JP2015066853A - レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版の製版方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、かつ、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層、並びに、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、及び、これをレーザー彫刻して製版されたフレキソ印刷版。
【選択図】 なし
Description
このレリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する方式に用いられるレーザーは高出力の炭酸ガスレーザーに加え、安価で小型の半導体レーザーが開発され使用されてきている。これらのレーザーを用いた彫刻により発生したレリーフ形成層の彫刻カスは、リンス工程又は水洗工程などで除去されるが、彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版として特許文献1及び2が開示されている。
特許文献2は、(成分A)重合性化合物及び(成分B)熱重合開始剤を含有する熱硬化性層を形成する熱硬化性層形成工程、25℃、1気圧下における酸素透過性が30ml/m2・day・atm以下の酸素遮断フィルムを該熱硬化性層に積層する積層工程、及び、該熱硬化性層を熱硬化させる熱硬化工程を有することを特徴とする、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法を開示している。
また、本発明者は、公知のラジカル重合により硬化させるレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版においては、レーザー彫刻するレリーフ形成層の版胴側にクッション層を設けた場合に、その界面で大気中の酸素により重合性不飽和化合物の硬化反応が阻害され、充分な硬化が行われない問題があることを見出した。
本発明が解決しようとする課題は、レーザー彫刻するレリーフ形成層の版胴側にクッション層を設けた場合に、その界面における接着が充分であり、また、レーザー彫刻されたレリーフ層が変形しにくい、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版を提供することである。
<1>酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、かつ、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層、並びに、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<2>上記硬化性樹脂組成物の硬化層が更に(成分D)光熱変換剤を含有する、<1>に記載のフレキソ印刷版原版、
<3>成分Dがカーボンブラックである、<2>に記載のフレキソ印刷版原版、
<4>上記樹脂層がエラストマーを含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版原版、
<5>上記樹脂層が、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、可塑化したポリビニルアルコール、及び、可塑化したエチレン−ポリビニルアルコール共重合体よりなる群から選ばれた、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版原版、
<6>上記樹脂層の膜厚が0.1〜1.6mmである、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版原版、
<7>上記硬化性樹脂組成物が、20℃においてプラストマーである樹脂及び多官能エチレン性不飽和化合物を含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版原版、
<8>仮の支持体上に、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物層を形成する工程、酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、かつ、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層を上記硬化性樹脂組成物層の上に形成する工程、上記硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、並びに、上記仮の支持体を剥離して、基材を上記樹脂層の上に積層する工程、をこの順に含むことを特徴とする、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<9>上記樹脂層を形成する工程が、シート状の樹脂層を上記硬化性組樹脂成物層の上に貼り付ける工程である、<8>に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法、
<10><1>〜<7>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版原版を準備する工程、及び、 上記フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する工程を含む、フレキソ印刷版の製版方法。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、かつ、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層、並びに、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とし、これらの層が基材上に順次積層されていることが好ましい。
ここで、「基材」には、上記硬化層及び上記樹脂層と共に流通する材料であってもよく、また、製版時に上記樹脂層及び上記樹脂層を一体として版胴に取り付ける際の版胴であってもよい。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の上記架橋レリーフ形成層をいう。
また、本発明において「レリーフ形成層」とは、上記の硬化性樹脂組成物の硬化後の層を指す。
本発明において硬化性を有する樹脂組成物は、熱及び/又は光により硬化された、好ましくは、熱により硬化された層であることが好ましい。上記の硬化反応は、成分Aの成分Bによるラジカル的な付加反応に基づく。
また、樹脂層は、ショアA硬度が20°〜70°であり、レリーフ印刷版のレリーフの変形が低減される。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
質量部は重量部と同義であり、質量%は重量%と同義である。
なお、本発明において1つ以上の好ましい態様の組み合わせは更に好ましい態様である。
また、「(成分A)エチレン性不飽和化合物」等を単に「成分A」等ともいう。
樹脂層、及び、硬化性樹脂組成物の硬化層がこの順に、基材上に、積層されていることが好ましい。以下に、硬化層、樹脂層、及び、基材について、詳しく説明する。
本発明のフレキソ印刷版原版は、レーザー彫刻型であり、レーザー光により最外層の硬化性樹脂組成物の硬化層がレリーフ形成層として機能する。
硬化性樹脂組成物は、必須成分として、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び(成分C)バインダー、を含有する。この硬化性樹脂組成物の硬化層がレリーフ形成層となる。なお、硬化する手段としては、熱硬化及び/又は光硬化が含まれ、熱硬化であることが好ましい。硬化反応は、付加重合性の化合物である成分Aを成分Bの重合開始作用により重付加することにより得られる。成分Cは、結着剤であり、成分A及び成分Bと相溶性のある樹脂が好ましく使用される。
硬化性樹脂組成物の必須成分である成分A〜成分Cについて以下に説明する。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、必須成分として、(成分A)エチレン性不飽和化合物を含有する。エチレン性不飽和化合物としては特に制限がなく、当業者に公知の化合物が用いられ、好ましくは、分子末端に少なくとも一個のエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性の化合物が用いられる。エチレン性不飽和化合物は、1分子内にエチレン性不飽和基を1つのみ有する、単官能エチレン性不飽和化合物と、1分子内にエチレン性不飽和基を2以上有する、多官能エチレン性不飽和化合物に大別される。単官能エチレン性不飽和化合物及び多官能エチレン性不飽和化合物については、後に例示するが、これらの2種のエチレン性不飽和化合物を併用することが好ましい。
エチレン性不飽和化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族1価アルコール化合物又は脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族1価アミン化合物又は脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能又は、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン原子や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
不飽和カルボン酸の誘導体であるエチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体があり、この他に、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物類等も好ましく用いられる。
前述のエステル系のモノマーは混合物としても使用することができる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (I)
(ただし、R及びR'は、H又はCH3を示す。)
単官能及び多官能のエチレン性不飽和化合物を併用する場合、その配合比は、1:9〜9:1であることが好ましく、1:4〜4:1であることがより好ましい。この配合比率であると、適当な硬化感度及び適切な硬化度が得られる。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、(成分B)重合開始剤を含有する。重合開始剤としては特に制限はなく、当業者に公知のものを制限なく使用することができる。好ましくは、ラジカル重合開始剤が挙げられ、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤が使用され、熱重合開始剤が好ましく使用される。以下に好ましく使用される熱重合開始剤について詳述する。
熱重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル系が好ましく例示される。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を好ましく挙げることができる。
成分Bの含有量は、成分Aの全質量に対し0.01〜15質量%が好ましく、0.02〜10質量%がより好ましい。重合開始剤の含有量を0.01質量%以上とすることにより、その添加効果が得られ、硬化性樹脂組成物の硬化が速やかに行われる。また、含有量を15質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、フレキソ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られる。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、(成分C)バインダーを含有する。バインダーとしては、エラストマーでもプラストマーであってもよい。
本発明において「プラストマー」とは、高分子学会編「新版高分子辞典」(日本国、朝倉書店、1988年発行)に記載されているように、加熱により容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味する。プラストマーは、エラストマー(外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するもの)に対する言葉であり、エラストマーのような弾性変形を示さず、容易に塑性変形するものである。
成分Cとしては、20℃においてプラストマーであることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であるバインダーポリマーが好ましい。即ち、エラストマーとは、一般的に、ガラス転移温度が常温以下のポリマーであるとして学術的に定義されている(科学大辞典 第2版、編者 国際科学振興財団、発行 丸善株式会社、P154参照)。従って、プラストマーとはガラス転移温度が常温を超える温度であるポリマーを指す。バインダーポリマーのガラス転移温度の上限には制限はないが、200℃以下であることが取り扱い性の観点から好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。
分子内に反応性基を有するバインダーポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。以下に、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーについて説明する。
非エラストマー性バインダーとして用いることができるポリビニルアセタールとしては、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる。)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。また、ポリビニルアセタール誘導体は、上記ポリビニルアセタールを変性したり、他の共重合成分を加えたものである。
ポリビニルアセタール誘導体中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール誘導体中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%が更に好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、更に、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール誘導体(PVB)が好ましい。
ポリビニルブチラールは、通常、ポリビニルアルコールをブチラール化して得られるポリマーである。また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
ポリビニルブチラール誘導体の例として、水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基等の酸基に変性した酸変性PVB、水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入した変性PVB等が挙げられる。
ポリビニルアセタールの分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましい。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
ポリビニルブチラールの構造は、以下に示す通りであり、これらの構成単位を含んで構成される。
PVB誘導体を特定ポリマーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶剤に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜表面の平滑性の観点で好ましい。
非エラストマー性バインダーとして用いることができるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
更に、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらの中でも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類がより好ましい。
また、非エラストマー性バインダーとして、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂であるノボラック樹脂を好ましく用いることができる。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい。)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
非エラストマー性バインダーとして、ヒドロキシル基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000であり、かつ、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
本発明における非エラストマー性バインダーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、上記いずれの態様のポリマーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
一般ポリマーは、上記非エラストマー性バインダーと共に、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版に含有される硬化性樹脂組成物を構成するものであり、非エラストマー性バインダーに包含されない一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を使用することができる。特に、レリーフ形成版原版を印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮してバインダーポリマーを選択することが必要である。
本発明で使用される硬化性樹脂組成物における成分Cの含有量は、塗膜の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、硬化性樹脂組成物の固形分全質量に対し、2〜95質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましい。
本発明において、成分Cとして、(成分C−1)20℃においてプラストマーであり、かつ、主鎖末端にエチレン性不飽和基を有しないポリイソプレンを使用することができる。成分Cとして、主鎖末端にエチレン性不飽和基を有するバインダーを使用すると、架橋後の主鎖の運動性が抑制される結果、ガラス転移温度が上昇して、フレキソ印刷に必要なゴム弾性が損なわれ、良好なインキ転移性が得られないという懸念がある。主鎖内部であれば主鎖末端ほどの運動性の低下は生じないと予想され、ガラス転移温度が上昇しにくい。
また、成分C−1としては、上市されているポリイソプレン、ポリイソプレンポリオールを使用することもでき、例えば、クラプレンLIRシリーズ((株)クラレ製)が例示される。
これらの中でも、20℃においてプラストマーであることが必要である観点から、1,4−付加体が主成分であることが好ましく、cis−1,4−ポリイソプレンが主成分であることがより好ましく、cis−1,4−ポリイソプレンが80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
本発明において、成分Cとして、(成分C−2)20℃においてプラストマーであり、かつ、主鎖末端にエチレン性不飽和基を有しないポリブタジエンを使用することができる。成分C−2が主鎖末端にエチレン性不飽和基を有すると、架橋後の主鎖の運動性が抑制される結果、ガラス転移温度が上昇して、フレキソ印刷に必要なゴム弾性が損なわれ、良好なインキ転移性が得られないという懸念がある。主鎖内部であれば主鎖末端ほどの運動性の低下は生じないと予想され、ガラス転移温度が上昇しにくい。
成分C−2としては、上市されているポリブタジエン、ポリブタジエンポリオールを使用してもよく、例えば、クラプレンLBRシリーズ((株)クラレ製)、Poly bd(出光興産(株)製)等が例示される。
これらの中でも、20℃においてプラストマーであることが必要である観点から、1,4−付加体が主成分であることが好ましく、trans−1,4−ポリブタジエンが主成分であることがより好ましい。
本発明において、成分Cとして(成分C−3)20℃においてプラストマーであり、かつ、主鎖内部にエチレン性不飽和基を有し、主鎖末端にエチレン性不飽和基を有しない不飽和ポリエステルウレタンを使用することができる。成分C−3が主鎖末端にエチレン性不飽和基を有すると、架橋後の主鎖の運動性が抑制される結果、ガラス転移温度が上昇して、フレキソ印刷に必要なゴム弾性が損なわれ、良好なインキ転移性が得られないという懸念がある。主鎖内部であれば主鎖末端ほどの運動性の低下は生じないと予想され、ガラス転移温度が上昇しにくい。
不飽和ジカルボン酸の具体例としてはマレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としてはフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4'−ビスフェニルジカルボン酸が挙げられ、脂環族ジカルボン酸の具体例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸が挙げられ、脂肪族カルボン酸の具体例としてはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、セバシン酸、が挙げられる。
また、これらのジアルキルエステルを使用してもよい。
アルキレンジオールの具体例としてはエチンレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられ、ポリオキシアルキレングリコールの具体例としてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが挙げられる。
また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用いることもできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。また、水との共反応により得られるビュウレット型並びにイソシアヌレート型のポリイソシアネートを用いることもできる。
イソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、成分Cは、成分C−1又は成分C−3であることが好ましく、成分C−3であることが更に好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、SBS(スチレンブタジエンスチレン共重合体)、SIS(スチレンイソプレンスチレン共重合体)、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体)等が使用できる。具体的にはシェル社製「カリフレックス」、「クレイトンG」、旭化成(株)製「タフプレン」、日本エラストマー社製「ソルプレン」、住友化学(株)製「住友TPE」、三菱化学(株)製「ラバン」が例示される。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、具体的にはモンサント社製「サントプレン」、Ferra社製「Fcrroflex」、三井化学(株)製「ミラストマー」が挙げられる。
更に、ウレタン系熱可塑性エラストマーとして、具体的にはDIC(株)製「パンデックス」、日本ミラクトラン(株)製「エラストラン」、日本ポリウレタン工業(株)製「パラプレン」、住友バイエル(株)製「デスモパン」が例示される。
エチレン系熱可塑性エラストマーとして、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレンアクリル酸共重合体)等が使用できる。
熱可塑性エラストマーとしては、その他、RB(JSR(株)製の1,2ポリブタジエン)や塩素化ポリエチレン等を用いることもできる。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、成分A〜Cに加え更に、(成分D)光熱変換剤を好ましく使用することができる。成分Dは、700nm以上1,300nm以下の波長を吸収することが好ましく、このために、上記波長域のレーザー光を吸収し、発熱して本発明のフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層の熱分解を促進し、レーザー彫刻における感度を向上させると考えられる。成分Dは、700nm以上1,300nm以下の赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、赤外線吸収剤として好ましく用いられる。
成分Dの具体的化合物として、波長700nm以上1,300nm以下に吸収極大を有していれば特に制限されないが、染料又は顔料が好ましく挙げられる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましい。
ここでいうカーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなども包含される。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして、レリーフ形成層組成物の調製に使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
本発明においては、比較的低い比表面積及び比較的低いジブチルフタレート(DBP)吸収を有するカーボンブラックや比表面積の大きい微細化されたカーボンブラックまでを使用することも可能である。
好適なカーボンブラックの市販品の例としては、Printex U(登録商標)、Printex A(登録商標)又はSpezialschwarz 4(登録商標)(いずれもDegussa社製)、シースト600 ISAF−LS(東海カーボン(株)製)、旭#70(N−300)、旭#80(N−220)(旭カーボン(株)製)等が挙げられる。
このようなカーボンブラックの選択については、例えば、「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
カーボンブラックの吸油量が150ml/100g未満のものを用いるとレリーフ形成層中で良好な分散性が得られるため好ましい。一方、カーボンブラックのDBP吸油量が150ml/100g以上のものを用いた場合には、レリーフ形成層用塗布液への分散性が悪くなる傾向があり、カーボンブラックの凝集が生じやすくなるため、感度の不均一などが生じ、好ましくない。また、凝集防止のため、塗布液作製時に、カーボンブラックの分散を強化する必要がある。
成分Dの体積平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定できる。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物及び/又は樹脂層には、その用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
硬化性樹脂組成物には、上記の基本成分の他に組成物の製造中或いは保存中においてエチレン性不飽和結合化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加してもよい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、熱重合性樹脂組成物の全質量に対して0.01質量%以上10質量%%以下が好ましい。
充填剤としては有機化合物、無機化合物、或いはこれらの混合物のいずれでもよい。例えば、有機化合物としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛などが挙げられる。無機化合物としては、シリカ、アルミナ、アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明のフレキソ印刷版原版は、熱硬化性樹脂組成物の硬化層の基材側に、樹脂層を有する。以下、この樹脂層について説明する。
この樹脂層は、酸素透過係数が低く、かつ、クッション性を有する素材である。クッション性とは、レリーフ形成層をささえる弾力を有する意味であり、印刷版として使用したときに印刷の押圧を少なくする作用を有する。
樹脂層のショアA硬度は20°〜70°である。ショアA硬度は、JIS K6253に規定のショアA硬度に基づいて測定したものであり、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる。)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するタイプAデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。なお、試験片は、厚さ1mmを6枚重ねたものを使用し、測定温度は25℃とする。
また、樹脂層の25℃における酸素透過係数に関しては、15cm3・cm/m2・day・atm以下である。酸素透過係数は、実施例に記載した方法により測定される。
酸素透過係数を上記範囲とすることにより、硬化性樹脂組成物を硬化する際に、硬化性樹脂組成物(硬化してレリーフ形成層となる)と樹脂層とが接する界面での良好な接着が得られる。これは、熱硬化性樹脂層中の重合性化合物の重合反応が十分に進行し、硬化性樹脂組成物中のエチレン性不飽和化合物の付加重合反応が十分に進み、隣接する樹脂層との接着力を高めて、界面ににじみ出すエチレン性不飽和化合物が少なくなるためと推察される。
特定樹脂層の別の役割は、また、フレキソ印刷版において、レリーフ層と基材の中間において、レリーフ層を弾力的に支持することである。
特定樹脂層に使用されるゴム系材料には、ブチルゴム(IIR)、多硫化ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴムが例示され、クロロプレンゴム(ネオプレン、CR)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等も用いることができる。これらの中でも、ブチルゴム(IIR)、高ニトリルゴム(NBR)、及び、エピクロルヒドリンゴムが好ましい。
また、樹脂層に使用するゴム系材料は、上記ゴム組成物の配合から、加硫剤及び加硫助剤を除いた未加硫ゴムであってもよい。
ブチルゴムは市販品として入手でき、日本ブチル(株)製Buty268、CHLOROBUTYL1066、Buty268が例示される。
ニトリルゴムも市販品として入手でき、日本ゼオン(株)製Nipol DN003、 Nipol 1041、Nipol DN101が例示される。
ゴム系材料には、ゴム工業界で一般に用いられている加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、充填剤等を適宜配合することができる。更に、充填剤としてカーボンブラックを配合してもよい。
ゴム系材料は、既述の通りであり、可塑化した水溶性高分子は以下に説明する。
上記ポリビニルアルコールの親水性樹脂層中における含有量は、固形分換算で0質量%以上100質量%以下の範囲であり、50〜100質量%の範囲が好ましく、75〜100質量%の範囲がより好ましい。
ポリビニルピロリドンを構造単位として含む高分子を用いる場合、ビニルピロリドン単位構造の親水性樹脂層中に占める割合には特に制限はないが、好ましくは5〜100質量%であり、更に好ましくは10〜50質量%の範囲である。
PVPの含有量に対するPVAの含有量の質量比率(PVA/PVP)は、0.5以上10以下が好ましく、4以上10以下が特に好ましい。
ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物は、その中に含まれる水酸基により形成される水素結合のために、単独では、ショアA硬度が高いので、適度に可塑化して樹脂層に使用することが好ましい。
可塑剤は、本発明に使用される樹脂層を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものが好ましい。可塑剤としては例えばジエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン、ポリグリセリン等があり、ポリグリセリンが好ましく、いずれも上記樹脂層の樹脂組成物の固形分(非揮発分)の全質量に対して10〜60質量%の添加量が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
ポリグリセリンは、グリセンリンの1−位及び3−位の水酸基がエーテル結合により縮合した構造を有し、その重合度は、平均10である。70%水溶液として市販されている。
可塑剤の添加量が多すぎると、酸素透過係数があがってしまい、硬化性樹脂組成物の硬化反応が阻害される傾向がある。逆に可塑剤の添加量が少なすぎると、樹脂層自体が硬くなってしまい、レリーフ形成層との密着が低下して、剥離しやすくなり、また、ショアA硬度が高くなりすぎる傾向がある。
本発明のレーザー彫刻型印刷版原版において、基材は、その上に樹脂層及び硬化性樹脂組成物の硬化層がこの順に積層される支持体である。寸度安定性に優れることが好ましく、シート状でも、円筒状でもよい。
本発明に係るレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版において、好ましい基材は、可撓性を有し、かつ、寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリブチレンテレフタレートフィルム、又はポリカーボネートを好ましく挙げることができる。基材の厚みは、50〜350μmであることが好ましく、100〜250μmであることがより好ましい。これらの数値範囲であると、原版の機械的特性、形状安定性又は印刷版製版時の取り扱い性等に優れるので好ましい。また、必要により、基材と樹脂層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。
また、本発明で用いる基材の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、樹脂層又は接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線或いは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
更に、本発明に使用される硬化性樹脂組成物、又は、樹脂層の着色を目的として染料又は顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。着色剤の添加量は上記樹脂層の樹脂組成物の全質量に対して0.5〜10質量%が好ましい。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、仮の支持体上に、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂組成物層を形成する工程、酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層を上記硬化性樹脂組成物層の上に形成する工程、並びに、上記硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、を含む。また、上記の工程の後に、上記仮の支持体を剥離して、印刷の際に使用する基材を上記樹脂層の上に積層する工程、をこの順に含む。
上記樹脂層を形成する工程は、シート状の樹脂層を上記硬化性組樹脂成物層の上に貼り付ける工程であることが好ましい。
以下に、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の説明において、説明のない事項を中心にして説明する。
最初の必須工程は、仮の支持体上に、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂組成物層を形成する工程である。
成分A〜成分Cについては、上述の通りである。これらの必須成分を含有する硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、これらの必須成分を溶解する溶媒を加えた溶液として仮の支持体上に塗布し、その後に、溶媒を除去して、硬化性樹脂組成物層としてもよい。
別法として、硬化性樹脂組成物の塗布液から溶媒を除去した後に、仮の支持体上に溶融押し出しする方法も採用できる。
各層の塗設は、1層ずつ行っても又は複数層同時に行ってもよいが、本発明においては、硬化性樹脂組成物を仮の支持体上に塗設した後に、樹脂層を塗設することが好ましい。
仮の支持体としては、可撓性を有し、かつ、寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを好ましく挙げることができる。支持体の厚みは50〜350μm、好ましくは100〜250μmが原版の機械的特性、形状安定性或いは印刷版製版時の取り扱い性等から好ましい。
仮の支持体は、硬化性樹脂組成物の硬化層を形成した後に、剥離するために、適度な接着力を有することが好ましい。
樹脂層に使用する材料については、既に説明した通りである。
この樹脂層は、仮の支持体上に形成された硬化性樹脂組成物の層の上に塗設されるか、又は、シート状に形成して積層することにより、形成される。シート状の樹脂層を積層する場合、樹脂層を上記の酸素透過係数とするために必要な厚さで設ける。
硬化する工程は、成分Bの重合開始能により、成分Aをラジカル重合して、硬化する工程である。上述のように、硬化性樹脂組成物が成分Dとしてカーボンブラックを含む場合など
は、熱重合開始剤を使用して、硬化させることが好ましい。なお、フレキソ印刷版を形成するために、レリーフ形成層は、硬化反応の後においても、フレキソ印刷に必要な柔軟性を備えている。
熱硬化させるための加熱手段としては、上記の積層物を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が例示できる。
硬化性樹脂組成物の層を熱硬化することにより、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフの断面形状がシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘稠性が抑制されるという利点がある。
仮の支持体と基材とは、同一でも異なっていてもよい。仮の支持体として、上記の基材と同一の種類の支持体を使用してもよい。なお、仮の支持体は、硬化性樹脂組成物の硬化反応において、空気中の酸素の影響を防止するために充分に低い酸素透過係数を有することが好ましい。
フレキソ印刷版原版表面への傷や凹み防止の目的で、フレキソ印刷版原版の最外表面に保護フィルムを必要に応じ設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。上記の仮の支持体を保護フイルムとしてそのまま使用してもよい。
また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、レリーフ形成樹脂組成物を孔に含浸させた後に硬化させることで、レリーフ形成樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。
クロス或いは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記のような本発明のフレキソ印刷版原版を準備する工程、及び、上記フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する工程を含む。
<レーザー彫刻工程>
レーザー彫刻工程においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線或いは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましいものの一つである。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3或いは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザーなど極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
また、本発明の凹凸パターンを形成した印刷版のレリーフ表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤或いはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、或いは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基、ジクロロシリル基、モノメトキシシリル基、モノエトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更にシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、或いは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、或いは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、上記レーザー彫刻工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているのを除去する目的と、親水性樹脂層を溶解除去する目的で、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面を洗浄するリンス工程を含むことが好ましい。
リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
また、本発明において、親水性樹脂層は好ましくはアルカリ可溶性樹脂であり、アルカリ性の水溶液をリンス液としてリンスすることがより好ましい。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。 また、リンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、リンス工程に次いで、更に、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。乾燥工程は、レーザー彫刻され、リンス工程で洗浄されたレリーフ層を乾燥する工程である。後架橋工程は、レーザー彫刻後のレリーフ層に更にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程である。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
なお、実施例中の添加量の部は質量部、%は質量%を表している。
本実施例及び比較例において使用した成分の詳細を下記に示す。
高ニトリルゴム:日本ゼオン(株)製 Nipol 1041 (AN 40%)
エピクロルヒドリンゴム:日本ゼオン(株)製Hydrin H75)
PVA:ポリビニルアルコール クラレ(株)製ポバールPVA403
エバール:エチレン−ビニルアルコール共重合体 (株)クラレ製エバールF101B
PETフィルム:東レ(株)製ルミラー S10
NR:タイガースポリマー(株)製 黒ゴム板40%<40>
PG:ポリグリセリン 四日市合成(株)製 PGL#800V
(硬化性樹脂組成物の調製)
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、成分Cとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール誘導体 Mw=9万)50部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部、エタノールを17部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、30分間撹拌した。その後、(成分A)エチレン性不飽和化合物(多官能)として“ライトアクリレート”14EG−A(ポリエチレングリコール600のジアクリレート、共栄社化学(株)製)を15部、他のエチレン性不飽和化合物(単官能)のラウリルメタクリレートとしてブレンマーLMA(日油(株)製)4部、(成分G)重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(商品名:パーブチルZ、日油(株)製)を1.0部を添加し、40℃で10分間撹拌した。この操作により、流動性のある硬化性樹脂組成物の塗布液1を得た。
次に第一層に、第二層(樹脂層)としてブチルゴム(タイガースポリマー(株)製 IIRシート ブチル板65 厚さ1mm)、をブチルゴムと第一層の間に空気が入らないように貼り付け、70℃のオーブンで3時間乾燥することにより、第一層の硬化を行った後、PETフィルムを剥がして、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1を得た。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、レーザー照射による彫刻を、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)KEYENCE製、波長:10.6μm)を用いて行った。印刷版原版のPETフィルムを剥がした面を、炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で彫刻した。
実施例1で用いたブチルゴムの代わりに、Nipol 1041(日本ゼオン(株)製)をホットプレス機((有)折原製作所製 G−12)で1mm厚に加工したシートを用いた以外は実施例1と同様の方法でレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版2を作製した。
実施例1で用いたブチルゴムの代わりに、エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン(株)製 HydrinH75)をホットプレス機((有)折原製作所製 G−12)で1mm厚に加工したシートを用いた以外は実施例1と同様の方法でレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版3を作製した。
水30質量部、エタノール25質量部に対し、クラレポバールPVA403 37質量部を添加し、室温で1時間撹拌後、60℃で3時間撹拌を行い、溶解させた。次にポリグリセリン(四日市合成(株)製PGL#800V) 15質量部を添加して樹脂層用塗布組成物4を得た。
上記レリーフ形成層に、樹脂層用塗布組成物4を液厚み2.0mmで塗布を行った後、60℃のオーブンで2時間、70℃のオーブンで3時間加熱乾燥を行い、1mm厚の樹脂層を設けた後、PETフィルムを剥がし、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版4を得た。
実施例4で用いたクラレポバールPVA403 37質量部の代わりにエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製エバールF101B)37質量部を用いた以外は同様の方法によりレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版5を得た。
比較例1は、実施例1において、ブチルゴムシートの代わりに、PETフィルム(東レ(株)製ルミラーS10)0.1mm厚を使用する以外は同様にして、比較用のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版C1を作製した。
実施例4でポリグリセリンを添加しない以外は同様の方法によりレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版C3を作製した。
実施例5でポリグリセリンを添加しない以外は同様の方法によりレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版C4を作製した。
酸素透過性の高いポリエチレンフィルム(富士フイルム(株)製「エバービュティーペーパー」の表面ゼラチン層を溶解除去することで作製したポリエチレンラミネート紙)に、作製した親水性樹脂層形成用塗布液を親水性樹脂層の厚みが1mmの厚みとなるように塗布乾燥又は貼り付けて、サンプルを作製した。JIS−K7126B及びASTM−D3985に記載の気体透過度試験方法に則り、モコン社製OX−TRAN2/21を用い、25℃、60%RHの大気圧環境下で酸素透過係数(cm3・cm/m2・day・atm)を測定した。
20mm×80mmに切断したサンプルの端部10mmのうち、硬化層(第一層)と樹脂層(第二層)が接着している箇所を手で剥離させ、剥離した第一層と第二層の箇所をそれぞれテンシロン試験機の引っ張り部に固定し、剥離速度50mm/minで100mmひっぱり、荷重を測定し、荷重が安定領域に達した際の荷重値を接着性とした。
N/cm単位で表示し、1.0N/cm以上が問題のない接着力である。
500μmの高さの線状レリーフを形成した試験サンプル(1mm厚)に対し、クッションテープ(0ROGERS社製 R/bak SA3300)を貼り付け、断面を顕微鏡で撮影した。
次に押し込み試験機で0.2mm押し込んだ後、断面を顕微鏡で撮影し、線状レリーフの高さXを求めた。
[(押し込み前の線状レリーフの高さ500μm)−(押し込み後の線状レリーフの高さ×)]/(押し込み前の線状レリーフの高さ500μm)×100をレリーフ変形率として算出した。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の各試料を4cm2をハサミで2mm角サイズにカットして精評を行った後、支持体、硬化層(第一層)、樹脂層(第二層)の質量比及び、第一層の組成比から混合モノマー量として、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版に混合したライトアクリレート14EG−A及びラウリルメタクリレートの量を計算により求めた。
次に、精評を行った試験片をガラス管に入れ、4.0gのテトラヒドロフランを入れ、24時間浸漬し、残留モノマーの抽出を行った。24時間室温に放置した後、抽出液を取り出し、高速液体クロマトグラフィー((株)島津製作所製LC−20AD/SIL−20A、ODSカラム、移動層流量:1.0mL/min.、THF/buffer=6/4、ODSカラム)により残留モノマーの定量を行った。
(100−残留モノマー量/混合モノマー量)×100
の式により、レリーフ層モノマー反応率を算出した。
実際に被印刷体にインキ転写して作製した画像のハイライトの濃淡描写を確認すると、比較例ではハイライトの再現性が不足しているのに対し、実施例ではハイライトの再現性が良好であることを確認した。更に、レリーフ変形率が小さい実施例は耐刷性に優れ、長時間印刷時の画像劣化が少ないことを確認した。
Claims (10)
- 酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、かつ、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層、並びに、
(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする、
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。 - 前記硬化性樹脂組成物の硬化層が更に(成分D)光熱変換剤を含有する、請求項1に記載のフレキソ印刷版原版。
- 成分Dがカーボンブラックである、請求項2に記載のフレキソ印刷版原版。
- 前記樹脂層がエラストマーを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。
- 前記樹脂層が、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、可塑化したポリビニルアルコール、及び、可塑化したエチレン−ポリビニルアルコール共重合体よりなる群から選ばれた、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。
- 前記樹脂層の膜厚が0.1〜1.6mmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。
- 前記硬化性樹脂組成物が、20℃においてプラストマーである樹脂及び多官能エチレン性不飽和化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。
- 仮の支持体上に、(成分A)エチレン性不飽和化合物、(成分B)重合開始剤、及び、(成分C)バインダー、を含有する硬化性樹脂組成物層を形成する工程、
酸素透過係数が15cm3・cm/m2・day・atm以下であり、かつ、ショアA硬度が20°〜70°である樹脂層を前記硬化性樹脂組成物層の上に形成する工程、
前記硬化性樹脂組成物層を硬化する工程、並びに、
前記仮の支持体を剥離して、基材を前記樹脂層の上に積層する工程、をこの順に含むことを特徴とする、
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。 - 前記樹脂層を形成する工程が、シート状の樹脂層を前記硬化性組樹脂成物層の上に貼り付ける工程である、請求項8に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版を準備する工程、及び、
前記フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する工程を含む、
フレキソ印刷版の製版方法。
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