JP3947260B2 - 水性ブロックポリイソシアネート組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族、脂環族ジイソシアネートから得られる水性ブロックポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境、安全、衛生などの観点から水性塗料が注目されている。建築外装から産業製品、例えば、食缶用、コイルコーティング用等の工業塗料に使用されるようになってきた。更に、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性等の高度な品質が要求される自動車用一液性塗料に関する提案も多く、特開昭56−157358号公報、特開昭63−175079号公報、特開昭63−193968号公報等に水性塗料が開示されている。ここで用いられている硬化剤の多くはアルキルエーテル化メラミンである。
【0003】
また、イソシアネート架橋されるウレタン系塗料から得られる塗膜は、非常に優れた耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性を有している上に、イソシアネート成分として脂肪族・脂環族ジイソシアネートを原料とする無黄変ポリイソシアネートを用いることにより更に耐候性が優れ、その需要は増加している。
従って、イソシアネート架橋できる水性ウレタン系塗料の開発が盛んに行われている。ライン用塗料等の一液性が必要とされる場合は、通常、ポリイソシアネートのイソシアネート基は熱解離性ブロック剤で封鎖され、ブロックポリイソシアネートとして使用される。
【0004】
ブロックポリイソシアネートの水性化技術として、例えば、特開昭52−59657号公報ではブロックポリイソシアネートを水性化するために界面活性剤を使用している。特開昭56−151753号公報は炭素数7〜26の高級脂肪酸を含むポリエチレンオキサイドを使用し、かつ、ポリイソシアネートのイソシアネート基を重亜硫酸ソーダで封鎖することによりブロックポリイソシアネートの水性化を可能にしている。
【0005】
ポリイソシアネートに親水性基である特定のポリオキシエチレンを反応させ、親水成分の溶出を防ぎ、高速撹拌基等を用いて水性化する技術が、特開昭61−31422号公報に開示されている。
耐熱性のあるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートのブロック体を水性化する技術が、特開昭62−151419号公報、特開平2−3465号公報に開示されている。
【0006】
特開昭62−151419号公報では、ポリイソシアネートの一部にポリオキシエチレン基を付加させ、更にポリエチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体等の水溶性高分子化合物を混合している。
また、特開平2−3465号公報では、ヒドロキシカルボン酸により親水性を付与している。
【0007】
しかし、これらの水性ブロックポリイソシアネートを用いて架橋塗膜を形成する場合は、高温焼き付けが必要で、耐熱性のないプラスチック等への使用に制限があり、しかも、高温焼き付けは大きなエネルギーコストを必要とする。また、重亜硫酸ソーダで封鎖したブロックポリイソシアネートは低温硬化が可能であるが、耐候性に課題を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐候性が優れ、かつ、低温硬化性を有する水性ブロックポリイソシアネート及びそれを含む水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は下記の通りである。
(1)イソシアヌレート結合を有する脂肪族及び/または脂環族ブロックポリイソシアネート組成物であって、熱解離性ブロックイソシアネート基と非イオン性親水基を1分子内に併せ持ち、非イオン性親水基が数平均分子量200〜2,000のメタノール、エタノール、ブタノールのいずれかにエチレンオキサイドが付加したエチレンオキサイド付加物(ポリエーテル鎖単位)からなり、熱解離性ブロックイソシアネート基と非イオン性親水基をモル比98/2〜70/30の範囲で1分子内に併せ持ち、かつ、イソシアネート基の熱解離性ブロック剤が活性メチレン系化合物の少なくとも2種以上からなることを特徴とする低温硬化性の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
(2)活性メチレン系化合物が、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステルから選ばれる少なくとも2種以上である上記1記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
(3)1価アルコール系化合物を含む上記1または2記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
(4)水親和性ポリオールと上記1、2または3記載の水性ブロックポリイソシアネート
組成物を含む水性塗料組成物。
【0010】
以下、本発明につき詳述する。
本発明の水性ブロックイソシアネート組成物の前駆体であるポリイソシアネート組成物は、下記のようなジイソシアネートを主原料として得られる。
ジイソシアネートは、脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートである。脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることが出来る。なかでも、耐候性、工業的入手の容易さから、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HMDIと称す)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと称す)が好ましく、単独で使用しても、併用しても良い。
【0011】
本発明に用いるポリイソシアネート組成物は、1分子中にイソシアネート基を2〜20個有し、例えば、ビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレタン結合、アロファネート結合、オキサジアジントリオン結合等を形成することにより製造されたジイソシアネートの2〜20量体のオリゴマーである。
【0012】
ビウレット結合を有するポリイソシアネート組成物は、水、t−ブタノール、尿素などのいわゆるビウレット化剤とジイソシアネートを、ビウレット化剤/ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/2〜約1/100で反応させた後、未反応ジイソシアネートを除去精製し得られる。その具体例としては特開昭53−106797号公報、特開昭55−11452号公報、特開昭59−95259号公報などに記載がある。
【0013】
イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネート組成物は、例えば、触媒などにより環状3量化反応を行い、転化率が約5〜約80重量%になった時に反応を停止し、未反応ジイソシアネートを除去精製して得られる。この際に、1〜6価のアルコール化合物を併用することができる。その具体例としては、特開昭55−38380号公報、特開昭57−78460号公報、特開昭57−47321号公報、特開昭61−111371号公報、特開昭64−33115号公報、特開平2−250872号公報、特開平6−312969号公報等に記載がある。
【0014】
ウレタン結合を有するポリイソシアネート組成物は、例えば、トリメチロールプロパンなどの2〜6価のアルコール系化合物とジイソシアネートを、アルコール系化合物の水酸基/ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比が約1/2〜約1/100で反応させた後、未反応ジイソシアネートを除去精製し得られる。
【0015】
熱解離性ブロックイソシアネート基は、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基とブロック剤を反応させることにより得られる。
本発明に用いるブロック剤は活性メチレン系化合物であり、その具体例として、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン等がある。より具体的には、マロン酸ジエステルとしては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジ2−エチルヘキシル、マロン酸メチルn−ブチル、マロン酸エチルn−ブチル、マロン酸メチルsec−ブチル、マロン酸エチルsec−ブチル、マロン酸メチルt−ブチル、マロン酸エチルt−ブチル、メチルマロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ベンジルメチル、マロン酸エチルフェニル、マロン酸t−ブチルフェニル、イソプロピリデンマロネート等、アセト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸フェニル等がある。
【0016】
本発明においては、活性メチレン系化合物を少なくとも2種以上使用する。マロン酸ジエステル1種以上とアセト酢酸エステル1種以上を併用することが好ましい。その併用割合は、モル比でマロン酸ジエステル/アセト酢酸エステル=5/1〜1/5が好ましく、前記値が5/1を越えると、ブロックポリイソシアネートの結晶化が生ずる場合があり、1/5未満であると、塗膜の硬化時の黄変などを生ずる場合がある。特公昭58−3491号公報には、活性メチレン系化合物でブロックされた熱解離性ブロックイソシアネート基と非イオン性親水基を1分子内に併せ持つ水性ブロックポリイソシアネートの記載があるが、2種以上の活性メチレン系化合物を使用した効果の記載も示唆もない。
【0017】
ポリイソシアネート組成物とブロック剤との反応は、溶剤の存在の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いるのが好ましい。
ブロック化反応に際して、反応触媒を使用することもできる。具体的な反応触媒としては、一般に塩基性を有するものが好ましく、▲1▼例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、▲2▼例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば、酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、▲3▼アルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルキル金属塩、▲4▼例えば、ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、▲5▼例えば、ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、▲6▼マンニッヒ塩基類、▲7▼第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、▲8▼例えば、トリブチルホスフィン等の燐系化合物等がある。
【0018】
用いた反応触媒が塗料または塗膜物性に悪影響を及ぼす可能性がある場合は、該触媒を酸性化合物などで中和することが好ましい。この場合の酸性化合物としては、例えば、塩酸、亜燐酸、燐酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸エチルエステル等のスルホン酸またはその誘導体、燐酸エチル、燐酸ジエチル、燐酸イソプロピル、燐酸ジイソプロピル、燐酸ブチル、燐酸ジブチル、燐酸2−エチルヘキシル、燐酸ジ(2エチルヘキシル)、燐酸イソデシル、燐酸ジイソデシル、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート、ピロリン酸ブチル、亜燐酸ブチル等があり、2種以上を併用しても良い。
【0019】
反応は、一般に−20〜150℃で行うことが出来るが、好ましくは0〜100℃である。150℃を越えると副反応を起こす可能性があり、他方、あまり低温になると反応速度が小さくなり不利である。
本発明における非イオン性親水基とは、片末端に活性水素を有し、かつ、ポリエチレンオキサイド鎖を有する化合物(以下、エチレンオキサイド付加物と言う)である。
【0020】
エチレンオキサイド付加物は、メタノール、エタノール、ブタノール等のモノアルコールにエチレンオキサイドを付加して得られ、エチレンオキサイド含有量は50重量%以上が好ましく、数平均分子量は200〜2,000が好ましい。エチレンオキサイド付加物はプロピレンオキサイド単位を含んでも良い。
エチレンオキサイド付加化合物とポリイソシアネートの反応は、溶剤を用いて行うこともできる。この場合に使用する溶剤は、イソシアネートに対して不活性なものが好ましい。反応温度は、40〜150℃、好ましくは60〜120℃である。必要に応じてジブチル錫ジラウレート等の錫化合物等の塩基性化合物を反応触媒に使用しても良い。
【0021】
イソシアネート基とブロック剤の反応、イソシアネート基とエチレンオキサイド付加物の反応は、いずれか一方を先行させることもできるし、同時に行うことも出来る。
ポリイソシアネートのイソシアネート基は、前記のブロック剤及びエチレンオキサイド付加物の反応によりすべてが消費される。この場合のブロック剤とエチレンオキサイド付加物(ポリエーテル鎖単位)のモル比は98/2〜60/40であり、好ましくは98/2から70/30である。98/2を越えるとブロックポリイソシアネートの水分散性が低下し、60/40未満であると塗膜物性が低下する傾向がある。
【0022】
更に水分散性の向上などの目的に応じて、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル等のノニオン系、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系、アルキルアミン塩、アルキルベタイン等のカチオン系、カルボン酸アミン塩、スルホン酸アミン塩、硫酸エステル塩等の界面活性剤が挙げられる。
【0023】
本発明においては、貯蔵安定性を向上するために1価アルコール系化合物を含むことが好ましい。該1価アルコール系化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族などがあり、脂肪族が好ましい。炭素数1〜20が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、n−アミルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2,−ジメチル−1−プロパノール等の飽和アルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、3,6−ジオキサ−1−ヘプタノール等のエーテルアルコール等がある。その添加量は、熱解離性ブロックイソシアネート基に対して0.2〜10倍モル量が好ましい。
【0024】
この様に調整された低温硬化性水性ブロックポリイソシアネート組成物は、水親和性ポリオールと共に混合され水性塗料組成物の主要構成成分を形成する。
本発明に使用する水親和性ポリオールとは、通常、水性塗料用に用いられているものであれば特に制限なく使用可能であり、アニオン系、カチオン系、両性イオン系でも、またイオン性を持たないものであってもよい。アルキド系、ポリエステル系、エポキシ系、フッ素系、アクリル系等がある。樹脂分水酸基価は10〜300mgKOH/gであり、水を主たる成分とする分散媒に、溶解または分散されているものである。樹脂分水酸基価10mgKOH/g未満の場合には、イソシアネート成分との反応によるウレタン架橋の密度が減少して、本発明の目的とする物性を必ずしも十分には達成することが出来ず、樹脂水酸基価が300mgKOH/gを超えると、逆に架橋密度が増大し、塗膜の機械的物性が低下する傾向がある。
【0025】
溶解型のポリオールとしては、数平均分子量2,000〜50,000であり、例えば、特開昭63−295680号公報、特開昭63−175059号公報、特開昭62−216671号公報、特開平2−191692号公報等にその製造方法が開示されている。
分散型のポリオールとしては、水酸基を含有するラテックスであり、その製法としては、例えば、特開昭56−157358等に記載がある。
【0026】
ヒドロキシル基を有するフッ素共重合体であるフッ素ポリオールとしては、特開昭57−34107号公報、特開昭61−231044号公報、特開平3−37252号公報等にその製造方法が開示されている。アクリル樹脂としては、特開昭63−295680号公報、特開昭63−175059号公報、特開昭56−157358号公報等に開示されている。
【0027】
本発明の水性塗料組成物において、熱解離性ブロックイソシアネート基と水親和性ポリオールの水酸基の当量比は、通常10:1〜1:10に設定される。
硬化剤としてメラミン系硬化剤を併用することもできる。メラミン系硬化剤としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル・ブチルエーテル化メラミン等が代表的なものとして例示される。
【0028】
また、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、アルミ等の金属粉顔料、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等の架橋促進剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、溶剤等を添加してもよい。
通常は、水親和性ポリオール、硬化剤、添加剤等を混合し、水を主成分とする媒体を添加し、塗装方法に応じた塗料粘度に調整することにより水性塗料組成物となる。
【0029】
この様にして調整された水系塗料は、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装等の方法で、金属、プラスチック、無機材料等に塗装され、耐チッピング塗料、プレコートメタル用塗料等としても有用である。
本発明の低温硬化性水性ブロックポリイソシアネート組成物は、塗料以外に、インキ、接着剤、繊維、フィルム、セラミック等の無機材料、紙、木材、樹脂等の改質剤、表面処理剤、バインダーとしても有用である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、%は重量%、部は重量部を表す。評価は下記に従い行った。
(数平均分子量の測定)
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
(粘度測定)
エミラ型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
(貯蔵安定性)
5℃で2週間貯蔵し、溶液状態が結晶化、沈殿などを生じ変化したものを×、変化しないものを○と評価した。
(ゲル分率)
硬化塗膜を、アセトンに20℃で24時間浸漬した時の未溶解部分重量の浸漬前対する値を計算し、85%未満は×、85%以上は○で表した。
(ブロックポリイソシアネートの水分散性評価)
ブロックポリイソシアネートと純水を重量比2:10で混合し、その後の溶液状態を肉眼で観察した。混合液が均一で沈降物のない状態を○、沈殿物のある状態を×と評価した。
【0031】
【製造例1】
(ポリイソシアネート組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HMDIを600部、1,3−ブタンジオール7.2部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が28%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHMDIを除去した。得られたポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は2300mPa・s、イソシアネート含有量は21.2%、数平均分子量は710、平均イソシアネート官能基数は3.6であった。
【0032】
【実施例1】
(水性ブロックポリイソシアネート組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート組成物100部、分子量400のメトキシポリエチレングリコール(日本油脂の商標「ユニオックスM400」)20部(ポリイソシアネートの全イソシアネート基の10%と反応する)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部を仕込み、80℃で7時間保持した。その後反応液温度を60℃に保持し、マロン酸ジエチル36部、アセト酢酸エチル30部、28%ナトリウムメチラート0.76部を添加し、4Hr保持した。n−ブタノール32部を添加し、反応液温度80℃で2Hr保持した。2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.74部を添加した。反応液の赤外スペクトルを測定した結果、イソシアネート基が消失し、固形分濃度75重量%の水性ブロックポリイソシアネート組成物が得られた。水分散性、貯蔵安定性の評価結果を表1に示す。
【0033】
【実施例2〜4、比較例1、2】
表1に示す以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0034】
【実施例5】
(水性塗料組成物の調整)
ジメチルエタノールアミンで中和された水溶性アクリルポリオール(日本触媒(株)の商標「アロロン76」、樹脂分水酸基価64mgKOH/g、樹脂分濃度50重量%)と実施例1で得られた水性ブロックポリイソシアネート組成物を、ブロックイソシアネート基/水酸基の当量比が1/1になるように混合した。更に水を添加し、塗料粘度が、フォードカップNo.4で30秒になるように調整した。この塗料をアプリケータ塗装し、100℃、30分で硬化させた。塗膜評価結果を表2に示す。
【0035】
【実施例6〜8】
(水性塗料組成物の調整)
表2に示す以外は実施例5と同様に行った。塗膜評価結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明の水性ブロックポリイソシアネート組成物、及びそれを含む水性塗料組成物は、耐候性、低温硬化性に極めて優れた性能を有する。
Claims (4)
- イソシアヌレート結合を有する脂肪族及び/または脂環族ブロックポリイソシアネート組成物であって、熱解離性ブロックイソシアネート基と非イオン性親水基を1分子内に併せ持ち、非イオン性親水基が数平均分子量200〜2,000のメタノール、エタノール、ブタノールのいずれかにエチレンオキサイドが付加したエチレンオキサイド付加物(ポリエーテル鎖単位)からなり、熱解離性ブロックイソシアネート基と非イオン性親水基をモル比98/2〜70/30の範囲で1分子内に併せ持ち、かつ、イソシアネート基の熱解離性ブロック剤が活性メチレン系化合物の少なくとも2種以上からなることを特徴とする低温硬化性の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
- 活性メチレン系化合物が、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステルから選ばれる少なくとも2種以上である請求項1記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
- 1価アルコール系化合物を含む請求項1または2記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
- 水親和性ポリオールと請求項1、2または3記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。
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