JP5562271B2 - ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法 - Google Patents
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(1) ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法であって、
脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上を骨格として有するポリイソシアネート(a)に、式(I)で示されるマロン酸ジエステル(b)を、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基に対し75−150モル%添加し、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基とマロン酸ジエステル(b)とを反応させる第1工程、
第1工程で得られた生成物と式(II)で示される有機アミン化合物(c)の1種又は2種以上とを反応させてブロックポリイソシアネート組成物Dを得る第2工程、並びに、
酸解離定数(PKa)が7.0〜8.5である塩基性化合物(e)を、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対して10モル%以上添加する第3工程(ここで、ブロックイソシアネート基のモル数は、前駆体であるポリイソシアネート由来のイソシアネート基を基準としたモル数を示す。)を含む、上記方法。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜8個のアルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、R1とR2は同一でも、異なっていてもよい。)
(式中、R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、エーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい炭素数1〜30個の炭化水素基であって、R3及びR4は、互いに結合して5員または6員環のシクロアルキル基を形成するか、または、R3とR4に挟まれた窒素原子と共に、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含有してもよい3員、4員、5員または6員環を形成することができる。)
(2) 第1工程が、ポリイソシアネート(a)と、マロン酸ジエステル(b)及び活性水素含有親水性化合物(d)とを、マロン酸ジエステル(b)及び活性水素含有親水性化合物(d)の合計量としてポリイソシアネートのイソシアネート基に対し77−150モル%添加し、ポリイソシアネート(a)と、マロン酸ジエステル(b)及び活性水素含有親水性化合物(d)とを反応させる工程であり、かつ、
第3工程が、酸解離定数(PKa)が7.0〜8.5である塩基性化合物(e)を、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対して10モル%以上添加する工程である(ここで、ブロックイソシアネート基のモル数は、前駆体であるポリイソシアネートのイソシアネート基のうち、活性水素含有親水性化合物の活性水素基との反応分を除いたイソシアネート基を基準としたモル数を示す。)、上記(1)項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
(3) 第1工程が、ポリイソシアネート(a)と活性水素含有親水性化合物(d)との反応後に、マロン酸ジエステル(b)を反応させる工程である、上記(2)項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
(4) 第2工程において、有機アミン化合物(c)の1種又は2種以上をポリイソシアネート(a)のイソシアネート基に対し50−500モル%添加し、第1工程で得られた生成物と反応させる、上記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
(5) 第2工程と第3工程の間に、第4工程として有機アミン化合物(c)の除去精製を行う、上記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
(6) 第4工程で、有機アミン化合物(c)、及び第1工程の生成物のエステル基と有機アミン化合物の反応により解離したアルコール化合物の除去精製を行う、上記(5)項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
まず、本発明の方法によって製造されるブロックポリイソシアネート組成物の構成について、説明する。
当該ブロックポリイソシアネート組成物の製造中間体であるブロックポリイソシアネート組成物Dは、下記式(III)により表すことができるブロックポリイソシアネートを含むと推定される。
式中、Rは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートから選ばれる1種又は2種以上から形成されたポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基である。
イソシアネート基平均数は以下の数式により求められる。
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、
(3)アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、
(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、
(6)マンニッヒ塩基類、
(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、
(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
式(IV)は、ケト体を示しているが、ケト−エノール互変異性体であるエノール体群も含む。例えば、メチン基のプロトンがアミド基側でエノール体となった構造や、エステル基側でエノール体となった構造も含む。この場合のケト体の組成比は、50%以上であることが好ましく、更に好ましくは75%以上であり、より好ましくは90%以上である。
独立構造の場合の式(IV)中のR3、R4は、同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30個の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい炭化水素基である。その中でも、R3、R4は、炭素数1〜8個の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは、炭素数3〜6の分岐アルキル基であることが好ましく、さらに好ましくは、炭素数3〜4の分岐アルキル基であり、最も好ましくは、イソプロピル基である。R3、R4が含んでもいい好ましい置換基としては、エーテル結合、エステル結合が挙げられる。R3、R4が、炭素数30以下のアルキル基であることによって、有効NCO%の低下を抑制し、塗料とした時の主剤等との相溶性を高く保つことができる。
連結構造の場合の式(IV)中の(R3)(R4)N−部分は、以下に示す窒素原子を含む環状二級アミンの活性水素を除く残基である。具体的な環状二級アミンとしては、2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンのようなアザビシクロ系化合物、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、2−メチルピロリジン、3−ピロリジオール、2−ピロリドン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、4−ベンジルピペリジン、2,4−ジメチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、3−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジノール、2−ピペリドン、4−ピペリドン、4−ピペリジンカルボン酸メチルエステル、4−ピペリジンカルボン酸エチルエステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドン、4−ピペリジノピペリジン、デカヒドロキノリン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−アリルピペラジン、N−イソブチルピペラジン、N−シクロヘキシルピペラジン、N−シクロペンチルピペラジン、N−フェニルピペラジン、1−(2−ピリジル)ピペラジン、1−(4−ピリジル)ピペラジン、1−(2−ピリミジル)ピペラジン、N−メチルホモピペラジン、N−アセチルホモピペラジン、N−ブチリルホモピペラジン、オキサゾリジン、モルホリン、イミダゾリジン、2−イミダゾリドン、ヒダントイン、1−メチルヒダントイン、5−メチルヒダントイン、クレアチニン、パラバン酸、ウラゾール、チアゾリジン、チアルジンのような飽和環状二級アミン、ピロール、2−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、3,4−ジメチルピロール、2−アセチルピロール、2−ピロールカルボン酸、インドール、3H−インドール、3−メチルインドール、2−フェニルインドール、3−ヒドロキシルインドール、3−インドール酢酸、インドリン、2−インドリノン、イサチン、α−シサチンオキシム、イソインドール、イソインドリン、1−イソインドリノン、カルバゾール、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、9−アクリドン、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾロン、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラゾール、プリン、キサンチン、フェノキサジン、無水イサト酸、ベンゾチアゾリン、2−ベンゾチアゾロン、フェノチアジン、5,10−ジヒドロフェナジン、β−カルボリン、ペリミジンのような芳香族二級アミン、2−ピロリン、3−ピロリン、ジヒドロピリジン、2−ピラゾリン、5−ピラゾロン、2−イミダゾリン、4H−1,4−オキサジン、4H−1,4−チアジン、2H,6H−1,5,2−ジチアジンのような不飽和結合含有環状二級アミン等が挙げられる。
式(V)中、R6、R7、R8、R9は、各々独立して水素あるいはメチル基を示し、かつ、そのうち少なくとも1つはメチル基である。
すなわち、式(IV)右端のアミノ基の窒素原子上のアルキル置換基において、窒素原子と隣接する炭素原子の少なくとも1つが2個以上の炭素原子と結合していることが好ましい。
R11、R12は、同じでも異なっていてもよく、水素、あるいは炭素数1〜30個の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい炭化水素基であり、任意にR11、R12は一緒になって5員または6員のシクロアルキル基を形成するか、またはR11とR12に挟まれた窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含んでもよい3員、4員、5員または6員環を形成することができる。)
本発明の製造方法によって得られると推定される式(III)中の置換基Aにおける式(VI)に示されるブロックポリイソシアネートの含有量は、低温硬化性を維持しつつ、結晶化を抑制する観点から、50質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、最も好ましくは10質量%以下である。
式(VII)におけるR5は、活性水素含有化合物の活性水素を除く残基である。
(1)メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどの脂肪族アルコール類、
(2)アルキルフェノール系;炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノおよびジアルキルフェノール類であって、例えばn−プロピルフェノール、i−プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類、
(3)フェノール系;フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等、
(5)メルカプタン系;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等、
(6)酸アミド系;アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等、
(7)酸イミド系;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等、
(8)イミダゾール系;イミダゾール、2−メチルイミダゾール等、
(9)尿素系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等、
(10)オキシム系;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等、
(11)アミン系;ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−ブチルアミン)、ジ(t−ブチル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブチルシクロヘキシルアミン、2−メチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等、
(12)イミン系;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等、
(13)ピラゾール系;ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等がある。
式(IX)におけるR10は、活性水素含有親水性化合物の活性水素を除く残基である。
従って、モノアルコキシポリエチレングリコールの中でも、モノメトキシポリエチレングリコール、モノエトキシポリエチレングリコールが好ましく、モノメトキシポリエチレングリコールが最も好ましい。
活性水素含有親水性化合物として用いられるこれらのポリエチレン系グリコール化合物の中でも、数平均分子量200〜2000の片末端に炭素数1〜4のモノアルコールが付加したポリエチレングリコール系化合物が特に好ましい。
なお、ブロックポリイソシアネート組成物Dは、一部イソシアネート基が残存しているものも含まれる。残存イソシアネート基の好ましい量は、使用目的により異なるが、ポリオール等と配合し、1液塗料組成物として使用する場合には、貯蔵安定性確保のため、ブロック化前のイソシアネート基のうち20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることが更に好ましく、より好ましくは、5モル%以下であり、最も好ましくは残存イソシアネート基が存在しないことである。
この製造方法は、式(III)(又は式(VIII))中のRの源となるポリイソシアネート(a)に、式(I)で示されるマロン酸ジエステル(b)を、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基に対し75−150モル%添加し、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基とマロン酸ジエステル(b)とを反応させる第1工程、第1工程で得られた生成物と式(II)で示される有機アミン化合物(c)の1種又は2種以上とを反応させてブロックポリイソシアネート組成物Dを得る第2工程、並びに、酸解離定数(PKa)が7.0〜8.5である塩基性化合物(e)を、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対して10モル%以上添加する第3工程(ここで、ブロックイソシアネート基のモル数は、前駆体であるポリイソシアネート由来のイソシアネート基を基準としたモル数を示す。)を含む方法である。
ここで、第1工程において、式(VIII)に示される置換基Cを導入する場合には、活性水素含有親水性化合物(d)との反応を行う工程も第1工程に含まれる。その場合、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基と活性水素含有親水性化合物(d)との反応、マロン酸ジエステル(b)との反応を同時に行うこともできるし、あらかじめどちらかの反応を行った後に、2つ目の反応を実施することもできる。その中でも、イソシアネート基と活性水素含有親水性化合物(d)とを反応させた後に、マロン酸ジエステル(b)と反応させることが好ましい。
また、第1工程において、式(VIII)の置換基Cを導入する場合、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基に対し、活性水素含有親水性化合物(d)と式(I)で示されるマロン酸ジエステル(b)の合計量は、77〜150モル%である。上記割合の下限値としては、90モル%であることがより好ましく、さらに好ましくは、95モル%であり、最も好ましくは、100モル%である。上記割合の上限値としては、130モル%がより好ましく、さらに好ましくは、120モル%であり、最も好ましくは110モル%である。上記化合物の合計量の割合が77モル%以上であることによって、組成物の低温硬化性の悪化を防止することができる。また、上記化合物の合計の割合が150モル%以下であることによって、焼付塗膜の耐水性等の塗膜物性に対する悪影響を抑制することができる。第1工程において用いられる活性水素含有親水性化合物は、水系塗料における配合性を高める機能を有する。
第1工程の反応に際しては、反応触媒を使用することができる。具体的な反応触媒としては、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、金属アルコラート、及び3級アミン等が挙げられる。
第2工程で使用する有機アミン(c)は、第1工程後のポリイソシアネートとマロン酸ジエステル(b)との反応生成物のエステル部との反応を主目的として、添加している。しかしながら、第1工程後にイソシアネート基が残存している場合は、残存イソシアネート基と第2工程で用いる有機アミン(c)が反応しても構わない。その場合、式(III)(又は式(VIII))における置換基Bとなる。
また、第1工程でポリイソシアネート(a)におけるイソシアネート基に対するマロン酸ジエステル(b)が100モル%を超える量添加された場合には、第1工程終了後に、マロン酸ジエステル(b)が残存する。その場合、第一工程後に残存するマロン酸ジエステル(b)と第2工程で添加した有機アミン化合物(c)との反応物であるマロン酸モノエステルモノアミドあるいはマロン酸ジアミドを、一部含んでいても構わない。
式(XI)中、R6、R7、R8、R9は、各々独立して水素あるいはメチル基を示し、かつ、そのうち少なくとも1つはメチル基である。
すなわち、有機アミン化合物(c)としては、上記式(II)における窒素原子上のアルキル置換基において、窒素原子と隣接する炭素原子の少なくとも1つが2個以上の炭素原子と結合していることが、好ましい。
第2工程の反応も、第1工程と同様、一般に−20〜150℃で行うことができるが、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは40〜80℃である。150℃以下で反応を行うことによって副反応を抑制することができ、また、−20℃以上で反応を行うことによって反応速度を高く維持することができる。
溶剤系塗料として使用した場合の湿気安定性、また、水系塗料として使用した場合の貯蔵安定性(ガス発生量抑制、塗液pH変化抑制)を向上させるため、上記第2工程の反応後に残存した有機アミン化合物(c)は、例えば、減圧下20〜80℃加熱することによる除去精製等を実施し、残存量を低減させることが好ましい。有機アミン化合物(c)の残存量としては、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対し、100モル%以下が好ましく、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、最も好ましくは10モル%以下である。この場合のブロックイソシアネート基のモル数は、式(III)については、前駆体であるポリイソシアネート由来のイソシアネート基を基準としたモル数を示し、式(VIII)については、前駆体であるポリイソシアネートのイソシアネート基のうち、活性水素含有親水性化合物の活性水素基との反応分を除いたイソシアネート基を基準としたモル数を示す。
また、第1工程で生成したポリイソシアネートとマロン酸ジエステルの反応生成物のエステル基と有機アミン化合物の反応により解離したアルコール化合物についても、溶剤系塗料として使用した場合の湿気安定性、また、水系塗料として使用した場合の貯蔵安定性(ガス発生量抑制、塗液pH変化抑制)を向上させるためには、残存した有機アミン化合物と同様、残存量を低減させることが好ましい。当該アルコール化合物の残存量としては、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対し、80モル%以下が好ましく、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、最も好ましくは10モル%以下である。
(1)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど、
(2)エリスリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等糖アルコール系化合物、
(3)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
(4)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオースなどの二糖類、
(5)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類、
(6)スタキオースなどの四糖類等が挙げられる。
ポリウレタンポリオールは、常法により、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得ることができる。カルボキシル基を含有しないポリオールとしては、低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール等が例示され、高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が例示される。
ポリアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10−テトラアザシクロデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等の環状ポリアミン類が挙げられる。
全塩基性組成物の添加量は、その塩基性基が、塗料中の各成分に存在する全酸性分100モル%に対し、30モル%以上であることが好ましい。下限値としては、さらに好ましくは50モル%であり、より好ましくは70モル%、最も好ましくは100モル%以上である。また、上限値としては、好ましくは500モル%であり、より好ましくは400モル%、さらに好ましくは300モル%である。
また、自動車の新車ラインの塗装のように、数層の塗液をウェットオンウェットで積層する場合、塗料組成物中あるいは硬化後の架橋塗膜中に有機アミン化合物が存在するため、下層あるいは上層の架橋反応の触媒として働く可能性もある。
(数平均分子量の測定)
ポリイソシアネートの数平均分子量は、下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−8120GPC(商品名)
カラム:東ソー(株)TSKgel SuperH1000(商品名)×1本
TSKgel SuperH2000(商品名)×1本
TSKgel SuperH3000(商品名)×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
装置:東ソー(株)HLC−8120GPC(商品名)
カラム:東ソー(株)TSKgel SuperHM−H(商品名)×2本
キャリアー:N,N−ジメチルホルムアミド
検出方法:示差屈折計
E型粘度計(トキメック社製VISCONIC ED型(商品名))を用いて、25℃で測定した。
ここでの有効NCO基質量%とは、ブロック化反応後のブロックポリイソシアネート組成物D中に存在する架橋反応に関与しうるブロックイソシアネート基量を定量化するものであって、ブロックポリイソシアネートにおけるA及びB由来のイソシアネート基の質量%として表し、以下の式により算出される。
{(ブロックポリイソシアネート組成物の固形分(質量%))×(反応に使用したポリイソシアネート質量×前駆体のポリイソシアネートのうちA及びBの部分構造の源となるイソシアネート基含有量%)}/(ブロック化反応後のブロックポリイソシアネート組成物の樹脂質量)
なお、溶剤等で希釈されている場合は、希釈された状態での値を記載する。
・zの組成比
活性水素含有親水性化合物の反応前後で、赤外スペクトル測定により、イソシアネート基の残存モル%を測定することにより算出した。
・x、yの組成比
p≠0の場合、有機アミン化合物は、残存するイソシアネート基と優先して反応するため、有機アミン化合物の反応分からその量も考慮する必要がある。そのため、x={(q×r)−p}、y=(100−(x+z))として算出した(p、q、rの定義は上述のとおり)。マロン酸ジエステル反応後のイソシアネート基残存モル%は反応液の赤外スペクトル測定より定量し、有機アミン化合物の反応率は、第2工程終了後に減少した有機アミン化合物の量をガスクロマトグラフ測定で定量することによって算出した。
装置:島津製作所製GC−14A(商品名)
カラム:島津ジーエルシー製DB−1(商品名)
なお、式(VI)に示される置換基を有するブロックポリイソシアネートは、第2工程の有機アミン2モル等量がマロン酸ジエステル部分1モル当量と反応することで生成しうる。しかし、モデル化合物での実験結果(イソシアネート成分として、n−ヘキシルイソシアネートを使用)から第2工程で有機アミンとして、2級アミンを使用した場合、おそらく立体障害から、ブロックポリイソシアネート全体の1質量%以下しか生成しないことがわかった。そこで、x/y比の算出には、式(VI)の置換基を有するブロックポリイソシアネートの生成は無視した。
また、第1工程で残存するマロン酸ジエステルと第2工程で添加する有機アミン化合物が反応しうる。しかし、上記のモデル実験例のガスクロマトグラフ測定により、マロン酸モノエステルモノアミド、マロン酸ジアミドの合計量が1質量%以下であることから、有機アミンとして2級アミンを使用した場合のx/yの算出には、この反応による有機アミンの減少は無視した。
以下の装置を用いた1H−NMR測定から、ブロックポリイソシアネートの構造特定を実施した。ケミカルシフト基準:テトラメチルシランを0ppmとした。
第1工程生成物であるイソシアネート基とマロン酸ジエステルとの反応物のケト体のメチンプロトンは、4.3ppm付近に、そのエノール体のプロトンは16.5ppm付近に観測された。また、第2工程後の生成物である式(IV)の置換基Aのケト体のメチンプロトンは、4.5ppm付近に、そのエノール体のプロトンが19.2ppm付近に観測された。これらのピークの積分値から、第2工程の反応比、ケト体とエノール体の存在比を確認した。
装置:日本電子製ECS−400(商品名)
溶剤:重クロロホルム
積算回数:128回
試料濃度:5質量%
ケミカルシフト基準:テトラメチルシランを0ppmとした。
作成した塗料溶液を乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、90℃で30分間焼付けし、硬化塗膜を得た。その硬化塗膜を焼付け後、20℃で1時間放置し、アセトン中に20℃、24時間浸漬後、未溶解部質量の浸漬前質量に対する値を計算した。ゲル分率が85%以上の場合を◎、80%以上85%未満の場合を○、70%以上80%未満の場合を○△、60%以上70%未満を△、50%以上60%未満の場合を×、50%未満の場合を××とした。
作成した塗料溶液を40℃、10日間貯蔵し、その後、乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、90℃で30分間焼付けし、硬化塗膜を得た。その硬化塗膜を焼付け後、20℃で1時間放置し、アセトン中に20℃、24時間浸漬後、未溶解部質量の浸漬前質量に対する値(貯蔵後ゲル分率)を計算した。貯蔵後ゲル分率が、貯蔵後ゲル分率/初期ゲル分率=0.90以上の場合を◎、0.85以上0.90未満の場合を○、0.80以上0.85未満の場合を△、0.75以上0.80未満の場合を×、0.75未満の場合を××とした。
塗液(水系塗料組成物)の配合時に、ジメチルエタノールアミンで塗液のpHを8.5に調整できるものを○、そのように調整できないものを×、さらにジメチルエタノールアミンを無添加の場合にも、得られた塗液のpHが9.0を超える場合を×にした。
初期塗液調製時の塗液pHを8.5に調整した。40℃、10日間貯蔵後の塗液pHの初期との差が0.2以内の場合を◎◎、0.2を超えて0.4以内の場合を◎、0.4を超えて0.6以内の場合を○、0.6を超えて0.9以内の場合を△、0.9を超えて1.2以内の場合を×、1.2を超える場合を××とした。
ブロックポリイソシアネート組成物を有効NCO基として30mmol分取り、そこに、全体の溶液の質量が200gとなるように水を添加し、試験溶液を得た。その溶液を内量300ccの三角フラスコに移し、そこに、シリコンゴム詮で固定したメスピペットの先を液面に浸漬させた状態で固定し、40℃のウォーターバスに入れて、メスピペットの液面の高さにより、ガス発生量を測定した。40℃、10日間貯蔵し、その期間に発生したガス(炭酸ガス)の量が4cc未満の場合を◎◎、4cc以上8cc未満の場合を◎、8cc以上16cc未満の場合を○、16cc以上24cc未満の場合を△、24cc以上32cc未満の場合を×、32cc以上の場合を××とした。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI:1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてトリメチルベンジルアンモニウム・ハイドロオキサイド0.1gを加えた。4時間後、反応液の転化率が38%になった時点でリン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーは薄膜蒸留により除去した。
得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は2,700mPa・s、イソシアネート基含有量は22.2質量%、数平均分子量は650、イソシアネート基平均数は3.4であった。その後、NMR測定により、イソシアヌレート結合の存在を確認した。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000質量部、3価アルコールであるトリメチロールプロパン(分子量134)22質量部を仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃で1時間保持しウレタン化を行った。その後反応液温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒トリメチルベンジルアンモニウム・ハイドロオキサイドを加え、転化率が48%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去した。
得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は25,000mPa・s、イソシアネート基含有量は19.9質量%、数平均分子量は1080、イソシアネート基平均数は5.1であった。その後、NMR測定により、ウレタン結合、アロファネート結合、イソシアヌレート結合の存在を確認した。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:700質量部、IPDI:300質量部、3価アルコールであるポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール「プラクセル303」(ダイセル化学の商品名:分子量300)30質量部を仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃で1時間保持しウレタン化を行った。その後反応液温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒トリメチルベンジルアンモニウム・ハイドロオキサイドを加え、転化率が42%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDI、IPDIを薄膜蒸留装置により除去した。
得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は60,000mPa・s、イソシアネート基含有量は18.9質量%、数平均分子量は900、イソシアネート基平均数は4.1であった。その後、NMR測定により、ウレタン結合、アロファネート結合、イソシアヌレート結合の存在を確認した。
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート100質量部(この場合のポリイソシアネートのイソシアネート基モル数を100とする)、数平均分子量400のモノメトキシポリエチレングリコール(日本油脂株式会社の商品名「ユニオックスM400」)42.3質量部(ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の20モル%に相当)、ジエチレングリコールジメチルエーテル107.1質量部を仕込み、80℃で6時間保持した。その後反応液温度を60℃に冷却し、マロン酸ジエチル72.0質量部(ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の85モル%に相当)、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液0.88質量部を添加し、4時間保持した後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86質量部を添加した。その後、ジイソプロピルアミン45.5質量部(ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の85モル%に相当)を添加し、反応液温度を70℃に昇温し、5時間保持した。この反応液をガスクロマトグラフで分析し、ジイソプロピルアミンの反応率が70%であることを確認した。その後、この反応液をナスフラスコに移し、エバポレーターを用いて、60℃、10hPaの減圧度で、30分間減圧留去を実施し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、残存するジイソプロピルアミンの量が2.1質量部(ブロックイソシアネート基に対し5モル%に相当)、残存するエタノールが1.0質量部(ブロックイソシアネート基に対し5モル%に相当)であることを確認した。N−エチルモルホリン24.2質量部(ブロックイソシアネート基に対し50モル%に相当)とジエチレングリコールジメチルエーテルを加え、固形分濃度60質量%のブロックポリイソシアネート組成物を得た。得られたブロックポリイソシアネート組成物の物性を表1に示す。
表1に示す成分及び割合を用いた以外は実施例1と同様に行った。得られたブロックポリイソシアネート組成物の物性を表1に示す。
表1中における*部の注解は、以下のとおりである。
*1 (各化合物のモル数)/(ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数)のモル%
*2 2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(城北化学工業の商品名)
*3 (消失したアミンのモル数)/(反応に添加したアミンのモル数)をGC分析から算出した値
*4 第1工程で生成したポリイソシアネートとマロン酸ジエステルの反応生成物のエステル基と有機アミン化合物の反応により解離したアルコール化合物の残存量
*5 ブロックイソシアネート基に対するモル%
*6 表1記載の配合物としての有効NCO基の質量%(計算値)
*7 <>内に記載の化合物の活性水素を除く残基
*8 DMDG:ジエチレングリコールジメチルエーテル
*9 ユニオックスM400(数平均分子量400のモノメトキシポリエチレングリコール:日本油脂株式会社の商品名(表中では「M400」))
*10 DEM:マロン酸ジエチル(R1:エチル基、R2:エチル基)
*11 DIPA:ジイソプロピルアミン(R3:イソプロピル基、R4:イソプロピル基)
*12 NEMO:N−エチルモルホリン Pka:7.7
*13 ユニオックスM550(数平均分子量550のモノメトキシポリエチレングリコール:日本油脂株式会社の商品名(表中では「M550」))
*14 DNBA:ジn−ブチルアミン(R3:n−ブチル基、R4:n−ブチル基)
*15 TEA:トリエタノールアミン Pka:7.8
*16 鎖状アミン化合物であるDNBAと窒素原子を含む環状アミン化合物である2,6−ジメチルピペリジン由来のR3、R4の混合
*17 ユニオックスM1000(数平均分子量1000のモノメトキシポリエチレングリコール:日本油脂株式会社の商品名(表中では「M1000」))
*18 DIPM:マロン酸ジイソプロピル(R1:イソプロピル基、R2:イソプロピル基)
*19 ECHA:N−エチルシクロヘキシルアミン(R3:エチル基、R4:シクロヘキシル基)
*20 NMMO:N−メチルモルホリン Pka:7.4
*21 N75BA(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型ポリイソシアネートの75%酢酸ブチル溶液:バイエル社の商品名)
*22 DMP:プロピレングリコールジメチルエーテル
*23 2MIM:2−メチルイミダゾール Pka:7.8
*24 ME20−100(ヘキサメチレンジイソシアネートとポリオールとのウレタン、アロファネート型ポリイソシアネート組成物:旭化成ケミカルズ株式会社の商品名)
*25 DMDP:ジプロピレングリコールジメチルエーテル
*26 MPG−081(数平均分子量680のモノメトキシポリエチレングリコール:日本乳化剤株式会社の商品名)
*27 DMM:マロン酸ジメチル(R1:メチル基、R2:メチル基)
*28 IM:イミダゾール Pka:7.0
*29 VESTANAT T1890E(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の70%酢酸ブチル溶液:エボニックデグサ社の商品名(表中では「T1890E」))
*30 MO:モルホリン Pka:8.4
*31 コロネートL(トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン体とのウレタン型ポリイソシアネート組成物の75%酢酸エチル溶液:日本ポリウレタン工業株式会社の商品名)
*32 HPA:ヒドロキシピバリン酸
*33 鎖状アミン化合物であるDIPAと窒素原子を含む環状アミン化合物である2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン由来のR3、R4の混合
*34 プラクセル205BA(2,2−ジメチロールブタン酸誘導体:ダイセル化学工業株式会社の商品名(表中では「205BA」))
*35 DMEA:ジメチルエタノールアミン Pka:9.4
*36 ピリジン Pka:5.4
主剤にアクリルエマルジョン(樹脂あたりの水酸基価40mgKOH/g、樹脂あたりの酸価13mgKOH/g、Tg20℃、数平均分子量100,000、樹脂分濃度42質量%、ジメチルエタノールアミンでpH8.5に調整済み)100質量部と、実施例1で得られたブロックポリイソシアネート組成物14.0質量部(ブロックポリイソシアネート組成物の有効NCO基のモル当量Aと主剤の水酸基モル当量Bとの比がA/B=0.5となるように配合)と、水30.0質量部とを配合した(塗料固形分35質量%になるように調整)。さらに、塗液のpHが8.5となるようにジメチルエタノールアミンを添加しながら、最終調整を行った。作成した塗料溶液を室温で2時間放置して塗液の外観を観察した後、乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、90℃で30分間焼付けし、初期ゲル分率を測定した。結果を表2に示した。この塗料の配合後、40℃で10日間貯蔵した後、上記と同様の方法で塗装し、貯蔵後のゲル分率を測定した。貯蔵後のゲル分率保持率の結果を表6に示した。さらに、40℃で10日間貯蔵後の塗液のpHを測定し、結果を表2に示した。
主剤にアクリルエマルジョン(樹脂あたりの水酸基価40mgKOH/g、樹脂あたりの酸価13mgKOH/g、Tg20℃、数平均分子量100,000、樹脂分濃度42質量%、ジメチルエタノールアミンでpH8.5に調整済み)100質量部と、比較例1で得られたブロックポリイソシアネート組成物8.6質量部(ブロックポリイソシアネート組成物の有効NCO基のモル当量Aと主剤の水酸基モル当量Bとの比がA/B=0.3となるように配合)と、水26.1質量部とを配合した(塗料固形分35質量%になるように調整)。この時点で塗液のpHを測定したところ、すでに9.6となっており、塗液のpHを8.5に調整することができなかった。作成した塗料溶液を室温で2時間放置して塗液の外観を観察した後、乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、90℃で30分間焼付けし、初期ゲル分率を測定した。結果を表2に示した。この塗料の配合後、40℃で10日間貯蔵した後、上記と同様の方法で塗装し、貯蔵後のゲル分率を測定した。貯蔵後のゲル分率保持率の結果を表2に示した。さらに、40℃で10日間貯蔵後の塗液のpHを測定し、結果を表2に示した。この場合のpH変化は、実施例13と同様に、初期値からの変化量として測定したが、初期値が異なる(8.5超である)ため、( )書きで示した。
表2に示す成分及び割合を用いた以外は実施例13と同様に行った。得られたブロックポリイソシアネート組成物の評価結果を表2に示す。
*13 アクリルエマルジョン
(樹脂分濃度42質量%、媒体:水、樹脂あたりの水酸基価40mgKOH/g、樹脂あたりの酸価13mgKOH/g、Tg20℃、数平均分子量100,000)
*14 アクリルポリオール
(樹脂分濃度60質量%、溶剤:DMDG、樹脂あたりの水酸基価80mgKOH/g、樹脂あたりの酸価47mgKOH/g、Tg30℃、数平均分子量7,400)
*15 ここで用いたブロックポリイソシアネート組成物は、以下のように製造した。すなわち、攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート100質量部(この場合のポリイソシアネートのイソシアネート基モル数を100とする)、数平均分子量400のモノメトキシポリエチレングリコール(日本油脂株式会社の商品名「ユニオックスM400」)42.3質量部(ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の20モル%に相当)、ジエチレングリコールジメチルエーテル117.1質量部を仕込み、80℃で6時間保持した。その後反応液温度を60℃に冷却し、マロン酸ジエチル72.0質量部(ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の85モル%に相当)、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液0.88質量部を添加し、4時間保持した後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86質量部を添加した。その後、ジイソプロピルアミン45.5質量部(ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の85モル%に相当)を添加し、反応液温度を70℃に昇温し、5時間保持した。この反応液をガスクロマトグラフで分析し、ジイソプロピルアミンの反応率が70%であることを確認した。その後、n−ブタノールを14.2質量部添加し、固形分濃度60質量%のブロックポリイソシアネート組成物を得た。
*16 塗液配合時のpHが8.5よりも高くなり、ジメチルエタノールアミンを用いてpHを8.5に調整できなかったため、pH変化測定の初期値を当該pH(8.5超)とし、結果を( )書きで示した。
Claims (6)
- ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法であって、
脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上を骨格として有するポリイソシアネート(a)に、式(I)で示されるマロン酸ジエステル(b)を、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基に対し75−150モル%添加し、ポリイソシアネート(a)のイソシアネート基とマロン酸ジエステル(b)とを反応させる第1工程、
第1工程で得られた生成物と式(II)で示される有機アミン化合物(c)の1種又は2種以上とを反応させてブロックポリイソシアネート組成物Dを得る第2工程、並びに、
酸解離定数(PKa)が7.0〜8.5である塩基性化合物(e)を、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対して10モル%以上添加する第3工程(ここで、ブロックイソシアネート基のモル数は、前駆体であるポリイソシアネート由来のイソシアネート基を基準としたモル数を示す。)を含む、上記方法。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜8個のアルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、R1とR2は同一でも、異なっていてもよい。)
(式中、R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、エーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい炭素数1〜30個の炭化水素基であって、R3及びR4は、互いに結合して5員または6員環のシクロアルキル基を形成するか、または、R3とR4に挟まれた窒素原子と共に、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含有してもよい3員、4員、5員または6員環を形成することができる。) - 第1工程が、ポリイソシアネート(a)と、マロン酸ジエステル(b)及び活性水素含有親水性化合物(d)とを、マロン酸ジエステル(b)及び活性水素含有親水性化合物(d)の合計量としてポリイソシアネートのイソシアネート基に対し77−150モル%添加し、ポリイソシアネート(a)と、マロン酸ジエステル(b)及び活性水素含有親水性化合物(d)とを反応させる工程であり、かつ、
第3工程が、酸解離定数(PKa)が7.0〜8.5である塩基性化合物(e)を、ブロックポリイソシアネート組成物Dのブロックイソシアネート基に対して10モル%以上添加する工程である(ここで、ブロックイソシアネート基のモル数は、前駆体であるポリイソシアネートのイソシアネート基のうち、活性水素含有親水性化合物の活性水素基との反応分を除いたイソシアネート基を基準としたモル数を示す。)、請求項1に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。 - 第1工程が、ポリイソシアネート(a)と活性水素含有親水性化合物(d)との反応後に、マロン酸ジエステル(b)を反応させる工程である、請求項2に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
- 第2工程において、有機アミン化合物(c)の1種又は2種以上をポリイソシアネート(a)のイソシアネート基に対し50−500モル%添加し、第1工程で得られた生成物と反応させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
- 第2工程と第3工程の間に、第4工程として有機アミン化合物(c)の除去精製を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
- 第4工程で、有機アミン化合物(c)、及び第1工程の生成物のエステル基と有機アミン化合物の反応により解離したアルコール化合物の除去精製を行う、請求項5に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
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