JP2014046623A - 円筒状印刷基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シート状印刷基材から円筒状印刷基材を製造し、かつ接合部の強度、及び、膜厚均一性に優れる円筒状印刷基材の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版原版又はシート状印刷版をその両端部を突き合わせて円筒状支持体上に貼り付ける貼付工程、及び、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版の両端部を、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液により溶着させる溶着工程、を含むことを特徴とする円筒状印刷基材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、円筒状印刷基材の製造方法に関する。
支持体表面に積層された感光性樹脂層に凹凸を形成して印刷版を形成する方法としては、感光性組成物を用いて形成した記録層を、原画フィルムを介して紫外光により露光し、画像部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液により除去する方法、いわゆる「アナログ製版」がよく知られている。
レリーフ印刷版は、凹凸を有するレリーフ層を有する凸版印刷版であり、このような凹凸を有するレリーフ層は、主成分として、例えば、合成ゴムのようなエラストマー性ポリマー、熱可塑性樹脂などの樹脂、あるいは、樹脂と可塑剤との混合物を含有する感光性組成物を含有する記録層をパターニングし、凹凸を形成することにより得られる。このようなレリーフ印刷版うち、軟質なレリーフ層を有するものをフレキソ版と称することがある。
レリーフ印刷版をアナログ製版により作製する場合、一般に銀塩材料を用いた原画フィルムを必要とするため、原画フィルムの製造時間及びコストを要する。更に、原画フィルムの現像に化学的な処理が必要で、かつ現像廃液の処理をも必要とすることから、更に簡易な版の作製方法、例えば、原画フィルムを用いない方法、現像処理を必要としない方法などが検討されている。
近年は、原画フィルムを必要とせず、走査露光により記録層の製版を行う方法が検討されている。
原画フィルムを必要としない手法として、記録層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
現像工程を必要としない製版方法として、記録層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。直彫りCTP方式は、文字通りレーザーで彫刻することにより、レリーフとなる凹凸を形成する方法で、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができるという利点がある。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、なども可能である。
これまで直彫りCTP方式で用いられた版材に関して、親水性のポリビニルアルコール誘導体を用いたもの(例えば、特許文献1及び2参照。)などが提案されている。
最近、フレキソ印刷分野においては、版胴上に正確に位置合わせをしながらシート状の版を貼り込む方法ではなく、剛直あるいはフレキシブルな円筒状支持体上に版を貼り込み、貼り込んだものを版胴に挿入する方法、更に円筒状支持体上にパターン形成可能な樹脂版を形成した円筒状印刷原版を形成し、その後表面にパターンを形成して版胴に挿入する方法が取られるようになってきた。
また、特許文献3には、シート状に成形されたレーザー彫刻原版を円筒状支持体上に巻きつけ、シートの両端部の接合部分の樹脂を融着し、研磨等の方法により継ぎ目のない印刷原版を形成する方法が記載されている。
また、特許文献4には、円筒状支持体上に写真製版技術でパターンを形成するシート状印刷原版を貼り付け、シート両端部の接合部位に発生する隙間にシール材を塗布することが記載されている。
特開2006−2061号公報 特開2009−78467号公報 特許第2846954号公報 特開2003−154628号公報
従来の方法では、パターンを形成したシート状の印刷版を版胴に取り付ける際に、精度良く位置合わせするためには相当な時間を要すること、厚み精度を確保するために、版胴とシート状印刷版との間に貼り込むクッションテープに気泡が入らないように慎重に作業することが必要であり、この作業にも多大な時間を要することが問題であった。
更に、従来の方法では、円筒状支持体上にシート状印刷版を貼り付け、印刷機のエアーシリンダーに円筒状支持体をはめ込むことにより、シート状印刷版で必要な位置合わせを省略することが行われているが、シートの両端部の接合部に発生する凹部が大きい場合には、印刷時に版胴がバウンドして印刷物の品質を低下させる問題もあった。そのため、接合部をできるだけ少なくするか、あるいは同じ厚みのダミー版を貼り込むなどの方法が取られていたが、これらの加工に多大な時間を要する問題点を有していた。
特許文献3に記載された発明では、樹脂を融着するために高温に加熱する必要があるため、作製装置に複雑な機構が必要であるという問題があった。
また、特許文献4に記載された発明では、版材本体の印刷特性とシール剤の印刷特性がずれてしまうと、印刷時にムラが発生する問題があった。
本発明の目的は、シート状印刷基材から円筒状印刷基材を製造し、かつ接合部の強度、及び、膜厚均一性に優れる円筒状印刷基材の製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は以下の<1>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<14>と共に以下に記載する。
<1>ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版原版又はシート状印刷版をその両端部を突き合わせて円筒状支持体上に貼り付ける貼付工程、及び、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版の両端部を、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液により溶着させる溶着工程、を含むことを特徴とする円筒状印刷基材の製造方法、
<2>前記液が、前記溶媒を90質量%以上含む、上記<1>に記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<3>前記溶媒が、水、アルコール類、エステル類、エーテル類及びケトン類よりなる群から選ばれた少なくとも1種である、上記<1>又は<2>に記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<4>前記溶媒が、水及び/又はアルコール類である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<5>前記液が、ポリビニルアルコール類を更に含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<6>前記円筒状支持体上又は前記シート状印刷版原版若しくは前記シート状印刷版の円筒状支持体に貼り付ける面にクッション層を形成するクッション層形成工程を含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<7>前記溶着工程の後に、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版を乾燥する乾燥工程、及び、形成された円筒状印刷基材溶着部の厚さを調整する調整工程を含む、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<8>前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版が、可塑剤を含有する、上記<1〜<7>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<9>前記可塑剤が、多価アルコール類である、上記<8>に記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<10>前記可塑剤が、グリセリンである、上記<8>又は<9>に記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<11>前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版が、光熱変換剤を含有する、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<12>前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版が、架橋構造を有する、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<13>前記貼付工程の前に、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版に活性光線を照射する照射工程を含む、上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法、
<14>前記円筒状印刷基材が、レーザー彫刻用円筒状印刷基材である、上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の円筒状印刷基材の製造方法。
本発明によれば、シート状印刷基材から円筒状印刷基材を製造し、かつ接合部の強度、及び、膜厚均一性に優れる円筒状印刷基材の製造方法を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
(円筒状印刷基材の製造方法)
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版原版又はシート状印刷版をその両端部を突き合わせて円筒状支持体上に貼り付ける貼付工程、及び、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版の両端部を、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液により溶着させる溶着工程、を含むことを特徴とする。
また、本発明の円筒状印刷基材は、本発明の円筒状印刷基材の製造方法により得られる円筒状印刷基材である。
前記円筒状印刷基材は、円筒状フレキソ印刷基材であることが好ましい。
また、前記円筒状印刷基材は、レーザー彫刻用円筒状印刷版原版又はレーザー彫刻により得られた円筒状印刷版であることが好ましい。
本発明の円筒状印刷基材の適用態様として、凸版、凹版、孔版、スタンプ等が挙げられるが、凸版である、レーザー彫刻用円筒状印刷版原版又はレーザー彫刻により得られた円筒状印刷版が好ましく挙げられる。
−貼付工程−
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版原版又はシート状印刷版をその両端部を突き合わせて円筒状支持体上に貼り付ける貼付工程を含む。
前記貼付工程において、円筒状印刷基材のシート原材料としては、版を形成する前のポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版原版であっても、版を形成したポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版であってもよい。
前記貼付工程における前記「シート状印刷版原版又はシート状印刷版をその両端部を突き合わせて円筒状支持体上に貼り付ける」とは、後述する溶着工程において、溶着可能な位置に貼り付けていれば特に制限はなく、前記両端部が接触した状態であるか、又は、前記両端部同士が近傍に存在する(好ましくは前記両端部同士の距離が10mm以下、より好ましくは7mm以下、更に好ましくは5mm以下である。)状態で円筒状支持体上に貼り付けられていればよい。
また、前記貼付工程において、円筒状支持体上にシート状印刷版原版又はシート状印刷版を貼り付ける際には、接着剤や粘着剤等を使用してもよいし、使用しなくともよい。接着剤及び粘着剤としては、公知のものを用いることができる。
シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有する記録層を少なくとも有することが好ましい。
シート状印刷版原版又はシート状印刷版における記録層を形成する方法としては、特に制限はないが、ポリビニルアルコール類を含有する樹脂組成物を調製し、必要に応じて、この樹脂組成物から溶剤を除去した後に、基材上に溶融押し出しする方法や、基材上にポリビニルアルコール類を含有する樹脂組成物を流延し前記樹脂組成物中の溶剤の少なくとも一部を除去し記録層を形成する方法が好ましく例示でき、基材上に樹脂組成物を流延し前記樹脂組成物中の溶剤の少なくとも一部を除去し記録層を形成する方法がより好ましく例示できる。
シート状印刷版原版又はシート状印刷版の厚さは、0.05mm以上20mm以下が好ましく、0.5mm以上10mm以下がより好ましく、0.5mm以上7mm以下が更に好ましく、0.5mm以上3mm以下が特に好ましい。
また、シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、基材層を有していてもよい。前記基材層の素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。これらの中でも、透明支持体であることが好ましく、PETフィルムであることがより好ましい。
<ポリビニルアルコール類>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有し、40〜100質量%含有することが好ましく、50〜100質量%含有することがより好ましく、50〜90質量%含有することが更に好ましい。上記範囲であると、接合部の強度や膜厚均一性により優れる。
本発明における「ポリビニルアルコール類」は、ヒドロキシエチレン単位を0.1モル%以上100モル%以下、好ましくは1モル%以上98モル%以下、更に好ましくは5モル%以上95モル%以下含有する共重合体及び重合体並びにそれらの変性体を包含する。ビニルアルコールや酢酸ビニルとともに共重合体を形成するためのモノマーとしては、公知の共重合可能なモノマーから適宜選定することができる。
ポリビニルアルコール類としては、具体的には、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)及びその誘導体を含み、例えば、ポリ酢酸ビニルのアセチル基を任意の割合で鹸化して得られるポリビニルアルコールや、ポリビニルアルコールを環状アセタール化することにより得られる化合物が含まれる。
ポリビニルアルコールを環状アセタール化することにより得られる化合物としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール(以下、「PVB」ともいう。)が好ましい。
ポリビニルアルコール類としては、ポリビニルアルコール及びビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体(部分鹸化ポリビニルアルコール)を特に好ましく例示することができ、これらの変性体もこれに該当する。
ポリビニルアルコール類の重量平均分子量としては、レーザー彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましく、レーザー彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアルコール類としては、例えばポバール(高分子刊行会)に記載のポリビニルアルコール類を用いることができる。
ポリビニルアルコール類としては、ケン化度が85mol%以下であるポリビニルアルコールを少なくとも含有することが、溶解性の観点から好ましいが、インキに対する耐性を向上させるために、ケン化度を上げたケン化度が85〜100mol%であるポリビニルアルコール、特に完全ケン化度(ケン化度98.0〜100mol%)のポリビニルアルコールを部分添加することが好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアルコール類としては、膜の溶解性や力学強度、熱分解性を調整する目的で側鎖に変性基を導入したり、主鎖に共重合成分を導入した変性ポリビニルアルコールを用いることができる。
また、ポリビニルアルコール類は、市販されており、例えば、(株)クラレ製クラレポバール、エクセバール、HPポリマー;日本合成化学工業(株)製ゴーセノール、ゴーセファイマー、ソアノール、ゴーセラン;日本酢ビ・ポバール(株)製J−POVAL、JMR;電気化学工業(株)製デンカポバール、デンカサイズ、デンカブチラール等が挙げられる。
また、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、ポリビニルアルコール類以外のバインダーポリマー(他のバインダーポリマー)を含有していてもよい。
他のバインダーポリマーとしては、相溶性の観点から、親水性ポリマーであることが好ましく、水酸基(−OH)を有するポリマーであることがより好ましい。
水酸基(−OH)を有するポリマー(以下、「特定ポリマー」ともいう。)の骨格としては、特に限定されないが、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
水酸基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらと公知の(メタ)アクリル系モノマーやビニル系モノマーとを重合させた共重合体を好ましく用いることができる。
特定ポリマーとして、ヒドロキシ基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸などのヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。このようなポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、乳酸系ポリマー、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンコハク酸)、これらの誘導体又は混合物よりなる群から選択されるものが好ましい。
本発明における特定ポリマーとして、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつレーザー彫刻感度が高く皮膜性も良好であるという観点で、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂及び側鎖にヒドロキシル基を有するエポキシ樹脂等が好ましく例示される。
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版にポリビニルアルコール類と他のバインダーポリマーとを併用する場合、ポリビニルアルコール類と他のバインダーポリマーとの合計の含有量は、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の全質量に対し、35〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、ポリビニルアルコール類と他のバインダーポリマーとの合計の含有量を35質量%以上とすることで、原版のコールドフローを効果的に防止することが可能となり、また、80質量%以下とすることで他の成分が不足することがなく、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性を得ることができる。
一方、他のバインダーポリマーの含有量は、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の全質量に対し、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、他のバインダーポリマーの含有量を1質量%以上とすることで、ポリビニルアルコール類の柔軟化が効率的になされて、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性が得られ、かつ他のバインダーポリマーの強靱な特性からレリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られる。また、他のバインダーポリマーの含有量を15質量%以下とすることで、他のバインダーポリマーが発生源となる粘着質の彫刻カスの発生量を低減することができる。
<支持体>
本発明に用いられる円筒状支持体に使用する素材は特に限定されないが、樹脂、ゴム、金属等、公知の材質であればよい。
中でも、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いられる円筒状支持体の直径は、特に制限はなく、所望の大きさとすればよく、例えば、5〜200cmが好ましく例示でき、また、A0〜A5、B0〜B5サイズの印刷に使用する円筒状支持体が好ましく例示できる。
本発明に用いられる円筒状支持体の幅(円筒の高さ)は、特に制限はなく、所望の幅にすればよい。
<可塑剤>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、可塑剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる可塑剤としては、例えばポバール(高分子刊行会)に記載の可塑剤を用いることができる。
ポリビニルアルコールとの相溶性から、可塑剤としては、親水性を有しつつ、沸点が高い素材が好ましく、多価アルコール類がより好ましく、2価又は3価のアルコール類が更に好ましく、3価のアルコール類が特に好ましい。
可塑剤として具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールが好ましく挙げられ、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、2,3ブタンジオール、1,3−ブタンジオールより好ましく挙げられ、グリセリン、ジエチレングリコールが更に好ましく挙げられ、グリセリンが特に好ましく挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の全質量に対し、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜35質量%であることが更に好ましく、20〜35質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、接合強度及び膜強度に優れる。
<光熱変換剤>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤を含有することにより、膜強度及びレーザー彫刻時の彫刻感度に優れる。
レーザー彫刻において、光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。ゆえに、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料及び/又は顔料が用いられる。
前記光熱変換剤は、700nm〜1,300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤であることが好ましく、800nm〜1,200nmに吸収を有する顔料及び染料から選択される1種以上の光熱変換剤であることがより好ましい。
また、前記光熱変換剤は、顔料であることが好ましい。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
本発明においては、比較的低い比表面積及び比較的低いジブチルDBP吸収を有するカーボンブラックや比表面積の大きい微細化されたカーボンブラックまでを使用することも可能である。好適なカーボンブラックの例は、Printex(登録商標)U、Printex(登録商標)A、又はSpezialschwarz(登録商標)4(Degussaより)を含む。
本発明に用いることができるカーボンブラックとしては、光熱変換により発生した熱を周囲のポリマー等に効率よく伝えることで彫刻感度が向上するという観点で、比表面積が150m2/g以上、かつDBP吸油量が150ml/100g以上である伝導性カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの比表面積は、250m2/g以上であることが好ましく、500m2/gm2/g以上であることが特に好ましい。また、1,500m2/g以下であることが好ましい。
また、カーボンブラックのDBP吸油量は、200ml/100g以上であることが好ましく、250ml/100g以上であることが特に好ましい。また、550ml/100g以下であることが好ましい。
上述したカーボンブラックは、酸性又は塩基性のカーボンブラックであってよい。カーボンブラックは、塩基性のカーボンブラックであることが好ましい。異なるカーボンブラックの混合物も当然に、使用され得る。
伝導性カーボンブラックとしては、例えば、Ketjenblack(登録商標)EC300J、Ketjenblack(登録商標)EC600J(Akzo社より)、Prinrex(登録商標)XE(Degussa社より)又はBlack Pearls(登録商標)2000(Cabot社より)、ケッチェンブラック(ライオン(株)製)の名称で、商業的に入手可能である。
光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合には、紫外(UV)光などを利用した光架橋ではなく、熱架橋の方が膜の硬化性の点で好ましく、後述する好ましい併用成分である重合開始剤である(c)有機過酸化物と組み合わせて用いることで、彫刻感度が極めて高くなるのでより好ましい。
本発明の最も好ましい態様としては、重合開始剤である(c)有機過酸化物と光熱変換剤であるカーボンブラックとを組み合わせて用いた態様を挙げることができる。
前記光熱変換剤の含有量としては、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の全質量に対し、0.01〜25質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%が特に好ましい。
<架橋剤>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、架橋構造を有することが好ましい。架橋構造を有することにより、印刷版としての強度に優れ、印刷版の耐刷性や寸法安定性に優れる。
前記架橋構造は、シート状印刷版原版又はシート状印刷版の少なくとも1層に有していればよく、印刷版原版のレリーフ形成層(記録層)、又は、印刷版のレリーフ層に少なくとも有していることが好ましい。
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版が架橋構造を有するには、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の作製に、ポリビニルアルコール類及び架橋剤を含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、公知の架橋剤を用いることができるが、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(「モノマー」ともいう。)が好ましく挙げられ、エチレン性不飽和基を2以上有する重合性化合物(「多官能モノマー」ともいう。)が好ましく挙げられる。
また、ポリビニルアルコールと架橋剤とを連結させる目的として、ヒドロキシ基に対し反応性の基と、エチレン性不飽和基との両方を有するモノマーを添加することができる。
本発明に用いることができるエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)は、エチレン性不飽和基を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個有する化合物の中から任意に選択することができる。
また、本発明に用いることができるエチレン性不飽和基を有する重合性化合物は、2以上の(メタ)アクリル基を有する化合物であることが好ましく、2以上の(メタ)アクリロキシ基を有する化合物であることがより好ましい。
以下、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物として用いられる、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能モノマー、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する多官能モノマーについて説明する。
多官能モノマーの分子量としては、200〜2,000であることが好ましい。
単官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と一価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と一価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルが例示できる。
その具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が例示できる。
メタクリル酸エステルとして、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が例示できる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が例示できる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が例示できる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が例示できる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が例示できる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系の多官能エチレン性不飽和化合物の例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加多官能モノマーも多官能エチレン性不飽和化合物として好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、下記式(A)で示される水酸基を含有するエチレン性不飽和化合物を付加させた1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含有するウレタン系の多官能エチレン性不飽和化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (A)
(ただし、R及びR’は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド鎖を有するウレタン系の多官能エチレン性不飽和化合物も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する多官能エチレン性不飽和化合物類を用いることにより、短時間で架橋した樹脂組成物を得ることができる。
その他の多官能エチレン性不飽和化合物の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
ポリビニルアルコールと架橋剤とを連結させる目的で用いられる、ヒドロキシ基に対し反応性の基と、エチレン性不飽和基との両方を有するモノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ化合物、トリエトキシシリルプロピルメタクリレートなどのアルコキシシリル化合物、カレンズMOI(昭和電工(株)製)などのイソシアネート化合物が挙げられる。
前記架橋剤の含有量としては、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の作製に用いる樹脂組成物の全固形分量に対し、0.1〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、2〜30質量%が特に好ましい。
<重合開始剤>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の作製に、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含有する樹脂組成物を用いる場合、更に重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は、公知のものを制限なく使用することができる。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
重合開始剤としては、光重合開始剤と熱重合開始剤とに大別することができる。
光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の開始剤を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物が挙げられる。また、これらのラジカル重合開始剤は、特開2008−19408号公報に記載されたものが挙げられる。
また、光重合開始剤の具体例は、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Reviews, 93, 435 (1993)や、R. S. Davidson著、Journal of Photochemistry and Biology A: Chemistry, 73, 81 (1993)や、J. P. Faussier "Photoinitiated Polymerization - Theory and Applications": Rapra Review, vol.9, Report, Rapra Technology (1998)や、M. Tsunooka et al., Prog. Polym. Sci., 21, 1 (1996)に多く記載されている。また、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照、に化学増幅型フォトレジストに利用される化合物が光重合開始剤として多く記載されている。更には、F. D. Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990)、G. G. Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993)、H. B. Shuster et al, J. Am. Chem. Soc., 112, 6329 (1990)、I. D. F. Eaton et al, J. Am. Chem. Soc., 102, 3298 (1980)等に記載されているような、増感剤の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的又は還元的に結合解裂を生じる化合物群も、光重合開始剤として知られている。
また、光重合開始剤として具体的には、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキシサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジアセチル、メチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、アントラキノン、及び、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が例示できる。
本発明では、架橋度を向上させる観点から、熱重合開始剤が好ましく用いられる。熱重合開始剤としては、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物が好ましく用いられ、(c)有機過酸化物がより好ましく用いられる。特に、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤として、好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤として、好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
本発明における重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
重合開始剤の含有量は、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の作製に用いる樹脂組成物の全固形分量に対し、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
<溶剤>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の作製に用いる樹脂組成物を調製する際に用いる溶剤は、水又は水混和性溶剤であることが好ましく、水又はアルコール類であることがより好ましく、水が特に好ましい。
水混和性溶剤の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが好ましく挙げられる。
<その他の添加剤>
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、前述したもの以外に、公知の添加剤を含有していてもよい。
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースや高熱伝導性物質を加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。高熱伝導性物質は、熱伝達を補助する目的で添加され、熱伝導性物質としては、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい。導電性ポリマーとしては、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェンが挙げられる。
また、共増感剤を用いることで、樹脂組成物を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。
更に、組成物の製造中又は保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが好ましい。
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版は、着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
更に、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
−溶着工程−
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版の両端部を、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液により溶着させる溶着工程を含む。
前記溶着工程において、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の両端部を溶着させる方法としては、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液を使用する以外には特に制限はなく、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の両端部に溶媒で塗布してもよいし、蒸気やミストとして噴霧してもよい。また、これによって前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の両端部を前記液により溶解させ、乾燥後に平坦にしてもよいし、予め前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の両端部を前記液により膨潤させ、これを密着、乾燥させることで接合してもよい。
また、前記溶着工程において、膜厚均一性の観点から、へら等の均し手段により前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の両端部の溶着時又は両端部を溶着した後、当該接合部分表面を均すことが好ましい。
前記溶着工程における前記液は、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。上記態様であると、前記両端部を十分溶解及び/又は膨潤させることができ、また、膜厚均一性に優れた印刷版を容易に得ることができる。
本発明に用いられるポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒としては、例えば、溶媒ハンドブック((株)講談社サイエンティフィク)に記載の溶媒を用いることができる。
前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の両端部を溶解又は膨潤させるため、親水性溶媒が好ましく用いられるが、溶解性や蒸発速度制御のため、2種以上の溶媒を混ぜることができる。
ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒としては、水、アルコール類、エステル類、エーテル類及びケトン類よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、。水及び/又はアルコール類であることがより好ましい。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、メトキシプロパノールが好適に用いられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロパン酸メチル、メトキシプロピルアセテートが好適に用いられる。
エーテル類としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルが好適に用いられる。
ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンが好適に用いられる。
これらの中でも、前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版の溶解性及び膨潤性を確保するために、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類又はこれらの混合物が好適に用いられ、水、アルコール類又はこれらの混合物がより好適に用いられる。
溶媒を混合して用いる場合、その比率は特に限定されないが、例えば、水−エタノールの混合溶媒の場合、水が100質量%未満10質量%以上のものが好適に用いられる。
本発明に用いる前記液の温度は、特に限定されないが溶解性及び膨潤性を確保するため、又は、蒸気として噴霧するために、高温に熱してもよい。
また、本発明における前記液に、接合部の強度を補強する目的で、感光性を有しない樹脂成分を混合させることができる。好適にはポリビニルアルコール類を10〜30質量%混合させると、乾燥後の膜厚均一性が向上する。
また、本発明における前記液の前記シート状印刷版原版又はシート状印刷版への浸透性を向上させる目的で、前記液へ界面活性剤を含有させてもよい。
前記液における界面活性剤の含有量は、0.1〜1.0質量%であることが好ましい。
−クッション層形成工程−
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、前記円筒状支持体上又は前記シート状印刷版原版若しくは前記シート状印刷版の円筒状支持体に貼り付ける面にクッション層を形成するクッション層形成工程を含むことが好ましい。
また、本発明の円筒状印刷基材は、円筒状支持体と、シート状印刷版原版又はシート状印刷版との間にクッション層を形成することもできる。
クッション層としては、発泡ポリウレタン等のエラストマー、ショアA硬度が好ましくは20度以上70度以下、より好ましくは20度以上50度以下のエラストマー等を用いることができる。
−乾燥工程−
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、前記溶着工程の後に、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版を乾燥する乾燥工程を含むことが好ましい。
前記乾燥工程において、前記溶着工程で使用したポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液中の揮発成分を揮発させることにより、得られる円筒状印刷基材の不要な変形などを抑制し、膜厚均一性に優れた円筒状印刷基材が得られる。
前記乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限はなく、公知の方法により乾燥を行えばよいが、加熱による乾燥方法が好ましく挙げられる。加熱温度や加熱時間は、使用したポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液の成分や量に応じ、適宜選択すればよい。
−厚さ調整工程−
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、厚みの均一性を向上させる目的で、前記溶着工程の後に、形成された円筒状印刷基材溶着部の厚さを調整する調整工程を含むことが好ましく、前記乾燥工程の後に、形成された円筒状印刷基材の厚さを調整する調整工程を含むことがより好ましい。
本発明の円筒状印刷基材の製造方法においては、円筒状印刷基材の厚さを調整することもできる。
円筒状印刷基材の厚さは、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版の厚さ以下に調整することが好ましい。
厚さを調整する方法は、特に制限はなく、公知の方法により行うことができるが、刃物で削り取る方法、グラインダー等の装置を用いて削る方法等を好ましく挙げることができる。
−加熱処理工程、照射工程−
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、前記貼付工程の前に、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版を加熱する加熱処理工程、又は、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版に活性光線を照射する照射工程を含むことが好ましい。
前記シート状印刷版原版が未だ未架橋であり、かつ架橋剤を含有する場合に、本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、前記貼付工程の前に、前記シート状印刷版原版を加熱する加熱処理工程、又は、前記シート状印刷版原版に活性光線を照射する照射工程を含むことが特に好ましい。
前記加熱処理工程における加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、記録層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、前記加熱処理工程を含むことが好ましい。
前記照射工程に用いる光としては、可視光、紫外光又は電子線が挙げられるが、紫外光が最も好ましい。
前記照射工程に用いることができる光源としては、特に限定するものではないが、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアークランプ、ケミカルランプ、殺菌灯等を挙げることができる。また、複数種類の光源を組み合わせて使用することもできる。更に、狭い範囲の前記シート状印刷版原版を光硬化させる場合には、光ファイバー等を用いて導いたスポット状の光を照射することもできる。
本発明の円筒状印刷基材の製造方法は、前述した工程以外にも、必要に応じ、公知の工程を含んでいてもよい。
本発明の円筒状印刷基材の製造方法により得られた円筒状印刷基材は、レーザー彫刻用円筒状印刷版原版又はレーザー彫刻により得られた円筒状印刷版として好適に用いることができる。
レーザー彫刻は、記録層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、記録層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
レーザー彫刻には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、記録層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、記録層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で記録層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
レーザー彫刻に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましく、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が特に好ましい。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明におけるレーザー彫刻には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、「実用レーザー技術」電子通信学会編著等に記載されている。
また、好適に使用し得るファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載されている装置を例示できる。
レーザー彫刻に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を行ってもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
前記工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻された記録層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じて記録層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
本発明に用いることができるリンス液のpHは9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましく、12.5以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、レリーフ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。なお、本発明において、アミンオキシド化合物のN=O、及び、ホスフィンオキシド化合物のP=Oの構造はそれぞれ、N+−O-、P+−O-と見なすものとする。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の円筒状印刷基材の製造方法により得られた円筒状印刷基材は、フレキソ印刷機による油性インキ又はUVインキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<シート状印刷原版の作製>
クラレポバールPVA−420(ポリビニルアルコール、ケン化度78.0〜81.0mol%、(株)クラレ製)50質量部、クラレポバールPVA−117(ポリビニルアルコール、ケン化度98.0〜99.0mol%、(株)クラレ製)20質量部、グリセリン(東京化成工業(株)製)30質量部に対し、水100質量部を室温(25℃)で添加し、1時間かけて100℃まで昇温後、100℃で2時間撹拌を行った。この操作により、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)を得た。
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さがおよそ1mmのレリーフ形成層を設け、シート状印刷原版1を作製した。
<円筒状印刷基材の作製>
内径213.384mm、幅300mm、厚さ2.00mmのガラス繊維強化プラスチック製の円筒状支持体上に、上記で得られたレーザー彫刻可能なシート状印刷原版1を気泡が入らないように貼り付けた。円筒状物の上に貼り付けられたシート状印刷原版の両端部の接合部位には、幅5mmの凹部からなる継ぎ目が存在した。
幅5mmの凹部からなる継ぎ目(深さは、レーザー彫刻可能な樹脂層の厚さ1.7mmとPETフィルムの厚さ0.125mmとの合計となる、1.825mmであった。)に、20質量%エタノール水溶液を、前記凹部の深さ1.825mmに対し、液厚み1.900mm以上となるよう、刷毛を用いて塗布し前記継ぎ目を埋め、1分間放置した。
同様に液塗布−放置の操作を3回繰り返したのち、100℃で1時間乾燥を行い、円筒状印刷基材1(レーザー彫刻用印刷原版1)を得た。
<接合強度の評価>
得られた円筒状印刷基材から、接合部を切り出し、PETフィルムを剥離した後、JIS K6251−1993の方法に従い、ダンベル状3号形を用い引張試験を行い、引張強さを評価した。引張強さが大きい程、シート接合性に優れ、引張強さが小さい程、シート接合性に劣る。
<接合部の膜厚均一性の評価>
得られた円筒状印刷基材から、接合部を切り出し、表面粗さ測定機(サーフコム480B:(株)東京精密製)を用いて、繋ぎ目に対して垂直方向に膜厚のバラツキを測定し、膜厚の最大値と最小値との差を数値化した。値が小さいほど、膜厚均一性(スリーブ均一性)が高い。
(実施例2〜10、並びに、比較例1〜4及び7)
下記表1に示すレリーフ形成層組成及び溶着用液に変更し、また、以下に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして、各円筒状印刷基材を作製し、評価を行った。
実施例2:光開始剤として、IRGACURE 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製))を、表1の組成100質量%に対し、2.0質量%となるように更に添加した。
塗布液にエチレングリコールジメタクリレートを使用した場合は、実施例1におけるレリーフ形成層用塗布液1に更に、エチレングリコールジメタクリレート(1G:新中村化学工業(株)製)を、表1の組成100質量%に対し、20質量%となるように添加した。
また、カーボンブラックを使用した場合は、実施例1におけるレリーフ形成層用塗布液1に更に、親水性カーボンブラック(Aqua−Black162、東海カーボン(株)製)を、表1の組成100質量%に対し、10質量%となるように添加し、遊星式撹拌・脱泡装置(マゼルスター、倉敷紡績(株)製)により撹拌条件(8・8)で240秒撹拌後、更に脱泡条件(8・0)で240秒撹拌を行い、レリーフ形成層用塗布液を得た。
また、加熱処理は、得られたシート状印刷原版を、60℃で6時間加熱した後、100℃で2時間加熱処理を行った。
光照射は、得られたシート状印刷原版に対し、メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製、商標「M056−L21」)の紫外線を4,000mJ/cm2(UVメーター((株)オーク製作所製、商標「UV−M02」)とUV−35−APRフィルター((株)オーク製作所製、商標「UV−35−APRフィルター」とを用いて積算したエネルギー量)照射し、シート状印刷原版を作製した。
(比較例5及び6)
<シート状印刷原版の作製>
フェノキシエチルメタクリレート55質量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート42質量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン3質量部を加えて液状の感光性樹脂組成物を作成した。得られた感光性樹脂組成物を、シート状支持体である厚さ125μmのPET上にドクターブレードを用いて塗布し、シート状の感光性樹脂組成物層を形成した。更にその後、得られた感光性樹脂組成物層にメタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製、商標「M056−L21」)の紫外線を4,000mJ/cm2(UVメーター((株)オーク製作所製、商標「UV−M02」)とUV−35−APRフィルター((株)オーク製作所製、商標「UV−35−APRフィルター」とを用いて積算したエネルギー量)照射し、シート状印刷原版を作製した。
各実施例及び比較例の評価結果を、以下の表1にまとめて示す。
Figure 2014046623
表1中のレリーフ形成層組成欄における数値の単位は、質量%である。
また、前述した以外の表1に記載の成分の詳細は、以下の通りである。
KL−506:ポリビニルアルコール、ケン化度74.0〜80.0mol%、クラレポバールKL−506、(株)クラレ製
ポリアクリル酸:アクアリックH AS、(株)日本触媒製
フェノキシエチルメタクリレート:サートマーSR340、サートマー社製
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート:サートマーSR604、サートマー社製
XA7416:加熱硬化型エポキシ接着剤、3M社製
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン:東京化成工業(株)製
デカン:ポリビニルアルコール類を溶解できない炭化水素系溶媒、三協化学(株)製

Claims (14)

  1. ポリビニルアルコール類を30〜100質量%含有するシート状印刷版原版又はシート状印刷版をその両端部を突き合わせて円筒状支持体上に貼り付ける貼付工程、及び、
    前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版の両端部を、ポリビニルアルコール類を溶解可能な溶媒を含有する液により溶着させる溶着工程、を含むことを特徴とする
    円筒状印刷基材の製造方法。
  2. 前記液が、前記溶媒を90質量%以上含む、請求項1に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  3. 前記溶媒が、水、アルコール類、エステル類、エーテル類及びケトン類よりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  4. 前記溶媒が、水及び/又はアルコール類である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  5. 前記液が、ポリビニルアルコール類を更に含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  6. 前記円筒状支持体上又は前記シート状印刷版原版若しくは前記シート状印刷版の円筒状支持体に貼り付ける面にクッション層を形成するクッション層形成工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  7. 前記溶着工程の後に、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版を乾燥する乾燥工程、及び、形成された円筒状印刷基材溶着部の厚さを調整する調整工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  8. 前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版が、可塑剤を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  9. 前記可塑剤が、多価アルコール類である、請求項8に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  10. 前記可塑剤が、グリセリンである、請求項8又は9に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  11. 前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版が、光熱変換剤を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  12. 前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版が、架橋構造を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  13. 前記貼付工程の前に、前記シート状印刷版原版又は前記シート状印刷版に活性光線を照射する照射工程を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
  14. 前記円筒状印刷基材が、レーザー彫刻用円筒状印刷基材である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の円筒状印刷基材の製造方法。
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