JP5559214B2 - 回転ツールユニット、摩擦攪拌接合方法及びダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

回転ツールユニット、摩擦攪拌接合方法及びダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、ボビンツールを備えた回転ツールユニット、前記回転ツールユニットを用いる摩擦攪拌接合方法、前記回転ツールユニットを用いて接合されるダブルスキンパネルの組立体及び前記回転ツールユニットを用いるダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法に関する。
従来、金属板の端面同士を摩擦攪拌接合するツールとしてボビンツールが知られている(特許文献1参照)。ボビンツールは、一対のショルダとこのショルダの間に形成されたピンとを備えている。一対の金属板を接合する際には、金属板を移動不能に拘束した上で、金属板の一端側から高速回転させたボビンツールを挿入し、突き合せ部に沿ってピンを移動させる。これにより、端面同士の周囲の金属が摩擦攪拌されて金属板同士が接合される。ボビンツールによれば、金属板の裏側にもショルダを備えているため、通常、金属板の裏側に配置する裏当部材を省略することができる。特に、中空形材の端部同士を接合する際には、裏当部材を設置する作業が煩雑になるため、作業手間を大幅に省略することができる。
一方、従来、二枚の金属板を重ねて構成されたダブルスキンパネルが知られている。ダブルスキンパネルは、鉄道車両、航空機、船舶、土木建築構造物等の構造体として用いられている。ダブルスキンパネルは、例えば、特許文献2に記載されているように、外板と、内板と、外板と内板との間に介設される支持板と、を備えている。また、ダブルスキンパネル同士を接合する際には、隣り合うダブルスキンパネルの外板同士の端部及び内板同士の端部を突き合わせてダブルスキンパネルの組立体を形成した後、回転ツールを用いて突き合わせた部分を摩擦攪拌接合することが知られている。
特許第2712838号公報 特開2008−272768号公報
しかし、ボビンツールを用いた摩擦攪拌接合においては、ピンの軸方向の中心と、金属板の高さ方向の中心とを合わせつつ接合することが好ましいが、金属板が摩擦熱によって変形する場合がある。摩擦熱によって金属板が変形すると、ピンの中心と金属板の中心とが合わなくなり、接合不良になる場合がある。
また、ショルダ間の距離が、金属板の厚さよりも大きいと、摩擦攪拌によって塑性流動化された金属がショルダの外部に溢れやすくなるため接合欠陥が発生しやすいという問題がある。
また、ボビンツールのピンの外周面に螺旋溝を刻設する場合があるが、螺旋溝の方向や刻設する範囲によって接合後の金属板の化粧面に形成される凹溝が大きくなったり、化粧面にバリが多く発生したりするという問題がある。
また、ダブルスキンパネルは薄くかつ長尺な金属部材であるため、一対のダブルスキンパネルの外板同士及び内板同士を精度よく突き合わせる作業が困難となる。また、ダブルスキンパネルの組立体を治具で移動不能に固定しても、回転ツールを移動させて接合する際にダブルスキンパネル同士が離間してしまうという問題がある。
このような観点から、本発明は、ボビンツールを用いて一対の金属板を接合する際に、接合欠陥の発生を抑制し好適に接合することができる回転ツールユニット及び摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。また、ボビンツールのピンの外周面に螺旋溝を刻設した際に、金属板の化粧面に発生するバリを少なくすること又は化粧面に形成される凹溝を小さくすることを課題とする。さらに、ダブルスキンパネルを好適に接合することができるダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために本発明は、摩擦攪拌接合に用いられる回転ツールユニットであって、摩擦攪拌装置のチャック部に脱着可能に固定される円筒状のホルダーと、前記ホルダーの内部に挿通され前記ホルダーと一体的に回転するスライド軸と、第一ショルダと第二ショルダと前記第一ショルダと前記第二ショルダの間に形成されたピンとで構成されたボビンツールと、を有し、前記スライド軸の先端に別体の前記第一ショルダが連結されており、前記第二ショルダの大径部の外径は、前記第一ショルダの大径部の外径よりも小さくなっているとともに、前記ホルダーに対して前記スライド軸が軸方向に摺動するように、前記ホルダーと前記スライド軸の間にスライド手段を備えており、前記スライド手段は、前記スライド軸の外面又は前記ホルダーの内面に形成されたベアリング溝とベアリング溝内を摺動するボールベアリングとで構成されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、仮に、摩擦攪拌によって面外方向に金属板が反ったとしても、ボビンツールが金属板の変形に追従して軸方向に移動する。これにより、接合箇所の位置の変位(ずれ)を防ぐことができるため、接合不良の発生を抑制することができる。
また、かかる構成によれば、スライド手段を容易に構成することができる。
また、前記第二ショルダの外面に、周方向に沿う溝が複数形成されていることが好ましい。
また、前記ホルダー及び前記スライド軸のいずれか一方に形成されたキー溝と、他方に形成されたキーとを有し、前記スライド軸の移動に伴って、前記キーが前記キー溝の内部を移動することが好ましい。
かかる構成によれば、容易な構成でホルダーとスライド軸とを一体的に回転させることができるとともに、キー溝の範囲でスライド軸を移動させることができる。
また、前記ホルダーの内面及び前記スライド軸の外面のいずれか一方の軸方向に沿って延設された突条と、他方の軸方向に沿って延設された凹条とを有し、前記スライド軸の移動に伴って、前記突条が前記凹条の内部を移動することが好ましい。
かかる構成によれば、容易な構成でホルダーとスライド軸とを一体的に回転させることができるとともに、広い範囲でスライド軸を軸方向に移動させることができる。
また、前記ホルダーには、径方向に貫通する長孔状のキー溝が形成され、前記スライド軸の外面には、外側に向けて突出するキーが形成され、前記キーが、前記キー溝に係合することにより、前記ホルダーと前記スライド軸とが一体的に回転することが好ましい。
また、前記ホルダーの外面には、上下方向に平坦に延設された平坦面が形成されており、前記ホルダーは、前記チャック部にボルトを介して締結されており、前記ボルトの先端は、前記平坦面に当接していることが好ましい。
また、前記ピンは、前記第二ショルダを貫通しており、前記第二ショルダの下端においてナットで締結されていることが好ましい。
また、前記第一ショルダは、大径部と、テーパー部と、下端面とを備え、前記テーパー部は、下方に向けて徐々に縮径しており、前記第二ショルダは、大径部と、テーパー部と、上端面とを備え、前記テーパー部は、上方に向けて徐々に縮径していることが好ましい。
また、本発明は、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の回転ツールユニットを用いて、一対の金属板を接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記金属板の端面同士を突き合わせる突き合せ工程と、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に回転させた前記ボビンツールのピンを移動させて前記端面同士を摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、前記接合工程では、第一ショルダ及び第二ショルダ間の距離を前記金属板の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記金属板が変形して前記金属板の位置が前記ボビンツールの軸方向に変位した際に、その変位に追従して前記ボビンツールが軸方向に移動することを特徴とする。
また、前記接合工程では、前記第一ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て右回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、前記ピンの外周面の前記第一ショルダ側に右ネジの螺旋溝が形成されており、この右ネジの螺旋溝が前記第一ショルダ及び前記第二ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、第一ショルダ側の右ネジは25%以上の割合で形成されているため、右ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツールがスライド軸側に押され、金属板の化粧面にボビンツールが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、化粧面に凹溝が発生するのを防ぐか、又は、凹溝が形成されたとしてもその凹溝の深さを小さくすることができる。
また、前記外周面のうち前記右ネジの螺旋溝の端部から前記第二ショルダまでの間に、左ネジの螺旋溝が形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の攪拌効率を高めることができる。
また、前記接合工程では、前記第一ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て左回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、前記ピンの外周面の前記第一ショルダ側に左ネジの螺旋溝が形成されており、この左ネジの螺旋溝が前記ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることを特徴とする。
かかる接合方法によれば、第一ショルダ側の左ネジは25%以上の割合で形成されているため、左ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツールがスライド軸側に押され、金属板の化粧面にボビンツールが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、化粧面に凹溝が発生するのを防ぐか、又は、凹溝が形成されたとしてもその凹溝の深さを小さくすることができる。
また、前記外周面のうち前記左ネジの螺旋溝の端部から前記第二ショルダまでの間に、右ネジの螺旋溝が形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の攪拌効率を高めることができる。
また、前記接合工程では、前記第二ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て右回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、前記ピンの外周面の前記第二ショルダ側に左ネジの螺旋溝が形成されており、この左ネジの螺旋溝が前記ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、第二ショルダ側の左ネジは25%以上の割合で形成されているため、左ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツールがスライド軸とは反対側に押され、金属板の化粧面にボビンツールが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、化粧面に凹溝が発生するのを防ぐか、又は、凹溝が形成されたとしてもその凹溝の深さを小さくすることができる。
また、前記外周面のうち前記左ネジの螺旋溝の端部から前記第一ショルダまでの間に、右ネジの螺旋溝が形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の攪拌効率を高めることができる。
また、前記接合工程では、前記第二ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て左回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、前記ピンの外周面の前記第二ショルダ側に右ネジの螺旋溝が形成されており、この右ネジの螺旋溝が前記ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることを特徴とする。
かかる接合方法によれば、第二ショルダ側の右ネジは25%以上の割合で形成されているため、右ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツールがスライド軸とは反対側に押され、金属板の化粧面にボビンツールが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、化粧面に凹溝が発生するのを防ぐか、又は、凹溝が形成されたとしてもその凹溝の深さを小さくすることができる。
また、前記外周面のうち前記右ネジの螺旋溝の端部から前記第一ショルダまでの間に、左ネジの螺旋溝が形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の攪拌効率を高めることができる。
また、前記接合工程では、前記金属板の化粧面側を冷却しながら接合することが好ましい。
かかる接合方法によれば、流動化された金属の温度の上昇を抑えることにより、凹溝の発生をより抑えることができる。
また、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の回転ツールユニットを用いて、一対のダブルスキンパネルの端部同士を摩擦攪拌接合するダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法であって、一方の前記ダブルスキンパネルの外板の端部に形成された鉤部と他方の前記ダブルスキンパネルの外板の端部に形成された鉤部とを係合させつつ、一方の前記ダブルスキンパネルの内板の端部に形成された端面と他方の前記ダブルスキンパネルの内板の端面とを係合させずに突き合わせる準備工程と、前記準備工程で係合させた係合部及び突き合わせた突き合せ部に対して摩擦攪拌接合を行う接合工程と、を含み、前記接合工程では、第一ショルダ及び第二ショルダ間の距離を前記端部の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記端部が変形して前記端部の位置が前記ボビンツールの軸方向に変位した際に、その変位に追従して前記ボビンツールが軸方向に移動することを特徴とする。
かかる接合方法によれば、外板の鉤部同士を係合させることにより、接合する際にダブルスキンパネル同士が離間するのを防ぐことができる。内板にも鉤部を設けると、ダブルスキンパネル同士を突き合わせる作業が困難になるが、本発明では内板には鉤部を設けず端面同士を突き合わせるだけでよい。これにより、ダブルスキンパネルを突き合わせる準備工程の作業を省力化することができる。
各前記鉤部は、前記外板の厚肉部から延設された薄肉部と、前記薄肉部に連続し板厚方向に張り出した張出部と、を有し、前記準備工程において、一対の前記張出部同士係合させることが好ましい。
かかる構成によれば、簡易な構成で鉤部を設けることができる。
また、一方の前記ダブルスキンパネルの前記張出部の側部には張出傾斜面が形成されており、他方の前記ダブルスキンパネルの前記厚肉部には前記張出傾斜面に面接触する厚肉傾斜面が形成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、傾斜面同士を斜めに摺動させることができるので、ダブルスキンパネル同士を係合させやすい。
また、前記外板と前記内板の間に支持板が介設されており、前記支持板から前記端面までの長さをc(mm)及び前記厚肉部の板厚をt(mm)としたとき、c≦7.0×t+18.5mmを満たすように設定されていることが好ましい。
支持板から端面までの距離が大きいと、部材の端部側の変形が大きくなるおそれがあるが、かかる構成によれば、部材の端部側の変形が小さくなる。
また、前記接合工程では、前記係合部を接合した後に、前記突き合せ部を接合することが好ましい。
係合部及び突き合せ部のどちらを先に接合しても接合強度の観点からは問題が無いが、かかる方法によれば、接合後の金属板同士の角変形を小さくすることができる。
本発明に係る回転ツールユニット及び摩擦攪拌接合方法によれば、接合欠陥の発生を抑制し、好適に接合することができる。また、本発明に係るダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法によれば、ダブルスキンパネルを好適に接合することができる。
第一実施形態に係る摩擦攪拌装置と中空形材を示す斜視図である。 中空形材の突き合せ状態を示す図であって(a)は突き合せ前、(b)は突き合せ後を示す。 第一実施形態に係る摩擦攪拌装置を示す斜視図であって、(a)は全体図、(b)はホルダー、スライド軸及びスライド手段を示す。 図3のI−I断面図である。 図3のII−II断面図である。 第一実施形態に係るボビンツールを示す側面図である。 第一実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は(a)のIII−III端面図である。 第二実施形態に係るボビンツールを示す側面図である。 第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す側断面図である。 (a)は摩擦攪拌接合方法の第一変形例を示し、(b)は摩擦攪拌接合方法の第二変形例を示す。 変形例に係る回転ツールユニットを示す図であって(a)は側断面図、(b)は(a)のIV−IV断面図である。 第三実施形態に係るダブルスキンパネルを示した斜視図である。 第三実施形態に係る摩擦攪拌装置を示した斜視図である。 第三実施形態に係る回転ツールユニットを示した斜視図である。 第三実施形態に係るボビンツールを示した側面図である。 第三実施形態に係る摩擦攪拌接合方法の準備工程を示した正面図である。 第三実施形態に係る摩擦攪拌接合方法の第一接合工程を示した斜視図である。 第三実施形態に係る摩擦攪拌接合方法の第二接合工程を示した斜視図である。 第三実施形態に係る係合形態の変形例を示した正面図である。 実施例1における試験体の組み合わせを示した表である。 実施例1において、試験体H1の隙間と接合部の厚さとの関係を示すグラフである。 実施例1において、試験体H3の隙間と接合部の厚さとの関係を示すグラフである。 実施例1において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さ=Re側の厚さの場合を示す。 接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを変化させ、Re側の厚さを固定した場合を示す。 接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを固定し、Re側の厚さを変化させた場合を示す。 実施例1において、(a)は隙間と中央部の厚さとの関係を示したグラフであり、(b)は隙間とAd部の厚さとの関係を示したグラフである。 実施例1において、(a)は隙間とRe部の厚さとの関係を示したグラフであり、(b)は隙間と平均厚さとの関係を示したグラフである。 実施例2において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さ=Re側の厚さの場合を示す。 実施例1において、ショルダ間距離を5.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。 実施例2において、ショルダ間距離を2.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。 参考例において、ショルダ間距離を11.5mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。 実施例3において、金属板の段差に及ぼすネジ比率の影響(突き合せ部の隙間0mm)を示したグラフである。 実施例3において、金属板の段差に及ぼすネジ比率の影響(突き合せ部の隙間1.5mm)を示したグラフである。 実施例3に係る条件Aの金属板の塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。 実施例3に係る条件Bの金属板の塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。 実施例3に係る条件Cの金属板の塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。 実施例3に係る条件Dの金属板の塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。 実施例3に係る条件Eの金属板の塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。 実施例3の結果をまとめた表である。 ボビンツールを左回転させた場合の概念をまとめた表である。 実施例4の係合形態又は突き合わせ形態を示した正面図であって、(a)はタイプI、(b)はタイプII、(c)はタイプIIIを示す。 実施例4のタイプIの角変形の結果を示したグラフである。 実施例4のタイプIIの角変形の結果を示したグラフである。 実施例4のタイプIIIの角変形の結果を示したグラフである。 実施例4のボビンツールの回転方向、螺旋溝の巻回方向、係合形態をまとめた表である。 実施例6を示すための図であって(a)は供試体を示し、(b)は各条件をまとめた表である。 実施例6の板厚aと長さcの相関関係を示したグラフである。
[第一実施形態]
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る摩擦攪拌装置1は、突き合わされた一対の金属板の突き合せ部Nを摩擦攪拌接合する装置である。摩擦攪拌装置1の先端にはボビンツール5が装着されている。まずは、接合する一対の金属板の説明をする。説明における上下前後左右は図1の矢印に従う。
<中空形材>
図2の(a)に示すように、本実施形態では中空形材100Aと中空形材100Bとを接合する場合を例示する。中空形材100Aは、アルミニウム合金製の押出形材であって、断面視矩形の中空部100aを有する長尺部材である。中空形材100Aは、中空部100aを備えた本体部101と、本体部101の左側面の上下端からそれぞれ左側(中空形材100B側)に張り出した板状端部102,103とを有する。
本体部101は、4つの面材104,105,106,107で構成され、断面視矩形に形成されている。板状端部102,103は、板状を呈し面材105に対して垂直になっている。板状端部102,103の左右方向の長さは、面材104の半分程度になっている。また、板状端部102,103は、面材104,105,106,107と同等の厚さになっている。板状端部102,103は、請求の範囲の「金属板」に相当する部位である。
中空形材100Bは、中空形材100Aと同等の形状を呈する金属部材である。中空形材100Bは、中空形材100Aと同等の符号を付して詳細な説明は省略する。
中空形材100Aと中空形材100Bとを突き合わせる際には、中空形材100Aの板状端部102,103と中空形材100Bの102,103とをそれぞれ突き合わせる。より詳しくは、中空形材100Aの板状端部102の端面102aと中空形材100Bの板状端部102の端面102aとを突き合わせるとともに、中空形材100Aの板状端部103の端面103aと中空形材100Bの板状端部103の端面103aとをそれぞれ突き合わせる。図2の(b)に示すように、中空形材100Aと中空形材100Bとを突き合わせると、端面102a,102aの高さ方向の中心同士が重なるとともに、板状端部102,102の上面と下面とがそれぞれ面一になる。
図2の(b)に示すように、端面102a,102a、端面103a,103aがそれぞれ突き合わされた部分を「突き合せ部N」とする。突き合せ部Nを接合する際には、端面102a,102aが密接していることが好ましいが、中空形材100A,100Bの公差や、接合時における摩擦熱によって板状端部102,102が変形し、端面102a,102aとの間に微細な隙間が生じる場合がある。突き合せ部Nとは、端面102a,102aに微細な隙間が生じている場合も含む概念である。
なお、本実施形態では接合する対象として中空形材の板状端部を例示しているが、接合する対象は、摩擦攪拌可能な金属で形成されており、板状を呈する部材であれば特に制限されるものではない。
<摩擦攪拌装置>
図3の(a)に示すように、摩擦攪拌装置1は、チャック部1aと、チャック部1aの内部に固定される回転ツールユニット2とで主に構成されている。図4に示すように、チャック部1aは、フランジを備えた円筒状の部材であって、摩擦攪拌装置1の本体DにボルトB1で接続されている。チャック部1aは、摩擦攪拌装置1の回転駆動によって軸周りに回転する部位である。チャック部1aの内周には円筒面1bが形成されている。
回転ツールユニット2は、図4に示すように、ホルダー3と、スライド軸4と、ボビンツール5と、スライド手段6とで構成されている。回転ツールユニット2は、チャック部1aに対して着脱可能になっている。
ホルダー3は、スライド軸4を内包するとともに、チャック部1aの内部に固定される部材である。ホルダー3は、円筒状を呈する。ホルダー3の外面には、上下方向に平坦に延設された平坦面3aが形成されているため、円筒面1bと平坦面3aとの間には微細な隙間が形成されている。ボルト2B,2Bは、チャック部1aの外面から径方向に向けて締結されており、その先端が平坦面3aに当接している。これにより、チャック部1aとホルダー3とが一体的に回転する。また、図5に示すように、ホルダー3には、径方向に貫通する長孔状のキー溝3bが形成されている。
スライド軸4は、図4に示すように、円柱状を呈し、ホルダー3の中空部に配置される部材である。スライド軸4は、ホルダー3に対して上下方向に移動可能になっている。図5に示すように、スライド軸4の外面には、外側に向けて突出するキー4aが形成されている。キー4aが、キー溝3bに係合することにより、ホルダー3とスライド軸4とが一体的に回転する。
ボビンツール5は、図6に示すように、例えば工具鋼で形成されておりスライド軸4に連結されている。ボビンツール5は、チャック部1a、ホルダー3及びスライド軸4と一体的に正逆回転する。ボビンツール5は、第一ショルダ11と、第一ショルダ11の下方に間をあけて配設された第二ショルダ12と、第一ショルダ11と第二ショルダ12とを連結するピン13とを有する。
第一ショルダ11及び第二ショルダ12は、円柱状を呈し、同等の外径を備えている。ピン13は、円柱状を呈し、第一ショルダ11と第二ショルダ12とを連結する。ピン13は、第二ショルダ12を貫通している。第二ショルダ12を貫通したピン13は、第二ショルダ12の下端においてナットで締結されている。ピン13の外周面には、上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bとが刻設されている。上部螺旋溝13a及び下部螺旋溝13bの溝の向きはそれぞれ反対方向に巻回されるように刻設されている。
上部螺旋溝13aは、第一ショルダ11の下端からピン13の高さ方向の中間位置まで刻設されている。本実施形態ではボビンツール5を右回転させるため、上部螺旋溝13aは右ネジで形成されている。つまり、上部螺旋溝13aは、上から下に向けて右回りに巻回されるように刻設されている。
一方、下部螺旋溝13bは、第二ショルダ12の上端からピン13の高さ方向の中間位置まで刻設されている。本実施形態ではボビンツール5を右回転させるため、下部螺旋溝13bは左ネジで形成されている。つまり、下部螺旋溝13bは、上から下に向けて左回りに巻回されるように刻設されている。
上部螺旋溝13a及び下部螺旋溝13bをこのように形成することで、摩擦攪拌されて塑性流動化した金属が、板状端部102の高さの中央部分から上端方向又は下端方向に向って若干移動するようになっている。なお、これら上下方向への金属の移動は、ボビンツール5のピン13の回転による周方向での金属の移動に比べて微量に止まるものである。
螺旋溝の巻回方向や刻設する割合については、接合する金属板の化粧面とボビンツール5との位置関係や、ボビンツールの回転方向等に応じて適宜設定すればよい。本実施形態では、ピン13に対して右ネジと左ネジの両方の螺旋溝を刻設しているが、例えば、ピン13に対して全て右ネジの螺旋溝を刻設してもよいし、全て左ネジの螺旋溝を刻設してもよい。また、本実施形態では、第一ショルダ11側を右ネジ、第二ショルダ12側を左ネジにしているが、第一ショルダ11側を左ネジ、第二ショルダ12側を右ネジにしてもよい。
図6に示すように、ボビンツール5のショルダ間距離Z(ピン13の長さ)は、中空形材100Aの板状端部102の厚さTと同等か、それよりも小さくなっていることが好ましい。例えば、本実施形態では、ショルダ間距離Zは、中空形材100Aの板状端部102の厚さTよりも0.2mm小さくなっている。
なお、突き合せ部N(図2の(b)参照)の端面102a,102aの隙間を0.75mm以下に設定できる場合、板状端部102の厚さTとショルダ間距離Zとを同等、つまり、T−Z=0と設定しても接合状態を良好にすることができる。
また、突き合せ部Nの端面102a,102aの隙間を1.00mm以下に設定できる場合、板状端部102の厚さTとショルダ間距離Zとを、0.2mm≦T−Z≦0.8mmとなるように設定することが好ましい。
また、突き合せ部Nの端面102a,102aの隙間を1.00より大きく、1.75mm以下に設定できる場合、板状端部102の厚さTとショルダ間距離Zとを、0.4mm≦T−Z≦0.8mmとなるように設定することが好ましい。
また、ボビンツール5は、第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外径Xを二乗した値をピン13の外径Yを二乗した値で除した値が2.0より大きくなるように設定することが好ましい。かかるボビンツール5によれば、バリとして排出される材料の量を第一ショルダ11及び第二ショルダ12によって抑制できるため、接合欠陥の発生を低減することができる。
また、ボビンツール5は、ピン13の外径Yを二乗した値を、第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外径Xを二乗した値からピン13の外径Yを二乗した値を引いた値で除した値が0.2よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。かかるボビンツール5によれば、接合時にツール軸方向に発生する材料抵抗に対するピンの抗張力を十分に確保できるため、ピン13の破損を防ぐことができる。
また、ボビンツール5は、ピン13の外径Yを二乗した値をピン13の外径Yとショルダ間距離Zとの積で除した値が1.2よりも大きくなるように設定することが好ましい。かかるボビンツール5によれば、接合時にツール進行方向とは逆向きに流れる材料抵抗に対するピンの抗折力を十分に確保できるため、ピン13の破損を防ぐことができる。これらの根拠については実施例で記載する。
スライド手段6は、図3の(b)及び図4に示すように、ホルダー3に対してスライド軸4を上下方向にスムーズに移動させる機構である。スライド手段6は、ホルダー3の内面に形成されたベアリング溝8と、ベアリング溝8内を摺動するボールベアリング9とで構成されている。ベアリング溝8は、図3の(b)に示すように、ホルダー3の内面に側面視して長円状に形成されている。ベアリング溝8の深さは、ボールベアリング9の直径よりも小さくなっている。ボールベアリング9は、ベアリング溝8の内部に複数個配設される。ボールベアリング9の一端がスライド軸4の外面に摺接するとともに他端がベアリング溝8の内面に摺接する。
なお、スライド手段6の構成は、本実施形態の構成に限定されるものではない。スライド手段6は、ホルダー3とスライド軸4とが一体的に回転するとともに、ホルダー3に対してスライド軸4が上下方向にスムーズに移動するように構成されていればよい。例えば、スライド軸4側に、ベアリング溝8とボールベアリング9を設けてもよい。
ここで、摩擦攪拌接合を行うと、摩擦熱によって板状端部102,102の温度が上昇し、板状端部102,102が上方又は下方に反ってしまう場合がある。本実施形態に係る摩擦攪拌装置1は、スライド軸4がホルダー3に対して移動可能に形成されているため、板状端部102が例えば上方に反った際に、その反りに追従してボビンツール5が所定の距離だけ上方に移動するように構成されている。一方、板状端部102が下方に反った際には、その反りに追従してボビンツール5が所定の距離だけ下方に移動するように構成されている。これにより、摩擦攪拌接合中における金属板に対するボビンツール5の位置ズレを抑制できるようになっている。
次に、第一実施形態のボビンツール5を用いた接合方法について説明する。
第一実施形態の接合方法では、ボビンツール5を右回転させて接合を行う。具体的には、この接合方法では、中空形材同士を突き合わせる突き合せ工程と、突き合せ部Nにボビンツール5を挿入する接合工程と、を行う。ここでは、表面Saを化粧面として設定する。
突き合せ工程では、図2に示すように、中空形材100Aと中空形材100Bとを板状端部102同士で対向させ、端面102a,102a同士及び端面103a,103a同士を面接触させる。より詳しくは、一方の端面102aの中点と、他方の端面102aの中点とが重なるように面接触させる。なお、突き合わせた後は、中空形材100A,100Bが離間しないように、突き合せ部Nに沿って溶接などで仮付けを行ってもよい。中空形材100Aと中空形材100Bとを突き合わせたら、両者を移動不能に拘束する。
接合工程では、まず、突き合せ部Nの外部において、ピン13の中心13cが、突き合せ部Nの中心Ncと重なるように位置させる。そして、図7に示すように、右回転させたボビンツール5を突き合せ部Nに沿って移動させる。ボビンツール5が突き合せ部Nに挿入されると、高速回転するピン13によってピン13の周囲の金属が摩擦攪拌され板状端部102同士が一体化される。ピン13の軌跡には塑性化領域Wが形成される。
以上説明した本実施形態に係る接合方法によれば、摩擦攪拌接合の摩擦熱によって板状端部(金属板)102,102が反ったとしても、その反りに追従してボビンツール5が上下方向にスムーズに移動可能になっている。これにより、ピン13の中心13cと突き合せ部Nの中心Ncとの高さ位置がずれるのを抑制できる。これにより、接合位置がずれるのを防ぐことができる。
また、本実施形態のように、ボビンツール5のショルダ間距離Zを板状端部102の厚さT以下に設定することで、塑性流動化した金属を押えることができ、摩擦攪拌によって塑性流動化した金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外部に溢れるのを防ぐことができる。これにより、接合欠陥の発生を抑制することができる。なお、T−Zの値が0.8を超えると摩擦攪拌装置1への負荷が大きくなるため不適切である。
また、接合方法によれば、摩擦攪拌されて流動化された金属は、ピン13の右ネジの上部螺旋溝13aと、左ネジの下部螺旋溝13bに導かれて板状端部102の中心Ncから表面Sa側及び裏面Sb側にそれぞれ移動する。右ネジの上部螺旋溝13aは25%以上の割合で形成されているため、この螺旋溝による金属の移動によってボビンツール5が板状端部102に対してスライド軸4側(上方)に押され、表面(化粧面)Saに深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、化粧面に凹溝Vが発生するのを防ぐか、又は、凹溝Vが形成されたとしてもその凹溝Vの深さを小さくすることができる。凹溝Vの発生を防ぐか又は凹溝Vを小さくすることで、表面(化粧面)Saを平滑にする仕上げ処理が容易になる。
また、第一実施形態では、上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bの割合が50:50であるため、図7の(a)に示すように、上側と下側で移動する金属量を均等にすることができる。これにより、ピン13の中心13cと突き合せ部Nの中心Ncとの位置ずれをより防ぐことができる。また、上部螺旋溝13a及び下部螺旋溝13bが刻設されているため、摩擦攪拌の攪拌効率を高めることができる。
接合工程を行う際には、板状端部102の表面(化粧面)Saに対して、例えば冷却された気体や液体等を供給可能な冷却装置によって、冷却しながら行うことが好ましい。これにより、板状端部102の変形を抑制して接合精度を向上させることができる。なお、板状端部102の裏面Sb側を冷却しながら接合を行ってもよい。
[第二実施形態]
第二実施形態に係る接合方法では、ボビンツールの螺旋溝の構成及び回転方向が第一実施形態と相違する。第二実施形態の説明においては、第一実施形態と共通する点については、詳細な説明を省略する。
図8は、第二実施形態に係るボビンツールを示す側面図である。図8に示すように、第二実施形態に係るボビンツール5Aのピン13の外周面には、上半分に形成された左ネジの上部螺旋溝13aと、下半分に形成された右ネジの下部螺旋溝13bとが刻設されている。つまり、上部螺旋溝13aは上から下に向けて左回りに巻回されるように刻設されており、下部螺旋溝13bは上から下に向けて右回りに巻回されるように刻設されている。
ボビンツール5Aのショルダ間距離(ピン13の長さ)Zは、中空形材100Aの板状端部102の板厚T以下になっていることが好ましい。例えば、本実施形態では、ショルダ間距離Zは、中空形材100Aの板状端部102の板厚Tよりも0.4mm小さくなっている。
次に、第二実施形態のボビンツール5Aを用いた接合方法ついて説明する。
第二実施形態の接合方法では、図9に示すように、ボビンツール5Aを左回転させて接合を行う。具体的には、この接合方法では、中空形材同士を突き合わせる突き合せ工程と、突き合せ部Nにボビンツール5Aを挿入する接合工程と、を行う。ここでは、表面Saを化粧面として設定する。突合工程は、第一実施形態と同等であるため、説明を省略する。
接合工程では、突き合せ部Nの外部において、ピン13の中心13cが、突き合せ部Nの中心Ncと重なるように位置させる。そして、図9に示すように、左回転させたボビンツール5Aを突き合せ部Nに沿って移動させる。ボビンツール5Aが突き合せ部Nに挿入されると、高速回転するピン13によってピン13の周囲の金属が摩擦攪拌され板状端部102同士が一体化される。ピン13の軌跡には塑性化領域Wが形成される。
この接合方法によれば、摩擦攪拌されて流動化された金属は、ピン13の左ネジの上部螺旋溝13aと、右ネジの下部螺旋溝13bに導かれて板状端部102の中心Ncから表面Sa側及び裏面Sb側にそれぞれ移動する。左ネジの上部螺旋溝13aは25%以上の割合で形成されているため、この螺旋溝による金属の移動によってボビンツール5Aが板状端部102に対してスライド軸4側(上方)に押され、表面(化粧面)Saに深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、表面(化粧面)Saに凹溝Vが発生するのを防ぐか、又は、凹溝Vが形成されたとしてもその凹溝Vの深さを小さくすることができる。
また、第二実施形態では、上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bの割合が50:50であるため、移動する金属量を均等にすることができる。これにより、ピン13の中心13cと突き合せ部Nの中心Ncとの位置ずれをより防ぐことができる。また、上部螺旋溝13a及び下部螺旋溝13bが刻設されているため、摩擦攪拌の攪拌効率を高めることができる。
<第一変形例>
第一変形例では、図10の(a)に示すように、板状端部102Aと板状端部102Bとの厚さが異なる点で前記した実施形態と相違する。板状端部102Bの厚さT1は、板状端部102Aの厚さT2よりも大きくなっている。第一変形例では、板状端部102Aの高さ方向の中点と、板状端部102Bの高さ方向の中点とが重なるように突き合わされている。
第一変形例に係る接合工程では、ボビンツール5を右回転させて、板状端部102Bの突き合せ部Nの厚さが大きい方の板状端部102B(金属板)を進行方向に対して左側に配置する。
摩擦攪拌においては、回転ツールを右回転させた場合、ツールの進行方向左側(シアー側:回転ツールの回転速度に回転ツールの移動速度が加算される側)からツールの進行方向右側(フロー側:回転ツールの回転速度に回転ツールの移動速度が減算される側)に塑性流動化された金属が流れる傾向があるため、仮に、金属板同士の間に隙間がある場合には、シアー側の金属でその隙間が埋められると考えられる。したがって、シアー側の金属板の厚さが小さいと、金属が不足して接合後の塑性化領域の中央部の厚さが小さくなる傾向がある。ちなみに、回転ツールを左回転させた場合、ツールの進行方向右側がシアー側、左側がフロー側となる。
第一変形例では、シアー側にあたる板状端部102Bの厚さT1を板状端部102Aの厚さT2よりも大きくすることで、塑性化領域Wの中央部の金属の不足を解消してより好適に接合することができる。
<第二変形例>
第二変形例では、図10の(b)に示すように、板状端部102Cと板状端部102Dとの厚さが異なる点で前記した実施形態と相違する。板状端部102Cの厚さT1は、板状端部102Dの厚さT2よりも大きくなっている。第二変形例では、板状端部102Cの高さ方向の中点と、板状端部102Dの高さ方向の中点とが重なるように突き合わされている。
第二変形例に係る接合工程では、ボビンツール5を左回転させて、板状端部102Cの突き合せ部Nの厚さが大きい方の板状端部102C(金属板)を進行方向に対して右側に配置する。
第二変形例では、第一変形例と同様の原理により、シアー側にあたる板状端部102Cの厚さT1を板状端部102Dの厚さT2よりも大きくすることで、塑性化領域Wの中央部の金属の不足を解消してより好適に接合することができる。
<第三変形例>
第三変形例の回転ツールユニットは、図11の(a)及び(b)に示すように、ホルダー50と、スライド軸51と、スライド手段52と、ボビンツール5とを備えている。主に、ホルダー50とスライド軸51の構造が第一実施形態と相違する。
ホルダー50は、本体筒部53と、本体筒部53の下端に形成されたカラー部54とで構成されている。本体筒部53は、円筒状を呈する。図11の(b)に示すように、本体筒部53の内面には、内側に向けて突出する突条53a,53aが形成されている。突条53a,53aは対向する位置に形成されている。突条53aは、断面視略半円形状を呈し、本体筒部53の高さ方向の全長に亘って形成されている。
カラー部54は、断面視L字状、平面視リング状を呈し本体筒部53の下端に接合されている。カラー部54は、本体筒部53の内面よりも内側に張り出すストッパー部54aを備えている。
スライド軸52は、大径部55と、大径部55の下部に設けられた小径部56と、大径部55と小径部56によって形成された段差部57とを備えている。図11の(b)に示すように、大径部55の外面には、突条53aに対応する凹条55a,55aが形成されている。凹条55aは、突条53aと略同等の形状を呈し、大径部55の高さ方向の全長に亘って形成されている。
スライド手段52は、第一実施形態と略同等の構成であって、図11の(b)に示すように、ベアリング溝52aとボールベアリング52bとを有する。スライド手段52は、ホルダー50に対してスライド軸51の軸方向の移動をスムーズにさせる。
ホルダー51の突条53aとスライド軸52の凹条55aとが係合することにより、軸方向の移動を許容しつつ、ホルダー51とスライド軸52とが一体的に回転する。突条53aはホルダー51の高さ方向の全長に形成されているため、スライド軸51の移動距離を長くすることができる。また、突条53aの全長が凹条55aと係合するため、スライド軸52を安定して移動させることができる。また、突条53aと凹条55aは回転軸を挟んで両側に設けられているため、より安定して移動させることができる。また、ストッパー部54aとスライド軸51の段差部57とが当接することにより、スライド軸51の下方への移動を規制することができる。
なお、第一実施形態、第二実施形態、第一変形例〜第三変形例では前記したように回転ツールユニットを構成したが、これに限定されるものではない。例えば、ホルダー及びスライド軸の水平断面形状が多角形となるようにしてもよい。
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態ではダブルスキンパネルを接合する場合を例示する。本実施形態の説明における上下左右前後は、図12の矢印にしたがう。
ダブルスキンパネル201は、図12に示すように、金属製の薄い長尺部材であって、外板202と、内板203と、支持板204,204とで主に構成されている。各支持板204は、外板202及び内板203に対して垂直になっている。ダブルスキンパネル201は、左右方向に複数枚接合されることにより、例えば鉄道車両、航空機、船舶及び土木建築構造物等の構造体として用いられる。ダブルスキンパネル201の製造方法は特に制限されないが、本実施形態では押出成形で成形されている。ダブルスキンパネル201の材料は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態ではアルミニウム合金を用いている。
外板202は、中央部205と、中央部205から右側に延設された右側板状端部210と、中央部205から左側に延設された左側板状端部220とで構成されている。
右側板状端部210は、第一外板厚肉部211と、第一鉤部212と、第一肉盛部213とで構成されている。第一外板厚肉部211は、支持板204に対して垂直になっており、右側に延設されている。第一鉤部212は、鉤状になっており、右側に延設された第一薄肉部214と、第一薄肉部214から垂直に張り出した第一張出部215とで構成されている。第一薄肉部214は、第一外板厚肉部211の3分の一程度の厚さになっている。
第一張出部215は、第一薄肉部214の先端から内板203側に向けて張り出している。第一張出部215の側部には、内板203側に向かうにつれて支持板204に近づくように傾斜する第一張出傾斜面216が形成されている。第一肉盛部213は、第一外板厚肉部211、第一薄肉部214及び第一張出部215の上面から一定の厚みで上方に突出し、厚肉に形成された部位である。
左側板状端部220は、第二外板厚肉部221と、第二鉤部222と、第二肉盛部223とで主に構成されている。第二外板厚肉部221は、支持板204に対して垂直になっており、左側に延設されている。第二鉤部222は、鉤状になっており、左側に延設された第二薄肉部224と、第二薄肉部224に対して垂直に張り出した第二張出部225とで構成されている。第二薄肉部224は、第二外板厚肉部221の3分の一程度の厚さになっている。
第二張出部225は、第二薄肉部224の先端から内板203とは反対側に向けて張り出している。第二外板厚肉部221の左端には、内板203側に向かうにつれて支持板204から離間するように傾斜する第二厚肉部傾斜面226が形成されている。第二厚肉部傾斜面226は、第一張出傾斜面216と同じ傾斜角度になっている。第二肉盛部223は、第二外板厚肉部221の上面から一定の厚みで上方に突出し、厚肉に形成された部位である。
内板203は、中央部206と、中央部206から右側に延設された右側板状端部230と、中央部206から左側に延設された左側板状端部240とで構成されている。
右側板状端部230は、第一内板厚肉部231と、第一肉盛部232と、第一端面233とで構成されている。第一内板厚肉部231は、支持板204に対して垂直になっており、右側に延設されている。第一肉盛部232は、第一内板厚肉部231の先端側の下面から下方に突出し、厚肉になっている部位である。
左側板状端部240は、第二内板厚肉部241と、第二肉盛部242と、第二端面243とで構成されている。第二内板厚肉部241は、支持板204に対して垂直になっており、左側に延設されている。第二肉盛部242は、第二内板厚肉部241の先端側の下面から下方に突出し、厚肉になっている部位である。
次に、本実施形態で用いる摩擦攪拌装置について説明する。図13,14に示すように、摩擦攪拌装置261は、チャック部261aと、チャック部261aに固定された回転ツールユニット262とで構成されている。チャック部261aは、第一実施形態と同じように摩擦攪拌装置261の本体(図示省略)にボルトで接合されている。
回転ツールユニット262は、ホルダー263と、スライド軸264と、ボビンツール265と、図示しないスライド手段とで構成されている。
ホルダー263は、図14に示すように、スライド軸264を内包するとともに、チャック部261aの内部に取り付けられる部材である。ホルダー263は、円筒状を呈する。ホルダー263には、半径方向に貫通する長孔状のキー溝263bが形成されている。
スライド軸264は、図14に示すように、円柱状を呈し、ホルダー263の中空部に挿入される部材である。スライド軸264は、ホルダー263に対して上下方向に移動可能になっている。スライド軸264の外面には、外側に向けて突出するキー264aが形成されている。キー264aが、キー溝263bに係合することにより、ホルダー263とスライド軸264とが一体的に回転する。
ボビンツール265は、図15に示すように、第一ショルダ252と、第二ショルダ253と、第一ショルダ252と第二ショルダ253との間に介設されたピン254とで構成されている。第一ショルダ252、第二ショルダ253、ピン254はいずれも略円柱状を呈し同軸になっている。ボビンツール265は、ピン254が接合部分を高速回転しながら移動することにより摩擦攪拌接合するツールである。
第一ショルダ252は、大径部252aと、テーパー部252bと、下端面252cとを備えている。テーパー部252bは、下方に向けて徐々に縮径している。第一ショルダ252の下端面252cには、図示は省略するが、ピン254周りに沿って平面視渦巻き形状の窪みが形成されている。
第二ショルダ253は、外面に溝を備えた構成になっている。第二ショルダ253は、大径部253aと、テーパー部253bと、上端面253cとを備えている。テーパー部253bは、上方に向けて徐々に縮径している。大径部253aの外径Y1は、大径部252aの外径X1よりも小さくなっている。また、上端面253cの直径Y2は、下端面252cの直径X2と同等になっている。
ピン254の外面には、左ネジで形成された螺旋溝255が刻設されている。つまり、螺旋溝255は、上から下に向け左回りとなるように巻回されている。ピン254の外径Uは、直径X2及び直径Y2よりも小さくなっている。第一ショルダ252は、ナットを介してスライド軸264に接続されている。
ボビンツール265のショルダ間距離(ピン254の長さ)は、接合する部分の板厚(本実施形態では、第一外板厚肉部211と第一肉盛部213との厚さの合計)以下になっていることが好ましい。螺旋溝255の溝の深さや、ピッチ等は摩擦攪拌する金属板の材料や接合する部分の板厚、ショルダ間距離等に応じて適宜設定すればよい。
スライド手段(図示省略)は、ホルダー263とスライド軸264との間に形成され、ホルダー263に対してスライド軸264をスムーズに上下動させるものである。スライド手段は、第一実施形態と同等であるため、詳細な説明を省略する。
摩擦攪拌装置261は、スライド軸264がホルダー263に対して移動可能に形成されているため、接合する金属板が例えば上方に反った際に、その反りに追従してボビンツール265が所定の距離だけ上方に移動するように構成されている。一方、接合する金属板が下方に反った際には、その反りに追従してボビンツール265が所定の距離だけ下方に移動するように構成されている。これにより、摩擦攪拌接合中における金属板に対するボビンツール265の位置ズレを抑制できるようになっている。
次に、本実施形態に係るダブルスキンパネルの接合方法について説明する。ここでは同形状のダブルスキンパネル201を二本併設して接合する場合を例示する。この接合方法では、準備工程と、接合工程とを行う。
準備工程では、図16に示すように、ダブルスキンパネル201,201を突き合わせてダブルスキンパネルの組立体を形成し、その組立体を移動不能に拘束する。なお、説明においては、一方のダブルスキンパネルを「201A」と付し、他方のダブルスキンパネルを「201B」と付し、それぞれに対応する要素に「A」、「B」と符号を加えて区別する。
準備工程では、具体的には、ダブルスキンパネル201Aの第一鉤部212Aとダブルスキンパネル201Bの第二鉤部222Bとを係合させるとともに、第一端面233Aと第二端面243Bとを突き合わせる。これにより、第一鉤部212Aと第二鉤部222Bとが隙間なく係合し、係合部Mが形成される。一方、第一端面233Aと第二端面243Bとが突き合わされて突き合せ部Nが形成される。張出部215Aと張出部225Bとが係合する箇所及び第一端面233Aと第二端面243Bとが突き合わされる箇所の延長線を「センター線C」とする。
準備工程を行うと、第一肉盛部213Aの上面と第二肉盛部223Bの上面とは面一になるとともに、第一外板厚肉部211Aの下面と第二外板厚肉部221Bの下面は面一になる。また、第一内板厚肉部231Aの上面と第二内板厚肉部241Bの上面は面一になるとともに、第一肉盛部232Aの下面と第二肉盛部242Bの下面とは面一になっている。ダブルスキンパネルの組立体を形成したら、この組立体を治具で移動不能に拘束する。
接合工程では、図17に示すように、ボビンツール265を用いて係合部Mを接合する第一接合工程と、突き合せ部Nを接合する第二接合工程を行う。
第一接合工程では、進行方向の左側にダブルスキンパネル201Aが配置されるようにする。そして、右回転させたボビンツール265のピン254の中心を、センター線C上における係合部Mの高さ方向の中心に合わせ、係合部Mに突入させる。そして、前側から後側に向けて係合部Mに沿って摩擦攪拌接合を行う。なお、係合部Mにはボビンツール265が移動した軌跡に沿って塑性化領域W1が形成される(図18参照)。
第二接合工程では、図18に示すように、第一接合工程が終えたら、ダブルスキンパネルの組立体を裏返しにして、再度ダブルスキンパネルの組立体を移動不能に拘束する。そして、右回転させたボビンツール265のピン254の中心を、センター線C上における突き合せ部Nの高さ方向の中心に合わせ、突き合せ部Nに突入させる。そして、前側から後側に向けて突き合せ部Nに沿って摩擦攪拌接合を行う。突き合せ部Nにはボビンツール265が移動した軌跡に沿って塑性化領域(図示省略)が形成される。以上の工程により、外板202Aと外板202Bとが接合されるとともに、内板203Aと内板203Bとが接合される。
以上説明した本実施形態にかかる摩擦攪拌接合方法によれば、外板202Aの第一鉤部212Aと外板202Bの第二鉤部222Bを係合させることにより、摩擦攪拌接合する際にダブルスキンパネル201A,201Bが離間するのを簡易に防ぐことができる。一方、内板203A及び内板203Bには鉤部を設けず第一端面233A及び第二端面243Bを突き合わせることにより、準備工程の作業やダブルスキンパネルの製造を省力化することができる。ダブルスキンパネル201A,201Bが長尺である場合、内板203A及び内板203Bにも鉤部を設けると係合する作業が困難になるが、本実施形態によれば係合作業が容易となる。
また、準備工程では、第一鉤部212Aと第二鉤部222Bとを係合させる際に、第一張出傾斜面216Aと第二本体傾斜面226Bとを摺動させながら係合させることができるため、係合作業が容易になる。具体的には、載置されたダブルスキンパネル201Bの上方から、ダブルスキンパネル201Aを降ろす際に、第一張出傾斜面216Aと第二本体傾斜面226Bとを摺動させるだけで、係合させることができる。
また、第一張出部215Aと第二張出部225Bとを設けることで簡易な構成で係合させることができる。また、肉盛部(213A,223B,232A,242B)を設けることで、摩擦攪拌接合の際に、金属が不足するのを防ぐことができる。本実施形態では、ピン254に左ネジの螺旋溝255が刻設されており、ボビンツール265を右回転させつつ前側から後側に移動させるため、塑性流動化された金属が螺旋溝255に導かれて第二ショルダ253側に移動する傾向がある。したがって、肉盛部(213A,223B,232A,242B)を、外板202A,202B及び内板203A,203Bのうち、第一ショルダ252と対向する側に設けることにより、第一ショルダ252側における金属不足を回避できる。
また、突き合せ部Nを先に接合すると、ダブルスキンパネル201A,201Bが離間してしまうおそれがあるが、本実施形態に係る接合工程では、係合部Mを先に接合することで、突き合せ部Nを接合する際に、ダブルスキンパネル201A,201Bが離間するのを防ぐことができる。
なお、ダブルスキンパネル201A,201Bの形状や係合形態は両者が離間しない形態であれた特に制限されるものではない。本実施形態のように、ダブルスキンパネル201A,201Bの端部が面一になり、かつ、隙間がなくなるように係合することが好ましい。また、一のダブルスキンパネルの外板202の両端に、第一鉤部212,212を設けたものを形成し、他のダブルスキンパネルの外板202の両端に、第二鉤部222,222を設けたものを形成し、これらのダブルスキンパネルを交互に併設して係合及び接合してもよい。また、例えば、図19に示すように、第一張出部215A及び第二張出部225Bの側部に傾斜を設けない形状としてもよい。また、本実施形態では、支持板204は外板202及び内板203に対して垂直に形成したが、斜めであってもよい。
<実施例1>
第一実施形態に係る摩擦攪拌装置1(ボビンツール5)を用いて、摩擦攪拌接合される金属板(板状端部)の厚さ及び金属板同士の隙間が接合状態にどのような影響を与えるかを調査するための試験を行った。図20に示すように、摩擦攪拌接合される一対の金属板の試験体(A6063−T5材)については、それぞれ厚さを変化させて試験体H1〜H19まで用意した。「Ad側」とは、ボビンツールの回転方向と進行方向が一致する側を意味する。つまり、ボビンツールが右回転の場合は進行方向左側を意味する。「Re側」とは、ボビンツールの回転方向と進行方向が相違する側を意味する。つまり、ボビンツールが右回転の場は進行方向右側を意味する。
試験体H1〜H7は、金属板の厚さをAd側とRe側とで同一にしている。試験体H8〜H13は、Ad側の金属板を6.0mmに固定し、Re側の金属板の厚さを変化させている。一方、試験体H14〜H19は、Re側の金属板を6.0mmに固定し、Re側の金属板の厚さを変化させている。
金属板同士の隙間は0〜2.0mmまで0.25mmずつ変化させた。試験に使用したボビンツールは、ショルダ外径20mm、ピン外径12mm、ショルダ間距離5.8mmに設定した。ボビンツールの回転数は800rpm、移動速度は600/min、回転方向は右回転に設定した。また、このボビンツールは、第一実施形態で記載したように、金属板の反りに追従してボビンツールの高さ位置が変化する形態である。摩擦攪拌接合後、X線透過試験と断面ミクロ組織から品質を判定した。
図21は、実施例1において、試験体H1の隙間と接合部の厚さとの関係を示したグラフである。図22は、実施例1において、試験体H3の隙間と接合部の厚さとの関係を示したグラフである。実施例1の接合部とは、実施形態における塑性化領域Wと同義である。また、実施例1の接合部の「Ad部」、「中央部」、「Re部」とは、図7の(b)に示すように、接合部(塑性化領域W)のAd、中央、Reの各位置を示している。
図21に示すように、金属板の厚さを6.0mm同士に設定して接合した場合、隙間0.75mm未満ではAd部、中央部、Re部ともに厚さの減少は小さいが、隙間0.75以上では隙間が増加するに従いAd部、中央部、Re部ともに厚さが減少した。隙間が1.2mmを超えると接合部の厚さは5.8mm未満になり接合欠陥が発生した。
図22に示すように、金属板の厚さが6.4mm同士に設定して接合した場合、隙間0.75mm未満ではAd部、中央部、Re部ともに厚さの減少は小さかった。隙間0.75〜1.75までは、Ad部、中央部、Re部ともに厚さの減少はするが、接合欠陥は発生しなかった。隙間2.0となると著しく接合部の厚さが減少し接合欠陥が発生した。
図21及び図22からは、接合部の中央部の厚さが5.8mm以下になると接合欠陥が発生することがわかった。つまり、金属板同士の間に隙間があっても、塑性流動によって金属が供給されて、接合部の中央部の厚さが、ショルダ間距離と同等の5.8mm未満にならなければ健全に接合されることがわかった。以上のことから、接合部(塑性化領域)の厚さがショルダ間距離以上となるように接合条件を設定する必要がある。
図23は、実施例1において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さ=Re側の厚さの場合を示す。図中、「○」は接合状況が良好、「×」は接合状況が不良である場合を示す。
図23によれば、隙間が大きくなったとしても、金属板の厚さが大きくなれば、接合状況が良好になる場合があることがわかった。ただし、金属板の厚さとショルダ間距離との差が0.8mmを越える(本実施例では金属板の厚さを6.6mmより大きくする)と、ショルダ間に発生する内圧が大きくなり、ツール寿命が著しく低下することがわかった。
また、図23によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が0〜0.75mm以下である場合、金属板の厚さが5.8〜6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0≦T−Z≦0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。
T−Zの値が0よりも小さくなる場合、つまり、板状端部102の厚さTよりもショルダ間距離Zが大きくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12(図7の(a)参照)から溢れやすくなるため、接合部(塑性化領域W)の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。0≦T−Z≦0.8mmとなる場合には、金属板同士の隙間が0〜0.75mmであっても、摩擦攪拌接合の摩擦熱によって金属板の温度が上昇し、金属板が膨張することによって隙間が無くなるため、接合状況が概ね良好であると考えられる。
また、図23によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が0〜1.0mm以下である場合、金属板の厚さが6.0〜6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.2≦T−Z≦0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.2mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
また、図23によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が1.0mmより大きく1.75mm以下である場合、金属板の厚さが6.2mm〜6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.4≦T−Z≦0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.4mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
また、図23によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が1.75mmより大きく2.00mm以下である場合、金属板の厚さが6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離ZとをT−Z=0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.8mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
図24は、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを変化させ、Re側の厚さを固定した場合を示す。図25は、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを固定し、Re側の厚さを変化させた場合を示す。
図24に係る試験ではRe側の厚さを6.0mmに固定し、Ad側の厚さを適宜変化させて摩擦攪拌接合を行った。図25に係る試験ではAd側の厚さを6.0mmに固定し、Re側の厚さを適宜変化させて摩擦攪拌接合を行った。つまり、図24及び図25に係る試験では、突き合わせる金属板の左右の厚さを変化させつつ、隙間ごとの接合品質について観察した。
図24及び図25を対比すると、図24の方が良好である条件が多い。言い換えると、図24に示すように、Re側の金属板を6.0mmに固定し、Ad側の金属板を6.2mm以上に変化させた場合に接合状況が良好になる場合が多い。これは、実施例1ではボビンツールを右回転させているため、塑性流動化した金属は、進行方向左側(Ad側)から右側(Re側)に移動しやすくなり、金属板同士の間に隙間がある場合には、Ad側の金属でその隙間が埋められると考えられる。したがって、図25の条件のように、進行方向左側の金属板の厚さが進行方向右側の金属板の厚さよりも小さいと、接合部の中央の金属が不足して接合不良となる可能性が高い。しかし、図24の条件のように、進行方向左側の金属板の厚さが進行方向右側の金属板の厚さよりも大きいと、接合部の中央の金属不足を補うことができるため、接合状態を良好にすることができる。
このことは、図26,27のグラフからも確認できる。プロット点「◆」は、試験体H4(Ad側の厚さ=6.6mm、Re側の厚さ=6.6mm)を示している。プロット点「■」は試験体H10(Ad側の厚さ=6.0mm、Re側の厚さ=6.6mm)を示し、プロット点「●」は試験体H16(Ad側の厚さ=6.6mm、Re側の厚さ=6.0mm)を示している。
図26の(a)に示すように、接合部の中央部の厚さにおいては、試験体H4,H16,H10の順に小さくなるころがわかる。つまり、Ad側の金属板がRe側よりも薄いと、接合部の中央部の厚さが小さくなることがわかった。
図26の(b)に示すように、接合部のAd部の厚さにおいては、試験体H4,H10,H16とも5.8mm前後になっており、接合前の厚さよりも減少していることがわかった。特に、試験体H4,H16を見ると厚さがかなり減少していることがわかった。
図27の(a)に示すように、接合部のRe部の厚さにおいては、試験体H10,H16の厚さはさほど相違ないが、H4の厚さは総じて大きいことがわかった。また、図26の(b)と図27の(a)を全体的に対比すると、Ad部よりもRe部の厚さの方が総じて大きいことがわかった。
図27の(b)に示すように、接合部の平均厚さは、試験体H10,H16,H4の順に大きくなることがわかった。
図26,27に示すように、試験体H4,H16によれば、試験体H10よりも中央部の厚さを大きくすることができる。ただし、試験体H4によると、接合部の厚さを大きくすることができるが、その分ショルダ間の内圧が大きくなってツールの寿命が低下する可能性が高い。したがって、試験体H16のように、Re側よりもAd側の金属板の厚さを大きくなるように設定することにより、ショルダ間の内圧を低下させつつ、接合部の中央部の厚さを大きくすることができる。
<実施例2>
第一実施形態に係る摩擦攪拌装置1(ボビンツール5)を用いて、摩擦攪拌接合される金属板(板状端部)の厚さ及び金属板同士の隙間が接合状態にどのような影響を与えるかを調査するための試験を行った。金属板同士の隙間は0〜2.0mmまで0.25mmずつ変化させた。試験に使用したボビンツールは、ショルダ外径10mm、ピン外径6mm、ショルダ間距離2.8mmに設定した。ボビンツールの回転数は2000rpm、移動速度は1000mm/min、回転方向は右回転に設定した。また、このボビンツールは、第一実施形態で記載したように、金属板の反りに追従してボビンツールの高さ位置が変化する形態である。摩擦攪拌接合後、X線透過試験と断面ミクロ組織から品質を判定した。
摩擦攪拌接合される金属板の試験体(A6063−T5材)については、Ad側とRe側の金属板の厚さを同等としつつ、3.0mm、3.2mm、3.4mmと厚さを変えて試験体を作成した。
図28は、実施例2において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側=Re側の場合を示す。図中、「○」は接合状況が良好、「×」は接合状況が不良である場合を示す。
図28によれば、隙間が大きくなったとしても、ショルダ間距離Zに対する金属板の厚さが大きくなれば、接合状況が良好になる場合があることがわかった。ただし、金属板の厚さとショルダ間距離Zとの差が0.6mmを越える(本実施例では金属板の厚さを3.4mmより大きくする)と、ショルダ間に発生する内圧が大きくなり、ツール寿命が著しく低下することがわかった。
また、図28によれば、ショルダ間距離Zが2.8mmであり、金属板同士の隙間が0.75mm以下である場合、金属板の厚さが3.0mm〜3.4mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.2≦T−Z≦0.6mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.2mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。金属板同士の隙間が0.75mm以下であると、摩擦攪拌接合の摩擦熱によって金属板の温度が上昇し、金属板が膨張することによって隙間が無くなるため、接合状況が概ね良好であると考えられる。
また、図28によれば、ショルダ間距離2.8mmであり、金属板同士の隙間が0.75mmより大きく1.50mm以下である場合、金属板の厚さが3.2〜3.4mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.4≦T−Z≦0.6mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.4mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
また、図28によれば、ショルダ間距離2.8mmであり、金属板同士の隙間が1.50mmより大きく1.75mm以下である場合、金属板の厚さが3.4mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離ZとをT−Z=0.6mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。
また、図28によれば、隙間が2.0mmであると、金属板の厚さを3.4mmとしても接合不良になることがわかった。
<ツール形状>
図29は、実施例1において、ショルダ間距離を5.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。図30は、実施例2において、ショルダ間距離を2.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。図31は、参考例において、ショルダ間距離を11.5mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。図29,30,31には、抗張力/材料抵抗、抗折力/材料抵抗、材料保持傾向を示した。
抗張力/材料抵抗は、Y/(X−Y)で表される。つまり、第一ショルダ11の下面及び第二ショルダ12の上面は、摩擦攪拌の際に塑性流動化された金属によって押圧さるため、ピン13には引張応力が作用する。そこで、抗張力/材料抵抗は、ピン13の外径Yを二乗した値を、第一ショルダ11の下面(第二ショルダ12の上面)の外径Xを二乗した値からピン13の外径Yを二乗した値を引いた値(X−Y)で除した値で表される。
抗折力/材料抵抗は、Y/YZで表される。つまり、ボビンツール5が突き合せ部Nを移動する際には、ピン13の軸方向に対して垂直方向の力が作用する。そこで、抗折力/材料抵抗は、ピン13の外径Yを二乗した値を、ピン13の軸を含む断面の断面積YZで除した値で表される。
材料保持傾向は、X/Yで表される。つまり、摩擦攪拌の際に塑性流動化された金属は第一ショルダ11の下面及び第二ショルダ12の上面によって保持される。そこで、材料保持傾向は、第一ショルダ11(第二ショルダ12)の外径Xを二乗した値を、ピン13の外径Yを二乗した値で除して表される。
図29,30,31を勘案すると、材料保持傾向(X/Y)が2.0以下であると接合欠陥が発生し易く、2.0よりも大きくなると接合欠陥が発生しないことがわかった。材料保持傾向(X/Y)が2.0以下であると、第一ショルダ11(第二ショルダ12)の外径Xに対するピン13の外径Yが太いため、金属を押えるショルダの面積が小さくなり、摩擦攪拌された金属を十分に押えることができず、金属がバリとなってショルダの外部から溢れ出てしまうためであると考えられる。一方、材料保持傾向(X/Y)が2.0より大きいと、ピン13の外径Yに対して、第一ショルダ11(第二ショルダ12)の外径Xが大きいため、塑性流動化した金属を両ショルダで十分に押えることができる。これにより、接合欠陥が発生しにくいと考えられる。
また、図29,30,31を勘案すると、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2以下であるとピンが破損し易いことがわかった。これは、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2以下であると、ショルダ外径Xに対するピン外径Yが小さくなるため、接合時にツール軸方向に発生する材料抵抗に対するピンの抗張力が不十分となり、ピン13が折れ易くなると考えられる。抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2より大きいと、ショルダ外径Xに対するピン外径Yが大きくなるため、ピン13が折れにくくなると考えられる。
また、図29,30,31を勘案すると、抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2以下であるとピン13が破損し易いことがわかった。これは、抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2以下であると、ショルダ間距離(ピンの長さ)Zに対するピン外径Yが小さくなるため、接合時にツール進行方向とは逆向きに流れる材料の抵抗に対するピンの抗折力が不十分となり、ピン13が折れ易くなると考えられる。抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2より大きいと、ショルダ間距離(ピンの長さ)Zに対するピン外径Yが大きくなるため、ピン13が折れにくくなると考えられる。
また、図29,30,31を勘案すると、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2以下であるか、又は抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2以下である場合、ピンの破損が起こった。しかしながら、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2より大きく、かつ、抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2より大きい場合、ピンの破損は起こらなかった。よって、接合時のボビンツールのピンの破損を防止するためには、ショルダ外径X、ピン外径Y及びショルダ間距離(ピンの長さ)Zについて、以下の式(1)、(2)の両方を満たすようにボビンルーツの形状を設計することが好ましいと結論づけられる。
/(X−Y)>0.2・・・・(1)
/YZ>1.2・・・・・・・・(2)
<実施例3>
実施例3では、ボビンツールのピンの刻設された螺旋溝の割合及び螺旋溝の巻回方向が接合後の金属板にどのような影響を及ぼすか調査した。図7の(a)を参照するように、ボビンツールの回転方向をスライド軸側から見て右回転に設定した。また、右ネジの上部螺旋溝13aと左ネジの下部螺旋溝13bとの割合を変化させて5種類の条件A〜Eを設定し摩擦攪拌接合を行った。
条件Aでは、右ネジの上部螺旋溝13aと左ネジの下部螺旋溝13bとの割合を0:100に設定した(右ネジ無し)。
条件Bでは、右ネジの上部螺旋溝13aと左ネジの下部螺旋溝13bとの割合を25:75に設定した。
条件Cでは、右ネジの上部螺旋溝13aと左ネジの下部螺旋溝13bとの割合を50:50に設定した。
条件Dでは、右ネジの上部螺旋溝13aと左ネジの下部螺旋溝13bとの割合を75:25に設定した。
条件Eでは、右ネジの上部螺旋溝13aと左ネジの下部螺旋溝13bとの割合を100:0に設定した(左ネジ無し)。
実施例3では、板厚Tが6.2mmのアルミニウム合金の金属板(A6063−T5)を二枚用意してこれらを接合した。ボビンツール5の第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外径Xは20mm、ピン13の外径Yは12mm、ショルダ間距離Zは5.8mmに設定した。螺旋溝の深さは0.81mmに設定した。ボビンツール5の回転数は800rpm、接合速度は600mm/minに設定した。また、各条件において、突き合せ部Nの隙間との関係を調査するために、隙間を0mm、1.25mm、1.50mm、1.75mm、2.00mmと変えて試験を行った。
図32は、実施例3において、金属板の段差に及ぼすネジ比率の影響(突き合せ部の隙間0mm)を示したグラフである。図33は、実施例3において、金属板の段差に及ぼすネジ比率の影響(突き合せ部の隙間1.5mm)を示したグラフである。段差は、接合前の金属板の表面を基準(基準=0)として、接合後の各所の高さ位置を示している。段差がプラス値である場合は凸状になっており、マイナス値である場合は凹状(凹溝)になっていることを示している。
図32に示すように、「▲」で示す表面SaのRe側は、条件A〜Eにおいて、プラスの値を示している。つまり、表面SaのRe側は、常に凸状になっている。
一方、「◆」で示す表面SaのAd側は、条件Aにおいて、大きなマイナス値を示している。つまり、条件Aにおいて、表面SaのAd側は、大きく凹状になっている。そして、「◆」で示す表面SaのAd側は、右ネジの割合が大きくなるにつれて、表面SaのAd側の凹みが徐々に小さくなり、条件Eでは凸状になっている。
他方、「■」で示す裏面SbのAd側は、条件Aにおいて、大きなプラス値を示している。つまり、条件Aにおいて、裏面SbのAd側は、大きく凸状になっている。そして、「■」で示す裏面SbのAd側は、右ネジの割合が大きくなるにつれて、裏面SbのAd側の凹みが徐々に大きくなり、条件D、条件Eでは凹状になっている。つまり、「◆」で示す表面SaのAd側と、「■」で示す裏面SbのAd側は、右ネジの割合に応じて相反する関係にある。また、「◆」で示す表面SaのAd側と、「■」で示す裏面SbのAd側は、条件C(50:50)でもわずかに凹状になっている。
図32と図33とを対比すると、突き合せ部の隙間を1.5mmにしても、突き合せ部の隙間が0mmである場合とさほど段差の傾向は変わらないことがわかる。図33の「▲」で示す表面SaのRe側の値及び「●」で示す裏面SbのRe側の値は、図32と比べると全体的に小さくなっていることがわかる。
図34は、実施例3に係る条件Aの塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。図35は、実施例3に係る条件Bの塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。図36は、実施例3に係る条件Cの塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。図37は、実施例3に係る条件Dの塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。図38は、実施例3に係る条件Eの塑性化領域を突き合せ部の隙間別に示す図である。図34〜38における各図の左欄は塑性化領域Wのマクロ組織観察を行った断面図を示し、中欄は塑性化領域Wの表面(化粧面)Sa側の平面図を示し、右欄は塑性化領域Wの裏面Sb側の平面図を示す。
図34の左欄に示すように、条件Aの場合、表面(化粧面)Sa側には大きな凹溝Vが形成されているが、裏面Sb側には凹溝Vが無い。突き合せ部の隙間が1.75mm、2.00mmでは表面Sa側に接合欠陥Qが形成されている。塑性化領域Wは、裏面Sbに向けて徐々に幅広になるようになっている。塑性化領域Wの縞模様は、左右非対称になっている。塑性化領域WのRe側よりもAd側の方が縞模様が濃くなっている。また、図34では、金属板の表面Sa側に比べて裏面Sb側の方がバリPが少ない。
図35の左欄に示すように、条件Bの場合、表面(化粧面)Sa側には条件Aに比べて小さな凹溝Vが形成されているが、裏面Sb側には凹溝Vが無い。突き合せ部の隙間が2.00mmでは金属板の内部に接合欠陥Qが形成されている。塑性化領域Wの縞模様は、左右非対称になっている。塑性化領域WのRe側よりもAd側の方が縞模様が濃くなっている。図35の条件Bの裏面Sbと図34の条件Aの裏面Sbとを対比すると、条件Bの方がバリPが多く発生し面が荒くなっている。
図36の左欄に示すように、条件Cの場合、表面(化粧面)Sa側には小さな凹溝Vが形成されており、裏面Sb側にも小さな凹溝Vが形成されている。突き合せ部の隙間が2.0mmでは金属板の内部に接合欠陥Qが形成されている。塑性化領域Wの上下の縞模様及び左右の縞模様はそれぞれ略対称になっている。図36の条件Cの表面Saと図35の条件Bの表面Saとを対比すると、条件Cの表面Saの方が凹溝Vの深さが若干小さい。また、条件Cの表面Saには、バリPがほぼ無い。また、条件Cの裏面Sbには、Ad側よりもRe側の方がバリPが多く発生している。
図37の左欄に示すように、条件Dの場合、表面(化粧面)Sa側には凹溝Vが形成されておらず、裏面Sb側には小さな凹溝Vが形成されている。突き合せ部の隙間2.00mmでは、金属板の内部に接合欠陥Qが形成されている。また、表面Saよりも裏面Sbの方がバリPが多く発生している。
図38の左欄に示すように、条件Eの場合、表面(化粧面)Sa側には凹溝Vが形成されておらず、Sb側には大きな凹溝Vが形成されている。突き合せ部の隙間1.75mm、隙間2.00mmでは、金属板の内部に接合欠陥Qが形成されている。塑性化領域Wは裏面Sbに向けて徐々に幅狭になるようになっている。裏面SbにはバリPが多く発生しているのに対し、表面SaにはバリPが発生していない。
図39は、実施例3の結果をまとめた表である。各要素の符号は、第一実施形態の符号をそのまま参照するものとする。図39の条件Aの概念図に示すように、右回転で左ネジを100%の範囲で設けると、流動化した金属は螺旋溝に導かれて裏面Sb側に移動する。この金属の移動によって、ボビンツール5の第二ショルダ12が押され、金属板に対してボビンツール5がスライド軸4とは反対側(裏面Sb側)に移動する。これにより、ボビンツール5が表面(化粧面)Sa側に深く入り込むため表面Sa側には大きな凹溝Vが形成される。
一方、図39の条件B〜Eに示すように、上部螺旋溝13aとして右ネジ部分を25%以上設ける場合には、右ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツール5がスライド軸4側(上方)に押され、金属板の表面Sa(化粧面)にボビンツール5が深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、表面Sa(化粧面)に凹溝Vが発生するのを防ぐか、又は、凹溝Vが形成されたとしてもその凹溝Vの深さを小さくすることができる。これにより、接合後の金属板の表面Saを平滑にするための仕上げ処理の手間を少なくすることができる。ただし、条件B、条件Cにおいては突き合せ部の隙間2.00mmの場合、条件D、条件Eにおいては突き合せ部の隙間1.75mm、隙間2.00mmの場合は接合欠陥Qが発生するため不適切である。これは、突き合せ部の隙間が大きいと接合部分の金属材料が減少するためと考えられる。
なお、例えば条件Eのように、右回転で右ネジが100%刻設されている場合において、ボビンツール5が板状端部102に対して上方に移動して第一ショルダ11の下面の高さ位置が板状端部102の摩擦攪拌前の表面(化粧面)Saよりも上方に位置し、第一ショルダ11の下面の高さ位置と板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saとの隙間が大きい場合は金属の押さえが不十分になるが、第一ショルダ11の下面の高さ位置と板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saとの隙間が微小である場合は、金属を十分に押えることができる。
また、第一ショルダ11の下面の高さ位置と板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saとの隙間が微小である場合は、塑性化領域Wが摩擦攪拌前の表面Saよりもわずかに突出することになる。しかし、板状端部102の表面Saを平滑にする処理は摩擦攪拌前の表面Saの高さに合わせてその突出した部分を切削すればよいため仕上げ処理が容易になる。
前記した第一実施形態では、上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bとはショルダ間距離Zに対して50:50の割合で形成されているが、化粧面を表面Saに設定し、ボビンツール5を右回転する場合、第一ショルダ11側の右ネジの上部螺旋溝13aと第二ショルダ12側の左ネジの下部螺旋溝13bとがショルダ間距離Zに対して25:75〜100:0の割合で形成されていることが好ましい。つまり、右ネジの上部螺旋溝13aは、第一ショルダ11側において、ショルダ間距離Zに対して25%以上の部分に形成され、上部螺旋溝13a以外の部分の全てが左ネジの下部螺旋溝13bとなるように形成されていてもよい。ボビンツール5を右回転させる場合は、左ネジを設けずに、ピン13の軸方向の全長にわたって右ネジを設けてもよい。
また、実施例3では、表面Sa側を化粧面として設定したが、裏面Sb側を化粧面として設定してもよい。この場合は、図39を参照するように、ボビンツール5の回転方向、螺旋溝の巻回方向を条件A,B,C,Dのように設定することで、裏面Sb(化粧面)側の凹溝Vが発生するのを防ぐか、又は、凹溝Vが形成されたとしてもその凹溝Vの深さを小さくすることができる。
つまり、ボビンツール5を右回転させつつ裏面Sb側を化粧面として設定する場合は、金属板の端面同士を突き合わせる突き合わせ工程と、第二ショルダ12と金属板の化粧面とを対向させ、かつ、ピン13の軸方向の中心と金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、突き合せ部Nに右回転させたボビンツール5のピン13を移動させて摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、ショルダ間の距離Zを金属板の板厚以下に設定するとともに、ピン13の外周面の第二ショルダ12側に左ネジの螺旋溝が形成されており、この左ネジの螺旋溝がショルダ間距離Zに対して25%以上の割合で形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、第二ショルダ12側の左ネジは25%以上の割合で形成されているため、左ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツール5がスライド軸4とは反対側(下方)に押され、金属板の裏面(化粧面)Sbにボビンツールが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、化粧面に凹溝が発生するのを防ぐか、又は、凹溝が形成されたとしてもその凹溝の深さを小さくすることができる。
図40は、ボビンツールを左回転させる場合の概念をまとめた表である。
条件Fでは、左ネジの上部螺旋溝13aと右ネジの下部螺旋溝13bとの割合を0:100に設定した(左ネジ無し)。
条件Gでは、左ネジの上部螺旋溝13aと右ネジの下部螺旋溝13bとの割合を25:75に設定した。
条件Hでは、左ネジの上部螺旋溝13aと右ネジの下部螺旋溝13bとの割合を50:50に設定した。
条件Iでは、左ネジの上部螺旋溝13aと右ネジの下部螺旋溝13bとの割合を75:25に設定した。
条件Jでは、左ネジの上部螺旋溝13aと右ネジの下部螺旋溝13bとの割合を100:0に設定した(右ネジ無し)。
第二実施形態で示したように、左回転させる場合は、上部螺旋溝13aに左ネジを設け、下部螺旋溝13bに右ネジを設けたボビンツール5Aを用いる。ボビンツール5Aを左回転させる場合は、第一実施形態のボビンツール5とはネジの巻回方向が異なるため、結果的に実施例3と同等の作用効果を示す。つまり、条件G〜条件Jに示すように、摩擦攪拌されて流動化された金属は、ピン13の左ネジの上部螺旋溝13aに導かれて第一ショルダ11側に移動し、右ネジの下部螺旋溝13bに導かれて第二ショルダ12側に移動する。左ネジは25%以上の割合で形成されているため、左ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツール5Aがスライド軸4側(上方)に押され、金属板の表面(化粧面)Saにボビンツール5Aが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、表面(化粧面)Saに凹溝Vが発生するのを防ぐか、又は、凹溝Vが形成されたとしてもその凹溝Vの深さを小さくすることができる。これにより、接合後の金属板の表面Saを平滑にするための仕上げ処理の手間を少なくすることができる。
なお、例えば条件Jのように、左回転で左ネジが100%刻設されている場合において、ボビンツール5が板状端部102に対して上方に移動して第一ショルダ11の下面の高さ位置が板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saよりも上方に位置し、第一ショルダ11の下面の高さ位置と板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saとの隙間が大きい場合は金属の押さえが不十分になるが、第一ショルダ11の下面の高さ位置と板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saとの隙間が微小である場合は、金属を十分に押えることができる。
また、第一ショルダ11の下面の高さ位置と板状端部102の摩擦攪拌前の表面Saとの隙間が微小である場合は、塑性化領域Wが摩擦攪拌前の表面Saよりもわずかに突出することになる。しかし、板状端部102の表面Saを平滑にする処理は摩擦攪拌前の表面Saの高さに合わせてその突出した部分を切削すればよいため仕上げ処理が容易になる。
前記した第二実施形態では、上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bとはショルダ間距離Zに対して50:50の割合で形成されているが、化粧面を表面Saに設定し、ボビンツール5Aを左回転する場合、第一ショルダ11側の左ネジの上部螺旋溝13aと第二ショルダ12側の右ネジの下部螺旋溝13bとがショルダ間距離Zに対して25:75〜100:0の割合で形成されていることが好ましい。つまり、左ネジの上部螺旋溝13aは、第一ショルダ11側において、ショルダ間距離Zに対して25%以上の部分に形成され、上部螺旋溝13a以外の部分の全てが右ネジの下部螺旋溝13bとなるように形成されていてもよい。ボビンツール5Aを左回転させる場合は、右ネジを設けずに、ピン13の軸方向の全長にわたって左ネジを設けてもよい。
なお、表面Sa側を化粧面として設定したが、裏面Sb側を化粧面として設定してもよい。この場合は、図40を参照するように、ボビンツール5の回転方向、螺旋溝の巻回方向を条件F,G,H,Iのように設定することで、裏面Sb(化粧面)側の凹溝Vが発生するのを防ぐか、又は、凹溝Vが形成されたとしてもその凹溝Vの深さを小さくすることができる。
つまり、ボビンツール5Aを左回転させつつ裏面Sb側を化粧面として設定する場合は、金属板の端面同士を突き合わせる突き合わせ工程と、第二ショルダ12と金属板の化粧面とを対向させ、かつ、ピン13の軸方向の中心と金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、突き合せ部Nに左回転させたボビンツール5Aのピン13を移動させて摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、ショルダ間の距離Zを金属板の板厚以下に設定するとともに、ピン13の外周面の第二ショルダ12側に右ネジの螺旋溝が形成されており、この右ネジの螺旋溝がショルダ間距離Zに対して25%以上の割合で形成されていることが好ましい。
かかる接合方法によれば、第二ショルダ12側の右ネジは25%以上の割合で形成されているため、右ネジの螺旋溝による金属の移動によってボビンツール5Aがスライド軸4とは反対側(下方)に押され、金属板の裏面(化粧面)Sbにボビンツールが深く入り込むのを防ぐことができる。これにより、裏面(化粧面)に凹溝が発生するのを防ぐか、又は、凹溝が形成されたとしてもその凹溝の深さを小さくすることができる。
<実施例4>
次に、本発明の実施例4について説明する。図41は、実施例4の係合形態又は突き合わせ形態を示した正面図であって、(a)はタイプI、(b)はタイプII、(c)はタイプIIIを示す。実施例4では、3種類の供試体を用意して、タイプI、タイプII及びタイプIIIの部分のみにそれぞれ摩擦攪拌接合を行い、接合後のそれぞれの角変形を調査した。
タイプI〜IIIは、アルミニウム合金6N01−T5材からなるダブルスキンパネル201A,201Bであって、図12及び図41を参照するように、外板厚肉部(第一外板厚肉部211、第二外板厚肉部221)の板厚a=3mm、肉盛部(肉盛部213,223,232,242)の厚さ寸法b=0.5mm、支持板204から第一端面33までの長さc及び支持板204から第二端面43までの長さc=15mm、外板202の上面から内板203の下面までの長さd=30mm、左右幅寸法e=200mm、延長寸法5000mmに設定されている。
ボビンツール265は、図15を参照するように、第一ショルダ252の下端面252cの直径X2=10mm、及び第二ショルダ253の上端面253cの直径Y2=10mm、第二ショルダ253の外径Y1=15mm、ピン254の外径U=6mmに設定されている。第一ショルダ252から第二ショルダ253までの長さ(ピン254の長さ)は2.9mmに設定されている。第一ショルダ252の下端面252cに形成された窪み(図示省略)の形状は平面視渦巻き状であって、窪みの深さは0.3mm、窪みのピッチは1.2mmに設定されている。ボビンツール265は、右回転に設定し、タイプI〜IIIとも図41の(a)〜(c)の紙面表側から裏側に向けて移動させる。ボビンツール265の回転速度は2000rpm、移動速度は1000mm/minに設定した。
タイプIは、図41の(a)に示すように、ボビンツール265の進行方向の左側にダブルスキンパネル201Aを、右側にダブルスキンパネル201Bを配置し、第一鉤部212Aと第二鉤部222Bとを係合させている。
タイプIIは、図41の(b)に示すように、ボビンツール265の進行方向の右側にダブルスキンパネル201Aを、左側にダブルスキンパネル201Bを配置し、第一鉤部212Aと第二鉤部222Bとを係合させている。
タイプIIIは、図41の(c)に示すように、ボビンツール265の進行方向の左側にダブルスキンパネル201Aを配置し、右側にダブルスキンパネル201Bを配置し、第一端面233Aと第二端面243Bとを突き合わせている。
図42は、タイプIの角変形結果を示したグラフである。図43は、タイプIIの角変形結果を示したグラフである。図44は、タイプIIIの角変形結果を示したグラフである。横軸は、接合された各供試体の左側端からの幅方向の長さを示している。幅方向=200mmとは、センター線Cの位置を示している。縦軸は、各供試体における任意の基準点からの接合後の高さを示している。各供試体の前端から延長方向の距離50mm、200mm、400mm、600mm、800mm、950mmにおける各地点の高さを計測した。
図42,43に示すように、タイプI及びタイプIIでは、幅方向=180mmの位置での高さが最も高く、幅方向=210mmの位置での高さが最も低くなっている。つまり、接合部分に小さく目違いが発生した形状となっている。また、幅方向=180mm〜210mmの位置での高低差は、タイプIに比べてタイプIIの方が大きかった。また、幅方向=210mmの位置から供試体の右端までの高低差も、タイプIに比べてタイプIIの方が大きかった。つまり、タイプIに比べてタイプIIの方が、角変形が全体的に大きいことが分かった。
これは、図41の(a)及び(b)に示すように、ダブルスキンパネル201A,201Bがボビンツール265から受ける力の方向と、ダブルスキンパネル201A,201Bの係合形態の違いに起因するものであると考えられる。本実施形態にかかるボビンツール265(ピン254の螺旋溝255が左ネジ)を右回転させて、図41の紙面の表側から裏側に向けて移動させると、応力F1が作用すると考えられる。
したがって、図41の(b)に示すタイプIIであると、係合部Mの傾斜面Maの傾斜方向が応力F1の作用方向と略平行であるとともに、センター線Cに対して応力F1の入力位置と傾斜面Maとが同じ側にあるため、ダブルスキンパネル201Bが右斜め下側に移動しやすくなり、接合中にダブルスキンパネル201A,201Bが離間する可能性が高くなる。
一方、図41の(a)に示すタイプIであると、係合部Mの傾斜面Maの傾斜方向が応力F1の作用方向と交わるとともに、センター線Cに対して応力F1の入力位置と傾斜面Maとが反対側にあるため、接合中にダブルスキンパネル201A,201Bが離間するのを効果的に防ぐことができる。
他方、図44に示すように、タイプIIIでは、幅方向が180mmの位置及び幅方向が210mmの位置における高さが同じくらいであった。つまり、左右端に比べて接合部分の高さが最も高く、正面視して山型になっている。また、タイプIIIの高低差は、タイプI,IIの高低差よりも大きくなっている。仮に、ダブルスキンパネルを複数枚(例えば5枚)配設し、タイプIIIのように突き合せ部N側から摩擦攪拌接合すると、接合されたダブルスキンパネルの全体の角変形量が増大すると考えられる。したがって、係合部M及び突き合せ部Nのどちらを先に接合しても接合強度の観点からは問題が無いが、角変形量を考慮すると、先に係合部M側から摩擦攪拌接合することが好ましい。
図45は、ボビンツールの回転方向、螺旋溝の巻回方向、係合形態をまとめた表である。図45では、4パターンの好ましい条件1〜4を示している。条件1(本実施形態と同様)に示すように、螺旋溝が左ネジのボビンツール265を右回転させて、図45の紙面表側から裏側方向に移動させる場合、係合形態をタイプIとすることが好ましい。
つまり、条件1ではボビンツール265を右回転させるため、センター線Cに対して左側から右側方向成分の力が作用するとともに、塑性流動化した金属が螺旋溝に導かれて上から下に移動する。したがって、条件1では、係合形態に示すように応力F1が作用する。そこで、タイプIでは応力F1に対向するように、第二鉤部212B及び係合部Mの傾斜面Maを設定することで、接合中にダブルスキンパネル201A,201Bが離間するのを防ぐことができる。
また、条件2に示すように、螺旋溝が右ネジのボビンツール265を左回転させて、図45の紙面表側から裏側方向に移動させる場合、係合形態をタイプIIとすることが好ましい。
つまり、条件2ではボビンツール265を左回転させるため、センター線Cに対して右側から左側方向成分の力が作用するとともに、塑性流動化した金属が螺旋溝に導かれて上から下に移動する。したがって、条件2では、係合形態に示すように応力F2が作用する。そこで、タイプIIでは応力F2に対向するように、第二鉤部212B及び係合部Mの傾斜面Maを設定することで、ダブルスキンパネル201A,201Bが離間するのを防ぐことができる。
同様に、条件3に示すように、螺旋溝が右ネジのボビンツール265を右回転させて、図45の紙面表側から裏側方向に移動させる場合、係合形態をタイプIVとすることが好ましい。
また、同様に、条件4に示すように、螺旋溝が左ネジのボビンツール265を左回転させて、図45の紙面表側から裏側方向に移動させる場合、係合形態をタイプVとすることが好ましい。
条件3,4の場合であっても、係合部Mの傾斜面Ma’及び第二鉤部212B’を応力F3,F4に対向するように設定することで、接合中にダブルスキンパネル201A’,201B’が離間するのを防ぐことができる。
また、条件1,2では第一ショルダ252側、条件3,4では第二ショルダ253側に肉盛部を設けることが好ましい。これにより、摩擦攪拌によって金属が不足する側に金属を補充できるため、金属不足になるのを補うことができる。
<実施例5>
実施例5では、実施例4とは異なるサイズのダブルスキンパネルを5枚用いて摩擦攪拌接合を行った。図12を参照すると、実施例5のダブルスキンパネルは、外板厚肉部の板厚a=4.0mmm、肉盛部の厚さ寸法b=0.5mm、左右幅寸法e=400mm、延長寸法12500mmに設定されている。
ボビンツールは、図15を参照すると、第一ショルダ252の下端面252cの直径X2=15mm、第二ショルダ253の外径Y1=18mm、第二ショルダ253の上端面253cの直径Y2=15mm、ピン54の外径U=9mmに設定した。第一ショルダ252から第二ショルダ253までの長さ(ピン54の長さ)は3.7mmに設定されている。また、ボビンツールの回転速度を1000rpmに設定した。また、ボビンツール移動速度は、係合部M側が1000mm/min、突き合せ部N側が1500mm/minに設定した。
実施例5では、一方のダブルスキンパネルをテーブルの上にセットし、他方のダブルスキンパネルを上方から降ろして係合及び突き合わせた。同様の作業で5枚のダブルスキンパネルを隙間無く係合した後、組立体を移動不能に拘束した。組立体が浮かないように、延長方向に1.5mピッチで配置された横押しクランプで押し付けた。また、組立体の四隅を簡単にクランプした。そして、端から順番に摩擦攪拌接合を行った。
実施例5の条件であっても、接合不良の無い面材を製造することができた。ここで、一般的に、金属部材に対して摩擦攪拌接合を行うと、熱収縮が発生するため接合後の金属部材が反ってしまうことがある。仮に、金属部材の表裏において摩擦攪拌接合をする場合、回転ツールの回転速度、移動速度及び移動長さを同じ条件にして、金属部材の表面側に摩擦攪拌接合を行った後、裏面側に摩擦攪拌接合を行うと裏面側が凹状となるように反ってしまうおそれがある。
これは、表面側を摩擦攪拌接合した後は、熱収縮によって金属部材が表面側に凹状となるように沿ってしまうため、沿った金属部材を引っくり返し平坦なテーブルの上に置くとテーブルと金属部材との間の隙間が大きくなる。この状態で、裏面側を摩擦攪拌接合すると、摩擦攪拌による熱がテーブルに抜けていきにくいため、金属部材に残る熱量が大きくなる。その結果、金属部材に残った熱とも相まって裏面側が凹状となるように大きく反ってしまう。
そこで、実施例5のように、係合部M側よりも突き合せ部N側におけるボビンツールの移動速度を早く設定すれば、突き合せ部Nへの接合時の入熱を小さくすることができる。これにより、接合後のダブルスキンパネルが反るのを防ぐことができる。
<実施例6>
実施例6では、板状端部の板厚と長さの関係を調査するために試験を行った。図46の(a)に示すように、断面視コの字状を呈し、同形状からなる供試体301,301の端部同士を突き合わせ、突き合せ部Nに対して摩擦攪拌接合を行った。各供試体301は、支持部材302と、支持部材302から垂直に延設された板状端部303と、を備えている。
供試体301の高さは30mm、延長寸法は500mmに設定した。図46の(a)及び(b)に示すように、板状端部303の板厚a及び支持部材302から板状端部303の先端までの長さcをパラメータとして各条件において摩擦攪拌接合を行った。図46の(b)に実施例6の各条件と接合の品質について表にまとめた。ボビンツールの寸法については、図46の(b)の表に示すとおりである。
図46の(b)に示すように、板厚a=3mm、支持部材302から板状端部303の先端までの長さc=50mmの場合、接合不良となった。また、板厚a=6mmの場合は、長さc=70mm、80mmのときに接合不良となった。また、板厚a=12mmの場合は、長さc=120mmのときに接合不良となった。つまり、支持部材302に対して板状端部303の長さが長すぎると、板状端部303の先端側が変形しやすくなるため接合不良になりやすい。
図47は、実施例6の相関関係を示したグラフである。図47の横軸は板厚aを示し、縦軸は支持部材302から板状端部303の先端までの長さcを示している。このグラフから、支持部材から先端までの長さcは、長さc≦7.0×板厚a+18.5mmを満たすように設定することが好ましい。この条件であれば、板状端部303の変形を抑制できるため、接合不良になりにくい。
1 摩擦攪拌装置
1a チャック部
2 回転ツールユニット
3 ホルダー
4 スライド軸
5 ボビンツール
6 スライド手段
11 第一ショルダ
12 第二ショルダ
13 ピン
13a 上部螺旋溝
13b 下部螺旋溝
100A中空形材
100B中空形材
N 突き合せ部
T 金属板の厚さ
W 塑性化領域(接合部)
X ショルダの外径
Y ピンの外径
Z ショルダ間距離(ピンの長さ)

Claims (23)

  1. 摩擦攪拌接合に用いられる回転ツールユニットであって、
    摩擦攪拌装置のチャック部に脱着可能に固定される円筒状のホルダーと、
    前記ホルダーの内部に挿通され前記ホルダーと一体的に回転するスライド軸と、
    第一ショルダと第二ショルダと前記第一ショルダと前記第二ショルダの間に形成されたピンとで構成されたボビンツールと、を有し、
    前記スライド軸の先端に別体の前記第一ショルダが連結されており、
    前記第二ショルダの大径部の外径は、前記第一ショルダの大径部の外径よりも小さくなっているとともに、
    前記ホルダーに対して前記スライド軸が軸方向に摺動するように、前記ホルダーと前記スライド軸の間にスライド手段を備えており、
    前記スライド手段は、前記スライド軸の外面又は前記ホルダーの内面に形成されたベアリング溝とベアリング溝内を摺動するボールベアリングとで構成されていることを特徴とする回転ツールユニット。
  2. 前記第二ショルダの外面に、周方向に沿う溝が複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転ツールユニット。
  3. 前記ホルダー及び前記スライド軸のいずれか一方に形成されたキー溝と、他方に形成されたキーとを有し、
    前記スライド軸の移動に伴って、前記キーが前記キー溝の内部を移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転ツールユニット。
  4. 前記ホルダーの内面及び前記スライド軸の外面のいずれか一方の軸方向に沿って延設された突条と、他方の軸方向に沿って延設された凹条とを有し、
    前記スライド軸の移動に伴って、前記突条が前記凹条の内部を移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転ツールユニット。
  5. 前記ホルダーには、径方向に貫通する長孔状のキー溝が形成され、
    前記スライド軸の外面には、外側に向けて突出するキーが形成され、
    前記キーが、前記キー溝に係合することにより、前記ホルダーと前記スライド軸とが一体的に回転することを特徴とする請求項3に記載の回転ツールユニット
  6. 前記ホルダーの外面には、上下方向に平坦に延設された平坦面が形成されており、
    前記ホルダーは、前記チャック部にボルトを介して締結されており、
    前記ボルトの先端は、前記平坦面に当接していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の回転ツールユニット
  7. 前記ピンは、前記第二ショルダを貫通しており、前記第二ショルダの下端においてナットで締結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の回転ツールユニット
  8. 前記第一ショルダは、大径部と、テーパー部と、下端面とを備え、前記テーパー部は、下方に向けて徐々に縮径しており、
    前記第二ショルダは、大径部と、テーパー部と、上端面とを備え、前記テーパー部は、上方に向けて徐々に縮径していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の回転ツールユニット
  9. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の回転ツールユニットを用いて、一対の金属板を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記金属板の端面同士を突き合わせる突き合せ工程と、
    前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に回転させた前記ボビンツールのピンを移動させて前記端面同士を摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、
    前記接合工程では、第一ショルダ及び第二ショルダ間の距離を前記金属板の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記金属板が変形して前記金属板の位置が前記ボビンツールの軸方向に変位した際に、その変位に追従して前記ボビンツールが軸方向に移動することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  10. 前記接合工程では、
    前記第一ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て右回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、
    前記ピンの外周面の前記第一ショルダ側に右ネジの螺旋溝が形成されており、この右ネジの螺旋溝が前記第一ショルダ及び前記第二ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の摩擦攪拌接合方法。
  11. 前記外周面のうち前記右ネジの螺旋溝の端部から前記第二ショルダまでの間に、左ネジの螺旋溝が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の摩擦攪拌接合方法。
  12. 前記接合工程では、
    前記第一ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て左回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、
    前記ピンの外周面の前記第一ショルダ側に左ネジの螺旋溝が形成されており、この左ネジの螺旋溝が前記ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることを特徴とする請求項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  13. 前記外周面のうち前記左ネジの螺旋溝の端部から前記第二ショルダまでの間に、右ネジの螺旋溝が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の摩擦攪拌接合方法。
  14. 前記接合工程では、
    前記第二ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て右回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、
    前記ピンの外周面の前記第二ショルダ側に左ネジの螺旋溝が形成されており、この左ネジの螺旋溝が前記ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることを特徴とする請求項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  15. 前記外周面のうち前記左ネジの螺旋溝の端部から前記第一ショルダまでの間に、右ネジの螺旋溝が形成されていることを特徴とする請求項14に記載の摩擦攪拌接合方法。
  16. 前記接合工程では、
    前記第二ショルダと前記金属板の化粧面とを対向させ、かつ、前記ピンの軸方向の中心と前記金属板の板厚方向の中心とを合わせた後、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に前記スライド軸側から見て左回転させた前記ボビンツールのピンを移動させ、
    前記ピンの外周面の前記第二ショルダ側に右ネジの螺旋溝が形成されており、この右ネジの螺旋溝が前記ショルダ間の距離に対して25%以上の割合で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の摩擦攪拌接合方法。
  17. 前記外周面のうち前記右ネジの螺旋溝の端部から前記第一ショルダまでの間に、左ネジの螺旋溝が形成されていることを特徴とする請求項16に記載の摩擦攪拌接合方法。
  18. 前記接合工程では、前記金属板の化粧面側を冷却しながら接合することを特徴とする請求項10、請求項12、請求項14又は請求項16に記載の摩擦攪拌接合方法。
  19. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の回転ツールユニットを用いて、一対のダブルスキンパネルの端部同士を摩擦攪拌接合するダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法であって、
    一方の前記ダブルスキンパネルの外板の端部に形成された鉤部と他方の前記ダブルスキンパネルの外板の端部に形成された鉤部とを係合させつつ、一方の前記ダブルスキンパネルの内板の端部に形成された端面と他方の前記ダブルスキンパネルの内板の端面とを係合させずに突き合わせる準備工程と、
    前記準備工程で係合させた係合部及び突き合わせた突き合せ部に対して摩擦攪拌接合を行う接合工程と、を含み、
    前記接合工程では、第一ショルダ及び第二ショルダ間の距離を前記端部の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記端部が変形して前記端部の位置が前記ボビンツールの軸方向に変位した際に、その変位に追従して前記ボビンツールが軸方向に移動することを特徴とするダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法。
  20. 各前記鉤部は、前記外板の厚肉部から延設された薄肉部と、前記薄肉部に連続し板厚方向に張り出した張出部と、を有し、
    前記準備工程において、一対の前記張出部同士を係合させることを特徴とする請求項19に記載のダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法。
  21. 一方の前記ダブルスキンパネルの前記張出部の側部には張出傾斜面が形成されており、
    他方の前記ダブルスキンパネルの前記厚肉部には前記張出傾斜面に面接触する厚肉傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項20に記載のダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法。
  22. 前記外板と前記内板の間に支持板が介設されており、
    前記支持板から前記端面までの長さをc(mm)及び前記厚肉部の板厚をt(mm)としたとき、
    c≦7.0×t+18.5mmを満たすように設定されていることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法。
  23. 前記接合工程では、前記係合部を接合した後に、前記突き合せ部を接合することを特徴とする請求項19乃至請求項22のいずれか一項に記載のダブルスキンパネルの摩擦攪拌接合方法。
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