JP5568849B2 - 板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法及びそれを用いた板状ニッケル含有オキシ水酸化物とその製造方法 - Google Patents
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Description
工程(A):次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、該ニッケル含有水酸化物1モル当たり、1.0〜10モルのアルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、該アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(B):得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上溶融塩状態で保持した後、冷却して固形物を得る。
工程(C):得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(D):前記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する。
工程(E):形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る。
平面方向粒径が3〜20μmであることを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物が提供される。
一般式(2):NiMOOH
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
1.板状ニッケル含有水酸化物とその製造方法
本発明の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法は、下記の工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする。
工程(A):次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(B):得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上保持した後、冷却して固形物を得る。
工程(C):得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る。
すなわち、前記混合物は、比較的低温で溶融塩を形成する強アルカリ性物質であるアルカリ金属水酸化物の水溶液中にニッケル含有水酸化物粒子を懸濁したスラリーを形成しているので、これを加熱昇温する際、昇温するにともない水が蒸発し、のり状となり、さらに昇温されると溶融塩状態となる。このとき、ニッケル含有水酸化物粒子は、溶融塩中で結晶崩壊して一次粒子の状態まで完全に崩れる。その後、所定の保持温度に到達すると、一次粒子の溶解・再析出が起こり、一次粒子は、板状ニッケル含有水酸化物へと形状を変える。これにより、平面方向粒径が3〜20μmである一次粒子体の板状ニッケル含有水酸化物が得られる。さらに、無機塩化物を含む混合物では、得られる板状ニッケル含有水酸化物粒子の厚みが制御されるので、平面方向粒径が3〜20μmであり、かつ厚みが1〜8μmである板状ニッケル含有水酸化物が得られる。
これに対し、湿式法による水酸化ニッケルの製造方法としては、例えば、所望の組成になるようニッケル塩を主体とした水溶液、アンミン錯塩を形成させるアンモニア水、及びpH調整用の水酸化ナトリウムを、反応槽中に滴下する晶析法により製造するのが主流であるが、これにより製造された粒子は、サブミクロンの一次粒子からなる集合二次粒子体であり、しかも形状としては、球状又は塊状の粒子である。
上記工程(A)は、次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する工程である。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
また、その形状としては、特に限定されるものではなく、形状に関わらず用いることができる。例えば、前述したように、湿式法による製造方法で一般的に得られる球状又は塊状の粒子が用いられる。
上記工程(A)で用いる無機塩化物としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、塩化ニッケル、又は塩化ニッケル以外の遷移金属塩化物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記工程(B)は、工程(A)で得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上保持した後、冷却して固形物を得る工程である。
上記工程(B)において、混合物を加熱昇温するにともない、水が蒸発し、のり状となり、さらに昇温されると溶融塩状態となる。
上記工程(C)は、工程(B)で得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る工程である。
上記工程(C)において、工程(B)で固形物の温度が100℃以下に低下したとき、固形物を水中に投じ、アルカリ分を溶解させて板状ニッケル含有水酸化物を分離回収することができる。しかしながら、この操作は、極めて激しい発熱反応となるため、常温まで放置し、多量の水を用いてアルカリ分を溶解させることが安全上好ましい。
上記アルカリ分の溶解後、得られた板状ニッケル含有水酸化物は、さらに、水洗浄し、乾燥して、板状ニッケル含有水酸化物粉末として回収される。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
本発明の板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法は、下記の工程(D)、(E)を含むことを特徴とする。
工程(D):請求項4に記載された板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する。
工程(E):形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る。
上記工程(D)は、上記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する工程である。
ここで、前記スラリー濃度が50g/L未満では、次工程(E)で添加する酸化剤が薄まりすぎてしまい、その酸化力が不足する。一方、前記スラリー濃度が1000g/Lを超えると、スラリー自体の粘性が非常に高くなるため、添加した酸化剤が拡散しにくく酸化が不均一になる。
上記工程(E)は、工程(D)で形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る工程である。
反応式(2):4Ni(OH)2+Ca(OCl)2→4NiOOH+CaCl2+2H2O
また、上記酸化時の反応時間としては、特に限定されるものではないが、5分以上であることが好ましく、20分以上がより好ましい。すなわち、前記反応時間が5分未満では、反応が十分完結せず、未反応のニッケル含有水酸化物が残る場合がある。
一般式(2):NiMOOH
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
従って、本発明の板状ニッケル含有オキシ水酸化物を一次電池の正極材料として用いれば、プレス加工時の圧縮密度が上昇して、充填性が向上し、かつ単位体積あたりの容量の高い電池を得ることができる。
(1)化学組成の測定:ICP発光分析法で行い、組成を一般式で表した。
(2)平面方向粒径および厚みの測定:SEM(走査型電子顕微鏡)写真で任意に選択された粒子50個の平均値を算出した。
(3)平均二次粒子径の測定:動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装製、ナノトラック UPA−EX150)で測定した。
(4)圧縮密度の測定:1000kg/cm2でプレスした後、密度測定を行った。
まず、一般式:Ni0.95Mn0.05(OH)2で表される組成になるように硫酸ニッケルと硫酸マンガンを混合した水溶液、アンミン錯塩を形成させるアンモニア水、及びpH調整用に苛性ソーダを反応槽中に滴下する晶析法により、反応温度を50℃を保ちつつ、pH11で保持し、滞留時間8時間となるように制御して、球状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。次いで、得られた板状ニッケル含有水酸化物粉末を、純水に添加してスラリー濃度50g/Lのスラリーを得た。このスラリーを、攪拌して粒子の沈降を防ぎつつ、温度を40℃と一定に保持しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の2.0倍量を投入した。20分間経過後に、水洗、ろ過及び乾燥して、球状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末を得た。得られた粉末の、化学組成、平均二次粒子径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1、2に示す。
予め湿式法で製造した、一般式:Ni0.95Mn0.05(OH)2の組成で表されるニッケル含有水酸化物粉末を原料として用いて、板状ニッケル含有水酸化物を製造し、これを用いて板状ニッケル含有オキシ水酸化物を製造した。
(1)板状ニッケル含有水酸化物の製造
テフロン(登録商標)コーティングしたステンレス容器からなる反応槽内で、前記ニッケル含有水酸化物粉末1モルを、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液200mL中に懸濁させて、攪拌した。次いで、加熱昇温し、反応槽内の物温を140℃に制御し、到達後10時間保持した。その後、常温まで冷却後、固形物を水中で崩壊させ、アルカリ分を溶出させ、ろ過分離後、水洗し、乾燥して、平面方向粒径が10.6μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。
得られた板状ニッケル含有水酸化物粉末を、純水に添加してスラリー濃度50g/Lのスラリーを得た。このスラリーを、攪拌して粒子の沈降を防ぎつつ、温度を40℃と一定に保持しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の2.0倍量を投入し酸化した。酸化時間が20分間経過後に、水洗、ろ過及び乾燥して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末を得た。
その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。
その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、10.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。
その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、水酸化ナトリウムの代わりに、水酸化カリウムを用いたこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。
その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温を100℃に制御したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温を180℃に制御したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温が140℃に到達後3時間保持したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温が140℃に到達後48時間保持したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が500g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1000g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.2倍量であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の2.5倍量であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が5分であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が60分であったこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウムの代わりに次亜塩素酸カルシウムを用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、原料として、Ni0.95Mg0.05(OH)2の組成からなるニッケル含有水酸化物粉末を用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を100℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例9と同様にして、平面方向粒径が3.4μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、反応槽内の物温を180℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例9と同様にして、平面方向粒径が18.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例9と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が30g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1500g/Lであったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.0倍量であったこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の3.0倍量を投入したこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を80℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例1と同様にして、平面方向粒径が2.0μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、5.0モルの水酸化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を220℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例1と同様にして、平面方向粒径が24.3μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表1に示す。
予め湿式法で製造した、一般式:Ni0.95Mn0.05(OH)2の組成で表されるニッケル含有水酸化物粉末を原料として用いて、板状ニッケル含有水酸化物を製造し、これを用いて板状ニッケル含有オキシ水酸化物を製造した。
(1)板状ニッケル含有水酸化物の製造
テフロン(登録商標)コーティングしたステンレス容器からなる反応槽内で、前記ニッケル含有水酸化物粉末1モルを、2.5モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液200mL中に懸濁させて、攪拌した。次いで、加熱昇温し、反応槽内の物温を140℃に制御し、到達後10時間保持した。その後、常温まで冷却後、固形物を水中で崩壊させ、アルカリ分を溶出させ、ろ過分離後、水洗し、乾燥して、平面方向粒径が9.6μm、及び厚みが5.3μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。
得られた板状ニッケル含有水酸化物粉末を、純水に添加してスラリー濃度50g/Lのスラリーを得た。このスラリーを、攪拌して粒子の沈降を防ぎつつ、温度を40℃と一定に保持しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記反応式(1)の化学当量の2.0倍量を投入し酸化した。酸化時間が20分間経過後に、水洗、ろ過及び乾燥して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物粉末を得た。
その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.01モルの塩化ナトリウムを用いたこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.2モルの塩化ナトリウムを用いたこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が500g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1000g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.2倍量であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の2.5倍量であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が5分であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、酸化時間が60分であったこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウムの代わりに次亜塩素酸カルシウムを用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、原料として、Ni0.95Mg0.05(OH)2の組成からなるニッケル含有水酸化物粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.05モルの塩化ナトリウムを用いたこと、及び反応槽内の物温を100℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が3.5μm、及び厚みが2.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、0.1モルの塩化ナトリウムの代わりに、0.18モルの塩化ナトリウムを用いたこと、及び反応槽内の物温を100℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が18.1μm、及び厚みが7.8μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が30g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、板状ニッケル含有水酸化物粉末のスラリー濃度が1500g/Lであったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の1.0倍量であったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の投入量が上記反応式(1)の化学当量の3.0倍量であったこと以外は実施例19と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、1.0モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を80℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が2.1μm、及び厚みが1.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
板状ニッケル含有水酸化物の製造において、2.5モルの水酸化ナトリウムと同時に0.1モルの塩化ナトリウムを含む水溶液の代わりに、5.0モルの水酸化ナトリウムと同時に0.3モルの塩化ナトリウムを含む水溶液を用いたこと、及び反応槽内の物温を80℃に制御し、到達後5時間保持したこと以外は実施例22と同様にして、平面方向粒径が2.1μm、及び厚みが1.1μmの板状ニッケル含有水酸化物粉末を製造した。続いて、板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造において、この粉末を用いたこと以外は実施例22と同様にして板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得た。その後、得られた粉末の化学組成、平面方向粒径、厚み、圧縮密度、及び電池容量を求めた。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 下記の工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする板状ニッケル含有水酸化物の製造方法。
工程(A):次の一般式(1)で表されるニッケル含有水酸化物、該ニッケル含有水酸化物1モル当たり、1.0〜10モルのアルカリ金属水酸化物及び水、或いは該ニッケル含有水酸化物、該アルカリ金属水酸化物、無機塩化物及び水を混合する。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(B):得られた混合物を加熱溶融し、100〜180℃の温度で3時間以上溶融塩状態で保持した後、冷却して固形物を得る。
工程(C):得られた固形物を水と接触させ、溶解成分を除去して、板状ニッケル含有水酸化物を得る。 - 前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムから選ばれる少なくとも1種であり、前記無機塩化物は、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、塩化ニッケル、又は塩化ニッケル以外の遷移金属塩化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法。
- 前記無機塩化物の混合割合は、ニッケル含有水酸化物1モル当たり、塩素換算で0.01〜0.20モルであることを特徴とする請求項2に記載の板状ニッケル含有水酸化物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られ、平面方向粒径が3〜20μmであり、下記の一般式(1)で表される板状ニッケル含有水酸化物を原料として用いる、下記の工程(D)、(E)を含むことを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法。
一般式(1):NiM(OH)2
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
工程(D):前記板状ニッケル含有水酸化物を水に添加し、スラリー濃度が50〜1000g/Lのスラリーを形成する。
工程(E):形成されたスラリーに、板状ニッケル含有水酸化物中の2価のニッケルを3価に酸化するために必要な化学当量の1.2〜2.5倍量に当たる次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムを含む水溶液を添加して、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化し、板状ニッケル含有オキシ水酸化物スラリーを形成した後、固液分離して、板状ニッケル含有オキシ水酸化物を得る。 - 前記工程(E)において、酸化時の反応温度は、20℃〜60℃であることを特徴とする請求項4に記載の板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法。
- 前記工程(E)において、酸化時の反応時間は、5分以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の板状ニッケル含有オキシ水酸化物の製造方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法で得られる、下記の一般式(2)で表される板状ニッケル含有オキシ水酸化物であって、
平面方向粒径が3〜20μmであることを特徴とする板状ニッケル含有オキシ水酸化物。
一般式(2):NiMOOH
(式中、Mは、Mn、又はアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
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