JP5568849B2 - 板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法及びそれを用いた板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法 - Google Patents

板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法及びそれを用いた板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法及びそれを用いた板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法に関し、さらに詳しくは、一次電池用正極活物質として好適な、高い充填性を有し高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法、及びその原料として好適な板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法に関する。
近年、正極合材として、二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケル及び黒鉛の混合物を用いた一次電池が、高電圧を有し、かつ瞬間的な大電流を必要とする、例えばデジタルカメラのフラッシュ等の用途で広く使用されている。ここで、前記オキシ水酸化ニッケルとしては、ニッケルの一部をニッケル以外の遷移金属、アルカリ土類金属元素等の置換元素で適宜置換したもの(以下、ニッケル含有オキシ水酸化物と呼称する場合がある。)も使用されている。なお、前記置換元素は、電池容量を安定化させるとともに、充放電特性を安定化させる効果を有するものである。
しかしながら、それらの電池の通常の小電流使用時の持続時間としては、従来から使用されているアルカリマンガン一次電池とほぼ同等であり、高寿命化のため、より高容量の電池の開発が求められている。このためには、使用する正極合材の充填密度を高くすることが有効な手段であり、オキシ水酸化ニッケルの形状の改良による充填密度の向上も求められている。
ところで、従来、オキシ水酸化ニッケルの製造方法としては、種々の方法が提案され、例えば、水酸化ニッケルを水系分散媒に分散させ、これに酸化剤を添加してオキシ水酸化ニッケルを得る方法(例えば、特許文献1参照。)、水酸化ニッケルとペルオキソ二硫酸塩とアルカリ性溶液とを反応させ、オキシ水酸化ニッケルを得る方法(例えば、特許文献2参照。)、高密度の水酸化ニッケルを水系分散媒に分散し、これを次亜塩素酸塩などの酸化剤で酸化して、高密度のオキシ水酸化ニッケルを得る方法(例えば、特許文献3参照。)、水酸化ニッケルをNaOHなどのアルカリ金属塩の水溶液に分散させ、これにハロゲンを供給して系内で次亜塩素酸ナトリウムなどを生成させ、その酸化力により水酸化ニッケルを酸化して、オキシ水酸化ニッケルを得る方法(例えば、特許文献4参照。)、水酸化ニッケルをアルカリ金属ハロゲン化物の存在下で電解酸化を行う方法(例えば、特許文献5参照。)等が開示されている。
しかしながら、上記オキシ水酸化ニッケルの製造方法の原料として用いる水酸化ニッケルとしては、通常、湿式法により得られた球状又は塊状のものであり、これらの方法では、ニッケルが酸化されるのみで形状の変換は行なわれないので、得られるニッケル含有オキシ水酸化物も球状又は塊状である。このため、従来、前記正極合材には、通常、球状のニッケル含有オキシ水酸化物が用いられており、その充填性能が既に限界に達し、さらなる改良が必要とされてきている。このため、例えば、球状粒子の粒径の異なるものを混合すること、球状の粒子と板状粒子とを混合すること等が行われている。
このような状況下、一次電池用正極活物質として好適な、高い充填性を有し高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその効率的な製造方法が求められている。このような板状形状のニッケル含有オキシ水酸化物を製造するためには、前述したように、その原料として適切な形状と組成を有する水酸化ニッケルを用いることが有効であり、板状形状のニッケル含有水酸化物の効率的な製造方法が求められている。
ところで、従来、板状水酸化ニッケルとして、例えば、不定形又は粒状の水酸化ニッケル粒子又はニッケル塩を、アンモニア、水酸化アルカリ及びアンモニウム塩の水溶液中、オートクレーブを用いて120〜350℃の範囲の温度にて加熱することにより製造される、一次粒子の平均長軸径が1〜50μmの範囲にあり、かつ平均厚みが0.1〜10μmの範囲にあるとともに、N2−BET法による比表面積が0.1〜5m/gの範囲にある板状水酸化ニッケル粒子が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、この方法では、板状粒子を得るためにはオートクレーブが必須であり、生産効率上の問題がある。
また、ニッケル塩水溶液とアルカリ水溶液との混合し、室温〜200℃で熟成することにより製造される、厚さ方向に対する平面方向のアスペクト比が3〜60であり、かつ平面方向の粒径が0.01〜1.0μmの板状一次粒子であって、X線回折における半値全幅が(100)>0.3deg.である水酸化ニッケル粉が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、この方法で得られる水酸化ニッケル粉は、粒子径が微細であるため、このままのサイズの板状ニッケル含有オキシ水酸化物では、一次電池用正極活物質として用いた場合、十分な充填性が得られないという欠点がある。
以上の状況から、一次電池用正極活物質として好適な、高い充填性を有し高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法、及びその原料として好適な板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法が求められている。
特開平10−081522号公報(第1頁、第2頁) 特開平10−001317号公報(第1頁、第2頁) 特開2002−179427号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−146663号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−346795号公報(第1頁、第2頁) 特開平11−001324号公報(第1頁、第2頁) 特開平11−246226号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、一次電池用正極活物質として好適な、高い充填性を有し高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法、及びその原料として好適な板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、一次電池用正極活物質に用いる板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法、及びその原料として好適な板状ニッケル含有水酸化物と製造方法について、鋭意研究を重ねた結果、特定のニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合して得られた混合物を、特定の条件で加熱溶融した後、冷却して得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去したところ、特定のサイズの板状ニッケル含有水酸化物が得られること、さらにこれを原料として用いて、特定のスラリー濃度のスラリーを形成し、特定の酸化剤を含む水溶液を添加し、固液分離したところ、一次電池用正極活物質として高い充填性を有し、高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする板状ニッケル含有水酸化物の製造方法が提供される。
工程(A):次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、該ニッケル含有水酸化物1モル当たり、1.0〜10モルのアルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、該アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する。
一般式(1):NiM(OH)
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(B):得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上溶融塩状態で保持した後、冷却して固形物を得る。
工程(C):得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムから選ばれる少なくとも1種であり、前記無機塩化物は、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、塩化ニッケル、又は塩化ニッケル以外の遷移金属塩化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする板状ニッケル含有水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記無機塩化物の混合割合は、ニッケル含有水酸化物1モル当たり、塩素換算で0.01〜0.20モルであることを特徴とする板状ニッケル含有水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明の製造方法で得られ、平面方向粒径が3〜20μmであり、下記の一般式(1)で表される板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いる、下記の工程(D)、(E)を含むことを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法が提供される。
一般式(1):NiM(OH)
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(D):前記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する。
工程(E):形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記工程(E)において、酸化時の反応温度は、20℃〜60℃であることを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第4又は5の発明において、前記工程(E)において、酸化時の反応時間は、5分以上であることを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第4〜6いずれかの発明の製造方法で得られる、下記の一般式(2)で表される板状ニッケル含有オキシ水酸化物であって、
平面方向粒径が3〜20μmであることを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物が提供される。
一般式(2):NiMOOH
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
本発明の板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法は、一般式:NiM(OH)(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)で表される板状ニッケル含有水酸化物であって、平面方向粒径が3〜20μmであり、かつ必要により厚みが1〜8μmである板状ニッケル含有水酸化物を、効率よく製造する方法であり、さらに、本発明の板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法は、上記板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いて、一次電池用正極活物質として高い充填性を有し、単位体積あたりの容量が高い高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物を、効率よく製造する方法であるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法及びそれを用いた板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法を詳細に説明する。
1.板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法
本発明の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法は、下記の工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする。
工程(A):次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する。
一般式(1):NiM(OH)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(B):得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上保持した後、冷却して固形物を得る。
工程(C):得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る。
本発明の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法において、ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水を含む混合物、或いは該ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を含む混合物を加熱溶融処理することが重要な技術的な意義を有する。
すなわち、前記混合物は、比較的低温で溶融塩を形成する強アルカリ性物質であるアルカリ金属水酸化物の水溶液中にニッケル含有水酸化物粒子を懸濁したスラリーを形成しているので、これを加熱昇温する際、昇温するにともない水が蒸発し、のり状となり、さらに昇温されると溶融塩状態となる。このとき、ニッケル含有水酸化物粒子は、溶融塩中で結晶崩壊して一次粒子の状態まで完全に崩れる。その後、所定の保持温度に到達すると、一次粒子の溶解・再析出が起こり、一次粒子は、板状ニッケル含有水酸化物へと形状を変える。これにより、平面方向粒径が3〜20μmである一次粒子体の板状ニッケル含有水酸化物が得られる。さらに、無機塩化物を含む混合物では、得られる板状ニッケル含有水酸化物粒子の厚みが制御されるので、平面方向粒径が3〜20μmであり、かつ厚みが1〜8μmである板状ニッケル含有水酸化物が得られる。
これに対し、湿式法による水酸化ニッケルの製造方法としては、例えば、所望の組成になるようニッケル塩を主体とした水溶液、アンミン錯塩を形成させるアンモニア水、及びpH調整用の水酸化ナトリウムを、反応槽中に滴下する晶析法により製造するのが主流であるが、これにより製造された粒子は、サブミクロンの一次粒子からなる集合二次粒子体であり、しかも形状としては、球状又は塊状の粒子である。
(1)工程(A)
上記工程(A)は、次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する工程である。
一般式(1):NiM(OH)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
上記工程(A)で用いるニッケル含有水酸化物としては、上記一般式(1)で表されるニッケルと、その置換元素として、ニッケル以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素とを含むものである。ここで、前記置換元素の含有割合としては、特に限定されるものではなく、最終的に用いられる電池の容量及び充放電特性の安定化の度合により設定されるものであるが、その上限としては、電池の容量が十分に得られなくなるので、ニッケルと同モル以下であることが好ましく、特に1〜10モル%であることがより好ましい。
上記遷移金属又はアルカリ土類金属としては、特に限定されるものではないが、最終的に用いられる電池の改善効果が大きいマンガンが特に好ましい。
また、その形状としては、特に限定されるものではなく、形状に関わらず用いることができる。例えば、前述したように、湿式法による製造方法で一般的に得られる球状又は塊状の粒子が用いられる。
上記工程(A)で用いるアルカリ金属水酸化物としては、特に限定されるものではないが、安価で、かつ溶融塩を形成しやすい水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記アルカリ金属水酸化物の混合割合としては、特に限定されるものではないが、ニッケル含有水酸化物1モル当たり、1.0〜10モルが好ましく、2.5〜7.0モルがより好ましい。すなわち、前記混合割合がニッケル含有水酸化物1モル当たり1.0モル未満では、ニッケル含有水酸化物の結晶溶解・再析出が十分行なわれず、その不均一又は不足のため、次の工程(B)で得られる板状ニッケル含有水酸化物の平面方向の平均粒径が3μm未満となる。一方、アルカリ金属水酸化物は、平面方向の粒径を大きくさせるように作用するので、多いほど望ましいが、前記混合割合がニッケル含有水酸化物1モル当たり10モルを超えても、それ以上の効果の向上が期待できず無駄になるだけである。
上記工程(A)で用いる混合物として、無機塩化物を含有するものを使用する場合には、得られる板状ニッケル含有水酸化物の厚み方向の成長を厳密に制御することができるので、一次電池用正極活物質として好適な板状ニッケル含有オキシ水酸化物を製造するための原料に望まれる、1〜8μmの厚みを有する板状ニッケル含有水酸化物が得られる。
上記工程(A)で用いる無機塩化物としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、塩化ニッケル、又は塩化ニッケル以外の遷移金属塩化物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記無機塩化物の混合割合としては、特に限定されるものではないが、ニッケル含有水酸化物1モル当たり、塩素換算で0.01〜0.20モルであることが好ましい。すなわち、無機塩化物を含有させることにより、次の工程(B)で得られる板状ニッケル含有水酸化物の厚みをより容易に制御することができる。ここで、前記混合割合がニッケル含有水酸化物1モル当たり塩素換算で0.01モル未満では、板状結晶の厚みを増加させる効果がほとんどない。一方、前記混合割合がニッケル含有水酸化物1モル当たり塩素換算で0.20モルを超えると、厚みが8μmを超えることがあるためである。
上記工程(A)で用いる混合物中の水量としては、特に限定されるものではなく、ニッケル含有水酸化物を懸濁後に撹拌が可能であるスラリーが形成されるように、スラリー濃度を保つ程度が好ましい。すなわち、あまり水が多いと、加熱時に水の蒸発に時間が多くかかり反応温度に到達するまでの時間が長くなり、生産性が低下する。一方、水が少な過ぎると、粘土状になるため、ニッケル含有水酸化物全体へアルカリ金属水酸化物が行き渡らなくなり、板状ニッケル含有水酸化物の均一な成長が抑えられる。
上記混合物の調製方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液、或いはアルカリ金属水酸化物と無機塩化物とを含有する混合水溶液中に、ニッケル含有水酸化物を加え攪拌することが好ましい。
(2)工程(B)
上記工程(B)は、工程(A)で得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上保持した後、冷却して固形物を得る工程である。
上記工程(B)において、混合物を加熱昇温するにともない、水が蒸発し、のり状となり、さらに昇温されると溶融塩状態となる。
上記工程(B)で用いる保持する温度としては、100〜180℃であり、140〜180℃が好ましい。すなわち、前記温度が100℃未満では、ニッケル含有水酸化物粒子の崩壊現象或いは溶解まで進むものの、ニッケル含有水酸化物を再析出させるときに核発生の方が結晶成長よりも優勢となるため微細結晶が多数発生し、板状ニッケル含有水酸化物が得られない。一方、前記温度が180℃を超えると、冷却して板状ニッケル含有水酸化物を析出させる際、結晶成長が進みすぎて、得られる板状ニッケル含有水酸化物の平面方向粒径が20μmを超えるとともに、使用する反応容器の材質が汎用性に欠けてくる。
上記工程(B)で用いる保持する時間としては、3時間以上であるが、10時間以上がより好ましい。すなわち、3時間未満では、ニッケル含有水酸化物は結晶崩壊を起こすが、結晶成長するまでには時間が足りない。一方、保持する時間の上限としては、投入するアルカリ金属水酸化物量と上記保持する温度によって異なるので、適切な時間が選ばれるが、あまり長時間置いておくと、スラリーが乾固し、固形物の回収が困難な状態となるため相応の時間で終了させることが望ましい。なお、保持する時間を延ばしても、得られる板状ニッケル含有水酸化物の平面方向粒径に変化は見られない。
上記工程(B)で用いる反応槽としては、特に限定されるものではなく、上記保持温度までの加熱と槽内の撹拌が可能であれば十分であり、密閉構造等の複雑な機構は必要としない。
(3)工程(C)
上記工程(C)は、工程(B)で得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る工程である。
上記工程(C)において、工程(B)で固形物の温度が100℃以下に低下したとき、固形物を水中に投じ、アルカリ分を溶解させて板状ニッケル含有水酸化物を分離回収することができる。しかしながら、この操作は、極めて激しい発熱反応となるため、常温まで放置し、多量の水を用いてアルカリ分を溶解させることが安全上好ましい。
上記アルカリ分の溶解後、得られた板状ニッケル含有水酸化物は、さらに、水洗浄し、乾燥して、板状ニッケル含有水酸化物粉末として回収される。
上記板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法で得られる板状ニッケル含有水酸化物としては、次の一般式(1)で表される板状ニッケル含有水酸化物であって、平面方向粒径が3〜20μmであり、かつ必要により厚みが1〜8μmに制御される。
一般式(1):NiM(OH)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
なお、上記板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いて、これを酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た場合、その形状は、ほとんど変化しない。従って、板状ニッケル含有水酸化物の形状としては、後記する一次電池用正極活物質として好適な板状ニッケル含有オキシ水酸化物と同様の形状を有するものが要求される。
2.板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法
本発明の板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法は、下記の工程(D)、(E)を含むことを特徴とする。
工程(D):請求項4に記載された板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する。
工程(E):形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る。
(1)工程(D)
上記工程(D)は、上記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する工程である。
ここで、前記スラリー濃度が50g/L未満では、次工程(E)で添加する酸化剤が薄まりすぎてしまい、その酸化力が不足する。一方、前記スラリー濃度が1000g/Lを超えると、スラリー自体の粘性が非常に高くなるため、添加した酸化剤が拡散しにくく酸化が不均一になる。
(2)工程(E)
上記工程(E)は、工程(D)で形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る工程である。
上記工程(E)で用いる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムは、ニッケルの酸化剤として用いられるものである。ここで、次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムの添加量としては、下記の反応式(1)又は(2)にしたがって、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍に当たる量である。
反応式(1):2Ni(OH)+NaOCl→2NiOOH+NaCl+H
反応式(2):4Ni(OH)+Ca(OCl)→4NiOOH+CaCl+2H
すなわち、前記添加量が1.2倍未満では、酸化剤自体の自己分解もおこるため未反応のニッケル含有水酸化物が残留する。一方、前記添加量が2.5倍を超えると、ニッケル価数は全て2価から3価になっており、余剰の酸化剤が増えることになる。
上記工程(E)において、酸化時の反応温度としては、特に限定されるものではないが、20℃〜60℃であることが好ましい。すなわち、前記温度が20℃未満では、極端に酸化反応速度が遅く、未反応の板状ニッケル含有水酸化物が残留しやすくなる。一方、前記温度が60℃を超えると、酸化剤の自己分解が激しくなるため、多量の酸化剤量が必要となる。
また、上記酸化時の反応時間としては、特に限定されるものではないが、5分以上であることが好ましく、20分以上がより好ましい。すなわち、前記反応時間が5分未満では、反応が十分完結せず、未反応のニッケル含有水酸化物が残る場合がある。
上記工程(E)で用いる反応槽としては、特に限定されるものではなく、バッチ式又は連続式いずれの形式のものも用いられる。上記反応装置ヘの前記板状ニッケル含有水酸化物スラリーと次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液の添加方法としては、特に限定されるものではないが、連続式反応装置においては、両者を、同時に又は予め混合した後に反応装置内部に定量的に供給することにより混合し、連続的に反応させる方法が好ましい。例えば、ホース状の反応装置の内部に板状ニッケル含有水酸化物スラリーと次亜塩素酸ナトリウム水溶液又は次亜塩素酸カルシウムを、同時に又は予め混合した後に供給し、ホース内を移動中に反応させて板状ニッケル含有オキシ水酸化物が得る方法が好ましい。
上記板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法で得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物としては、次のの一般式(2)で表される板状ニッケル含有オキシ水酸化物であって、平面方向粒径は3〜20μmであり、かつ必要により厚みは1〜8μmの範囲に制御される。
一般式(2):NiMOOH
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
上記板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いて、上記製造方法により、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た場合、その形状には、ほとんど変化しない。すなわち、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の平面方向の平均粒径は3〜20μmである。ここで、平面方向粒径が3μm未満では、粒子が細かすぎるために、圧縮密度が上がりにくく、かつ比表面積が非常に高いため、自己放電や電池劣化が起こりやすくなるためである。一方、前記平面方向粒径が20μmを超えると、圧縮に対する強度が弱くなり割れやすくなるほか、充放電時のプロトンの粒子内移動距離が長くなり抵抗上昇を起こし容量の低い電池となるためである。
従って、本発明の板状ニッケル含有オキシ水酸化物を一次電池の正極材料として用いれば、プレス加工時の圧縮密度が上昇して、充填性が向上し、かつ単位体積あたりの容量の高い電池を得ることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量の評価方法は、また、従来例で用いた平均二次粒子径の評価方法は、以下の通りである。
(1)化学組成の測定:ICP発光分析法で行い、組成を一般式で表した。
(2)平面方向粒径および厚みの測定:SEM(走査型電子顕微鏡)写真で任意に選択された粒子50個の平均値を算出した。
(3)平均二次粒子径の測定:動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装製、ナノトラック UPA−EX150)で測定した。
(4)圧縮密度の測定:1000kg/cmでプレスした後、密度測定を行った。
(5)電池容量の評価:ガラス電極セルにて、正極には、二酸化マンガンとニッケル含有オキシ水酸化物と黒鉛を所定の比率で乳鉢混合し、混合物をニッケルメッシュに塗りこみプレスしたものを、負極には亜鉛を、電解液には水酸化カリウム水溶液に演歌亜鉛を適量添加した液を使用して、放電試験を実施した。測定結果は、従来法で得られた球状ニッケル含有オキシ水酸化物を100(従来例1)として相対値で示した。
(従来例1)
まず、一般式:Ni0.95Mn0.05(OH)で表される組成になるように硫酸ニッケルと硫酸マンガンを混合した水溶液、アンミン錯塩を形成させるアンモニア水、及びpH調整用に苛性ソーダを反応槽中に滴下する晶析法により、反応温度を50℃を保ちつつ、pH11で保持し、滞留時間8時間となるように制御して、球状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。次いで、得られた板状ニッケル含有水酸化物粉末を、純水に添加してスラリー濃度50g/Lのスラリーを得た。このスラリーを、攪拌して粒子の沈降を防ぎつつ、温度を40℃と一定に保持しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の2.0倍量を投入した。20分間経過後に、水洗、ろ過及び乾燥して、球状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末を得た。得られた粉末の、化学組成、平均二次粒子径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1、2に示す。
(実施例1)
予め湿式法で製造した、一般式:Ni0.95Mn0.05(OH)の組成で表されるニッケル含有水酸化物粉末を原料として用いて、板状ニッケル含有水酸化物を製造し、これを用いて板状ニッケル含有オキシ水酸化物を製造した。
(1)板状ニッケル含有水酸化物の製造
テフロン(登録商標)コーティングしたステンレス容器からなる反応槽内で、前記ニッケル含有水酸化物粉末1モルを、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液200mL中に懸濁させて、攪拌した。次いで、加熱昇温し、反応槽内の物温を140℃に制御し、到達後10時間保持した。その後、常温まで冷却後、固形物を水中で崩壊させ、アルカリ分を溶出させ、ろ過分離後、水洗し、乾燥して、平面方向粒径が10.6μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。
(2)板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造
得られた板状ニッケル含有水酸化物粉末を、純水に添加してスラリー濃度50g/Lのスラリーを得た。このスラリーを、攪拌して粒子の沈降を防ぎつつ、温度を40℃と一定に保持しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の2.0倍量を投入し酸化した。酸化時間が20分間経過後に、水洗、ろ過及び乾燥して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末を得た。
その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。
その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例3)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、10.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。
その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例4)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、水酸化ナトリウムの代わりに、水酸化カリウムを用いたこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。
その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例5)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温を100℃に制御したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例6)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温を180℃に制御したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例7)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温が140℃に到達後3時間保持したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例8)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温が140℃に到達後48時間保持したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例9)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が500g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例10)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1000g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例11)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.2倍量であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例12)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の2.5倍量であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例13)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が5分であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例14)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が60分であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例15)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウムの代わりに次亜塩素酸カルシウムを用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例16)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、原料として、Ni0.95Mg0.05(OH)の組成からなるニッケル含有水酸化物粉末を用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例17)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を100℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例9と同様にして、平面方向粒径が3.4μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(実施例18)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温を180℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例9と同様にして、平面方向粒径が18.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が30g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(比較例2(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1500g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(比較例3(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.0倍量であったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(比較例4(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の3.0倍量を投入したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(比較例5)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を80℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例1と同様にして、平面方向粒径が2.0μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
(比較例6)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、5.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を220℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例1と同様にして、平面方向粒径が24.3μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0005568849
表1より、実施例1〜18では、板状ニッケル含有水酸化物の製造において、一般式:NiM(OH)(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)で表されるニッケル含有水酸化物を、アルカリ金属水酸化物水溶液中に懸濁させ、得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上保持した後、冷却し、得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、3〜20μmの平面方向粒径を有する板状ニッケル含有水酸化物を得たこと、並びに、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、前記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成し、該スラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得たことにより、本発明の製造方法に従って行なわれたので、3〜20μmの平面方向粒径を有する板状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末が得られ、従来法による球状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末に比べて圧縮密度が向上することが分かる。これにより、正極活物質の充填性が向上し、かつ電池容量も従来法による粉末に対し略同様かそれ以上に上昇することが分かる。
これに対して、比較例1〜6では、板状ニッケル含有水酸化物の製造において、加熱溶融の到達温度、或いは板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、スラリー濃度、次亜塩素酸ナトリウムの添加量のいずれかにおいて、これらの条件に合わないので、圧縮密度、電池容量のいずれかによって満足すべき結果が得られないことが分かる。
(実施例19)
予め湿式法で製造した、一般式:Ni0.95Mn0.05(OH)の組成で表されるニッケル含有水酸化物粉末を原料として用いて、板状ニッケル含有水酸化物を製造し、これを用いて板状ニッケル含有オキシ水酸化物を製造した。
(1)板状ニッケル含有水酸化物の製造
テフロン(登録商標)コーティングしたステンレス容器からなる反応槽内で、前記ニッケル含有水酸化物粉末1モルを、2.5モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液200mL中に懸濁させて、攪拌した。次いで、加熱昇温し、反応槽内の物温を140℃に制御し、到達後10時間保持した。その後、常温まで冷却後、固形物を水中で崩壊させ、アルカリ分を溶出させ、ろ過分離後、水洗し、乾燥して、平面方向粒径が9.6μm、及び厚みが5.3μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。
(2)板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造
得られた板状ニッケル含有水酸化物粉末を、純水に添加してスラリー濃度50g/Lのスラリーを得た。このスラリーを、攪拌して粒子の沈降を防ぎつつ、温度を40℃と一定に保持しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の2.0倍量を投入し酸化した。酸化時間が20分間経過後に、水洗、ろ過及び乾燥して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末を得た。
その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例20)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.01モルの塩化ナトリウムを用いたこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例21)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.2モルの塩化ナトリウムを用いたこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例22)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が500g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例23)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1000g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例24)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.2倍量であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例25)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の2.5倍量であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例26)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が5分であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例27)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が60分であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例28)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウムの代わりに次亜塩素酸カルシウムを用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例29)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、原料として、Ni0.95Mg0.05(OH)の組成からなるニッケル含有水酸化物粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例30)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.05モルの塩化ナトリウムを用いたこと、及び反応槽内の物温を100℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が3.5μm、及び厚みが2.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例31)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.18モルの塩化ナトリウムを用いたこと、及び反応槽内の物温を100℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が18.1μm、及び厚みが7.8μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(比較例7(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が30g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(比較例8(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1500g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(比較例9(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.0倍量であったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(比較例10(参考例)
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の3.0倍量であったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(比較例11)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を80℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が2.1μm、及び厚みが1.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
(比較例12)
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、5.0モルの水酸化ナトリウムと同時に0.3モルの塩化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を80℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が2.1μm、及び厚みが1.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005568849
表2より、実施例19〜31では、板状ニッケル含有水酸化物の製造において、一般式:NiM(OH)(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)で表されるニッケル含有水酸化物を、アルカリ金属水酸化物と無機塩化物を含む水溶液中に懸濁させ、得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上保持した後、冷却し、得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、3〜20μmの平面方向粒径と1〜8μmの厚みを有する板状ニッケル含有水酸化物を得たこと、並びに、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、前記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成し、該スラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得たことにより、本発明の製造方法に従って行なわれたので、3〜20μmの平面方向粒径と1〜8μmの厚みを有する板状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末が得られ、従来法による球状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末に比べて圧縮密度が向上することが分かる。これにより、正極活物質の充填性が向上し、かつ電池容量も従来法による粉末に対し略同様かそれ以上に上昇することが分かる。
これに対して、比較例7〜12では、板状ニッケル含有水酸化物の製造において、加熱溶融の到達温度、或いは板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、スラリー濃度、次亜塩素酸ナトリウムの添加量のいずれかにおいて、これらの条件に合わないので、圧縮密度、電池容量のいずれかによって満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明により、一般式:NiM(OH)(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)で表される板状ニッケル含有水酸化物であって、平面方向粒径が3〜20μmであり、かつ必要により厚みが1〜8μmである板状ニッケル含有水酸化物を効率よく製造することができ、さらに、上記板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いて、高い充填性を有し、単位体積あたりの容量が高い高容量の電池が得られる板状ニッケル含有オキシ水酸化物を効率よく製造することができるので、特に小型電子機器分野で利用される一次電池の正極活物質として好適である。

Claims (7)

  1. 下記の工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする板状ニッケル含有水酸化物の製造方法。
    工程(A):次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、該ニッケル含有水酸化物1モル当たり、1.0〜10モルのアルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、該アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する。
    一般式(1):NiM(OH)
    (式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
    工程(B):得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上溶融塩状態で保持した後、冷却して固形物を得る。
    工程(C):得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る。
  2. 前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムから選ばれる少なくとも1種であり、前記無機塩化物は、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、塩化ニッケル、又は塩化ニッケル以外の遷移金属塩化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法。
  3. 前記無機塩化物の混合割合は、ニッケル含有水酸化物1モル当たり、塩素換算で0.01〜0.20モルであることを特徴とする請求項2に記載の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られ、平面方向粒径が3〜20μmであり、下記の一般式(1)で表される板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いる、下記の工程(D)、(E)を含むことを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法。
    一般式(1):NiM(OH)
    (式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
    工程(D):前記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する。
    工程(E):形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る。
  5. 前記工程(E)において、酸化時の反応温度は、20℃〜60℃であることを特徴とする請求項4に記載の板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法。
  6. 前記工程(E)において、酸化時の反応時間は、5分以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法で得られる、下記の一般式(2)で表される板状ニッケル含有オキシ水酸化物であって、
    平面方向粒径が3〜20μmであることを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物。
    一般式(2):NiMOOH
    (式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
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