JP4790584B2 - 摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、ボビンツール式の回転工具を使用し、突き合わせた被接合部材同士を摩擦攪拌接合するための摩擦攪拌接合装置および摩擦攪拌接合方法に関し、特に回転工具の上部回転体と下部回転体との位置を制御することにより、接合部の品質不良を生じさせないための摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法に関する。
ボビンツール式の回転工具は、被接合部材同士を突き合わせた接合部を上下両面から一対の回転体によって挟み込み、その間を攪拌軸であるプローブが回転して接合線に沿って移動する。それにより、被接合部材の接合部はプローブとの間に生じる摩擦熱によって攪拌され塑性流動によって接合される。ボビンツール式の回転工具は、上下の回転体で接合部を上下両面から挟み込むため、プローブと上下一対の回転体の関係が一つに決まってしまうと、被接合部材の変形や肉厚の変動があった場合にこれを吸収することができず、円滑な摩擦攪拌接合ができない。この点、特開2006−7326号公報には、荷重調整を行う摩擦攪拌接合装置が記載されている。図5は、同公報に記載された従来の摩擦攪拌接合装置を示した図である。
この摩擦攪拌接合装置100は、上部回転体101をスプライン部104とプローブ103を設けた回転主軸105が貫通し、その回転主軸105の先端に下部回転体102が形成された回転工具を備えている。回転主軸105がサーボモータ等の回転駆動部111に連結され、上部回転体101と下部回転体102が同期して回転可能に構成されている。回転主軸105は、下側工具ベースを介して送りねじ112と送りねじ駆動モータ113及びロードセル114が収納された第1のアクチュエータ110が連結されている。一方、上部回転体101は、軸受121が内蔵された支持収納部122を介して送りねじ123と送りねじ駆動モータ124及び、ロードセル125が収納された第2のアクチュエータ120が連結されている。
アクチュエータ110,120は、制御回路130によって駆動し、ロードセル114,125の信号に基づいて送りねじ駆動モータ113,124の回転位相などが制御される。摩擦攪拌接合装置100は、上部回転体101と下部回転体102とで被接合部材201,202を突き合わせた接合部を挟持し、プローブ103で摩擦攪拌接合する。その際、上部回転体101の荷重と下部回転体102との荷重とをそれぞれ制御し、上部回転体101を接合部に押し付け、逆に下部回転体102を引っ張って接合部の板厚変化に対応させている。こうして、接合部を挟み込む上下方向の荷重値を一定に制御している。
特開2006−7326号公報
摩擦攪拌接合では、接合端部同士を突き合わせた被接合部材201,202に板厚のばらつきや不均一が存在したり、接合線を挟んで相対する位置が上下方向に食い違って段差が生じることがある。このような場合であっても、摩擦攪拌接合装置100のような従来の装置では、前述したように荷重を一定にするように制御している。荷重一定制御の目的は、被接合材料の板厚のばらつきや相対する部材同士の段差などがある場合であっても、板の下面の位置に追従して、一定の機械仕事率を維持することにある。
しかし、荷重一定制御は、機械的な作用(被接合材料の弾性変形・粘性・塑性変形)においては安定であるが、熱的な特性変化に対しては安定性が低い。例えば板厚が閾値以下であって入熱過多となってしまったような場合には、温度が上昇して塑性変形に対する抵抗が下がり、見かけ上の粘度が低下してしまう。すると、被接合部材201,202の接合部において支持力が失われてしまい、回転体101,102の荷重を受けることができずに回転体101,102の周囲からバリとして材料がはみ出してしまう。そのため、下部回転体102と上部回転体101とが近づき、挟み込まれている部分の板厚が薄くなってしまうことがある。従って、こうした現象を引き起こす荷重一定制御の摩擦攪拌接合装置およびその接合方法では、接合部の不良によって摩擦攪拌接合した製品の品質を低下させてしまう。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、ボビンツール式の回転工具を使用した摩擦攪拌接合において、その接合部の品質不良を生じさせない摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法を提供することを目的とする。
本発明の摩擦攪拌接合装置は、上部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な上部回転体と、その上部回転体を貫き攪拌部が形成された回転主軸と、その回転主軸と一体に形成され下部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な下部回転体とを備えた回転工具を有するものであり、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、当該接合部を前記攪拌部の回転による摩擦熱で攪拌させて接合するものであって、前記上部回転体と下部回転体との位置を検出する位置センサと、前記被接合部材の上面位置を計測する変位センサと、前記被接合部材の接合部の板厚を前記回転工具の近傍で計測する板厚センサとを備え、前記各センサからの情報を基に前記各アクチュエータを駆動して前記上部回転体と下部回転体との位置制御を行うコントローラを有するものであることを特徴とする。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記変位センサが、前記被接合部材の上面に押し付けた接触子の変位を検出するものであり、前記板厚センサは、その接触子に設けられた超音波送受信素子であることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記変位センサと板厚センサとが部材計測手段を構成し、二組の部材計測手段が、接合端面同士を突き合わせた一対の被接合部材に対してそれぞれ前記回転工具の進行方向前方の位置に設定されたものであることが好ましい。
本発明の摩擦攪拌接合装置は、上部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な上部回転体と、その上部回転体を貫き攪拌部が形成された回転主軸と、その回転主軸と一体に形成され下部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な下部回転体とを備えた回転工具を有するものであり、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、当該接合部を前記攪拌部の回転による摩擦熱で攪拌させて接合するものであって、前記上部回転体と下部回転体との位置を検出する位置センサと、前記被接合部材の上面位置を計測する変位センサとを備え、前記各センサからの情報と予め記憶された前記被接合部材の接合部の板厚情報とを基に前記各アクチュエータを駆動して前記上部回転体と下部回転体との位置制御を行うコントローラを有するものであることを特徴とする。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記変位センサが、前記被接合部材の上面に押し付けた接触子の変位を検出するものであることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記変位センサが、接合端面同士を突き合わせた一対の被接合部材に対してそれぞれ前記回転工具の進行方向前方の位置に設定されたものであることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記コントローラが、被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体側に近づかないよう制御するものであることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記コントローラが、被接合部材に押し当てられる前記下部回転体の下ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体側に近づかないよう制御するものであることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記コントローラが、被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体から遠ざからないよう制御するものであることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記コントローラが、被接合部材に押し当てられる前記下部回転体の下ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体から遠ざからないよう制御するものであることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置は、前記被接合部材の接合部を挟み込む上部回転体と下部回転体との荷重を検出する荷重センサを備え、前記コントローラは、前記接合部を挟み込む上部回転体と下部回転体との荷重を調整する荷重制御と、前記上部回転体と下部回転体との位置を調整する位置制御とを行うものであることが好ましい。
本発明の摩擦攪拌接合方法は、位置調整が可能な上部回転体及び下部回転体を有するボビンツール式の回転工具を使用し、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、上部回転体と下部回転体との間の攪拌部がその接合部を回転による摩擦熱で攪拌させて接合するものであって、前記被接合部材の上面位置を計測し、前記被接合部材の接合部の板厚を前記回転工具の近傍で計測し、計測値に基づき前記上部回転体及び下部回転体の一方又は両方について、前記被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面の位置制御を行うことを特徴とする。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、位置調整が可能な上部回転体及び下部回転体を有するボビンツール式の回転工具を使用し、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、上部回転体と下部回転体との間の攪拌部がその接合部を回転による摩擦熱で攪拌させて接合するものであって、前記被接合部材の上面位置を計測し、その上面計測値と予め記憶された前記被接合部材の接合部の板厚情報とに基づき、前記上部回転体及び下部回転体の一方又は両方について、前記被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面の位置制御を行うことを特徴とする。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記上部回転体の上ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体側に近づかないようにすることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記下部回転体の下ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体側に近づかないようにすることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記上部回転体の上ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体から遠ざからないようにすることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記下部回転体の下ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体から遠ざからないようにすることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように荷重制御を行い、前記上部回転体と下部回転体との位置が所定の条件を満たす場合に、前記荷重制御を中断し、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように荷重値を設定して荷重制御を行い、前記上部回転体と下部回転体との位置が所定の条件を満たす場合に、前記荷重値を変更した変更荷重値によって行う荷重制御とともに、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように制御し、前記上部回転体の上ショルダ面や前記下部回転体の下ショルダ面が前記設定値に達した場合に、前記荷重制御を中断し、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように荷重値を設定して荷重制御を行い、前記上部回転体の上ショルダ面や前記下部回転体の下ショルダ面が前記設定値に達した場合に、前記荷重値を変更した変更荷重値によって行う荷重制御とともに、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことが好ましい。
本発明によれば、例えば、被接合部材の接合部について上面位置と下面位置の一方又は両方を計測し、上部回転体や下部回転体についてショルダ面が所定深さ以上に深く入り込まないよう制御するので、入熱過多などによって接合部の材料が荷重の支持力を失ってしまっても、所定値以上に深く回転体が材料に入り込まないため、品質不良を生じさせないようにすることが可能になる。また、逆に上下の回転体が何らかの原因によって異常に離れる方向に変位してしまう場合でも、同方向への設定値を定めて制御することで、やはり品質不良を生じさせない接合部を形成することが可能になる。
更に、変位センサと板厚センサによって構成する部材計測手段で被接合部材の上面及び下面位置を計測するようにしているため、被接合部材の下面位置を計測するにも部材下方にセンサを設ける必要がない。従って、部材下方にセンサが配置できないような場合でも本発明の接合方法を実行することが可能であり、品質不良を生じさせない接合部を形成することができる。
次に、本発明に係る摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法の一実施形態ついて図面を参照しながら以下に説明する。
例えば、鉄道車両では、高速化の要請が強く車体の軽量化が求められている一方で、車体の内外圧力差によって生じる荷重などに耐え得る強度を必要としているため、鉄道車両用構体は、アルミなどの軽合金材料を使用して押出し加工した押出中空形材によって構成されている。そして、そうした押出中空形材同士が摩擦攪拌接合によって互いに接合されて鉄道車両用構体が形成される。ここで、図4は、鉄道車両用構体を構成する押出中空形材の接合部を示した図である。
図4は、押出中空形材200A,200Bを長手方向に見た断面を示している。この押出中空形材200A,200Bは、上面板201と下面板202とを複数のリブ203によって連結したトラス構造をしたものである。そして、端部には上面板201と下面板202とにほぼ直交する端部リブ204が形成され、上面板201や下面板202から延長するように接合突起205が形成されている。押出中空形材200A,200Bは、この接合突起205,205の接合端面同士を突き当てた接合部が摩擦攪拌によって接合される。図4には摩擦攪拌接合装置の回転工具のみを示している。
摩擦攪拌接合は、回転工具1が回転しながら自らが移動し、或いは被接合部材である押出中空形材200A,200Bの方が移動することにより、相対的に接合線に沿った回転工具1の移動が行われることで実行される。押出中空形材200A,200Bは、上面板201側を先に接合した後、反転した下面板202側を同様に摩擦攪拌接合して一体に形成される。その際、回転工具1は、上部回転体2と下部回転体3が上面板201の接合突起205,205同士を上下から挟み込み、その間では接合端面同士が突き当てられた接合部をプローブ4が接合線に沿って摩擦攪拌する。
接合部は、プローブ4の機械的攪拌によって周囲の材料が塑性流動し、上部回転体2と下部回転体3によって上下方向から接合突起205が押さえ込まれ、可塑性ゾーンから材料が失われことなく摩擦攪拌が行われる。この状態で回転工具1が接合線に沿って移動すると、接合突起205の軟化した材料は塑性流動化して攪拌混練されつつ移動するプローブ4の後方に流れる。そして、プローブ4の後方では互いに混じり合った可塑性材が摩擦熱を失って急速に冷却固化し、上面板201,201同士或いは下面板202,202同士の接合が完了する。
本実施形態の摩擦攪拌接合装置は、こうした作業を行うための回転工具1を備えたものである。なお、本実施形態の摩擦攪拌接合方法によって接合する被接合部材は、押出中空形材ではなく平板などの場合もある。そこで、図1は、図面を簡略化するため被接合部材を平板とし、それを接合する際の摩擦攪拌接合装置について概念的に示した図である。この図は、接合線に対して直交する方向から見た図、すなわち接合の進行方向に対して横から見た図であり、回転工具1は図面左方向に移動する。また、被接合部材の平板300は回転工具よりも奥に位置するものが図示されている。
摩擦攪拌接合装置10は、前述したように、回転工具1が上部回転体2、下部回転体3およびプローブ4によって構成されている。そして、上部回転体2と下部回転体3とは、それぞれが独立して上下方向の位置調整ができるように油圧シリンダによる制御が可能な構成になっている。上部回転体2は、シリンダ形ロッド11と一体になって構成され、上端にピストン12を備えている。シリンダ形ロッド11は、上方のベース50に固定されたシリンダ本体13に対し、シール処理による気密な状態で摺動可能に挿入されている。シリンダ本体13は、ピストン12によって上下に仕切られた加圧室が形成され、供給及び排出される作動油によってシリンダ形ロッド11が伸縮する上側油圧シリンダ20Aが構成されている。
一方、シリンダ形ロッド11は、内部にシリンダ部を構成する空間が形成され、そこには下部回転体3やプローブ4と一体になった回転主軸16が挿入されている。回転主軸16はシリンダ形ロッド11と同軸上に設けられ、そのシリンダ形ロッド11に対してシール処理による気密な状態で摺動可能に挿入されている。回転主軸16は上端にピストン17を有し、シリンダ形ロッド11内にはそのピストン17によって上下に仕切られた加圧室が形成されている。そして、そこに供給及び排出される作動油によって回転主軸16が伸縮する下側油圧シリンダ20Bが構成されている。
なお、図面には、本発明の要部をなす上部回転体2と下部回転体3の位置調整のための構造のみを示しているが、この回転工具1は、図示しないモータからの動力を上部回転体2が受け、スプライン部が形成された回転主軸16に回転が伝達され、そうしてプローブ4や下部回転体3が共に回転するよう構成されている。
油圧シリンダ20A,20Bには油圧装置21A,21Bが接続されている。この油圧装置21A,21Bは、共通する或いは別々に設けられた不図示の油圧ポンプやタンクが接続され、油圧シリンダ20A,20Bに対して作動油を供給及び排出するための切換弁など、所定の流体機器を備えた油圧回路が構成されている。
一方、上部回転体2や下部回転体3は、その油圧装置21A,21Bの駆動によって位置調整を行いながら摩擦攪拌接合が行われる。油圧シリンダ20A,20Bには、位置確認のためストロークを検出する電磁式リニアセンサなどのストロークセンサ23,24が設けられている。
更に、この摩擦攪拌接合装置10には、被接合部材である平板300の位置や、その板厚を計測するための部材計測手段が設けられている。本実施形態では、被接合部材の上面位置を計測する変位センサ25と被接合部材の板厚を計測する板厚センサ29とが設けられている。図面には簡略化して示しているが、例えば、変位センサ25は差動トランス変位センサであり、上方のベース50に固定され、その下方には可動ロッド27を介して接触子26が取り付けられている。その接触子26は、コイルバネ28によって常時下方に付勢され、摩擦攪拌時には平板300の上面に押し当てられて摺動するように構成されている。
差動トランスを構成する変位センサ25には、筒状に巻回された1次コイル及び2次コイルからなるコイル体が形成され、その内部には非接触状態で上下動する可動ロッド27と一体の磁性体コアが挿入されている。そして、接触子26の変位に伴って可動ロッド27が上下し、それによって筒状のコイル体の内部を磁性体コアが移動すると、その移動位置に応じてコイル間の相互インダクタンスが変化して電圧差を生じさせる。本実施形態では、この電位差から平板300上面の変位を出力するようにしている。
接触子26は、常に平板300に接触している。そのため、本実施形態ではそのことを利用して接触子26内に板厚センサ29を構成している。すなわち、板厚センサ29は、超音波送受信素子であって、超音波パルスが平板300内に向けて発信され、反対の下面側で反射する反射波を受信するものである。本実施形態では、こうした送受信に要する時間から被接合部材の板厚計測を行うようにしている。
変位センサ25と板厚センサ29とから部材計測手段31が構成されている。図面では回転工具1の奥に位置する平板300に対する部材計測手段31のみを示しているが、実際には回転工具1の図面手前側に位置する不図示の平板に対しても設けられている。従って、部材計測手段31は、接合線を挟んで左右の被接合部材に対してそれぞれ設けられている。
なお、被接合部材が図4に示すような押出中空形材200A,200Bの場合には、計測対象が接合突起205であって、その上面の位置や下面までの板厚が計測される。また、鉄道車両用構体を構成する押出中空形材200A,200Bは、例えばアルミ合金が押し出し成形されたものであるが、こうしたアルミは音の伝播が極めて速い。そのため、本実施形態の部材計測手段31は摩擦攪拌接合を行いながら計測するのに十分であり、後述する回転体2,3の位置制御を適切に行うことが可能である。
図2は、本実施形態の摩擦攪拌接合装置10を示すブロック図である。摩擦攪拌接合装置10は、油圧装置21A,21Bを制御するためのコントローラ30を有し、そのコントローラ30には、油圧シリンダ20A,20Bに設けられたストロークセンサ23,24や、部材計測手段31R,31L(符号「R」は右側、「L」は左側のものを示している。同符号がない場合は両方を示している。以下、同じ)が接続されている。コントローラ30には、後述するように回転工具1の上部回転体2と下部回転体3との位置調整を行うための制御プログラムが格納されており、それによって油圧装置21A,21B、ひいては油圧シリンダ20A,20Bの伸縮がコントロールするよう構成されている。
ところで、この摩擦攪拌接合装置10では、油圧装置21A,21Bを構成する油圧回路内には油圧センサが設けられ、その検出値がコントローラ30へと送信され、平板300の接合部を挟み込む回転体2,3の荷重が一定になるように制御が行われている。すなわち、上部回転体2から平板300の上面を下方へ加圧する力と、下部回転体3が平板300の下面を上方へ加圧する力とが、例えば共に1kNの荷重値でバランスするような制御が行われる。
しかし、こうした荷重一定制御の場合は、課題でも説明したように、熱的な特性変化に対して安定性が低いため、入熱過多となって荷重支持力を失い、板厚が閾値を超えて薄くなってしまうことがある。そこで、本実施形態の摩擦攪拌接合装置10では、荷重制御に加えて上部回転体2及び下部回転体3の位置制御を行うことにより、熱的な特性変化が不安定になってしまっても、当該回転体2,3がある値以上に深く被接合部材に対して入り込まないようにしている。そこで、図3は、回転工具1の上部回転体2及び下部回転体3について行う位置制御の方法を概念的に示した図である。特に、摩擦攪拌接合を行う回転工具1の進行方向後方から見た図を示している。
回転工具1の左右に設けられた部材計測手段31R,31Lは、変位センサ25によって左右の平板300上面位置を計測する。ここでは分かりやすいように、変位センサ25の計測距離をベース50の下面からの距離hR,hLとする。そして、板厚センサ29によって、左右の平板300R,300Lのそれぞれの板厚tR,tLを計測する。
前述したように、回転工具1が回転しながら接合線に沿って移動し、平板300同士の接合部が摩擦攪拌接合される。その際、通常は上部回転体2と下部回転体3とが平板300の上下の面を共に一定の荷重(1kN)で加圧する制御が行われ、所定条件で上部回転体2と下部回転体3との位置制御が行われる。
部材計測手段31R,31Lは、図1に示すように回転工具1よりも先行して平板300R,300Lの距離hR,hLや板厚tR,tLを計測している。差動トランスである変位センサ25は、回転工具1の移動に伴って部材上面にならう接触子26が変位すると、可動ロッド27が上下し、コイル内部を磁性体コアが移動して生じる電圧差から部材上面の変位が検出される。また、接触子26内の板厚センサ29からは超音波パルスが平板300内に向けて発信され、部材下面側で反射する反射波を受信してその送受信に要する時間が検出される。こうして各センサで検出された値は、検出信号としてコントローラ30へ送られ距離hR,hLや板厚tR,tLが計測される。
そして、この計測値からベース50の下面をゼロとした平板300Rの上面位置hRおよび下面位置hR+tRと、平板300Lの上面位置hLおよび下面位置hL+tLとが算出される。一方で、油圧シリンダ20A,20Bに設けられたストロークセンサ23,24からの検知信号がコントローラ30に送られ、これによって上部回転体2と下部回転体3のそれぞれについてショルダ面(被接合部材を挟み込む面)2a,3aの位置が算出される。すなわち、上部回転体2の上ショルダ面2aと下部回転体3の下ショルダ面3aの位置が、ベース50の下面からの距離s2,s3として算出される。
上部回転体2及び下部回転体3の位置制御は、摩擦攪拌した接合部の肉厚がある程度の厚さを保つようにショルダ面2a,3aの位置を調整する。本実施形態では、上面又は下面からショルダ面2a,3aが入り込む限界の接触深さを設定値として決定し、板厚が5mmである平板300に対しては例えば0.05mmとする。そして、図3に示すように左右の平板300R,300Lの接合部に段差が生じているような場合には、上ショルダ面2aと下ショルダ面3aとの中間位置から近い方の平板300の上面又は下面を基準位置とし、その基準位置から0.05mmを設定値として決定する。従って、その中間位置から遠い方の平板300、すなわち上下各方向に突き出している平板300に関しては、0.05mm以上の接触深さで上部回転体2や下部回転体3が入り込むことになる。
正常運転時の上部回転体2と下部回転体3は、平板300に対して深く入る方向に変化すると、抵抗によって反力が大きくなるため、荷重値が高くなって油圧シリンダ20A,20Bが所定方向に伸縮して荷重上昇が抑えられる。しかし、例えば図3に示すように、段差などを原因として接合部の材料が薄くなると、攪拌部分が高温になって材料が柔らかくなり、抵抗が小さいまま上部回転体2と下部回転体3とが異常に接近して材料を押し潰してしまうことがある。本実施形態では、そうした場合に位置制御によって上部回転体2及び下部回転体3の各ショルダ面2a,3aについて位置を調整することで、荷重値に関係なく接合部の肉厚を保った摩擦攪拌接合を行う。
左右の平板300R,300Lは、それぞれ上面の位置がhR,hLであり、下面の位置がhR+tR,hL+tLである。また、上部回転体2と下部回転体3の各ショルダ面2a,3aの位置がs2,s3であるとする。これらの値から上部回転体2の接触深さg2と下部回転体3の接触深さg3が算出され、上面側はg2R=s2−hRとg2L=s2−hLであり、下面側はg3R=(hR+tR)−s3とg3L=(hL+tL)−s3である。よって、接触深さg2R,g2L,g3R,g3Lの値から平板300R,300Lに対してショルダ面2a,3aの位置がどのような状態であるかが確認できるため、ショルダ面2a,3aが深く入り込み設定値に達した場合には、コントローラ30によって次のような制御が行われる。
すなわち、本実施形態では、上面側ではhRとhLのうち値が大きい方の面との接触深さg2が、そして下面側ではhR+tRとhL+tLの値が小さい方の面との接触深さg3が、設定値である0.05mmの値を基に、更に深く入り込まないようにする。それには例えば、ショルダ面2a,3aの位置が設定値に達した場合に、荷重制御を中断してショルダ面2a,3aが基準位置へ徐々に戻る方向へ回転体2,3を変位させる。また、他の方法としては、例えば、ショルダ面2a,3aの位置が設定値に達した場合には、荷重制御のための値を下げ、その変更荷重値により回転体2,3が受ける反力の方が大きくなるようにして、互いに遠ざかる方向へ変位するようにする。
こうして、図3に示す場合では、上面側では左側の平板300Lの接触深さg2Lが、そして下面側では右側の平板300Rの接触深さg3Rが、それぞれ0.05mmの値を閾値として深く入り込まないように、上部回転体2と下部回転体3とが制御される。よって、本実施形態では、入熱過多などによって接合部の材料が荷重の支持力を失ってしまっても、設定された値以上に深く回転体2,3が材料に入り込まないため、品質不良を生じさせないようにすることが可能になった。
また、本実施形態の摩擦攪拌接合装置10は、変位センサ25と板厚センサ29によって構成された部材計測手段31で被接合部材の上面及び下面位置を計測するようにしているので、被接合部材の下面位置を計測するにも部材下方にセンサを設ける必要がない。従って、部材下方にセンサが配置できないような場合、例えば図4に示す押出中空形材200A,200B上面板201同士或いは下面板202同士を接合する場合にでも、ショルダ面2a,3aの位置を制御する本実施形態の接合方法を実行することが可能になる。また、差動トランスである変位センサ25の接触子26内に、板厚センサ29である超音波送受信素子を内蔵するようにしたので、部材計測手段31の構成をコンパクトにすることができた。
ところで、前述した例では、同じ板厚の平板300R,300Lについて接合部に段差が生じた場合を示したが、この他にも例えば左右の板厚が異なる場合もあり、そのような場合でも同じように回転体2,3のショルダ面2a,3aについて位置制御を行うようにすればよい。よって、本実施形態の摩擦攪拌接合装置10によれば、段違いや板厚違いにかかわらず、挟み込み量を調整した施工が可能なため、確実に一定の継手品質を確保することができる。
また、回転体2,3の位置制御としてショルダ面2a,3aが材料に深く入り込む場合を示したが、荷重一定制御を行っている場合、何らかの原因によって荷重が小さくなって回転体2,3の間隔が広くなりすぎてしまうことも考えられる。そうした場合、回転体2,3によって挟み込む接合部の肉厚が厚くなると、回転工具1はトルクは増えるが、板厚に比例するほどには増えないため、攪拌部の温度が上がらずに接合部が硬くなって十分に攪拌できなくなる。
従って、摩擦攪拌接合装置10では、回転体2,3が互いに近づく平板300の深さ方向だけでなく、互いに離れる上下それぞれの方向に設定値を定めて制御するようにしてもよい。例えば、回転体2,3が互いに近づく方向には前述したように設定値を決定し、互いに遠ざかる方向には次のように設定する。例えば、上面までの距離hRとhLのうち値が大きい方の面を基準位置として、そこから上方に0.05mmの距離を設定値とし、下面までの距離hR+tRとhL+tLのうち値が小さい方の面を基準位置として、そこから下方に0.05mmの距離を設定値とする。
そこで、上面側では、ショルダ面2aが基準位置の上面から上下に0.05mmの設定値に達した場合に荷重制御を中断し、そのショルダ面2aが基準位置へ徐々に戻る方向へ変位させ、下面側でもショルダ面3aが基準位置の下面から上下に0.05mmの設定値に達した場合には、荷重制御を中断してそのショルダ面3aが基準位置へ徐々に戻るように変位させる。また、他の方法としては、ショルダ面2a,3aの位置が上下それぞれの設定値に達した場合に、荷重制御の荷重値を、回転体2,3が近づく方向の場合には下げ、遠ざかる方向の場合には上げて、その変更荷重値により回転体2,3が受ける反力によって互いに基準位置へ戻るように変位させる。
よって、回転体2,3が互いに近づく方向だけでなく、互いに遠ざかる方向のそれぞれに設定値を定めて制御するようにすれば、上部回転体2と下部回転体3のショルダ面2a,3aの位置を上下に設定した設定値の範囲内で変位させた摩擦攪拌接合を行うことができ、やはり品質不良を生じさせない接合部を形成することが可能になる。
摩擦攪拌接合装置10を使用した接合方法については、これまで荷重一定制御を主として行い、設定値を超えて上部回転体2と下部回転体3とが近づいたり、或いは遠ざかりそうになった場合に位置制御を行うよう方法を説明した。しかし、この摩擦攪拌接合装置10では、上部回転体2及び下部回転体3の上下方向の範囲をそれぞれに設定することで、荷重制御を行わずに上部回転体2と下部回転体3の位置調整を行う位置制御だけで摩擦攪拌接合を実行するようにしてもよい。すなわち、前述したように上部回転体2と下部回転体3に対してそれぞれ上下方向に設定値を設定し、ショルダ面2a,3aの位置が、その上下の設定値の範囲内で変位するようにする。
ところで、摩擦攪拌接合装置10では、変位センサ25の接触子26内に板厚センサ29を設け、それによって平板300R,300Lの板厚tR,tLを計測するようにした。しかし、接合部の板厚が一定に保たれたものであったり、予め接合部の板厚について測定が行われている場合には、板厚センサ29は必ずしも必要ではない。従って、摩擦攪拌接合装置10は、接触子26から板厚センサ29を除き、代わりに予合部の板厚tR,tLの情報を予めコントローラに記憶するようにしてもよい。そうした摩擦攪拌接合装置10は、その板厚情報と変位センサ25などによって検出された値などを基に上部回転体2及び下部回転体3の位置制御を行うことができる。従って、上述した場合と同様に、品質不良を生じさせないようにすることが可能となる。
以上、本発明に係る摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法について実施形態を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では、ショルダ面2a,3aの中間位置から近い上面あるいは下面を基準位置にして設定値を定めた場合を記載したが、条件によって基準位置や設定値は様々に変更可能であり、例えば、一対の被接合部材の両方の上面位置の平均値又は、両方の下面位置の平均値を基準位置とし、その基準位置から反対の回転体側へ近づく方向又は遠ざかる方向に設定した距離を設定値としてもよい。すなわち、条件によっては、回転体のショルダ面が一方の上面や下面から浮いた状態で摩擦攪拌接合するように位置制御を行うようにしてもよい。
摩擦攪拌接合装置の一実施形態を概念的に示した図である。 実施形態の摩擦攪拌接合装置について示したブロック図である。 回転工具の上部回転体及び下部回転体について行う位置制御の方法を概念的に示した図である。 鉄道車両用構体を構成する押出中空形材の接合部を示した図である。 従来の摩擦攪拌接合装置を示した図である。
符号の説明
1 回転工具
2 上部回転体
3 下部回転体
4 プローブ
10 摩擦攪拌接合装置
11 シリンダ形ロッド
12 ピストン
13 シリンダ本体
16 回転主軸
17 ピストン
20A 上側油圧シリンダ
20B 下側油圧シリンダ
21A,21B 油圧装置
23,24 ストロークセンサ
25 変位センサ
26 接触子
27 可動ロッド
28 コイルバネ
29 板厚センサ
30 コントローラ
31 部材計測手段
50 ベース
300 平板

Claims (21)

  1. 上部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な上部回転体と、その上部回転体を貫き攪拌部が形成された回転主軸と、その回転主軸と一体に形成され下部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な下部回転体とを備えた回転工具を有するものであり、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、当該接合部を前記攪拌部の回転による摩擦熱で攪拌させて接合する摩擦攪拌接合装置において、
    前記上部回転体と下部回転体との位置を検出する位置センサと、前記被接合部材の上面位置を計測する変位センサと、前記被接合部材の接合部の板厚を前記回転工具の近傍で計測する板厚センサとを備え、前記各センサからの情報を基に前記各アクチュエータを駆動して前記上部回転体と下部回転体との位置制御を行うコントローラを有するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  2. 請求項1に記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記変位センサは、前記被接合部材の上面に押し付けた接触子の変位を検出するものであり、前記板厚センサは、その接触子に設けられた超音波送受信素子であることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記変位センサと板厚センサとが部材計測手段を構成し、二組の部材計測手段が、接合端面同士を突き合わせた一対の被接合部材に対してそれぞれ前記回転工具の進行方向前方の位置に設定されたものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  4. 上部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な上部回転体と、その上部回転体を貫き攪拌部が形成された回転主軸と、その回転主軸と一体に形成され下部用アクチュエータによって軸方向の位置調整が可能な下部回転体とを備えた回転工具を有するものであり、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、当該接合部を前記攪拌部の回転による摩擦熱で攪拌させて接合する摩擦攪拌接合装置において、
    前記上部回転体と下部回転体との位置を検出する位置センサと、前記被接合部材の上面位置を計測する変位センサとを備え、前記各センサからの情報と予め記憶された前記被接合部材の接合部の板厚情報とを基に前記各アクチュエータを駆動して前記上部回転体と下部回転体との位置制御を行うコントローラを有するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  5. 請求項4に記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記変位センサは、前記被接合部材の上面に押し付けた接触子の変位を検出するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記変位センサが、接合端面同士を突き合わせた一対の被接合部材に対してそれぞれ前記回転工具の進行方向前方の位置に設定されたものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記コントローラは、被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体側に近づかないよう制御するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記コントローラは、被接合部材に押し当てられる前記下部回転体の下ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体側に近づかないよう制御するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記コントローラは、被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体から遠ざからないよう制御するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記コントローラは、被接合部材に押し当てられる前記下部回転体の下ショルダ面の位置を、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体から遠ざからないよう制御するものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載する摩擦攪拌接合装置において、
    前記被接合部材の接合部を挟み込む上部回転体と下部回転体との荷重を検出する荷重センサを備え、前記コントローラは、前記接合部を挟み込む上部回転体と下部回転体との荷重を調整する荷重制御と、前記上部回転体と下部回転体との位置を調整する位置制御とを行うものであることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  12. 位置調整が可能な上部回転体及び下部回転体を有するボビンツール式の回転工具を使用し、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、上部回転体と下部回転体との間の攪拌部がその接合部を回転による摩擦熱で攪拌させて接合する摩擦攪拌接合方法において、
    前記被接合部材の上面位置を計測し、前記被接合部材の接合部の板厚を前記回転工具の近傍で計測し、計測値に基づき前記上部回転体及び下部回転体の一方又は両方について、前記被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面の位置制御を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  13. 位置調整が可能な上部回転体及び下部回転体を有するボビンツール式の回転工具を使用し、接合端面同士を突き合わせた被接合部材の接合部を前記上部回転体と下部回転体とで挟み込み、上部回転体と下部回転体との間の攪拌部がその接合部を回転による摩擦熱で攪拌させて接合する摩擦攪拌接合方法において、
    前記被接合部材の上面位置を計測し、その上面計測値と予め記憶された前記被接合部材の接合部の板厚情報とに基づき、前記上部回転体及び下部回転体の一方又は両方について、前記被接合部材に押し当てられる前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面の位置制御を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  14. 請求項12又は請求項13に記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記上部回転体の上ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体側に近づかないようにすることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  15. 請求項12乃至請求項14のいずれかに記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記下部回転体の下ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側へ近づく方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体側に近づかないようにすることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  16. 請求項12乃至請求項15のいずれかに記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記上部回転体の上ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の上面位置又は両方の上面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記下部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記下部回転体から遠ざからないようにすることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  17. 請求項12乃至請求項16のいずれかに記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記下部回転体の下ショルダ面の位置制御であって、前記一対の被接合部材の一方の下面位置又は両方の下面位置の間の所定位置を基準位置とし、その基準位置から前記上部回転体側とは遠ざかる方向に設定した距離を設定値として、その設定値を基に前記上部回転体から遠ざからないようにすることを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  18. 請求項12又は請求項13に記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように荷重制御を行い、
    前記上部回転体と下部回転体との位置が所定の条件を満たす場合に、前記荷重制御を中断し、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  19. 請求項12又は請求項13に記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように荷重値を設定して荷重制御を行い、
    前記上部回転体と下部回転体との位置が所定の条件を満たす場合に、前記荷重値を変更した変更荷重値によって行う荷重制御とともに、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  20. 請求項14乃至請求項17のいずれかに記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように制御し、前記上部回転体の上ショルダ面や前記下部回転体の下ショルダ面が前記設定値に達した場合に、前記荷重制御を中断し、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  21. 請求項13乃至請求項17のいずれかに記載する摩擦攪拌接合方法において、
    前記被接合部材の接合部を挟み込む前記上部回転体と下部回転体との荷重が一定になるように荷重値を設定して荷重制御を行い、前記上部回転体の上ショルダ面や前記下部回転体の下ショルダ面が前記設定値に達した場合に、前記荷重値を変更した変更荷重値によって行う荷重制御とともに、前記上部回転体の上ショルダ面や下部回転体の下ショルダ面を変位させる前記位置制御を行うことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
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