化性能、NOx吸蔵量、流路方向の熱膨張係数をそれぞれ測定して、結果を表4に記した。
【0093】
この結果、実施例30〜44のセラミック触媒体は、いずれもHC50%温度の上昇がほとんどなく、触媒活性が維持できており、貴金属触媒の性能を長期に亘り維持できることがわかる。また、実施例30〜44のセラミック触媒体は、いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低く、NOx吸蔵量(耐久後)は、比較例1の従来品に比べ、80%から145%多くなっており、NOx吸蔵能も優れている。また、実施例30〜44のセラミック触媒体の触媒成分のカリウム化合物の分散状態をEPMAで分析した結果、いずれもカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散していることを確認した。これは、実施例30〜44のセラミック触媒体では、触媒活性材が触媒トラップ材としての作用も有し、カリウムの移動、拡散が防止されて、セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていないことを示している。
【0094】
次いで、実施例45〜50において、ゾル粒子を触媒安定層材料として用いたセラミック触媒体を製作して、その効果を調べた。セラミック担体となるコーディエライトハニカム構造体の製作方法は、実施例1〜14と同様とした。このコーディエライトハニカム構造体の表面に、表6に示す各種材料を用いて、触媒層を構成するγ−Al2 3 と表面電位が同等となるように制御した触媒安定層を形成した(実施例45〜50)。各実施例において、触媒安定層を構成する材料には、いずれも平均粒子径が8nm(ナノメートル)のゾル粒子を用いており、それぞれ複数の酸化物のゾル粒子を、表6に示す組成比となるように純水に分散してスラリー溶液を調製した。スラリー溶液を調製する際には、超音波分散を用いて、ゾル粒子の凝集を抑制しつつ均一分散混合させた。なお、触媒安定層を構成する材料の融点は、いずれも1000℃以上であった。
【0095】
これら触媒安定層を構成する材料のスラリー溶液を用い、得られたハニカム構造体を浸漬させる方法でコーティングし、乾燥させた。その後、大気中、1000℃で焼成して、表面に触媒安定層を形成したセラミック担体を製作した。なお、実施例45〜50のいずれも、触媒安定層の均一なコーティングを可能とするために、触媒安定層の形成に先立って、SiO2 (シリカ)からなる中間層を形成した。この中間層の形成も、同様にして行い、ハニカム構造体をシリカゾル(日産化学(株)製、コロイダルシリカ)液に浸漬してコーティングし、乾燥、焼成する方法で形成した。
【0096】
このようにして触媒安定層を形成したセラミック担体の性能を評価するために、実施例1〜14と同様にセラミック担体上に、さらに触媒層を形成してNOx吸蔵還元型のセラミック触媒体とした。
【0097】
次いで、実施例45〜50のセラミック触媒体を用い、実排ガスによる耐久試験を実施した。耐久試験は、得られたセラミック触媒に、実機エンジンを用いて900℃で10時間、排気ガスを導入することにより行い、その後、NOx吸蔵量、流路方向の熱膨張係数をそれぞれ測定して、結果を表7に記した。ここで、NOx吸蔵量は、比較例1の従来品(耐久後)のNOx吸蔵量に対する比で表す。また、熱膨張係数の測定は押棒式熱膨張計法で行い、25℃から800℃の間の平均の熱膨張係数で評価した。
【0098】
この結果、表7に示されるように、実施例45〜50のセラミック触媒体は、いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低い。また、NOx吸蔵量(耐久後)は、比較例1の従来品に比べ、40%から165%多くなっており、長期に亘り触媒性能が維持できることがわかる。また、実施例45〜50のセラミック触媒体の触媒成分、特にカリウム化合物の分散状態をEPMAで分析した結果、いずれもカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散していることを確認した。これは、実施例45〜50のセラミック触媒体では、触媒安定層によりカリウムの移動、拡散が防止され、セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていないことを示している。
【0099】
【表1】
Figure 2004141852
【0100】
【表2】
Figure 2004141852
【0101】
【表3】
Figure 2004141852
【0102】
【表4】
Figure 2004141852
【0103】
【表5】
Figure 2004141852
【0104】
【表6】
Figure 2004141852
【0105】
【表7】
Figure 2004141852
【0106】
なお、上記各実施例では触媒成分としてのカリウムの移動・拡散についてのみ述べたが、他のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を担持させた場合でも、同様の効果が得られることを確認した。また、ハニカム構造体としてコーディエライト以外のSiC、Si3 4 、ムライトについても、同様の効果が得られることを確認している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示し、(A)は触媒安定層を有するセラミック担体に触媒層を形成したセラミック触媒体の構成を示す模式的な部分拡大断面図、(B)は(A)のA部拡大図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示し、(A)はセラミック担体に触媒トラップ材を含有する触媒層を形成したセラミック触媒体の構成を示す模式的な部分拡大断面図、(B)は(A)のA部拡大図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示し、(A)はセラミック担体に触媒活性材を含有する触媒層を形成したセラミック触媒体の構成を示す模式的な部分拡大断面図、(B)は(A)のA部拡大図である。

Claims (23)

  1. セラミック担体の表面に、担持される触媒成分の移動を抑制する触媒安定層を形成してなり、上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位とし、かつ上記触媒安定層を構成する材料を、セラミック担体の使用最高温度より高い融点を有する材料としたことを特徴とするセラミック担体。
  2. セラミック担体の表面に、担持される触媒成分の移動を抑制する触媒安定層を形成し、上記触媒安定層の上に、上記触媒成分を含む触媒層を設けたセラミック触媒体であって、上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位と同等電位とし、かつ上記触媒安定層を構成する材料を、セラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料としたことを特徴とするセラミック触媒体。
  3. 上記触媒安定層の表面電位を、上記触媒成分を含む触媒層の表面電位に対して30%以内とする請求項1または2記載のセラミック担体およびセラミック触媒体。
  4. 上記触媒安定層を、上記セラミック担体の外表面および上記セラミック担体の細孔内表面に形成する請求項1ないし3のいずれか記載のセラミック担体およびセラミック触媒体。
  5. 上記触媒安定層を構成する材料は、元素周期律表第1B族、第2B族、第3A族、第3B族、第4A族、第5A族、第6A族、第7A族および第8族の元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料である請求項1ないし4のいずれか記載のセラミック担体およびセラミック触媒体。
  6. 上記触媒安定層を構成する材料は、La、Y、Sc、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb、Lu、Al、Ga、Zn、Cu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtから選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料である請求項5記載のセラミック担体およびセラミック触媒体。
  7. 上記触媒安定層を構成する材料は、Y2 3 、Sc2 3 、TiO2 、Cr2 3 、MnO、Mn2 3 、Mn2 5 、Fe2 3 、Fe3 4 、Co3 4 、NiO、ZnO、CuO、Ga2 3 、ZrO2 、Zr2 3 、Nb2 5 、SnO2 、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 、HfO2 、Ta2 5 、YAlO3 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上の材料である請求項5または6記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  8. 上記触媒安定層を構成する材料が、Y2 3 およびCeO2 の少なくとも一方を含む請求項1ないし7のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  9. 上記触媒安定層を構成する材料は、平均粒子径が10nm(ナノメートル)以下のゾル粒子である請求項1ないし4のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  10. 上記ゾル粒子が、酸化物、炭化物、窒化物およびそれらの複合化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物を含む(材料である)請求項9記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  11. 上記ゾル粒子がY2 3 およびCeO2 の少なくとも一方を含む混合ゾルである請求項9または10記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  12. 上記触媒安定層を、超音波分散または高圧分散で均一混合された上記ゾル粒子にて構成する請求項9ないし11のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  13. セラミック担体の表面に触媒成分を含む触媒層を形成し、上記触媒層中に、上記触媒成分を吸引してその移動を抑制する触媒トラップ材を含有させてなるセラミック触媒体であって、上記触媒トラップ材は、平均一次粒子径が500ナノメートル(nm)以下であり、かつセラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料からなることを特徴とするセラミック触媒体。
  14. 上記触媒トラップ材は、Y2 3 、Sc2 3 、NiO、ZnO、CuO、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上の材料である請求項13記載のセラミック触媒体。
  15. セラミック担体の表面に触媒成分を含む触媒層を形成し、上記触媒層中に、上記触媒成分に水素を供給する触媒活性材を含有させてなるセラミック触媒体であって、上記触媒活性材は、水蒸気改質反応により水素を上記触媒層に供給するものであり、かつセラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料からなることを特徴とするセラミック触媒体。
  16. 上記触媒活性材は、ランタノイド元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料である請求項15記載のセラミック触媒体。
  17. 上記触媒活性材は、Y2 3 、CeO2 、Pr2 3 、PrO4 、Nd2 3 、Sm2 3 、Eu2 3 、Gd2 3 、Tb2 3 、Dy2 3 、Ho2 3 、Er2 3 、Tm2 3 、Yb2 3 およびLu2 3 から選択される少なくとも1種以上の材料である請求項15または16記載のセラミック触媒体。
  18. 上記触媒活性材は、少なくともCeの酸化物または複合酸化物を含む請求項15ないし17のいずれか載のセラミック触媒体。
  19. 上記触媒活性材は、CeO2 と、Y2 3 、TiO2 、ZrO2 およびAl2 3 から選択される少なくとも1種以上との混合酸化物である請求項18記載のセラミック触媒体。
  20. 上記触媒成分が、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選択される少なくとも1種以上を含む請求項1ないし19のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  21. 上記触媒成分が、Li、Na、K、Ba、Rb、Be、Mg、CaおよびSrから選択される少なくとも1種以上を含む請求項1ないし20のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  22. 上記セラミック担体は、進路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下である請求項1ないし21のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
  23. 上記セラミック担体がコーディエライトを主成分とする請項1ないし22のいずれか記載のセラミック担体またはセラミック触媒体。
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