JP5572991B2 - 錠剤の作業用搬送装置 - Google Patents

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この発明は各種の薬剤,化学剤,健康補助食品等の扁平形状に形成された錠剤の表面又は裏面に印刷を施し又は表面を撮像により検査する等の作業を行う際に、錠剤を起立姿勢にホールドして搬送する錠剤の作業用搬送装置に関する。
扁平形状の錠剤である扁平錠剤をホールドしながら搬送する装置としては、特許文献1〜4に示す技術が知られており、このうち特許文献1〜3では錠剤の片側面のみが、同文献4では両側面が露出する機構となっており、いずれの文献の発明も扁平錠剤を起立姿勢で保持するために、ポケット部(凹部)のほかに錠剤の動きを案内又は規制するためのガイド部材や移動規制具が設けられている。
特開2000−97865号公報 特開2001−33392号公報 特開2007−137635号公報 特開2002−296191号公報
しかし上記特許文献1〜4に示される従来技術では、既述のように扁平錠剤を起立方向に固定的に保持するために、錠剤収容用のポケット部の他、搬送方向前後又は両側方側にガイド部材や移動規制具を設ける必要があり、機構が複雑で部品点数も増加し、組立やメンテナンスも煩雑化するという欠点がある。
またいずれの技術もガイド部材や移動規制具なしで錠剤の両側面を露出させて保持することは出来ないほか、回転又は移動する搬送体のポケット部の開口部周縁が単純な孔状に形成されているため、錠剤をポケット部に収容するための供給ガイドとポケット部の位置関係と機構及び供給と搬送移動のタイミングに高い精度が求められる。
上記課題を解決するための本発明は、第1に横方向の軸1回りに回転又は回動駆動される搬送体2の外周面に、側面が扁平な錠剤3の周面を上下方向に向けた起立姿勢で収容するポケット部4を設け、上記ポケット部4に支持された錠剤3の表面又は裏面に対して作業を行うことが可能な錠剤の作業用搬送装置において、上記ポケット部4が、錠剤3が上方より収容されることにより搬送方向前後への移動、該搬送方向に対して交差方向となる両側方への移動及び姿勢変更が規制されるように搬送体2に凹設された凹部からなり、凹部の搬送方向前方側の開放端に仰角を形成するように傾斜させて切欠状に形成されたガイド面4dを設けたことを特徴としている。
第2に、収容された状態の錠剤3の側面が側方に向かって露出するように凹部の両側壁に切欠状の側方開放部4aを設けたことを特徴としている。
第3に、収容された錠剤3の周面に、凹部の搬送方向前後及び左右両側面が接することにより、錠剤3の搬送方向前後及び両側方への移動と姿勢変更を規制する構造であることを特徴としている。
第4に、凹部の内周面の横断面がV字形,角溝形,円弧状又は放物線状に形成されたことを特徴としている。
第5に、搬送体2が円板状であることを特徴としている。
以上のように構成される本発明の装置は下記のような効果を奏する。
(1)ポケット部が錠剤を収容することにより搬送方向前後及び両側方への移動と姿勢変更が規制されるので、従来のように扁平錠剤を起立方向に保持するためのガイド部材や移動規制具が必要なくなる。
(2)凹部の側壁に切欠状の側方開放部を設けることによって錠剤の側面が露出するので、上記ガイド部材や移動規制具を必要とせず、搬送しながら錠剤側面への印刷、側面の検査等の作業ができる利点があり、凹部の両側壁の少なくとも一部を切欠くことにより、両側面への印刷,検査等の作業が可能となる。
また凹部上方の外周開放側から錠剤外周面への印刷や検査等の作業も可能である。
(3)収容された錠剤3の周面に、凹部の搬送方向前後及び左右両側面が接触するので、搬送方向前後及び左右両側方への錠剤の移動や姿勢変更を防止しながら確実に固定保持され、各種作業も確実、正確に行われる。
(4)凹部内面はV字形,チャンネル状又は多角形等の各溝形,円弧状又は放物線状の溝型に形成されるので、内部に収容された錠剤を左右両側から受止め、左右動を安定的に規制する。
(5)凹部開放端前端側にガイド面が形成されているので、凹部の上方から錠剤を投入する際に、搬送体の凹部によるより広い範囲での確実な錠剤の受取りが可能であり、駆動時における早い位相位置からの投入及び落下放出が可能である。
本発の錠剤の作業用搬送装置を適用した搬送装置の基本的構成を概念的に示す側面図である。 (A)〜(C)は、それぞれ搬送体に形成されたポケット部の構造を示す拡大側面図,拡大平面図及び拡大正断面図である。 上記搬送装置の他の応用例を示す側面図である。
以下図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発の錠剤の作業用搬送装置を適用した搬送装置の基本的構成を概念的に示す側面図であり、図2(A)〜(C)は、それぞれ搬送体に形成されたポケット部の構造を示す拡大側面図,拡大平面図及び拡大正断面図である。前述した特許文献1等と同様に円中心に挿通される横軸(軸)1によって回転駆動される起立円板状の搬送体2の周面には、搬送体2の回転支点である横軸1に向かって窪んだ(図示する例では側面視円弧状に窪んだ)凹部から構成されるとともにその内部に錠剤3を上方から収容するポケット部4が、所定間隔(図示する例では等間隔)毎に、満遍なく複数配設されている。
上記搬送体2の少なくとも上半部外周真上位置よりやや搬送下流側(搬送方向後方位置)には、錠剤3を連続的に落下供給するように搬送上流側に向かって下方傾斜した供給路を形成する供給部(錠剤供給部)6の最下流側端である先端が臨んでいる。
上記錠剤3は、表裏面が球面よりも平らな扁平に成形されて起立状態で表裏面が側面になる扁平形状に成形されている。ちなみに、図示する例では、起立状態で側面視円状且つ平面視楕円状をなすように球体の両側面を扁平させたような形状に成形され、表裏面が球体よりも若干平らな凸曲面をなすとともに、外周面が環状且つ円柱状周面をなしている。ちなみに、表裏面がフラットな円盤状に形成された扁平形状の錠剤3も本発明への適用が可能である。
上記形状の多数の錠剤3は、供給方向に沿って一列状に配された状態で供給部6内に収容され、搬送体2の正転方向(図1における時計回り方向)への回転に伴い、供給部6から各ポケット部4に錠剤3が順次1個づつ供給される。具体的には、搬送体2が正転方向に回転駆動されると、空のポケット部4が供給部6の先端に変位し、供給部6内の錠剤3が自重によりポケット部4内に傾斜落下する一方で、搬送体2の正転方向への回転が停止されると、ポケット部4内に収容された錠剤3によって、供給部6の先端の錠剤3が受止められ、錠剤3の供給が停止される。
ポケット部4に供給された錠剤3は、起立姿勢状態且つ搬送方向(搬送方向前後,前後方向)への移動及び搬送方向に対して直交方向(交差方向)となる左右方向(左右側方,側方)への移動が規制された状態で該ポケット部4に保持されて、搬送体2の正転方向への回転によって下流側に搬送される。搬送される錠剤3は、搬送体2の直下位置よりも若干搬送上流位置(搬送方向後方位置)で、自重によりポケット部4から放出落下させられ、ボックス状又はホッパー状の回収部7内に受け取られ、次工程に回される。
搬送体2の周縁部における供給部6側と錠剤回収部7側との間には、搬送途中の錠剤3の左右両側面又はいずれかの側面に印刷を施す側面用印刷ヘッド(印刷部)8a,8bが搬送体2に向かって配置され、さらにその上流側又は下流側の何れかの位置(図示する例では、下流側)には、必要に応じポケット部4の開放端(上部)側より露出している錠剤3の外周面に対して印刷を施す周面用印刷ヘッド(印刷部)9が搬送体2の中心向きに配置されている。上記のような機構により、搬送途中、錠剤3の左右側面の片側又は両側と、錠剤3の外周面とに必要な印刷が施される。
図示する例では、搬送体2は合成樹脂製で、その外径を200mm、板厚を4mm、ポケット数を30個とし、回転数は29rpmに設定され、錠剤3の外周面である上記円柱状周面の外径を9mmとしている。そして、錠剤3の凸曲面状の各側面は印刷ヘッド8a,8bによる印刷を可能にするため搬送体2から左右側方に僅かに突出する形状及び寸法に形成されている。ちなみに、搬送体2の材料は、合成樹脂に限定されるものでは無く、鉄やアルミ等の金属製のものであってもよい。
次に、図2に基づき、ポケット部4について説明する。
ポケット部4は、錠剤3の寸法、形状に対応する側面視で半円形をなす円弧状の底部を形成し、さらに、半円状の内周面よりなる上記底部を、左右方向に横断する横断面で切断した場合の形状が搬送体2の厚み方向中心に向かって楔状をなす横断面視V字形の凹溝4cになる。ちなみに、図示する例ではこのV字形の谷形断面の角度は90°に設定されているが、この凹溝4cをなす内周面の横断面を、搬送体2の厚み方向中心に向かって窪んだ角溝形,円弧状又は放物線状に形成してもよい。
このポケット部4の左右の各側壁を底部側から上方に向かって半円状に切欠くことにより、側方開放部4aを形成している。くわえて、上述したように、このポケット部4は上方から錠剤3を収容可能なように凹状に形成されていることから、搬送体2の回転支点から遠ざかる方向である外方側に向かって開放されており、これによって、外周開放部4bを形成している。
すなわち、ポケット部4を構成する凹部は、前記凹溝4cと、外周側を開放する外周開放部4bと、左右両側方を開放する側方開放部4aとを備え、さらに外周開放部4bの搬送方向前方開放端部には、側面視で搬送下流側に向かって外方に傾斜(仰角を形成)する傾斜面をなすように切欠かれたガイド面4dが形成されてポケット部4の全体が構成されている。くわえて、傾斜面であるガイド面4dにも横断面視V字状、角溝状、円弧状又は放物線状の凹溝4cが形成されている。
上記凹溝4cは、ポケット部4内に錠剤3を収容した際、谷形の溝の両傾斜面(左右両側面)が、錠剤3の両側面の下端部及び外周面に、両側から同時に接触(線接触)して錠剤3を受止めることにより、錠剤3を凹溝4cの中心位置において、起立姿勢で、左右方向への移動を規制した状態で、受止めて保持する。くわえて、側面視でポケット4をなす凹部の底部側が半円形に形成されているため、錠剤3の外周面に少なくとも搬送方向前後から接触(図示する例では、側面視で底部をなす内周面の全範囲を錠剤3の外周面に接触)させて錠剤3の搬送方向前後の移動を規制する。ちなみに、凹溝4cは上記のように収容された錠剤3を凹部内で位置決めして起立姿勢が保持すれば必ずしも上記形状に限定されるものではなく、例えば錠剤3の外周面の下半部に面接触、線接触又は接触して搬送方向前後の移動を規制するものであってもよい。
上記ガイド面4d及びガイド面4dの凹溝4cは、ポケット部4に錠剤3を投入供給する際に、その受取り範囲を拡大して確実に受取り収容するとともに、回収部7への排出を容易にし、より確実に回収するために設けられたもので、ガイド面4dの凹溝4cはその時錠剤3をポケット部4の幅方向中心への案内を確実に行う。
なお、図示する錠剤3は中央に帯状の円柱(筒)面を有し、左右両側が球面よりも平たい凸曲面状に膨出した形状のものを示したが、この他各辺が円弧状又は直線状の三角形の各コーナー部をアールに形成したもの、側面視で該三角形や円形のもので両側面が平面的に形成されたもの等一般に知られた周知の形状のものに応用可能である。そして、これらの錠剤3の形状に対応し、凹溝4cの内周面の断面が円弧状、逆向きの放物線状のもの、チャンネル状又は3個以上のコーナー角を有する角溝状等のものを選択することも可能である。
また、印刷部8a,8b,9に代えて、画像処理によって外観検査を行うカメラ等の検査装置を設けることも可能である。くわえて、印刷部8a,8b,9を設けずに、搬送体2による搬送過程で、開放された錠剤3の側面を乾燥させる乾燥作業を行ってもよい。
次に、図3に基づき本発明の別実施形態について前述の例と異なる点を説明する。
図3は、上記搬送装置の他の応用例を示す側面図である。同図に示す通り、第1の搬送体2である第1搬送体2Aに対して、第2の搬送体2である第2搬送体2Bを、やや低位置で外接状態で近接するように配置している。そして、両搬送体2A,2Bの近接箇所付近で、第1搬送体2Aから第2搬送体2Bに、錠剤3が受渡されるように、第1搬送体2Aの錠剤3放出箇所と、第2搬送体2Bの錠剤3供給箇所とが設定されている。このように、複数の搬送体2を隣接配置し、搬送を繰返すことによって、印刷等の複数の作業を行うことが容易になる。
なお、ポケット部4の数は、図示する例では、1つの搬送体2に対して20個であるが、図1と同様に30個に設定してもよく、図示する例に限定されるものではない。なお、1つの搬送体2に20個のポケット部4を等間隔に満遍なく設けた場合には、回転数を25rpmに設定することが好ましい。
この発明の錠剤の作業用搬送装置は、各種の薬剤,化学剤,健康補助食品等の扁平状の錠剤の表面を検査し又は印刷を施す等の作業を行う装置である。
1 横軸(軸)
2 搬送体
3 錠剤
4 ポケット部(凹部)
4a 側方開放部
4d ガイド面

Claims (5)

  1. 横方向の軸(1)回りに回転又は回動駆動される搬送体(2)の外周面に、側面が扁平な錠剤(3)の周面を上下方向に向けた起立姿勢で収容するポケット部(4)を設け、上記ポケット部(4)に支持された錠剤(3)の表面又は裏面に対して作業を行うことが可能な錠剤の作業用搬送装置において、上記ポケット部(4)が、錠剤(3)が上方より収容されることにより搬送方向前後への移動、該搬送方向に対して交差方向となる両側方への移動及び姿勢変更が規制されるように搬送体(2)に凹設された凹部からなり、凹部の搬送方向前方側の開放端に仰角を形成するように傾斜させて切欠状に形成されたガイド面(4d)を設けた錠剤の作業用搬送装置。
  2. 収容された状態の錠剤(3)の側面が側方に向かって露出するように凹部の両側壁に切欠状の側方開放部(4a)を設けた請求項1の錠剤の作業用搬送装置。
  3. 収容された錠剤(3)の周面に、凹部の搬送方向前後及び左右両側面が接することにより、錠剤(3)の搬送方向前後及び両側方への移動と姿勢変更を規制する構造である請求項1又は2の錠剤の作業用搬送装置。
  4. 凹部の内周面の横断面がV字形,角溝形,円弧状又は放物線状に形成された請求項1,2又は3の錠剤の作業用搬送装置。
  5. 搬送体(2)が円板状である請求項1,2,3又は4の錠剤の作業用搬送装置。
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