JP2002018580A - 摩擦攪拌接合方法及び接合装置 - Google Patents

摩擦攪拌接合方法及び接合装置

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JP2002018580A
JP2002018580A JP2000203047A JP2000203047A JP2002018580A JP 2002018580 A JP2002018580 A JP 2002018580A JP 2000203047 A JP2000203047 A JP 2000203047A JP 2000203047 A JP2000203047 A JP 2000203047A JP 2002018580 A JP2002018580 A JP 2002018580A
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征彦 坂本
Kinya Aota
欣也 青田
Masakuni Esumi
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    • B23K2101/00Articles made by soldering, welding or cutting
    • B23K2101/04Tubular or hollow articles
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ピンを挟んで上下にショルダ部を有する回転ツ
ールにより摩擦攪拌接合を行う場合に、接合部に空洞等
の欠陥が生ずるのを解決する。 【解決手段】上下ショルダ部の間に挟まれる接合材の接
合部厚さを、上部ショルダと下部ショルダとの間隔より
も大きくして接合を行う。接合材にツールの押し付け力
が加わらないので、接合欠陥が生じにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は摩擦攪拌接合方法及
び接合構造並びに接合装置に関し、特に接合部に発生す
る空洞や割れ等などの接合欠陥を防止し、接合部の品質
改善に貢献する発明に関する。
【0002】
【従来の技術】摩擦攪拌接合方法は、実質的に接合材の
材質よりも硬い材質のツールを加工物の接合部に挿入
し、ツールを回転させながら移動することによって、前
記ツールと前記接合材との間で発生する摩擦熱により接
合する方法である。これは特公表7−505090号公報(EPO
615480B1)で公知である。つまり、ツールと接合材との
摩擦熱による塑性流動現象を利用したもので、アーク溶
接のように加工物を溶かして溶接するものでなはい。
【0003】さらに、この接合方法は、従来の摩擦溶接
方法のように加工物同士を回転してお互いの摩擦熱によ
り接合する方法とは異なり、接合材を接合線方向、つま
り、長手方向に連続的に溶接できる特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特公表7−505090
号公報による摩擦攪拌接合方法における前記ツールは、
ピン部と前記ピン部より細いショルダ部よりなってい
る。前記公報に記載の方法で接合する場合、ツールを接
合材の内部に挿入して接合する。つまり、ツールで接合
材を押し付けながら接合するため、接合材に大きな押し
付け力が作用する。このため、ツールと反対方向にツー
ルの押し付け力を支える支持板または支持柱が必要であ
る。
【0005】一方、本発明で用いるツールは、前記ピン
部を両方から一定の間隔をもって挟むように前記ピンよ
り太い2個のショルダ部を有している。つまり、本発明
の摩擦攪拌接合方法では、前記2つのショルダによって
接合材を表面及び裏面方向から挟むようにして接合す
る。このため前記公報のようにツールの押し付け力がゼ
ロ(0)である特徴がある。しかし、接合材を前記2つ
のショルダで囲むようにして接合する方法には、下記の
ような課題がある。
【0006】(1)前記2つのショルダ部の間隔と接合
材表面との間隔が接合部の品質に大きく影響する。例え
ば、前記ショルダ部の間隔と前記接合材との間に空隙が
ある場合には、接合部に圧力がかからないため、空洞的
な欠陥が発生する。また、前記ショルダ部の間隔と接合
材の厚さが同じ場合には、前記ショルダ部で挟まれてい
る部分が接合過程で切削されるため、接合部以外の厚さ
より薄くなる。このため、接合部の品質上及び美観の点
で問題がある。従って、接合過程における前記接合材の
厚さは前記2つのショルダ部の間隔よりも大きいことが
必要である。
【0007】(2)前記接合方法は接合材を2つのシュ
ルダで表裏両面から挟んで接合するため、接合材は表裏
両面で切削される。このため、互いに対向して接合する
2つの接合材の間に隙間(ギャップ)がある場合、その
空隙を補充する接合材が不足するため、接合欠陥が発生
する傾向が大きくなる。
【0008】一方、接合材の表面は一般に凹凸があり、
一定の厚さではない。特に接合材が長い場合には、この
厚さの変化は顕著である。さらに、接合材の厚さが一定
の場合でも、接合過程で摩擦熱により接合材表面の高さ
が変化する。従って、課題の(3)は接合過程における
前記ツールの位置を接合材表面の凹凸の変化に応じて上
下に調節する必要がある。
【0009】一方、前記接合方法は、接合材を表面と裏
面の両方から前記ショルダ部で挟むようにして接合する
ため、ショルダ部が1つからなる前記公報に記載の接合
方法に比べて2倍の摩擦熱が生じる。従って、課題の
(4)は接合過程及び接合後の接合材のひずみも2倍と
なり、接合体としての品質の低下さらに接合後の修正作
業が必要となり、コストの点でも問題がある。さらに、
接合過程における接合材の拘束も困難になるなど作業性
の点でも問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のツールは、前記
ピンを両方から一定の間隔をもって挟むように前記ピン
より太い2個のショルダ部を有している。つまり、本発
明の摩擦攪拌接合方法では、2つのショルダによって接
合材を表面及び裏面から挟むようにして接合する。この
ため、前記公報のようにツールの押し付け力がゼロ
(0)である効果がある。従って、ツールの下部に押し
付け力を支持するリブないし構造でも接合できる。
【0011】前記、課題の(1)は、前記2つのショル
ダ部の間隔より接合材の厚さを厚くすることにより達成
できる。この手段として、前記ショルダ部に挟まれる部
分の接合材の厚さを予め局部的に厚くすることにより可
能となる。さらに、前記、課題の(2)は、突合せ接合
する前記2つの対向する接合材の接合部の形状を互いに
嵌め込み構造とすることにより達成できる。
【0012】前記、課題の(3)は、前記ツールの前方
に接合材表面の高さを検出する検出器を接合材の表面及
び裏面に配置し、前記検出器からの高さの変化の検出信
号に応じて前記ツールの位置を上下方向に手動または自
動的に制御することにより可能となる。さらに、前記ツ
ールの接合方向の前方に前記接合材の両面を挟むように
回転ロール配置することにより、前記接合材の変形及び
凹凸を矯正しながら接合できる。従って、曲面及び曲率
を有する接合材でも容易に接合できる。
【0013】課題の(4)は、水中で接合するかまたは
前記ツールの近傍に局部的または接合材の全体に水また
はオイルまたは冷却ガスをかけながら接合することによ
り達成できる。
【0014】前記ショルダ部で挟まれる前記接合材の厚
さを他の部分より局部的に厚くすることにより、接合材
を表面と裏面の両方から安定に圧力をかけた状態で接合
できる。このため、接合部に欠陥がない健全な接合部が
得られる。前記ショルダによる切削によって、局部的に
凹みが生じても予め厚くしているため、接合後は接合部
外の厚さと同じ厚さになる。さらに、2つの接合材の突
合わせ部にギャップがある場合でも局部的に厚い部分か
ら接合金属を補充できるため、欠陥なく接合できる。
【0015】さらに、お互いに対向して接合する2つの
接合材の接合部の構造を互いに嵌め込み構造とすること
により、接合部にギャップが生じた場合でも前記ギャッ
プを嵌め込み部で補充するため、欠陥無く接合できる。
【0016】一方、前記ツールの前方に接合材表面の高
さを検出する検出器を接合材の両面またはいずれか一方
に配置する。前記検出器からの接合材表面の高さの変化
の検出信号に応じて前記ツールの位置を上下方向に手動
または自動的に制御することにより、接合材の厚さまた
は変形が生じても常に安定な接合が可能となる。さら
に、前記ツールの接合方向の前方に前記接合材の両面を
挟むように回転ロールを配置することにより、前記接合
材の変形及び凹凸を接合前に矯正できるため、曲面構造
の接合材でも安定に接合できる。
【0017】一方、接合を水中で行うかまたは前記ツー
ルの近傍に局部的または接合部を含む接合材全体に水,
オイル,ガスなどの冷却剤をかけながら接合することに
より、低温で変形なく接合できるため安定な接合ができ
る。なお、接合部の内部圧力はツールの回転と摩擦熱で
大気圧より高いため、接合部の内部に水は浸入しない。
【0018】前記方法により、ツールの反対側にツール
の押し付け力に耐える支持板や支持柱がない構造でも接
合できる。このため接合構造の軽量化が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は本発明の実施
例におけるツール構造の断面を示す。回転ツール1は細
いピン部2を囲むように配置されている2個のショルダ
部3a,3bから構成されている。前記ショルダ部3
a,3bの径(D)は前記ピン部2の径(d)より太
い。前記2つのショルダ3aと3bとの間隔(L)は接
合材の厚さにより決定される、なお、外側の間隔(L)
は内側の間隔(X)より小さいことがのぞましい。外側
と内側の角度(α)は1〜10度が望ましい。両者の間
隔LとXが同じ場合は欠陥が発生しやすい。前記構造の
ツールはこれが一体で回転する。
【0020】図2は本発明の実施例における接合構造の
断面を示す。前記接合材4a及び4bの接合部の厚さ
(H)は接合部以外の厚さ(h)より局部的に厚く、か
つ、お互いに嵌め込み構造になっていることが特徴であ
る。前記局部的に厚い部分の幅(A)は、前記ショルダ
部3a,3bの径(D)と同等かまたは少し大きい方が
望ましい。前記ショルダ部に挟まれる接合部の厚さ
(H)は、接合材の全体の厚さ(h)より0.2mm〜3m
m厚いことが望ましい。厚さ(H)から厚さ(h)を引
いた値が0.2mm 以下の場合には接合材に凹みや欠陥が
発生しやすい。又3mm以上の場合にはコスト及びツール
にかかる接合方向の荷重(反力)が増加する点で問題が
ある。
【0021】一方、お互いに対向する2つの接合材の接
合部はお互いに嵌め込み構造になっている。
【0022】前記、嵌め込み部の深さ(C)は0.5mm
以上4mm以下が望ましい。つまり、0.5mm 以下では効
果が小さく、さらに、4mm以上では前記ツールのピン部
2の径(d)より太くなるため、好ましくない。
【0023】図3は図1のツールによって図2の接合材
を接合する場合の実施例の接合部断面を示す。図4は図
3のA−B方向つまり接合方向の断面図を示す。図3,
図4において、ツール1は、接合材4aと4bを前記シ
ョルダ部3aと3bで挟むように配置される。前記ピン
部2とショルダ部3a,3bは一体で矢印5方向に回転
しながら接合線方向6に移動する。このとき、前記接合
材4は前記ピン部2の回転と接合材4との間で発生する
摩擦熱により接合される。前記方法により接合された接
合部7の厚さ(f)は接合部以外の厚さ(h)とほぼ同
等になる。
【0024】(実施例2)本実施例では接合材表面の上
下方向の変化及び凹凸を検出して、その変化に対応して
前記ツールの位置を制御する方法について説明する。
【0025】図5は前記ツール1の前方に接合材4表面
の凹凸及び上下方向の変化を検出するレーザ変位検出器
8を配置して接合材4の凹凸及び上下方向の変化を検出
するようにした摩擦攪拌接合装置を示す。前記、検出器
により検出された検出信号9は制御装置10により電気
信号に変換される。前記、制御装置10は前記検出信号
の変化に応じて、前記ツールの回転モータ11に連結す
る油圧シリンダ12を制御して、前記ツール1の上下位
置を制御する。前記ツール,駆動モータ,油圧シリン
ダ,レーザ変位検出器などは全て剛性の高い架台13に
取付けられている。接合は前記ツール1を回転した状態
で架台13が移動してもまたは接合材4が移動しても可
能である。
【0026】本実施例では接合材のアルミニウム合金は
全体の厚さが4mm,幅500mm,長さ25mのJIS規
格6N01材である。なお、前記ショルダ部に挟まれる
部分の厚さは5mm、ピン部2の径は8mm、ショルダ部の
径は20mm、上下ショルダ部の間隔(L)は4.3mm で
ある。さらに、ツールの接合速度は500mm/min 、回
転数は1000rpm である。
【0027】前記のごとく、接合材の長さは25mと長
いため、接合材の厚さのばらつきや全体的に表面に凹凸
があるが、接合過程における接合材の変形に応じて前記
ツールの高さを上下に駆動制御するため、接合材が25
mと長い場合でも安定に欠陥なく接合できる。特に前記
実施例は、接合長さの長い車両用の屋根構体及び外側構
体として効果的に適用できる。
【0028】なお、前記接合材の表面と裏面に前記接合
材の厚さ及び上下方向の変位を10MHzの超音波信号
で前記と同様に検出し、前記ツールを接合材表面を基準
に上下方向に位置制御できる。
【0029】(実施例3)本実施例では接合材の表面と
裏面の両面にレーザ変位検出器を配置して、前記接合材
の上下方向の変化及び凹凸に対応して前記ツールの位置
を制御する方法について説明する。
【0030】図6は前記接合材表面及び裏面の両面にレ
ーザ変位検出器8aと8bを配置している。前記2つの
検出器は、前記接合材表面及び裏面の凹凸及び上下方向
の変化を独自に検出する。前記、検出器により検出され
た2つ検出信号9aと9bは制御装置10により電気信
号に変換される。さらに、前記制御装置10により、前
記2つの検出信号9aと9bとの大小が比較される。つ
まり、接合材表面及び裏面の凹凸または上下方向の変化
の大きさが電気信号として比較される。ここで、前記2
つの検出信号9aと9bの差分が予め設定された値にな
るように、前記ツール1の回転モータ11に連結する油
圧シリンダ12を制御して、前記ツール1の接合過程に
おける上下位置を制御する。
【0031】本実施例の接合材4のアルミニウム合金は
全体の厚さが4mm、幅500mm、長さ25mのJIS規
格6013材である。なお、前記ショルダに挟まれる部
分の接合材の厚さは5mm、ピン部の径は8mm、ショルダ
部の径は20mm、上下ショルダ部の間隔(L)は4.3m
m である。さらに、ツールの接合速度は500mm/min
、回転数は1000rpm である。
【0032】前記のごとく、接合材の長さは25mと長
いため、接合材の厚さのばらつきや全体的に凹凸がある
が、接合過程における接合材の変形に応じて前記ツール
の高さを上下に駆動制御するため、接合材が25mと長
い場合でも安定に欠陥なく接合できる。前記実施例で接
合した接合体を車両用の床構体及び外側構体さらに船舶
用の床板として使用できる。
【0033】なお、前記接合材の表面と裏面に前記接合
材の厚さ及び上下方向の変位を5MHzの超音波信号で
前記と同様に検出し、前記ツールを接合材表面を基準に
上下方向に位置制御できる。
【0034】(実施例4)本実施例では前記ツールの前
方に前記接合材4を両面から挟む回転ロール14aと14
bを配置して曲面構造の接合材4を接合する接合方法に
ついて説明する。
【0035】図7はレーザ変位検出器8の他に前記ツー
ルの前方に前記接合材4を両面から挟む回転ロール14
a,14bを配置している。前記回転ロールにより、接
合過程における接合材表面の凹凸及び上下方向の変形を
接合前に矯正できる。
【0036】つまり、前記ロールにより接合材表面の凹
凸及び変形を接合前に矯正しながら前記ツールで接合す
る。ここで、前記回転ロール14の高さ方向位置は前記
ツール1の高さ方向の位置と同じである。また、接合方
向の回転ロール14の位置は前記ツール1の位置からで
きるかぎり近い方が望ましい。
【0037】本実施例における接合材のアルミニウム合
金は全体の厚さは6mm,幅500mm,長さ10mのJI
S規格5052材である。なお、前記ショルダに挟まれ
る接合材の厚さは6.6mm 、ピン部の径は10mm、ショ
ルダ部の径は30mm、上下ショルダ部の間隔(L)は6
mmである。さらに、ツールの接合速度は500mm/min
、回転数は1000rpm である。
【0038】前記のごとく、接合材の長さは25mと長
いため、接合材の厚さのばらつきや全体的に凹凸がある
が、接合過程における接合材の表面は前記ロールにより
平滑に矯正されるため、安定に欠陥なく接合できる。前
記実施例で接合した接合体を船舶の床構体及び外側構体
として使用できる。さらに、鉄道車両用及び自動車部材
にも適用できる。
【0039】(実施例5)図8は中空構造のハニカムパ
ネル15a,15bの接合に本発明を実施した場合につ
いて説明する。図8のハニカムパネル15a,15b
は、アルミ合金JIS規格6N01材を押し出し加工して
製作され、内部にリブ16を有する中空構造である。本
発明によるハニカムパネルの接合はリブ16のない位置
で行われる。つまり、ツール1の荷重を支持する支持材
のない位置でも接合できる点が特徴である。
【0040】前記ハニカムパネルの表面及び裏面の厚さ
は3mmであるが、ツール1のショルダ部に挟まれる接合
部は厚さが4.5mm と局部的に厚くなっている。さら
に、接合部の構造は、実施例1の図2に示したように互
いに嵌め込み構造になっている。
【0041】ハニカムパネルの1枚の幅は400mm、長
さは25mである。なお、本実施例におけるピン部の径
は8mm、ショルダ部の径は25mm、上下ショルダ部の間
隔(L)は3.5mm である。本実施例における接合速度
は500mm/min 、回転数は800rpm である。前記接
合条件で接合することにより長さ25mにわたり欠陥の
ない接合部が得られる。なお、前記ショルダ部に挟まれ
る前記ハニカムパネルが局部的に厚い部分は、接合過程
でショルダ部の表面と裏面の両方向から機械的に切削さ
れるため、接合後はハニカムパネル面板の厚さとほぼ同
じ3〜3.5mmの厚さになるため接合後の加工が不要と
なる。
【0042】一方、前記、接合材の長さは25mと長い
ため、接合材の厚さのばらつきや全体的に凹凸がある。
さらに接合過程での摩擦熱により接合材に変形が生じ
る。このため、接合過程において、接合材の表面を基準
にツールの高さを上下に駆動制御する必要がある。
【0043】本実施例では、前記ハニカムパネル面板の
両面に超音波変位計を配置し、接合材の上下方向の変位
を検出している。前記変位計は、前記ツールの前方30
mmの位置に配置している。前記変位計の周波数は5MH
zである。変位信号により、接合材の厚さの変位に応じ
てツールを上下方向に駆動制御している。これにより、
接合材が25mと長い場合でも安定に欠陥なく接合でき
る。さらに、ツールの反対側にツールを支持する支持柱
が不要なため、軽量構造が可能である。
【0044】前記実施例で接合した接合体を車両用の屋
根構体及び外側構体として使用することにより、車両の
軽量化が図られる。
【0045】(実施例6)本実施例では、アルミニウム
合金の円筒管を長手方向の接合に実施した場合について
説明する。前記アルミニウム合金はJIS規格5083
で、円筒間の径内径は100mm、厚さは5mm、長さは5
mである。ツールのショルダ部に挟まれる前記円筒管の
接合部の厚さは、表面及び裏面とも合わせて7mmと局部
的に厚くなっていることが特徴である。
【0046】さらに、接合部の構造は、実施例1の図2
に示したように互いに嵌め込み構造になっている。本実
施例におけるピン部2の径は8mm、ショルダ部の径は2
0mm、上下ショルダ部の間隔は5mmである。接合過程で
前記局部的に厚い部分は前記ショルダで表裏両面方向か
ら切削されるため、接合後の接合部の厚さ(7mm)は前
記ショルダの間隔と同じ5mmになる。
【0047】一方、接合材の変形は実施例2と同様に前
記ツールの前方にレーザ変位検出器を配置して、前記接
合材の凹凸及び変形に応じて前記ツールの上下位置を制
御している。
【0048】なお、本実施例における接合速度は300
mm/min 、ツールの回転数は800rpm である。
【0049】本実施例では、前記接合材の厚さが剛性の
高いアルミニウム合金で、かつ厚さが7mmと厚いため、
大きな摩擦熱が発生して接合過程でのひずみも大きい。
このため、前記円筒管の表面と裏面の両面方向から水冷
しながら接合している。このため、ツールから3mm離れ
た前記接合部表面の温度は100℃以下にできる。従っ
て、接合過程及び接合後のひずみは大気中で接合した場
合の1/3〜1/5に以下に小さくできる。前記接合方
法で接合した接合部7は欠陥もない。このため、精密な
接合構造のアルミニウム合金の円筒管が得られる。前記
接合方法で接合したアルミ合金の円筒管は化学プラント
用に適する。
【0050】(実施例7)本実施例では銅板を実施例2
と同じ接合方法で接合する場合ついて説明する。銅板の
ショルダ部に接する部分の厚さは6mmで他の部分の厚さ
5mmより局部的に厚くなっいる。さらに、接合部は図2
と同様の嵌め込み構造になっている。なお、本実施例に
おけるツールのピン部の径は10mm、ショルダ部の径は
25mm、上下ショルダ部の間隔(L)は5.2mm であ
る。前記ショルダ部に接する前記接合材の局部的に厚い
部分は、接合過程で前記ショルダ部の表面と裏面の両方
向から機械的に切削されるため、接合後は他の部分の厚
さとほぼ同じ5mmの厚さになる。前記銅板の幅は各々5
00mm、長さは5mである。また、ツールの接合速度は
300mm/min 、回転数は1000rpm である。
【0051】ここで、銅板はアルミニウム合金より剛性
が大きいため、接合過程で大きな摩擦熱が発生し、前記
銅板の変形も大きくなる。このため、前記ツール及び接
合材の全部を水の中で接合した。なお、水中の温度は常
に20℃以下になるように水を巡回している。これによ
り、ツールから2mm離れた接合材表面の温度は100℃
以下に維持できる。従って、接合過程及び接合後の変形
は大気中で接合した場合の1/5以下に小さくできる。
前記接合方法により接合された銅板の接合体は半導体用
のヒートシンク材として適する。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、ツールの押し付け力が
無いため、内部が中空構造でもツールの支持材なしで接
合ができる。さらに曲面を有する接合材でも接合でき
る。このため、接合構造の軽量化ができる。さらに、接
合欠陥が防止されるため、曲面構造を有する車両,船
舶,自動車などの接合長さが20mクラスの接合構造物
でも、信頼性の高い接合構造物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すツール構造の断面図であ
る。
【図2】本発明の実施例を示す接合構造の断面図であ
る。
【図3】本発明の実施例を示す接合状態の配置の断面図
である。
【図4】本発明の実施例を示す図3の直角方向の接合状
態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例を示す接合状態の構成図であ
る。
【図6】本発明の実施例を示す接合状態の構成図であ
る。
【図7】本発明の実施例を示す接合状態の構成図であ
る。
【図8】ハニカムパネルに本発明を実施した場合の接合
状態の断面図を示す。
【符号の説明】
1…回転ツール、2…ピン部、3a,3b…ショルダ
部、4,4a,4b…接合材、6…接合線方向、7…接
合部、8…レーザ変位検出器、9…検出信号、10…制
御装置、11…回転モータ、12…油圧シリンダ、13
…架台、14,14a,14b…回転ロール、15a,
15b…ハニカムパネル、16…リブ、17…接合部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青田 欣也 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 江角 昌邦 山口県下松市大字東豊井794番地 株式会 社日立製作所笠戸事業所内 Fターム(参考) 4E067 BG00 CA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】接合材の材質より硬い材質よりなり、細い
    ピンを挟んで前記ピンより太い2つのショルダ部が一定
    の間隔をもって設けられている回転ツールによって、前
    記2つのショルダの間に接合材を挟むようにして、前記
    ツールの回転作用と前記接合材との摩擦熱により接合す
    る摩擦攪拌接合方法において、前記ショルダ部に挟まれ
    る接合部の厚さを、前記2つのショルダ部の間隔よりも
    大きくしたことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記ツールの接合方向
    の前方に前記接合材の両面を挟む回転ロールを配置して
    接合することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、ショルダ部に挟まれる
    前記接合材の表面及び裏面の厚さを他の部分よりも局部
    的に厚くしたことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  4. 【請求項4】請求項1において、突合せ接合される前記
    接合材の接合部は互いに対向して嵌め込み構造であるこ
    とを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  5. 【請求項5】接合材の材質より硬い材質よりなり、局部
    的に細いピンを挟んで前記ピンより太い2つのショルダ
    部が一定の間隔をもって設けられている回転ツールを有
    し、前記2つのショルダの間に接合材を挟むようにし
    て、前記ツールの回転作用と前記接合材との摩擦熱によ
    り接合する摩擦攪拌接合装置において、前記接合材の表
    面及び裏面の両方またはいずれか一方に接合過程におけ
    る前記接合材表面及び裏面の高さの変化を検出する検出
    器が配置され、前記検出器によって接合過程における接
    合材表面の高さの変化を順次に検出し、前記高さの変化
    に応じて前記ツールの位置を上下方向に手動または自動
    的に駆動制御する機構を備えていることを特徴とする摩
    擦攪拌接合装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の加工物表面高さを検出す
    る検出器は、レーザ変位計または超音波変位計または接
    触式変位計であることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
    により製作された接合構造物。
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