JP5559849B2 - レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法 - Google Patents
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Description
この方式では、印刷版原版に直接レーザー光を走査露光して凹部を形成し、光熱変換によりレリーフ形成層を画像状に熱分解し、印刷に必要なレリーフ層を形成する。直彫りCTP方式では、原画フィルムを用いたアナログ方式のレリーフ形成方式とは異なり、レリーフ形状を自由に制御することができる。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻したり、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、などの操作も可能である。
例えば、特許文献1は、熱硬化性組成物を導電性支持体の表面上に配置する工程と、前記導電性支持体を高周波誘導加熱することにより、前記組成物を前記導電性支持体と接する面側から加熱し硬化させて、前記導電性支持体上に前記熱硬化性組成物が硬化されてなる樹脂層を形成する工程と、を含む印刷原版の製造方法を開示する。特許文献1には、厚膜の熱硬化性組成物を加熱する場合、組成物の内部は酸素阻害の影響は受けずに硬化が進むが、大気と接している組成物の表面は酸素阻害の影響のため硬化が進まない、と記載されている。
本発明が解決しようとする課題は、ラジカル重合性化合物の残留量が少なく、十分に硬化したレリーフ形成層(記録層)を有するレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法を提供することである。
<1>(成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)熱ラジカル重合開始剤、を含有する組成物を支持体上に塗設する塗設工程(1)、並びに、前記組成物を酸素分圧が0.0001気圧以上0.1気圧以下の雰囲気下において熱硬化する硬化工程(2)、を含むことを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<2>前記硬化工程(2)が、塗設して得られた組成物層の少なくとも一部を熱硬化する第一熱硬化工程、及び、必要に応じて、前記組成物層の全体をさらに硬化する第二熱硬化工程を含有する、<1>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<3>硬化工程(2)における前記雰囲気の換気効率が1〜500体積%/分である、<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<4>硬化工程(2)における加熱温度が60℃以上200℃以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<5>前記組成物がさらに(成分C)光熱変換剤を含有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<6>前記組成物がさらに(成分D)バインダーポリマーを含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<7>前記組成物がさらに(成分E)架橋剤を含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<8>前記組成物が成分Aとして(成分A1)多官能エチレン性不飽和化合物を含有する、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<9>成分Eが、(成分E1)多官能イソシアネート化合物、(成分E2)多官能酸無水物、及び(成分E3)ポリアルコキシシラン化合物、よりなる群から選ばれた少なくとも1種である<7>又は<8>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<10>熱硬化した組成物の表面に光硬化性組成物層を設ける工程、前記光硬化性組成物層上に光透過性の別の支持体を貼り付ける工程、及び、前記光硬化性組成物層を光硬化する工程、をさらに含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
(11>前記組成物が、さらに(成分G)溶媒を含有し、(1)塗設工程において、前記組成物を前記支持体に塗布する工程、及び、引き続いて、前記溶媒を前記組成物から95重量%以上除去する工程を含む、<1>〜<10>のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<12>熱硬化する硬化工程(2)として、酸素分圧が0.001気圧以上0.05気圧以下の雰囲気下で、80〜140℃において熱硬化する第一熱硬化工程、及び、引き続いて、1気圧の空気雰囲気下で、70〜110℃において熱硬化する第二熱硬化工程を含む、<2>〜<11>のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<13>前記光硬化性組成物層が、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物、及び、光重合開始剤を含有し、エチレン性不飽和基を有しない揮発性有機化合物(VOC)を含有しない、<10>〜<12>のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<14><1>〜<13>のいずれか1つに記載の製造方法で製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<15><14>に記載のフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する工程、及び、レーザー彫刻した印刷版を水又は水溶液で洗浄する工程、を含むことを特徴とする、フレキソ印刷版の製版方法。
また熱硬化させたレリーフ形成層(記録層)に光硬化性組成物により別の支持体を貼り付ける工程を付加する場合にも、大きな接着力により別の支持体を貼り付けることができる。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法における最初の必須工程は、(成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)熱ラジカル重合開始剤、を含有する組成物を支持体上に塗設する塗設工程(1)である。ここで、「塗設」とは、溶剤を含む組成物を支持体上に塗布し、引き続いて前記溶剤を除去(乾燥)することを意味する。言い換えると、塗設工程(1)は、レーザー彫刻型組成物からなるレリーフ形成層を支持体上に形成する層形成工程である。
なお、溶剤を含まないレーザー彫刻型組成物である場合には、必要に応じて加熱しながらスリットより前記組成物を押し出し、支持体上に流延することもできる。この場合も、「塗設」に含まれるものとする。
組成物が溶剤を含有する場合は、乾燥において組成物調製に使用された溶剤の95重量%以上を除去することが好ましく、99重量%以上を除去することがより好ましい。
<支持体>
レーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の製造に使用する支持体の素材は特に限定されない。この支持体としては、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレススチール、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が例示できる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定され、シート状でもスリーブ状であってもよい。
塗設工程(1)は、レーザー彫刻型組成物からなるレリーフ形成層を支持体上に形成する層形成工程である。
レリーフ形成層の形成方法としては、レーザー彫刻型組成物を調製し、この組成物を支持体上に公知の方法により流延し、これをオーブン中で乾燥して溶媒を除去する方法が好ましく例示できる。流延する方法としては、スリット塗布、カーテン塗布、ギーサー塗布などが例示できる。
レリーフ形成層の乾燥厚みは、好ましくは0.05〜10mmであることが好ましく、0.1〜7mmであることがより好ましく、0.5〜3mmであることが特に好ましい。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法において、塗設工程(1)に続く必須の工程は、前記組成物を酸素分圧が0.0001気圧以上0.1気圧以下の雰囲気下において熱硬化する硬化工程(2)である。硬化工程(2)について説明する。
硬化工程(2)における加熱温度は、60℃以上200℃以下であることが好ましく、60℃以上150℃以下であることがより好ましく、75℃以上130℃以下であることが特に好ましい。
酸素分圧=雰囲気圧力×酸素濃度(容量%)
酸素濃度は、熱硬化工程の雰囲気をサンプリングし、常温(25℃)常圧(1atm)に戻した上で、酸素濃度計にて測定して求めることができる。酸素濃度計の測定原理は、磁気式、限界電流方式、ジルコニア方式、ガルバニ電池方式などが知られており、いかなる方式で測定しても良い。
加熱工程に使用する容器内の酸素分圧は、0.0001〜0.1気圧であり、好ましくは0.0001〜0.05気圧であり、より好ましくは0.001〜0.01気圧である。
なお、塗設工程(1)において残留した溶媒は、硬化工程(2)において、除去することが好ましい。特に減圧した雰囲気において、また、この雰囲気の換気を行うことにより残留溶媒を効率よく低減することができる。
硬化工程(2)が、塗設して得られた前記組成物層の少なくとも一部を、熱硬化する第一熱硬化工程、及び、前記組成物層の全体をさらに熱硬化する第二熱硬化工程を含有することが好ましい。これら2つの熱硬化工程については、後に詳しく説明する。前記組成物層の全体を熱硬化する第一熱硬化工程のみの1段階硬化でも問題はない。
好ましい換気効率は、1〜500体積%/分であり、より好ましい換気効率は10〜200体積%/分であり、特に好ましい換気効率は、20〜100体積%/分である。
換気の操作は好ましくは1気圧の下で行う。
この任意工程の詳細は、レリーフ形成用組成物の成分について説明した後に記載する。
この組成物は、(成分A)ラジカル重合性化合物、及び、(成分B)熱ラジカル重合開始剤、を必須成分として含有する。以下、成分A及び成分Bについて説明した後、任意成分である、(成分C)光熱変換剤、(成分D)バインダーポリマー、(成分E)架橋剤、の順に説明する。
本発明の製造方法においては、レリーフ形成層を自己支持性とするため、また、必要に応じてレリーフ形成層中に架橋構造を形成する観点から、レリーフ形成層用組成物(本発明において「本発明の組成物」ともいう。)は、(成分A)ラジカル重合性化合物を含有する。
本発明に用いることができる(成分A)ラジカル重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を分子内に少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個有する化合物の中から1種類以上を任意に選択することができる。
また、本発明に使用する組成物において、(成分A)ラジカル重合性化合物として、1分子中に2以上のエチレン性不飽和基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。多官能エチレン性不飽和化合物としては、2以上の(メタ)アクリル基を有することが好ましく、2以上の(メタ)アクリロキシ基を有する化合物であることがより好ましい。
支持体上に塗設する組成物は、塗膜中に架橋構造を形成するため、少なくとも多官能モノマーを併用することが好ましい。多官能モノマーの分子量としては、200〜2,000であることが好ましい。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
その具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が例示できる。
その他の好ましいアミド系の多官能エチレン性不飽和化合物の例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (A)
(ただし、R及びR’は、H又はCH3を示す。)
飽和橋かけ環式多官能モノマーとしては、メタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基を2つ有するビシクロ環、トリシクロ環構造を有する化合物等の縮環構造を有する脂環式多官能モノマーを用いることが物性を制御する観点から好ましい。
ビシクロ環、トリシクロ環構造としては、ノルボルネン骨格(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、ジシクロペンタジエン骨格(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン)、アダマンタン骨格(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)等の縮環構造の脂環式炭化水素構造が挙げられる。
飽和橋かけ環式多官能モノマーとしては、ビシクロ環、トリシクロ環部分にアミノ基が直接結合していてもよく、また、メチレン、エチレン等のアルキレン等の脂肪族部分を介して結合していてもよい。さらに、これら縮環構造の脂環族炭化水素基の水素原子が、アルキル基等で置換されていてもよい。
本発明において、飽和橋かけ環式多官能モノマーとしては、下記より選択される脂環式多官能モノマーであることが好ましい。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
重合性化合物としては、特に制限はなく、前記例示した化合物の他、公知の種々の化合物を用いることができ、例えば、特開2009−204962号公報の段落0098〜0124に記載の化合物などを使用してもよい。
このように分子内に硫黄原子を有するラジカル重合性化合物としては、彫刻感度向上の観点から、特に、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有し、そのうち2つのエチレン性不飽和結合間を連結する部位に炭素−硫黄結合を有するラジカル重合性化合物(以下、適宜、「含硫黄多官能モノマー」と称する。)を用いることが好ましい。
また、含硫黄多官能モノマーにおける2つのエチレン性不飽和結合間を連結する炭素−硫黄結合を含有する連結基としては、−C−S−、−C−SS−、−NH(C=S)O−、−NH(C=O)S−、−NH(C=S)S−、及び、−C−SO2−から選択される少なくとも1つのユニットを含む連結基であることが好ましい。
一方、分子内に含まれるエチレン性不飽和部位の数は2つ以上であれば特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、架橋膜の柔軟性の観点で、2〜10個が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜4個がさらに好ましい。
また、本発明における含硫黄多官能モノマーは単独で用いてもよいが、分子内に硫黄原子を持たない多官能重合性化合物や単官能重合性化合物との混合物として用いてもよい。
分子内に硫黄原子を有する重合性化合物の具体例としては、例えば、特開2009−255510号公報の段落0032〜0037に記載のものを例示でき、ここに記載の化合物を本発明に使用してもよい。
本発明の組成物中に含まれる成分Aの含有量は、全固形分量に対して、2〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、10〜20重量%が特に好ましい。
本発明において塗設に使用する組成物は、必須成分として(成分B)熱ラジカル重合開始剤を含有する。
熱ラジカル重合開始剤は、当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。以下、好ましい熱ラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明に用いることができる熱ラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−ターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル系が好ましい。
本発明に用いることができる熱ラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなると推定される。
特にバインダーポリマーのガラス転移温度が常温(20℃)以上の場合、有機過酸化物の分解に由来して発生した熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつバインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるためより高感度化されるものと推定している。
なお、後記の(成分C)光熱変換剤に関する説明においても述べるが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、バインダーポリマー等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなると推定される。
なお、光熱変換剤の説明において記述したが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱し、成分B等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明の組成物中に含まれる成分Bの含有量は、塗布組成物の全固形分量に対して、0.1〜5重量%が好ましく、0.3〜3重量%がより好ましく、0.5〜1.5重量%が特に好ましい。
本発明の組成物は、さらに、(成分C)光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
レーザー彫刻型組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、該組成物の固形分全重量の0.01〜30重量%の範囲が好ましく、0.05〜20重量%がより好ましく、0.1〜10重量%が特に好ましい。
本発明の組成物は、(成分D)バインダーポリマー(以下、単に「バインダー」ともいう。)を含有する。
バインダーポリマーは、レーザー彫刻型組成物に含有される高分子成分である。
バインダーポリマーの数平均分子量(Mn)としては、500〜50万であることが好ましい。
また、バインダーポリマーの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は、1,000以上が好ましく、0.5万〜50万がより好ましく、1万〜40万がさらに好ましく、1.5万〜30万が特に好ましい。
バインダーとしては、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、アクリル樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどが例示できる。
さらにバインダポリマーは、架橋可能であることが好ましく、架橋反応に寄与する官能基を有していることがより好ましく、このような活性基としては、ヒドロキシル基が例示でき、アルコキシ基、加水分解性シリル基及びシラノール基との架橋ができる。
これらの官能基は、ポリマー分子中のいずれかに存在すればよいが、特にポリマー鎖の側鎖に存在することが好ましい。このようなポリマーとしては、ビニル共重合体(ポリビニルアルコールやポリビニルアセタールなどのビニルモノマーの共重合体及びその誘導体)やアクリル樹脂(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーの共重合体及びその誘導体)が好ましく用いられる。ここで、ビニルモノマーの共重合体の誘導体とは、具体的には、ビニルアルコール単位の水酸基あるいは水酸基のα位を化学修飾して側鎖を延長した形態とし、その末端に水酸基やカルボキシル基といった官能基を導入したバインダーポリマーのことを指す。また、アクリル系モノマーの共重合体の誘導体としては、水酸基やカルボキシル基といった官能基を導入した樹脂が挙げられる。
本発明に用いることができるバインダーポリマーの製造方法は、特に限定されないが、重合性モノマーを重合又は共重合して製造する方法などが挙げられる。
本発明に用いることができるバインダーポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーが特に好ましく用いられ、ポリビニルブチラールが例示できる。
成分Dの添加範囲は、本発明の組成物の全固形分量に対して、20〜90重量%であることが好ましく、30〜85重量%であることがより好ましい。
レリーフ形成層に使用する組成物はさらに(成分E)架橋剤を含有することが好ましい。
(成分E)架橋剤は、成分A以外の成分であり、好ましくは逐次的反応で架橋する化合物である。(成分E)架橋剤には、重付加性又は重縮合性の成分であることが好ましい。
具体的には、(成分E)架橋剤は、(成分E1)多官能イソシアネート化合物、(成分E2)多官能酸無水物、及び(成分E3)ポリアルコキシシラン化合物、よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
上記の成分E1、E2、及びE3について、順に以下に説明する。これらの架橋剤の中で、成分E3が好ましい。
「多官能イソシアネート化合物」とは、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいう。
本発明で用いる(成分E1)多官能イソシアネート化合物が、その分子内に有するイソシアナト基の数は2個以上であり、三次元架橋構造を形成する観点から、2〜10個が好ましく、2〜6個がより好ましく、2〜4個が特に好ましい。
分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、
多官能酸無水物とは、分子内に二塩基酸無水物構造を2つ以上含有する化合物をいう。
(成分E2)多官能酸無水物としては、分子内にカルボン酸無水物残基などの酸無水物構造を2以上有する化合物であれば、いずれも用いることができる。すなわち、分子内に当該化学構造を2つ以上有するものであれば、水酸基などの官能基と良好な架橋構造を形成する。
(成分E2)多官能酸無水物における二塩基酸無水物構造とは、同一分子内に存在する2つのカルボン酸の脱水縮合にて生成する無水物構造のことを指す。
分子内に存在するカルボン酸無水物構造の数は、リンス性の観点から2つ以上4つ以下であることが好ましく、2つ以上3つ以下であることがより好ましく、2つ有するものが最も好ましい。
(成分E2)多官能酸無水物の分子量としては、80以上500未満であることが好ましい。
以下に、本発明に好適に用いられる(成分E2)多官能酸無水物の具体例を特定化合物A−1〜A−7として例示するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
架橋レリーフ形成層を形成するためのレリーフ形成層用組成物における(成分E2)多官能酸無水物の含有量は、固形分換算で、1〜30重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%の範囲であり、特に好ましくは5〜30重量%である。
「ポリアルコキシシラン化合物」とは、1分子中に少なくとも2つのアルコキシシリル基を有する化合物をいう。
本発明のレリーフ形成層用組成物に配合できる(成分E3)ポリアルコキシシラン化合物は、加水分解性を有するシリル基を1分子中に複数有する。
加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基を有する化合物(以下、「アルコキシシリル化合物」ともいう。)は下記式(1)で表される残基を有する化合物であることが好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
また、ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
前記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
中でも、成分E3は、架橋性の観点から、硫黄原子を含有することが好ましく、また、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、アルカリ水で分解しやすいエステル結合、ウレタン結合、又は、エーテル結合(特にオキシアルキレン基に含まれるエーテル結合)を含有することが好ましい。硫黄原子を含有する成分E3は、加硫剤や加硫促進剤として機能し、(成分D)バインダーポリマーとして使用される共役ジエン単量体単位を含有する重合体の反応(架橋)を促進する。その結果、フレキソ印刷版として必要なゴム弾性を発現させる。また、フレキソ印刷版原版における架橋レリーフ形成層及びフレキソ印刷版におけるレリーフ層の強度を向上させる。
また、本発明における成分E3は、エチレン性不飽和結合を有していない化合物であることが好ましい。
具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノール、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が例示できる。
成分E3の合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。また、市販品として入手することができる。
<(成分F)可塑剤>
本発明の組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は、レーザー彫刻型組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、アジピン酸ビスブトキシエチル等や、ポリエチレングリコール類(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール類(モノオール型やジオール型)等を好ましく用いられる。
これらの中でも、アジピン酸ビスブトキシエチルが特に好ましい。
本発明の組成物における成分Fは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
柔軟な膜物性を保つ観点から、本発明のレーザー彫刻型組成物中の可塑剤の含有量は、全固形分濃度の1〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、10〜30重量%が特に好ましい。
本発明の製造方法において、塗設用の組成物を調製する際に、溶媒を用いることが好ましい。
溶媒としては、有機溶媒を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
成分Gの添加量は、適宜選択することができ、塗設する際に組成物が適当な粘度となるように設定できる。成分Gは不必要に多くない方が、塗布後の乾燥の負荷を少なくすることができる。本発明の組成物において、全固形分濃度は、50〜90重量%であることが好ましく、55〜80重量%であることがより好ましい。
本発明の組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第一熱硬化工程及び第二熱硬化工程の加熱温度は、いずれも、60〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましく、75〜130℃であることがさらに好ましい。
第一熱硬化工程においては、雰囲気の酸素分圧を0.1気圧以下にすることが好ましく、0.05気圧以下にすることが好ましく、0.001〜0.05気圧にすることがより好ましい。好ましい加熱温度は、80〜140℃であることがより好ましく、85〜130℃であることがさらに好ましい。
第一熱硬化工程における保持時間は、10〜600分であることが好ましく、15〜150分であることがより好ましく、20〜90分であることがさらに好ましい。
第二熱硬化工程における保持時間は、20〜1,000分であることが好ましく、30〜500分であることがより好ましく、40〜250分であることがさらに好ましい。
大気圧下で組成物の層を塗設した後、第一熱硬化工程において減圧した雰囲気に置かれる組成物は、依然として表面層から酸素が組成物内に拡散するために、前記組成物の層の表面側(雰囲気側)に完全に熱硬化しない領域(軟膜領域)を生じると推定される。この熱硬化は、支持体側の少なくとも一部が進行していればよく、層の深さ方向全体にわたって硬化が進行している場合も含まれる。第一熱硬化工程において、硬化雰囲気の換気を行うことが好ましい。
第二熱硬化工程について説明する。第二熱硬化工程においては、コストの観点で大気圧(1気圧)の雰囲気における(酸素分圧は0.21気圧である)硬化工程であることが好ましい。ただし、この第二熱硬化工程において、第一熱硬化工程と同じく、硬化雰囲気の換気を行うことが好ましく、換気の好ましい条件も同様である。好ましい加熱温度は、70〜140℃であることがより好ましく、70〜110℃であることがさらに好ましい。
組成物の層について深さ(厚さ)方向の熱硬化の程度は、記録層の断面について厚さ方向に微小硬度計(HMV−1、(株)島津製作所製)により局所測定して、その硬度の断面分布から測定できる。
本発明のレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の製造方法は、塗設工程(1)及び硬化工程(2)に加えて、熱硬化した組成物の表面に光硬化性組成物層を設ける工程、前記光硬化性組成物層上に光透過性の別の支持体を貼り付ける工程、並びに、前記光硬化性組成物層を光硬化する工程、をさらに含むことが好ましい。
言い換えると、前記レーザー彫刻型記録層の前記層形成工程における支持体側に対向する面に光硬化性接着剤層を付与し別の支持体と貼り合わせる貼合工程を含む。
ここで、「光硬化性組成物」とは、紫外線を照射することにより硬化する性質を有する組成物であり、付加重合性のエチレン性不飽和化合物及び光重合開始剤を必須成分として含むことが好ましい。光硬化性組成物層の平均厚みは、0.05〜0.2mmであることが好ましく、0.08〜0.15mmであることが好ましい。
また、前記光硬化性接着剤は、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物、及び、光重合開始剤を含有することがより好ましい。
前記光硬化性接着剤は、上記以外の公知の添加剤を含有していてもよいが、有機溶剤などのエチレン性不飽和基を有しない揮発性有機化合物(VOC)を含有しないことが好ましく、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物、及び、光重合開始剤のみからなることがより好ましい。
前記貼合工程においては、前記記録層の前記層形成工程における支持体側の面と対向する面、いわゆる空気面に特定の光硬化性接着剤を付与することが重要である。上記態様をとることにより、接着性及び膜厚均一性に優れたレリーフ印刷版原版が得られる。
前記貼合工程における前記記録層に光硬化性接着剤を付与する方法としては、特に制限はなく、公知の方法により行うことができる。
この支持体は、塗設工程(1)において使用される支持体とは別の支持体である。
ただし、材料的には、塗設工程(1)において使用した素材から選択でき、重複する記載は割愛する。
貼合工程において使用する支持体は、透明支持体であることが好ましく、PETフィルムであることがより好ましい。フィルムの厚さは任意選択できるが、0.1〜0.5mmであることが好ましい。
前記光硬化性接着剤は、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基(ヒドロキシ基)と(メタ)アクリロイル基を少なくとも有するものであれば、特に制限はないが、1つの水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、下記式(A)で表される化合物であることがより好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、また、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
また、R1におけるアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。また、R1におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、及び、アリールオキシ基が好ましく例示できる。
また、式(A)中、R2は水素原子又はメチル基を表す。
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ジグリセロールジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサノキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフロキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルオキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記光硬化性接着剤中の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、光硬化性接着剤100重量部に対し、10〜80重量部であることが好ましく、20〜65重量部であることがより好ましい。
前記光硬化性接着剤は、前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物以外に、水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物を含有する。
水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基を有していなければ特に制限はないが、光硬化性接着剤として、水酸基を有しない多官能(メタ)アクリレート化合物を少なくとも含むことが好ましい。
水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物としては、以下の式(B−1)〜式(B−7)で表される化合物が好ましく例示できる。
式(B−1)で表される化合物として具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジグリセロールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
式(B−2)で表される化合物としては具体的には、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシヘキサエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシヘプタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシオクタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシトリプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジプトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシオクタブトジキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)−2−(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン等が例示できる。
式(B−3)で表される化合物としては具体的には、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示できる。
式(B−4)で表される化合物としては具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が例示できる。
式(B−5)で表される化合物としては具体的には、メトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、ヘプトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、イソプロポキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
式(B−6)又は式(B−7)で表される化合物としては具体的には、(メタ)アクリロキシエチルリン酸、1−クロロ−3−(メタ)アクリロキシプロピル−2−リン酸、(メタ)アクリロキシプロピルリン酸等が例示できる。
ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物と有機ポリイソシアネート化合物との反応生成物や、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物と有機ポリイソシアネート化合物と三価以上のポリオール化合物及び/又はジオール化合物との反応生成物が挙げられる。
具体例としては、ビス(グリセリルウレタン)イソホロンテトラメタクリレート(下記化合物)が好ましく例示できる。
水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記光硬化性接着剤中の水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物の含有量は、光硬化性接着剤100重量部に対し、20〜90重量部であることが好ましく、35〜80重量部であることがより好ましい。
前記光硬化性接着剤は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の開始剤を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物が挙げられる。また、これらのラジカル重合開始剤は、特開2008−19408号公報に記載されたものが挙げられる。
また、光重合開始剤の具体例は、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Reviews, 93, 435 (1993)や、R. S. Davidson著、Journal of Photochemistry and Biology A: Chemistry, 73, 81 (1993)や、J. P. Faussier "Photoinitiated Polymerization - Theory and Applications": Rapra Review, vol.9, Report, Rapra Technology (1998)や、M. Tsunooka et al., Prog. Polym. Sci., 21, 1 (1996)に多く記載されている。また、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照、に化学増幅型フォトレジストに利用される化合物が光重合開始剤として多く記載されている。さらには、F. D. Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990)、G. G. Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993)、H. B. Shuster et al, J. Am. Chem. Soc., 112, 6329 (1990)、I. D. F. Eaton et al, J. Am. Chem. Soc., 102, 3298 (1980)等に記載されているような、増感剤の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的又は還元的に結合解裂を生じる化合物群も、光重合開始剤として知られている。
前記光重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記光硬化性接着剤中の光重合開始剤の含有量は、光硬化性接着剤100重量部に対し、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましい。
本発明のフレキソ印刷版(レリーフ印刷版)の製版方法は、本発明のレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の製造方法により得られたレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の前記記録層をレーザー彫刻して、レリーフ層を形成する彫刻工程、を含む。
本発明のレリーフ印刷版は、本発明のレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の製造方法により得られたレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の記録層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するレリーフ印刷版である。
本発明のレリーフ印刷版は、水性インキを印刷時に好適に使用することができる。
本発明のレリーフ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の製造方法により得られたレーザー彫刻型レリーフ印刷版原版の前記記録層をレーザー彫刻しレリーフ層を形成する彫刻工程を含む。
彫刻工程は、前記記録層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、記録層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、記録層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、記録層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、記録層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することにより、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することにより、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で記録層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものがさらに好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、さらに光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。さらに、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製版方法に好適に使用し得るファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面の彫刻カスをリンスする工程。
乾燥工程:リンスされたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層をさらに架橋する工程。
リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻された記録層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
上記の後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、レリーフ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。なお、本発明において、アミンオキシド化合物のN=O、及び、ホスフィンオキシド化合物のP=Oの構造はそれぞれ、N+−O-、P+−O-と見なすものとする。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。さらに、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、特に限定する必要はないが、リンス液の全重量に対し、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.05〜10重量%であることがより好ましい。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のレリーフ印刷版は、フレキソ印刷機による水性インキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。
熱硬化性組成物の調製及び塗設は以下のようにして実施した。
表1に記載した各成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して固形分濃度が60重量%の熱硬化性組成物A及びBを調製した。
次いでPET基板上に3mm厚のスペーサー(枠)を設置し、水平な状態でこの枠の厚さになるように70℃に保持した上記組成物を流延した。なお、乾燥後の仕上がり膜厚は、1.5mmであった。
表2の第一硬化条件の項に示す酸素濃度及び圧力条件に設定した雰囲気中で、室温(25℃)において保持した後、オーブンの温度を1分あたり5℃の速度で保持温度の100℃まで昇温した後、保持温度の100℃で30分保持した。
その後、表2の第二硬化条件の項に示す酸素濃度及び圧力条件に設定した雰囲気下で、室温(25℃)において保持した後、オーブンの温度を1分あたり5℃の速度で表示した保持温度の100℃まで昇温した後、この保持温度で30分保持した。
・DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(成分A1 新中村化学工業(株)製)
・PBZ:パーブチルZ(成分B 日油(株)製)
・カーボンブラック(成分C 一次粒径 20nm)
・PVB:ポリビニルブチラール(成分D デンカブチラール#3000−2、電気化学工業(株)製、Mw=9万)
・SI:スチレンイソプレンブロックコポリマー(成分D Quintac 3421、日本ゼオン(株)製)
・クエン酸トリブチル(可塑剤)(成分F メルク(株))
・TEOS:テトラエトキシシラン(架橋剤)(成分E3 (株)高純度化学研究所)
・DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(縮合反応触媒)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)
実施例1に使用した熱硬化性組成物を、Aのまま、又は必要に応じてBに変更した。さらに、使用オーブン、酸素濃度(容量%)、雰囲気圧力、換気効率及び保持温度のうち少なくとも一つを表2に記載したように変更する以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15及び比較例1、2を実施した。
また、実施例10及び11は使用オーブン、酸素濃度(容量%)、雰囲気圧力、及び換気効率を表2に記載したように変更し、さらに100℃で保持する時間を1時間に変更し実施した。第二硬化は省略した。
換気効率は、オーブンの内部容量はいずれも91リットルであるため、常圧においては給気ガスの流量を1分当たり91リットルとすれば換気効率は100%と算出される。所望の換気効率となるよう、給気ガスの流量を調整した。
得られた熱硬化膜をミクロトームで切り出し、断面を微小硬度計(HMV−1、(株)島津製作所製)にて百μm間隔で、最大荷重30mN、最大押し込み深さ20μmで測定した。熱硬化時に表面(空気)側であった面から50μmを起点に、測定点を100μmずつ深さ方向にずらして硬度測定を行った。軟膜層厚みが150μm以下を実用範囲とみなす。結果を表2に示した。ここで、「軟膜層厚み」とは、測定された硬度が支持体側方向で測定された硬度以下である、表面側からの厚みをいう。即ち、表面側から測定された硬度が、支持体側方向に向かうにつれて上昇して、略一定値に落ち着くまでの、硬度の傾きを持って存在する区間の厚みのことを指す。
以下の組成の紫外線(UV)硬化性接着剤を用いた。
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート 30重量部
トリメチロールプロパントリメタクリレート 62重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 8重量部
得られたレリーフ印刷版原版を3cm幅にカットした後、PET支持体と接着剤層又は接着剤層と熱硬化層との間の一部を剥がした後、テンシロン測定機にて50mm/minの剥離速度で、支持体に対し180°の方向に剥離し、剥離力を測定した。剥離力の最大値を接着力(単位:N/cm)とした。
接着層界面の泣き出しの評価は以下のようにして行った。
泣き出しの少ないことは、残留するラジカル重合性化合物が少ないことを意味する。
硬化膜を2cmの長さに切り出し、断面を光学顕微鏡で50倍の倍率にて観察した。接着層と熱硬化層の界面を2cmにわたって観察し、油滴状の泣き出し物の有無を観察した。観察結果を次のように評価した。
E(Excellent):油滴状の泣き出し物が観察されない
P(Poor):油滴状の泣き出し物が観察される
表2に実施例及び比較例の硬化条件と得られた評価結果をまとめて示した。
Claims (15)
- (成分A)ラジカル重合性化合物、(成分B)熱ラジカル重合開始剤、及び、(成分G)溶媒を含有する組成物を支持体上に塗設する塗設工程(1)、並びに、
前記組成物を酸素分圧が0.0001気圧以上0.1気圧以下の雰囲気下において、塗設工程(1)において残留した溶媒を除去しながら、熱硬化する硬化工程(2)、を含むことを特徴とする
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。 - 前記硬化工程(2)が、塗設して得られた組成物層の少なくとも一部を熱硬化する第一熱硬化工程、及び、前記組成物層の全体をさらに熱硬化する第二熱硬化工程を含有する、請求項1に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 硬化工程(2)における前記雰囲気の換気効率が1〜500体積%/分である、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 硬化工程(2)における加熱温度が60℃以上200℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記組成物がさらに(成分C)光熱変換剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記組成物がさらに(成分D)バインダーポリマーを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記組成物がさらに(成分E)架橋剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記組成物が成分Aとして(成分A1)多官能エチレン性不飽和化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 成分Eが、(成分E1)多官能イソシアネート化合物、(成分E2)多官能酸無水物、及び(成分E3)ポリアルコキシシラン化合物、よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項7に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 熱硬化した組成物の表面に光硬化性組成物層を設ける工程、
前記光硬化性組成物層上に光透過性の別の支持体を貼り付ける工程、及び、
前記光硬化性組成物層を光硬化する工程、をさらに含む、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。 - 前記組成物が、さらに(成分G)溶媒を含有し、塗設工程(1)において、前記組成物を前記支持体上に塗布する工程、及び、引き続いて、前記溶媒を前記組成物から95重量%以上除去する工程を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 熱硬化する硬化工程(2)として、酸素分圧が0.001気圧以上0.05気圧以下の雰囲気下で、80〜140℃において熱硬化する第一熱硬化工程、及び、引き続いて、1気圧の空気雰囲気下で、70〜110℃において熱硬化する第二熱硬化工程を含む、請求項2〜11のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記光硬化性組成物層が、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、水酸基を有しない(メタ)アクリレート化合物、及び、光重合開始剤を含有し、エチレン性不飽和基を有しない揮発性有機化合物(VOC)を含有しない、請求項10〜12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 請求項14に記載のフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する工程、及び、
レーザー彫刻した印刷版を水又は水溶液で洗浄する工程、を含むことを特徴とする、
フレキソ印刷版の製版方法。
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